JPH09123444A - 積層型インクジェット式記録ヘッド、及びこれの駆動方法 - Google Patents
積層型インクジェット式記録ヘッド、及びこれの駆動方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 共通のインク室の固有振動に起因する、駆動
周波数によるインク滴のインク量の変動を防止するこ
と。 【解決手段】 積層型インクジェット式記録ヘッドの最
高駆動周波数Ｆと、圧力発生室にインクを供給する共通
のインク室の固有振動の周期Ｔとの関係が、Ｆ／ｎ＜１
５／１６・Ｔ（Ａ）、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／ｎ
（Ｂ）（ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８）となるよ
うに相対的に設定して、共通のインク室のインクの流れ
がインク供給口側からインク導入口側に向かっていて、
かつその流速が大きな時期を避けてインクを吐出する。
周波数によるインク滴のインク量の変動を防止するこ
と。 【解決手段】 積層型インクジェット式記録ヘッドの最
高駆動周波数Ｆと、圧力発生室にインクを供給する共通
のインク室の固有振動の周期Ｔとの関係が、Ｆ／ｎ＜１
５／１６・Ｔ（Ａ）、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／ｎ
（Ｂ）（ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８）となるよ
うに相対的に設定して、共通のインク室のインクの流れ
がインク供給口側からインク導入口側に向かっていて、
かつその流速が大きな時期を避けてインクを吐出する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、第１の蓋体と、ス
ペーサと、インク供給口形成基板と、インク室形成基板
と、ノズルプレートとを接合してなる積層型インクジェ
ット式記録ヘッドに関する。
ペーサと、インク供給口形成基板と、インク室形成基板
と、ノズルプレートとを接合してなる積層型インクジェ
ット式記録ヘッドに関する。
【０００２】
【従来の技術】インクジェット式記録ヘッドは、記録媒
体上のドットをインク滴により構成する関係上、インク
滴のサイズを小さくすることにより極めて高い解像度で
の印刷が可能であるものの、効率よく印刷するためには
ノズル開口の数を多くする必要があり、圧電振動子をイ
ンク滴噴射源に使用する場合には、圧電振動子の小型化
が極めて重要な要件となる。
体上のドットをインク滴により構成する関係上、インク
滴のサイズを小さくすることにより極めて高い解像度で
の印刷が可能であるものの、効率よく印刷するためには
ノズル開口の数を多くする必要があり、圧電振動子をイ
ンク滴噴射源に使用する場合には、圧電振動子の小型化
が極めて重要な要件となる。
【０００３】しかしながら、インク滴を飛翔させるため
にはある程度の駆動力が必要で、圧電振動子の小型化に
も限度がある。このような制約の中で記録密度を向上さ
せるために、ノズル開口の列を複数設けるとともに、各
列のノズル開口が他の列の空間に位置するよう、いわゆ
る千鳥状に配置することが行われている。
にはある程度の駆動力が必要で、圧電振動子の小型化に
も限度がある。このような制約の中で記録密度を向上さ
せるために、ノズル開口の列を複数設けるとともに、各
列のノズル開口が他の列の空間に位置するよう、いわゆ
る千鳥状に配置することが行われている。
【０００４】このようにノズル開口を千鳥状に配列する
ことにより、９０ｄｐｉ乃至１８０ｄｐｉ程度まで記録
密度を向上することが可能となる。そしてノズル開口列
の列数を増やせば、３６０ｄｐｉ程度まで記録密度をさ
らに向上させることが理論上可能ではある。
ことにより、９０ｄｐｉ乃至１８０ｄｐｉ程度まで記録
密度を向上することが可能となる。そしてノズル開口列
の列数を増やせば、３６０ｄｐｉ程度まで記録密度をさ
らに向上させることが理論上可能ではある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、積層型
インクジェット式記録ヘッドは、セラミックスを基材に
用いて構成されている関係上、共通のインク室の剛性が
高く、また共振周波数も駆動周波数程度と高く、このた
め駆動周波数範囲の特定周波数でインク滴のインク量が
減少したり、吐出特性が不安定になるという問題を抱え
ている。
インクジェット式記録ヘッドは、セラミックスを基材に
用いて構成されている関係上、共通のインク室の剛性が
高く、また共振周波数も駆動周波数程度と高く、このた
め駆動周波数範囲の特定周波数でインク滴のインク量が
減少したり、吐出特性が不安定になるという問題を抱え
ている。
【０００６】このような問題を解消するため、共通のイ
ンク室に薄肉部を設けたり、また共通のインク室と圧力
発生室とを接続するインク供給口の流体抵抗を大きくす
るなどの方策も考えられるが、特別な加工を必要した
り、また駆動速度が低下する等の新たな問題を生じる。
ンク室に薄肉部を設けたり、また共通のインク室と圧力
発生室とを接続するインク供給口の流体抵抗を大きくす
るなどの方策も考えられるが、特別な加工を必要した
り、また駆動速度が低下する等の新たな問題を生じる。
【０００７】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであって、その目的とするところは共通のインク室
を介して連通する複数のノズル開口からのインク滴のイ
ンク量を駆動周波数に関わりなく、一定に維持すること
ができる積層型インクジェット式記録ヘッドを提供する
ことである。
ものであって、その目的とするところは共通のインク室
を介して連通する複数のノズル開口からのインク滴のイ
ンク量を駆動周波数に関わりなく、一定に維持すること
ができる積層型インクジェット式記録ヘッドを提供する
ことである。
【０００８】本発明の他の目的は、共通のインク室を介
して連通する複数のノズル開口からのインク滴のインク
量を、共通のインク室の固有振動に関わりなく、一定に
維持することができる積層型インクジェット式記録ヘッ
ドの駆動方法を提案することである。
して連通する複数のノズル開口からのインク滴のインク
量を、共通のインク室の固有振動に関わりなく、一定に
維持することができる積層型インクジェット式記録ヘッ
ドの駆動方法を提案することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】このような問題を解消す
るために本発明においては、列状に圧電振動子を複数列
備えた第１の蓋体と、前記圧電振動子に対向して複数列
の圧力発生室を区画するスペーサと、前記圧力発生室と
連通するノズル連通孔とインク供給口と、インクタンク
からのインクの供給を受けるインク導入口とを備えたイ
ンク供給口形成基板と、前記インク供給口を介して前記
各列の圧力発生室に連通してインクを供給する共通のイ
ンク室及び前記各列の圧力発生室に連通するノズル連通
孔とを備えた共通のインク室形成基板と、前記共通のイ
ンク室形成基板の他面を封止するとともに前記各ノズル
連通孔を介して前記圧力発生室に接続するノズル開口を
備えたノズルプレートとを接合してなる積層型インクジ
ェット式記録ヘッドにおいて、最高駆動周波数をＦとし
てたとき、前記共通のインク室の固有振動の周期Ｔを、 Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８ なる範囲に設定する。
るために本発明においては、列状に圧電振動子を複数列
備えた第１の蓋体と、前記圧電振動子に対向して複数列
の圧力発生室を区画するスペーサと、前記圧力発生室と
連通するノズル連通孔とインク供給口と、インクタンク
からのインクの供給を受けるインク導入口とを備えたイ
ンク供給口形成基板と、前記インク供給口を介して前記
各列の圧力発生室に連通してインクを供給する共通のイ
ンク室及び前記各列の圧力発生室に連通するノズル連通
孔とを備えた共通のインク室形成基板と、前記共通のイ
ンク室形成基板の他面を封止するとともに前記各ノズル
連通孔を介して前記圧力発生室に接続するノズル開口を
備えたノズルプレートとを接合してなる積層型インクジ
ェット式記録ヘッドにおいて、最高駆動周波数をＦとし
てたとき、前記共通のインク室の固有振動の周期Ｔを、 Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８ なる範囲に設定する。
【００１０】
【作用】共通のインク室のインクの流れがインク供給口
側からインク導入口側に向かっていて、かつその流速が
大きい状態でのインク滴の吐出を避ける。
側からインク導入口側に向かっていて、かつその流速が
大きい状態でのインク滴の吐出を避ける。
【００１１】
【発明の実施の形態】そこで以下に本発明の詳細を図示
した実施例に基づいて説明する。図１、図２、それぞれ
本発明の駆動方法が適用される記録ヘッドの一例を示す
組立斜視図であり、また図３は１つのアクチュエータユ
ニットの圧力発生室近傍の構造を示す断面図であって、
図中符号１は第１の蓋体で、厚さ９μｍ程度のジルコニ
アの薄板から構成され、その表面には２列の圧力発生室
２、２’に対向するように２列の駆動電極３、３’を形
成し、その表面にＰＺＴ等からなる圧電振動子４、４’
が固定されている。
した実施例に基づいて説明する。図１、図２、それぞれ
本発明の駆動方法が適用される記録ヘッドの一例を示す
組立斜視図であり、また図３は１つのアクチュエータユ
ニットの圧力発生室近傍の構造を示す断面図であって、
図中符号１は第１の蓋体で、厚さ９μｍ程度のジルコニ
アの薄板から構成され、その表面には２列の圧力発生室
２、２’に対向するように２列の駆動電極３、３’を形
成し、その表面にＰＺＴ等からなる圧電振動子４、４’
が固定されている。
【００１２】５は、スペーサで、２列の圧力発生室２、
２’を形成するのに適した厚さ、例えば１５０μｍのジ
ルコニア（ＺｒＯ2）などのセラミックス板に通孔を穿
設して構成され、後述する第２の蓋体６と第１の蓋体１
とにより両面を封止されて圧力発生室２、２’を形成し
ている。
２’を形成するのに適した厚さ、例えば１５０μｍのジ
ルコニア（ＺｒＯ2）などのセラミックス板に通孔を穿
設して構成され、後述する第２の蓋体６と第１の蓋体１
とにより両面を封止されて圧力発生室２、２’を形成し
ている。
【００１３】圧力発生室２、２’は、圧電振動子４、
４’のたわみ振動を受けて収縮、膨張してノズル開口１
９、１９’からインク滴を吐出し、またインク供給口１
２、１２’を介して共通のインク室１６、１６’のイン
クを吸引する。
４’のたわみ振動を受けて収縮、膨張してノズル開口１
９、１９’からインク滴を吐出し、またインク供給口１
２、１２’を介して共通のインク室１６、１６’のイン
クを吸引する。
【００１４】６は、第２の蓋体で、やはりジルコニア等
のセラミック板の中央に圧力発生室２、２’の一側とノ
ズル開口１９、１９’とを連通させるノズル連通孔７、
７’を、また両側にインク供給口１２、１２’と圧力発
生室２、２’を連通させるノズル連通孔８、８を穿設し
て構成されている。
のセラミック板の中央に圧力発生室２、２’の一側とノ
ズル開口１９、１９’とを連通させるノズル連通孔７、
７’を、また両側にインク供給口１２、１２’と圧力発
生室２、２’を連通させるノズル連通孔８、８を穿設し
て構成されている。
【００１５】これら各部材１、５、６は、粘土状のセラ
ミックス材料を所定の形状に成形し、これを積層して焼
成することにより接着剤を使用することなくアクチュエ
ータユニット１０に纏められている。
ミックス材料を所定の形状に成形し、これを積層して焼
成することにより接着剤を使用することなくアクチュエ
ータユニット１０に纏められている。
【００１６】１１は、インク供給口形成基板で、アクチ
ュエータユニット１０の固定基板を兼ねるとともに、後
述する共通のインク室１６、１６’と圧力発生室２、
２’とを接続するインク供給口１２、１２’、及び圧力
発生室２、２’とノズル開口１９、１９’と接続するノ
ズル連通孔１３、１３’を穿設し、またアクチュエータ
ユニット１０の固定領域から外れた位置には図示しない
インクタンクから共通のインク室１６、１６’にインク
を供給するインク導入口１４を設けて構成されている。
ュエータユニット１０の固定基板を兼ねるとともに、後
述する共通のインク室１６、１６’と圧力発生室２、
２’とを接続するインク供給口１２、１２’、及び圧力
発生室２、２’とノズル開口１９、１９’と接続するノ
ズル連通孔１３、１３’を穿設し、またアクチュエータ
ユニット１０の固定領域から外れた位置には図示しない
インクタンクから共通のインク室１６、１６’にインク
を供給するインク導入口１４を設けて構成されている。
【００１７】１５は、共通のインク室形成基板で、共通
のインク室１６、１６’を形成するに適した厚み、例え
ば１５０μｍのステンレス鋼などの耐蝕性を備えた板材
に、共通のインク室１６、１６’の形状に対応する通孔
と、圧力発生室２、２’とノズル開口１９、１９’とを
接続するノズル連通孔１７、１７’を穿設して構成され
ている。
のインク室１６、１６’を形成するに適した厚み、例え
ば１５０μｍのステンレス鋼などの耐蝕性を備えた板材
に、共通のインク室１６、１６’の形状に対応する通孔
と、圧力発生室２、２’とノズル開口１９、１９’とを
接続するノズル連通孔１７、１７’を穿設して構成され
ている。
【００１８】この共通のインク室１６、１６’は、図１
に示したように略「Ｖ」字状に形成されて、２列の圧力
発生室４、４’に対して全体として１つのインク室を形
成する場合や、また図２に示したようにインク導入口１
４に対向する領域で壁１６ａにより２つに区分され、た
だインク導入口１４を介して接続されている場合とが存
在するが、いずれにしても１つのアクチュエータユニッ
ト１０に属するものは連通状態を維持するように構成さ
れている。
に示したように略「Ｖ」字状に形成されて、２列の圧力
発生室４、４’に対して全体として１つのインク室を形
成する場合や、また図２に示したようにインク導入口１
４に対向する領域で壁１６ａにより２つに区分され、た
だインク導入口１４を介して接続されている場合とが存
在するが、いずれにしても１つのアクチュエータユニッ
ト１０に属するものは連通状態を維持するように構成さ
れている。
【００１９】１８は、ノズルプレートで、各アクチュエ
ータユニット１０のノズル連通孔７、７’、インク供給
口形成基板１１のノズル連通孔１３、１３’、共通のイ
ンク室形成基板１５のノズル連通孔１７、１７’に連通
させて一定のピッチでノズル開口１９、１９’を列状に
２列形成して構成されている。
ータユニット１０のノズル連通孔７、７’、インク供給
口形成基板１１のノズル連通孔１３、１３’、共通のイ
ンク室形成基板１５のノズル連通孔１７、１７’に連通
させて一定のピッチでノズル開口１９、１９’を列状に
２列形成して構成されている。
【００２０】これらインク供給口形成基板１１、共通の
インク室形成基板１５、及びノズルプレート１８は、そ
れぞれの間に熱溶着フィルムや接着剤等の接着剤層２
１、２２により流路ユニット２０に纏められている。そ
してアクチュエータユニット１０が接着剤層２３により
流路ユニット２０の表面に固定されてインクジェット式
記録ヘッドが構成されている。
インク室形成基板１５、及びノズルプレート１８は、そ
れぞれの間に熱溶着フィルムや接着剤等の接着剤層２
１、２２により流路ユニット２０に纏められている。そ
してアクチュエータユニット１０が接着剤層２３により
流路ユニット２０の表面に固定されてインクジェット式
記録ヘッドが構成されている。
【００２１】ところで周知のようにノズル開口１９、１
９からインク滴を吐出させる場合には、圧電振動子４、
４’に駆動信号を印加して圧力発生室２、２’を収縮さ
せて、圧力発生室２、２’のインクを加圧する操作が行
なわれる。
９からインク滴を吐出させる場合には、圧電振動子４、
４’に駆動信号を印加して圧力発生室２、２’を収縮さ
せて、圧力発生室２、２’のインクを加圧する操作が行
なわれる。
【００２２】圧力発生室２、２’内の加圧されたインク
の一部がノズル開口１９、１９’からインク滴として吐
出する一方、一部がインク供給口１２、１２’からは共
通のインク室１６、１６’に逆戻りする。
の一部がノズル開口１９、１９’からインク滴として吐
出する一方、一部がインク供給口１２、１２’からは共
通のインク室１６、１６’に逆戻りする。
【００２３】共通のインク室１６、１６’は、図４
（ロ）に示したようにここにに逆戻りして来たインクに
より、ノズルプレート１８、共通のインク室形成基板１
５等の弾性ＣR、共通のインク室１６、１６’の容積
Ｖ、インクの質量Ｍass、インクの弾性ＣI等により決ま
る固有振動周期Ｔの残留振動を発生し、インク滴吐出後
の共通のインク室１６、１６’内のインクに圧力変動を
与える。いま共通のインク室の形状を直方体とみなす
と、固有振動周期Ｔは、 Ｔ＝１／２π√（（ＣR＋ＣI）Ｍ） となる。（ただし、ＣI＝Ｖ／ρ・（１／Ｃ）2、Ｍ＝Ｍ
ass／Ｓ2であり、またρは、インクの比重を、Ｃはイン
クの音速、Ｓは共通のインク室の断面積を表す。）
（ロ）に示したようにここにに逆戻りして来たインクに
より、ノズルプレート１８、共通のインク室形成基板１
５等の弾性ＣR、共通のインク室１６、１６’の容積
Ｖ、インクの質量Ｍass、インクの弾性ＣI等により決ま
る固有振動周期Ｔの残留振動を発生し、インク滴吐出後
の共通のインク室１６、１６’内のインクに圧力変動を
与える。いま共通のインク室の形状を直方体とみなす
と、固有振動周期Ｔは、 Ｔ＝１／２π√（（ＣR＋ＣI）Ｍ） となる。（ただし、ＣI＝Ｖ／ρ・（１／Ｃ）2、Ｍ＝Ｍ
ass／Ｓ2であり、またρは、インクの比重を、Ｃはイン
クの音速、Ｓは共通のインク室の断面積を表す。）
【００２４】この共通のインク室１６、１６’の振動の
内、圧力発生室２、２’にインクを押し込んでいるか、
または圧力発生室２、２’からの戻りの流速が小さくな
った時期、つまり Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ （ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８） 期間（図中、Ａ、Ｂの期間）において、次のインク滴吐
出が行われると、圧電振動子４、４’による圧力発生室
２、２’の収縮作用がインク滴吐出に有効に作用するた
め、十分な量のインク滴の吐出が可能となる。なお、ｎ
の値が９以上であれば、インク吐出後、十分時間が経過
していて共通のインク室内のインクの流れが十分の遅く
なっているから、このような条件を満たすこと無くイン
ク滴を吐出しても十分なインク量のインク滴を吐出する
ことができる。
内、圧力発生室２、２’にインクを押し込んでいるか、
または圧力発生室２、２’からの戻りの流速が小さくな
った時期、つまり Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ （ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８） 期間（図中、Ａ、Ｂの期間）において、次のインク滴吐
出が行われると、圧電振動子４、４’による圧力発生室
２、２’の収縮作用がインク滴吐出に有効に作用するた
め、十分な量のインク滴の吐出が可能となる。なお、ｎ
の値が９以上であれば、インク吐出後、十分時間が経過
していて共通のインク室内のインクの流れが十分の遅く
なっているから、このような条件を満たすこと無くイン
ク滴を吐出しても十分なインク量のインク滴を吐出する
ことができる。
【００２５】これに対して共通のインク室１６、１６’
が膨張している状態の内、特に圧力発生室２、２’から
インクが大きな流速でインクが吸い出される時期（図中
Ｃの時期）にインク滴の吐出が行なわれると、圧電振動
子４、４’による圧力発生室２、２’の加圧作用がこの
逆流で吸収されてしまい、印刷に必要な量のインク滴を
吐出することができない。インク供給口側からインク導
入口側の共通のインク室の流速のピークの２つ目以降の
付近については、流速が低いため、印刷に必要なインク
量でのインク吐出が可能となる。
が膨張している状態の内、特に圧力発生室２、２’から
インクが大きな流速でインクが吸い出される時期（図中
Ｃの時期）にインク滴の吐出が行なわれると、圧電振動
子４、４’による圧力発生室２、２’の加圧作用がこの
逆流で吸収されてしまい、印刷に必要な量のインク滴を
吐出することができない。インク供給口側からインク導
入口側の共通のインク室の流速のピークの２つ目以降の
付近については、流速が低いため、印刷に必要なインク
量でのインク吐出が可能となる。
【００２６】もとより、インク滴の吐出タイミングは、
印刷制御回路と密接に関連しているから、印刷の最大駆
動周波数Ｆとしたとき、各モードでの周期ｎ／Ｆを Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８ の範囲となるように共通のインク室の固有振動周期Ｔを
選択、設定することにより、十分なインク量のインク滴
を吐出させることができる。
印刷制御回路と密接に関連しているから、印刷の最大駆
動周波数Ｆとしたとき、各モードでの周期ｎ／Ｆを Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８ の範囲となるように共通のインク室の固有振動周期Ｔを
選択、設定することにより、十分なインク量のインク滴
を吐出させることができる。
【００２７】図５は、基本駆動周波数が共に４．５ＫＨ
ｚに設定された記録ヘッドＡと記録ヘッドＢを用い、共
通のインク室の深さだけを変えて、記録ヘッドＡの共通
のインク室１６、１６’の共振周波数を基本駆動周波数
の１／２より若干ずれた１．９ｋＨｚに、また記録ヘッ
ドＢの共通のインク室の共振周波数を基本駆動周波数の
１／２である２．２５ＫＨｚに調整し、駆動周波数を変
えながら各駆動周波数でのインク滴の重量を調査したも
のである。
ｚに設定された記録ヘッドＡと記録ヘッドＢを用い、共
通のインク室の深さだけを変えて、記録ヘッドＡの共通
のインク室１６、１６’の共振周波数を基本駆動周波数
の１／２より若干ずれた１．９ｋＨｚに、また記録ヘッ
ドＢの共通のインク室の共振周波数を基本駆動周波数の
１／２である２．２５ＫＨｚに調整し、駆動周波数を変
えながら各駆動周波数でのインク滴の重量を調査したも
のである。
【００２８】この図から明らかなように基本駆動周波数
の１／２に共振周波数を持つ記録ヘッドＢのインク滴の
インク量は急激に減少するのに対して、これから若干ず
れた周波数に共通のインク室の共振周波数を有する記録
ヘッドＡではほとんどインク量の低下がみられなかっ
た。
の１／２に共振周波数を持つ記録ヘッドＢのインク滴の
インク量は急激に減少するのに対して、これから若干ず
れた周波数に共通のインク室の共振周波数を有する記録
ヘッドＡではほとんどインク量の低下がみられなかっ
た。
【００２９】図６は、共通のインク室の共振の鋭さを示
すＱ値をパラメータにとり、Ｑ値が異なる２つの記録ヘ
ッドにおける駆動周波数と共通のインク室でのインクの
流速との関係を示す線図である。なお、共通のインク室
の共振の鋭さを示すＱ値は、 Ｑ＝１／ｒ・√（Ｍ／（ＣR＋ＣI）） （ただし、ｒは共通のインク室の流路抵抗を表す）によ
り与えられる。
すＱ値をパラメータにとり、Ｑ値が異なる２つの記録ヘ
ッドにおける駆動周波数と共通のインク室でのインクの
流速との関係を示す線図である。なお、共通のインク室
の共振の鋭さを示すＱ値は、 Ｑ＝１／ｒ・√（Ｍ／（ＣR＋ＣI）） （ただし、ｒは共通のインク室の流路抵抗を表す）によ
り与えられる。
【００３０】図６からも明らかなように駆動周波数が変
化すると、共通のインク室を流れるインクの流速は、Ｑ
値の大きさにより定まる特定の範囲だけ大きくなり（曲
線１ではＢ、Ｃ、Ｄの範囲であり、また曲線２ではＣの
範囲）、これら範囲から外れると急速に小さくなり（曲
線１ではＡ、Ｅの範囲、また曲線２ではＡ、Ｂ、Ｄ、Ｅ
の範囲）、またＱ値が大きければインク流速の速い範囲
は狭くなる。
化すると、共通のインク室を流れるインクの流速は、Ｑ
値の大きさにより定まる特定の範囲だけ大きくなり（曲
線１ではＢ、Ｃ、Ｄの範囲であり、また曲線２ではＣの
範囲）、これら範囲から外れると急速に小さくなり（曲
線１ではＡ、Ｅの範囲、また曲線２ではＡ、Ｂ、Ｄ、Ｅ
の範囲）、またＱ値が大きければインク流速の速い範囲
は狭くなる。
【００３１】そして、セラミックスを基材に用いた記録
ヘッドでは、そのＱ値を３０００と大きくできるため、
インク滴のインク量の減少を来す共通のインク室のイン
ク流速が大きな範囲がせいぜい１／８・Ｔ程度と狭いた
め、ヘッドの最大駆動周波数Ｆと共通のインク室の固有
振動周期Ｔとの関係を、 Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ （ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８） なる条件を満たすように相対的に設定するだけで、駆動
周波数数によるインク量の変動を確実に防止することが
できる。
ヘッドでは、そのＱ値を３０００と大きくできるため、
インク滴のインク量の減少を来す共通のインク室のイン
ク流速が大きな範囲がせいぜい１／８・Ｔ程度と狭いた
め、ヘッドの最大駆動周波数Ｆと共通のインク室の固有
振動周期Ｔとの関係を、 Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ （ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８） なる条件を満たすように相対的に設定するだけで、駆動
周波数数によるインク量の変動を確実に防止することが
できる。
【００３２】なお、共通のインク室１６、１６’の共振
周波数を変更するための方法としては、上述したように
共通のインク室形成基板１５の厚さを変更する以外に、
共通のインク室１６、１６’の幅を調整したり、ノズル
プレート１８の厚さを変更する方法がある。
周波数を変更するための方法としては、上述したように
共通のインク室形成基板１５の厚さを変更する以外に、
共通のインク室１６、１６’の幅を調整したり、ノズル
プレート１８の厚さを変更する方法がある。
【００３３】また最大駆動周波数をＦとしたとき、各モ
ードでの周期ｎ／Ｆを、 Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ （ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８） の範囲となるように設定することにより、既存の記録ヘ
ッドに変更を加えることなく、共通のインク室の振動に
関わりなく、十分なインク量のインク滴を吐出させるこ
とができる。
ードでの周期ｎ／Ｆを、 Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ （ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８） の範囲となるように設定することにより、既存の記録ヘ
ッドに変更を加えることなく、共通のインク室の振動に
関わりなく、十分なインク量のインク滴を吐出させるこ
とができる。
【００３４】
【発明の効果】以上、説明したように本発明において
は、積層型インクジェット式記録ヘッドの最高駆動周波
数Ｆと、ヘッドの共通のインク室の固有振動の周期Ｔを
の関係を、Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６
・Ｔ＜Ｆ／ｎ（ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８）な
る関係を満たすように設定したので、共通のインク室の
固有振動周期や駆動周波数に関わりなく、インク滴のイ
ンク量に減少を招くこと無く印刷に必要な量のインク滴
を吐出させることができる。
は、積層型インクジェット式記録ヘッドの最高駆動周波
数Ｆと、ヘッドの共通のインク室の固有振動の周期Ｔを
の関係を、Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６
・Ｔ＜Ｆ／ｎ（ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８）な
る関係を満たすように設定したので、共通のインク室の
固有振動周期や駆動周波数に関わりなく、インク滴のイ
ンク量に減少を招くこと無く印刷に必要な量のインク滴
を吐出させることができる。
【図１】本発明の記録ヘッドの一実施例を、接着剤層を
除外して示す組立斜視図である。
除外して示す組立斜視図である。
【図２】本発明の記録ヘッドの一実施例を、接着剤層を
除外して示す組立斜視図である。
除外して示す組立斜視図である。
【図３】同上記録ヘッドを、圧力発生室の近傍の断面構
造で示す図である。
造で示す図である。
【図４】同図（イ）、（ロ）は、それぞれノズル開口の
メニスカス、及び共通のインク室のインクの流れの変化
を示す図である。
メニスカス、及び共通のインク室のインクの流れの変化
を示す図である。
【図５】本発明、及び従来のインクジェット式記録ヘッ
ドにおける駆動周波数とインク滴のインク量との関係を
示す線図である。
ドにおける駆動周波数とインク滴のインク量との関係を
示す線図である。
【図６】共通のインク室のＱ値をパラメータとする駆動
周波数と共通のインク室でのインク流速との関係を示す
線図である。
周波数と共通のインク室でのインク流速との関係を示す
線図である。
１ 第１の蓋体 ２、２’ 圧力発生室 ３、３’ 駆動電極 ４、４’ 圧電振動子 ６ 第２の蓋体 １０ アクチュエータユニット １１ インク供給口形成基板 １２、１２’ インク供給口 １３、１３’ ノズル連通孔 １４ インク導入口 １５ 共通のインク室形成基板 １６、１６’ 共通のインク室 １７、１７’ ノズル連通孔 １８ ノズルプレート １９、１９’ ノズル開口 ２０ 流路ユニット
Claims (2)
- 【請求項１】 列状に圧電振動子を複数列備えた第１の
蓋体と、前記圧電振動子に対向して複数列の圧力発生室
を区画するスペーサと、前記圧力発生室と連通するノズ
ル連通孔とインク供給口とインクタンクからのインクの
供給を受けるインク導入口とを備えたインク供給口形成
基板と、前記インク供給口を介して前記各列の圧力発生
室に連通してインクを供給する共通のインク室及び前記
各列の圧力発生室に連通するノズル連通孔とを備えた共
通のインク室形成基板と、前記共通のインク室形成基板
の他面を封止するとともに前記各ノズル連通孔を介して
前記圧力発生室に接続するノズル開口を備えたノズルプ
レートとを接合してなる積層型インクジェット式記録ヘ
ッドにおいて、 最高駆動周波数をＦとしたとき、前記共通のインク室の
固有振動の周期Ｔを、 Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８ なる範囲に設定したことを特徴とする積層型インクジェ
ット式記録ヘッド。 - 【請求項２】 列状に圧電振動子を複数列備えた第１の
蓋体と、前記圧電振動子に対向して複数列の圧力発生室
を区画するスペーサと、前記圧力発生室と連通するノズ
ル連通孔とインク供給口とインクタンクからのインクの
供給を受けるインク導入口とを備えたインク供給口形成
基板と、前記インク供給口を介して前記各列の圧力発生
室に連通してインクを供給する共通のインク室及び前記
各列の圧力発生室に連通するノズル連通孔とを備えた共
通のインク室形成基板と、前記共通のインク室形成基板
の他面を封止するとともに前記各ノズル連通孔を介して
前記圧力発生室に接続するノズル開口を備えたノズルプ
レートとを接合してなる積層型インクジェット式記録ヘ
ッドの駆動方法において、前記共通のインク室の固有振
動の周期をＴとしたとき、最高駆動周波数Ｆを、 Ｆ／ｎ＜１５／１６・Ｔ、または１７／１６・Ｔ＜Ｆ／
ｎ ただし、ｎ＝１、２、３、‥‥、８ なる範囲に設定したことを特徴とする積層型インクジェ
ット式記録ヘッドの駆動方法。
Priority Applications (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP30662195A JP3173561B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 積層型インクジェット式記録ヘッド、及びこれの駆動方法 |
| EP96117519A EP0775579B1 (en) | 1995-10-31 | 1996-10-31 | Laminated ink jet recording head and method of driving therefor |
| DE69619069T DE69619069T2 (de) | 1995-10-31 | 1996-10-31 | Laminierter Tintenstrahlaufzeichnungskopf und Betriebsverfahren dafür |
| US08/742,154 US6113226A (en) | 1995-10-31 | 1996-10-31 | Laminated ink jet recording head resolving residual vibration problems in the common ink chamber by setting the natural resonance and driving frequency ranges |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP30662195A JP3173561B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 積層型インクジェット式記録ヘッド、及びこれの駆動方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09123444A true JPH09123444A (ja) | 1997-05-13 |
| JP3173561B2 JP3173561B2 (ja) | 2001-06-04 |
Family
ID=17959297
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP30662195A Expired - Lifetime JP3173561B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 積層型インクジェット式記録ヘッド、及びこれの駆動方法 |
Country Status (4)
| Country | Link |
|---|---|
| US (1) | US6113226A (ja) |
| EP (1) | EP0775579B1 (ja) |
| JP (1) | JP3173561B2 (ja) |
| DE (1) | DE69619069T2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007237635A (ja) * | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Brother Ind Ltd | インクジェットヘッド |
Families Citing this family (5)
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| JP3267937B2 (ja) * | 1998-09-04 | 2002-03-25 | 松下電器産業株式会社 | インクジェットヘッド |
| JP2000218787A (ja) * | 1999-01-29 | 2000-08-08 | Seiko Epson Corp | インクジェット式記録ヘッド及び画像記録装置 |
| JP4251912B2 (ja) * | 2003-05-02 | 2009-04-08 | 株式会社リコー | 画像形成装置 |
| JP4243851B2 (ja) | 2004-05-24 | 2009-03-25 | ブラザー工業株式会社 | インク滴吐出装置 |
| JP4694858B2 (ja) * | 2005-02-23 | 2011-06-08 | ブラザー工業株式会社 | インクジェットヘッドの駆動装置、インクジェットヘッド、及び、液滴吐出装置 |
Family Cites Families (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US4646106A (en) * | 1982-01-04 | 1987-02-24 | Exxon Printing Systems, Inc. | Method of operating an ink jet |
| JP3262363B2 (ja) * | 1991-04-26 | 2002-03-04 | キヤノン株式会社 | インクジェット記録装置 |
| US5510816A (en) * | 1991-11-07 | 1996-04-23 | Seiko Epson Corporation | Method and apparatus for driving ink jet recording head |
| JP3317308B2 (ja) * | 1992-08-26 | 2002-08-26 | セイコーエプソン株式会社 | 積層型インクジェット記録ヘッド、及びその製造方法 |
| JP3237685B2 (ja) * | 1992-11-05 | 2001-12-10 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット式記録装置 |
| US5943073A (en) * | 1993-01-01 | 1999-08-24 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink jet recording apparatus and method |
| JP3099653B2 (ja) * | 1993-10-19 | 2000-10-16 | 富士ゼロックス株式会社 | 流体噴射装置及び方法 |
-
1995
- 1995-10-31 JP JP30662195A patent/JP3173561B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
1996
- 1996-10-31 US US08/742,154 patent/US6113226A/en not_active Expired - Lifetime
- 1996-10-31 DE DE69619069T patent/DE69619069T2/de not_active Expired - Lifetime
- 1996-10-31 EP EP96117519A patent/EP0775579B1/en not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007237635A (ja) * | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Brother Ind Ltd | インクジェットヘッド |
| JP4680805B2 (ja) * | 2006-03-10 | 2011-05-11 | ブラザー工業株式会社 | インクジェットヘッド |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| EP0775579A3 (en) | 1997-10-08 |
| EP0775579B1 (en) | 2002-02-06 |
| DE69619069D1 (de) | 2002-03-21 |
| US6113226A (en) | 2000-09-05 |
| DE69619069T2 (de) | 2002-09-12 |
| JP3173561B2 (ja) | 2001-06-04 |
| EP0775579A2 (en) | 1997-05-28 |
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