JPH07234170A - 乱流発生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、橋梁、煙突等の自然風中に設置さ
れる構造物の耐風特性を計測するための、風洞試験に適
用される乱流発生装置に関する。従来、乱流を必要とす
る風洞試験に使用される乱流発生装置は、流れと直交し
て配置された揺動板のピッチング動（揺動）のみによっ
ていたため、乱れの大きい乱流の発生が困難であった。 【構成】 本発明は、揺動板の揺動に加え、揺動板を流
れと直交する方向に前後動（ヒービング振動）できるよ
うにした。これにより、乱れの大きい、再現性のある乱
流が発生できるとともに、乱れのパターンの多様化がで
きるようになった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、風洞で発生される風に
乱流を生じさせる、乱流発生装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】橋梁や煙突等の構造物の耐風特性を調べ
る手段として、模型を使用して行う風洞実験は、風速一
定な均一流中で行っている。しかし、実際実機に作用す
る風（自然風）は、風速が変動し乱流が発生しており、
風の条件が一定風速の風洞実験と実機では異なる。

【０００３】従って、風洞実験で一定周期の正弦波状の
変動風や、自然風に近い乱流を伴う風を作成する必要が
ある。従来の乱流発生装置は、風路内の風洞吹き出し口
に、風路内の流れを直交させて多数の翼を配列し、設置
された翼列を両端に設けた軸まわりに、ピッチング回転
（揺動）する事によって、乱流の生成を行っている。

【０００４】図３は、従来の乱流発生装置の一部を示し
ており、翼形の揺動板０１の両端を、台盤０２に固定し
た枠板０６に、回動ピン０７によって揺動可能に装着す
るとともに、揺動板０１の前端部両端にピン０４を設け
て、このピン０４と揺動モータに設けた円板０５との間
を接合棒０３で連結して、円板０５を回転させることに
より、図４に示すように、揺動板０１を回動ピン０７ま
わりに揺動させて、風洞内に所要の乱流を発生させてい
る。

【０００５】しかし、このような乱流発生装置では、再
現可能な乱れ強さの限界が約１０％と低く、再現性のあ
るより大きな乱れを発生させるには、揺動板０１に突起
の付加を添加する等の工夫が必要であり、装置が複雑に
なる反面、このようなことを行っても、かならずしも目
的を達することができないという不具合がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
の乱流発生装置の不具合を解消するため、再現可能な大
きな乱れを発生できる、乱流発生装置を提供することを
課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このため、本発明の乱流
発生装置は次の手段とした。 （１）風路内に流れを直交して配置される揺動板の両端
部を回動自在に軸架し、風路内の流れを直交する方向に
前後動できる枠板を設けた。 （２）枠板を前後移動させる移動機構を設けた。

【０００８】

【作用】本発明の乱流発生装置は、揺動板の揺動に加え
て、流れと直交する方向に揺動板を前後動させることに
よって、揺動板に対する風の相対迎角を変化させ、気流
に対する制御効果を増加させて、より大きな乱れを再現
させることができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の乱流発生装置を、実施例にも
とづき説明する。

【００１０】図１は、本発明の乱流発生装置の一実施例
を示す側面図である。矢印方向の風向に対して直交し、
鉛直方向に互いに平行に配列された複数個の翼形をした
揺動板は、その横断面の図心近辺を揺動ピン７を介して
枠板６に揺動可能に取付けられている。この枠板６は、
その下端を昇降板１５に固定し、昇降板１５はその下部
に案内軸受１４に支持された昇降棒１３の上端が取付け
られている。また、台盤２０上に据付けた、移動機構と
しての昇降モータの円板９には、ピン１１をもって直接
棒１０の下端を取付けている。昇降棒１３の下端と連接
棒１０の上端は、ピン１２によって連結されている。ま
た、昇降板１５の上面には、揺動機構としての揺動モー
タを据付け、揺動モータに設けた円板５に取付けた連接
棒８は、各揺動板１の先端近辺両端に設けた揺動ピン４
を介して連結した揺動棒３と連結している。昇降モータ
による円板９の回動にともない、昇降板１５は上下に昇
降を繰り返し、同時に揺動板１を一定の周期でもって上
下動（ヒービング振動）させる。さらに、揺動モータの
円板５の回動は、揺動ピン７を中心にして揺動板１を揺
動させ、結果として揺動板１を図２に示すように動か
す。

【００１１】従って、図４に示す揺動板０１の揺動のみ
による流れの乱れは、揺動に加え上下動が加わることに
より、より大きな乱れとすることができる。さらに、流
れのパターンも揺動だけの場合に比較し、揺動板１の動
きに、揺動、上下動を組合わせることにより、さらには
円板５，９の回転数を制御することにより多様なパター
ンの乱れを形成できる。

【００１２】また、上記実施例では、揺動板１の上下動
（ヒービング振動）について述べたが、本発明は、本実
施例に限定されるものではなく、枠板７を風向と直交す
る水平方向、又は、水平方向と任意の角度を傾けた方向
に、前後動させるようにしても良いものである。また、
上記実施例の説明では省略したが、揺動板１を風向方向
に平行に向け円板５，９を固定しておけば、揺動板１は
整流効果を発揮し、風路内に一様流の流れを形成できる
ものである。

【００１３】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の乱流発生装
置によれば、特許請求の範囲に示す構成により、従来の
乱流発生装置では困難であった１０％を超える乱流の生
成が、装置を複雑化することなく達成できる。

【００１４】また、風方向の風速変動と、風方向と直角
方向の風速変動が生成可能となる為、風路断面を減少す
る事なく、様々のパターンの乱流が発生できる。

【００１５】さらに、乱流を必要とする試験と、一様流
を必要とする試験が風洞停止を行うことなく連続して行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の乱流発生装置の一実施例を示す側面
図。

【図２】図１の揺動板の作動状況を示す図。

【図３】従来の乱流発生装置きの一部分を示す側面図。

【図４】図３の揺動板の作動状況を示す図。

【符号の説明】

１ 揺動板 ３ 揺動棒 ４ 揺動ピン ５ （揺動用）円板 ６ 枠板 ７ 揺動ピン ８ 連接棒 ９ （前後動用）円板 １０ 連接棒 １１，１２ ピン １３ 昇降棒 １４ 案内軸受 １５ 昇降板 ２０ 台盤

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 風洞の風路内に流れと直交し、かつ互い
   に平行に配置され、両端部に設けた揺動ピンを枠板に揺
   動自在に軸架した揺動板と、前記揺動板を揺動ピンまわ
   りに揺動させる揺動機構とからなり、前記風路内の流れ
   に乱流を発生させる乱流発生装置において、前記枠板が
   前記風路内の流れと直交する方向に前後動自在にされる
   とともに、前記枠板を前後動させる移動機構を設けたこ
   とを特徴とする乱流発生装置。