JPH09123375A - 自己接着性フィルムおよびシート - Google Patents

自己接着性フィルムおよびシート

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JPH09123375A
JPH09123375A JP7280554A JP28055495A JPH09123375A JP H09123375 A JPH09123375 A JP H09123375A JP 7280554 A JP7280554 A JP 7280554A JP 28055495 A JP28055495 A JP 28055495A JP H09123375 A JPH09123375 A JP H09123375A
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polymer
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sheet
point polymer
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Masao Matsui
雅男 松井
Hidekazu Koseki
英一 小関
Masakazu Kobayashi
正和 小林
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Mitsubishi Plastics Inc
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Mitsubishi Plastics Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自然分解性であり環境汚染することが少なく、
さらに優れたヒートシール性を持つ新規フイルムおよび
シートを提供することを目的とする。 【解決手段】融点または軟化点が50〜150℃の脂肪
族ポリエステルを主成分とする低融点重合体1と、該融
点又は軟化点よりも少なくとも20℃高い融点を有する
脂肪族ポリエステルを主成分とする高融点重合体2とが
複合されており、かつ両者に成分として共通の繰り返し
単位、特に好ましくは共通の分子セグメントを持たせる
ことにより接着性を強化している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然分解性の重合
体からなる新規自己接着性フィルムおよびシートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】フィルムやシートの重要な用途は食品や
各種製品の容器、袋、包装材料、チューブなどである。
それらは、フィルムやシートを用い、必要な場所を加熱
や超音波を用いて接着して製造されたり使用されること
が多い。この場合、用いるフィルムやシートが、加熱や
超音波によって容易にしかも強固に接着されることが望
まれる。従来このような用途に合成樹脂からなるフィル
ムやシートが用いられて来たが、これらの用途のかなり
の部分は使い捨てられるもので、環境保護の見地から見
直しが必要である。通常の合成樹脂は、使用後廃棄する
時、自然環境下では分解性が低く、焼却時は発熱量が大
きく炉を痛めるなどの問題があるからである。このた
め、そのような用途には自然環境下で分解する脂肪族ポ
リエステル樹脂に置き換えることが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】脂肪族ポリエステルは
各種のものが知られているが、そのフイルムは、必ずし
も加熱や超音波による接着性(以下ヒートシール性と記
すことがある)に優れておらず、特に耐熱性に優れる高
融点脂肪族ポリエステルではむしろヒートシール性に劣
る傾向があり、その改良が必要である。
【0004】本発明の目的は、自然分解性で環境保護の
見地から好ましく、しかもヒートシール性に優れるフィ
ルムおよびシートを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、
(1)融点または軟化点が50〜150℃の脂肪族ポリ
エステルを主成分とする低融点重合体(A)と、該融点
または軟化点よりも少なくとも20℃高い融点を有する
脂肪族ポリエステルを主成分とする高融点重合体(B)
とが複合(接着)されており、(2)高融点重合体
(B)の成分の少なくとも1部と低融点重合体(A)の
成分の少なくとも1部とが同一であり、かつ(3)低融
点重合体(A)が表面の少なくとも1部を占めているこ
とを特徴とする自己接着性フィルムおよびシートによっ
て達成される。
【0006】ここで、脂肪族ポリエステルを主成分とす
る重合体とは、(1)グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ
ブチルカルボン酸などのような脂肪族ヒドロキシカルボ
ン酸、(2)グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、
カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(3)エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、
ヘキサンジオールなどのような脂肪族ジオール、(4)
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸などの、脂肪族ポリエステル重合原料に由来する
成分を主要な成分すなわち40重量%以上(特に50%
以上)とするものであって、脂肪族ポリエステルのホモ
ポリマー、脂肪族ポリエステル共重合ポリマー、および
脂肪族ポリエステルに他の成分、例えば芳香族ポリエス
テル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、
ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサンなど
の成分を60重量%以下(特に50%以下)共重合(ブ
ロック共重合または/及びランダム共重合)又は/及び
混合した変性体をすべて包含する。
【0007】脂肪族ポリエステルを共重合や混合によっ
て変性する目的は、結晶性の低下、融点の低下(重合温
度、成型温度、加工温度の低下)、溶融流動性、強靭
性、柔軟性や弾性回復性の改良、接着性、耐熱性やガラ
ス転移温度の低下または上昇、親水性や撥水性の改良、
染色性の改良、分解性の向上または抑制などが挙げられ
る。
【0008】脂肪族ポリエステルの特徴は、自然環境下
(土壌中、淡水中、海水中、堆肥中など)、比較的短期
間(例えば5年以内、特に2年以内)で分解することで
ある。この自然分解性は、脂肪族ポリエステルを主成分
とする共重合体や混合体でも維持されるが、共重合や混
合の成分や比率を変えることにより各種分解速度のもの
を得ることが出来、目的や用途に応じて、適切なものを
選ぶことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1および2に本発明の自己接着
性フィルム(またはシート)の横断面を示す。図におい
て1は低融点重合体(A)であり、2は高融点重合体
(B)である。低融点重合体(A)は、加熱によって容
易に溶融し、互いにまたは他の物体に融着する。高融点
重合体(B)は、その接着のための加熱によって殆ど影
響を受けず、フィルム(シート)の形や強度を保持す
る。本発明の複合フィルム(シート)は、このように接
着剤なしに加熱だけで接着するので、自己接着性フィル
ム(またはシート)という。
【0010】図1は低融点重合体(A)の1つの層(接
着層)と、高融点重合体(B)の1つの層とが複合(接
着)された2層フィルム(シート)の例を示し、図2は
低融点重合体(A)の2つの層と高融点重合体(B)の
1つの層とが複合(接着)された3層フィルム(シー
ト)の例を示す。低融点重合体(A)は、図1ではフィ
ルム(シート)の表面積の約50%を占め、図2ではほ
ぼ100%を占める例である。図1および2以外にも、
本発明によって色々な複合フィルムや複合シートが得ら
れる。たとえば層の数が4以上の多層ィルム、接着層が
一様な膜でなく縞状、格子状、市松模様状、多円状、多
点状、モザイク状その他任意の形のものなど、多様な応
用が可能である。
【0011】低融点重合体(A)(以下接着層と記すこ
とがある)は加熱によって溶融し、冷却固化することに
よりフィルムやシートを接着する。しかし、接着性を更
に改善し、より高い接着強度を実現するために本発明者
らは鋭意研究し、低融点重合体(A)の成分の少なくと
も1部、好ましくは3重量%以上と、高融点重合体
(B)の成分の1部、好ましくは3重量%以上とを同一
とすることにより、極めて優れた接着強度が得られるこ
と、特に好ましくは両者に同一のセグメントを持たせる
ことにより最も優れた接着強度が得られることを見出だ
し、本発明を完成したものである。
【0012】ここで重合体の成分とは、重合体の繰返し
単位、重合原料、モノマー、又は/およびポリマー分子
鎖の一部分すなわちセグメントを意味する。セグメント
は、重合度2〜20程度のオリゴマー級のもの及び更に
重合度の大きいポリマー級のものの両方を包含するが、
本発明の目的には、ある程度分子量の大きいもの例えば
重合度5以上のもの、特に重合度10以上のものが好ま
しく、重合度20以上のものが効果が著しく最も好まし
い。2種のポリマーが同じ成分を持つとは、同じ重合原
料やモノマーに由来するものすなわち共通の繰返し単位
を持つこと又は/および共通のセグメントを持つことを
意味する。ここでセグメントは重合度が異なっていて
も、構成単位が同じまたは実質的に同じであれば同一と
みなす。例えばポリ乳酸セグメントと、ポリ乳酸に5モ
ル%程度以下のポリグリコール酸がランダム共重合され
たセグメントとは(接着性の見地からは)実質的に同じ
とみなされる。
【0013】接着層ポリマーの融点は、低目の方が接着
工程が容易となり好ましい。しかし融点があまり低すぎ
ると接着強度が劣る。このため、低融点重合体(A)の
融点または軟化点は、50〜150℃の範囲がであるこ
とが必要であり、55〜140℃が特に好ましく、60
〜130℃が最も好ましい。ここで、融点は走査型示差
熱量計(DSC)で測定した結晶の溶融吸熱ピークのピ
ーク値であり、軟化点は溶融粘度が100000ポイズ
になる温度である。一般に接着温度は、接着時の圧力に
より異なるが、上記融点または軟化点±50℃程度の範
囲、特に±30℃程度の範囲であることが多い。
【0014】このような低融点の脂肪族ポリエステルの
ホモポリマーとしては、例えばポリカプロラクトン(融
点約60℃)、ポリエチレンスベレート(同64℃)、
ポリエチレンセバケート(同72℃)、ポリエチレンデ
カメチレート(同85℃)、ポリブチレンサクシネート
(同116℃)、ポリブチレンアジペート(同69
℃)、ポリブチレンセバケート(同65℃)、ポリヘキ
サメチレンセバケート(同75℃)などが挙げられる。
このようなホモポリマーやそれを主成分(例えば90%
以上)とする共重合ポリマーの多くは結晶性であり、D
SCの測定で明瞭な溶融吸熱ピークを示す。
【0015】結晶性の高いポリマーは、融点以下の温度
に冷却されると速やかに固化するので製造や取扱いおよ
び接着処理が容易であり、接着層用に特に好ましい。結
晶性が高いほど、DSC分析での溶融吸熱量が大きい。
接着層ポリマーとしては、溶融吸熱量がポリマー1グラ
ム当たり5ジュール(J)以上が好ましく、10J/g
以上が特に好ましく、20J/g以上が最も好ましい。
【0016】例えば、上記低融点ホモポリマーの一つ
(例えばポリカプロラクトン)を低融点重合体(A)と
し、その低融点ポリマー(ポリカプロラクトン)をセグ
メントとして組み込んだポリ乳酸ブロック共重合体を高
融点重合体(B)として組み合わせると、両者は共通の
セグメント(ポリカプロラクトン)を持つので、特に優
れた接着強度が得られる。すなわち融点50〜150℃
の脂肪族ポリエステルホモポリマーを接着層ポリマー
(A)とし、該ホモポリエステルと同一成分、特に同一
セグメントを分子内に組み込んだ脂肪族ポリエステル共
重合体を高融点重合体(B)とする組み合わせは、本発
明の特に好ましい実施態様の第1グループである。
【0017】本発明の好ましい実施態様の第2グループ
は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチ
レート、ポリブチレンサクシネートなど、融点110℃
以上、好ましくは融点150℃以上の脂肪族ポリエステ
ルを高融点重合体(B)とし、融点50〜150℃の低
融点脂肪族ポリエステルの分子内に、その結晶性を維持
しつつ、該高融点ポリエステル(B)と同一成分、特に
同一セグメントを導入したものを接着層(A)とする組
み合わせである。具体例としては、高融点重合体(B)
をポリ乳酸とし、接着層(A)としてはポリカプロラク
トンを主成分とし、それに対し5〜20%程度のポリ乳
酸セグメントをブロック共重合したものとする組み合わ
せが挙げられる。
【0018】本発明の実施態様の第3グループは、接着
層(A)及び/又は高融点重合体(B)として、第2成
分、第3成分などを適宜共重合または混合して変性した
ものを用いるものである。変性の目的の例は、前述の通
りである。このグループの例としては、ポリ乳酸にその
光学異性体や他のポリエステル原料をランダム共重合し
て融点を150℃以下、特に130℃以下に低下させた
ものや、さらに共重合を進め非晶化し軟化点を50〜1
50℃としたものなどを、接着層(A)とするものが挙
げられる。一般に、ブロック共重合では融点の低下が少
ない傾向があり、融点を適度に低下させるため少量の
(例えば2〜20重量%)ランダム共重合と、接着性な
どを改良するためのブロック共重合(例えば5〜30
%)を併用することも好ましい。
【0019】上記第1〜第3グループに用いるポリマー
の具体例としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、そ
れらの共重合体などのみを示したが、勿論、ポリ乳酸の
代わりに他の高融点脂肪族ポリエステル、例えばポリグ
リコール酸、ポリヒドロキシブチレートなどをを用いる
ことが出来、ポリカプロラクトンの代わりに他の低融点
脂肪族ポリエステル、例えばポリエチレンセバケート、
ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、
ポリヘキサンスベレートなどを用いることが出来る。
【0020】接着層ポリマーの分子量は特に限定されな
いが、分子量が低いものは溶融速度が大きく従って例え
ばヒートシール速度が高い傾向があり、分子量が高いも
のは接着強度や耐久性が優る傾向があり、使用目的にあ
わせて任意に選べばよい。例えば分子量は2万〜30万
程度のもの、特に3万〜25万の範囲が好ましく、5万
〜20万の範囲が最も広く用いられる。
【0021】本発明のフィルムおよびシートの厚さは特
に限定されず、ここでは比較的厚いもの例えば厚さ10
0μm以上を便宜上シートと呼ぶ。フィルムの場合、例
えば厚さ5〜100μm程度、特に10〜50μm程度
のものが多く用いられる。同じくシートの場合、厚さ1
00〜500μm程度のものが多く用いられる。
【0022】接着層の厚さも、特に限定されないが、例
えばフィルムまたはシート全体の厚さの1〜50%、特
に3〜30%程度、厚さ1〜100μm程度、とくに3
〜50μm程度が好ましく用いられる事が多い。
【0023】高融点重合体(B)は、フィルム又はシー
トの形、強度、耐熱性などを支えるもので、接着工程の
熱では殆ど影響を受けないことが必要である。このた
め、その融点は低融点重合体(A)の融点または軟化点
よりも20℃以上高いことが必要であり、30℃以上高
いことが特に好ましく、40℃以上高いことが最も好ま
しい。さらに高融点重合体の融点は、沸騰水に耐えると
いう実用的見地からも、110℃以上であることが好ま
しく、130℃以上であることが特に好ましく、150
℃以上であることが最も好ましい。好ましい高融点ポリ
マーとしてはポリブチレンサクシネートが挙げられ、特
に好ましい高融点ポリマーとしては、ポリL−乳酸、ポ
リD−乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレ
ートおよびそれらを主成分(50重量%以上)とする各
種共重合体が挙げられる。また、高融点重合体(B)
は、強度の高いことが望ましく、そのため分子量は5万
以上、特に8万以上が好ましく、10〜30万の範囲が
最も広く用いられる。
【0024】高融点重合体(B)の別の必要条件は、低
融点重合体(A)に対し高い接着性を持つことであり、
そのために高融点重合体(B)の成分の少なくとも1部
は低融点重合体(A)の成分の少なくとも1部と同一で
ある必要がある。両者が同一(共通)成分を持つことに
より、両者の接着性が強化され、特に共通のセグメント
を持つ場合、接着された製品の接着強度が顕著に改善さ
れる。一般に、共通成分の量が多いほど、接着強度が大
きくなる傾向が認められる。高融点重合体(B)と低融
点重合体(A)とが共通して持つ成分の重量比率は、両
者で同じでも異なってもよいが、低い共通成分比率を持
つ重合体(A又はB)において、1%以上、特に3〜5
0%程度の範囲が好ましく、5〜30%程度の範囲が最
も広く用いられる。前記の本発明の好ましい実施態様の
第1グループは、低融点重合体(A)の共通成分比率が
100%で、高融点重合体(B)のそれが比較的低い
(例えば5〜30%)例である。同じく第2グループ
は、高融点重合体(B)の共通成分比率が100%で、
低融点重合体(A)のそれが比較的低い(例えば5〜3
0%)例である。
【0025】本発明複合フイルムは、低融点重合体
(A)及び高融点重合体(B)を同時に溶融多層押出し
後、必要に応じて延伸、熱処理して製造することが出来
る。同様に、あらかじ高融点重合体(B)よりフィルム
を製造しておき、それに対して接着層ポリマー(A)
を、溶融法または溶剤法により、ラミネートまたはコー
ティングして製造することが出来る。ポリマーの溶剤溶
液をコーティングする場合、低融点重合体(A)は溶解
するが、高融点重合体(B)は溶解しないような溶剤を
選ぶことが好ましい。高融点重合体(B)として融点1
50℃以上の結晶性ポリマーを用い、延伸又は/および
熱処理したフィルムを用いると、加熱や溶剤に対する抵
抗性が高く、溶融法又は溶剤法によるラミネートやコー
ティングが容易となり、好ましいことが多い。本発明複
合フィルム及びシートにおいて、低融点重合体(A)及
び高融点重合体(B)は、使用目的に応じて、1軸また
は2軸延伸されたもの又は延伸されていないものとする
事ができる。しかし、一般に高い強度が必要な場合に
は、少なくとも高融点重合体(B)は1軸または2軸延
伸されていることが好ましい。薄いフィルムを製造する
場合も、延伸した方が有利であることが多い。
【0026】本発明の複合フィルムおよびシートを形成
するポリマーには、必要に応じ、顔料、染料などの着色
剤、無機系または有機系粒子、ガラス繊維、ウイスカ
ー、雲母などの充填剤、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤などの安定剤、滑剤、離型剤、撥水剤、可塑剤、
抗菌剤その他の副次的添加剤を配合することが出来る。
以下の実施例において、%、部は特に断らない限り重量
比である。脂肪族ポリエステルの分子量は、試料の0.
1%クロロホルム溶液のGPC分析において、分子量5
00以下の成分をのぞく高分子成分の分散の重量平均値
である。DSC測定は、試料10mg、窒素雰囲気中、
昇温速度10℃/minの条件で行った。接着強度は、
試料フィルム(シート)を2枚重ね、電熱シール装置で
所定温度で1秒間接着した後、幅2cm、長さ8cmに
切断し、引張り試験機で、試験片長さ5cm,接着(シ
ール)線と直角方向に引張り速度5cm/min,測定
室温度20℃で、引張り試験したときの剥離強度であ
る。なお、以下の実施例では、フィルムの例のみを示す
が、シートの場合も厚さを大きくするだけで、ほぼ同様
に実施できる。
【0027】
【実施例】片末端が水酸基で分子量15.6万(数平均
7万)のポリカプロラクトン5部、光学純度99.5%
以上のL−ラクチド95部、重合触媒としてオクチル酸
錫100ppm、酸化防止剤としてチバガイギー社イル
ガノックス1010、0.1部を混合し2軸混練押出機
に連続的に供給し、195℃で平均18分間反応させた
のち口金より押出し、水中で冷却した後、切断乾燥して
チップC1を得た。
【0028】さらにチップC1を140℃の窒素気流中
で4時間加熱(固相重合)してポリマーP1を得た。ポ
リマーP1は、ポリカプロラクトンが約5%ブロック共
重合されたポリL−乳酸で、分子量147000、融点
169℃であった。なお、このブロック共重合体の分子
量は、原料ポリカプロラクトンの分子量よりも小さい
が、これは重合中に微量の水によりポリカプロラクトン
が一部分解したりエステル交換反応が生じたためと推定
される。しかしこの共重合体は、融点の低下がほとんど
無く、その透明性や強靭性か単なる混合物よりもはるか
に優れている事などから、ブロック共重合体であると認
められる。
【0029】ポリマーP1とほぼ同様にして、但しポリ
カプロラクトンを共重合しないで得たポリL−乳酸ホモ
ポリマーをP2とする。ポリマーP2の分子量は155
000、融点は172℃であった。ポリマーP1とほぼ
同様にして、ただしポリカプロラクトン95部、L−ラ
クチド5部、オクチル酸錫20ppm、イルガノックス
1010、0.1%を混合、以下同様に重合して得たポ
リマーをP3とする。ポリマーP3は分子量約8000
のポリL−乳酸が約5%ブロック共重合されたポリカプ
ロラクトンで分子量172000、融点58℃、溶融吸
熱量は45J/gであった。
【0030】ポリマーP1を、220℃のスクリュウ押
出機で溶融し220℃のTダイを用いて押出した後、3
0℃の冷却ロールで冷却しつつその上に、別のスクリュ
ウ押出機で溶融した分子量15.6万、融点58℃、溶
融吸熱量51J/gのポリカプロラクトンを180℃の
Tダイより押出してラミネートし、冷却後50℃で長さ
方向に3.3倍、横方向に3.6倍延伸して複合フイル
ムF1を得た。フィルムF1は、厚さ6μmのポリカプ
ロラクトン接着層(低融点重合体(A))と、厚さ22
μmのポリ乳酸ブロック共重合体(高融点重合体
(B))の層からなっている。
【0031】フィルムF1とほぼ同様にして、但し低融
点重合体(A)としてポリマーP3を、高融点重合体
(B)としてポリマーP2をそれぞれ用いて得たものを
フィルムF2とする。
【0032】比較のため、フィルムF1とほぼ同様にし
て、但し低融点重合体(A)として上記ポリカプロラク
トン(ホモポリマー)を、高融点重合体(B)としてポ
リマーP2(ポリL−乳酸ホモポリマー)をそれぞれ用
いて得たものをフィルムF3とする。同じく、ポリマー
P2のみからほぼ同じ条件で製造した厚さ25μmの単
層フィルムをF4とする。
【0033】フィルムF1〜F4を、同じ物同志電熱シ
ール装置で接着し、その接着力を測定した。接着方法
は、接着層同志を接着した場合と、接着層と高融点重合
体(B)とを接着した場合の両方について実験した。接
着温度はフィルムF1〜F3が80℃、F4が同じく1
68℃である。各フィルムの接着力を表1に示す。表に
見るように、本発明のフィルムは比較例に比べて優れた
接着力を持ち、ヒートシール性に優れることが明らかで
ある。なお、本発明フィルム及びシートは、接着層同志
の接着性に優れるだけでなく、接着層と高融点重合体
(B)とを接着してもほぼ同じ強い接着力を示すという
優れた特色がある。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明によって、廃棄された場合、従来
の合成樹脂の製品よりも焼却時の発熱が少なく、土壌
中、淡水中、海水中、堆肥中などで自然に分解され環境
への悪影響がほとんど無く、しかもヒートシール性に優
れ強い接着力を示す新規複合フイルムおよびシートが提
供され、各種容器、袋、包装材料、チューブその他の用
途に極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体例をしめす2層複合フィルムの断
面図である。
【図2】本発明の具体例をしめす3層複合フィルムの断
面図である。
【符号の説明】
1低融点重合体(A) 2高融点重合体(B)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 正和 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所三条工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)融点または軟化点が50〜150℃
    の脂肪族ポリエステルを主成分とする低融点重合体
    (A)と、該融点または軟化点よりも少なくとも20℃
    高い融点を有する脂肪族ポリエステルを主成分とする高
    融点重合体(B)とが複合されており、(2)高融点重
    合体(B)の成分の少なくとも1部と低融点重合体
    (A)の成分の少なくとも1部とが同一であり、かつ
    (3)低融点重合体(A)が表面の少なくとも1部を占
    めていることを特徴とする自己接着性フィルムおよびシ
    ート。
  2. 【請求項2】低融点重合体(A)と高融点重合体(B)
    とが、同一のセグメントを持つものである、請求項1記
    載の自己接着性フィルムおよびシート。
  3. 【請求項3】(1)高融点重合体(B)の融点が150
    ℃以上であり、(2)低融点重合体(A)が結晶性であ
    り、かつ(3)両者の融点差が30℃以上である、請求
    項1〜2記載の自己接着性フィルムおよびシート。
JP28055495A 1995-10-27 1995-10-27 自己接着性フィルムまたはシート Expired - Lifetime JP3706665B2 (ja)

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JP2008114108A (ja) * 2006-11-01 2008-05-22 Suminoe Textile Co Ltd 土木用遮光保護シート
JP2014517850A (ja) * 2011-04-08 2014-07-24 イノヴィア フィルムズ リミテッド 生分解性フィルム

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