JPH09124573A - N,n−ジアルキルヒドロキシルアミンの製造方法 - Google Patents

N,n−ジアルキルヒドロキシルアミンの製造方法

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JPH09124573A
JPH09124573A JP8119691A JP11969196A JPH09124573A JP H09124573 A JPH09124573 A JP H09124573A JP 8119691 A JP8119691 A JP 8119691A JP 11969196 A JP11969196 A JP 11969196A JP H09124573 A JPH09124573 A JP H09124573A
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ダブリュ. トーマス リチャード
D Pastor Stephen
デー. パストール ステフェン
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンを高
収率、高純度で製造できる方法の提供。 【解決手段】 式(II)の化合物とH22 水溶液とを
温度15〜50℃で反応して、対応するN−オキシドを
与え、その場で逆ミハエル反応をおこすことによる、式
(I)の化合物を製造する方法において、式(II)の化
合物を低級アルカノール溶媒に溶解しそして10〜70
%モル過剰のH22 水溶液で酸化させ、また、式
(I)の化合物を低級アルカノール反応媒体から沈殿さ
せる。 〔式中、R1およびR2は独立して炭素原子数8ないし3
6のアルキル基を表わし、Eは水素原子、炭素原子数1
ないし4のアルキル基等を表わし、Xはオキシカルボニ
ルメチル基、オキシカルボニル基、−CN等を表わし、
そしてTは水素原子またはオキシカルボニル基等を表わ
す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱、酸化または化
学線による劣化に対して特定の有機材料を安定化するた
めの長鎖N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】米国特許第4,590,231号にはフ
ェノール性酸化防止剤の如き補助安定化剤の存在下でポ
リオレフィン組成物のプロセス安定化剤として使用する
ヒドロキシルアミンの使用方法が記載されている。米国
特許第4,434,122号および第4,543,22
4号にはフェノール性アミドまたはエステルベースの酸
化防止剤を使用するアリーレンサルファイド(arylene
sulfaide)樹脂の安定化が記載されている。アリーレン
サルファイド重合体の安定化が長い間問題とされてきた
という証拠は、この樹脂の加工のために適当な安定化剤
を見つける多くの試みから明らかである。米国特許第
4,405,745号には亜硝酸アルカリ土類金属塩、
米国特許第4,411,853号にはジカルボン酸ジア
ルキル錫、米国特許第4,412,062号には亜リン
酸塩、フェノール性酸化防止剤およびチオフタルイミ
ド、米国特許第4,413,081号にはジヒドロカル
ビルジチオカルバミン酸VIII族金属塩、米国特許第4,
418,029号には脂肪酸のIIA族またはIIB族金属
塩、そして米国特許第4,478,969号にはアリー
レンサルファイド樹脂のための安定化剤としてアミノト
リアゾールを使用することが記載されている。米国特許
第3,432,578号にはジアリールヒドロキシルア
ミンまたはジアルアルキルヒドロキシルアミンを使用す
ることにより紫外光の悪影響に対して共役ジエン重合体
を安定化することが記載されている。米国特許第3,4
08,422号には種々のN,N−ジアルキルヒドロキ
シルアミンを使用する不飽和ポリエステル組成物の安定
化が記載されている。米国特許第3,644,244号
にはブタジエン/アクリロニトリルグラフト共重合体の
オルガノゾルのゲル化を防止するため安定化剤として
N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンを含むヒドロキ
シルアミンの使用が記載されている。米国特許第4,2
42,224号にはゴム産業において使用されるアミン
酸化防止剤およびオゾン化防止剤エマルジョンに見られ
るピンク着色を減少または遅延するためにN,N−ジア
ルキルヒドロキシルアミンを使用することが記載されて
いる。米国特許第4,316,996号は、ゴム産業に
おけるフェノール性酸化防止剤の変色を防止することが
できるN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン化合物に
関する。米国特許第4,547,532号は有機錫化合
物を含む重合体ベースのよごれ止めペイントの早過ぎる
粘度増加を防止するためにN,N−ジアルキルヒドロキ
シルアミンの使用に関する。米国特許第4,409,4
08号には、スチレンの如きビニル芳香族化合物の早過
ぎる重合に対する安定化においてN,N−ジアルキルヒ
ドロキシルアミンおよび第三アルキルカテコールを使用
することが開示されている。米国特許第3,222,3
34号および第3,341,487号には乳化重合のた
めの連鎖停止剤としてのN,N−ジアルキルヒドロキシ
ルアミンが開示されている。米国特許第4,298,6
78号には光酸化剤、ロイコ染料、置換されたヒドロキ
シルアミンおよび所望により重合性結着剤、例えば合成
ゴムを含む感光性組成物が開示されている。N,N−ジ
アルキルヒドロキシルアミンの一般的な製造方法につい
てのいくつかの報告、例えば、エス・ヴアウゾネク(S・
Wawzonck)等のオーガニック プレパレーションズ ア
ンド プロセジュアーズ アイエヌテー.(Organic Pr
eparations and Procedures Int.)第4(3)巻、13
5頁(1972年);およびジェー・エス・ロバーツの
コンプリヘンシブ オーガニック ケミストリー(Comp
rehensive Organic Chem.,サーデー・バートンとダブリ
ュー・デー オリス編6.4章、185頁(1979
年)が役に立つ。これ等の報告は両方ともオレフィンお
よび付随してヒドロキシルアミンを与えるアミン酸化物
の熱分解を含む簡単なコーペ(Cope)反応を指摘してい
る。ヴアウゾネク等は過酸化水素を使用して第二ジアル
キルアミンを直接酸化して対応するヒドロキシルアミン
を得ることを記載しているが、酸化し過ぎると収率の低
下や他の困難を伴うことを指摘している。英国特許第
1,134,851号には第三アミンを過酸化水素と反
応して水の存在下でN−オキサイドを形成し、共沸蒸留
により水を除去し、そして残留物を熱分解してオレフィ
ンとヒドロキシルアミンを形成するN,N−ジアルキル
アミンの製造方法が記載されている。エー・シー コー
ペ(A. C Cope )等の有機反応第11巻、第5章、31
7頁(1960年)にはアミンからのオレフィンの製造
方法、即ちホフマン分解反応およびアミン酸化物の熱分
解が記載されている。米国特許第3,274,252号
にはトリ(低級アルキル)アミンを過酸化水素でタング
ステン酸アルカリ金属塩触媒およびピロリン酸アルカリ
金属塩の存在下で水性酸化を行なって対応するアミンを
与え、次いで水性反応物を熱分解することにより対応す
るN,N−ジ(低級アルキル)ヒドロキシルアミンを与
える方法が記載されている。米国特許第3,709,9
42号には水性アルキルジメチルアミン酸化物を熱分解
してN,N−ジメチルヒドロキシルアミンを製造するこ
とが議論されている。米国特許第3,293,034号
には対応する第二アミンを水性過酸化水素で酸化して種
々のN,N−ジ(低級アルコキシアルキル)ヒドロキシ
ルアミンを製造することが記載されているが、反応の制
御が難しく、生成物も真空蒸留により僅かな収率でしか
単離されない。米国特許第3,467,711号には対
応する第二アミンをエチレンジアミン四酢酸の如き金属
イオン封鎖剤の存在下、水性過酸化水素で酸化して種々
のN,N−ジ(低級アルコキシアルキル)ヒドロキシル
アミンを製造する方法が記載されている。エム・エー・
テー ロジャース(M. A. T. Rogers )の化学会誌(J.
Chem. Soc. )1955年、第769頁には対応するβ
−ジアルキルアミノプロピオン酸エステルまたはニトリ
ルまたは選択されたマンニッヒ塩基のN−オキサイドを
アルカリ条件下で逆ミハエル反応によりN,N−ジアル
キルヒドロキシルアミンを製造することが記載されてい
る。該N−オキサイドは対応するβ−ジアルキルアミノ
化合物をモノペルフタル酸を使用して酸化することによ
り製造する。ロジャースは第三アミン酸化物を熱分解し
てN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンを与えること
も記載している。更にロジャースは第二アミンを過酸化
水素により直接酸化することは非常に不安定であり、こ
のことは過酸化水素の存在下で形成されるヒドロキシル
アミの強い還元性をみれば驚くにあたらないと指摘して
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱、酸化ま
たは化学線による劣化を受ける有機材料と、少なくとも
1種の次式(I)
【化7】 (式中、R1 およびR2 は独立して炭素原子数8ないし
36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物より
なり、該有機材料がポリ(アリーレンサルファイド)樹
脂、変性ポリスチレンまたはジエン成分を含む重合体で
あることを特徴とする組成物の発明に関連しているもの
である。本発明は、上記式(I)で表わされるN,N−
ジアルキルヒドロキシルアミンの改良された製造方法を
提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、次式(I)
【化8】 (式中、R1 およびR2 は独立して炭素原子数8ないし
36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物を次
式(II)
【化9】 〔式中、R1 およびR2 は上記で定義された意味を表わ
し、Eは水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基
または(炭素原子数1ないし12のアルキル)オキシカ
ルボニルメチル基を表わし、Xは(炭素原子数1ないし
12のアルキル)オキシカルボニル基、−CN、−CO
NR34 (式中、R3 およびR4 は独立して水素原子
または炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わ
す。)、
【化10】 または−PO(OC252 を表わし、そしてTが水
素原子または(炭素原子数1ないし12のアルキル)オ
キシカルボニル基を表わすか、あるいは、TとXは一緒
になって−CO−N(L)−CO−(式中、Lが水素原
子、炭素原子数1ないし4のアルキル基またはフェニル
基を表わす。)を表わす。〕で表わされる化合物と過酸
化水素水溶液とを温度15℃ないし50℃で反応させ
て、対応する次式(III)
【化11】 で表わされるN−オキサイドを与え、該化合物はその場
での逆ミハエル反応を経て式(I)で表わされる化合物
と次式(IV) TCH=C(E)(X) (IV) で表わされる化合物を与えて製造する製造方法であっ
て、前記式(II)で表わされる化合物を低級アルカノー
ル溶媒に溶解しそして10ないし70%モル過剰の過酸
化水素水溶液で酸化すること、および、式(I)で表わ
される化合物を水性低級アルカノール反応媒体から沈澱
することを特徴とする前記式(I)の化合物の製造方法
に関する。
【0005】また、本発明は、次式(V)
【化12】 (式中、R1 およびR2 は独立して炭素原子数8ないし
36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物を過
酸化水素溶液で40℃ないし65℃において酸化するこ
とにより次式(I)
【化13】 (式中、R1 およびR2 は上記と同じ意味を表わす。)
で表わされる化合物を製造する方法であって、前記式
(V)で表わされる化合物を低級アルカノール溶媒に溶
解しそして10ないし70%モル過剰の過酸化水素水溶
液で酸化すること、および、前記式(I)で表わされる
化合物を水性低級アルカノール反応媒体から沈澱させる
ことを特徴とする前記式(I)で表わされる化合物の製
造方法にも関する。
【0006】
【発明の実施の形態】好ましい式(I)で表わされる化
合物は、R1 およびR2 が独立して炭素原子数10ない
し30のアルキル基、特に炭素原子数12ないし18の
アルキル基、就中、炭素原子数14ないし18のアルキ
ル基を表わすものである。R1 およびR2 の例として
は、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヘ
プタデシル基またはオクタデシル基が挙げられる。R1
およびR2 がそれぞれドデシル基、テトラデシル基、ヘ
キサデシル基またはオクタデシル基を表わす式(I)で
表わされる化合物もまた好ましい。R1 がヘキサデシル
基を表わし、そしてR2 がテトラデシル基、ヘプタデシ
ル基またはオクタデシル基を表わす式(I)で表わされ
る化合物には、興味が持たれる。R1 がヘプタデシル基
を表わしそしてR2 がオクタデシル基を表わす式(I)
で表わされる化合物にも、興味が持たれる。R1 および
2 がオクタデシル基を表わす式(I)で表わされる化
合物が特に興味深い。他の好適な態様によればR1 およ
びR2 はジ(水素添加牛脂)アミンに見られるアルキル
混合基を表わす。典型的なジ(水素添加牛脂)アミンは
下記アルキル置換基の分布を有する: 動物を源とするジ(水素添加牛脂)アミンはアルキル置
換基の特定の分布が多少変わるかも知れないが、しかし
該ジ(水素添加牛脂)アミンは多量のN,N−ジヘキサ
デシルアミン、N,N−ジオクタデシルアミンおよびN
−ヘキサデシル−N−オクタデシルアミンを含んでいる
ことは明らかである。混合物の個々の成分は高真空下で
の蒸留により分離することができる。しかしながら、本
発明の目的に対し、この様な分離を行なう必要はなく、
そしてジ(水素添加牛脂)アミンから製造したヒドロキ
シルアミンは好ましい態様を示す。式(I)で表わされ
るヒドロキシルアミンはポリ(アリーレンサルファイ
ド)樹脂、変性ポリスチレンおよびジエン成分を含む重
合体に対する優れたプロセス安定化剤である。一般的
に、安定化すべき材料に対して式(I)で表わされる化
合物を0.05ないし5重量%、好ましくは0.10な
いし2重量%添加するのが有利である。式(I)で表わ
されるヒドロキシルアミンは重合後安定化すべき材料中
に都合良く配合される。該組成物に使用されるポリ(ア
リーレンサルファイド)樹脂は通常繊維または膜に成形
することのできる高分子重合体である。本発明に有益な
アリーレンサルファイド重合体は少なくとも約20g/
10分、そして一般的には約50ないし約400g/1
0分の範囲およびそれ以上のメルトフローインデックス
(ASTM D 1238−70法により測定、温度を
316℃に変え、5Kg重を使用)を有するものを包含す
る。従って、アリーレンサルファイド重合体は直鎖状、
分岐状または僅かな架橋状とすることができる。これ等
の重合体を製造する方法は重要ではないけれども、ポリ
ハロ芳香族化合物、硫酸アルカリ金属塩および有機アミ
ドを使用して製造したものが好ましい。好ましいアリー
レンサルファイド重合体は、ポリ(p−フェニレンサル
ファイド)である。加工装置中での重合体滞留時間を短
縮したり、生産性を高めるために高い加工温度を使用す
るが故に、プロセス安定化剤は、所望でない架橋、ゲル
化、鎖の延長または熱−酸化劣化の徴候となる重合体粘
度の変化を防止するために添加される。既に上述した様
に、式(I)で表わされるヒドロキシルアミンは、30
0℃ないし425℃の加温で都合良く加工されるポリ
(アリーレンサルファイド)に対する優れたプロセス安
定化剤である。該組成物に使用される変性ポリスチレン
は耐衝撃性ポリエチレンが好ましい。本発明組成物のジ
エン成分を含む重合体はジエン化合物を重合して得られ
た重合体またはジエン化合物と他のモノマーをグラフト
またはブロック共重合することを含む共重合により得ら
れた重合体である。これ等の組成物は、ジエン成分を含
む重合体がエラストマー、例えばポリブタジエン、ポリ
イソプレン、エチレン/プロピレン/ジエン三元共重合
体、イソプレン/イソブチレン共重合体またはアクリロ
ニトリル/ブタジエン共重合体であるものが好ましい。
低シス含量のポリブタジエン、例えば、ファイアースト
ーン社から登録商標ジエン(Diene )55として利用可
能なポリブタジエンが好ましい。ジエン成分を含む重合
体がスチレン共重合体、スチレンブロック共重合体また
はスチレン三元重合体である組成物もまた好ましい。こ
れ等ジエン成分の例としてスチレン/ブタジエン共重合
体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン
/イソプレン共重合体、スチレン/イソプレンブロック
共重合体またはアクリロニトリル/ブタジエン/スチレ
ン(ABS)が挙げられる。該スチレンブロック共重合
体は、例えば熱可塑性エラストマー、特にスチレン/ブ
タジエンブロック共重合体またはスチレン/イソブチレ
ンブロック共重合体、例えばシェル社の登録商標クラト
ン(Kraton)として利用されているものであり得る。該
スチレンブロック共重合体は、樹脂、例えばフィリップ
社からの登録商標K−レジンとして利用可能なスチレン
/ブタジエンブロック共重合体であり得る。スチレン/
ブタジェン共重合体、例えばファイヤーストーン社から
の登録商標ステレオン(Stereon )として利用されてい
るものもまた好ましい。ジエン成分を含む重合体の高温
高剪断加工の間、前記ポリマーは、不必要なゲル粒子の
形成に直面する酸化的架橋を受け易い。これ等のゲル粒
子は、ポリスチレン、ポリオレフィンおよびその他の樹
脂の如き熱可塑性プラスチックを耐衝撃力を高めるため
に変性するのに使用されるエラストマーにとって、特に
有害である。ゲル粒子は重合体の透明度を下げ、仕上げ
品において“フィッシュアイ”に導く。一般的に高温加
工の間これ等重合体のゲル形成を防除するためにフェノ
ール性酸化防止剤と亜リン酸塩の配合物が使用されてい
る。欧州特許出願第79,806号にはフェノール性酸
化防止剤と硫黄含有相乗剤とを使用してこの様な重合体
を安定化することが記載されている。こうしたフェノー
ル性酸化防止剤はゲル形成を抑制するものの、安定化さ
れたエラストマーは紫外線およびガンマ線に暴露すると
着色し易い。この様な系には高水準の亜リン酸塩を使用
しなければならないため、比較的不安定な亜リン酸塩が
しばしば高温加工中に“黒い斑点(blackspecks)”の
形成に導く。紫外線およびガンマ線照射に対して不安定
なフェノール性酸化防止剤は、ゲル形成に対する抑制力
が小さい。該フェノール性酸化防止剤および総てのまた
は一部の亜リン酸塩を、変性ポリスチレンまたはジエン
成分を含む重合体を基礎として0.05ないし1.0重
量%、好ましくは0.1ないし0.25重量%の式
(I)で表わされる長鎖N,N−ジアルキルヒドロキシ
ルアミンで置換えた場合、ゲル形成の抑制および着色の
防止の双方が達成される。重合体を基礎として亜リン酸
塩を0ないし1.0重量%併用するのが好ましい。好ま
しい亜リン酸塩は、トリス〔ノニルフェニル〕ホスファ
イトまたはトリス〔2,4−ジ−第三ブチルフェニル〕
ホスファイトである。本発明は熱、酸化または化学線に
よる劣化に対してポリ(アリーレンサルファイド)樹
脂、変性ポリスチレンまたはジエン成分を含む重合体を
安定化するための式(I)で表わされる化合物の使用方
法にも関する。該組成物は、米国特許第4,298,6
78号に記載されている様なヒドロキシルアミンを含む
感光性組成物を包含しない。
【0007】本発明は、次式(I)
【化14】 (式中、R1 およびR2 は独立して炭素原子数8ないし
36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物を次
式(II)
【化15】 〔式中、R1 およびR2 は上記で定義された意味を表わ
し、Eは水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基
または(炭素原子数1ないし12のアルキル)オキシカ
ルボニルメチル基を表わし、Xは(炭素原子数1ないし
12のアルキル)オキシカルボニル基、−CN、−CO
NR34 (式中、R3 およびR4 は独立して水素原子
または炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わ
す。)、
【化16】 または−PO(OC252 を表わし、そしてTが水
素原子または(炭素原子数1ないし12のアルキル)オ
キシカルボニル基を表わすか、あるいは、TとXは一緒
になって−CO−N(L)−CO−(式中、Lが水素原
子、炭素原子数1ないし4のアルキル基またはフェニル
基を表わす。)を表わす。〕で表わされる化合物と過酸
化水素水溶液とを温度15℃ないし50℃で反応させ
て、対応する次式(III)
【化17】 で表わされるN−オキサイドを与え、該化合物はその場
での逆ミハエル反応を経て式(I)で表わされる化合物
と次式(IV) TCH=C(E)(X) (IV) で表わされる化合物を与えて製造する製造方法におい
て、前記式(II)で表わされる化合物を低級アルカノー
ル溶媒に溶解しそして10ないし70%モル過剰の過酸
化水素水溶液で酸化すること、および、式(I)で表わ
される化合物を水性低級アルカノール反応媒体から沈澱
することを特徴とするものである。式(II)で表わされ
る出発化合物は加熱影響下で第二ジアルキルアミンのア
ルファ,ベータ−不飽和化合物へのミハエル付加反応に
より都合良く製造される。ジアルキルアミンおよびアル
ファ,ベータ−不飽和化合物は多くは市販されており、
また公知の方法により製造することもできる。基T,E
およびXの意味は出発ミハエル付加物質を製造するため
に使用するアルファ,ベータ−不飽和化合物の性質に依
存する。アルファ,ベータ−不飽和化合物がアクリレー
ト、メタアクリレートまたは関連するエステルの場合に
は、Eは水素原子または炭素原子数1ないし4のアルキ
ル基、好ましくはメチル基を表わし、Tは水素原子を表
わし、Xは(炭素原子数1ないし12のアルキル)オキ
シカルボニル基を表わす。EおよびTがそれぞれ水素原
子を表わし、Xが(炭素原子数1ないし8のアルキル)
オキシカルボニル基を表わすアクリレートが、好ましい
アルファ,ベータ−不飽和化合物である。アルファ,ベ
ータ−不飽和化合物がイタコネートである場合には、T
は水素原子を表わし、Eは(炭素原子数1ないし12の
アルキル)オキシカルボニルメチル基を表わし、そして
Xは(炭素原子数1ないし12のアルキル)オキシカル
ボニル基を表わす。アルファ,ベータ−不飽和化合物が
アクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルである場
合には、Tは水素原子を表わし、Eは水素原子またはメ
チル基を表わし、そしてXは−CNを表わす。アルフ
ァ,ベータ−不飽和化合物がアクリルアミドまたはメタ
アクリルアミドである場合には、Tは水素原子を表わ
し、Eは水素原子またはメチル基を表わし、そしてXは
−CONR34 (式中、R3 およびR4 は独立して水
素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基、好ま
しくはメチル基を表わす。)を表わす。アルファ,ベー
タ−不飽和化合物がビニルホスホン酸ジエチルである場
合には、Tは水素原子を表わし、Eは水素原子を表わ
し、そしてXは−PO(OC252 を表わす。アル
ファ,ベータ−不飽和化合物がフェニルビニルスルホン
である場合にはTは水素原子を表わし、Eは水素原子を
表わし、そしてXは
【化18】 を表わす。アルファ,ベータ−不飽和化合物がマレエー
トまたはフマレート、好ましくはマレエートである場合
には、Eは水素原子を表わし、そしてTおよびXは(炭
素原子数1ないし12のアルキル)オキシカルボニル基
を表わす。アルファ,ベータ−化合物がマレイミドであ
る場合には、Eは水素原子を表わし、そしてTおよびX
は一緒になって−CO−N(L)−CO−(式中、Lは
水素原子、フェニル基または炭素原子数1ないし4のア
ルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基また
はブチル基を表わす。)を表わす。(炭素原子数1ない
し12のアルキル)オキシカルボニルメチル基の例とし
ては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニ
ルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、n−ア
ミルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカ
ルボニルメチル基、デシルオキシカルボニルメチル基ま
たはドデシルオキシカルボニルメチル基が挙げられる。
(炭素原子数1ないし8のアルキル)オキシカルボニル
メチル基が好ましい。(炭素原子数1ないし12のアル
キル)オキシカルボニル基の例としては、メトキシカル
ボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボ
ニル基、n−アミルオキシカルボニル基、2−エチルヘ
キシルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基
またはドデシルオキシカルボニル基が挙げられる。(炭
素原子数1ないし8のアルキル)オキシカルボニル基が
好ましい。該方法は、温度15℃ないし50℃、好まし
くは室温、最も好ましくは23℃ないし25℃といった
温和な条件下で実施される。該方法における酸化剤は、
水性10ないし70%過酸化水素、好ましくは50ない
し70%の過酸化水素水溶液である。1モル過剰の過酸
化水素、例えば、式(II)で表わされる化合物に対して
3倍モル過剰までがミハエル付加生成物をN−オキサイ
ドの過剰酸化のおそれなく対応するN−オキサイドに確
実かつ完全に変化させるために使用される。改良された
方法を集約する本発明の鍵となる観点には逆ミハエル付
加が起る際の酸化段階の間に形成されるN−オキサイド
およびこれから形成されるN,N−ジアルキルヒドロキ
シルアミンの相対的な溶解度が含まれる。適当な反応媒
体を選ぶことにより、ミハエル付加の出発物質(即ち、
置換されたエチルアミン)およびその対応するN−オキ
サイドは、反応媒体に溶解性となる。しかしながら、そ
の場所でN−オキサイド中間体との逆ミハエル反応が起
る際には、対応する長鎖N,N−ジアルキルヒドロキシ
ルアミンは反応媒体に不溶性となり、反応媒体から沈澱
が始まる。この所望の生成物の沈澱は、該生成物を不必
要な過剰酸化問題から保護するばかりでなく、その単離
および精製を容易にする。式(I)で表わされるN,N
−ジアルキルヒドロキシルアミンは単に反応混合物を濾
過することにより高収率および高純度で得られる。必要
とあらば再結晶化によりより一層の精製を実施すること
ができる。この様に反応媒体の選択が改良された該生成
物を達成することにとって重要であることは明らかであ
る。重要な基準は反応媒体中における式(II)で表わさ
れる化合物およびそれに対応するN−オキサイドの溶解
性および同じ反応媒体中における対応するN,N−ジア
ルキルヒドロキシルアミンの相伴う不溶性にある。どん
なアルファ,ベータ−不飽和化合物が該エチルアミン出
発材料を製造するために最初に使用されたかに依存して
反応媒体の選択に多少の小変更があることは明らかであ
ろう。過酸化水素水溶液が酸化剤として使用され、ま
た、最初から水が酸化の副生成物と同様に存在する故、
少なくともいくらかの水混和性または水溶性を有する溶
媒が望ましい。低級アルコール、例えばメタノール、エ
タノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−
ブタノール、イソブタノール、第二ブタノールおよび第
三ブタノールが反応媒体溶媒として選ばれる。最も好ま
しい該溶媒はn−ブタノールである。加えてブチルアル
コール、特にn−ブタノールは式(II)で表わされる化
合物の酸化を行なうために必要な水混和性と、反応混合
物の水性相および有機溶媒相との間の相分離を都合良く
行なうこととの間に独自の平衝を提供する。この相分離
は出発材料の再利用を可能とし、この出発物質は反応濾
液から回収することができる。この独自の二相系は、使
用した過酸化水素および水の安全な除去を可能とする。
次いでアミンのn−ブタノール溶液は新しく過酸化水素
を添加使用して再利用される。
【0008】本発明のもう一つの課題は、更に改良され
た式(I)で表わされる化合物の製造方法を提供するこ
とにある。従って、本発明は、次式(V)
【化19】 (式中、R1 およびR2 は独立して炭素原子数8ないし
36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物を過
酸化水素水溶液で40℃ないし65℃において酸化する
ことにより、次式(I)
【化20】 (式中、R1 およびR2 は上記と同じ意味を表わす。)
で表わされる化合物を製造する方法であって、前記式
(V)で表わされる化合物を低級アルカノール溶媒に溶
解し、そして10ないし70%モル過剰の過酸化水素水
溶液で酸化すること、および、前記式(I)で表わされ
る化合物を水性低級アルカノール反応媒体から沈澱させ
ることを特徴とする前記式(I)で表わされる化合物の
製造方法にも関する。該方法は温度40℃ないし65
℃、好ましくは50℃ないし60℃の温和な条件下で実
施される。該方法における酸化剤は、10ないし70%
水性過酸化水素、好ましくは50ないし70%過酸化水
素水溶液である。1モル過剰の過酸化水素、例えば式
(V)で表わされる化合物に対して3倍モルまで過剰
が、生成物の過剰酸化のおそれなく、第二アミンを対応
するN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンに確実かつ
完全に変換するために使用される。改良された方法を集
約する本発明の鍵となる観点には形成されたN,N−ジ
アルキルヒドロキシルアミンの過剰酸化を防止する簡単
な方法が含まれる。この過剰酸化の防止は、酸化反応が
水性低級アルカノール反応媒体で実施された際の出発第
二ジアルキルアミンと反応の間に形成された生成物との
相対的溶解度に起因してなされる。第二ジアルキルアミ
ンは反応媒体に可溶であるが、形成された長鎖N,N−
ジアルキルヒドロキシルアミンは反応媒体に不溶性であ
って、それが形成されると反応媒体から沈澱する。この
所望の生成物の沈澱は該生成物を不要な過剰酸化の問題
から保護するばかりでなく、生成物の単離および精製を
容易にする。該N,N−ジアルキルヒドロキシルアミン
は単に反応混合物の濾過により高収率かつ高純度で得ら
れる。必要とあらば再結晶化により、より一層の精製を
実施することができる。この様に反応媒体の選択は改良
された該方法を達成するために重要であることは明らか
である。この重要な基準は反応媒体における長鎖第二ジ
アルキルアミンの溶解性および同じ反応媒体における対
応するN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンの相伴う
不溶性にある。どんな特定の長鎖ジアルキルアミンが使
用されたかに依存して反応媒体の選択に多少の小変更が
あることは明らかであろう。過酸化水素水溶液が酸化剤
として使用され、また、最初から水が酸化の副生成物と
同様に存在する故、少なくともいくらかの水混和性また
は水溶性を有する溶媒が望ましい。低級アルコール、例
えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二
ブタノールおよび第三ブタノールが反応媒体溶媒として
選ばれる。最も好ましい該溶媒はn−ブタノールおよび
第三ブタノールである。加えてブチルアルコール、特に
n−ブタノールは式(II)で表わされる化合物の酸化を
行なうために必要な水混和性と、反応混合物の水性相お
よび有機溶媒相との間の相分離を都合良く行なうことと
の間に独自の平衝を提供する。この相分離は出発材料の
再利用を可能とし、この出発材料は反応濾液から回収す
ることができる。その出発材料は多くは市販されてお
り、また公知の方法により製造することもできる。
【0009】
【実施例】例1 :メチル−3〔ジ(水素添加牛脂)アミノ〕プロピ
オネート 49.4g(0.1モル)のジ(水素添加牛脂)アミン
(当量:494g/モル)および9ml(0.1モル)
のアクリル酸メチルの混合物を加熱して還流した。薄層
クロマトグラフィー(TLC)分析により出発アミンの
完全な消失により測定して付加反応が完結した時点で混
合物を冷却した。揮発分を真空中で除去し標題の生成物
の54.4g(94%収率)を黄色油状物質として得
た。 IR(塩化メチレン)Vc=o 1735cm-1。 分析: C3877NO2 としての計算値:C,78.7;H,13.4;N,2.4 実測値:C,78.8;H,13.4;N,2.4 例2 :N,N−ジ(水素添加牛脂)ヒドロキシルアミン 例1の生成物29g(0.05モル)の200mlイソ
プロパノール溶液に2.4ml(0.063モル)の7
0%過酸化水素溶液を加えた。23ないし25℃で1時
間攪拌した後に、更に1.2ml(0.031モル)の
70%過酸化水素溶液を加えた。更に1時間23ないし
25℃で攪拌した後、更にまた1.2ml(0.031
モル)の70%過酸化水素溶液を加えた。合計18時間
23ないし25℃で攪拌した後、生成物を濾過により単
離し、そしてイソプロパノールで洗浄して20.9g
(82%収率)の88ないし90℃で溶解する白色固体
を得た。生成物(19g)を300mlのイソプロパノ
ールから再結晶化し、13.1g(69%の回収率)の
標題の生成物を93ないし95℃で溶融する白色固体と
して得た。 分析: C3471NOに対する計算値:C,80.1;H,14.0;N,2.8 実測値:C,80.0;H,14.3;N,2.9 例3 :2−エチルヘキシル3−〔ジ(水素添加牛脂)ア
ミノ〕プロピオネート 例1の一般的な手順に従い、52.2g(0.105モ
ル)のジ(水素添加牛脂)アミン(当量:494g/モ
ル)および18.4g(0.1モル)の2−エチルヘキ
シルアクリレートを反応させた。反応生成物を、シリカ
ゲル上のヘキサンおよび酢酸エチル溶媒を使用した高圧
液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製し、標
題の生成物40.6g(60%収率)を無色油状物質と
して与えた。 IR(塩化メチレン)Vc=o 1735cm-1 例4 :N,N−ジ(水素添加牛脂)ヒドロキシルアミン 例2の一般的な手順を用いて、125mlのイソプロパ
ノール中の例3の生成物29.7g(0.044モル)
を2.5ml(0.065モル)の70%水性過酸化水
素を用いて酸化し、標題の生成物16.3g(73%収
率)93ないし96℃で溶融する白色固体として得た。
ヘキサンおよび酢酸エチル溶媒を使用した濾液のHPL
C精製により、4.4g(48%収率)のアクリル酸2
−エチルヘキシルを回収した。例5 :メチル3−(ジドデシルアミノ)プロピオネート 例1の一般的手順に従い、75g(0.21モル)のジ
ドデシルアミンおよび19.1ml(0.21モル)の
メチルアクリレートを反応し、92.6g(定量的収
量)の標題の生成物を黄色油状物質として与えた。この
油状物質(5.0g)をシリカゲル上のヘキサンおよび
酢酸エチル溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーによ
り精製し、4.9g(98%回収率)の無色油状物質を
与えた。 分析: C2857NO2 に対する計算値:C,76.5;H,13.1;N,3.2 実測値:C,76.6;H,13.0;N,3.1 例6 :N,N−ジドデシルヒドロキシルアミン 例2の一般的な手順を使用し、800mlのイソプロパ
ノール中の例5の生成物87.6g(0.2モル)を
9.7ml(0.25モル)の70%過酸化水素溶液を
用いて酸化し、32.1g(44%収率)の標題の生成
物を85ないし86℃で溶融する白色固体として与え
た。分析 : C2451NOに対する計算値:C,78.0;H,13.9;N,3.8 実測値:C,78.4;H,13.5;N,3.7 例7 :メチル3(ジテトラデシルアミノ)プロピオネー
ト 例1の一般的な手順に従い、50.4g(0.123モ
ル)のジテトラデシルアミンと11.1ml(0.12
3モル)のアクリル酸メチルを反応して62.6g(定
量的収量)の標題の生成物を黄色油状物質として与え
た。この油状物質(5.0g)をシリカゲル上のヘキサ
ンおよび酢酸エチル溶媒を用いたカラムクロマトグラフ
ィーにより精製し、4.9gの無色油状物質を与えた。 分析: C3865NO2 に対する計算値:C,77.5;H,13.2;N,2.8 実測値:C,77.8;H,13.4;N,3.0 例8 :N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン 例2の一般的な手順を用いて、イソプロパノール450
ml中の実施例7の生成物57.5g(0.116モ
ル)を5.6ml(0.15モル)の70%過酸化水素
水溶液を用いて酸化し、21.5g(44%収率)の標
題の生成物を94ないし96℃で溶融する白色固体とし
て与えた。分析 : C2859NOに対する計算値:C,79.0;H,14.0;N,3.3 実測値:C,79.2;H,14.0;N,3.2 例9 :N,N−ジ(水素添加牛脂)ヒドロキシルアミン n−ブタノール溶液400ml中のジ(水素添加牛脂)
アミン(当量:494g/モル、90%第二アミン)1
00g(0.18モル)に55℃で8.6ml(0.2
2モル)の70%過酸化水素水溶液を加えた。ヨウ化カ
リウム/硫酸/チオ硫酸ナトリウムで反応混合物のアリ
コートを滴定して測定しながら総ての過酸化水素が消費
された時点で反応を完結した。標題の生成物を反応混合
物から濾過により単離した。濾過ケーキを50mlのn
−ブタノールで温度55℃で2回洗浄し、次いで乾燥す
ることにより、所望の生成物を63g(68%)の収量
で93ないし96℃で溶融する白色固体として与えた。例10 :N,N−ジ(水素添加牛脂)ヒドロキシルアミ
ン 例9の一般的手順に従い、52.6g(0.09モル)
のジ(水素添加牛脂)アミン(当量:526g/モル、
90%第二アミン)を55℃のn−ブタノール200m
lに溶解した溶液に5.3ml(0.14モル)の70
%過酸化水素水溶液を加えた。反応過程の間に0.5m
l(0.01モル)の70%過酸化水素水溶液をそれぞ
れ22,24および72時間後に3回にわたって加え
た。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(TLC)
(シリカゲル;クロロホルム/酢酸98/2)で追跡し
た。上記TLC分析で測定してすべての出発アミンが消
失した時点で反応を完結した。標題の生成物を反応混合
物から濾過により単離した。濾過ケーキを55℃のn−
ブタノール100mlで洗浄し、次いで室温のメタノー
ル200mlで2回洗浄し、所望の生成物を27.6g
(57%)の収量で98ないし100℃で溶融する白色
固体として与えた。例11 :N,N−ジ(水素添加牛脂)ヒドロキシルアミ
ン 例9の一般的な手順に従い、55℃でエタノール800
mlに懸濁した200g(0.36モル)のジ(水素添
加牛脂)アミン(当量:494g/モル、90%第二ア
ミン)溶液に29.4ml(0.77モル)の70%過
酸化水素水溶液を加えた。55℃で18時間の攪拌の後
に反応混合物を濾過し、湿った濾過ケーキを1000m
lのヘキサンから再結晶化した。再結晶化した物質を5
5℃のヘキサン500mlで洗浄した。すると標題の化
合物が123g(66%)の収量で90ないし93℃で
溶解する白色固体として得られた。例12 :N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン 100g(0.19モル)のジヘキサデシルアミン(当
量:451g/モル、88%第二アミン),30.2g
(0.44モル)の50%過酸化水素水溶液および40
0mlのエタノールを用いて例11の一般的な手順に従
った。48時間の攪拌の後に反応混合物を濾過し、50
0mlのクロロホルムから2回再結晶化して標題の化合
物を与えた。所望の生成物が29.4g(32%)の収
量で97ないし99℃で溶解する白色針状物質として得
られた。分析 : C3267NOに対する計算値:C,79.8;H,14.0;N,2.0 実測値:C,79.5;H,14.0;N,2.7 例13 :N,N−ジドデシルヒドロキシルアミン 例12の一般的手順に従い、40℃でn−プロパノール
200mlに溶解した50g(0.14モル)のジドデ
シルアミノ溶液に9.62g(0.14モル)の50%
過酸化水素水溶液を滴下した。40ないし45℃で72
時間後に反応混合物を濾過して粗生成物を与え、続い
て、300mlのヘキサンから再結晶化した。標題の化
合物が24.8g(48%)の収量で90ないし92℃
で溶解する白色針状物質として得られた。分析 : C2451NOに対する計算値:C,78.0;H,13.9;N,3.8 実測値:C,78.0;H,14.2;N,3.7 例14 :N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン 50℃ないし55℃で50g(0.12モル)のジテト
ラデシルアミン、200mlのn−プロパノールおよび
8.3g(0.12モル)の50%過酸化水素水溶液を
用いて例12の一般的手順に従った。標題の生成物が3
3.4g(64%)の収量で97ないし99℃で溶融す
る白色針状物質として得られた。例15 :本例は、対応するニトロンとなる過剰酸化を起
すことなしにジ(水素添加牛脂)アミンを酸化してN,
N−ジ(水素添加牛脂)ヒドロキシルアミンとするのに
役立つ種々の条件を示す。アルコール溶液中の25%重
量/容量のジ(水素添加牛脂)アミン(当量:494g
/モル,90%第二アミン)の懸濁液を、指示された当
量の過酸化水素水溶液および指示された温度で処理し
た。指示された時間の後、反応混合物を冷却し、そして
生成混合物を濾過により単離した。乾燥生成混合物の組
成をそのXL200 1H NMRスペクトルにより測
定した。結果を下記表に示す。
【表1】 * 検出限界は約5モル%であって、5モル%未満の値の 1H NMRスペクト ルで検出されない場合の成分に記した。例16 :N,N−ジ(水素添加牛脂)ヒドロキシルアミ
ン 54℃ないし55℃でn−ブタノール200ml中の4
9.5gのジ(水素添加牛脂)アミン(当量:494g
/モル;90%第二アミン;0.09モル)の温溶液中
に6.8g(0.1モル)の50%過酸化水素水溶液を
加えた。54ないし55℃で6時間後、反応物質を暖め
ながらフリットガラスの漏斗を通して濾過した。反応濾
液を冷却し、次いで400mlのメタノールで希釈し、
第二の収穫物を希釈濾液から集めた。最後に400ml
の水で反応濾液を希釈し第三の収穫物を集めた。3種の
濾過ケーキを別々に乾燥し、そして 1H NMRおよび
LCで分析した。分析結果を第2表に要約する。
【表2】 例17:ポリ(フェニレンサルファイド)の安定化 安定化されていないポリ(フェニレンサルファイド)
(登録商標リトン(Ryton )#62515、フィリップ
ス石油社)100重量部を試験添加物の指示された量と
ともにドライブレンドした。ポリ(フェニレンサルファ
イド)と添加剤とのブレンド50gを3分間325℃に
予備加熱されたブラベンダー プラスティコーダー(Br
abender Plasticorder)に加えた。このプラスティコー
ダーを325℃,60rpm でトルク範囲0ないし10N
mにて操作し、時間の関数としてのトルク増加を測定し
た。測定されたトルクが最小値上の1.5Nmの値に達
する時間を、望まれない架橋および相伴う重合体劣化が
始まるために必要な時間と見做した。結果を第3表に示
す。高い数字はポリ(フェニレンサルファイド)が熱的
劣化および架橋に必要とされる時間が減少することを示
す。従って、高い数字は良好なプロセス安定化を示す。
【表3】 *)例9のヒドロキシルアミン 例18 :ポリ(フェニレンサルファイド)の安定化 ブラベンダー プラスティコーダーを375℃で操作し
た以外は例17の一般的手順に従い、1重量%濃度の試
験添加剤がより一層きびしい高温条件下で熱的劣化およ
びポリ(フェニレンサルファイド)の架橋を防止する能
力を測定した。結果を第4表に示す。
【表4】 (高い値は良好なプロセス安定化を示す。) 例19 :スチレン/ブタジエン共重合体のプロセス安定
化 ブタジエン含量が約24%のスチレンとブタジエンとを
溶液重合した共重合体(登録商標K−レジン(K-Resi
n),フィリップス社)をブラベンダー プラスティコ
ーダー中で250℃で1分間混合した。この共重合体に
は、製造業者により添加剤として1重量%のトリス〔ノ
ニルフェニル〕ホスファイトが含まれている。安定化剤
N,N−ジ(水素添加牛脂)ヒドロキシルアミンを該ス
チレン/ブタジエン共重合体中に指示された重量濃度で
ドライブレンドした。このプラスティコーダーを90rp
m でトルク範囲1ないし10Nmの範囲にて操作し、時
間の関数としてのトルクの増加を測定した。測定された
トルクが最小値上の0.04Nm増加する時間を、架橋
が開始するまでに必要な時間と見做した。結果を第5表
に示す。
【表5】 (高い値は良好なプロセス安定化を示す。) 例20 :スチレン/ブタジエン共重合体のプロセス安定
化 例19に記載された一般的方法に従い、まず、安定化剤
添加剤を300mlのシクロヘキサン中の100gのス
チレン/ブタジエン共重合体(登録商標K−レジン,フ
ィリップ社)溶液中に配合し、完全に混合した。シクロ
ヘキサン溶媒を減圧下40℃で除去し、固体の安定化さ
れた樹脂を与え、次いで、例19に記載したブラベンダ
ー プラスティコーダー中で処理した。架橋が開始する
までに必要とされる時間を、例19と同様にして測定し
た。更に、各配合の試料をプラスティコーダーから安定
化剤添加剤が完全に混合されたら直ちに取り出した。こ
れ等の試料をプラークに変え、キセノン アーク ウエ
ザロメータに168時間又はガンマ線(Co604メガ
ラド暴露)に暴露した。各試料に対しハンターb値法で
測定された色を確定した。より高いb色値はより色が形
成されていることを示す。結果を第6表に示す。
【表6】 1) 高い値は良好なプロセス安定性を示す。 例21 :スチレン/ブタジエン共重合体のプロセス安定
化 例20に記載された手順を用い、かつ、標準として0.
5重量%のトリス〔ノニルフェニル〕ホスファイトを含
むスチレン/ブタジエン共重合体(登録商標K−レジ
ン,フィリップ社)の異なるバッチを使用し、一連の異
なる安定化剤の組合せにより安定化された重合体を用い
て架橋が開始するまでの時間およびキセノン アーク
ウエザロメータで168時間の暴露後および2.5メガ
ラドのガンマ線照射に暴露した後に生じた色を確定し
た。結果を第7表に示す。
【表7】 1) 高い値は良好なプロセス安定性を示す。 2) 高いb色値はより色が形成されていることを示す。例22 :ポリブタジエンに対するプロセス安定化 例20の一般的手順に従い、低シス含量の安定化されて
いないポリブタジエン(登録商標ジエン55,ファイア
ーストーン社)に指示された量のN,N−ジ(水素添加
牛脂)ヒドロキシルアミンを添加混合した。試料(3cm
×3cm×10mm)を該重合体から圧縮成形(100℃で
1分間)により調製した。試料を40メッシュの網上に
保持したトルエン不溶の材料の重量で測定してゲル含量
が15%に達するまで70℃の乾燥炉中に放置した。こ
の水準のゲルを得るために必要な時間を、日で測定し
た。結果を第8表に示す。
【表8】 更に190℃でのブラベンダー プラスティコーダー中
で架橋が開始するまでの時間を測定した。結果を第9表
に示す。
【表9】 前記ヒドロキシルアミンをポリブタジエンに添加するこ
とにより、架橋又はゲル化が起るまでに必要な時間が大
幅に増加した。
【0010】
【発明の効果】本発明により、式(I)で表わされる
N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンを高収率および
高純度で製造することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 〔式中、R およびR は独立して炭素原子数8な
いし36のアルキル基を表わし、Eは水素原子、炭素原
子数1ないし4のアルキル基または(炭素原子数1ない
し12のアルキル)オキシカルボニルメチル基を表わ
し、Xは(炭素原子数1ないし12のアルキル)オキシ
カルボニル基、−CN、−CONR(式中、R
およびR は独立して水素原子または炭素原子数
1ないし4のアルキル基を表わす。)、
【化2】 または−PO(OC を表わし、そしてT
は水素原子または(炭素原子数1ないし12のアルキ
ル)オキシカルボニル基を表わすか、あるいはTおよび
Xは一緒になって−CO−N(L)−CO−(式中、L
は水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基または
フェニル基を表わす。)を表わす。〕で表わされる化合
物と過酸化水素水溶液とを温度15℃ないし50℃で反
応させて、対応する次式(III)
【化3】 (式中、R ,R ,T,EおよびXは上記と同じ
意味を表わす。)で表わされるN−オキシドを与え、該
化合物はその場で逆ミハエル反応をおこすことにより、
次式(I)
【化4】 (式中、R およびR は上記と同じ意味を表わ
す。)で表わされる化合物と次式(IV) TCH=C(E)(X) (IV) (式中、T,E,Xは上記と同様の意味を表わす。)で
表わされる化合物とを与える式Iで表わされる化合物の
製造方法において、前記式(II)で表わされる化合物
を低級アルカノール溶媒に溶解してモル過剰の過酸化水
素10ないし70%水溶液で酸化させること、および、
前記式(I)で表わされる化合物を水性低級アルカノー
ル反応媒体から沈澱せしめることを特徴とする前記式
(I)で表わされる化合物の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【化5】 (式中、R およびR は独立して炭素原子数8な
いし36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物
を過酸化水素溶液で40℃ないし65℃の温度で酸化す
ることにより次式(I)
【化6】 (式中、RおよびR は上記と同じ意味を表わ
す。)で表わされる化合物を製造する方法において、該
式(V)で表わされる化合物を低級アルカノール溶媒に
溶解し、モル過剰の過酸化水素10ないし70%水溶液
で酸化すること、および、前記式Iで表わされる化合物
を水性低級アルカノール反応媒体から沈澱することを特
徴とする前記式(I)で表わされる化合物の製造方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、次式(I)
【化8】 (式中、R およびR は独立して炭素原子数8な
いし36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物
を次式(II)
【化9】 〔式中、R およびR は上記で定義された意味を
表わし、Eは水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキ
ル基または(炭素原子数1ないし12のアルキル)オキ
シカルボニルメチル基を表わし、Xは(炭素原子数1な
いし12のアルキル)オキシカルボニル基、−CN、−
CONR (式中、RおよびR は独立
して水素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基
を表わす。)、
【化10】 または−PO(OC を表わし、そしてT
が水素原子または(炭素原子数1ないし12のアルキ
ル)オキシカルボニル基を表わすか、あるいは、TとX
は一緒になって−CO−N(L)−CO−(式中、Lが
水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基またはフ
ェニル基を表わす。)を表わす。〕で表わされる化合物
と過酸化水素水溶液とを温度15℃ないし50℃で反応
させて、対応する次式(III)
【化11】 で表わされるN−オキサイドを与え、該化合物はその場
での逆ミハエル反応を経て式(I)で表わされる化合物
と次式(IV) TCH=C(E)(X) (IV) で表わされる化合物を与えて製造する製造方法であっ
て、前記式(II)で表わされる化合物を低級アルカノ
ール溶媒に溶解しそしてモル過剰の過酸化水素10ない
し70%水溶液で酸化すること、および、式(I)で表
わされる化合物を水性低級アルカノール反応媒体から沈
澱することを特徴とする前記式(I)の化合物の製造方
法に関する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】また、本発明は、次式(V)
【化12】 (式中、R およびR は独立して炭素原子数8な
いし36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物
を過酸化水素溶液で40℃ないし65℃において酸化す
ることにより次式(I)
【化13】 (式中、R およびR は上記と同じ意味を表わ
す。)で表わされる化合物を製造する方法であって、前
記式(V)で表わされる化合物を低級アルカノール溶媒
に溶解しそしてモル過剰の過酸化水素10ないし70%
水溶液で酸化すること、および、前記式(I)で表わさ
れる化合物を水性低級アルカノール反応媒体から沈澱さ
せることを特徴とする前記式(I)で表わされる化合物
の製造方法にも関する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】本発明は、次式(I)
【化14】 (式中、R およびR は独立して炭素原子数8な
いし36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物
を次式(II)
【化15】 〔式中、R およびR は上記で定義された意味を
表わし、Eは水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキ
ル基または(炭素原子数1ないし12のアルキル)オキ
シカルボニルメチル基を表わし、Xは(炭素原子数1な
いし12のアルキル)オキシカルボニル基、−CN、−
CONR (式中、R およびR は独立
して水素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基
を表わす。)、
【化16】 または−PO(OC を表わし、そしてT
が水素原子または(炭素原子数1ないし12のアルキ
ル)オキシカルボニル基を表わすか、あるいは、TとX
は一緒になって−CO−N(L)−CO−(式中、Lが
水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基またはフ
ェニル基を表わす。)を表わす。〕で表わされる化合物
と過酸化水素水溶液とを温度15℃ないし50℃で反応
させて、対応する次式(III)
【化17】 で表わされるN−オキサイドを与え、該化合物はその場
での逆ミハエル反応を経て式(I)で表わされる化合物
と次式(IV) TCH=C(E)(X) (IV) で表わされる化合物を与えて製造する製造方法におい
て、前記式(II)で表わされる化合物を低級アルカノ
ール溶媒に溶解しそしてモル過剰の過酸化水素10ない
し70%水溶液で酸化すること、および、式(I)で表
わされる化合物を水性低級アルカノール反応媒体から沈
澱することを特徴とするものである。式(II)で表わ
される出発化合物は加熱影響下で第二ジアルキルアミン
のアルファ,ベーター不飽和化合物へのミハエル付加反
応により都合良く製造される。ジアルキルアミンおよび
アルファ,ベーター不飽和化合物は多くは市販されてお
り、また公知の方法により製造することもできる。基
T,EおよびXの意味は出発ミハエル付加物質を製造す
るために使用するアルファ,ベーター不飽和化合物の性
質に依存する。アルファ,ベーター不飽和化合物がアク
リレート、メタアクリレートまたは関連するエステルの
場合には、Eは水素原子または炭素原子数1ないし4の
アルキル基、好ましくはメチル基を表わし、Tは水素原
子を表わし、Xは(炭素原子数1ないし12のアルキ
ル)オキシカルボニル基を表わす。EおよびTがそれぞ
れ水素原子を表わし、Xが(炭素原子数1ないし8のア
ルキル)オキシカルボニル基を表わすアクリレートが、
好ましいアルファ,ベーター不飽和化合物である。アル
ファ,ベーター不飽和化合物がイタコネートである場合
には、Tは水素原子を表わし、Eは(炭素原子数1ない
し12のアルキル)オキシカルボニルメチル基を表わ
し、そしてXは(炭素原子数1ないし12のアルキル)
オキシカルボニル基を表わす。アルファ,ベーター不飽
和化合物がアクリロニトリルまたはメタアクリロニトリ
ルである場合には、Tは水素原子を表わし、Eは水素原
子またはメチル基を表わし、そしてXは−CNを表わ
す。アルファ,ベーター不飽和化合物がアクリルアミド
またはメタアクリルアミドである場合には、Tは水素原
子を表わし、Eは水素原子またはメチル基を表わし、そ
してXは−CONR (式中、R およびR
は独立して水素原子または炭素原子数1ないし4の
アルキル基、好ましくはメチル基を表わす。)を表わ
す。アルファ,ベーター不飽和化合物がビニルホスホン
酸ジエチルである場合には、Tは水素原子を表わし、E
は水素原子を表わし、そしてXは−PO(OC
を表わす。アルファ,ベーター不飽和化合物
がフェニルビニルスルホンである場合にはTは水素原子
を表わし、Eは水素原子を表わし、そしてXは
【化18】 を表わす。アルファ,ベーター不飽和化合物がマレエー
トまたはフマレート、好ましくはマレエートである場合
には、Eは水素原子を表わし、そしてTおよびXは(炭
素原子数1ないし12のアルキル)オキシカルボニル基
を表わす。アルファ,ベーター化合物がマレイミドであ
る場合には、Eは水素原子を表わし、そしてTおよびX
は一緒になって−CO−N(L)−CO−(式中、Lは
水素原子、フェニル基または炭素原子数1ないし4のア
ルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基また
はブチル基を表わす。)を表わす。(炭素原子数1ない
し12のアルキル)オキシカルボニルメチル基の例とし
ては、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニ
ルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、n−ア
ミルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカ
ルボニルメチル基、デシルオキシカルボニルメチル基ま
たはドデシルオキシカルボニルメチル基が挙げられる。
(炭素原子数1ないし8のアルキル)オキシカルボニル
メチル基が好ましい。(炭素原子数1ないし12のアル
キル)オキシカルボニル基の例としては、メトキシカル
ボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボ
ニル基、n−アミルオキシカルボニル基、2−エチルヘ
キシルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基
またはドデシルオキシカルボニル基が挙げられる。(炭
素原子数1ないし8のアルキル)オキシカルボニル基が
好ましい。該方法は、温度15℃ないし50℃、好まし
くは室温、最も好ましくは23℃ないし25℃といった
温和な条件下で実施される。該方法における酸化剤は、
水性10ないし70%過酸化水素、好ましくは50ない
し70%の過酸化水素水溶液である。1モル過剰の過酸
化水素、例えば、式(II)で表わされる化合物に対し
て3倍モル過剰までがミハエル付加生成物をN−オキサ
イドの過剰酸化のおそれなく対応するN−オキサイドに
確実かつ完全に変化させるために使用される。改良され
た方法を集約する本発明の鍵となる観点には逆ミハエル
付加が起る際の酸化段階の間に形成されるN−オキサイ
ドおよびこれから形成されるN,N−ジアルキルヒドロ
キシルアミンの相対的な溶解度が含まれる。適当な反応
媒体を選ぶことにより、ミハエル付加の出発物質(即
ち、置換されたエチルアミン)およびその対応するN−
オキサイドは、反応媒体に溶解性となる。しかしなが
ら、その場所でN−オキサイド中間体との逆ミハエル反
応が起る際には、対応する長鎖N,N−ジアルキルヒド
ロキシルアミンは反応媒体に不溶性となり、反応媒体か
ら沈澱が始まる。この所望の生成物の沈澱は、該生成物
を不必要な過剰酸化問題から保護するばかりでなく、そ
の単離および精製を容易にする。式(I)で表わされる
N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンは単に反応混合
物を濾過することにより高収率および高純度で得られ
る。必要とあらば再結晶化によりより一層の精製を実施
することができる。この様に反応媒体の選択が改良され
た該生成物を達成することにとって重要であることは明
らかである。重要な基準は反応媒体中における式(I
I)で表わされる化合物およびそれに対応するN−オキ
サイドの溶解性および同じ反応媒体中における対応する
N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンの相伴う不溶性
にある。どんなアルファ,ベーター不飽和化合物が該エ
チルアミン出発材料を製造するために最初に使用された
かに依存して反応媒体の選択に多少の小変更があること
は明らかであろう。過酸化水素水溶液が酸化剤として使
用され、また、最初から水が酸化の副生成物と同様に存
在する故、少なくともいくらかの水混和性または水溶性
を有する溶媒が望ましい。低級アルコール、例えばメタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノ
ール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノー
ルおよび第三ブタノールが反応媒体溶媒として選ばれ
る。最も好ましい該溶媒はn−ブタノールである。加え
てブチルアルコール、特にn−ブタノールは式(II)
で表わされる化合物の酸化を行なうために必要な水混和
性と、反応混合物の水性相および有機溶媒相との間の相
分離を都合良く行なうこととの間に独自の平衝を提供す
る。この相分離は出発材料の再利用を可能とし、この出
発物質は反応濾液から回収することができる。この独自
の二相系は、使用した過酸化水素および水の安全な除去
を可能とする。次いでアミンのn−ブタノール溶液は新
しく過酸化水素を添加使用して再利用される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】本発明のもう一つの課題は、更に改良され
た式(I)で表わされる化合物の製造方法を提供するこ
とにある。従って、本発明は、次式(V)
【化19】 (式中、R およびR は独立して炭素原子数8な
いし36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物
を過酸化水素水溶液で40℃ないし65℃において酸化
することにより、次式(I)
【化20】 (式中、R およびR は上記と同じ意味を表わ
す。)で表わされる化合物を製造する方法であって、前
記式(V)で表わされる化合物を低級アルカノール溶媒
に溶解し、そしてモル過剰の過酸化水素10ないし70
%水溶液で酸化すること、および、前記式(I)で表わ
される化合物を水性低級アルカノール反応媒体から沈澱
させることを特徴とする前記式(I)で表わされる化合
物の製造方法にも関する。該方法は温度40℃ないし6
5℃、好ましくは50℃ないし60℃の温和な条件下で
実施される。該方法における酸化剤は、10ないし70
%水性過酸化水素、好ましくは50ないし70%過酸化
水素水溶液である。1モル過剰の過酸化水素、例えば式
(V)で表わされる化合物に対して3倍モルまで過剰
が、生成物の過剰酸化のおそれなく、第二アミンを対応
するN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンに確実かつ
完全に変換するために使用される。改良された方法を集
約する本発明の鍵となる観点には形成されたN,N−ジ
アルキルヒドロキシルアミンの過剰酸化を防止する簡単
な方法が含まれる。この過剰酸化の防止は、酸化反応が
水性低級アルカノール反応媒体で実施された際の出発第
二ジアルキルアミンと反応の間に形成された生成物との
相対的溶解度に起因してなされる。第二ジアルキルアミ
ンは反応媒体に可溶であるが、形成された長鎖N,N−
ジアルキルヒドロキシルアミンは反応媒体に不溶性であ
って、それが形成されると反応媒体から沈澱する。この
所望の生成物の沈澱は該生成物を不要な過剰酸化の問題
から保護するばかりでなく、生成物の単離および精製を
容易にする。該N,N−ジアルキルヒドロキシルアミン
は単に反応混合物の濾過により高収率かつ高純度で得ら
れる。必要とあらば再結晶化により、より一層の精製を
実施することができる。この様に反応媒体の選択は改良
された該方法を達成するために重要であることは明らか
である。この重要な基準は反応媒体における長鎖第二ジ
アルキルアミンの溶解性および同じ反応媒体における対
応するN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンの相伴う
不溶性にある。どんな特定の長鎖ジアルキルアミンが使
用されたかに依存して反応媒体の選択に多少の小変更が
あることは明らかであろう。過酸化水素水溶液が酸化剤
として使用され、また、最初から水が酸化の副生成物と
同様に存在する故、少なくともいくらかの水混和性また
は水溶性を有する溶媒が望ましい。低級アルコール、例
えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二
ブタノールおよび第三ブタノールが反応媒体溶媒として
選ばれる。最も好ましい該溶媒はn−ブタノールおよび
第三ブタノールである。加えてブチルアルコール、特に
n−ブタノールは式(II)で表わされる化合物の酸化
を行なうために必要な水混和性と、反応混合物の水性相
および有機溶媒相との間の相分離を都合良く行なうこと
との間に独自の平衝を提供する。この相分離は出発材料
の再利用を可能とし、この出発材料は反応濾液から回収
することができる。その出発材料は多くは市販されてお
り、また公知の方法により製造することもできる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51/04 LKX C08L 51/04 LKX 81/02 LRF 81/02 LRF C09K 15/20 C09K 15/20 (72)発明者 アンベラール アール ペイテル アメリカ合衆国 ,ニューヨーク 10502 ,アーズレイ ハントレイ ドライブ 114 (72)発明者 フランク ピー. コートラノ アメリカ合衆国 ,ニューヨーク 10595 ,バルハラ ,イースト メイプル ス トリート 3 (72)発明者 リチャード ダブリュ. トーマス アメリカ合衆国 ,ニュージャージー 07110 ,ナットレイ ,マウンテンビュ ー アベニュー 74 (72)発明者 ステフェン デー. パストール スイス国 4053 バーゼル ,ノイエンス タイネル ストラーセ 27 (72)発明者 ポール オドリジオ アメリカ合衆国 ,ニュージャージー 07020 ,エッジウォーター ,コロンビ ア テラス 31

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(II) 【化1】 〔式中、R1 およびR2 は独立して炭素原子数8ないし
    36のアルキル基を表わし、Eは水素原子、炭素原子数
    1ないし4のアルキル基または(炭素原子数1ないし1
    2のアルキル)オキシカルボニルメチル基を表わし、X
    は(炭素原子数1ないし12のアルキル)オキシカルボ
    ニル基、−CN、−CONR34 (式中、R3 および
    4 は独立して水素原子または炭素原子数1ないし4の
    アルキル基を表わす。)、 【化2】 または−PO(OC252 を表わし、そしてTは水
    素原子または(炭素原子数1ないし12のアルキル)オ
    キシカルボニル基を表わすか、あるいはTおよびXは一
    緒になって−CO−N(L)−CO−(式中、Lは水素
    原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基またはフェニ
    ル基を表わす。)を表わす。〕で表わされる化合物と過
    酸化水素水溶液とを温度15℃ないし50℃で反応させ
    て、対応する次式(III) 【化3】 (式中、R1 ,R2 ,T,EおよびXは上記と同じ意味
    を表わす。)で表わされるN−オキシドを与え、該化合
    物はその場で逆ミハエル反応をおこすことにより、次式
    (I) 【化4】 (式中、R1 およびR2 は上記と同じ意味を表わす。)
    で表わされる化合物と次式(IV) TCH=C(E)(X) (IV) (式中、T,E,Xは上記と同様の意味を表わす。)で
    表わされる化合物とを与える式Iで表わされる化合物の
    製造方法において、前記式(II)で表わされる化合物を
    低級アルカノール溶媒に溶解して10ないし70%モル
    過剰の過酸化水素水溶液で酸化させること、および、前
    記式(I)で表わされる化合物を水性低級アルカノール
    反応媒体から沈澱せしめることを特徴とする前記式
    (I)で表わされる化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 Tが水素原子を表わし、Eが水素原子を
    表わし、そしてXが(炭素原子数1ないし18のアルキ
    ル)オキシカルボニル基を表わす請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 室温で行なう請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 酸化剤として50ないし70%の過酸化
    水素水溶液を使用する請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 次式(V) 【化5】 (式中、R1 およびR2 は独立して炭素原子数8ないし
    36のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物を過
    酸化水素溶液で40℃ないし65℃の温度で酸化するこ
    とにより次式(I) 【化6】 (式中、R1 およびR2 は上記と同じ意味を表わす。)
    で表わされる化合物を製造する方法において、該式
    (V)で表わされる化合物を低級アルカノール溶媒に溶
    解し、10ないし70%モル過剰の過酸化水素水溶液で
    酸化すること、および、前記式Iで表わされる化合物を
    水性低級アルカノール反応媒体から沈澱することを特徴
    とする前記式(I)で表わされる化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 50℃ないし60℃で行なう請求項5記
    載の方法。
  7. 【請求項7】 酸化剤として50ないし70%の過酸化
    水素水溶液を使用する請求項5記載の方法。
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