JP2000335940A - 低反射ガラス物品 - Google Patents

低反射ガラス物品

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JP2000335940A
JP2000335940A JP11151521A JP15152199A JP2000335940A JP 2000335940 A JP2000335940 A JP 2000335940A JP 11151521 A JP11151521 A JP 11151521A JP 15152199 A JP15152199 A JP 15152199A JP 2000335940 A JP2000335940 A JP 2000335940A
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film
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low
light
degrees
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JP11151521A
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English (en)
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Koichiro Nakamura
浩一郎 中村
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials
    • C03C17/3417Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials all coatings being oxide coatings

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高入射角での反射率および反射光の刺激純度
を小さくすると同時に、低入射角の反射率および反射光
の刺激純度を小さくし、視認性が向上したガラス物品を
提供する。 【解決手段】 透明ガラス基板の少なくとも片側表面
に、1.65〜2.20の屈折率(n1)および、90〜
150nmの膜厚を有し、それぞれ重量%で表して、S
iO2に換算して0〜85%のケイ素酸化物、TiO2
換算して10〜95%のチタン酸化物、CuOに換算し
て2〜10%の銅酸化物、およびMnO2に換算して2
〜10%のマンガン酸化物を含有する第1層の薄膜を形
成し、前記第1層薄膜上に、1.37〜1.49の屈折
率(n2)および70〜130nmの膜厚を有し、重量
%で表して、SiO2に換算して90〜100%のケイ
素酸化物を含有する第2層の薄膜を形成してなり、可視
光を膜面側から12度および60度の入射角でそれぞれ
入射したときの反射光がそれぞれ30%以下および15
%以下の刺激純度を有する低反射ガラス物品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低反射ガラス物品、
特に可視光反射率が小さいガラス物品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ガラス板その他のガラス物品の表
面で可視光が反射して透視性、光透過率が低下したり、
眩しくなることを防止するために、ガラス物品の表面に
反射防止処理を施すことが行われている。
【0003】例えば、(1)R.B.Muchmore, J.Opt,Soc,
Amer.,1948,38,20-26には、ガラス基板上に高屈折率膜
の層と低屈折率膜の層からなる光学多層膜について記載
されている。
【0004】(2)特開平4−357134には、ガラ
ス面から第1層目に屈折率1.8〜1.9、膜厚70〜
90nm、2層目に屈折率1.4〜1.5、膜厚110
〜130nmの薄膜層を被覆積層してなり、該表面の垂
直線に対し入射角50〜70度で入射し反射する反射率
がガラス面の反射率に比し、4.5〜6.5%低減する
ようにせしめた車両用反射低減ガラスについて開示され
ている。
【0005】(3)特開平8−152501には、ガラ
ス面から第1層目に屈折率1.7〜1.8、膜厚90〜
110nm、2層目に屈折率1.4〜1.5、膜厚10
5〜130nmの薄膜層を被覆積層してなり、該表面の
垂直線に対し入射角50〜70度で入射し反射する反射
率がガラス面の反射率に比し、4.5〜6.5%低減す
るようにせしめ、しかも前記50〜70度の入射光に対
する反射光の刺激純度を18%以下とした車両用反射低
減ガラスについて開示されている。
【0006】(4)特開平8−302819には、着色
膜を用いた低反射ガラスについて開示されている。すな
わち、ガラス基板表面に熱線遮蔽膜と透明誘電体膜を順
次被覆成膜した積層膜付きガラスであって、該ガラスの
可視光透過率が20%以上40%以下でかつ可視光透過の刺
激純度が18%以下であり、しかも該ガラスの膜面および
ガラス面の可視光反射率が18%以下でかつ可視光反射の
刺激純度が18%以下であり、濃色グレー系色調を呈する
低反射濃色グレーガラスが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記(1)について
は、屈折率n0=1.52のガラス基板上に、屈折率n1
の高屈折率膜の層と屈折率n2の低屈折率膜の層を積層
した光学薄膜について述べられている。低屈折率膜の層
として、n2=1.38のMgF2を用いており、空気の
屈折率をn3=1とすると、n1の最適値は、下記式から
【数1】n1=〔(n22×n0/n31/2=1.70 を得る。ただし、このMgF2は耐環境性が悪く、自動
車用ガラスの曲げ焼成工程に適用できないという問題点
があった。
【0008】前記(2)については低屈折率膜の層とし
てSiO2を用いているため、耐環境性については優れ
ており、自動車用ガラスの曲げ焼成工程にも適用できる
が、式1における最適値n1=1.79 (n2=1.4
5)に対して、n1=1.80〜1.90の高屈折率膜
の層で膜厚が70〜90nmに設定しているため、反射
率を下げると、反射光の刺激純度が大きくなるという問
題点があった。
【0009】前記(3)については、高屈折率膜の屈折
率をn1=1.70〜1.80に設定し、50〜70度
の入射光に対する反射率の低減および反射光の刺激純度
は18%以下に改善されているものの、膜厚みの最適化
がなされていないため、0〜20度の入射光に対する反
射率の低減は不十分であり、しかも反射光の刺激純度の
値も大きいままであった。
【0010】前記(4)については、自動車用のフロン
トガラスに必要な可視光透過率を確保できていなかっ
た。
【0011】本発明は高入射角での反射率および反射光
の刺激純度を小さくすると同時に、低入射角の反射率お
よび反射光の刺激純度を小さくし、視認性が向上した自
動車用その他の用途に適した低反射ガラス物品を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明ガラス基
板の少なくとも片側表面に、1.65〜2.20の屈折
率(n1)および90〜150nmの膜厚を有し、それぞ
れ重量%で表して、SiO2に換算して0〜85%のケ
イ素酸化物、TiO2に換算して10〜95%のチタン
酸化物、CuOに換算して2〜10%の銅酸化物、およ
びMnO2に換算して2〜10%のマンガン酸化物を含
有する第1層の薄膜を形成し、前記第1層薄膜上に、
1.37〜1.49の屈折率(n2)および70〜13
0nmの膜厚を有し、重量%で表して、SiO2に換算
して90〜100%のケイ素酸化物を含有する第2層の
薄膜を形成してなり、可視光を膜面側から12度および
60度の入射角でそれぞれ入射したときの反射光がそれ
ぞれ30%以下および15%以下の刺激純度を有する低
反射ガラス物品である。
【0013】本発明における上記第1層薄膜(以下高屈
折率膜ともいう)の各成分について、以下に説明する。
ケイ素酸化物は必須成分ではないが膜の屈折率を調整す
るために有効であり、その含有量が低い場合は着色膜の
屈折率が高くなる。逆に含有量が多い場合は着色膜の屈
折率が低くなる。ケイ素酸化物含有量が多すぎると、膜
の加熱工程で膜の大きな収縮により基板が変形するの
で、ケイ素酸化物の含有量は、SiO2に換算して0〜
85重量%であり、好ましくは10〜70重量%であ
り、さらに好ましくは20〜60重量%である。
【0014】チタン酸化物は膜の成膜のためにまた着色
膜の屈折率を高めるために必要であり、その含有量が低
い場合は着色膜の屈折率が低くなり膜は赤紫を呈し、ま
たその含有量が多い場合は着色膜の屈折率が大きくなり
膜は青緑色を呈する。チタン酸化物の含有量があまりに
低すぎると、膜の成膜性および透明性が低下するので、
その含有量はTiO2に換算して10〜95重量%であ
り、好ましくは20〜90重量%であり、さらに好まし
くは30〜80重量%である。
【0015】上記割合のケイ素酸化物およびチタン酸化
物の組み合わせにより、成膜性がよく、均質でかつ高耐
久性の膜が得られ、しかも優れた反射率低減効果が得ら
れる。
【0016】銅酸化物は、高屈折率膜に、黄褐色の着色
を与えるために必要であり、その含有量があまり低すぎ
ると充分な着色が得られず、逆に多すぎると、着色膜被
覆フロントガラスの視感透過率(Ya)が低すぎたり、
膜の耐久性が低下するので、銅酸化物の含有量は、Cu
Oに換算して、2〜10重量%であり、好ましくは3〜
8重量%であり、さらに好ましくは3〜7重量%であ
る。
【0017】マンガン酸化物は、前記銅酸化物と共同し
て高屈折率膜に黄褐色の着色を与えるために必要であ
り、その含有量があまり低すぎると充分な着色が得られ
ず、逆に多すぎると、着色膜被覆フロントガラスの視感
透過率(Ya)が低すぎたり、膜の耐久性が低下するの
で、マンガン酸化物の含有量は、MnOに換算して、2
〜10重量%であり、好ましくは3〜8重量%であり、
さらに好ましくは3〜7重量%である。銅酸化物および
マンガン酸化物のいずれか一方の酸化物のみでは着色が
不十分であり、銅酸化物およびマンガン酸化物の両方を
含有させると強い着色が得られる。
【0018】上記高屈折率膜はケイ素酸化物、チタン酸
化物、銅酸化物、およびマンガン酸化物以外に、他の成
分、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜
鉛、酸化タンタル、酸化ホウ素等を、ZrO2、Ce
2、ZnO、Ta25、およびB23に換算して、こ
れらの合計を少量、例えば10重量%以下含有していて
も差し支えない。
【0019】高屈折率膜の厚みd1(物理膜厚)は、あ
まり小さすぎると低入射角度における反射率および反射
光の刺激純度が大きくなり、また着色効果も小さくな
る。逆に大きすぎると高低いずれの入射角度における刺
激純度が大きくなり、さらにクラックが入ったりして膜
強度が低下するので、90〜150nmであり、好まし
くは95〜140nmである。そして高屈折率膜の屈折
率n1は低すぎると、反射光の刺激純度の値は小さくで
きるが、高入射角から低入射角にわたる入射光に対して
充分な反射光強度の低減効果が得られない。屈折率n1
が逆に、高すぎると、特定波長の反射率は下げられるも
のの、可視域全体でみると着色や反射が強くなって、視
感透過率が70%未満となり、所望の反射低減効果が得
られないため、1.65〜2.20であり、好ましくは
1.67〜1.80である。なおこの高屈折率膜の屈折
率は550nm波長での値として定義する。高屈折率膜
の光学膜厚(n11)は可視光域(380〜680n
m)内のいずれかの波長の4分の1の値(95〜170
nm)を有すると、可視光反射率は最も減少させること
ができるが、この範囲内では反射色が赤みを帯びやす
く、赤色の反射色は好まれないことが多いので、反射色
に青みを帯びさせるためには、上記範囲よりもやや大き
な光学膜厚170〜260nmが選ばれることが好まし
い。
【0020】次に本発明の高屈折率膜の消衰係数につい
て説明する。消衰係数の値が大きすぎると、反射率につ
いては大きな低減効果は得られるが、可視光透過率が7
0%未満となり、充分な透視性が得られなくなる。一方
消衰係数が小さすぎると可視光線透過率の低減は抑えら
れるが、反射率の充分な低減効果が得られなくなる。ま
た消衰係数の波長分散については、消衰係数の値が可視
域のある特定の波長で極大値をとり、その前後の波長で
減少するような、山形の分布関数で表されるような波形
をとる場合には、特定波長のみ光の吸収が強くなるた
め、低反射膜が赤色その他の透過色を呈するので、低反
射膜自体の、透過光および反射光における刺激純度の値
が大きくなる。低反射膜が被覆される基板として着色さ
れたガラス板が用いられるときには、このような低反射
膜を被覆することにより、透過色および反射色が大きく
変化して好ましくない。したがって高屈折率膜は、45
0nmの波長の光に対して、0.012〜0.06、5
00nmの波長の光に対して、0.008〜0.04、
550nmの波長の光に対して、0.005〜0.0
3、600nmの波長の光に対して、0.004〜0.
025、および650nmの波長の光に対して、0.0
03〜0.02の消衰係数kをそれぞれ有することが好
ましい。このように、可視域の短波長から長波長にかけ
て単調に減少するような、広帯域にわたりブロードな吸
収をもたらすような、消衰係数の波長分散性が好まし
く、これにより本発明の低反射膜自体は小さな透過光刺
激純度を有し中性灰色に近い透過色を示す。そして低反
射膜が被覆される基板として着色されたガラス板が用い
られるときには、このような低反射膜を被覆した膜付き
ガラス板は基板の透過色および反射色とはあまり変わら
ない透過色および反射色を呈する。
【0021】本発明の上記第2層薄膜(以下低屈折率膜
ともいう)について、以下に説明する。ケイ素酸化物
は、化学的安定性、熱的安定性、機械的強度に優れてお
り、膜の成膜のためにまた低屈折率膜の屈折率を低める
ために必要であり、ケイ素酸化物の含有量はSiO2
換算して90〜100重量%であり、好ましくは92〜
100重量%であり、さらに好ましくは95〜100重
量%である。ケイ素酸化物以外にB23、Al23等の
酸化物を合計で10重量%以下含有していても差し支え
ない。
【0022】低屈折率膜の厚みd2(物理膜厚)は、あ
まり小さすぎると反射防止効果が低くなり、逆に厚すぎ
ると、低入射角度の反射率および反射光の刺激純度が大
きくなり、また膜にクラックが入ったりして膜強度が低
下するので、70〜130nmであり、好ましくは75
〜100nmである。そして低屈折率膜の屈折率は高す
ぎると反射防止効果が充分に得られないため、低屈折率
膜の屈折率n2は1.37〜1.49の範囲内であり、
好ましくは1.40〜1.47である。なおこの低屈折
率膜の屈折率は、550nm波長での値として定義す
る。シリカの屈折率は1.45であるが、シリカの膜の
表面に微小な凹凸形状を形成したりシリカの膜の内部を
独立泡状または貫通気孔状の多孔質として見掛けの屈折
率を下げてもよく、また、低屈折率を有する無機微粒子
を入れて、屈折率を下げてもよい。屈折率を1.45よ
り小さくすることにより、反射低減効果が大きくなる。
しかしながら薄膜の見掛けの屈折率を1.37より小さ
くすると、膜の密度が小さくなったり、表面の凹凸形状
が大きくなったりして、耐摩耗性、耐薬品性、防汚性、
耐候性などが悪くなる。また屈折率が1.49を超える
と、所望の反射低減効果が得られない。
【0023】低屈折率膜の光学膜厚(n22)は可視光
域(380〜680nm)内のいずれかの波長の4分の
1の値(950〜170nm)を有することが可視光反
射率を減少させるために好ましく、さらに好ましい低屈
折率膜の光学膜厚の範囲は95〜140nmである。
【0024】ガラス基板としては、透明ガラスであれば
無色あるいは有色のどちらでもよい、すなわち例えばグ
リーン、ブロンズ、グレーあるいは高性能UVカットグ
リーンガラス、高性能UVカットブロンズガラス等でも
よく、特に自動車用窓材ではグリーン色系、なかでも熱
線・紫外線吸収性能を得やすいものであればより好まし
いものである。また単板で使用できることはもとより、
合せガラス、熱線反射ガラス、また複層あるいはあるい
は強化ガラスまたは、曲げガラス等としても使用できる
ことはいうまでもなく、通常は1.5〜6.5mの厚み
(合せガラスまたは複層ガラスの場合は各外側面間の距
離)を有するものが用いられる。
【0025】本発明の高屈折率膜および低屈折率膜を形
成する方法としては、スパッタ法、CVD法で形成する
ことが可能であるが、コストの面からゾル−ゲル法によ
る方が望ましい。ゾル−ゲル法によるコーティングにつ
いてはスピンコート法、ディップコート法、メニスカス
コート法、フローコート法、ロールコート法、グラビア
コート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法などが用
いられる。
【0026】本発明の高屈折率膜および低屈折率膜をゾ
ル−ゲル法により、例えば、酸化チタン、および酸化ケ
イ素、およびCu、およびMnを含有する光学薄膜を形
成する場合、そのコーティング液組成物は、チタン化合
物、ケイ素化合物、銅化合物、マンガン化合物および溶
媒からなり、チタン化合物とケイ素化合物と銅化合物と
マンガン化合物を有機溶媒に混合することにより得られ
る。
【0027】チタン化合物としてはチタンアルコキシ
ド、チタンアルコキシド塩化物、チタンキレート化物な
どが用いられる。チタンアルコキシドとしてはチタンメ
トキシド、チタンエトキシド、チタンn-プロポキシド、
チタンn-ブトキシド、チタンイソブトキシド、チタンメ
トキシプロポキシド、チタンステアリルオキシド、チタ
ン2-エチルヘキシオキシドなどが例示できる。チタンア
ルコキシド塩化物としてはチタンクロリドトリイソプロ
ポキシド、チタンジクロリドジエトキシドなどが挙げら
れる。チタンキレート化物としては、チタントリイソプ
ロポキサシド(2,4-ペンタンジオネート)、チタンジイ
ソプロポキシド(ビス-2,4-ペンタンジオネート)、チ
タンアリルアセテートトリイソプロポキシド、チタンビ
ス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、 チ
タンジ-n-ブトキシド(ビス-2,4-ペンタンジオネー
ト)などが用いられる。
【0028】ケイ素化合物としてはシリコンアルコキシ
ドをアルコールなどの溶媒に混ぜ、酸性や塩基性の触媒
で加水分解、重合を進めたものが用いられる。シリコン
アルコキシドとしてはシリコンメトキシド、シリコンエ
トキシドあるいはそれらのオリゴマー体が用いられる。
【0029】銅化合物としては、硝酸銅、酢酸銅、オキ
サロ酢酸銅、銅メタクリレート、銅エチルアセトアセテ
ート、銅メトキシド、銅エトキシド、銅メトシキエトキ
シエトキシドド、銅ビス(2,4−ペンタンジオネー
ト)、銅ビス(2,2,6,6−テトラメチル3,5−
ヘプタンジオネート)などが用いらる。
【0030】マンガン化合物としては、硝酸マンガン、
炭酸マンガン、酢酸マンガン、マンガンメトキシド、マ
ンガンエトキシド、マンガンビス(2,4−ペンタンジ
オネート)、マンガントリ(2,4−ペンタンジオネー
ト)などが用いられる。
【0031】前記低屈折率膜用のコーティング液組成物
としてケイ素化合物の他に含有させるホウ素化合物とし
ては、ボロンメトキシド、ボロンエトキシド、ボロンn
−プロポキシド、ボロンi−プロポキシド、ボロンn−
ブトキシド、ボロンs−ブトキシド、ボロンt−ブトキ
シドおよびこれらのキレート化合物が用いられる。
【0032】また前記低屈折率膜用のコーティング液組
成物として添加されるアルミニウム化合物としては、ア
ルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アル
ミニウムn−プロポキシド、アルミニウムi−プロポキ
シド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−
ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシドおよびこれら
のキレート化合物が用いられる。キレート化合物として
は、アルミニウム(ジ−s−ブトキシド)エチルアセト
アセトネート、アルミニウム(s−ブトキシド)ビスエ
チルアセトアセトネート、アルミニウム(ジi−プロポ
キシド)エチルアセトアセトネートなどが好便に用いら
れる。
【0033】酸触媒としては塩酸、硫酸、硝酸、塩化水
素酸、酢酸、しゅう酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ
酢酸、リン酸、フッ酸、蟻酸などが用いられる。塩基性
触媒としてはアンモニア、アミン類が用いられる。
【0034】上記高屈折率膜および低屈折率膜の形成に
用いられるコーティング液組成物に用いられる有機溶媒
は、コーティング方法に依存するが、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノー
ル、オクタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシ
エタノール、2-ブトキシエタノール、セロソルブアセテ
ート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、へキ
シレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピ
レングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられ
る。
【0035】コーティング液組成物は上述した溶媒を単
独でまたはコーティング液の粘度、表面張力などを調節
するために複数用いても構わない。また安定化剤、レベ
リング剤、増粘剤などを必要に応じて少量加えても構わ
ない。溶媒使用量は最終的に得られる高屈折率膜および
低屈折率膜の膜厚、採用するコーティング方法にも依存
するが、通常は全固形分が1〜20%の範囲内に入るよ
うに使用される。
【0036】上記コーティング液組成物を前記塗布方法
で塗布したあと、乾燥または/および250℃以上の温
度で加熱焼成して、次の塗布液を塗布する工程を繰り返
すことにより低反射ガラス物品が完成する。このように
して得られた被膜は、透明性、耐環境性、耐擦傷性など
の性能に優れ、積層を重ねても、高屈折率膜の層と低屈
折率膜の層の緻密化の過程における熱収縮率の違いによ
り生じやすい膜剥離およびクラックの生成を抑制するこ
とができる。
【0037】上記の250℃以上の加熱による乾燥/焼
成を用いる製造方法に代えて次に述べる光照射方法を用
いることもできる。すなわち、上記コーティング液組成
物を前記塗布方法で塗布したあと、可視光線よりも波長
の短い電磁波を塗膜に照射する工程を行い、引き続いて
次の塗布液を塗布する工程を行うという、塗布−乾燥工
程を繰り返す方法である。可視光線より短い波長を有す
る電磁波としては、γ線、X線、紫外線があるが、大面
積を有する基体への照射を考慮した装置上の実用性の点
から紫外線照射が好ましい。紫外光源としてはエキシマ
ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハラ
イドランプなどが用いられる。365nmを主波長とし
254nm、303nmを効率良く発光する高圧水銀ラ
ンプを用いて、10mW/cm2以上、好ましくは50
mW/cm2以上、さらに好ましくは100mW/cm2
以上の照射強度で塗膜に照射することが望ましい。この
ような紫外線光源を用いて、100mJ/cm2以上、
好ましくは500mJ/cm2以上、さらに好ましくは
1000mJ/cm2以上の照射エネルギーを、本発明
のコーティング液組成物を用いて塗布された塗膜面に塗
布することにより、低温で透明性、耐環境性、耐擦傷性
などの性能に優れ、クラックの生じにくい積層膜を与え
る。
【0038】また紫外線を照射しながら熱による乾燥お
よび/または焼成を同時に行ってもよい。紫外線照射に
よる乾燥方法と、好ましくは250℃以下の温度での熱
乾燥による乾燥工程を同時に用いることにより、透明
性、耐環境性、耐擦傷性などの性能に優れた塗膜を与
え、積層を重ねても高屈折率膜の層と低屈折率膜の層の
緻密化の過程における熱収縮率の違いにより生じやすい
膜剥離およびクラックの生成を抑制することができる。
このように紫外線照射を利用することにより、乾燥工程
の高速化がなされ生産性を飛躍的に向上させることがで
きる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を挙げて説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。
【0040】〔コーティング液組成物の調製〕 A液:500gのエチルシリケート40を440gのエ
チルセロソルブに混ぜ、60gの0.1mol/lを加
えて加水分解した。室温で2時間撹拌して静置した。 B液:チタニウムテトライソプロポキシド65.5g、
アセチルアセトン46.1gを混ぜ室温で撹拌した。 C1液:33.4gの硝酸銅3水和物と39.6gの硝
酸マンガン6水和物を27.0gのジメチルホルムアミ
ドに溶解した(金属イオン濃度;16.4%、モル比;
Cu:Mn=1:1)。 C2液:0.2gの塩化金酸6水和物を11.0gのエ
チルセロソルブに溶解した。 D1液:100gのボロン(n−ブトキシド)を51g
のエチルセロソルブに混合した。 D2液:100gのアルミニウム(ジ−s−ブトキシド
エチルアセトアセテートを69gのエチルセロソルブに
混合した。
【0041】〔実施例1〜22、比較例1〜3〕高屈折
率膜形成用塗布液の調製前記A液、B液、C1液、C2
液およびエタノール(溶媒)を表1に示す割合で混合し
て、実施例1〜22および比較例1〜2で使用する高屈
折率膜形成用塗布液E1〜E6を調製した。これらの液
の組成は表2〜3に示す。なお表2には、高屈折率膜形
成用塗布液中に含まれる、ケイ素化合物およびチタン化
合物の合計(それぞれSiO2およびTiO2に換算)の
固形分(重量%)および、その内訳をモル%で表示して
おり、表3には、銅化合物、マンガン化合物、および金
化合物の合計(それぞれCu、MnおよびAuに換算)
の濃度(重量%)および、その内訳(それぞれCu、M
nおよびAuに換算したモル%)を示している。
【0042】低屈折率膜形成用塗布液の調製 前記A液、D1液、D2液およびエタノール(溶媒)を
表4に示す割合で混合して、実施例1〜22および比較
例1〜2で使用する低屈折率膜形成用塗布液A1〜A3
を調製した。
【0043】
【表1】 ────────────────────────────────── 高屈折率膜 A液 B液 C1液 C2液 溶媒 形成用塗布液 (g) (g) (g) (g) (g) ────────────────────────────────── E1液 4.2 4.6 0.6 0 10.6 E2液 5.1 3.5 0.6 0 10.8 E3液 2.0 7.3 0.6 0 10.1 E4液 4.2 4.6 1.2 0 10.0 E5液 3.4 5.5 0 0 11.0 E6液 4.2 4.6 0 11.2 0 ──────────────────────────────────
【0044】
【表2】 ──────────────────────────────── 高屈折率膜 固形分 SiO2 TiO2 形成用塗布液 (重量%) (モル%) (モル%) ──────────────────────────────── E1液 8 60.0 40.0 E2液 8 70.0 30.0 E3液 8 30.0 70.0 E4液 8 60.0 40.0 E5液 8 50.0 50.0 E6液 8 60.0 40.0 ────────────────────────────────
【0045】
【表3】 ────────────────────────────────── 高屈折率膜 濃度 Cu Mn Au 形成用塗布液 (重量%) (モル%) (モル%) (モル%) ────────────────────────────────── E1液 0.5 50.0 50.0 0 E2液 0.5 50.0 50.0 0 E3液 0.5 50.0 50.0 0 E4液 1.0 50.0 50.0 0 E5液 0 0 0 0 E6液 2.0 0 0 100 ──────────────────────────────────
【0046】
【表4】 ─────────────────────────────────── 低屈折率膜 A液 D1液 D2液 溶媒 固形分 形成用塗布液 (g) (g) (g) (g) (重量%) ─────────────────────────────────── A1液 5.0 − − 15 5 A2液 4.5 0.5 − 15 5 A3液 4.5 − 0.5 15 5 ───────────────────────────────────
【0047】酸化セリウム系研磨剤で表面研磨・洗浄
し、さらに純水中で超音波洗浄を行い乾燥した、緑色に
着色したソーダライムケイ酸塩ガラス板(100mm×
100mm×2.1mm)の片側表面上に、表5に示す
ように、E1〜E6液を2ml滴下し、表5に示す回転
数でスピンコートした。これを285℃で1時間保持し
て乾燥を行った。次に室温に冷却したあと、表5に示す
ように、A1〜A3液を2ml滴下し、表5に示す回転
数でスピンコートした。これを285℃で1時間保持し
て乾燥を行った。これを630℃で10分間焼成して片
側表面に低反射膜を被覆したガラス板を得た。該低反射
膜付きガラス板を車内側ガラス板とし、無処理の車外側
ガラス板ならびに中間膜を用いて合せ処理工程で合せガ
ラスとすることで、低反射膜が車内側となる自動車用低
反射ガラス物品(無処理車外側着色ガラス板−中間膜−
車内側着色ガラス板−高屈折率膜−低屈折率膜)を得
た。
【0048】
【表5】 ─────────────────────────────────── 高屈折率層 低屈折率層 ─────────────── ────────────── 塗布液 回転数(rpm) 塗布液 回転数(rpm) ─────────────────────────────────── 実施例 1 E1液 1400 A1液 1550 2 E1液 1450 A1液 1550 3 E1液 1500 A1液 1550 4 E1液 1550 A1液 1550 5 E1液 1600 A1液 1550 6 E1液 1500 A1液 1500 7 E1液 1500 A1液 1600 8 E2液 1500 A1液 1450 9 E2液 1600 A1液 1450 10 E3液 1300 A1液 1550 11 E3液 1350 A1液 1550 12 E3液 1400 A1液 1550 13 E3液 1550 A1液 1550 14 E3液 1350 A1液 1650 15 E4液 1500 A1液 1550 16 E4液 1550 A1液 1550 17 E4液 1600 A1液 1550 18 E4液 1650 A1液 1550 19 E4液 1550 A1液 1500 20 E4液 1550 A1液 1600 21 E1液 1500 A2液 1500 22 E1液 1500 A3液 1500 比較例 1 E5液 1600 A1液 1300 2 E6液 1600 A1液 1500 ───────────────────────────────────
【0049】
【表6】 ────────────────────────────── 実施例 高屈折率膜組成(重量%) 番号 SiO2 TiO2 CuO MnO2 Au ────────────────────────────── 実施例 1〜7 48.8 44.1 3.8 3.4 0 8〜9 59.3 33.5 3.8 3.4 0 10〜14 23.1 69.7 3.8 3.4 0 15〜20 45.7 41.2 7.0 6.4 0 21〜22 48.8 44.1 3.8 3.4 0 比較例 1 50.0 50.0 0 0 0 2 49.8 45.0 0 0 5.2 ──────────────────────────────
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】 ────────────────────────────── 高屈折率膜 低屈折率膜 ─────────── ─────────── 番号 屈折率n1 膜厚d1 屈折率n2 膜厚d2 (nm) (nm) ────────────────────────────── 実施例1 1.83 140 1.455 85 実施例2 1.83 130 1.455 85 実施例3 1.83 120 1.455 85 実施例4 1.83 110 1.455 85 実施例5 1.83 100 1.455 85 実施例6 1.83 120 1.455 95 実施例7 1.83 120 1.455 75 実施例8 1.70 120 1.455 91 実施例9 1.70 100 1.455 91 実施例10 1.90 137 1.455 86 実施例11 1.90 127 1.455 86 実施例12 1.90 117 1.455 86 実施例13 1.90 97 1.455 86 実施例14 1.90 127 1.455 86 実施例15 1.83 134 1.455 86 実施例16 1.83 124 1.455 86 実施例17 1.83 114 1.455 86 実施例18 1.83 104 1.455 86 実施例19 1.83 124 1.455 96 実施例20 1.83 124 1.455 76 実施例21 1.83 124 1.465 85 実施例22 1.83 124 1.470 85 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 1.76 100 1.455 118 比較例2 1.93 120 1.455 90 ──────────────────────────────
【0052】
【表9】 ─────────────────────────────────── 高屈折率膜の屈折率n1の波長分散 番号 450nm 500nm 550nm 600nm 650nm ─────────────────────────────────── 実施例1 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例2 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例3 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例4 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例5 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例6 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例7 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例8 1.742 1.717 1.700 1.687 1.677 実施例9 1.742 1.717 1.700 1.687 1.677 実施例10 1.948 1.920 1.901 1.886 1.875 実施例11 1.948 1.920 1.901 1.886 1.875 実施例12 1.948 1.920 1.901 1.886 1.875 実施例13 1.948 1.920 1.901 1.886 1.875 実施例14 1.948 1.920 1.901 1.886 1.875 実施例15 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例16 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例17 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例18 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例19 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例20 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例21 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 実施例22 1.876 1.850 1.831 1.817 1.807 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 1.810 1.795 1.785 1.780 1.776 比較例2 1.679 1.762 1.935 2.064 2.085 ───────────────────────────────────
【0053】
【表10】 ────────────────────────────── 高屈折率膜の消衰係数kの波長分散(×10-2) 番号 450nm 500nm 550nm 600nm 650nm ────────────────────────────── 実施例1 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例2 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例3 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例4 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例5 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例6 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例7 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例8 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例9 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例10 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例11 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例12 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例13 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例14 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例15 3.5 2.3 1.7 1.2 1.0 実施例16 3.5 2.3 1.7 1.2 1.0 実施例17 3.5 2.3 1.7 1.2 1.0 実施例18 3.5 2.3 1.7 1.2 1.0 実施例19 3.5 2,3 1.7 1.2 1.0 実施例20 3.5 2.3 1.7 1.2 1.0 実施例21 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 実施例22 1.8 1.2 0.8 0.6 0.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 0 0 0 0 0 比較例2 1.1 1.7 4.5 0.9 0.5 ──────────────────────────────
【0054】各実施例および比較例1〜2についての高
屈折率膜および低屈折率膜の膜組成、屈折率、および膜
厚、ならびに高屈折率膜の屈折率の波長分散・消衰係数
の波長分散の値は表6〜10に示す通りである。また各
高屈折率膜の屈折率の波長分散および各高屈折率膜の消
衰係数の波長分散をそれぞれ図1および図2に示してい
る。なお、各膜の膜厚、屈折率、および消衰係数は、分
光光度計および分光エリプソメーターによる測定値から
算出した。
【0055】各膜付きガラス板の可視光線透過率、透過
光の色度(Lab表色系)および透過光色相は表11に
示す通りであった。そして約12度および約60度の入
射角(該膜面側からに対する垂直線と入射光となす角
度)で該膜面側から入射させた場合の、反射光の反射
率、反射光の色度(Lab表色系)および、反射光の刺
激純度は表12に示す通りであった。なお、透過光色相
は透過光色度(a,b)の値から、(b/a)の値に対
するアークタンジェントの値(角度(度))で表してい
る。また無処理のガラス板(実施例で用いた緑色に着色
したソーダライムケイ酸塩ガラス板)2枚および中間膜
を用いて実施例と同様に合せ処理工程により得た自動車
用低反射ガラス物品(無処理車外側着色ガラス板−中間
膜−無処理車内側着色ガラス板)の各光学特性を比較例
3として表11,12に示す。
【0056】表11,12から、実施例1〜22の膜付
きガラス板は、75%以上の可視光線透過率を有してお
り、また可視光反射率については、12度の入射角で
は、3.4〜4.7%であって、比較例3の無処理のガ
ラス板(7.2%)に比して、約2.5%以上低減する
効果を示し、約60度の入射角では、9.0〜11.0
%であり、比較例3(13.8%)に比して約2.8%
以上低減する効果を示した。
【0057】表11、12から、比較例1では、入射角
度12度の可視光反射率は6.0%であって実施例の
3.4〜4.7%に比して大きく、反射率低減効果が少
ないことがわかる。また入射角度12度の反射光刺激純
度は31.4%であって実施例の7.6〜25.0%に
比して大きい。
【0058】また、比較例2では、膜付きガラス板の可
視光反射率については実施例と同程度の反射率低減効果
を示した。しかし、可視光に対する透過光の色度につい
ては、比較例2では透過光の色度a=1.9度、b=−
0.3度であって無処理ガラス(比較例3)の透過光色
a=−5.8度、b=0.6度であり透過光色度が大き
く異なる。それに対して実施例の透過光の色度はa=−
6.8〜−5.2度、b=2.5〜5.5度であって無
処理ガラスのa、b値との差は小さい。透過光の色相の
変化(「無処理ガラスの透過光色相」と「膜付きガラス
の透過光色相」の差)で表すと、比較例2の色相差は1
77度であったが、実施例では約20〜36度である。
すなわち、比較例2では低反射膜を着色ガラス基板に被
覆することにより、膜付きガラス板の透過光色調は着色
ガラス基板のそれから大きく変わるが、実施例では低反
射膜を着色ガラス基板に被覆しても、その膜付きガラス
板の透過光色調は着色ガラス基板のそれとは少ししか変
わらないことがわかる。
【0059】
【表11】 ──────────────────────────────── 透過光色度 透過光色相 可視光線透過率 ────────── 番号 (%) a b (度) ──────────────────────────────── 実施例1 79.7 −5.3 2.6 154 実施例2 80.2 −5.5 3.0 151 実施例3 80.7 −5.9 3.4 150 実施例4 81.2 −6.3 3.7 150 実施例5 81.5 −6.8 3.7 151 実施例6 80.2 −5.4 3.2 149 実施例7 81.0 −6.4 3.6 151 実施例8 80.5 −6.0 3.5 150 実施例9 81.2 −6.6 3.6 151 実施例10 79.7 −5.2 2.5 154 実施例11 80.3 −5.4 2.9 152 実施例12 80.8 −5.8 3.3 150 実施例13 81.4 −6.8 3.7 151 実施例14 80.5 −6.4 4.1 147 実施例15 77.9 −5.7 5.1 138 実施例16 78.6 −6.0 5.3 139 実施例17 79.2 −6.3 5.4 139 実施例18 79.7 −6.7 5.4 141 実施例19 78.1 −5.6 5.0 138 実施例20 78.9 −6.4 5.5 139 実施例21 79.7 −5.3 2.6 154 実施例22 80.2 −5.5 3.0 151 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 80.8 −5.2 2.6 154 比較例2 77.3 1.9 −0.3 −9 比較例3 80.0 −5.8 0.6 174 ────────────────────────────────
【0060】
【表12】 ─────────────────────────────────── 可視光線反射率 反射光色度 反射光 (%) 12度 60度 刺激純度(%) ────── ──────────── ─────── 番号 12度 60度 a b a b 12度 60度 ─────────────────────────────────── 実施例1 4.7 9.9 -6.5 2.3 -1.4 -2.8 7.6 6.7 実施例2 4.3 9.6 -5.4 -0.9 0.3 -2.4 12.3 6.8 実施例3 3.9 9.7 -3.3 -4.1 1.4 -1.0 18.0 3.2 実施例4 3.6 10.1 -0.5 -6.7 1.9 1.3 25.0 3.3 実施例5 3.5 10.8 2.2 -7.7 1.6 3.8 22.0 12.0 実施例6 4.6 9.3 -5.4 -2.9 0.4 -3.2 18.0 7.4 実施例7 3.7 10.6 -0.5 -4.7 -1.9 1.5 17.0 4.2 実施例8 4.3 9.9 -2.1 -4.8 0.3 -0.4 19.0 3.5 実施例9 3.8 10.5 1.3 -7.2 0.2 2.6 23.6 9.0 実施例10 4.7 9.8 -7.0 4.7 -1.7 -3.3 8.9 7.1 実施例11 4.3 9.5 -6.0 -0.3 0.4 -3.0 13.1 3.7 実施例12 3.9 9.6 -3.8 -3.8 2.0 -1.3 18.0 5.0 実施例13 3.6 11.0 -7.0 4.7 -1.7 -3.3 24.0 11.9 実施例14 4.1 11.0 -6.0 -0.3 0.4 -3.0 21.3 5.3 実施例15 4.3 9.4 -6.2 1.7 -0.7 -1.7 9.4 4.4 実施例16 3.9 9.3 -4.7 -1.7 0.8 -0.9 16.7 5.0 実施例17 3.7 9.6 -2.2 -5.0 0.4 -3.0 20.6 6.0 実施例18 3.4 10.1 0.7 -7.1 1.9 3.0 23.7 10.3 実施例19 4.6 9.0 -6.3 -0.3 -0.5 -2.6 12.8 5.6 実施例20 3.7 10.0 1.7 0.9 1.7 0.9 15.2 4.3 実施例21 4.5 10.9 -2.4 -4.5 0.1 -2.7 16.7 5.6 実施例22 4.6 10.9 -2.4 -4.6 0.9 -1.3 14.9 4.3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 6.0 9.8 -3.8 -9.9 0.3 -6.6 31.4 11.7 比較例2 3.6 9.2 -0.2 -6.9 3.6 -1.8 24.4 8.7 比較例3 7.2 13.8 -1.2 -0.7 -1.7 -0.4 2.9 2.8 ───────────────────────────────────
【0061】
【発明の効果】前述した通り、本発明の低反射ガラス板
は、ガラス表面側から高屈折率の薄膜、次いで低屈折率
の薄膜とした特定の屈折率ならびに所定の膜厚とした薄
膜を組み合わせ、シンプルな2層の薄膜被覆積層によっ
て、フロントガラスに要求される70%以上の可視光線
透過率の要件を満たし、かつ入射角12度で膜面側から
の斜入射光に対する可視光反射率を4.8%以下に、そ
して入射角60度の斜入射光に対する可視光反射率を1
1%以下にそれぞれ保つことができ、例えばダッシュボ
ード等から入射する斜入射光に対して運転者の目への映
り込みを小さくすることができる。
【0062】また本発明の低反射ガラス板は、可視光を
膜面側から12度および60度の入射角でそれぞれ入射
したときの可視光反射率が、通常の薄膜被覆のないガラ
ス面における12度および60度の入射角での可視光反
射率よりも、それぞれ、少なくとも2.4%および少な
くとも2.8%小さい可視光反射率を有する。
【0063】しかも、本発明の低反射ガラス板は、前記
12度および60度の入射角でそれぞれ入射したときの
反射光がそれぞれ30%以下および15%以下の刺激純
度を有するので、車内側から見た際のギラツキ感を抑え
ることができ、反射が抑制された分、透視性が向上し、
誤認や違和感が発現しないようにし、さらに高耐久性で
あって運転者等の乗員ならびに人々の環境に優しい、自
動車用その他の窓材として有用な反射低減ガラスとなる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例と比較例の高屈折率膜の屈折率の
波長分散を比較して示すグラフ。
【図2】本発明実施例と比較例の高屈折率膜の消衰係数
を比較して示すグラフ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明ガラス基板の少なくとも片側表面
    に、1.65〜2.20の屈折率(n1)および90〜1
    50nmの膜厚を有し、それぞれ重量%で表して、Si
    2に換算して0〜85%のケイ素酸化物、TiO2に換
    算して10〜95%のチタン酸化物、CuOに換算して
    2〜10%の銅酸化物、およびMnO2に換算して2〜
    10%のマンガン酸化物を含有する第1層の薄膜を形成
    し、前記第1層薄膜上に、1.37〜1.49の屈折率
    (n2)および70〜130nmの膜厚を有し、重量%
    で表して、SiO2に換算して90〜100%のケイ素
    酸化物を含有する第2層の薄膜を形成してなり、可視光
    を膜面側から12度および60度の入射角でそれぞれ入
    射したときの反射光がそれぞれ30%以下および15%
    以下の刺激純度を有することを特徴とする低反射ガラス
    物品。
  2. 【請求項2】 前記第1層薄膜の屈折率(n1)が1.
    67〜1.80で、かつ第2層の膜の層の屈折率
    (n2)が1.40〜1.47である低反射ガラス物
    品。
  3. 【請求項3】 可視光を膜面側から12度および60度
    の入射角でそれぞれ入射したときの可視光反射率がそれ
    ぞれ4.8%以下および11%以下の可視光反射率を有
    する請求項1または2に記載の低反射ガラス物品。
  4. 【請求項4】 可視光を膜面側から12度および60度
    の入射角でそれぞれ入射したときの可視光反射率が、前
    記透明ガラス基板における12度および60度の入射角
    での可視光反射率よりも、それぞれ、少なくとも2.4
    %および少なくとも2.8%小さい可視光反射率を有す
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の低反射ガラス物
    品。
  5. 【請求項5】 前記第1層薄膜は、450nmの波長の
    光に対して、0.012〜0.06、500nmの波長
    の光に対して、0.008〜0.04、550nmの波
    長の光に対して、0.005〜0.03、600nmの
    波長の光に対して、0.004〜0.025、および6
    50nmの波長の光に対して、0.003〜0.02の
    消衰係数kをそれぞれ有する請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の低反射ガラス物品。
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