JP3368841B2 - 冷間タンデムミルの圧延方法 - Google Patents

冷間タンデムミルの圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷間タンデムミルに
おけるチャタリングおよびヒートスクラッチを防止した
冷間タンデムミルの圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間タンデムミルでの圧延において、ロ
ール組替え直後にはワークロールの粗度が大きいため、
ロールと圧延材との間における摩擦力が大きく、潤滑が
不足することに起因するチャタリングが発生する。一
方、圧延が進むに従って、ワークロール粗度は低下する
ために、ロールと圧延材の摩擦力が低くなり、潤滑が過
多となることに起因したチャタリングが発生する。チャ
タリング現象は圧延機の異常振動であり、通常は圧延速
度を低下させるなどの対応をとっているため、生産能率
を低下させる原因となっている。
【0003】このような圧延異常を防止する目的で、先
進率が適正な値となるように制御する方法として、摩擦
係数モデル式からクーラント供給量を演算し、供給量を
制御する方法が特公平6−13126号公報に示されて
いる。また、特公平6−104246号公報では、圧下
率、張力および圧延速度の少なくとも一つの設定を変更
することによって先進率を適正範囲に制御する方法が示
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような先進率を
ある範囲に制御する方法では、圧延異常が生じる先進率
を各スタンドごとに経験的に決定する必要がある。例え
ば特公平6−104246号公報では、先進率の目標範
囲として、前段では0〜8%程度、中段では0〜5%、
最終スタンドでは−1〜5%程度であることが示されて
いる。ところが、実際には最終スタンドにおける先進率
が2%程度であってもチャタリングが発生する場合もあ
り、圧延材のサイズや鋼種、圧延速度によっても各スタ
ンドの先進率の適正範囲は変化する。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、スタンド別に先進率の目
標範囲を設定する必要はなく、圧延材のサイズや鋼種、
圧延速度の変化に対しても、チャタリングおよびヒート
スクラッチを防止するための摩擦係数を適正に設定する
ことができ、もって、サイクルあたりの圧延量の拡大や
圧延速度のアップが可能となる冷間圧延方法を提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】まず、第1の発明は、最
終スタンドの摩擦係数が、隣接する上流側スタンドでの
摩擦係数から決定される目標範囲となるように、最終ス
タンドの潤滑条件を設定する冷間タンデムミルの圧延方
法である。次に、第2の発明は、摩擦係数の目標範囲
を、最終スタンドに隣接する[上流側スタンドでの摩擦
係数]×[圧延速度]の値から決定する。更に第3の発
明は、最終スタンドに隣接する上流側スタンドの摩擦係
数が一定値以下であり、最終スタンドに隣接する上流側
スタンドの摩擦係数に対する最終スタンドの摩擦係数の
比を0.9以上、1.1以下となるように、最終スタン
ドとその上流側スタンドの潤滑条件を設定する。
【0007】これらの圧延方法は、以下の知見に基づ
く。従来からチャタリングは、摩擦係数が高すぎても、
低すぎても発生しやすいこと、およびチャタリングが発
生しやすいスタンドはタンデム圧延機の最終スタンドま
たはその上流スタンドであることが、経験的に知られて
いたが、本発明者らはチャタリング現象の発生メカニズ
ムを詳細に検討した結果、次のような新たな知見を得
た。すなわち、チャタリングの発生に対しては、従来か
ら言われているように単一のスタンドの摩擦係数や先進
率が影響を与えるのではなく、最終スタンドおよびその
上流スタンドとの摩擦係数のバランスが大きな影響を与
える。最終スタンドの摩擦係数が低すぎる場合には最終
スタンドの圧延機の振動が不安定になりやすく、最終ス
タンドの摩擦係数が高すぎる場合には、最終スタンドに
隣接する上流側スタンドの圧延機の振動が不安定になり
やすいことが分かった。
【0008】図4には、タンデムミルにおける最終スタ
ンドの摩擦係数μ(n)およびそれに隣接する上流スタ
ンドの摩擦係数μ(n−1)が、圧延機の振動安定性に
対して及ぼす影響を示している。図の縦軸に示したパラ
メータは、微小なロールギャップの周期的変動に対する
圧延荷重の変化量ΔP/ΔSの絶対値と、ロールギャッ
プの変化に対する荷重応答の時間遅れTdの積で表さ
れ、この値が大きいほど振動の安定性が低下することを
示している。すなわち圧延ロールの上下方向変位に対し
て、荷重応答が位相遅れを有することで、圧延機の自励
的な振動が発生しやすくなり、その影響は荷重変化が大
きいほど大きくなる。圧延ロールの変位に対する荷重応
答の位相遅れは、スタンド間張力の応答がロール変位に
対して位相遅れを有することが原因となって発生し、ス
タンド間張力の位相遅れは、張力の変動が材料速度の時
間積分の特性を有することが原因となっている。この圧
延ロールの微小な周期的変動に対する圧延荷重の応答お
よびスタンド間張力の応答を図5に表す。ところで、連
続圧延機におけるスタンド間張力の変動は、単独のスタ
ンドではなく、複数の圧延機における圧延現象が影響を
与える。したがって、チャタリングを防止するために、
単独のスタンドごとに圧延条件を制御するのは適切では
なく、スタンド間張力の変動を介して影響を与えあう複
数のスタンドの圧延条件のバランスを制御する必要があ
る。
【0009】このような考え方に基づいてタンデムミル
の最終スタンドおよびこれに隣接する上流スタンドの摩
擦係数の比と、それぞれのスタンドの安定性を表したも
のが図4であり、摩擦係数比μ(n)/μ(n−1)が
小さい場合には最終スタンドが不安定となり、μ(n)
/μ(n−1)が大きい場合にはそれに隣接する上流ス
タンドが不安定となる。本発明のチャタリング防止方法
の基本的な考え方は、このような摩擦係数比μ(n)/
μ(n−1)には最適範囲が存在することを利用したも
ので、最終スタンドに隣接する上流スタンドの摩擦係数
に基づいて最終スタンドの摩擦係数に関する目標範囲を
決定し、この目標範囲に制御するように最終スタンドの
潤滑条件を変更することで、チャタリングを防止するも
のである。ところで、チャタリングを防止するために有
効なμ(n)/μ(n−1)の範囲としては、鋼種やサ
イズ別に操業データを分析することで経験的に求めるこ
とが可能であるが、通常は0.8〜1.2程度であり、
板厚0.2mm以下の薄物材の中で硬質な材料について
は0.9〜1.1程度である。
【0010】すなわち、振動の安定性は圧延速度の上昇
に伴って低下することから、目標とする摩擦係数比の範
囲を圧延速度の関数として設定することによって、より
潤滑条件の制御が容易となる。
【0011】このようにして決定される最終スタンドと
その上流スタンドの摩擦係数μ(n)、μ(n−1)の
目標範囲を図4に示す。最終スタンドとそれに隣接する
上流スタンドの摩擦係数比を0.9〜1.1の範囲に制
御することで、チャタリングおよびヒートスクラッチを
防止することが可能である。ただし圧延速度が1000
mpm以下では、この範囲外であってもチャタリングが
発生しないケースもあるため、圧延速度がそれ以上とな
った場合にのみ制御を実施しても同様の効果が得られ
る。
【0012】一方、冷間タンデム圧延におけるヒートス
クラッチは、圧延材の温度が一定値以上となった場合に
発生することが知られている。圧延材の温度は、圧下
率、圧延速度、変形抵抗やクーラント流量を含む潤滑条
件などによって変化するが、界面における摩擦係数の大
小によっても、摩擦による発熱量が大きく変化するため
圧延材と圧延ロールとの界面温度が変化する。特に、タ
ンデムミルのヒートスクラッチは、中間スタンド、すな
わち5スタンドミルであれば第4スタンド付近にて発生
するケースが多い。したがって、最終スタンドに隣接す
る上流側スタンドの摩擦係数を限界値以下に制御するこ
とで、ヒートスクラッチの発生を低減することが可能で
ある。そこで、摩擦係数の限界値μ* (n−1)として
は、圧延材の鋼種やサイズ、クーラント流量の設定値等
の圧延条件に応じて、ヒートスクラッチが発生しない値
を経験的に設定し、限界摩擦係数のテーブルを作成す
る。あるいは、各スタンドにおける圧延材の温度変化を
予測する計算モデルを使用して、圧延材の温度が一定値
以下となるための摩擦係数を計算によって求める。
【0013】以上のように、最終スタンドに隣接する上
流スタンドの摩擦係数に関する限界値μ* (n−1)
を、前述したような方法によってヒートスクラッチが発
生しない値を設定するとともに、最終スタンドとそれに
隣接する上流スタンドの摩擦係数比を0.9〜1.1の
範囲に制御することで、チャタリングおよびヒートスク
ラッチを防止することが可能である。
【0014】このようにして決定される最終スタンドと
その上流スタンドの摩擦係数μ(n)、μ(n−1)の
目標範囲を図11に示す。最終スタンドに隣接する上流
スタンドの摩擦係数に関する限界値μ* (n−1)は、
前述したような方法によってヒートスクラッチが発生し
ない値を設定する。一方、最終スタンドとそれに隣接す
る上流スタンドの摩擦係数比を0.9〜1.1の範囲に
制御することで、チャタリングおよびヒートスクラッチ
を防止することが可能である。
【0015】以下では、本発明によるチャタリングおよ
びヒートスクラッチ防止方法に関して、より具体的に説
明する。本発明によるチャタリングおよびヒートスクラ
ッチ防止方法は、最終スタンドに隣接する上流側スタン
ドにおける摩擦係数μ(n−1)を予測または圧延デー
タからの演算によって推定する。この摩擦係数の値に基
づいて、最終スタンドの摩擦係数についての目標値μ*
(n−1)を設定する。この時最終スタンドに隣接する
上流側スタンドの摩擦係数μ(n−1)が限界値μ*
(n−1)を超える場合には、そのスタンドの潤滑条件
を例えばそのスタンドのクーラント流量Q(n−1)を
修正することにより変更し、限界値以下となるようにす
る。
【0016】さらに、最終スタンドに隣接する上流側ス
タンドの摩擦係数に対する最終スタンドの摩擦係数の比
が、例えば0.9から1.1の範囲から外れる場合に
は、最終スタンドと隣接する上流側スタンドの少なくと
も一方の潤滑条件を変更し、目標範囲となるようにす
る。ここで、摩擦係数を制御するための潤滑条件として
は、クーラント流量が代表的であり、以下ではクーラン
ト流量を変更する例について述べる。ただし、この他に
もエマルションの濃度や粒径を変えることでも摩擦係数
の制御は可能であり、潤滑条件としてこれらの単独又は
複合したものを選んでもかまわない。
【0017】本発明の最終スタンドあるいは上流側スタ
ンドにおける摩擦係数を予測する方法としては、圧延さ
れる材料の板厚や圧下率、クーラント供給量、エマルシ
ョンの濃度や粒径、圧延長、圧延速度などの圧延条件を
用いて、摩擦係数モデル式によって決定する。ここで摩
擦係数モデル式とは、圧延材の成分、板厚、圧下率、ロ
ール組替え後からの圧延長、圧延速度、潤滑などの条件
と摩擦係数との関係を表す式であり、例えば実績データ
を用いて重回帰分析によって作成することができる。
【0018】一方、最終スタンドあるいは上流側スタン
ドにおける摩擦係数を圧延データからの演算によって直
接求める方法がある。先進率を測定するための板速度計
とロール周速度計が設置されている場合には、先進率の
測定値および圧延荷重の測定値を用いて、摩擦係数を演
算する。一方、先進率を測定しない場合には、圧延荷重
の測定値から摩擦係数を推定する。先進率と摩擦係数と
の関係および圧延荷重と摩擦係数の関係は、Bland
&Fordの式など圧延理論モデルによって明かにされ
ており、このような関係式を用いることで先進率や荷重
の測定値から摩擦係数を推定することができる。
【0019】このようにして予測あるいは推定した最終
スタンドに隣接する上流スタンドの摩擦係数μ(n−
1)を用いて、最終スタンドにおける摩擦係数の目標値
μ* (n)の適正範囲を次のように設定する。
【0020】 α0 ×μ(n-1) <μ* (n) <α1 ×μ(n-1) (1) ここで、α0、α1は定数として与える場合と、圧延速
度の関数として与える場合がある。定数α0、α1は、
経験的に決定する値であるが、通常α0の値は0.8程
度、α1の値は1.2程度で設定される。ただし、硬質
材で板厚が0.2mm以下の材料については、α0、α
1をそれぞれ0.9、1.1程度に設定される。さら
に、これらの値を以下の式のように圧延速度Vの関数と
してもよい。
【0021】 α0 =f0 (V) α1 =f1 (V) (2) ただし、f0およびf1は圧延速度の増加と共に最適範
囲が狭くなるような関数である。
【0022】以上のようにして、設定される最終スタン
ドの摩擦係数の最適範囲に対して、前記方法により予測
あるいは演算した最終スタンドの摩擦係数μ(n)がは
ずれる場合には、最終スタンドのクーラント供給量Qを
変更して、μ(n)が目標範囲に収まるようにする。
【0023】或いは、予測或いは推測した最終スタンド
の摩擦係数μ(n)とこれに隣接する上流スタンドの摩
擦係数μ(n−1)を用いて、これらの比が次式を満た
すかどうかを判定する。
【0024】 0.9≦μ(n)/μ(n−1)≦1.1 (1’) 式(1’)を満たさない場合には、最終スタンド或いは
その上流スタンドにおける、例えばクーラント供給量を
変更して、式(1’)を満足するように設定値を修正す
る。具体的には、最終スタンドの摩擦係数を小さくする
場合に最終スタンドのクーラント供給量を増加され、最
終スタンドの摩擦係数を大きくする場合に最終スタンド
のクーラント供給量を減少させる。ただし、最終スタン
ドに隣接する上流スタンドにおける摩擦係数が低い場合
には、最終スタンドの摩擦係数の許容範囲が狭くなるこ
とから、上流スタンドの摩擦係数μ(n−1)がμ*
(n−1)以下となる条件を満たしながら、μ(n−
1)がある程度大きな値となるように制御しておくこと
が望ましい。したがって、この場合には最終スタンドお
よびその上流スタンドのクーラント流量Q(n)、Q
(n−1)の両者を変更する必要がある。
【0025】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図2は、本発明
の一実施例に係わる冷間タンデムミルの最終スタンドお
よびその上流スタンドを表している。図中2はタンデム
ミルの最終スタンドを示しており、1はそれに隣接する
上流スタンドを示している。それぞれのスタンド入側に
は、クーラントを供給するスプレーヘッダー3、4が設
置されており、最終スタンドの供給量は流量調整弁11
を用いて制御することができる。また、各スタンドの出
側には鋼板の速度を計測する板速度計12、13および
ロールの回転速度を計測する速度計16、17が設置さ
れており、それぞれのスタンドにおける先進率を計測す
る。ただし、これらの板速度計およびロール回転数の計
測装置は、本発明において必ずしも必要ではなく、圧延
荷重を測定するロードセル14、15を用いて摩擦係数
を推定してもよい。
【0026】図1は、本発明による潤滑条件の設定をフ
ローチャートで示している。先行コイルに続く次コイル
が圧延される前に、各スタンドの圧下率配分などの設定
計算が行われるが、その際、摩擦係数モデル式から最終
スタンドの摩擦係数μ(n)、およびその上流スタンド
の摩擦係数μ(n−1)を予測する。このとき最終スタ
ンドの摩擦係数の目標範囲μ* (n)を、上流側スタン
ドの摩擦係数μ(n−1)の予測値に基づいて設定す
る。最終スタンドの摩擦係数予測値μ(n)が目標範囲
からはずれている場合には、μ(n)が目標範囲に収ま
るように、最終スタンドのクーラント流量を修正する。
【0027】また、圧延中に潤滑流量をダイナミックに
変更する方法としては、圧延中の荷重を測定し、その測
定値から、最終スタンドの摩擦係数μ(n)およびその
上流スタンドの摩擦係数μ(n−1)を推定する。ある
いは先進率を測定する場合には、計測される先進率を用
いて最終スタンドの摩擦係数μ(n)およびその上流ス
タンドの摩擦係数μ(n−1)を推定する。このとき最
終スタンドの摩擦係数の目標範囲μ* (n)を、上流側
スタンドの摩擦係数μ(n−1)の推定値および圧延速
度に基づいて設定する。最終スタンドの摩擦係数予測値
μ(n)が目標範囲からはずれている場合には、μ
(n)が目標範囲に収まるように、最終スタンドのクー
ラント流量を修正して、摩擦係数のフィードバック制御
を行う。 (実施の形態2)図10は、図2に示す冷間タンデムミ
ルの最終スタンドおよびその上流スタンドをを用いた場
合における実施の形態2による潤滑条件の設定をフロー
チャートで示している。この実施の形態では、先行コイ
ルに続く次コイルが圧延される前に、各スタンドの圧下
率配分などの設定計算が行われるが、その際摩擦係数モ
デル式から最終スタンドの摩擦係数μ(n)、およびそ
の上流スタンドの摩擦係数μ(n−1)を予測する。こ
のとき最終スタンドに隣接する上流スタンドの摩擦係数
μ(n−1)とその限界値μ* (n−1)を比較し、μ
(n−1)がμ* (n−1)を超える場合にクーラント
流量Q(n−1)の設定を変更し、μ* (n−1)以下
となるようにする。さらに、μ(n)とμ(n−1)の
比が式(1)を満たさない場合には、最終スタンドある
いはその上流スタンドのクーラント流量の設定を変更す
る。
【0028】また、圧延中に潤滑流量をダイナミックに
変更する方法としては、圧延中の荷重を測定し、その測
定値から、最終スタンドの摩擦係数μ(n)およびその
上流スタンドの摩擦係数μ(n−1)を推定する。ある
いは先進率を測定する場合には、計測される先進率を用
いて最終スタンドの摩擦係数μ(n)およびその上流ス
タンドの摩擦係数μ(n−1)を推定する。このように
して推定した摩擦係数μ(n)およびμ(n−1)が上
記と同様な範囲となるように、ダイナミックにクーラン
ト流量を変更し、摩擦係数をフィードバック制御する。
【0029】
【実施例】(実施例1)本発明による第1の実施例につ
いて、図3に示す冷間5スタンドタンデムミルによる結
果を説明する。使用した冷間タンデム圧延機は、4Hi
形式であり、ワークロール径はφ580mm、バックア
ップロール径はφ1400mmである。各スタンドの入
側には、クーラントとして牛脂を基油として濃度2.5
%のエマルションを供給するヘッダーを備えている。本
実施例では、スタンド間の鋼板に直接クーラントを提供
するヘッダー6の供給量を変更している。圧延材は普通
鋼であり、平均サイズは板厚0.25mm、板幅870
mmである。最終スタンドの摩擦係数μ5およびその上
流スタンドの摩擦係数μ4については、圧延荷重の測定
値に基づいて推定している。最終スタンド入側のヘッダ
ー6によるクーラント供給量Qを一定値とした場合に、
コイル数に対する摩擦係数の推移を図8に示す。圧延開
始からワークロールの磨耗に伴って表面粗さが低下し、
最終スタンドの摩擦係数μ5およびその上流スタンドの
摩擦係数μ4共に低下している。このときの摩擦係数の
比μ5/μ4をプロットした図からは、その値が0.8
よりも小さくなった場合にチャタリングが発生している
ことが分かる。
【0030】本発明による潤滑条件の設定方法では、先
ず次コイルの圧延前に最終スタンドの摩擦係数μ5およ
びその上流スタンドの摩擦係数μ4を予測する。このと
き最終スタンドの摩擦係数μ5が式(3)を満たす場合
には、ヘッダー10からの供給量を先行コイルと同一と
する。
【0031】 0.8 ×μ4 <μ5 <1.2 ×μ4 (3) ただし、最終スタンドの摩擦係数μ5が式(3)を満た
さない場合には、ヘッダー6からの供給量を修正して設
定を行う。具体的には、摩擦係数モデル式として、圧延
材の成分、板厚、圧下率、ロール組替え後からの圧延
長、圧延速度、クーラント供給量、濃度、粒径から摩擦
係数を予測する重回帰式を予め作成しており、最終スタ
ンドの摩擦係数μ5が目標となるようなクーラント供給
量を計算している。
【0032】このような設定方法による実施例を図6に
示す。本実施例では、ヘッダー6による最終スタンドの
クーラント供給量Qをコイルごとに変更することによっ
て、摩擦係数比μ5/μ4を一定範囲に収めることがで
き、チャタリングが発生したコイルはなかった。 (実施例2)次に、最終スタンドの摩擦係数をダイナミ
ックに制御する第2の実施例について説明する。本実施
例では、第1の実施例と同一のタンデムミルを使用し、
最終スタンドの摩擦係数μ5およびその上流スタンドの
摩擦係数μ4を圧延中に計算する。対象とした圧延材
は、原板厚1.9mm、製品厚0.18mm、板幅85
0mmの普通鋼である。
【0033】最終スタンド入側のヘッダー6によるクー
ラント供給量Qをコイル内で一定値とした場合に、圧延
速度に対する摩擦係数の推移を図9に示す。圧延速度の
増加に伴って、μ4、μ5共に低速度域では低下するも
のの、高速度域では増加する傾向が生じる。このときの
摩擦係数の比μ5/μ4が1.2を超えた場合にチャタ
リングが発生していることが分かる。
【0034】本発明によるクーラント条件の設定方法で
は、最終スタンドの摩擦係数の目標範囲μ* 5を、圧延
速度V(m/min)の関数として、式(4)に示すよ
うに設定した。
【0035】 (1.33×10-4V+0.43)μ4 <μ* 5 <(−6.67×10-5V+1.23)μ4 (4 ) このとき、摩擦係数μ4とμ5を圧延中に随時計算し、
最終スタンドの摩擦係数μ5が式(4)の目標範囲から
はずれないように、ヘッダー6によるクーラント供給量
Qをダイナミックに変更する。このような設定方法によ
る実施例を図7に示す。本実施例では、ヘッダー6によ
る最終スタンドのクーラント供給量Qを速度に応じて変
更することによって、摩擦係数比μ5/μ4を一定範囲
に収めることができ、チャタリングは発生しない。 (実施例3)本発明による第3の実施例について、図3
に示す冷間5スタンドタンデムミルによる結果を説明す
る。使用した冷間タンデム圧延機に関する条件は、実施
例1と同様である。
【0036】最終スタンド入側のヘッダー6によるクー
ラント供給量Q5およびその上流スタンド入側のヘッダ
ー5によるクーラント供給量Q4を一定値とした場合
に、コイル数に対する摩擦係数の推移を図14に示す。
圧延開始から、ワークロールの磨耗に伴って表面粗さが
低下し、最終スタンドの摩擦係数μ5およびその上流ス
タンドの摩擦係数μ4共に低下している。このときの摩
擦係数の比μ5/μ4をプロットした図からは、その値
が0.9よりも小さくなった場合にチャタリングの発生
頻度が高くなっていることが分かる。また、μ4が0.
018以上でヒートスクラッチが発生するコイルが存在
する。
【0037】本発明による圧延条件の設定方法では、先
ず次コイルの圧延前に最終スタンドの摩擦係数μ5およ
びその上流スタンドの摩擦係数μ4を予測する。このと
き摩擦係数の限界値μ* 4を0.018に設定する。摩
擦係数μ4がμ* 4を超える場合にはヘッダー5による
クーラント供給量Q4を増加させ、μ* 4以下の場合に
はヘッダー5からの供給量を先行コイルと同一とする。
具体的には、摩擦係数モデル式として、圧延材の成分、
板厚、圧下率、ロール組替え後からの圧延長、圧延速
度、クーラント供給量、濃度から摩擦係数を予測する重
回帰式を予め作成しており、最終スタンドに隣接する上
流スタンドの摩擦係数μ4が限界値以下となるようなク
ーラント供給量を計算する。さらに、このようにして供
給量Q4を変更することで修正されたμ4の予測値と最
終スタンドの摩擦係数μ5との比が式(1)を満たすよ
うに、供給量Q4、Q5の設定値を変更する。
【0038】このような設定方法による実施例を図12
に示す。本実施例では、ヘッダー5、6によるクーラン
ト供給量Q4、Q5をコイルごとに変更することによっ
て、摩擦係数μ4をμ* 4以下とし、摩擦係数比μ5/
μ4を0.9から1.1の範囲に収めることができ、チ
ャタリングおよびヒートスクラッチが発生したコイルは
なかった。 (実施例4) 一方、摩擦係数をダイナミックに制御す
る第4の実施例について説明する。本実施例では、第3
の実施例(第1の実施例)と同一のタンデムミルを使用
し、最終スタンドの摩擦係数μ5およびその上流スタン
ドの摩擦係数μ4を圧延中に計算する。対象とした圧延
材は、原板厚1.9mm、製品厚0.18mm、板幅8
50mmの普通鋼である。
【0039】ヘッダー5、6によるクーラント供給量Q
4、Q5をコイル内で一定値とした場合の圧延速度に対
する摩擦係数の推移については、図9を用いてすでに説
明したように、圧延速度の増加に伴って、μ4、μ5共
に低速度域では低下するものの、高速度域では増加する
傾向が生じる。このときの摩擦係数の比μ5/μ4が
1.2を超えた場合にチャタリングが発生していること
が分かる。
【0040】本発明による圧延条件の設定方法では、摩
擦係数μ4とμ5を圧延中に随時計算し、最終スタンド
に隣接する上流スタンドにおける摩擦係数μ4が限界値
μ*4以下で、圧延速度1000mpm以上の領域では
最終スタンドの摩擦係数μ5とμ4との比が式(1)の
目標範囲からはずれないように、ヘッダー5、6による
クーラント供給量Q4、Q5をダイナミックに変更す
る。このような設定方法による実施例を図13に示す。
本実施例では、ヘッダー5、6によるクーラント供給量
Q4、Q5を速度に応じて変更することによってチャタ
リングおよびヒートスクラッチは発生しない。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、チャタリングの発生
が、最終スタンドの摩擦係数およびその上流スタンドの
摩擦係数との関係に支配される、という新たな知見に基
づいて、最終スタンドの摩擦係数の目標範囲を決定し、
更にまたねヒートスクラッチが発生しないように最終ス
タンドに隣接する上流スタンドの摩擦係数を一定値以下
に制御するので、従来技術のようにスタンド別に先進率
の目標範囲を設定する必要はなく、圧延材のサイズや鋼
種、圧延速度の変化に対しても、チャタリングおよびヒ
ートスクラッチを防止するための摩擦係数を適正に設定
することができる。したがって、サイクルあたりの圧延
量の拡大や圧延速度のアップが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるクーラント条件設定方法のフロー
チャート。
【図2】本発明を実施するためのタンデムミルにおける
最終2スタンドの一例を示す図。
【図3】本発明を実施するためのタンデムミルにおける
最終2スタンドの他の例を示す図。
【図4】最終スタンドとその上流スタンドの摩擦係数
が、それぞれのスタンドにおける振動の安定性に及ぼす
影響を示す図。
【図5】図4に関連してロールの上下変位に対する圧延
荷重と張力の応答を表している図。
【図6】本発明が適用された操業結果の例を示す図。
【図7】本発明の別の実施例を示す図。
【図8】従来法による操業結果を示す図。
【図9】従来法による操業結果を示す図。
【図10】本発明による圧延条件設定方法のフローチャ
ート。
【図11】最終スタンドとその上流スタンドの摩擦係数
がチャタリングおよびヒートスクラッチの発生に及ぼす
影響を示す図。
【図12】本発明が適用された操業結果の例を示す図。
【図13】本発明の別の実施例を示す図。
【図14】従来法による操業結果を示す図。
【符号の説明】
1:最終スタンドに隣接する上流側スタンド 2:最終スタンド 3、4、5、6:スプレーヘッダー 7:ポンプ 8、9、10、11:クーラント流量制御装置 12、13:板速度計 14、15:ロードセル 16、17:ロール周速度計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜井 義己 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式け会社内 (72)発明者 友常 茂宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−192935(JP,A) 特開 平9−239417(JP,A) 特開 昭63−72417(JP,A) 特開 平1−245912(JP,A) 特開 昭63−49315(JP,A) 特開 昭62−72409(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 45/02 310 B21B 37/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最終スタンドに隣接する上流側スタンド
    の摩擦係数に基づいて該最終スタンドの摩擦係数の目標
    範囲を設定する工程と、最終スタンドの摩擦係数がこの
    設定された目標範囲となるように、最終スタンドとこれ
    に隣接する上流側のスタンドの潤滑条件の少なくとも一
    方を設定する工程とを備えたことを特徴とする冷間タン
    デムミルの圧延方法。
  2. 【請求項2】 前記目標範囲を設定する工程は、摩擦係
    数の目標範囲を、最終スタンドに隣接する[上流側スタ
    ンドでの摩擦係数]×[圧延速度]の値に基づいて設定
    する工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷
    間タンデムミルの圧延方法。
  3. 【請求項3】 最終スタンドに隣接する上流側スタンド
    の摩擦係数が一定値以下となるように上流側スタンドの
    潤滑条件を設定する工程と、最終スタンドに隣接する上
    流側スタンドの摩擦係数に対する最終スタンドの摩擦係
    数の比が0.9以上、1.1以下となるように、最終ス
    タンドとその上流側スタンドの潤滑条件の少なくとも一
    方を設定する工程とを備えたことを特徴とする冷間タン
    デムミルの圧延方法。
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