JP3352259B2 - 反射低減ガラス - Google Patents

反射低減ガラス

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JP3352259B2
JP3352259B2 JP32312594A JP32312594A JP3352259B2 JP 3352259 B2 JP3352259 B2 JP 3352259B2 JP 32312594 A JP32312594 A JP 32312594A JP 32312594 A JP32312594 A JP 32312594A JP 3352259 B2 JP3352259 B2 JP 3352259B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions

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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に車両等を運転する
際に、ことにダッシュボードもしくはこれらの周辺部が
特定傾斜角で取り付けたフロントガラスに対し、映り込
み現象ならびにギラツキ感が発現するのを入射角度に対
する依存性を少なくして低減させるようにし、ドライバ
ーの視界確保性能を高めることで、より安全性の向上に
寄与する反射低減ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、低反射ガラスならびに該範疇
に属するガラスが、各種提案がなされ実施されている。
ことに車両用窓ガラスにおいては、近年種々の機能性を
付与した高性能多機能ガラスが用いられるようになりつ
つあるとともに、車内の運転者や乗員はもとより対向車
等に対しても、より安全性を有し、居住性に優れかつ環
境に優しいものとなるものがより望まれつつあるなか
で、低反射ならびに該範疇に属する性能を有するガラス
が提案されてきている。
【0003】特に、自動車窓のうち、特定傾斜角度で取
り付けたフロントガラスに用いた従来の低反射性能で
は、正面からの反射光の低減を目的としたものであり、
前記フロントガラス表面の垂直線(法線と以後いう)と
なす入射角が例えば50°〜70°以上の斜入射光に対して
は、その低反射効果が半減もしくはほとんどないもので
あって、例えば運転者がダッシュボードもしくはそれら
の周辺物がフロントガラスへの写り込みによって、ドラ
イビング時における前景の視認性が低下し、安全性の低
下等を発現することとなるものである。
【0004】これに対し、例えば特開平3-17601 号公報
には反射防止コーテイングの形成方法が記載されてお
り、軽金属酸化物プレカーサー、非水溶剤、および水を
含む反応性組成物のコーティングを基板上に形成し、十
分な時間加熱して濃縮し、該濃縮されたコーティング
を、弗素気体又は弗素生成気体状化合物を含む雰囲気
に、高められた温度で十分な時間さらして、該コーティ
ングの軽金属酸化物の酸素原子の少なくとも一部を、弗
素原子と置換することにより、コーティングの厚みに対
して軽金属弗化物の濃度勾配をもち、可視光の全スペク
トルに対して優れた反射防止性能を示すコーティングが
得られることとなるというものが開示されている。
【0005】また、例えば特開昭64-70701号公報には導
電性反射防止膜を有する透明板が記載されており、導電
性付与の金属膜上に、屈折率が1.90〜2.50でかつ膜厚が
200Å〜400 Åの高屈折率誘電体膜と、該表面上に屈折
率が1.35〜1.50でかつ膜厚が700 Å〜1200Åの低屈折率
誘電体膜とからなるものが開示されている。
【0006】また、例えば本出願人が既に出願した特開
平4-357134号公報に車両用反射低減ガラスを記載したよ
うに、ガラス面側から第1層として屈折率がn1=1.8 〜
1.9でかつ膜厚が700 〜900 Åである薄膜層を被覆し、
次いで該第1層目薄膜層上に、第2層目として屈折率が
n2=1.4 〜1.5 でかつ膜厚が1100〜1300Åである薄膜層
を被覆積層してなり、さらに前記表面の垂直線となす入
射角が50°〜70°の間で入射する膜面側の可視光に対
し、前記薄膜被覆積層面における反射率を通常の薄膜被
覆のないガラス面における反射率より4.5 〜6.5 %低減
せしめて成るものを提案している。
【0007】さらに、例えば特公昭47-1300 号公報には
安全フロントガラス、殊に自動車用の安全フロントガラ
スが記載されており、少なくとも1つのプラスチツク層
がガラス層の間に設けられており、かつ(または)少な
くとも1つのプラスチツク層がガラス層表面に設けられ
ている形式のものにおいて、フロントガラスの単数また
は複数のプラスチツク層の衝撃時の可撓性が鉛直方向で
変化しているものが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】前述した例えば本出
願人が既に提案した特開平4-357134号公報に記載の車両
用反射低減ガラスでは、斜入射光に対する充分な反射低
減効果を発揮できるものとなるものの、入射角が 0〜40
°の光に対してその反射光の刺激純度が30%を超え最大
約35%程度となり、また入射角が50〜70°の光に対して
その反射光の刺激純度が20%を超える部分があって、最
大約21%程度となる等、必ずしもギラツキ感が低いもの
とは言い難いものであった。
【0009】また、例えば特公昭47-1300 号公報には安
全フロントガラス、殊に自動車用の安全フロントガラス
では、衝撃可撓性の変化を単数または複数のプラスチツ
ク層の鉛直方向(上下方向)での厚みの変化によってプ
ラスチツク層の強度をかえることで、ガラスに衝突する
乗員の頭部が下向きにねじれるようにし、安全性を高め
ようとするものであり、反射低減を念頭においたもので
はないし、単に層厚を変化させたからといって、反射低
減にはいたらない。
【0010】現実の自動車でのダッシュボードのフロン
トガラスへの映り込みがあり、ダッシュボードのある1
点のドライバーの眼への映り込み角度は、ドライバーの
アイポイントより高いフロントウインドウの上部では小
さい角度となり、フロントウインドウの下部になるほど
大きい角度となり、このため最適には反射防止特性の角
度依存性が上部から下部に向かって徐々に変化する傾斜
特性になるように緩和せしめ、特に反射低減での一方方
向に傾斜特性をもたせることであり、前述した従来のも
のでは傾斜特性を考慮されておらず充分最適な反射低減
ガラスとは言い難い。
【0011】
【問題点を解決するための手段】本発明は、従来のかか
る欠点に鑑みてなしたものであって、透明ガラス基板の
少なくとも片側表面に形成した2層系の反射防止薄膜に
おいて、該薄膜の少なくとも1層の膜厚を、鉛直方向に
対して所定の範囲で増加もしくは減少させることによっ
て、反射防止特性の角度依存性が上部から下部に向かっ
て徐々に変化するように緩和せしめた傾斜特性を付与す
るものであり、このガラスを用いて自動車用の合せガラ
スとすることによって、自動車のドライバーに対してダ
ッシュボードのフロントガラスへの映り込みによる運転
阻害を効果的に低減する等の有用な反射低減ガラスを提
供するものである。
【0012】すなわち、本発明は、透明ガラス基板の少
なくとも片側表面に、ガラス面側から第1層目として屈
折率がn1=1.7 〜1.8 であってかつ膜厚が40〜120nm の
範囲で徐々に変化させた傾斜膜厚薄膜層を形成し、次い
で該第1層目の傾斜膜厚薄膜層上に、第2層目として屈
折率がn2=1.4 〜1.5 であってかつ膜厚が110 〜120nm
である薄膜層を被覆積層して成ることを特徴とする反射
低減ガラス。
【0013】ならびに、透明ガラス基板の少なくとも片
側表面に、ガラス面側から第1層目として屈折率がn1
1.7 〜1.8 であってかつ膜厚が90〜110nm である薄膜層
を形成し、次いで該第1層目の薄膜層上に、第2層目と
して屈折率がn2=1.4 〜1.5であってかつ膜厚が80〜130
nm の範囲で徐々に変化させた傾斜膜厚薄膜層を被覆積
層して成ることを特徴とする反射低減ガラス。
【0014】また、前記透明ガラス基板が、合せガラス
であることを特徴とする上述した反射低減ガラス。さら
に、前記合せガラスが、自動車用フロントウインドウで
あって、該ウインドウの車内側表面に、ガラス面側から
第1層目として屈折率がn1=1.73〜1.77であってかつ膜
厚が上辺側において50nmで下辺側において110nm の範囲
で徐々に増加させた傾斜膜厚薄膜層を形成し、次いで該
第1層目の傾斜膜厚薄膜層上に、第2層目として屈折率
がn2=1.43〜1.47でかつ膜厚が110 〜120nm である薄膜
層を被覆積層して成ることを特徴とする上述した反射低
減ガラス。
【0015】さらにまた、前記合せガラスが、自動車用
フロントウインドウであって、該ウインドウの車内側表
面に、ガラス面側から第1層目として屈折率がn1=1.73
〜1.77であってかつ膜厚が95 〜 105nm である薄膜層を
形成し、次いで該第1層目の薄膜層上に、第2層目とし
て屈折率がn2=1.43〜1.47でかつ膜厚が上辺側において
85nmで下辺側において125nm の範囲で徐々に増加させた
傾斜膜厚薄膜層を被覆積層して成ることを特徴とする上
述した反射低減ガラスをそれぞれ提供するものである。
【0016】ここで、ガラス面側から第1層目として屈
折率がn1=1.7 〜1.8 であってかつ膜厚が40〜120nm の
範囲で徐々に変化させた傾斜膜厚薄膜層を形成し、次い
で該第1層目の傾斜膜厚薄膜層上に、第2層目として屈
折率がn2=1.4 〜1.5 であってかつ膜厚が110 〜120nm
である薄膜層を被覆積層して成ること、あるいはまたガ
ラス面側から第1層目として屈折率がn1=1.7 〜1.8 で
あってかつ膜厚が90〜110nm である薄膜層を形成し、次
いで該第1層目の薄膜層上に、第2層目として屈折率が
n2=1.4 〜1.5 であってかつ膜厚が80〜130nm の範囲で
徐々に変化させた傾斜膜厚薄膜層を被覆積層して成るこ
ととしたのは、例えば屈折率が2.0 以上の高屈折率薄膜
等を用い、前記薄膜層を2層を超えて多層薄膜層にする
にしたがって、多重干渉によって、着色や反射が強くな
ってきて、可視光透過率が70%以上あるいは反射低減が
所期の値となり難いものとなるからであり、第1ならび
に第2層薄膜の前記屈折率ならびに前記膜厚の値でなけ
れば、前記表面の垂直線となす入射角が20°〜70°の間
で入射する膜面側の可視光に対し、該薄膜被覆積層面に
おける反射率を低減することができるだけでなく、通常
の薄膜被覆のないガラス面における反射率より4.20〜8.
60%程度の低減となり、しかも反射防止特性の角度依存
性が上部から下部に向かって徐々に変化するように緩和
せしめた傾斜特性を付与することができないからであ
る。
【0017】上述した膜構成により、ほとんど運転者等
に対し前記映り出しがなくなって映り出しを視認されに
くくなりかつ気にならなくなって、透視性を高めより安
全性に優れるものとなる。さらに運転者はもちろん同乗
者ならびに対向車の人等の環境に対して、特に必ずしも
人等の環境は特定の角度でガラスを見るとは限らず全て
の方角からの視認に対してよりギラツキ感を抑え、目や
身体の疲労の低減ならびにそれらによる不安全性を解消
し、人的物的両面から優しいものとなる。
【0018】また、膜厚が鉛直方向に対して徐々に変化
する傾斜膜厚薄膜層については、少なくとも1種以上の
有機金属化合物もしくはその加水分解物と溶媒とを含む
溶液を用いるゾルゲルコーティングであり、ガラス基板
の片面のみに、溶液をガラス基板上部から流下させる所
謂ノズルフローコート法で光学薄膜を形成する。
【0019】さらに、前記第1層目薄膜層の薄膜が、Si
O2、TiO2、ZrO2、Al2O3 、B2O3のうちの2種以上を混合
したものから成ることが好ましく、屈折率が比較的高い
TiO2(2.25程度)、ZrO2(1.95程度)と屈折率が比較的
低いSiO2(1.45程度)、Al2O 3 (1.65程度)、B2O3(1.
60程度)とを種々組み合わせて混合することで、自由に
コントロールして屈折率が1.7 〜1.8 になるような複合
膜を得易く、かつ耐久性に優れるものとなるからであ
る。
【0020】さらにまた、特に第1層目薄膜層としてモ
ル比でTiO2:SiO2=40:60〜55:45である薄膜と、第1
層目薄膜層としてSiO2薄膜とを組み合わせることが好ま
しく、前記各成分の組み合わせの中でも、アルコキシド
が安定で成膜性がよく、均質な膜が得易く、最も優れた
反射率低減効果が得られ、かつ高耐久性であるものとな
る。
【0021】また、前記合せガラスは、前記光学薄膜付
きガラスの非成膜面を他のガラス基板とポリビニルブチ
ラールなどの樹脂フイルムを介して接着させたものであ
り、前記合せガラスが自動車用フロントウインドウであ
れば、該ウインドウの車内側表面に、ガラス面側から第
1層目として屈折率がn1=1.73〜1.77であってかつ膜厚
が上辺側において50nmで下辺側において110nm の範囲で
徐々に増加させた傾斜膜厚薄膜層を形成し、次いで該第
1層目の傾斜膜厚薄膜層上に、第2層目として屈折率が
n2=1.43〜1.47でかつ膜厚が110 〜120nm である薄膜層
を被覆積層して成る反射低減ガラスとするか、あるいは
該ウインドウの車内側表面に、ガラス面側から第1層目
として屈折率がn1=1.73〜1.77であってかつ膜厚が 95
〜 105nmである薄膜層を形成し、次いで該第1層目の薄
膜層上に、第2層目として屈折率がn2=1.43〜1.47でか
つ膜厚が上辺側において85nmで下辺側において125nm の
範囲で徐々に増加させた傾斜膜厚薄膜層を被覆積層して
成る反射低減ガラスとすることが好ましいものである。
【0022】さらにまた、ガラス基板としては、透明ガ
ラスであれば無色あるいは有色のどちらでもよい、すな
わち例えばブルー、ブロンズ、グレーあるいはグリーン
ガラス等でもよく、特に自動車用窓材ではブルー色系あ
るいはゴールド色系、グリーン色系、なかでもゴールド
色系色調で熱線・紫外線吸収性能を得やすいものであれ
ばより好ましいものである。また単板で使用できること
はもとより、熱線反射ガラス、また複層あるいは合せガ
ラスあるいは強化ガラスまたは強度アップガラス、曲げ
ガラス等としても使用できることは言うまでもない。さ
らに、ガラス基板が無機質でも有機質でもよいことは言
うに及ばない。
【0023】
【作用】前述したとおり、本発明の反射低減ガラスは、
中屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜とした特定の屈折率、
ならびに所定の膜厚と特定範囲の膜厚で傾斜膜厚とした
薄膜を組み合わせ、シンプルな2層の薄膜被覆積層にし
たことにより、高い低反射性能を発揮し、前記表面の垂
直線となす入射角が20°〜70°の間で入射する膜面側の
可視光に対し、該薄膜被覆積層面における反射率が格段
に低減でき、かつ通常の薄膜被覆のないガラス面におけ
る反射率より4〜9%程度の低減となり、しかも反射防
止特性の角度依存性が上部から下部に向かって徐々に変
化するように緩和せしめた傾斜特性を付与することがで
きることとなる。
【0024】これにより、車内外側から見た際のギラツ
キ感を抑えることができ、反射が抑制した分透視性が向
上し、誤認や違和感が発現しないようにでき、さらに高
耐久性であって運転者等の乗員ならびに人々の環境に優
しい、自動車用の窓材等として有用な反射低減ガラスと
なるものである。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0026】実施例1 先ずSiのアルコキシドとTiのアルコキシドとを酸化物換
算のモル比が60:40となるように混合した混合アルコキ
シドに、酸化物換算の溶質濃度が約0.04wt%となるよう
イソプロピルアルコールと微量の水および酸触媒を加え
て約1時間程度攪拌してアルコキシド溶液を得た。この
溶液の粘度は約2.5cP であった。この溶液を洗瓶に入れ
成膜用溶液とした。
【0027】次に温度約25℃、湿度約55%に保ったクリ
ーンルーム内において、縦が約1m、横が約1.5 m、厚
みが約2mmの自動車用のガラス基板を、水平からの角度
(傾斜角)が約80°になるよう支持具に立て掛け、洗瓶
中の塗布溶液をガラスの上端部に沿って一定圧力で流下
させてガラス基板のほぼ片面全面に塗膜を形成した。溶
液が全て基板上を流下した後も、この塗膜が充分乾燥す
るように約10分間そのままの状態で保持し、さらにこの
ガラスを270 ℃で約30分間キュアーリングして第1層目
のゲル膜を形成した。
【0028】次いでシリコンテトラエトキシドを出発原
料としこれを加水分解させた市販のシリカゾル溶液をエ
タノールと酢酸エチルおよびノルマルプロパノールの混
合溶媒で 0.4wt%に希釈した。この溶液の粘度を測定し
たところ約3.0cP であった。この溶液中に、前記の片面
に塗膜が形成されたガラス基板の被膜面側をマスキング
テープで覆い静かに浸漬した後、約0.45mm/秒の一定速
度で静かに引き上げた。引き上げが完了した後約2分間
そのまま静置し塗膜を乾燥させてガラスのマスキングテ
ープを取り除き、第1層目と同様約270 ℃で約30分間キ
ュアーリングして第2層目のゲル膜を形成させた。
【0029】さらに次いで得られた2層のゲル膜を積層
したガラス基板を、自動車用のフロントウインドウの形
状(上下幅が約75cm)に切断し、さらにこのフロント用
クリアガラスと、該ガラスと同一形状に切断した薄膜が
形成されていないブロンズガラスとを膜面が外向きにな
るよう重ね合わせ、雰囲気温度を約650 ℃に保った焼成
炉中を膜面が上向きとなるように水平に保った状態で約
15分間通過させて自動車ガラスの形状になるよう曲げ焼
成をした。
【0030】この2枚のガラス板を充分に冷却した後、
ポリビニルブチラール樹脂フイルムを2枚のガラス板間
に挟持させてオートクレーブに入れて加圧加熱し、自動
車用フロント合せガラスを作製した。
【0031】なお、合せ加工する前の膜付きガラス基板
を抜き取り形成された酸化物薄膜の屈折率と膜厚をエリ
プソメーターで測定したところ、第1層目は屈折率n1
1.75で膜厚d1はガラス基板上端部から約5cm下方で約54
nm、さらに約30〜35cm下方のガラス中央部付近で約76n
m、上端部より約70cm下方の下端部付近で約106nm であ
り、薄膜の膜厚が上端部から下端部に向かってほぼ0.8n
m /cm(80nm/100cm )の割合で下向きに増加する傾斜
膜であった。また屈折率の値から第1層目の薄膜は、焼
成によって60SiO2・40TiO2系の酸化物膜になっているも
のであった。
【0032】続いて、第2層目についても同様な測定を
行ったところ、屈折率n2=1.45、膜厚d2=約115nm のSi
O2酸化物膜であった。さらに得られた自動車用フロント
合せガラスの光学特性を、薄膜が形成されていない通常
のフロントガラスと比較して測定したところ、表1の結
果が得られており、ガラス板の上端部から下端部に向か
って反射防止特性の入射角依存性が徐々に変化する傾斜
特性を示した。
【0033】
【表1】
【0034】実施例2 実施例1と同様に、SiのアルコキシドとTiのアルコキシ
ドとを酸化物換算のモル比が60:40となるように混合し
た混合アルコキシドに、酸化物換算の溶質濃度が約0.40
wt%となるようイソプロピルアルコールと微量の水およ
び酸触媒を加えて約1時間程度攪拌してアルコキシド溶
液を得た。この溶液の粘度は約3.1cP であった。
【0035】次に温度約25℃、湿度約53%に保ったクリ
ーンルーム内において、片面全面をマスキングテープで
覆った縦が約1m、横が約1.5 m、厚みが約2mmの自動
車用のガラス基板を、前記のアルコキシド溶液中に浸漬
し、約0.5mm /秒の一定速度で静かに引き上げた。引き
上げが完了した後さらに約2分間そのまま静置して塗膜
を乾燥させた。その後ガラス基板からマスキングテープ
を剥がし、約270 ℃で約30分間キュアーリングして第1
層目のゲル膜を形成した。
【0036】次いで実施例1で用いたシリカゾル溶液を
エタノールと酢酸エチルおよびノルマルプロパノールの
混合溶液で0.04wt%に希釈した。この溶液の粘度を測定
したところ約2.1cP であった。この溶液を洗瓶に入れ成
膜用溶液とした。
【0037】次に第1層目と同じクリーンルームにおい
て第1層目のゲル膜を形成させたガラス基板を水平から
の角度(傾斜角)が約70°になるよう支持具に立て掛
け、洗瓶中の塗布溶液をガラスの上端部に沿って一定圧
力で流下させてガラス基板のほぼ片面全面に塗膜を形成
した。溶液が全て基板上を流下した後も、この塗膜が充
分乾燥するように約15分間そのままの状態で保持し、さ
らにこのガラスを270 ℃で約30分間キュアーリングして
第2層目のゲル膜を形成した。
【0038】さらに次いで得られた2層のゲル膜を積層
したガラス基板を、実施例1 と同様の操作を行って自動
車用のフロントウインドウである自動車用フロント合せ
ガラスを作製した。
【0039】なお、実施例1と同様、合せ加工する前の
膜付きガラス基板を抜き取り形成された酸化物薄膜の屈
折率と膜厚をエリプソメーターで測定したところ、第1
層目は屈折率n1=1.75、膜厚d1=約100nm の60SiO2・40
TiO2系の酸化物膜であった。
【0040】続いて、第2層目についても同様な測定を
行ったところ、屈折率n2=1.45、膜厚d2はガラス基板上
端部から約5cm下方で約88nm、さらに約33cm下方のガラ
ス中央部付近で約102nm 、上端部より約70cm下方の下端
部付近で約122nm であり、薄膜の膜厚が上端部から下端
部に向かってほぼ0.52nm/cm(52nm/100cm )の割合で
下向きに増加する傾斜膜であった。
【0041】さらに実施例1と同様、得られた自動車用
フロント合せガラスの光学特性を、薄膜が形成されてい
ない通常のフロントガラスと比較して測定したところ、
表2の結果が得られており、ガラス板の上端部から下端
部に向かって反射防止特性の入射角依存性が徐々に変化
する傾斜特性を示した。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は特定した
屈折率ならびに膜厚の薄膜、特に傾斜膜厚薄膜層を組み
合わせ、シンプルな2層の薄膜被覆積層によって、フロ
ントガラスにおける可視光線透過率が70%以上を満たす
ようにして格段の反射低減をし、かつ20°〜70°の斜入
射光での反射率を4.2 〜8.6 %程度低減し、しかも反射
防止特性の角度依存性が上部から下部に向かって徐々に
変化するように緩和せしめた傾斜特性を付与することが
できることとなるものとしたことにより、ことにダッシ
ュボードもしくはこれらの周辺部の映り込み現象を低減
し、ドライバーの透視性を高めて、誤認あるいは眼の疲
労等を防いで安全性を向上するものであり、どの方向か
ら見てもギラツキ感が少ない人的物的の両面に対しても
またその環境に対しても優しいものとなり、幅広い分野
において有用な反射低減ガラスを提供できるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00 B32B 1/00 - 35/00 B60J 1/00,3/00 G02B 1/10 - 1/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明ガラス基板の少なくとも片側表面
    に、ガラス面側から第1層目として屈折率がn1=1.7 〜
    1.8 であってかつ膜厚が40〜120nm の範囲で徐々に変化
    させた傾斜膜厚薄膜層を形成し、次いで該第1層目の傾
    斜膜厚薄膜層上に、第2層目として屈折率がn2=1.4 〜
    1.5 であってかつ膜厚が110 〜120nm である薄膜層を被
    覆積層して成ることを特徴とする反射低減ガラス。
  2. 【請求項2】 透明ガラス基板の少なくとも片側表面
    に、ガラス面側から第1層目として屈折率がn1=1.7 〜
    1.8 であってかつ膜厚が90〜110nm である薄膜層を形成
    し、次いで該第1層目の薄膜層上に、第2層目として屈
    折率がn2=1.4〜1.5 であってかつ膜厚が80〜130nm の
    範囲で徐々に変化させた傾斜膜厚薄膜層を被覆積層して
    成ることを特徴とする反射低減ガラス。
  3. 【請求項3】 前記透明ガラス基板が、合せガラスであ
    ることを特徴とする請求項1乃至2記載の反射低減ガラ
    ス。
  4. 【請求項4】 前記合せガラスが、自動車用フロントウ
    インドウであって、該ウインドウの車内側表面に、ガラ
    ス面側から第1層目として屈折率がn1=1.73〜1.77であ
    ってかつ膜厚が上辺側において50nmで下辺側において11
    0nm の範囲で徐々に増加させた傾斜膜厚薄膜層を形成
    し、次いで該第1層目の傾斜膜厚薄膜層上に、第2層目
    として屈折率がn2=1.43〜1.47でかつ膜厚が110 〜120n
    m である薄膜層を被覆積層して成ることを特徴とする請
    求項3記載の反射低減ガラス。
  5. 【請求項5】 前記合せガラスが、自動車用フロントウ
    インドウであって、該ウインドウの車内側表面に、ガラ
    ス面側から第1層目として屈折率がn1=1.73〜1.77であ
    ってかつ膜厚が95 〜 105nm である薄膜層を形成し、次
    いで該第1層目の薄膜層上に、第2層目として屈折率が
    n2=1.43〜1.47でかつ膜厚が上辺側において85nmで下辺
    側において125nm の範囲で徐々に増加させた傾斜膜厚薄
    膜層を被覆積層して成ることを特徴とする請求項3記載
    の反射低減ガラス。
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