JPH09118543A - 被膜形成用組成物の製造方法および被膜形成法 - Google Patents

被膜形成用組成物の製造方法および被膜形成法

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JPH09118543A
JPH09118543A JP27859195A JP27859195A JPH09118543A JP H09118543 A JPH09118543 A JP H09118543A JP 27859195 A JP27859195 A JP 27859195A JP 27859195 A JP27859195 A JP 27859195A JP H09118543 A JPH09118543 A JP H09118543A
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Koichiro Nakamura
浩一郎 中村
Koichi Maeda
浩一 前田
Katsuhiko Kinugawa
勝彦 衣川
Toshifumi Tsujino
敏文 辻野
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 量産性に優れたグラビアコート法などの被膜
形成方法を用いて、仕上がり外観や被膜性能が優れた被
膜形成用組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】 珪素化合物の加水分解物と、ジルコニウ
ム、チタニウム、セリウムおよびアルミニウムからなる
金属の群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物の
配位安定化物とを含有する被膜形成用組成物の製造方法
において、前記珪素化合物の溶液に酸を添加して前記珪
素化合物を加水分解し、ついでその溶液に前記金属化合
物、配位安定化剤および必要に応じて溶媒を加え前記金
属化合物を配位安定化することを特徴とする被膜形成用
組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被膜形成用組成物
の製造方法、特にガラス,金属,半導体などの基板に被
膜を形成する、塗布性,保存安定性,仕上がり外観,被
膜性能に優れた被膜形成用組成物の製造方法、および被
膜形成法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス,金属,半導体などの基板に、機
能性薄膜を形成する方法が提案されている。化学的・機
械的保護機能,光学的性能を付与するために、これらの
被膜は複合酸化物が多く使われている。
【0003】ゾル−ゲル法と呼ばれている湿式塗布法
は、一般には金属アルコキシドの溶液から出発し、この
ものの加水分解とそれに続いて起こる縮重合によって進
められるものである。この方法を用いると、金属酸化物
前駆体化合物を溶液中で分子レベルで混合できるため、
均質性,混合性の高い複合酸化物を得ることが可能とな
る。したがって化学的に安定で、機械的強度に優れ、光
学的にも透明性のよい被膜が得られる。
【0004】しかしながら、ゾル−ゲル法で用いられる
金属酸化物前駆体化合物はその金属元素の持つ性質によ
り、加水分解速度が著しく異なる場合が多い。したがっ
て複数の成分からなる反応系では、反応速度の違いによ
る沈殿生成,ゲル化あるいは、粒子が成長しすぎたため
に、機械的強度,化学的安定性に劣る不均質な被膜の生
成が起こり易い。これを避けるため、反応を制御する工
夫がなされている。例えば、反応速度の速い金属酸化物
前駆体を配位結合生成により安定化させた原料液と、反
応速度の遅い金属酸化物前駆体を酸触媒などにより反応
促進した原料液を予め作製し、複合酸化物被膜中の金属
の比率が所望の値になるような割合で混合して、被膜形
成用組成物を調製する方法などである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では反応速度の異なる金属酸化物前駆体の数だけ反応
装置が必要となり、大量に被膜形成用組成物を製造する
場合にはコスト的に不利となる。
【0006】またガラス,金属,半導体などの基板への
塗布については、塗布方法によっては、仕上がり外観や
被膜性能が被膜形成用組成物やその製造方法に依存し
て、著しく影響を受ける場合がみられ、例えばグラビア
コート法により塗布したとき、平滑で均一な塗膜となら
ずスジが残り、得られた被膜にはスジ部分に白化がみら
れ透明性に劣る場合があった。
【0007】本発明は上記の従来技術の問題を解決し
て、コスト的に有利な方法で被膜形成用組成物の製造方
法を提供することを目的とするものである。さらに詳し
くは、量産性に優れたグラビアコート法などの被膜形成
方法を適用した場合に、仕上がり外観や被膜性能が優れ
た被膜形成用組成物の製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては、珪素化合物の加水分解物と、ジ
ルコニウム,チタニウム,セリウムおよびアルミニウム
からなる金属の群から選ばれた少なくとも1種の金属の
化合物の配位安定化物とを含有する被膜形成用組成物の
製造方法において、前記珪素化合物の溶液に酸を添加し
て前記珪素化合物を加水分解し、ついでその溶液に配位
安定化剤,前記金属化合物および必要に応じて溶媒を加
え配位安定化することを特徴とする被膜形成用組成物の
製造方法を用いた。
【0009】本発明で使用される珪素化合物について説
明する。本発明で使用される珪素化合物としては、下記
式で表わされる(1),(2),(3)のうち少なくと
も1種類を含有する。
【0010】
【化1】
【0011】(ここで、R1 は水素原子および炭素数1
〜5の有機基、nは自然数で縮合度を表わす。)
【0012】
【化2】 R2−Si−(OR33 (2)
【0013】(ここで、R2は炭素数1〜9の有機基、
3は水素原子および炭素数1〜5の有機基を表わ
す。)
【0014】
【化3】
【0015】(ここで、R4は炭素数1〜9の有機基、
5は水素原子および炭素数1〜5の有機基を表わ
す。)
【0016】一般式(1)で表わされる化合物は、シリ
コンアルコキシドとして一般に呼ばれている化合物であ
る。R1 は水素原子か炭素数が1〜5の有機基であるこ
とを表わし、同一または異なっていてもよい。有機基と
しては、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基な
どの直鎖状あるいは分岐状のアルキル基およびアセチル
基,メトキシエチル基,エトキシエチル基,ブトキシエ
チル基などが例示できる。
【0017】具体的には、単量体(縮合度n=1)の場
合には、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラ
ン,テトラプロポキシシランなどが挙げられる。またこ
れらの縮合体(n≧2)もしくは縮合体の混合物も好便
に用いられる。例えば縮合体としては、ヘキサエトキシ
ジシロキサン(n=2),オクタエトキシトリシロキサ
ン(n=3),デカエトキシテトラシロキサン(n=
4),エトキシポリシロキサン(n≧5)などが使用で
きる。単量体(n=1)と縮合体(n≧2)の混合物か
らなるエチルシリケート40〔組成はJ.Cihlar
の文献、Colloids and Surfaces A : Physicochem. En
g. Aspects 70 (1993年) 253頁から268頁に記載されて
おり、重量分率で単量体(n=1):12.8重量%,
2量体(n=2):10.2重量%,3量体(n=
3):12.0重量%,4量体(n=4):7.0重量
%,多量体(n≧5):56.2重量%,エタノール:
1.8重量%)である〕などが好便に使用できる。縮合
度nの値があまり大きすぎると、沈殿を生じ易くなるの
で50以下が好ましい。
【0018】一般式(2)で表わされる化合物において
2 は、炭素数が1〜9の有機基であり、具体的にはメ
チル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,2−エチル
ブチル基,オクチル基などの直鎖状あるいは分岐状のア
ルキル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基等のシ
クロアルキル基,ビニル基,アリル基,γ−メタクリロ
キシプロピル基,γ−アクリロキシプロピル基などのよ
うなアルケニル基,フェニル基,トルイル基,キシリル
基などのアリール基,ベンジル,フェネチル基などのア
ラルキル基、またはγ−メルカプトプロピル基,γ−ク
ロロプロピル基,γ−アミノプロピル基などが例示でき
る。R3 は水素原子および炭素数1〜5の有機基であ
り、一般式(1)におけるR1 に相当する有機基が用い
られる。
【0019】一般式(3)で表わされる化合物におい
て、R4 は一般式(2)で表わされる化合物におけるR
2に相当する有機基を用いることができる。またR5は一
般式(1)で表わされる化合物におけるR1 に相当する
有機基を用いることができる。
【0020】次に、珪素化合物を加水分解する酸触媒に
ついて説明する。一般的には、アルコキシド類の加水分
解触媒としては、塩酸,硝酸,硫酸などの無機酸類,酢
酸,しゅう酸,蟻酸,プロピオン酸,p−トルエンスル
ホン酸などなどの有機酸類が用いられる。本発明におい
ては、珪素化合物と金属化合物の反応速度の差を小さく
する目的で酸が添加されるが、加水分解されるアルコキ
シドの1当量に対し、少なくとも5/10000当量添
加することが好ましい。さらには、少なくとも1/10
00当量以上添加することがより好ましい。触媒という
観点からアルコキシドに対して、1当量以上の酸を加え
ることは有効であるとは考えにくいこと、また酸濃度が
高いと加水分解速度の大きい金属化合物の安定性に悪い
影響を与える可能性があることから1当量以下が望まし
い。
【0021】加水分解反応を進行させるためには、酸触
媒のほかに水が必要である。下式(I)から明らかなよ
うに、1当量のアルコキシドに対して1当量の水が作用
して加水分解反応が進行する。
【0022】
【化4】 ≡Si−OR + H2O → ≡Si−OH + OR (I)
【0023】しかしながら、式(II)から明らかなよ
うに、加水分解して生成した2当量のシラノール基が縮
合して1当量の水が生成する。この水が作用して、さら
に式(I)で示した加水分解反応が進行できることか
ら、1当量のアルコキシドに対して1当量未満の水が存
在しても、加水分解・縮合反応を完結せしめることが可
能である。
【0024】
【化5】
【0025】一方、大過剰の水の存在は酸触媒の場合
と、同様に加水分解速度の大きい金属化合物の安定性に
悪い影響を与える可能性がある。したがって本発明にお
いては、アルコキシド1当量に対して1/100から1
0当量の範囲で水が添加されることが望ましい。
【0026】次に、本発明で使用されるジルコニウム,
チタニウム,セリウムおよびアルミニウムからなる金属
の群から選ばれた、少なくとも1種の金属の化合物につ
いて説明する。本発明で使用される金属化合物として
は、一般式(4)で表わされる金属アルコキシドと呼ば
れる化合物があげられる。
【0027】
【化6】M−(OR6n (4)
【0028】(ここで、Mはジルコニウムイオン,チタ
ニウムイオン,セリウムイオンまたはアルミニウムイオ
ンの金属イオン,R6 は水素原子および炭素数1〜5の
有機基を表わす。またnは金属イオンの原子価を表わ
す。)
【0029】ジルコニウムアルコキシドとしては、一般
式(4)において、M=Zr,n=4,R6は一般式
(1)で表わされる化合物において、R1に相当する有
機基で表わされる化合物が用いられる。具体的には、テ
トラメトキシジルコニウム,テトラエトキシジルコニウ
ム,テトライソプロポキシジルコニウム,テトラn−プ
ロポキシジルコニウム,テトライソプロポキシジルコニ
ウムイソプロパノール錯体,テトライソブトキシジルコ
ニウム,テトラn−ブトキシジルコニウム, テトラsec
−ブトキシジルコニウム,テトラt−ブトキシジルコニ
ウムなどが好便に使用できる。
【0030】一般式(4)で表わされる化合物のアルコ
キシ基が、ハロゲン基で置き換わったジルコニウムモノ
クロリドトリアルコキシド,ジルコニウムジクロリドジ
アルコキシドなどの、ジルコニウムハロゲン化物のアル
コキシドなどを使用することもできる。また、上記のジ
ルコニウムアルコキシドのアルコキシ基のうちの少なく
とも一つが、酢酸,プロピオン酸,ブタン酸,アクリル
酸,メタクリル酸,ステアリン酸などの有機酸類で置き
換わったアルコキシジルコニウム有機酸塩類を用いるこ
とも可能である。
【0031】チタニウムアルコキシドとしては、一般式
(4)において、M=Ti,n=4,R6は一般式
(1)で表わされる化合物において、R1に相当する有
機基で表わされる化合物が用いられる。具体的には、テ
トラメトキシチタニウム,テトラエトキシチタニウム,
テトライソプロポキシチタニウム,テトライソプロポキ
シチタニウムイソプロパノール錯体,テトラn−プロポ
キシチタニウム,テトライソブトキシチタニウム,テト
ラn−ブトキシチタニウム, テトラsec−ブトキシチタ
ニウム,テトラt−ブトキシチタニウムなどが好便に使
用できる。これ以外にも、テトラ(2−エチルヘキシル
オキシ)チタン,テトラステアリルオキシチタン,ジ-n
-ブトキシ-ビス(トリエタノールアミナート)チタン,
チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレート,チ
タニウムステアレートなどを用いてもよい。
【0032】一般式(4)で表わされる化合物のアルコ
キシ基が、ハロゲン基で置き換わったチタニウムモノク
ロリドトリアルコキシド,チタニウムジクロリドジアル
コキシドなどのチタハロゲン化物のアルコキシドなどを
使用することもできる。また、上記のチタニウムアルコ
キシドのアルコキシ基のうちの少なくとも一つが、酢
酸,プロピオン酸,ブタン酸,アクリル酸,メタクリル
酸などの有機酸類で置き換わったアルコキシチタニウム
有機酸塩類を用いることも可能である。
【0033】アルミニウムアルコキシドとしては、一般
式(4)において、M=Al,n=3,R6は一般式
(1)で表わされる化合物において、R1に相当する有
機基で表わされる化合物が用いられる。具体的には、ト
リメトキシアルミニウム,トリエトキシアルミニウム,
トリイソプロポキシアルミニウム,トリn−プロポキシ
アルミニウム,トリイソブトキシアルミニウム,トリn
−ブトキシアルミニウム,トリsec−ブトキシアルミニ
ウム, トリt−ブトキシアルミニウムなどが好便に使
用できる。
【0034】一般式(4)で表わされる化合物のアルコ
キシ基が、ハロゲン基で置き換わったアルミニウムモノ
クロリドトリアルコキシド,アルミニウムジクロリドジ
アルコキシドなどの、アルミニウムハロゲン化物のアル
コキシドなどを使用することもできる。また、上記のア
ルミニウムアルコキシドのアルコキシ基のうちの少なく
とも一つが、酢酸,プロピオン酸,ブタン酸,アクリル
酸,メタクリル酸などの有機酸類で置き換わったアルコ
キシアルミニウム有機酸塩類を用いることも可能であ
る。
【0035】セリウム化合物としては、硝酸,炭酸,酢
酸,プロピオン酸,ブタン酸,アクリル酸,メタクリル
酸などのセリウム塩類である硝酸セリウム,炭酸セリウ
ム,酢酸セリウムなどが好便に用いられる。セリウムア
ルコキシドとしては、一般式(4)において、M=C
e,n=4,R6 は一般式(1)で表わされる化合物に
おいて、R1 に相当する有機基で表わされる化合物が用
いられる。具体的には、テトライソプロポキシセリウム
イソプロパノール錯体などが使用できる。一般式(4)
で表わされる化合物のアルコキシ基が、ハロゲン基で置
き換わったセリウムクロリドアルコキシドなどを使用す
ることもできる。
【0036】上記金属化合物を配位安定化するための配
位安定化試薬について説明する。配位安定化試薬として
は、一般式(5)で表わされるβ−ジケトン化合物,あ
るいは一般式(6)で表わされるβ−ケトエステル化合
物が用いられる。これらは単独で用いても、混合して同
時に用いてもよい。
【0037】
【化7】
【0038】(ここで、R7およびR8は有機基であり、
かつR7、R8の炭素数の合計が2以上10以下であ
る。)
【0039】R7およびR8の有機基は、一般式(1)で
表わされる化合物におけるR1 に相当する有機基を用い
ることができる。R7およびR8は,同一でも異なってい
てもよい。例えば、2,4−ペンタンジオン(別名アセ
チルアセトン,R7=R8=メチル基)、2,4−ヘキサン
ジオン(R7=メチル基,R8=エチル基)、2,4−ヘプ
タンジオン(R7=メチル基,R8=プロピル基)、2,4
−オクタンジオン(R7=メチル基,R8=ブチル基)、
3,5−ヘプタンジオン(R7=エチル基,R8=エチル
基)、3,5−オクタンジオン(R7=エチル基,R8=プ
ロピル基)、3,5−ノナンジオン(R7=エチル基,R
8=ブチル基)、1−フェニル−1,3−ブタンジオン
(ベンゾイルアセトン,R7=メチル基,R8=フェニル
基)などが挙げられる。これ以外に、 2,2,6,6-テトラ
メチル-3,5-ヘプタンジオン,ビニルアセチルアセトン
などが挙げられるが、安価に入手できる点でアセチルア
セトンが好ましい。
【0040】またβ−ケトエステル化合物としては、
【0041】
【化8】
【0042】(ここで、R9およびR10は有機基であ
り、かつR9、R10の炭素数の合計が2以上10以下で
ある。)
【0043】R9およびR10の有機基は、一般式(1)
で表わされる化合物におけるR1に相当する有機基を用
いることができる。R9およびR10 は、同一でも異なっ
ていてもよい。具体的には、アセト酢酸メチル( R9=
10=メチル基),アセト酢酸エチル(R9=メチル基,
10=エチル基),アセト酢酸プロピル(R9=メチル
基,R10=プロピル基),アセト酢酸ブチル(R9=メチ
ル基, R10=ブチル基), アセト酢酸フェニル(R9=
メチル基, R10=フェニル基)のようなアセト酢酸エス
テルを列挙することができ、これらの中でアセト酢酸ア
ルキルエステル、特にアセト酢酸メチルおよびアセト酢
酸エチルが、比較的に安価に入手できるので好適であ
る。
【0044】次に、配位安定化試薬と金属化合物の配合
割合について説明する。配位安定化試薬は、金属イオン
の一部もしくは全部を配位安定化させるように加えられ
る。ジルコニウム化合物の通常の溶液中における配位数
は最大8である。本発明において用いられるβ−ジケト
ン化合物、あるいはβ−ケトエステル化合物は2配位性
であるため、ジルコニウムイオンに対して4当量配位し
た場合に最大配位数8を満足する。また、これ以上の配
位安定化試薬が存在しても、配位安定化効果が大きく変
わるとは考えにくい。また、ジルコニウムイオンに対し
て1当量未満の配位安定化試薬しか存在しない場合に
は、配位安定化されていないジルコニウムイオンが存在
するため好ましくないと考えられる。したがって、ジル
コニウムに対し、少なくとも1当量から4当量の範囲
で、配位安定化試薬が存在することが望ましい。さら
に、配位安定化されたジルコニウム錯体の溶解性の観点
から、1当量から2当量の範囲で存在することが望まし
い。
【0045】次に、チタニウム化合物の場合について説
明する。チタニウムイオンの通常の配位数は6である。
したがって、チタニウムに対して少なくとも1当量から
3当量の範囲で、配位安定化試薬が存在することが望ま
しい。さらに、配位安定化されたチタニウム錯体の溶解
性の観点から、1当量から2当量の範囲で存在すること
が望ましい。
【0046】アルミニウム化合物については、6配位構
造が可能である。したがって、アルミニウムイオンに対
して、少なくとも1当量から3当量の範囲で配位安定化
化合物が存在することが好ましい。さらに好ましくは、
生成した錯体の溶解性の観点から1当量から2当量の範
囲で存在することが好ましい。
【0047】セリウム化合物については、8配位構造が
可能である。したがって、セリウムイオンに対して少な
くとも1当量から4当量の範囲で、配位安定化化合物が
存在することが好ましい。さらに好ましくは、生成した
錯体の溶解性の観点から1当量から2当量の範囲で存在
することが好ましい。
【0048】本発明の組成物に用いられる有機溶媒は、
被膜形成方法に依存する。例えば、グラビアコート法,
フレキソ印刷法,ロールコート法の有機溶媒としては、
蒸発速度の遅い溶媒が好適である。これは蒸発速度が速
い溶媒では、充分にレベリングが行われないうちに溶媒
が蒸発してしまうためである。溶媒の蒸発速度は、酢酸
ブチルのそれを100とした相対蒸発速度指数で一般的
に評価されている。この値が40以下の溶媒は、”きわ
めて遅い”蒸発速度をもつ溶媒として分類されており、
このような溶媒がグラビアコート法,フレキソ印刷法,
ロールコート法の有機溶媒として好ましい。
【0049】例えば、エチルセロソルブ,ブチルセロソ
ルブ,セロソルブアセテート,ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル,へキシレングリコール,ジエチレン
グリコール,トリプロピレングリコール,ジアセトンア
ルコール,テトラヒドロフルフリルアルコールなどが挙
げられる。本発明のコーティング液組成物は、このよう
な溶媒を少なくとも1種を含むことが望ましいが、コー
ティング液の粘度,表面張力などを調節するために上記
の溶媒を複数用いても構わない。蒸発速度が速くて、1
00を超える相対蒸発速度指数を有する溶媒、例えば、
メタノール(610),エタノール(340),n−プ
ロパノール(110),イソプロパノール(300),
sec−ブタノール(120)のような溶媒(カッコ内
の数字は上記相対蒸発速度指数値を表わす)を、上記の
40以下の相対蒸発速度指数を有する溶媒に添加するこ
とができるが、その添加量は溶媒全体の50体積%未満
にすることが好ましい。
【0050】被膜形成用組成物は、次のようにして調製
する。好ましくは、上記一般式(1)から(3)で表わ
される珪素化合物を少なくとも1種と、珪素化合物中の
アルコキシドに代表される加水分解性置換基1当量に対
して、好ましくは1/100から10当量の範囲の水
と、上記珪素化合物が20〜80重量%の濃度になるよ
うに調節した有機溶媒を含む溶液に、酸を添加して30
分間から5時間攪拌する。上記触媒の酸の中に水が含ま
れている場合には、上記溶液中への水の添加は必ずしも
必要ではない。
【0051】このようにして前記珪素化合物を加水分解
し、ついでその溶液に配位安定化剤,前記金属化合物お
よび必要に応じて、有機溶媒を加えて30分間から5時
間攪拌する。有機溶媒を加える場合は、好ましくは有機
溶媒,および配位安定化剤を添加したあと、前記金属化
合物をこの順序で加える。また、有機溶媒,および前記
金属化合物を添加したあと、配位安定化剤をこの順序で
加えることも好ましい。添加する有機溶媒の量は、コー
ティング液の粘度,表面張力などが最適値になるよう
に、通常は、上記珪素化合物,配位安定化剤,および前
記金属化合物の合計が、20〜80重量%になるように
調節する。もし、加水分解時の有機溶媒の量が相対的に
多い場合、またはコーティング液の粘度が比較的に高く
ても差し支えない場合には、この有機溶媒の添加は必ず
しも必要ではない。これにより前記金属化合物は配位安
定化して、アルコキシシラン加水分解物と金属イオンの
キレート化物を含む被膜形成用組成物が得られる。この
被膜形成用組成物は必要に応じて、さらに有機溶媒によ
り希釈して使用される。
【0052】コーティング方法としては、特に限定され
るものではないが、例えばスピンコート法,ディップコ
ート法,スプレーコート法,印刷法等が挙げられる。特
に、グラビアコート法,フレキソ印刷法,ロールコート
法,スクリーン印刷法などの印刷法は、生産性が高くコ
ーティング液組成物の使用効率が良いので好適である。
【0053】本発明の被膜形成用組成物は、上記コーテ
ィング法により基板上に塗布され、その後、酸化性雰囲
気中で100〜300℃の温度で5〜200分間熱乾燥
したあと、あるいは10秒〜5分間紫外線ランプなどに
よるUV乾燥したあと、500〜700℃以上の温度で
10秒〜5分間焼成することにより、厚みが20〜30
0nmの珪素酸化物と、ジルコニウム,チタニウム,セ
リウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種
の金属の酸化物を含む薄膜が形成される。薄膜中には、
珪素酸化物と、ジルコニウム酸化物,チタニウム酸化
物,セリウム酸化物およびアルミニウム酸化物の合計が
モル比で、通常は2:8〜8:2の範囲になるように珪
素化合物および前記金属化合物の配合を調節する。
【0054】本発明によれば、生産性に優れたグラビア
コート法などのロールコート法を用いてガラス基板に被
膜を形成させた場合に、レベリング性能に優れ、仕上が
り外観の良い被膜形成用組成物を提供する。一方、配位
安定化剤により金属化合物を配位安定化した溶液に、溶
媒,珪素化合物を加えたあと酸を添加し、前記珪素化合
物を加水分解して被膜形成用組成物を作製した場合に
は、レベリング性能が劣りスジ状欠点の目立ち、仕上が
り外観が実用に耐えられない被膜しか得られない。
【0055】この理由としては推定の域をでないが、次
のようにして説明される。本発明で用いられるシリコン
アルコキシドのような珪素化合物を加水分解すると、前
記式(I)で示したようにシラノール基が生成する。こ
のシラノール基は、ガラス表面シラノール基と相互作用
して互いに結合しようとするため、コーティング直後の
溶媒蒸発の結果残存する酸化物前駆体と、基板ガラスと
の間の濡れ性の向上に寄与する。したがってレベリング
性能の良く、スジが残らない仕上がり外観のよい被膜が
得られる。
【0056】これに対し、金属化合物を配位安定化した
溶液に、溶媒,珪素化合物を加え酸を添加すると、珪素
化合物に対する相対酸濃度が低くなるため、充分に加水
分解が進行しない。この結果、シラノール基の代わり
に、疎水性アルコキシシリル基が残存するため、基板ガ
ラスに対する濡れ性が悪くなり、仕上がり外観が悪くな
る。酸濃度を高くして珪素化合物の加水分解を充分に進
行させようとすると、共存する反応性の高い金属化合物
の安定性に影響を与えるため、塗布性,保存安定性に関
し好ましくない。このような理由で、珪素化合物の溶液
に酸を添加して前記珪素化合物を加水分解し、ついでそ
の溶液に配位安定化剤,金属化合物および必要に応じて
溶媒を加え配位安定化することで、仕上がり外観の良い
被膜形成用組成物を提供できる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を挙げて説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。
【0058】
【実施例1】エチルセロソルブ52.53g,エチルシ
リケート40(コルコート社製)46.9g,濃度が
0.1mol/lの塩酸5.63gを、この順序で順次
加えて、室温で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフ法
で、加水分解により生じるエタノールの量を分析し、2
時間後に最大値をとることが確認された。したがって、
加水分解反応が充分に進行していると判断し、この時点
を反応終了点とした。室温に冷却したあと、エチルセロ
ソルブ593.56g,アセト酢酸エチル108.20
g,テトラn−ブトキシジルコニウム193.18gを
この順序で加えて2時間室温にて攪拌し、被膜形成用組
成物とした。この組成物はSi/Zr=3/4(モル
比)で固形分7%であり、粘度は4cps(25℃)で
あった。
【0059】グラビアコート法により、3.4mm厚み
のソーダライムガラス上に前記組成物(調製後1時間
経過のもの)を、相対湿度10%の雰囲気中で塗布し
た。組成物は塗布後に良いレベリング性を示し、塗布後
1分以内に外観上、平滑で均一な膜となった。260℃
で120分乾燥後、被膜付ガラスを720℃の電気炉に
2分間入れて焼成を行った。電気炉中のガラスの最高到
達温度は610℃であった。焼成後のシリカ−ジルコニ
ア層の厚みは70nmであり、ヘーズ率は0.1%で白
化のない透明性に優れ、15%の高い可視光反射率を有
する被膜付ガラスが得られた。なお、被膜を付けないガ
ラス基板の可視光反射率は7%であった。
【0060】次に、エチルセルソルブ59.8gにアセ
チルアセトン8.9g,テトライソプロポキシチタン1
2.6gを加え、40℃で一時間攪拌する。これに、テ
トラエトキシシランの5量体2.0g,0.01Nの塩
酸0.2gを加え、40℃で4時間攪拌する。さらに、
硝酸セリウム6水和物13.5gを加えて40℃で2時
間攪拌したのち、3gのトリメチロールプロパントリア
クリレート・6エチレンオキシドユニット付加物(TM
PTA−EO6)を加えて、紫外線吸収被膜用組成物と
した。この組成物は、Si/Ti/Ce=3/10/7
(モル比)で固形分9.7%であり、粘度は8cpsで
あった。
【0061】この紫外線吸収被膜用組成物を、上記の電
気炉で焼成する前の被膜付ガラスの表面にグラビアコー
ティング法によりコーティングし、200℃で30分乾
燥した。この2層コーティングガラスを、720℃の電
気炉に2分間入れて焼成を行った。電気炉中のガラスの
最高到達温度は610℃であった。焼成後のシリカ−ジ
ルコニア中間層の厚みおよび屈折率は、それぞれ70n
mおよび1.76であり、シリカ−チタニア−セリア紫
外線吸収層の厚みおよび屈折率は、それぞれ150nm
および2.00であり、可視光の無反射条件を満足して
いた。
【0062】得られた紫外線吸収膜付きガラスのヘイズ
率は0.1%と低く、370nmの紫外線吸収率は20
%と非常に高い紫外線遮断性を示し、反射色はニュート
ラルな色調であった。さらに、テーバー摩耗試験による
表面硬度,耐酸性,耐アルカリ性,耐ボイル性も良好な
結果を示し、優れた性能を示す紫外線吸収被膜付きガラ
スが得られた。
【0063】
【実施例2】エチルセロソルブ52.53g,エチルシ
リケート40(コルコート社製)46.9g,濃度が
0.1mol/lの塩酸5.63gをこの順序で順次加
えて、室温で2時間攪拌した。反応終了後、室温に冷却
したあとエチルセロソルブ593.56g,テトラn−
ブトキシジルコニウム193.18g,アセト酢酸エチ
ル108.20gをこの順序で加えて2時間室温にて攪
拌し、被膜形成用組成物とした。
【0064】グラビアコート法により、3.4mm厚み
のソーダライムガラス板上に前記組成物(調製後1時間
経過のもの)を、相対湿度10%の雰囲気中で塗布し
た。組成物は塗布後に良いレベリング性を示し、塗布後
1分以内に外観上、平滑で均一な膜となった。260℃
で120分乾燥後、被膜付ガラスを720℃の電気炉に
2分間入れて焼成を行った。電気炉中のガラスの最高到
達温度は610℃であった。焼成後のシリカ−ジルコニ
ア層の厚みは70nmであり、ヘーズ率は0.1%で白
化のない透明性に優れ、15%の高い可視光反射率を有
する被膜付ガラスが得られた。
【0065】また、実施例1で調製した紫外線吸収被膜
用組成物を実施例1と同様に、電気炉で焼成する前の上
記被膜付ガラスの表面にコーティング・焼成して、紫外
線吸収膜付きガラスが得られた。
【0066】
【実施例3】エチルセロソルブ52.53g,エチルシ
リケート40(コルコート社製)46.9g,濃度が
0.1mol/lの塩酸5.63gをこの順序で順次加
えて、室温で2時間攪拌した。反応終了後、室温に冷却
したあとエチルセロソルブ593.56g,アセチルア
セトン100.20g,テトライソプロポキシチタニウ
ム143.10gをこの順序で加えて2時間室温にて攪
拌し、被膜形成用組成物とした。
【0067】グラビアコート法により、3.4mm厚み
のソーダライムガラス板上に前記組成物(調製後1時間
経過のもの)を、相対湿度10%の雰囲気中で塗布し
た。組成物は塗布後に良いレベリング性を示し、塗布後
1分以内に外観上、平滑で均一な膜となった。260℃
で120分乾燥後、被膜付ガラスを720℃の電気炉に
2分間入れて焼成を行った。電気炉中のガラスの最高到
達温度は610℃であった。焼成後のシリカ−チタニア
層の厚みは70nmであり、ヘーズ率は0.1%で白化
のない透明性に優れ、18%の高い可視光反射率を有す
る被膜付ガラスが得られた。
【0068】また、実施例1で調製した紫外線吸収被膜
用組成物を実施例1と同様に、電気炉で焼成する前の上
記被膜付ガラスの表面にコーティング・焼成して、紫外
線吸収膜付きガラスが得られた。
【0069】
【実施例4】エチルセロソルブ52.53g,エチルシ
リケート40(コルコート社製)46.9g,濃度が
0.1mol/lの塩酸5.63gをこの順序で順次加
えて、室温で2時間攪拌した。反応終了後、室温に冷却
したあとエチルセロソルブ593.56g,ベンゾイル
アセトン162.19g,トリブトキシアルミニウム8
2.11gをこの順序で加えて2時間室温にて攪拌し、
被膜形成用組成物とした。
【0070】グラビアコート法により、3.4mm厚み
のソーダライムガラス板上に前記組成物(調製後1時間
経過のもの)を、相対湿度10%の雰囲気中で塗布し
た。組成物は塗布後に良いレベリング性を示し、塗布後
1分以内に外観上、平滑で均一な膜となった。260℃
で120分乾燥後、被膜付ガラスを720℃の電気炉に
2分間入れて焼成を行った。電気炉中のガラスの最高到
達温度は610℃であった。焼成後のシリカ−チタニア
層の厚みは70nmであり、ヘーズ率は0.1%で白化
のない透明性に優れ、15%の高い可視光反射率を有す
る被膜付ガラスが得られた。
【0071】また、実施例1で調製した紫外線吸収被膜
用組成物を実施例1と同様に、電気炉で焼成する前の上
記被膜付ガラスの表面にコーティング・焼成して、紫外
線吸収膜付きガラスが得られた。
【0072】
【実施例5】エチルセロソルブ52.53g,エチルシ
リケート40(コルコート社製)46.9g,濃度が
0.1mol/lの塩酸5.63gをこの順序で順次加
えて、室温で2時間攪拌した。反応終了後、室温に冷却
したあとエチルセロソルブ593.56g,アセチルア
セトン100.20g,硝酸セリウム・6水和物14
4.74gをこの順序で加えて2時間50℃にて攪拌
し、被膜形成用組成物とした。
【0073】グラビアコート法により、3.4mm厚み
のソーダライムガラス板上に前記組成物(調製後1時間
経過のもの)を、相対湿度10%の雰囲気中で塗布し
た。組成物は塗布後に良いレベリング性を示し、塗布後
1分以内に外観上、平滑で均一な膜となった。260℃
で120分乾燥後、被膜付ガラスを720℃の電気炉に
2分間入れて焼成を行った。電気炉中のガラスの最高到
達温度は610℃であった。焼成後のシリカ−ジルコニ
ア層の厚みは70nmであり、ヘーズ率は0.1%で白
化のない透明性に優れ、15%の高い可視光反射率を有
する被膜付ガラスが得られた。
【0074】また、実施例1で調製した紫外線吸収被膜
用組成物を実施例1と同様に、電気炉で焼成する前の上
記被膜付ガラスの表面にコーティング・焼成して、紫外
線吸収膜付きガラスが得られた。
【0075】
【比較例1】テトラn−ブトキシジルコニウム193.
18gに、アセト酢酸エチル108.20gを加えて2
時間室温にて攪拌した。反応終了後、室温に冷却したあ
とエチルセロソルブ646.09g,エチルシリケート
40(コルコート社製)46.9g,濃度が0.1mo
l/lの塩酸5.63gを順次加えて、室温で2時間攪
拌し、被膜形成用組成物とした。この組成物はSi/Z
r=3/4(モル比)で固形分7%であり、粘度は4c
ps(25℃)であった。
【0076】グラビアコート法により、3.4mm厚み
のソーダライムガラス上に前記組成物(調製後1時間経
過のもの)を、相対湿度10%の雰囲気中でコーティン
グした。組成物は塗布後5分以上経過しても外観上、平
滑で均一な塗膜とならずスジが残った。260℃で12
0分乾燥後、コーティング膜付ガラスを720℃の電気
炉に2分間入れて焼成を行った。電気炉中のガラスの最
高到達温度は610℃であった。焼成後のシリカ−ジル
コニア層の厚みは70nmであり、スジ部分に白化がみ
られ透明性に劣ったコーティング膜付ガラスが得られ
た。
【0077】
【比較例2】実施例1において、塩酸を加えないで同様
に行った。グラビアコート法により、3.4mm厚みの
ソーダライムガラス上に前記組成物(調製後1時間経過
のもの)を、相対湿度10%の雰囲気中でコーティング
した。組成物は塗布後5分以上経過しても外観上、平滑
で均一な塗膜とならずスジが残った。260℃で120
分乾燥後、コーティング膜付ガラスを720℃の電気炉
に2分間入れて焼成を行った。電気炉中のガラスの最高
到達温度は610℃であった。焼成後のシリカ−ジルコ
ニア層の厚みは70nmであり、スジ部分に白化がみら
れ透明性に劣ったコーティング膜付ガラスが得られた。
【0078】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、大量生産
の場合にコスト的に有利な方法で被膜形成用組成物の製
造でき、さらに量産性に優れた被膜形成方法を適用した
場合に、仕上がり外観や被膜性能が優れた被膜を形成す
ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 辻野 敏文 大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本 板硝子株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪素化合物の加水分解物と、ジルコニウ
    ム,チタニウム,セリウムおよびアルミニウムからなる
    金属の群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物の
    配位安定化物とを含有する被膜形成用組成物の製造方法
    において、前記珪素化合物の溶液に酸を添加して前記珪
    素化合物を加水分解し、ついでその溶液に前記金属化合
    物,配位安定化剤および必要に応じて溶媒を加え前記金
    属化合物を配位安定化することを特徴とする被膜形成用
    組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記珪素化合物がシリコンアルコキシド
    である請求項1記載の被膜形成用組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記配位安定化剤がβ−ジケトン化合
    物,β−ケトエステル化合物から選ばれる少なくとも1
    種以上の化合物からなる請求項1記載の被膜形成用組成
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の製造方法
    により製造した被膜形成用組成物を、グラビアコート法
    でガラス基板上に塗布することを特徴とする被膜形成
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0926103A1 (en) * 1997-12-25 1999-06-30 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Method of manufacturing glass plate with light-transmissive colored film
JP2017179225A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 日揮触媒化成株式会社 被膜形成用の塗布液とその製造方法、及び被膜付基材の製造方法

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EP0926103A1 (en) * 1997-12-25 1999-06-30 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Method of manufacturing glass plate with light-transmissive colored film
US6244074B1 (en) 1997-12-25 2001-06-12 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Method of manufacturing glass plate with light-transmissive colored film
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