JP2001011538A - 高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2001011538A
JP2001011538A JP17848599A JP17848599A JP2001011538A JP 2001011538 A JP2001011538 A JP 2001011538A JP 17848599 A JP17848599 A JP 17848599A JP 17848599 A JP17848599 A JP 17848599A JP 2001011538 A JP2001011538 A JP 2001011538A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合金元素を多量に含有させることなく、機械
特性のばらつきを低減した高張力溶融亜鉛めっき鋼板の
製造法を提供する。 【解決手段】 C:0.12〜0.20%、Si:0.
50%以下、Mn:0.8〜2.0%、P:0.005
〜0.050%、S:0.0005〜0.0100%、
sol.Al:0.01〜0.10%、N:0.001
〜0.008%を含み、Ti:0.01〜0.10%、
Nb:0.001〜0.050%、V:0.01〜0.
10%のうち1種以上を含み、残部がFeおよび不可避
的不純物からなる鋼材を熱間圧延後、400〜750℃
で巻き取り熱延鋼板とし、酸洗後、40〜80%の圧下
率で冷間圧延を行い、Ac3変態点以上のγ域にて再結晶
焼鈍を行った後、溶融亜鉛めっき処理を施す。鋼成分に
B:0.0005〜0.0050%を含ませると更によ
い。溶融亜鉛めっき処理後、めっきの合金化処理をして
もよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車の車体部品の
ように耐食性を確保しつつプレス成形、曲げ加工等を施
す用途に好適な高張力溶融亜鉛めっき鋼板、または高張
力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護のため、自動車の燃
費向上が求められており、自動車用鋼板においては車体
の軽量化および安全性確保のため、引張強度(TS)>
540MPaである高強度鋼板へのニーズが高い。この
ような用途では、プレス成形等での安定した作業性を確
保するため、強度と延性のばらつきの少ない鋼板が求め
られる。
【0003】一方、薄肉化しても耐久性を高めるため、
防錆性が要求され、特性のばらつきの少ない高強度、高
延性を備えた亜鉛めっき鋼板が求められており、とくに
防錆力に優れた溶融亜鉛めっき鋼板または合金化溶融亜
鉛めっき鋼板が強く求められている。
【0004】鋼の高強度化の手法として、鋼板中の組織
を軟質なフェライト中にマルテンサイト等の硬質相を分
散させた複合組織鋼板とすることにより、高強度化する
手法が広く用いられている。この方法によると、低降伏
応力(YS)で、かつ引張強度(TS)と全伸び(E
l)のバランスに優れた鋼板が得られ、例えばTS(M
Pa)×El(%)>18000(MPa・%)級の良
好なプレス成形性を備えた鋼板が得られる。
【0005】このような複合組織鋼板は鋼板をAc1変態
点以上、Ac3変態点以下に加熱し、オーステナイト
(γ)とフェライト(α)の2相とした後冷却し、オー
ステナイトをマルテンサイト等に変態させることによっ
て得られる。このとき、オーステナイトが不安定である
とパーライトに変態して、マルテンサイト組織は得られ
ない。従って、通常オーステナイトを安定化させ、パー
ライトへの変態を抑制するために合金元素を添加する手
法が用いられる。
【0006】例えば、特開昭55−100935号公報
には、Mn等を多量に含有させ、溶融亜鉛めっき設備内
において複合組織鋼板を形成せしめることにより、鋼板
の成形性を向上させる手法が開示されている。しかしな
がら、適正な複合組織を得るには、合金元素の多量の添
加が必要であり高コストとなる。
【0007】特開昭55−122821号公報には、溶
融亜鉛めっき設備内で合金添加量に応じて冷却速度を制
御する手法が開示されている。しかし、合金元素を低減
するには高い冷却速度が必要であり、大規模の設備が必
要となり、やはり高コストとなる。
【0008】上記とは別に、鋼板の高強度化の手法とし
て、Si、Mn、P等の固溶強化型の元素やTi、N
b、V等の析出強化元素を添加する手法が一般的に用い
られる。
【0009】しかし、固溶強化のみでTSを540MP
a以上とするには多量の添加が必要となりコスト高とな
る。添加元素としてSi、P等を多量に含有させると不
めっきの発生ならびに合金化処理速度の低下を招き、合
金化処理を促進するには高温での合金化処理が必要とな
って、エネルギーコストが増大する。さらに、高温で合
金化処理を行なうことによるめっきの密着性低下を招
き、耐パウダリング性が劣化する等のめっき品質の悪化
をもたらす。
【0010】一方、C含有量が0.12〜0.20重量
%の材料において先に示した析出強化元素を添加して高
強度化を図る場合、析出物の密度が高いため冷間圧延後
の焼鈍処理においてAc1変態点以下では再結晶が起こり
にくく、所望の機械特性が得られない。また、Ac1変態
点〜Ac3変態点の二相域温度域(α+γ)で焼鈍した場
合、強度および延性は焼鈍温度の影響を受けやすく、製
造時の温度ばらつきによって特性が大きく変化しユーザ
ーでのプレス成形において割れ、しわ、形状凍結不良等
を誘発するおそれがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、合金
元素を多量に含有させることなく、かつ溶融めっき工程
での製造制約を受けることなく、機械特性のばらつきの
少ない高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造法を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、少量の合
金添加で強度が得られる析出系に着目した。すなわち、
高強度化を固溶強化と析出強化の組み合わせで達成し、
従来方法ではばらつきが大きかった機械特性について
は、めっきラインでの均熱温度(すなわち再結晶焼鈍温
度)を適切に制御することによって安定化を図る方法を
検討した。
【0013】本発明者らは、合金の添加量を少なくして
強度を高めるため、いわゆる中炭素域を選び、Mn等の
合金元素の添加量を軽減し、安価に高強度化を図るため
C量を0.12重量%以上を基本鋼種として選択し、化
学組成と熱処理方法を検討した。なお、以下の化学組成
%は重量%を意味する。
【0014】CはTi、Nb、V等と結合して炭窒化物
として鋼中に析出することにより、強度を上昇させる。
しかし、C量が0.12重量%以上の材料において析出
強化を用いて高強度化を図る場合、再結晶速度が遅くA
c1変態点以下のような低温での焼鈍においては、未再結
晶および部分再結晶を呈した組織となり延性が劣る。
【0015】また、均熱温度を2相域温度域(Ac1〜A
c3変態点)とすると、変態したγ相分率だけが均熱後の
冷却を経て正常なフェライト組織となる。つまり、変態
した相分率によって強度が大きく変化するため、強度、
延性のばらつきが大きくなる。
【0016】一方、Ac3変態点以上の温度で加熱、均熱
を行なうと、すべての組織がγ変態するため冷却過程で
は未再結晶や部分再結晶がなくなり、すべての組織が正
常なフェライト組織となって機械特性が安定する。その
結果、プレス成形等の加工段階において安定した成形性
が得られる。
【0017】つまり、焼鈍時の均熱温度をAc3変態点以
上に制御することで耐食性、特性安定性に優れた高張力
溶融亜鉛めっき鋼板、高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板
が得られるようになる。
【0018】上記の知見に基づき完成した本発明の要旨
は、以下の(1) 〜(3) にある。
【0019】(1) 化学組成が重量%で、C:0.12〜
0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.8〜
2.0%、P:0.005〜0.050%、S:0.0
005〜0.0100%、sol.Al:0.01〜
0.10%、N:0.001〜0.008%を含み、T
i:0.01〜0.10%、Nb:0.001〜0.0
50%、V:0.01〜0.10%のうち1種または2
種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からな
る鋼材を熱間圧延後、400〜750℃で巻き取り熱延
鋼板とし、酸洗後、40〜80%の圧下率で冷間圧延を
行い、Ac3変態点以上のγ域にて再結晶焼鈍を行った
後、溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする高張力
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0020】(2) 化学組成が重量%で、C:0.12〜
0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.8〜
2.0%、P:0.005〜0.050%、S:0.0
005〜0.0100%、sol.Al:0.01〜
0.10%、N:0.001〜0.008%を含み、T
i:0.01〜0.10%、Nb:0.001〜0.0
50%、V:0.01〜0.10%のうち1種または2
種を以上含み、さらにB:0.0005〜0.0050
%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
材を熱間圧延後、400〜750℃で巻き取り熱延鋼板
とし、酸洗後、40〜80%の圧下率で冷間圧延を行
い、Ac3変態点以上のγ域にて再結晶焼鈍を行った後、
溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする高張力溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0021】(3) 溶融亜鉛めっき処理に続いて合金化処
理を施すことを特徴とする前記(1)または(2) 項に記載
の高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】(1)化学組成 C:含有量を0.12〜0.20%とする。CはTi、
Nb、V等と結合して、炭窒化物として鋼中に析出する
ことにより、鋼板に所定の強度を付与するために含有さ
せる元素である。炭窒化物として析出固定されない炭素
は、溶融めっき前の焼鈍工程での均熱時に形成されるオ
ーステナイト中に固溶する。次いで鋼板が冷却されると
きに、球状セメンタイトが形成され、さらなる強度上昇
に寄与する。C含有量が0.12%に満たないときは、
その効果が不十分であり、0.20%を超えると冷却時
にパーライトが生成し、成形性が悪くなるのみならず溶
接性が劣化する。より好ましいCの範囲は0.12〜
0.16%である。
【0023】Si:含有量を0.50%以下とする。S
iは固溶強化による強化元素として極めて有効であり、
安価である。しかも延性の劣化は少ないため、機械的性
質の面からは多量に含有させるのが有利である。しか
し、めっきの濡れ性を著しく阻害するため、高強度化は
他の元素による固溶強化、析出強化によることとし、S
i含有量は0.50%以下とする。また、Siは脱酸に
用いられるが、過度にSiを低下させようとすると、脱
酸を高価なAlで行わねばならないため0.01%以上
が好ましい。より好ましいSiの範囲は0.01〜0.
30%である。
【0024】Mn:含有量を0.8〜2.0%とする。
Mnは固溶強化による強化元素として有効であり、0.
8%以上とする。一方、本発明は析出強化との組み合わ
せで高強度化を図っているためMnを2.0%を超えて
含有させる必要はない。また、2.0%を超えて含有さ
せるとAc3変態点以上(γ領域)の加熱を行うと後の冷
却過程においてマルテンサイト等を生成し、過度の強度
上昇を招く。したがって本発明ではMn含有量の範囲は
0.8〜2.0%とする。より好ましいMnの範囲は
1.0〜1.8%である。
【0025】P:含有量を0.005%〜0.050%
とする。Pも固溶強化元素として有効な元素であり、
0.005%以上含有させる。また、0.005%未満
にしようとすると脱Pコストの増大をまねく。一方、P
を0.050%を超えて含有させるとめっき時の合金化
処理性、溶接部性能、耐2次加工脆性を損ねるため、上
限を0.050%とする。より好ましいPの範囲は0.
010〜0. 030%であ る。
【0026】S:含有量を0.0005〜0.0100
%とする。Sは鋼板の穴拡げ性を損ねるため低いほど好
ましい。したがって0.0100%以下とした。一方、
0.0005%以上とするのは、これ未満であると脱硫
コストが増大するためである。より好ましいSの範囲は
0. 0020〜0. 0050%である。
【0027】sol.Al:含有量を0.01〜0.1
0%とする。sol.Alは溶鋼脱酸の結果として含有
される。またTi無添加の場合、鋼中のNと結合し、A
lNの微細析出物を形成し、オーステナイト結晶粒の粗
大化を抑止する効果がある。これらの効果を有するため
に、0.01%以上含有させる。過度に含有しても効果
が飽和するうえ、コスト高となるため、その上限を0.
10%とする。より好ましいsol.Alの範囲は0.
02〜0. 06%である。
【0028】N:含有量を0.001〜0.008%と
する。NはTiと結合して析出し焼鈍時のオーステナイ
トの粒成長を抑制する。0.001%未満ではその効果
が発揮できないことと、製綱工程で脱Nのためのコスト
が増加するおそれがある。また、過度にNを含有させる
と延性が損なわれるので、上限を0.008%とする。
より好ましい範囲は0. 002〜0. 006%である。
【0029】Ti、Nb、V:それぞれの元素は、T
i:0.01〜0.10%、Nb:0.001〜0.0
50%、V:0.01〜0.10%の範囲で、1種また
は2種以上含有させる。これらの成分は炭窒化物を形成
し、析出強化による強度上昇に寄与する。その効果を発
揮するためには、それぞれの成分の規定下限以上を含有
させことが必要である。過度に含有させるとコスト高に
なるばかりでなく逆に強度低下を招く場合がある。より
好ましいTi、Nb、Vの範囲はそれぞれ、0.01〜
0.03%、0.010〜0.030%、0.01〜
0.05%である。
【0030】B:上記の成分の他に、さらにBを0.0
005〜0.0050%含有させるのが望ましい。Bは
オーステナイト中の炭化物を安定化させ、冷却時にその
炭化物を核としてセメンタイトを球状に析出させるた
め、粗大パーライトの析出を抑制する効果を有する。従
って、Bを含有させると延性の劣化をより効果的に抑制
できる。Bの含有量が0.0005%に満たない場合に
はその効果がなく、0.0050%を超えると効果が飽
和する。より好ましいBの範囲は0.0008〜0.0
020%である。
【0031】(2)製造工程および製造条件 溶製から熱間圧延までは特に制限する必要が無く、通常
行われている方法でよい。ただし、熱延後の工程につい
ては下記条件での製造が必要である。
【0032】熱延巻き取り温度:酸洗時の脱スケール性
ならびに製造安定性の観点から熱延巻き取り温度を75
0℃以下とする。また、400℃未満では硬質変態組織
が生成し、冷間圧延性が悪くなるので、400℃以上と
する。より好ましくは500〜600℃である。
【0033】冷間圧延の圧下率:圧下率が40%未満で
あると冷間圧延時の通板の安定性に問題があり操業に支
障を来たす。一方、80%を超えると冷圧時の荷重が高
くなり、破断等のトラブルが発生するため、40%〜8
0%とする。より好ましくは50〜70%である。
【0034】連続溶融亜鉛めっきでの製造条件:焼鈍時
の均熱温度は特性の安定化を図るためAc3変態点以上に
する。ただし、過度に高温にしても効果が飽和するとと
もに、加熱エネルギーのロスおよび鋼板の変形のおそれ
があるのでAc3変態点+50℃を超えない温度以下とす
るのが望ましい。その他の条件は通常行われているめっ
き処理を施せばよい。
【0035】合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合
は溶融亜鉛めっき処理後、鋼板を合金化処理炉で加熱
し、Fe−Zn合金を生成させる。合金化処理(GA処
理ともいう)は通常の低強度の合金化処理鋼板の処理条
件(処理温度、処理時間)とほぼ同じ条件でよい。その
場合の処理温度は480〜630℃、処理時間3〜15
s程度である。
【0036】
【実施例】はじめに、本発明の課題である析出強化型高
張力鋼板の機械特性を安定化する手法を見いだすため、
機械特性に及ぼすヒートパターンについて調査した。
【0037】その方法は、後述する表1の鋼成分A1の
鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造にてスラブとした後、1
240℃まで加熱し、粗圧延終了温度;1080℃、仕
上げ圧延終了温度:890℃で熱間圧延を完了させ、5
80℃で巻き取り、3.5mm厚の熱延コイルとした。
次いで酸洗し、1.6mmまで冷間圧延した(圧下率5
4.3%)。つぎにこの冷延コイルからサンプルを採取
し、実験室にて再結晶焼鈍を行いJIS−5号試験片で
の引張試験を行い特性の調査を行った。
【0038】また、変態点については、熱間加工再現装
置を用いて熱膨張の変化より変態点を求めた。
【0039】図1は、再結晶焼鈍時の均熱温度が機械特
性に及ぼす影響を示すグラフである。ヒートパターンは
グラフの欄外に注記するように、酸化炉、無酸化炉をそ
れぞれ8℃/s、2℃/sで昇熱し、所定の均熱温度、
時間で均熱させ、冷却(6℃/s)過時効処理(470
℃×35s)、ついで溶融めっき浴に浸漬(460℃)
した。合金化処理鋼板の場合は溶融めっき後、さらに5
30℃まで昇熱して合金化処理を行なった。欄外注記図
のGAと表示した部分が合金化処理過程である。
【0040】同図に示すように、均熱時間が一定(12
s)であれば、均熱温度の上昇に伴い全伸び(El)は
上昇する。また、760℃までは未再結晶組織を示し、
この温度以上でAc3変態点未満の領域においては、温度
の上昇に伴いYS、TSが急激に低下する傾向を示す。
さらに、均熱温度がAc3変態点以上の場合は、安定した
YS、TSを示すようになることがわかった。
【0041】図2は、再結晶焼鈍時の均熱温度を一定
(820℃)としたとき、均熱時間が機械特性に及ぼす
影響を示すグラフである。図1と同様、グラフの欄外に
ヒートパターンを注記する。図2に示すように機械特性
は、均熱時間の長時間化に伴いYSがやや低下する傾向
にあるが、均熱温度ほどの大きな変化が見られない。つ
まり、均熱時間が大きく変化しても、機械特性に及ぼす
影響は小さく、均熱時間よりも均熱温度の影響が大きい
ことがわかった。
【0042】図3は合金化溶融めっき鋼板の製造の際の
合金化温度が機械特性に及ぼす影響を示すグラフであ
る。図1と同様、グラフの欄外に注記するヒートパター
ンのGAと表示した部分の合金化温度を変化させた。
【0043】図3に示すように、合金化温度は機械特性
に大きな影響を及ぼしていない。つまり、本発明のよう
なC含有量の鋼種で析出強化型高張力鋼板の機械特性は
前の焼鈍工程の均熱温度に支配されており、加熱時のフ
ェライトからオ−ステナイトへの変態により特性が大き
く変化し、特性の安定化を図るためには加熱時にすべて
γ変態させることが必要であることがわかった。
【0044】これらの結果より、Ac3変態点以上での再
結晶焼鈍によって、コイル先端から後端までばらつきの
ない安定した機械特性が得られる見通しが得られた。こ
の鋼板はユーザーでのプレス成形時の割れ、プレス寸法
不良等の成形不良が減少するため、成形方法を見直すな
どの根本的対策を取る必要がなくなることが期待でき
る。
【0045】つぎに、上記のラボ試験で得られた結果を
確認するため、各種の化学組成の鋼材を用い、各種処理
条件で連続溶融亜鉛めっきラインにて製造試験を行っ
た。めっき目付量は1.6mm両面50g/m2 とし
た。
【0046】機械特性のばらつきを確認するためコイル
先端部(以下、Tと略記する)、中央部(同、M)、後
端部(同、B)からサンプルを採取し機械特性を調査し
た。穴拡げ性は、打ち抜きクリアランス12%でφ10
mmの打ち抜き穴をあけ、60°円錐ポンチにより穴拡
げ成形を行い、穴縁に割れが発生するまでの限界拡がり
率を測定した。
【0047】めっきの品質については、めっきラインで
の走行状態でコイル表面の不めっきの有無を目視観察し
た。さらに製品をφ90mmで円筒絞りした後、外面側
にセロハンテープを張り付け、テープ剥離した後のテー
プ表面を観察し耐パウダリング性を調査した。
【0048】表1に試験に用いた各種鋼板の化学組成を
示す。表2に熱延巻取温度、冷延圧下率(冷圧率)、焼
鈍処理条件等の製造条件および機械試験の結果を示す。
合金化処理をした場合の処理温度はすべてのケースで5
30℃とした。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表2に示すように、A2、A4、A6の鋼
種において、化学組成は本発明範囲内であるが、コイル
全長でみれば均熱温度はAc3変態点よりも低い温度で焼
鈍を行っており、かつ均熱温度が少し変化しただけでY
S、TSおよびElのコイル内ばらつきが大きく、不安
定になる傾向が見られた。
【0052】一方、鋼種A1、A3、A5、A7、A
8、A9においては、コイル全長にわたりAc3変態点以
上の均熱温度で焼鈍を行っているためT、M、Bのコイ
ル各部位で温度が60℃程度変動しても、YS、TSお
よびElのばらつきは小さく、コイル全長にわたって安
定した機械特性が得られた。
【0053】また成分が本発明範囲外であるA10〜A
17の鋼種に関しては、それぞれ強度不足、不めっき発
生、パウダリング性不良、穴拡げ性不良、あるいは延性
不足があった。
【0054】つまり、化学組成および製造条件(連続溶
融亜鉛めっきでの均熱温度)が発明の条件範囲内にある
もののみコイル内ばらつきも小さく、特性も良好であっ
た。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば安価で強度と延性の特性
ばらつきの小さい高張力溶融めっき鋼板を製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】再結晶焼鈍時の均熱温度が機械特性に及ぼす影
響を示すグラフである。
【図2】再結晶焼鈍時の均熱温度を一定としたとき、均
熱時間が機械特性に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】合金化溶融めっき鋼板の製造の際の合金化温度
が機械特性に及ぼす影響を示すグラフである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA06 EA15 EA18 EA19 EA23 EA25 EA27 EA31 EA32 EB05 EB08 FE01 FE02 FE03 FG01 FJ05 FJ06 FM04 GA05 GA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学組成が重量%で、C:0.12〜
    0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.8〜
    2.0%、P:0.005〜0.050%、S:0.0
    005〜0.0100%、sol.Al:0.01〜
    0.10%、N:0.001〜0.008%を含み、T
    i:0.01〜0.10%、Nb:0.001〜0.0
    50%、V:0.01〜0.10%のうち1種または2
    種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からな
    る鋼材を熱間圧延後、400〜750℃で巻き取り熱延
    鋼板とし、酸洗後、40〜80%の圧下率で冷間圧延を
    行い、Ac3変態点以上のγ域にて再結晶焼鈍を行った
    後、溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする高張力
    溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 化学組成が重量%で、C:0.12〜
    0.20%、Si:0.50%以下、Mn:0.8〜
    2.0%、P:0.005〜0.050%、S:0.0
    005〜0.0100%、sol.Al:0.01〜
    0.10%、N:0.001〜0.008%を含み、T
    i:0.01〜0.10%、Nb:0.001〜0.0
    50%、V:0.01〜0.10%のうち1種または2
    種を以上含み、さらにB:0.0005〜0.0050
    %を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
    材を熱間圧延後、400〜750℃で巻き取り熱延鋼板
    とし、酸洗後、40〜80%の圧下率で冷間圧延を行
    い、Ac3変態点以上のγ域にて再結晶焼鈍を行った後、
    溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする高張力溶融
    亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶融亜鉛めっき処理に続いて合金化処理
    を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の高張
    力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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