JPH09122705A - 異周速圧延方法 - Google Patents
異周速圧延方法Info
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- JPH09122705A JPH09122705A JP28281795A JP28281795A JPH09122705A JP H09122705 A JPH09122705 A JP H09122705A JP 28281795 A JP28281795 A JP 28281795A JP 28281795 A JP28281795 A JP 28281795A JP H09122705 A JPH09122705 A JP H09122705A
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- Japan
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- rolling
- roll
- peripheral speed
- roughness
- work roll
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Abstract
(57)【要約】
【課題】軽圧下率の圧延における異周速圧延でロール表
面を鋼板に転写する際に、チャタリングを発生させるこ
となく、単一のダルロールにより転写率を広範囲に変え
て種々の粗度の鋼板を得る圧延方法を提供する。 【解決手段】上側ワークロールの周速度と下側ワークロ
ールの周速度とを異にして、上下ワークロールに潤滑剤
を供給しつつ圧下率15%以下で鋼板を軽圧下圧延する
方法であって、上下ワークロールの表面粗度差を中心線
平均粗さRaで0.3μm 以上とし、かつ高粗度のワー
クロールを低粗度ワークロールよりも高周速にする異周
速圧延方法、及び上側ワークロールの周速度と下側ワー
クロールの周速度とを異にして、圧下率15%以下で鋼
板を軽圧下圧延する方法であって、高周速度側のワーク
ロールを無潤滑とし、低周速度のワークロール側に潤滑
剤を供給して圧延することを特徴とする異周速圧延方
法。
面を鋼板に転写する際に、チャタリングを発生させるこ
となく、単一のダルロールにより転写率を広範囲に変え
て種々の粗度の鋼板を得る圧延方法を提供する。 【解決手段】上側ワークロールの周速度と下側ワークロ
ールの周速度とを異にして、上下ワークロールに潤滑剤
を供給しつつ圧下率15%以下で鋼板を軽圧下圧延する
方法であって、上下ワークロールの表面粗度差を中心線
平均粗さRaで0.3μm 以上とし、かつ高粗度のワー
クロールを低粗度ワークロールよりも高周速にする異周
速圧延方法、及び上側ワークロールの周速度と下側ワー
クロールの周速度とを異にして、圧下率15%以下で鋼
板を軽圧下圧延する方法であって、高周速度側のワーク
ロールを無潤滑とし、低周速度のワークロール側に潤滑
剤を供給して圧延することを特徴とする異周速圧延方
法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、上側ロールの周
速度と下側ロールの周速度とを異にして鋼板を圧延する
異周速圧延に係わり、更に詳しくは軽圧下圧延におい
て、一定表面粗さのダルロールで、転写率を種々変えて
鋼板表面に転写でき、しかも安定して転写できる異周速
圧延方法に関する。
速度と下側ロールの周速度とを異にして鋼板を圧延する
異周速圧延に係わり、更に詳しくは軽圧下圧延におい
て、一定表面粗さのダルロールで、転写率を種々変えて
鋼板表面に転写でき、しかも安定して転写できる異周速
圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板の冷間圧延最終段、あるいは冷延鋼
板の焼鈍後に行われる調質圧延では、比較的軽圧下圧延
が行われ、その際ダルロール表面の鋼板への転写も行わ
れる。
板の焼鈍後に行われる調質圧延では、比較的軽圧下圧延
が行われ、その際ダルロール表面の鋼板への転写も行わ
れる。
【0003】表面ダルロールは、冷間圧延後の焼鈍工
程、または調質圧延後の搬送工程において生じる疵を防
ぐため、あるいは製品の塗装後の鮮映性を向上させる目
的の圧延に用いられる。
程、または調質圧延後の搬送工程において生じる疵を防
ぐため、あるいは製品の塗装後の鮮映性を向上させる目
的の圧延に用いられる。
【0004】従来の軽圧下圧延ではロール表面の鋼板へ
の転写は主として圧下率に支配されており、目標の粗度
を得るためには所定の圧下率を確保する必要がある。当
然のことながら圧下率が高い程ロール面はより転写され
やすいことになる。 ところが、圧延条件によっては他
の理由により圧下率が制約される場合がある。例えば、
焼鈍後の調質圧延は、ロール表面を転写させ形状を整え
ると言った目的よりも材質の機械特性を調整することが
主目的となり、製品としての硬度、降伏点、全伸び、降
伏点伸びといった機械特性は、調質圧延の伸び率によっ
て調整されている。従って、ロール面を目標通り転写す
るためには更に強圧下が必要となる場合でも、機械特性
が劣化するのを防ぐため軽圧下圧延にせざるを得ない場
合が発生する。調質圧延においては、一般に圧下率が高
くなるほど製品の機械特性は劣化するものが多く、逆に
ロール面の転写は圧下率が高い程よくなる。
の転写は主として圧下率に支配されており、目標の粗度
を得るためには所定の圧下率を確保する必要がある。当
然のことながら圧下率が高い程ロール面はより転写され
やすいことになる。 ところが、圧延条件によっては他
の理由により圧下率が制約される場合がある。例えば、
焼鈍後の調質圧延は、ロール表面を転写させ形状を整え
ると言った目的よりも材質の機械特性を調整することが
主目的となり、製品としての硬度、降伏点、全伸び、降
伏点伸びといった機械特性は、調質圧延の伸び率によっ
て調整されている。従って、ロール面を目標通り転写す
るためには更に強圧下が必要となる場合でも、機械特性
が劣化するのを防ぐため軽圧下圧延にせざるを得ない場
合が発生する。調質圧延においては、一般に圧下率が高
くなるほど製品の機械特性は劣化するものが多く、逆に
ロール面の転写は圧下率が高い程よくなる。
【0005】軽圧下率の圧延においては、圧下率を一定
にした圧延で鋼板表面粗度を変更するには、異なった粗
度のロールに取り替える方法が一般に採られている。し
かし、この方法では、異なった粗度のロールを多数準備
する必要がある上、ロール替えに時間を要し、製造コス
トアップの原因になっていた。
にした圧延で鋼板表面粗度を変更するには、異なった粗
度のロールに取り替える方法が一般に採られている。し
かし、この方法では、異なった粗度のロールを多数準備
する必要がある上、ロール替えに時間を要し、製造コス
トアップの原因になっていた。
【0006】このような問題を解消する方法として、上
下ロールを異周速度にして調質圧延することにより鋼板
の表面粗度を制御する方法が特開昭60−92004号
公報に開示されている。この方法は、周速を異にする1
対のワークロールにストリップを巻き付け、伸び率一定
の範囲で圧延荷重を変化させることにより、ストリップ
の表面粗度を調整する方法である。
下ロールを異周速度にして調質圧延することにより鋼板
の表面粗度を制御する方法が特開昭60−92004号
公報に開示されている。この方法は、周速を異にする1
対のワークロールにストリップを巻き付け、伸び率一定
の範囲で圧延荷重を変化させることにより、ストリップ
の表面粗度を調整する方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開昭6
0−92004号公報に開示されている方法には、次の
ような難点がある。
0−92004号公報に開示されている方法には、次の
ような難点がある。
【0008】1)2Hi圧延機にのみ適用が可能で、現在
圧延機の主流となっている板形状制御に有利な4Hi圧延
機には適用ができない。2)ロール周面に沿って巻きか
けるので、ロールと鋼板との接触部が長くなり鋼板とロ
ール間に異物が入ると鋼板表面に疵が発し易い。3)圧
延開始時に鋼板をロールに巻かけるのが困難で労力を要
する。
圧延機の主流となっている板形状制御に有利な4Hi圧延
機には適用ができない。2)ロール周面に沿って巻きか
けるので、ロールと鋼板との接触部が長くなり鋼板とロ
ール間に異物が入ると鋼板表面に疵が発し易い。3)圧
延開始時に鋼板をロールに巻かけるのが困難で労力を要
する。
【0009】本発明者らは、4Hi圧延機で軽圧下率によ
る異周速圧延につき種々実験を行った。上下のワークロ
ール周速を変える異周速圧延によれば、同一伸び率でも
異周速率[(高周速度/低周速度)−1]に応じて荷重
が変化するため、結果として粗度の転写率が変化するこ
とが予想された。しかしながら、通常の圧延機において
異周速圧延を行うと異速比を大きくした際チャタリング
と呼ばれる板及び圧延機の振動が発生し、安定した圧延
を行うことができなくなった。
る異周速圧延につき種々実験を行った。上下のワークロ
ール周速を変える異周速圧延によれば、同一伸び率でも
異周速率[(高周速度/低周速度)−1]に応じて荷重
が変化するため、結果として粗度の転写率が変化するこ
とが予想された。しかしながら、通常の圧延機において
異周速圧延を行うと異速比を大きくした際チャタリング
と呼ばれる板及び圧延機の振動が発生し、安定した圧延
を行うことができなくなった。
【0010】本発明は、軽圧下率の圧延における異周速
圧延でロール表面を鋼板に転写する際に、チャタリング
を発生させることなく、単一のダルロールにより転写率
を広範囲に変えて種々の粗度の鋼板を得る圧延方法を提
供することを目的とする。
圧延でロール表面を鋼板に転写する際に、チャタリング
を発生させることなく、単一のダルロールにより転写率
を広範囲に変えて種々の粗度の鋼板を得る圧延方法を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、15%以
下の軽圧下率圧延でロール表面の鋼板への転写率を広い
範囲で制御でき、かつチャタリングを発生させないで安
定して圧延を行うことのできる圧延方法を実験、検討し
た結果、次のような知見を得た。
下の軽圧下率圧延でロール表面の鋼板への転写率を広い
範囲で制御でき、かつチャタリングを発生させないで安
定して圧延を行うことのできる圧延方法を実験、検討し
た結果、次のような知見を得た。
【0012】1)軽圧下率の異周速圧延では、高周速側
ロールの表面が低周速側ロールの表面よりも速く摩耗
し、摩擦係数が小さくなる結果、先進率が負になり、そ
れが原因でチャタリングが発生し、圧延が不安定にな
る。
ロールの表面が低周速側ロールの表面よりも速く摩耗
し、摩擦係数が小さくなる結果、先進率が負になり、そ
れが原因でチャタリングが発生し、圧延が不安定にな
る。
【0013】2)チャタリングの発生を長期間にわたり
防止するには、高周速度側ロールの粗度を低周速度側ロ
ールの粗度よりも粗くして摩擦係数を高くし、上下ワー
クロールの粗度差を中心平均粗さで0.3μm 以上とす
るのがよい。
防止するには、高周速度側ロールの粗度を低周速度側ロ
ールの粗度よりも粗くして摩擦係数を高くし、上下ワー
クロールの粗度差を中心平均粗さで0.3μm 以上とす
るのがよい。
【0014】3)チャタリングの発生は、鋼板の上面と
下面との潤滑状態に大きく影響されており、高速度側を
無潤滑とし、低速度側ロールに潤滑油を供給して圧延す
ることもチャタリングの防止に有効である。
下面との潤滑状態に大きく影響されており、高速度側を
無潤滑とし、低速度側ロールに潤滑油を供給して圧延す
ることもチャタリングの防止に有効である。
【0015】本発明はこのような知見に基づきなされた
ものでその要旨とするところは、「上側ワークロールの
周速度と下側ワークロールの周速度とを異にして、上下
ワークロールに潤滑剤を供給しつつ圧下率15%以下で
鋼板を軽圧下圧延する方法であって、上下ワークロール
の表面粗度差を中心線平均粗さRaで0.3μm以上と
し、かつ高粗度のワークロールを低粗度ワークロールよ
りも高周速にする異周速圧延方法、及び上側ワークロー
ルの周速度と下側ワークロールの周速度とを異にして、
圧下率15%以下で鋼板を軽圧下圧延する方法であっ
て、高周速度側のワークロールを無潤滑とし、低周速度
のワークロール側に潤滑剤を供給して圧延することを特
徴とする異周速圧延方法」にある。
ものでその要旨とするところは、「上側ワークロールの
周速度と下側ワークロールの周速度とを異にして、上下
ワークロールに潤滑剤を供給しつつ圧下率15%以下で
鋼板を軽圧下圧延する方法であって、上下ワークロール
の表面粗度差を中心線平均粗さRaで0.3μm以上と
し、かつ高粗度のワークロールを低粗度ワークロールよ
りも高周速にする異周速圧延方法、及び上側ワークロー
ルの周速度と下側ワークロールの周速度とを異にして、
圧下率15%以下で鋼板を軽圧下圧延する方法であっ
て、高周速度側のワークロールを無潤滑とし、低周速度
のワークロール側に潤滑剤を供給して圧延することを特
徴とする異周速圧延方法」にある。
【0016】なお、上記中心線平均粗さは、JIS B
0601の規定によるものとする。
0601の規定によるものとする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、日本金属学会会報 第19
巻、第2号(1980)P90に基づいて異周速圧延の
PV圧延について説明する。
巻、第2号(1980)P90に基づいて異周速圧延の
PV圧延について説明する。
【0018】図2は、等周速圧延における圧延状態を示
す図である。普通の等周速圧延では、圧延中の鋼板の速
度は入側付近ではロール周速度Vよりおそく、逆に出側
付近では早くなっている。同図に示すように、上下ロー
ル1、2は等周速度で回転しており、被圧延材3は圧延
されて板厚が減少し、圧延材4となる。この場合、圧延
中の被圧延材速度Vとロールの周速度v1 が一致する点
Nを中立点と呼び、また、圧延中の被圧延材とロールと
の速度比率(v1 /V−1)を先進率と呼んでいる。
す図である。普通の等周速圧延では、圧延中の鋼板の速
度は入側付近ではロール周速度Vよりおそく、逆に出側
付近では早くなっている。同図に示すように、上下ロー
ル1、2は等周速度で回転しており、被圧延材3は圧延
されて板厚が減少し、圧延材4となる。この場合、圧延
中の被圧延材速度Vとロールの周速度v1 が一致する点
Nを中立点と呼び、また、圧延中の被圧延材とロールと
の速度比率(v1 /V−1)を先進率と呼んでいる。
【0019】図3は、PV圧延における圧延状態を示す
図で、異周速圧延を中立点で表現すると、PV圧延では
同図に示すように高周速ロール側の中立点N1 はロール
バイト(ロールと被圧延材と接触している部分)の出口
に、また低周速側の中立点N0 はロールバイトの入口に
くるようにした圧延である。このとき、体積一定の原理
よりv0・h0 =v1・h1 であるから、ロール周速比V1
/V0 は V1 /V0 =v1 /v0 =h0 /h1 となり、 ここで V1 :高速ロール側の周速(m/min ) V0 :低速ロール側の周速(m/min ) v1 :出側の板速度(m/min ) v0 :入側の板速度(m/min ) h1 :出側の板厚(mm) h0 :入側の板厚(mm) とする。
図で、異周速圧延を中立点で表現すると、PV圧延では
同図に示すように高周速ロール側の中立点N1 はロール
バイト(ロールと被圧延材と接触している部分)の出口
に、また低周速側の中立点N0 はロールバイトの入口に
くるようにした圧延である。このとき、体積一定の原理
よりv0・h0 =v1・h1 であるから、ロール周速比V1
/V0 は V1 /V0 =v1 /v0 =h0 /h1 となり、 ここで V1 :高速ロール側の周速(m/min ) V0 :低速ロール側の周速(m/min ) v1 :出側の板速度(m/min ) v0 :入側の板速度(m/min ) h1 :出側の板厚(mm) h0 :入側の板厚(mm) とする。
【0020】この条件が上下の中立点がロール間隙内に
あるための限界と言える。従って、異周速圧延で中立点
がロールバイト内にあるためには、 1<V1 /V0 <h1 /h0 を満足させる必要がある。逆に、この範囲内であれば、
異速比を変化させ得ることになる。
あるための限界と言える。従って、異周速圧延で中立点
がロールバイト内にあるためには、 1<V1 /V0 <h1 /h0 を満足させる必要がある。逆に、この範囲内であれば、
異速比を変化させ得ることになる。
【0021】ところで、実際に異周速圧延で中立点がロ
ールバイト内にくる条件の周速比で圧延を行ってみる
と、圧延初期はチャタリングの発生はみられないが、圧
延時間が少し長くなると圧延が不安定になりチャタリン
グが発生する場合があった。
ールバイト内にくる条件の周速比で圧延を行ってみる
と、圧延初期はチャタリングの発生はみられないが、圧
延時間が少し長くなると圧延が不安定になりチャタリン
グが発生する場合があった。
【0022】この原因を究明するため、ロールけがき法
(ロール上にけがき線を入れ、圧延により板に転写した
けがき間隔とロール周長よりもとめる)により先進率を
測定したところ、いずれの条件においても高周速側の先
進率が負になっていることが分かった。更にこの原因を
調査すると、初めに上下のロール粗度を同一にしておい
ても圧延が進むに連れて高周速側のロールが早く摩耗
し、摩擦係数が小さくなることが分かった。
(ロール上にけがき線を入れ、圧延により板に転写した
けがき間隔とロール周長よりもとめる)により先進率を
測定したところ、いずれの条件においても高周速側の先
進率が負になっていることが分かった。更にこの原因を
調査すると、初めに上下のロール粗度を同一にしておい
ても圧延が進むに連れて高周速側のロールが早く摩耗
し、摩擦係数が小さくなることが分かった。
【0023】また、高周速ロール側の摩擦係数が小さく
なるのは、上記ロール粗度の変化以外に、上下で潤滑状
態が異なる場合(高周速側ロールが潤滑過多)にチャタ
リングが発生しており、パスラインの影響や潤滑油供給
ノズルの角度、ノズルからの噴射量の違いに起因すると
考えられた。
なるのは、上記ロール粗度の変化以外に、上下で潤滑状
態が異なる場合(高周速側ロールが潤滑過多)にチャタ
リングが発生しており、パスラインの影響や潤滑油供給
ノズルの角度、ノズルからの噴射量の違いに起因すると
考えられた。
【0024】図1は、本発明の異周速圧延における中立
点の移動を説明するための図である。同図に示すように
上ロール1を高周速ロール、下ロール2を低周速ロール
とした場合、異周速圧延中、中立点位置は上下で異な
り、高周速ロール側の中立点N1は低周速ロール側の中
立点N0よりも出側にある。圧延時の摩擦係数が常に一
定であるならば、上下とも中立点位置は変わらず圧延は
安定するが、上ロールの摩耗又は上ロールの潤滑条件が
よくなると摩擦係数が低下し中立点は出側にずれてく
る。この状態が継続されると、やがて高周速ロール側の
中立点がロールバイト内から飛び出し、圧延が不安定に
なってチャタリングが発生する。
点の移動を説明するための図である。同図に示すように
上ロール1を高周速ロール、下ロール2を低周速ロール
とした場合、異周速圧延中、中立点位置は上下で異な
り、高周速ロール側の中立点N1は低周速ロール側の中
立点N0よりも出側にある。圧延時の摩擦係数が常に一
定であるならば、上下とも中立点位置は変わらず圧延は
安定するが、上ロールの摩耗又は上ロールの潤滑条件が
よくなると摩擦係数が低下し中立点は出側にずれてく
る。この状態が継続されると、やがて高周速ロール側の
中立点がロールバイト内から飛び出し、圧延が不安定に
なってチャタリングが発生する。
【0025】一般に、ダル材は片面(外観面)の品質保
証が重視され、両面に全く同形態の表面性状が要求され
ることは希であるとの認識のもとに、本発明者らは、異
周速圧延を安定して行う方法として、高周速側の摩擦係
数を低周速側の摩擦係数より大きくすることで、高周速
側の中立点をより鋼板入り側に設定でき、これにより長
時間圧延しても中立点がバイト内から飛び出さず(先進
率が常に正)安定して圧延できることを見いだした。
証が重視され、両面に全く同形態の表面性状が要求され
ることは希であるとの認識のもとに、本発明者らは、異
周速圧延を安定して行う方法として、高周速側の摩擦係
数を低周速側の摩擦係数より大きくすることで、高周速
側の中立点をより鋼板入り側に設定でき、これにより長
時間圧延しても中立点がバイト内から飛び出さず(先進
率が常に正)安定して圧延できることを見いだした。
【0026】高周速側ロールの摩擦係数を大きくする手
段として、1)高周速側のロール粗度を低周速側のロー
ル粗度より大きする、2)高周速側を無潤滑とし、低周
速側を潤滑することが有効である。
段として、1)高周速側のロール粗度を低周速側のロー
ル粗度より大きする、2)高周速側を無潤滑とし、低周
速側を潤滑することが有効である。
【0027】更に、本発明者らは、この時の上下ロール
の粗度差と異速率及び上下ロールの潤滑差と異速率の関
係について種々の実験を繰り返した。その結果上下ロー
ルの粗度差としては最低0.3μm 以上の差がないと長
期に安定して圧延ができないことを確認し、上下ロール
の粗度差の下限を0.3μm とした。なお、上限は、目
標粗度、圧下率に応じ決めるものであるから特に限定し
ない。
の粗度差と異速率及び上下ロールの潤滑差と異速率の関
係について種々の実験を繰り返した。その結果上下ロー
ルの粗度差としては最低0.3μm 以上の差がないと長
期に安定して圧延ができないことを確認し、上下ロール
の粗度差の下限を0.3μm とした。なお、上限は、目
標粗度、圧下率に応じ決めるものであるから特に限定し
ない。
【0028】また、その際の異周速率(V1 /V2 −
1、V1 :高摩擦係数側ワークロール周速、V2 :低摩
擦係数側ワークロール周速)としては、r/600 (r :圧
下率%)以上にすると異周速圧延での転写率の制御がよ
り容易となり、またr/100以下とすると中立点がバイト
の外に出にくいことを確認した。
1、V1 :高摩擦係数側ワークロール周速、V2 :低摩
擦係数側ワークロール周速)としては、r/600 (r :圧
下率%)以上にすると異周速圧延での転写率の制御がよ
り容易となり、またr/100以下とすると中立点がバイト
の外に出にくいことを確認した。
【0029】なお、上記圧下率はつぎの通りとする。
【0030】r=(h0 −h1 /h0 )×100
h0 :入り側板厚、h1 :出側板厚 同様に、上下ロールで潤滑状態を変える場合には片側は
無潤滑とし、この面のロール周速を他方のロール周速よ
り大きくする必要がある。片面のみ潤滑する方法は、基
本的には圧延裏面に潤滑油を供給し、表面に潤滑油が飛
び跳ねないようにカバーをする方法である。上下ワーク
ロール間のギャップより薄い状態で潤滑油を供給すれば
目的は達せられる。しかしながら、圧延設備上の制約等
で裏面のみの潤滑が困難な場合がある。このような場合
には、裏面を無潤滑とし表面のみ潤滑する必要がある
が、通常の潤滑油供給方法では裏面への潤滑油の回り込
みが避け難い。そこで、表面のみに静電塗布装置により
潤滑油を供給するか、あるいは2流体ノズルを用いて、
潤滑油を霧状にして塗布する方法が効果的である。
h0 :入り側板厚、h1 :出側板厚 同様に、上下ロールで潤滑状態を変える場合には片側は
無潤滑とし、この面のロール周速を他方のロール周速よ
り大きくする必要がある。片面のみ潤滑する方法は、基
本的には圧延裏面に潤滑油を供給し、表面に潤滑油が飛
び跳ねないようにカバーをする方法である。上下ワーク
ロール間のギャップより薄い状態で潤滑油を供給すれば
目的は達せられる。しかしながら、圧延設備上の制約等
で裏面のみの潤滑が困難な場合がある。このような場合
には、裏面を無潤滑とし表面のみ潤滑する必要がある
が、通常の潤滑油供給方法では裏面への潤滑油の回り込
みが避け難い。そこで、表面のみに静電塗布装置により
潤滑油を供給するか、あるいは2流体ノズルを用いて、
潤滑油を霧状にして塗布する方法が効果的である。
【0031】なお、転写率を15%以下の軽圧下圧延と
限定したのは、15%を超える圧延では、転写に必要な
圧下率は充分であり、異周速圧延を行っても転写率の変
化代は小さくなる。すなわち、15%を超える圧下率で
は転写率が100%となり、圧下率による転写率の改善
は期待できない。
限定したのは、15%を超える圧延では、転写に必要な
圧下率は充分であり、異周速圧延を行っても転写率の変
化代は小さくなる。すなわち、15%を超える圧下率で
は転写率が100%となり、圧下率による転写率の改善
は期待できない。
【0032】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例に基づき説明す
る。
る。
【0033】(実施例1)板厚0.4mm、板幅800
mmのC含有量0.04重量%の低炭素鋼板を焼鈍後、ロ
ール径600mm、上ロール粗度Ra2.0μm 、下ロ
ール粗度Ra1.5μm のダルロールにて、表1に示す
圧下率で上下のロール周速を種々変化させて圧延を行っ
た。潤滑油は上下ロールに毎分1リットルの量で等量供
給した。その際の圧延荷重及び圧延後の鋼板表面粗度を
測定すると共にチャタリングの発生状況を目視で観察
し、圧延安定性として下記の基準で評価した。
mmのC含有量0.04重量%の低炭素鋼板を焼鈍後、ロ
ール径600mm、上ロール粗度Ra2.0μm 、下ロ
ール粗度Ra1.5μm のダルロールにて、表1に示す
圧下率で上下のロール周速を種々変化させて圧延を行っ
た。潤滑油は上下ロールに毎分1リットルの量で等量供
給した。その際の圧延荷重及び圧延後の鋼板表面粗度を
測定すると共にチャタリングの発生状況を目視で観察
し、圧延安定性として下記の基準で評価した。
【0034】
【表1】
【0035】圧延方向に対し、直角方向に発生したチャ
タリングによる筋状マークが全くない場合○、ロールが
1周する周期内に筋状マークが1つでもある場合を△、
1周期で筋状マークが10以上ある場合を×とした。
タリングによる筋状マークが全くない場合○、ロールが
1周する周期内に筋状マークが1つでもある場合を△、
1周期で筋状マークが10以上ある場合を×とした。
【0036】結果を表1に併せて示す。
【0037】図4は、表1に示す圧下率と線荷重との関
係を図示したものである。
係を図示したものである。
【0038】図5は、表1に示す高粗度ロール側の圧下
率と転写率の関係を図示したものである。図中●は等周
速度圧延の場合、■は本発明の異周速圧延の場合を示
す。図4及び図5に示すように、本発明の方法によれば
圧下率を一定にして転写率の変更が可能であり、最適な
粗度転写率を選択することができる。これに対して、等
周速度圧延では圧下率を一定にして、転写率の変更はで
きない。また、No.11のように低粗度側を高周速と
した圧延では圧延が不安定になることが分かる。
率と転写率の関係を図示したものである。図中●は等周
速度圧延の場合、■は本発明の異周速圧延の場合を示
す。図4及び図5に示すように、本発明の方法によれば
圧下率を一定にして転写率の変更が可能であり、最適な
粗度転写率を選択することができる。これに対して、等
周速度圧延では圧下率を一定にして、転写率の変更はで
きない。また、No.11のように低粗度側を高周速と
した圧延では圧延が不安定になることが分かる。
【0039】(実施例2)次に、実施例1と同一の圧延
条件で、圧下率を1.0%に一定にして、表2に示すよ
うに上下のロール表面粗度の組み合わせを変えて圧延を
実施した。潤滑油は毎分1リットルの量で等量上下ロー
ル側に供給した。圧延後、鋼板表面のチャタリング発生
状況を目視で観察し、下記基準で圧延安定性として評価
した。
条件で、圧下率を1.0%に一定にして、表2に示すよ
うに上下のロール表面粗度の組み合わせを変えて圧延を
実施した。潤滑油は毎分1リットルの量で等量上下ロー
ル側に供給した。圧延後、鋼板表面のチャタリング発生
状況を目視で観察し、下記基準で圧延安定性として評価
した。
【0040】鋼板圧延長さで100kmを越えてチャタリ
ングが発生していない場合を○、50〜100kmの範囲
でチャタリングが発生している場合を△、50km未満で
チャタリングが発生している場合を×とした。
ングが発生していない場合を○、50〜100kmの範囲
でチャタリングが発生している場合を△、50km未満で
チャタリングが発生している場合を×とした。
【0041】圧延条件及び評価結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2に示すように上下ロールの表面粗度差
が0.3μm 以上であれば、長期間安定してかつ広い荷
重制御範囲で異周速圧延が可能であった。ロール表面粗
度差が小さい場合は、圧延初期には安定しているが、鋼
板の圧延長さが100kmを超えるまでに全ての条件で板
厚振動が発生した。
が0.3μm 以上であれば、長期間安定してかつ広い荷
重制御範囲で異周速圧延が可能であった。ロール表面粗
度差が小さい場合は、圧延初期には安定しているが、鋼
板の圧延長さが100kmを超えるまでに全ての条件で板
厚振動が発生した。
【0044】(実施例3)板厚0.7mm、板幅1200
mmのC含有量0.003重量%の極低炭素鋼を焼鈍−酸
洗後、ロール径600mm、ロール粗度Ra2.5μm
のダルロールにて、表3に示す圧延条件で圧延を行っ
た。圧延後の上面の粗度転写率、圧延安定性を示す。圧
延安定性の評価は実施例2と同じである。
mmのC含有量0.003重量%の極低炭素鋼を焼鈍−酸
洗後、ロール径600mm、ロール粗度Ra2.5μm
のダルロールにて、表3に示す圧延条件で圧延を行っ
た。圧延後の上面の粗度転写率、圧延安定性を示す。圧
延安定性の評価は実施例2と同じである。
【0045】
【表3】
【0046】同表から明らかなように、本発明によれば
同一伸び率でも異周速率をかえることで異なる転写率を
実現できることがわかる。又、本発明の要件をすべて満
足したものは、圧延安定性、製品品質ともに優れている
が、要件を満足しない場合、圧延安定性又は製品品質の
いずれかが劣っている。
同一伸び率でも異周速率をかえることで異なる転写率を
実現できることがわかる。又、本発明の要件をすべて満
足したものは、圧延安定性、製品品質ともに優れている
が、要件を満足しない場合、圧延安定性又は製品品質の
いずれかが劣っている。
【0047】
【発明の効果】本発明方法によれば、上下の摩擦係数と
異速比の関係を適宜選択することにより伸び率に応じた
最適な粗度の転写が得られ、かつ、長期間圧延してもそ
の効果を安定して持続させることが可能となった。
異速比の関係を適宜選択することにより伸び率に応じた
最適な粗度の転写が得られ、かつ、長期間圧延してもそ
の効果を安定して持続させることが可能となった。
【図1】本発明の異周速圧延における圧延状態を示す図
である。
である。
【図2】等周速圧延における圧延状態を示す図である。
【図3】異周速PV圧延における圧延状態を示す図であ
る。
る。
【図4】圧下率と線荷重との関係を示す図である。
【図5】伸び率と転写率との関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】上側ワークロールの周速度と下側ワークロ
ールの周速度とを異にして、上下ワークロールに潤滑剤
を供給しつつ圧下率15%以下で鋼板を軽圧下圧延する
方法であって、上下ワークロールの表面粗度差を中心線
平均粗さRaで0.3μm 以上とし、かつ高粗度のワー
クロールを低粗度ワークロールよりも高周速にすること
を特徴とする異周速圧延方法。 - 【請求項2】上側ワークロールの周速度と下側ワークロ
ールの周速度とを異にして、圧下率15%以下で鋼板を
軽圧下圧延する方法であって、高周速度側のワークロー
ルを無潤滑とし、低周速度のワークロール側に潤滑剤を
供給して圧延することを特徴とする異周速圧延方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28281795A JPH09122705A (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 異周速圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28281795A JPH09122705A (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 異周速圧延方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09122705A true JPH09122705A (ja) | 1997-05-13 |
Family
ID=17657476
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28281795A Pending JPH09122705A (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 異周速圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09122705A (ja) |
-
1995
- 1995-10-31 JP JP28281795A patent/JPH09122705A/ja active Pending
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