JPH1029002A - ブライト鋼板の冷間圧延方法 - Google Patents

ブライト鋼板の冷間圧延方法

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JPH1029002A
JPH1029002A JP18897796A JP18897796A JPH1029002A JP H1029002 A JPH1029002 A JP H1029002A JP 18897796 A JP18897796 A JP 18897796A JP 18897796 A JP18897796 A JP 18897796A JP H1029002 A JPH1029002 A JP H1029002A
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JP
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roll
rolling
peripheral speed
neutral point
work roll
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JP18897796A
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Yukihiro Matsuura
征浩 松浦
Shinya Izawa
真也 伊澤
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大径ワークロールのタンデム圧延機によるブラ
イト冷間圧延において、チャタリングを発生させること
なく、高能率で高光沢の金属板を製造する圧延方法を提
供する。 【解決手段】上側ワークロールの周速と下側ワークロー
ルの周速とを異にして鋼板をブライト冷間圧延する方法
であって、冷間圧延機のワークロールと鋼板との咬み込
み角度の大きい側のワークロール周速を高周速とする
か、潤滑剤の供給方法として鋼板上下面で供給量に差を
設け、供給量の少ない側のワークロール周速を高周速と
することを特徴とするブライト鋼板の冷間圧延方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、上側ワークロー
ルの周速と下側ワークロールの周速とを異にして鋼板を
ブライト圧延する異周速圧延に係わり、更に詳しくは、
大径のワークロールのタンデム圧延機による冷間圧延に
おいて、高光沢のブライト鋼板を高能率に、かつ安定し
て製造することのできる異周速圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間圧延されたステンレス鋼板には、一
般に高い表面光沢が要求される。ステンレス鋼板は変形
抵抗が高く、加工硬化しやすい。そのため、ワークロー
ルが小径のセンジミアミルが使用されている。センジミ
アミルによる圧延では、高い圧下率が得られ、かつ圧延
時に鋼板とワークロール間(以下ロールバイトと記す)
への圧延油の導入量が少ないため高光沢が得られるから
である。しかし、このセンジミアミルであっても、圧延
速度を高めると圧延油のロールバイトへの引き込み量が
増加し、油膜厚が厚くなり鋼板の表面光沢が低下する。
そのため、センジミアミルによるステンレス鋼板の圧延
で高表面光沢を得るためには、圧延速度を遅くした圧延
が強いられ、生産効率がわるい。
【0003】そこで、近年、大径のワークロールを使用
する普通鋼用のタンデムミルを用いて高光沢度のステン
レス薄鋼板を効率的に製造しようとする試みがなされて
いる。ところが、大径のワークロールを備えたタンデム
ミルで圧延を行う場合には、ロールバイトに多量の潤滑
油が引き込まれ、油膜が生じ圧延中に鋼板の表面が自由
変形し、オイルピットと呼ばれる微小欠陥が発生する。
【0004】このオイルピットは、ロール表面の粗さを
大きくすると防止できるが、ワークロールの粗さを大き
くするとワークロールの表面凹凸が鋼板に転写され、鋼
板表面の粗さが大きくなり、やはり光沢度が低下してし
まう。この光沢度低下の対策として、大径ロールのタン
デムミルで圧延した後で、さらに小径のセンジミアミル
で仕上げ圧延を行い高光沢にする方法が特開昭61-49701
号公報に開示されている。
【0005】また、タンデム圧延機には各スタンド間に
張力測定用のテンションメータロール等の雑ロールが配
置されることが多い。そのため、ワークロールが鋼板を
咬み込む角度(以下、咬み込み角度と記す)は、鋼板の
上面と下面で異なっている。図2は、ロールの鋼板咬み
込み角度を説明するための図である。咬み込み角度と
は、圧延機入り側で、鋼板3−1がロールと最初に接す
る点Pを通るロール表面の接線Tと鋼板の表面H1また
はH2となす角度、α1A、α1Bをいう。図2に点線
で示すような状態で鋼板がロールに咬み込まれると、咬
み込み角は、鋼板上面ではα2A、下面ではα2Bとな
り上面側が小さくなる。
【0006】一般には、作業性の面で下ロール側の咬み
込み角が大きくなっている場合がほとんどである。この
ように鋼板の上下で咬み込み角度が異なっていると、ロ
ールバイト内に導入される油量に鋼板の上下面で差が生
じてしまう。このような状況で長時間圧延を続けている
と、上下ワークロールの摩耗量が異なり、結果として上
下面で摩擦係数の異なる圧延状態となる。通常タンデム
圧延機では上下のモータの負荷が均一になるように制御
されており、摩擦係数に差が出るとトルク負荷に差が生
じ、電流値を合わせるために、回転速度が上下のワーク
ロールで異なるという事態に至る。
【0007】近年、特に鋼板の薄板化、硬質化が進み、
このような製品を圧延する際に、上下ワークロールの周
速差が発生すると、やがてチャタリングと呼ばれる圧延
機の振動とこれに伴う板厚振動、光沢度のムラが発生し
製品品質を劣化させてしまう。
【0008】このように、普通鋼用のタンデム圧延機で
ステンレス鋼板等を製造する場合、小径のセンジミア
ミル並の十分な高光沢が得られない、タンデムミル特
有のロール配置によるロールの鋼板咬み込み角度に起因
するチャタリングが発生する、といった問題があった。
【0009】の問題に対処する方法として、特開平6-
304603号公報に、上下のパスライン進入角度を制限し、
上下ワークロール間の摩耗差を少なくする方法、また特
公平4-45243号公報には、上下ワークロールのモータ電
流値を検出し、圧延油の流量を制御する方法等が開示さ
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開昭61
-49701号公報に開示されている方法では、タンデム圧延
機を使用することによる能率化が、センジミアミルの使
用により圧延速度が律速され、高能率化に限界がある。
また、タンデムミルでのチャタリングの防止を目的とし
た特開平6-304603号公報や特公平4-45243号公報に開示
されている方法では、チャタリングの防止が可能であっ
ても、高い表面品質を要求されるステンレス鋼板では、
更に下工程で高光沢化の作業工程を付加する必要があ
る。
【0011】本発明は、大径ワークロールのタンデム圧
延機によるブライト冷間圧延において、チャタリングを
発生させることなく、高能率で高光沢の金属板を製造す
る圧延方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、大径のワ
ークロールを用いるタンデムミルで薄物硬質の材料を圧
延し、高光沢を得る圧延方法を種々実験、検討した結
果、次のような知見を得た。
【0013】1)上下のワークロールの周速が異なる異
周速圧延を行えば、ロールと材料との間で相対すべりが
生じて材料表面の平滑化が進み、光沢度の高い鋼板を得
ることができる。一般に高光沢が要求されるのは鋼板の
片面のみであり、このためには、一方の面をより滑らせ
ることで、高い光沢度が得られる。
【0014】2)タンデム圧延機で、チャタリングが発
生するのは、潤滑油の供給の多い側のワークロール表面
が摩耗しやすく、そのため、上下で摩擦係数差が発生
し、モータ電流制御のために上下のワークロールの周速
に差が生じ異周速圧延となってしまうからである。
【0015】3)この場合、低摩擦係数側のワークロー
ル周速が必ず早くなるため、後で説明する先進率がロー
ルバイトから飛び出して先進率が負になり、それが原因
でチャタリングが発生する。
【0016】4)異周速圧延を行いながら、チャタリン
グの発生を長期にわたって防止するには高摩擦係数側の
ワークロール周速を早くすることが有効である。
【0017】本発明は、このような知見に基づきなされ
たものでその要旨とするところは、 「(1)冷間圧延機のワークロールと鋼板とのなす咬み
込み角度が鋼板の上面側と下面側とで異なり、かつ上側
ワークロールの周速と下側ワークロールの周速を異にし
て鋼板をブライト冷間圧延する方法であって、冷間圧延
機のワークロールと鋼板とのなす咬み込み角度の大きい
側のワークロール周速を高周速とすることを特徴とする
ブライト鋼板の冷間圧延方法。
【0018】(2)上側ワークロールの周速と下側ワー
クロールの周速を異にして鋼板をブライト冷間圧延する
方法であって、潤滑油の供給方法として鋼板上下面で供
給量に差を設け、供給量の少ない側のワークロール周速
を高周速とすることを特徴とするブライト鋼板の冷間圧
延方法」にある。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明において、異周速圧延する
のは、下記するように鋼板表面に高光沢を付与するため
である。
【0020】先ず、異周速圧延のPV圧延(引張圧延)
について、日本金属学会会報 第19巻、第2号(19
80)P90に基づいて説明する。
【0021】図3は、等周速圧延における圧延状態を示
す図である。普通の等周速圧延では、圧延中のロールバ
イト内の鋼板の速度Vは入側付近ではロール周速V1よ
りおそく、逆に出側付近では早くなっている。図3に示
すように、上および下ロール1、2は等周速で回転して
おり、被圧延材3は圧延されて板厚が減少し、圧延材4
となる。この場合、圧延中の被圧延材の速度vとロール
周速V1が一致する点Nを中立点と呼び、また、被圧延
材の出側板速とロール周速との速度比率(v1/V−
1)を先進率と呼んでいる。
【0022】図4は、PV圧延における圧延状態を示す
図で、異周速圧延を中立点で表現すると、PV圧延では
同図に示すように高周速ロール側の中立点N1はロール
バイト(ロールと被圧延材と接触している部分)の出口
に、また低周速側の中立点N0はロールバイトの入口に
くるようにした圧延である。このとき、体積一定の原理
よりv0・h0=v1・h1であるから、ロール周速比V1/
V0はV1/V0=v1/v0=h0/h1となり、 ここで V1:高速ロール側の周速(m/min) V0:低速ロール側の周速(m/min) v1:出側の板速度(m/min) v0:入側の板速度(m/min) h1:出側の板厚(mm) h0:入側の板厚(mm) この条件が上下の中立点がロール間隙内にあるための限
界と言える。従って、異周速圧延で中立点がロールバイ
ト内にあるためには、 1<V1/V0<h1/h0 を満足させる必要がある。逆に、この範囲内であれば、
異速比を変化させ得ることになる。
【0023】異周速圧延によれば、鋼板の上下面の内、
低周速側の導入油量は通常の等速圧延時より少なくな
る。従って、低周速側は境界潤滑の割合が高くなり、光
沢は向上しやすくなる。また、異周速圧延では、低周速
ロール側は先進率が大きくなる。本発明者らの調査・研
究によれば、鋼板の光沢度は先進率が大きい程高くな
る。圧延時に導入された油膜はロールバイト内で延ばさ
れ、最圧下点で最も薄くなる。なぜなら、体積一定の条
件を考えれば、板厚の減少に伴い、板は伸びる。従っ
て、鋼板の上下面の表面積は圧下にともない、増加して
いく。これにともない、板表面を覆う油膜は面積を広
げ、薄くなるのである。この最も薄くなった時にロール
と材料の相対すべりが最も大きくなれば、ロールと材料
が接触しやすい状態で材料表面が平滑化され易くなり、
光沢が高くなる。先進率とは、ロール周速に対する出側
鋼板速度の比率であるから先進率が大きい程出側(即
ち、最圧下点)での鋼板速度とロール周速の相対速度は
大きくなる。このため、低周速側の光沢が高くなるので
ある。
【0024】以上のように、異周速圧延によれば、低周
速側の導入油量が少ないこと、低周速側の先進率が高
く、ロール−材料間の相対すべりが大きいことの2つの
理由により低周速側は美麗で高光沢な表面になるのであ
る。
【0025】通常光沢が要求されるのは鋼板の片面のみ
で、製品の表面になる面のみを高光沢とすればよい。
【0026】次に、冷間圧延のワークロールと鋼板との
なす咬み込み角度の大きい側のワークロール周速または
潤滑油の供給量の少ない側のワークロール周速を高周速
にする理由について以下に説明する。
【0027】図1は、異周速圧延での中立点の移動を説
明するための図である。同図に示すように上ロール1を
高周速ロール、下ロール2を低周速ロールとした場合、
異周速圧延中、中立点位置は上下で異なり、高周速ロー
ル側の中立点N1は低周速ロール側の中立点N0よりも出
側にある。圧延時の摩擦係数が常に一定であるならば、
上下とも中立点位置は変わらず圧延は安定するが、上ロ
ールが摩耗したり、上ロールの潤滑条件がよくなると摩
擦係数が低下し中立点は出側にずれてくる。この状態が
継続されると、やがて高周速ロール側の中立点がロール
バイト内から飛び出し、圧延が不安定になってチャタリ
ングが発生する。
【0028】ところで、実際に異周速圧延で中立点がロ
ールバイト内にくる条件の周速比で圧延を行ってみる
と、圧延初期はチャタリングの発生はみられないが、圧
延時間が少し長くなると圧延が不安定になりチャタリン
グが発生する場合があった。
【0029】この原因を究明するため、ロールけがき法
(ロール上にけがき線を入れ、圧延により転写したけが
き線間隔とロール周長よりもとめる)により先進率を測
定したところ、いずれの条件においても高周速側の先進
率が負になっていることが分かった。更にこの原因を調
査すると、初めに上下のロール粗度を同一にしておいて
も圧延が進むに連れて高周速側のロールが早く摩耗し、
摩擦係数が小さくなることが分かった。
【0030】次に、タンデム圧延機でチャタリングが発
生するメカニズムを調査した。その結果タンデム圧延機
においては、テンションメータロール等の雑ロールが存
在するため、パスラインが傾斜している。パスラインの
傾斜角により上側ロールと下側ロールで鋼板との咬み込
み角が異なっている。このとき、ワークロールと鋼板の
間に導入される油量は 公知文献 塑性と加工 vol.7
No.66(1966)P383に示される入口油膜パラメーターで
表すと、 td= [η(UR+US)]/[αP] ここで、td:圧延油の油膜厚さパラメーター η :圧延油の粘度 UR:ワークロールの周速 US:鋼板の速度 α :咬み込み角度 P :鋼板の変形抵抗
【0031】
【数1】
【0032】この式中の咬み込み角αは主として圧下率
によって決まり、単なるパスラインの傾斜では影響され
ないと思われていた。しかしながら、実際にパスライン
を傾斜させて圧延してみると、角度を大きくした側の潤
滑状態が悪くなり、圧延後の表面を観察しても明らかに
潤滑条件に違いがあることがわかった。ここでは、仮に
入口油膜パラメーターを使用しているが、実際にパスラ
インによる咬み込み角の違いが上記の式で表せるか否か
は定かではない。しかし、定性的にはこの理解でほぼ妥
当と考えられる。このように上下でパスラインの傾斜に
起因する咬み込み角の違いがあると、実際に導入される
油量も変わってしまう。その結果上下でロールの摩耗量
に差が現れ、ロール粗度差となるわけである。上下ロー
ルの粗度差は上下ロールの摩擦係数差となり、モータの
トルク負荷に差が生じてくる。この時、モータの電流値
は上下で同じになるよう制御されていると、トルクが軽
減する分を速度で保証しようとして圧延速度が変化して
しまい、結果として異周速圧延を行うことになる。この
時、モータの回転速度(即ち、ロール周速)が上昇する
のは、トルク負荷の低減した側即ち、摩擦係数の低い側
になってしまう。つまり、大径ロールのタンデムミルに
よる圧延でも、上記した異周速圧延で高周速ロール側の
摩耗が進み、摩擦係数が小さくなった場合と全く同じ現
象が起こっていたわけである。
【0033】そこで、本発明では大径ロールのタンデム
ミルによる圧延で発生するチャタリングの発生を防止す
るために、(1)冷間圧延機のワークロールと鋼板との
なす咬み込み角度の大きい側のワークロール周速を高周
速とする、かまたは(2)潤滑油の供給方法として鋼板
上下面で供給量に差を設け、供給量の少ない側のワーク
ロール周速を高周速とするのである。
【0034】すなわち、大径ロールのタンデムミルによ
る圧延では、上記したようにパスラインが傾斜している
ので、咬み込み角度が鋼板の上下面で異なっており、咬
み込み角度の小さい側への潤滑油の供給量が多くなる。
そのため、咬み込み角度の小さい側のロールが他のロー
ルより高速回転し、ロールの摩耗も速くなる。そこで、
咬み込み角度の大きい側のワークロール周速を他方のロ
ールよりも高周速とすることにより、上下ロールの摩耗
量のバランスがとれて、中立点をロールバイト内に維持
(先進率を正に)することができるのである。
【0035】また、ロール上側とロール下側とで潤滑油
の供給量に差を設けて、供給量の少ない側のロールの周
速を高周速とすることによっても、上下ロールの摩耗量
のバランスがとれて、中立点をロールバイト内に維持
(先進率を正に)することができる。
【0036】その際の異周速率(V1/V2−1、V1:
高摩擦係数側ワークロール周速、V2:低摩擦係数側ワ
ークロール周速)としては、r/600(r:圧下率%)以
上にすると異速圧延の効果が発揮されやすく、またr/10
0以下とすると中立点がバイトの外に出にくいことか
ら、r/600〜r/100以下程度にするのが好ましい。
【0037】なお、上記圧下率はつぎの通りとする。
【0038】r=[(h0−h1)/h0]×100 h
0:入側板厚、h1:出側板厚 また、上下のロールを異周速にする方法としては、上下
のワークロール回転数を変化させる機能を付与すればよ
いが、このような機能を付与できない場合、例えば、ロ
ールモーターが一つしかないような圧延機の場合は、ワ
ークロール径を変えることで対応できる。このときのワ
ークロール径の比率も周速の比率としてチャタリングが
発生しない範囲内にすることは当然である。
【0039】使用する圧延機は、通常普通鋼の圧延に使
用されているワークロールの直径が150〜800mm
程度の2Hiまたは4Hiのタンデムミルでよい。
【0040】なお、本発明の方法は、被圧延材としてス
テンレス鋼板に限られるものではなく、高光沢の要求さ
れる鋼板に適用できる他、表面が粗い鋼板を低粗度化す
る方法としても有効である。低粗度化されるのは、高光
沢が得られる原理と同じで、ロールと鋼板間でのすべり
の大きい側で鋼板表面の平滑化効果が大きいからであ
る。
【0041】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例に基づき説明す
る。
【0042】(実施例 1)板厚0.8mm、板幅10
00mmのフェライト系ステンレス鋼板SUS430を
焼鈍、酸洗後、ワークロール径600mm、ワークロー
ル粗度Ra0.05μmの4Hi圧延機で圧延した。圧延
速度は200mpm一定であり、潤滑油としては、粘度
10cSt(at40°)の鉱油系潤滑油をニートで用い、上
下面に同じ供給量をスプレー塗布した。表1に示す条件
でパスラインを変えてロールの鋼板咬み込み角度を種々
変えた。その際のステンレス鋼板の光沢度(片面)をJ
ISZ 8741(GS45゜)の規定に従い測定すると
共にチャタリングの発生状況を目視で観察し、圧延安定
性として下記の基準で評価した。
【0043】
【表1】
【0044】圧延方向に対し、直角方向に発生したチャ
タリングによる筋状マークが全くない場合○、ロールが
1周する周期内に筋状マークが1つでもある場合を△、
1周期で筋状マークが10以上ある場合を×とした。結
果を併せて表1に示す。表中に明らかなように本発明方
法によれば、光沢が高くかつ安定した異周速圧延が実施
可能である。
【0045】(実施例 2)板厚0.6mm、板幅12
00mmのC含有量0.03重量%の低炭素鋼を焼鈍
後、ワークロール粗度Ra0.02μmの4Hi圧延機で
圧延した。圧延速度は800mpm一定であり、潤滑油は普通
鋼圧延用として市販されている牛脂系圧延油(50℃で
粘度35cSt)を3%エマルションとして用いた。表2
に圧延条件を示すが、上下で潤滑油供給量を変えた場合
と、ロール径を変えた場合との比較を行った。
【0046】圧延後実施例1と同じ方法でチャタリング
を観察し、鋼板の表面光沢度を測定した。その結果を表
2に示す。表中の圧延安定性の評価基準は実施例1と同
じである。
【0047】
【表2】
【0048】図5は、表2に示す結果を図にしたもの
で、光沢度と圧下率との関係を示す。図6は、この実施
例で得られた結果を図にしたもので、圧延荷重と圧下率
の関係を示す。
【0049】本発明法により、光沢度も高くチャタリン
グの発生もなく安定して圧延が可能であった。また、本
発明法で異速率を変化させると圧延荷重も低減でき薄物
の圧延時には有利となることも確認された。
【0050】
【発明の効果】本発明方法によれば、大径ロールを用い
たタンデムミルで、上下ロールの異速比の関係を適宜選
択することにより高い光沢度を有するブライト鋼板が得
られ、かつ、安定して圧延を持続させることが可能とな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】異周速圧延における圧延状態を示す図である。
【図2】圧延機の入側でのパスラインの傾斜を示す図で
ある。
【図3】等周速圧延における圧延状態を示す図である。
【図4】異周速PV圧延における圧延状態を示す図であ
る。
【図5】圧下率と光沢度の関係を示す図である。
【図6】圧下率と圧延荷重の関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷間圧延機のワークロールと鋼板とのなす
    咬み込み角度が鋼板の上面側と下面側とで異なり、かつ
    上側ワークロールの周速と下側ワークロールの周速を異
    にして鋼板をブライト冷間圧延する方法であって、冷間
    圧延機のワークロールと鋼板とのなす咬み込み角度の大
    きい側のワークロール周速を高周速とすることを特徴と
    するブライト鋼板の冷間圧延方法。
  2. 【請求項2】上側ワークロールの周速と下側ワークロー
    ルの周速を異にして鋼板をブライト冷間圧延する方法で
    あって、潤滑油の供給方法として鋼板上下面で供給量に
    差を設け、供給量の少ない側のワークロール周速を高周
    速とすることを特徴とするブライト鋼板の冷間圧延方
    法。
JP18897796A 1996-07-18 1996-07-18 ブライト鋼板の冷間圧延方法 Pending JPH1029002A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101518629B1 (ko) * 2013-12-20 2015-05-07 주식회사 포스코 스티킹을 방지하는 열간 압연 방법
CN110193610A (zh) * 2019-06-20 2019-09-03 苏州真懿精密器械有限公司 长线径比薄壁零件车削加工方法

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