JPH09113405A

JPH09113405A - 風洞の風向変動装置

Info

Publication number: JPH09113405A
Application number: JP29787695A
Authority: JP
Inventors: Yoshitami Nonomura; 善民野々村
Original assignee: Fujita Corp
Current assignee: Fujita Corp
Priority date: 1995-10-19
Filing date: 1995-10-19
Publication date: 1997-05-02

Abstract

(57)【要約】【課題】方向が変動する実際の風により近い気流を生
成する。【解決手段】この風洞の風向変動装置１０は、風洞内
２に配置され、風洞内の気流を妨げる、平面視楕円の風
向変動部板１２と、気流変動板１２に固着された、気流
とほぼ平行な軸２０を回転可能に支持する軸受１４と、
軸２０を回転させて気流変動板１２を回転させるステッ
ピングモータ１６と、ステッピングモータ１６の制御装
置１８とにより構成されている。制御装置１８の制御の
もとでステッピングモータ１６を回転させ、気流変動板
１２を回転させると、気流変動板１２が風洞内の気流を
横切って変位し、風洞内の気流が乱され、気流変動板１
２の風下側で方向が変動する気流が発生する。その結
果、実際の風により近い気流で風洞実験を行うことが可
能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は風洞に関し、特に風
洞の風向変動装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】風洞実験に用いられる風洞は、一般に、
送風機によって気流を生成し、整流装置によって気流を
整えた後、被実験対象に気流を吹きつけるようになって
いる。整流装置としては、板を、その主要面を気流の方
向と平行にして格子状に配置したものや、スパイヤーと
呼ばれる複数の板を平行に立設したものなどが用いられ
ている。

【０００３】ところで、建物などの風洞実験を行う場合
には、実際の風をシミュレートするため、被実験対象の
建物の模型に対して風向を種々に変化させる必要があ
る。そこで、従来は、図６に示すように、風洞２内で、
模型の建物４を載置したターンテーブル６を例えば矢印
Ａのように回転させ、模型の建物４に対する風向が変化
する状態を実現したり、あるいは図７に示すように、上
記スパイヤー８を鉛直軸の回りに揺動させることによっ
て（矢印Ｂ）風向を変化させていた。なお、図中、矢印
Ｃは気流の方向を表している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、実際の風は、
その方向が短時間のうちに不規則に変化し、乱れを含ん
でいる。従って、従来のようにターンテーブル６を回転
させたり、あるいはスパイヤー８を揺動させたのでは、
気流は整った状態で風向が一様に変化するのみであり、
不十分である。

【０００５】そこで本発明の目的は、方向が絶えず変動
する実際の風により近い気流を生成する風洞の風向変動
装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、風洞内に配置され、風洞内の気流を妨げる気
流変動部材と、前記気流変動部材が前記気流を横切るよ
うに前記気流変動部材を回転可能に支持する支持手段
と、前記気流変動部材を回転駆動する駆動手段と、前記
駆動手段を制御して前記気流変動部材の回転を制御する
制御手段とを備えたことを特徴とする。

【０００７】本発明はまた、前記気流変動部材は板状の
部材により形成され、前記気流に対向するように配置さ
れていることを特徴とする。本発明はまた、前記気流変
動部材は網状の部材により形成され、前記気流に対向す
るように配置されていることを特徴とする。本発明はま
た、前記気流変動部材の外形が楕円或は菱形であること
を特徴とする。本発明はまた、前記気流変動部材が複数
設けられたことを特徴とする。本発明はまた、風洞に設
けられた気流の整流装置より風下側に配置されているこ
とを特徴とする。

【０００８】支持手段により回転可能に支持された、気
流を妨げる気流変動板を、駆動手段によって回転させる
と、気流変動部材は風洞内の気流を横切って変位する。
これにより風洞内の気流が乱され、気流変動部材の風下
側で方向が変動する気流が発生する。その結果、実際の
風により近い気流で風洞実験を行うことが可能となる。

【０００９】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について説明
する。図１は本発明による風洞の風向変動装置の一例を
示す概略側面図、図２は同風洞の風向変動装置の一部を
詳しく示す概略正面図である。この風洞の風向変動装置
１０は、気流変動板１２、軸受１４、ステッピングモー
タ１６、パーソナルコンピュータ（以下、単にパソコン
という）を含む制御装置１８により構成されている。風
洞２内に配置された各気流変動板１２は、図２に示すよ
うに、本実施例では外形が楕円形の板であり、その中心
に軸２０が固着されている。軸２０の方向は気流変動板
１２の主要面に垂直となっている。そして、本実施例で
は３枚の気流変動板１２が、気流の方向（矢印Ｃ）と直
交する方向に等間隔に配列されている。各軸受１４は、
各軸２０を、風洞２内の気流の方向と平行に、そして回
転可能に支持している。軸２０が気流の方向と平行であ
るため気流変動板１２の主要面は風洞２内の気流に対向
し、気流を妨げる状態となっている。なお、軸２０およ
び軸受１４が本発明に係わる支持手段を構成している。
軸受１４に支持された軸２０はステッピングモータ１６
の回転軸に連結されている。ステッピングモータ１６
は、風洞２の外に配置された制御装置１８に電気的に接
続され、制御装置１８の制御のもとで回転する。２２は
送風機（図示せず）からの気流を整えるための整流装置
であり、本実施例では、板を格子状に配置して形成され
ている。風洞２内で、気流変動板１２およびステッピン
グモータ１６はこの整流装置２２より風下側で、かつタ
ーンテーブル６より風上側に配置されている。

【００１０】次にこのように構成された風洞の風向変動
装置１０の動作を説明する。まず、ターンテーブル６の
中央に模型の建物４を配置し、不図示の送風機を駆動し
て、矢印Ｃの方向に気流を生成する。この気流は整流装
置２２によって方向が均一な乱れのない気流に整えら
れ、気流変動板１２の箇所を通過して模型の建物４に至
る。そして、気流変動板１２の箇所を通過する際、気流
変動板１２の主要面は気流に対向しているので、気流は
風向変動板１２によって妨げられ、風向変動板１２を避
けるように方向が変化する。

【００１１】ここで制御装置１８の制御のもとでステッ
ピングモータ１６に電力を供給し、例えば図２に矢印Ｄ
により示すように、ステッピングモータ１６を一定の回
転速度で回転させると、気流変動板１２が気流を妨げる
位置は変化する。従って、気流変動板１２の風下側に発
生する方向が変化した気流は、その位置が気流変動板１
２の回転に伴って変化し、その結果、風向変動板１２の
風下側に気流の方向が変動する気流が生成される。そし
て、３枚の気流変動板１２が横に並べて配列されている
ので、風洞２の幅方向全体で、このような方向が変動す
る、実際の風に近い気流が生成される。そのため、模型
の建物４の風洞実験をより実際的な状態で行うことが可
能となる。

【００１２】また、制御装置１８によりステッピングモ
ータ１６を回転させるとき、ステッピングモータ１６の
回転数を、上述のように一定ではなく、例えば図３のグ
ラフに示すように時間によって変化させることにより、
時間と共に様々に変化する、さらに実際の風に近い気流
を発生することができる。なお、図３において、横軸は
時間、縦軸はステッピングモータ１６の回転数をそれぞ
れ表している。ステッピングモータ１６の回転数のこの
ような変化は、予め回転数の所望の変化パターンを制御
装置１８を構成するパーソナルコンピュータに記憶させ
ておき、そのパターンにもとづいて、ステッピングモー
タ１６の回転数を制御させることにより、容易に実現で
きる。

【００１３】また、上記実施例では、気流変動板１２の
外形形状は楕円形であるとしたが、楕円形以外にも図４
の（Ａ）に示すように菱形としたり、あるいは図４の
（Ｂ）に示すような曲線からなる菱形など、種々の形状
とすることができる。それにより、性状の異なる種々の
気流を発生させることができる。なお、外形が円形の気
流変動板１２を用いた場合には、軸２０の位置を円の中
心からずらせることにより、気流変動板１２が気流を横
切って回転するようにでき、上述の場合と同様に、変動
気流を発生することができる。

【００１４】さらに、気流変動板１２として、単なる板
ではなく、図５の（Ａ）〜（Ｃ）に示すように、網状の
ものを用いることも可能である。そのような素材とする
ことにより、単なる板の場合より乱れの大きい気流を発
生させることができる。また、風向変動板１２の大きさ
や重さによっては、軸受１４を排除し、ステッピングモ
ータ１６の回転軸に直接、風向変動板１２を取り付ける
ことも可能である。その場合にはステッピングモータ１
６の回転軸が本発明にかかわる支持手段の機能を果たす
ことになる。さらに、上記実施例では、ステッピングモ
ータ１６は風洞２内に配置したが、ステッピングモータ
１６を風洞２の外に配置し、その回転軸は軸２０とベル
トなどにより連結し、気流変動板１２を回転させる構成
とすることも可能である。このような構成には、ステッ
ピングモータ１６が風洞２内の気流の邪魔にならないと
いう利点がある。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように本発明の風洞の風向
変動装置では、支持手段により回転可能に支持された、
気流を妨げる気流変動板を、駆動手段によって回転させ
ると、気流変動部材は風洞内の気流を横切って変位す
る。これにより風洞内の気流が乱され、気流変動部材の
風下側で方向が変動する気流が発生する。その結果、実
際の風により近い気流で風洞実験を行うことが可能とな
る。また、気流変動部材を回転させるだけの簡単な構成
であるから、容易かつ低コストで実現できる。さらに、
気流変動部材の形を変えるだけで、また網状のものなど
性状の異なるものに変えるだけで、方向が変動する多様
な気流を生成できる。また、制御装置による制御のもと
で駆動手段の回転パターンを変えることにより、種々の
パターンで方向が変動する気流を生成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による風洞の風向変動装置の一例を示す
概略側面図である。

【図２】図１の風洞の風向変動装置の一部を示す正面図
である。

【図３】図１の風洞の風向変動装置を構成するステッピ
ングモータの回転数の制御の一例を示すグラフである。

【図４】図１の風洞の風向変動装置を構成する気流変動
板の他の例を示す平面図である。

【図５】図１の風洞の風向変動装置を構成する気流変動
板のさらに他の例を示す平面図である。

【図６】従来の風洞における風向の制御を示す説明図で
ある。

【図７】従来の風洞における風向の制御を示す他の説明
図である。

【符号の説明】

２風洞４建物６ターンテーブル８スパイヤー１０風洞の風向変動装置１２気流変動板１４軸受１６ステッピングモータ１８制御装置２０軸２２整流装置

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】風洞内に配置され、風洞内の気流を妨げ
る気流変動部材と、前記気流変動部材が前記気流を横切るように前記気流変
動部材を回転可能に支持する支持手段と、前記気流変動部材を回転駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御して前記気流変動部材の回転を制御
する制御手段と、を備えたことを特徴とする風洞の風向変動装置。
【請求項２】前記気流変動部材は板状の部材により形
成され、前記気流に対向するように配置されている請求
項１記載の風洞の風向変動装置。
【請求項３】前記気流変動部材は網状の部材により形
成され、前記気流に対向するように配置されている請求
項１記載の風洞の風向変動装置。
【請求項４】前記気流変動部材の外形が楕円或は菱形
である請求項１記載の風洞の風向変動装置。
【請求項５】前記気流変動部材が複数設けられた請求
項１記載の風洞の風向変動装置。
【請求項６】風洞に設けられた気流の整流装置より風
下側に配置されている請求項１記載の風洞の風向変動装
置。