JPH09125151A - 加工性と耐二次加工性の優れた熱延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性と耐二次加工性の優れた熱延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH09125151A
JPH09125151A JP28516995A JP28516995A JPH09125151A JP H09125151 A JPH09125151 A JP H09125151A JP 28516995 A JP28516995 A JP 28516995A JP 28516995 A JP28516995 A JP 28516995A JP H09125151 A JPH09125151 A JP H09125151A
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less
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rolling
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JP28516995A
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Kaoru Kawasaki
薫 川崎
Takehide Senuma
武秀 瀬沼
Masayoshi Suehiro
正芳 末広
Kazuo Koyama
一夫 小山
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低炭素鋼におる加工性と耐二次加工性の優れ
た薄手熱延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提
供する。 【解決手段】 0.015〜0.06%の炭素量を含む
低炭素鋼をAr3 点以下750℃の温度域で仕上熱延を
終了した後、20℃/s以上の冷却速度で冷却してから
500℃以下の温度域で巻き取り、続いて連続焼鈍ある
いは溶融亜鉛めっき工程で再結晶処理を行い、中心層
(1/2t)と全厚の1/8部(1/8t)における
(222)面強度の比を特定することを特徴とする加工
性の優れた熱延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性と耐二次加
工性の優れた熱延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法に関するものであり、冷延鋼板に代わる薄手熱延鋼板
及びその溶融亜鉛めっき鋼板を製造するものである。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板の代替を目的とした薄手熱延鋼
板の製造方法として、加工性を確保するためには、熱延
時にAr3 点以上の温度域で仕上熱延を終了させる必要
がある。しかし、特に、仕上板厚が薄くなると、仕上圧
延をAr3 点以上の温度域で実施することが困難とな
り、その結果、加工性の劣化を招くことになっていた。
そこで、仕上温度をAr3 点以上とするために、平衡変
態温度Ae3 点を下げる元素であるBやCrを添加する
ことが検討された。
【0003】その例として、特開平2−104614号
公報及び特開平2−104637号公報などがある。い
ずれの発明においても、Ae3 点を下げるが、強度上昇
が少なく加工性を確保できる元素を添加していることが
特徴である。前者は、Bを添加してAr3 点を下げて仕
上温度を確保しようとするものである。
【0004】これは、一般に、Bはオーステナイト粒界
に偏析するため、フェライトの核生成が抑制されること
によると説明されている。しかし、熱延時に特別な限定
をしないとたとえBが添加されていても、仕上温度が8
50℃以下になると部分的に混粒組織が生じ、機械的性
質が不均一となる。また、後者では、Cr添加に伴う酸
洗性や化成処理性の劣化が避けられないばかりでなく、
平衡変態温度を下げるためには比較的多量の添加が必要
であり、合金コストが高くなるという問題点がある。
【0005】一方、薄手熱延鋼板をフェライト域での仕
上熱延により製造しようとする技術も多数開示されてい
る。例えば、特開平4−210427号公報、特開平4
−221025号公報及び特開平4−263022号公
報がある。いずれも粗バーを接続して一定張力下で仕上
圧延を実施することが特徴であり、熱延板に深絞り性を
付与するものである。
【0006】そのため、鋼成分としては極低炭素鋼にT
iやNbを添加したものであり、本発明とは基本的に成
分が異なるばかりでなく、コストも高い。一方、特開平
4−285123号公報は低炭素鋼を対象としたもので
あるが、熱延における仕上圧延の温度域が本発明とは全
く異なるため、より高い延性が得られない。
【0007】また、特開平2−263950号公報で
は、比較的炭素量の高い鋼をフェライト域圧延すること
により深絞り性の優れた鋼を得る発明が開示されてい
る。しかし、これは、本発明に比べて炭素量が低いもの
であり、基本的に本発明で対象とする鋼成分とは全く異
にするものであるばかりでなく、本発明に比べてコスト
が高い。
【0008】さらに、特開平1−149922号公報で
は、150〜500℃の巻き取りを実施することによ
り、熱延板の結晶粒径を最適化して加工性と耐二次加工
性を確保しようとする発明が開示されている。しかし、
この発明は、熱延板では未再結晶組織のままを維持し、
その後に再結晶処理を施す本発明とは、その課題解決手
段を異にするものである。また、特開平4−21042
7号公報の発明は、仕上圧延を張力付与の条件下で実施
するとともに、巻取工程あるいは焼鈍工程で再結晶処理
を実施することが特徴である。
【0009】しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、
後述するように耐二次加工性に対しては、巻取工程で再
結晶させることは不利であるだけでなく、仕上圧延後の
冷却速度がある程度速くないと問題が生じることが知見
された。そのため、本発明では、焼鈍工程では短時間で
の再結晶処理(連続焼鈍)を必須とする。そして、仕上
圧延後の冷却速度、巻取条件及び焼鈍条件を組み合わせ
ることで加工性と耐二次加工性の優れた薄鋼板を製造す
る方法を見出したのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、極低炭素鋼
を用いることなしに、高い延性を有することを特徴とす
る加工性と耐二次加工性の優れた薄手熱延鋼板及び溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的として
なされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の実
情に鑑み、低炭素鋼の加工性及び耐二次加工性に対する
仕上圧延条件、仕上圧延後の冷却速度、巻取条件及び焼
鈍条件の影響を詳細に検討した結果、以下のことを知見
した。
【0012】(1)Ar3 変態点以下の温度域で仕上圧
延を行うと、従来のAr3 変態点以上で仕上圧延を実施
したものに比べ、高い延性が得られる。また、板厚が薄
くなると従来の方法では、特に、表層付近は変態点以下
の温度域で圧延されることになり、板厚方向の組織が不
均一となり、特性が著しく劣化する。しかし、仕上圧延
をAr3 変態点以下の温度域で実施することによりこの
問題が解決され、板厚方向に均一な組織が得られる。
【0013】(2)上記特性は、仕上圧延前に、特定の
温度域で保熱を施すことによりさらに向上する。これ
は、仕上圧延前に析出物の析出が十分になされると同時
に、析出物の粗大化が促進され、その結果、巻き取り中
の結晶粒成長が助長されるためと推察される。
【0014】(3)中心層(center)と全厚の1
/8部(1/8t)における面強度比が1に近付く程板
厚方向の集合組織は均一となる。これには、例えば潤滑
を施しながら仕上圧延を行うことが有効であり、この場
合、上記特性はさらに向上する。その原因は、圧延中に
導入される板厚方向のひずみが潤滑により均一となり、
板厚方向の組織の均一性がさらに良好となるためと考え
られる。
【0015】この知見を見出した実験結果を図1に示
す。すなわち、0.03%C−0.01%Si−0.0
05%P−0.010%S−0.035%Al−0.0
020%Nからなる鋼を種々の条件で1mmの熱延板と
し、(222)center/(222)1/8t≦2なる関係が
満足されると延性が50%を超え、飛躍的に向上する。
【0016】(4)仕上圧延後の冷却は、冷却中に再結
晶が起こらないような条件にしなければならない。冷却
中に再結晶が起こると、巻き取った後で粒界への多元素
の拡散を招き粒界が脆化するため、二次加工性を劣化さ
せるからである。この知見を見出した実験結果を図2に
示す。なお、用いた鋼種は前述の(3)と同じものであ
る。
【0017】(5)巻取温度は、その処理中に再結晶が
生じない条件にする必要がある。すなわち、ここで再結
晶が生じると、巻取処理中に前述したような多元素の粒
界への拡散が生じ、粒界脆化を招くため、二次加工性を
劣化させるためである。この知見を見出した実験結果を
図3に示す。なお、用いた鋼種は前述の(2),(3)
と同じものである。 以上の知見をもとに、加工性と耐二次加工性の優れた薄
鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板の製造技術を確立した。
【0018】本発明の要旨とするところは、次の通りで
ある。 (1)重量%で、C:0.015〜0.06%、Si:
0.5%以下、Mn:0.05〜0.5%以下、P:
0.02%以下、S:0.015%以下、Al:0.0
05〜0.1%、N:0.005%以下、残部Feを含
む鋼を連続鋳造にてスラブとした後、再加熱あるいは鋳
造後直ちに粗圧延を実施し、先行するシートバーに接続
後、Ar3 点以下、750℃以上の温度域での合計圧下
率が70%以上、98%以下になるように熱間圧延した
後、20℃/s以上の冷却速度で500℃以下の温度で
巻き取り、続いて酸洗後再結晶焼鈍を連続焼鈍工程で実
施し、中心層(center)と全厚の1/8部(1/
8t)における面強度比を(222)center/(22
2)1/8t≦2とすることを特徴とする加工性と耐二次加
工性の優れた熱延鋼板の製造方法。
【0019】(2)さらに、重量%で、B:0.005
%以下を含むことを特徴とする上記(1)記載の加工性
と耐二次加工性の優れた熱延鋼板の製造方法。 (3)さらに、重量%で、Cu,Ni,Cr及びSnの
うち1種または2種以上を合計で0.5%以下含むこと
を特徴とする上記(1)または(2)記載の加工性と耐
二次加工性の優れた熱延鋼板の製造方法。
【0020】(4)粗圧延を終了し、シートバーを一旦
コイルに巻き取ることを特徴とする上記(1)ないし
(3)のいずれか1項に記載の加工性と耐二次加工性の
優れた熱延鋼板の製造方法。
【0021】(5)厚さ100mm以下の鋳片に鋳造後、
直ちに粗圧延を実施することを特徴とする上記(1)な
いし(4)のいずれか1項に記載の加工性と耐二次加工
性の優れた熱延鋼板の製造方法。
【0022】(6)仕上圧延を実施する際に、少なくと
も1パス以上潤滑を施しながら行うことを特徴とする上
記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の加工性と
耐二次加工性の優れた熱延鋼板の製造方法。
【0023】(7)上記(1)ないし(6)のいずれか
1項に記載の加工性の優れた熱延鋼板の製造方法におけ
る再結晶焼鈍を実施する連続焼鈍工程に代えて、再結晶
焼鈍を溶融亜鉛めっき工程で実施することを特徴とする
加工性と耐二次加工性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法。 (8)溶融亜鉛めっき工程後に、合金化処理を施すこと
を特徴とする上記(7)記載の加工性と耐二次加工性の
優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】まず、この発明における成分組成
の限定理由について述べる。Cは、0.06%以下とし
なくてはならない。これを超えて添加されると析出する
炭化物の量が多くなり、延性が劣化する。また、0.0
15%より低くなると巻き取り中の炭化物の析出が不十
分となり、時効性の劣化が懸念される。
【0025】SiとAlは、フェライト域熱延の温度域
を高温にして、圧延時及び圧延後の再結晶を促進させる
のに有効である。しかし、Siは過度に添加されると鋼
を硬質化し、加工性を劣化させるばかりでなく、スケー
ル起因の疵が発生しやすくなることから0.5%を上限
とする。
【0026】一方、Alについては、鋼の脱酸のために
も添加される。そのためには0.005%以上の添加が
必要である。しかし、過剰の添加はコストアップになる
とともに鋼中に介在物を残すことになるため、上限を
0.1%とする。
【0027】Mnは、主として鋼を高強度化する場合に
添加されるが、過剰に添加されると硬質化して加工性が
劣化する。本発明においては熱間加工性を確保するた
め、0.05%以上が必要である。一方、0.5%を超
えて添加されると硬質化し、加工性が劣化するため、
0.5%を上限とする。
【0028】Pは、本発明においては積極的に添加され
る必要のない元素である。そのため、不可避的に含まれ
るものとして0.02%以下とする。Sは、Mnとの結
合によりA系介在物(JIS G 0555)を形成
し、延性を劣化させるばかりでなく、過度に添加される
と熱間割れを招くため、0.015%を上限とする。
【0029】Nは、AlNとして析出するが、多量に析
出すると加工性を劣化させるため、0.005%を上限
とする。Bは、必要に応じて添加されるが、その目的は
Nの固定にある。しかし、過剰の添加は、鋼を硬質化し
て加工性を劣化させたり、溶接性を劣化させるため、
0.005%を上限とする。Cu,Ni,Cr及びSn
は、スクラップを原料とした際に不可避的に添加される
ものであるが、特に、熱間での加工性の観点から合計で
0.5%を上限とする。
【0030】次に、本発明における熱間圧延条件、冷却
条件、巻取条件及び焼鈍条件について説明する。粗圧延
を終了して先行するシートバーに接続後、直ちに仕上圧
延を実施する。このとき、接続前にシートバーをコイル
に巻き取った後、巻き戻しながら先行する圧延材に接続
してから仕上圧延を実施しても、本発明における効果を
損なうものではない。
【0031】さらに、巻き取った後に保熱あるいは加熱
を行ってもかまわない。特に、前述のシートバーを巻き
取った後で巻き戻すことは、圧延端の局部的な温度低下
やスキッドマークによる温度低下を解消し、コイル長手
方向の材質の均質化が容易となる。
【0032】仕上圧延における圧延条件は、本発明にお
いて最も重要な因子である。まず、仕上圧延を実施する
温度域については、Ar3 変態点以下とする必要があ
る。この温度より高いと、圧延後の冷却中にγからαに
変態することになり、このときに導入されるひずみは、
延性を低下させる原因となるためである。また、750
℃よりも低温域では、圧延材の変形抵抗が大きく、圧延
時の負荷が高くなりすぎるため、750℃を下限とす
る。
【0033】一方、仕上圧延での圧下率が低いと、その
後の巻き取りでの再結晶が不十分となるばかりでなく、
得られる結晶粒径も不均一となるため、70%以上必要
である。しかし、98%を超えると圧延機への負荷が高
くなりすぎるため、98%を上限とする。
【0034】仕上圧延で潤滑を施す場合、潤滑油の種類
及びエマルジョンの濃度は特に限定されるものではな
い。潤滑圧延を実施する目的は、ロールと圧延材との摩
擦係数を低下させ、圧延荷重の低下を図るとともに、板
厚方向のひずみを均一に分布させることにある。特に、
前述したような中心層と1/8t面における(222)
面強度の関係が前述の式を満足するには、仕上圧延にお
ける潤滑圧延が有利となる。
【0035】仕上圧延後の冷却は、できるだけ速やかに
実施されなければならない。20℃/s未満の冷却速度
では冷却途中で再結晶が生じるため、その後の巻取処理
中に多元素の粒界への拡散が起こる。そのため、粒界を
脆弱にするため二次加工性の劣化を招く。これを防止す
るには、前述の実験結果からも明らかなように、20℃
/s以上の冷却速度が必要である。
【0036】巻取工程では、仕上圧延時に形成された加
工組織をそのまま維持させる必要がある。再結晶する
と、前述したように多元素の粒界への拡散が起こるた
め、粒界が脆化して二次加工性が劣化する。そのため、
巻取温度を500℃以下としなくてはならない。
【0037】前述した鋼の溶製は、転炉を用いるのが一
般的であるが、電気炉でスクラップを溶解してもかまわ
ない。さらに、鋳造は、連続鋳造にて実施されるが、1
00mm以下の薄スラブに鋳造されても、本発明における
効果を何等損なうものではない。
【0038】また、用いる熱延設備は通常の熱延ストリ
ップミルで良いが、薄スラブを用いて粗圧延を簡省略す
るものでもかまわない。さらに、仕上圧延前のシートバ
ーの接続方法は特に限定されるものではないが、レーザ
ー溶接、アーク溶接及び圧接等で実施するのが好まし
い。一方、接続前に巻き取る場合、その方法についても
特に限定されるものではない。その際、巻き取ったコイ
ルを保熱あるいは加熱することも、本発明における効果
を損なうものではない。
【0039】
【実施例】
(実施例1)C:0.025%、Si:0.05%、M
n:0.15%、P:0.005%、S:0.007
%、Al:0.030%、B:0.0010%、N:
0.0015%を含む鋼を転炉出鋼し、連続鋳造にてス
ラブとした。このスラブを、1100℃で加熱してか
ら、25mmまで粗圧延を実施し、先行するシートバーに
接続後、表1に示すような種々の仕上温度、冷却速度及
び巻取温度で熱間圧延を実施した。なお、Ar3 点は9
16−50〔C(%)〕+27〔Si(%)〕−64
〔Mn(%)〕より概算すると907℃である。その
後、連続焼鈍工程あるいは溶融亜鉛めっき工程におい
て、加熱温度:800℃として再結晶処理を実施してか
ら、1%の調質圧延を実施した。
【0040】材質評価について、まず、引張試験は、供
試材をJIS Z 2201記載の5号試験片に加工
し、JIS Z 2241記載の試験方法に従って行っ
た。また、二次加工性については、供試材を直径100
mmに打ち抜き、絞り比2.0で円筒に絞った後、その成
形カップを、図4に示すように、−50℃のエタノール
中に浸し、テーパーポンチに載せて荷重を与えて、押し
拡げ、その際の脆性破壊の有無で判定した。その結果
を、○:脆性破壊割れなし、×:脆性破壊割れありとし
て、同表に示す。
【0041】本発明法に従ったNo.1,3,4,6,
7,8,10,11及び12では、高い伸びとn値を示
す。一方、冷却速度が本発明の範囲より低く外れたNo.
2では、冷却中に再結晶が生じるため、粒界への元素の
拡散が起こるため、粒界が脆化して二次加工性が劣化し
ている。巻取温度が高く外れたNo.5及び6では、巻取
中に再結晶と粒成長が生じるため伸び及びn値は高い
が、粒界への元素の拡散により粒界が脆弱となるため二
次加工性が悪い。
【0042】また、面強度比が本発明の範囲から高く外
れたNo.9,13及び14では、板厚方向の異方性が大
きいため、やはり伸びとn値が低い。また、No.12及
び13までは、仕上温度が本発明の範囲から低く外れた
ため、再結晶処理における粒成長性が不十分となり、伸
びとn値が低い。特に、No.14では、仕上温度がAr
3 点以上であるため、仕上圧延後変態してからの巻き取
りとなる。そのため、本発明法に比べてひずみが多く残
ると推察されることから、伸びとn値が低いと思われ
る。
【0043】
【表1】
【0044】(実施例2)表2に示す種々の組成の鋼を
転炉あるいは電炉出鋼し、連続鋳造でスラブとした。こ
のスラブを、1050〜1200℃で加熱してから、種
々の板厚に粗圧延を行い、先行するシートバーに接続し
て、仕上圧延を行う。このとき、C,D,F及びK鋼の
ように、シートバーの接続前に同表に示した温度で巻き
取り、10分以内の保熱を行ってから巻きほぐすか、あ
るいは保熱することなく直ちに巻きほぐして(B,H,
I及びL鋼)先行するシートバーに接続する。その後、
Ar3 点以下の温度域で6パスの仕上圧延を行い、80
0℃で仕上圧延を終了した。その際に潤滑油のエマルジ
ョンを供給するが、その供給スタンド(No.1〜6スタ
ンド)を表3に示す。
【0045】続いて50℃/sの冷却速度で冷却し、本
発明の範囲でコイルに巻き取った。続いて、酸洗後、連
続焼鈍工程あるいは溶融亜鉛めっき工程において、加熱
温度:800℃として再結晶処理を実施し、さらに、1
%の調質圧延を施した。材質評価は、実施例1と同じ方
法で行った。
【0046】また、時効性についても評価を実施した
が、その方法は、前述の引張試験において10%の予ひ
ずみを与え、100℃×60分の熱処理を施した後の引
張試験における降伏点の上昇の有無で評価し、降伏点の
上昇のないものを良とした。その結果を表3に示す。
【0047】本発明法に従ったA,B,C,D,E,
F,G及びH鋼のNo.1〜9及びNo.11〜18では高
い伸びとn値を示すとともに、時効性も良好である。ま
た、二次加工性についても良好である。しかし、本発明
鋼でも仕上圧延での圧下率が本発明の範囲から低く外れ
たNo.10では、板厚方向の組織が不均一となるため、
伸びとn値が低い。
【0048】一方、C及びN量が本発明の範囲から高く
外れたI鋼では、炭化物の析出が多いため伸び及びn値
が低い。さらに、時効性も不良である。また、Si量が
高く外れたJ鋼では、伸びとn値が低いばかりでなく、
スケール起因の疵の発生が懸念される。Mn及びP量が
高く外れたK鋼は、硬質なためやはり伸びとn値が低
い。さらにL鋼では、S量が高く外れたため、熱間圧延
時の割れの発生が懸念されるとともに、硬質化して伸び
とn値が低い。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】(実施例3)表4に示す組成の鋼を転炉あ
るいは電炉出鋼し、連続鋳造で75mmの薄スラブに鋳造
後、再加熱することなく粗圧延にて30mmとした。その
後、直ちに先行するシートバーに接続してから、6パス
で仕上圧延を実施し、同表に示す温度域で仕上圧延を終
了し、1mmの板厚とした。
【0053】仕上圧延後は、本発明の範囲で巻き取りを
行い、1%の調質圧延を実施した。材質評価は、実施例
1及び2と同様の方法で行った。いずれの鋼も高い伸び
とn値が得られており、二次加工性及び時効性も良好で
ある。
【0054】
【表5】
【0055】
【発明の効果】本発明により、Ar3 点以下の温度域で
仕上圧延を実施するとともに、板厚方向の集合組織の均
一化を図ることにより、極低炭素鋼を用いることなし
に、高い延性を有することを特徴とする加工性と耐二次
加工性の優れた薄手熱延鋼板及び溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】板厚方向の集合組織と伸びとの関係を示す図表
である。
【図2】仕上圧延後の冷却速度と二次加工性(遷移温
度)との関係を示す図表である。
【図3】巻取温度と二次加工性(遷移温度)との関係を
示す図表である。
【図4】本発明に用いた二次加工性を評価するための方
法の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 301 C22C 38/00 301W 38/06 38/06 (72)発明者 小山 一夫 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.015〜0.06%、 Si:0.5%以下、 Mn:0.05〜0.5%以下、 P :0.02%以下、 S :0.015%以下、 Al:0.005〜0.1%、 N :0.005%以下、 残部Feを含む鋼を連続鋳造にてスラブとした後、再加
    熱あるいは鋳造後直ちに粗圧延を実施し、先行するシー
    トバーに接続後、Ar3 点以下、750℃以上の温度域
    での合計圧下率が70%以上、98%以下になるように
    熱間圧延した後、20℃/s以上の冷却速度で500℃
    以下の温度で巻き取り、続いて酸洗後再結晶焼鈍を連続
    焼鈍工程で実施し、中心層(center)と全厚の1
    /8部(1/8t)における面強度比を(222)
    center/(222)1/8t≦2とすることを特徴とする加
    工性と耐二次加工性の優れた熱延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 さらに、重量%で、B:0.005%以
    下を含むことを特徴とする請求項1記載の加工性と耐二
    次加工性の優れた熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 さらに、重量%で、Cu,Ni,Cr及
    びSnのうち1種または2種以上を合計で0.5%以下
    含むことを特徴とする請求項1または2記載の加工性と
    耐二次加工性の優れた熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 粗圧延を終了し、シートバーを一旦コイ
    ルに巻き取ることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れか1項に記載の加工性と耐二次加工性の優れた熱延鋼
    板の製造方法。
  5. 【請求項5】 厚さ100mm以下の鋳片に鋳造後、直ち
    に粗圧延を実施することを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれか1項に記載の加工性と耐二次加工性の優れた
    熱延鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 仕上圧延を実施する際に、少なくとも1
    パス以上潤滑を施しながら行うことを特徴とする請求項
    1ないし5のいずれか1項に記載の加工性と耐二次加工
    性の優れた熱延鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の加工性の優れた熱延鋼板の製造方法における再結晶焼
    鈍を実施する連続焼鈍工程に代えて、再結晶焼鈍を溶融
    亜鉛めっき工程で実施することを特徴とする加工性と耐
    二次加工性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 溶融亜鉛めっき工程後に、合金化処理を
    施すことを特徴とする請求項7記載の加工性と耐二次加
    工性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012213807A (ja) * 2012-06-20 2012-11-08 Baoshan Iron & Steel Co Ltd 効率的且省エネルギーな帯鋼連続鋳造及び連続圧延プロセス
KR101400032B1 (ko) * 2012-01-31 2014-05-30 현대제철 주식회사 열연코일용 연속주조 방법

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