JPH09109332A - 積層シート - Google Patents

積層シート

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JPH09109332A
JPH09109332A JP7267004A JP26700495A JPH09109332A JP H09109332 A JPH09109332 A JP H09109332A JP 7267004 A JP7267004 A JP 7267004A JP 26700495 A JP26700495 A JP 26700495A JP H09109332 A JPH09109332 A JP H09109332A
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顕隆 三宅
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拓明 宇野
Shoichi Nakamura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 艶消し感が良好でありかつ優れたソフトタッ
チ感を与え得るだけでなく、延伸成形された場合であっ
ても白化が生じ難い積層シートを得る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂と充填材とを含む表面層
と、熱可塑性樹脂よりなる基材とを積層してなり、基材
層の色がJIS Z 8721に規定されている明度V
が6以下であり、表面層の明度が基材層の明度を中心と
して±2の範囲となるように構成されている積層シー
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の内
装材、OA機器や家電製品におけるハウジング、文具、
サニタリー製品、日用品あるいは内装建材に用いられる
積層シートに関し、特に、艶消し感や人に対しての良好
なソフトタッチ感を与えることができ、かつ成形後の外
観が優れている積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形品や金属製品の質感を
高め、かつ人に対して柔らかな触感(ソフトタッチ感)
を与えるために、圧縮成形体または金属製品表面にスエ
ード調(ソフトタッチ)塗料をコーティングすることが
試みられている。例えば、特開昭63−199776号
公報には、スエード調塗膜を形成するための塗料とし
て、60〜700%の伸びを有する樹脂を塗膜形成用樹
脂として含んだ樹脂液に、ナイロン粉末と着色剤、ある
いは着色ナイロン粉末を分散してなる塗料が開示されて
いる。
【0003】しかしながら、特開昭63−199776
号公報に記載のスエード調塗料を用いて成形体や金属製
品表面にスエード感を与えるには、塗装に際しての塗料
の粘度や濃度を調整する煩雑な作業が強いられる。ま
た、有機溶剤を用いた塗料では、溶剤を乾燥させるため
のブースが必要であり、大きな作業スペースを必要とす
るとともに、作業環境の汚染や安全衛生上の問題が生じ
ることがある。
【0004】上記の問題を解決するものとして、例え
ば、特開平5−38183号公報には、熱可塑性エラス
トマーと弾性微粒子とを主成分とする表面層と、該表面
層に積層されており、かつ熱可塑性樹脂を主成分とする
基材層とを有する積層シートが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−38183号公報に記載の成形シートを延伸成形す
ると、特に、加熱することなく低温で延伸すると、高延
伸部においてシート表面が白化するという問題があっ
た。
【0006】本発明の目的は、上記のような従来の積層
シートの問題点を解消し、延伸された場合であっても白
化が目立ち難い積層シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するために成されたものであり、熱可塑性樹脂と充填
材とを含む表面層と、熱可塑性樹脂よりなる基材とを積
層してなる積層シートであって、前記基材層の色がJI
S Z 8721に規定されている明度Vが6以下であ
り、かつ前記表面層の明度が前記基材層の明度を中心と
して±2の範囲となるように、表面層が構成されている
ことを特徴とする積層シートである。
【0008】また、請求項2に記載の発明は、上記表面
層に使用する熱可塑性樹脂が熱可塑性エラストマーであ
り、充填材が弾性微粒子であり、上記基材層を構成する
熱可塑性樹脂が熱可塑性オレフィンエラストマーで構成
されていることを特徴とする。
【0009】以下、本発明の詳細を説明する。表面層 本発明では、表面層は、熱可塑性樹脂と充填材とを主成
分とする。この熱可塑性樹脂としては、特に限定される
ものではないが、人に接触される部分に使用される場合
には、請求項2に記載のように、熱可塑性エラストマー
を用いることが好ましい。
【0010】上記熱可塑性エラストマーとは、常温では
ゴム弾性を有し、高温では可塑化されて各種の成形加工
が可能な高分子材料をいう。この熱可塑性エラストマー
は、大きくは、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリ
オレフィン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポ
リアミド系、アイオノマー系、天然ゴム系、フッ素系、
1,2−ポリブタジエン系、トランス−1,4−ポリイ
ソプレン系などに分類される。
【0011】上記熱可塑性エラストマーは、一般に、分
子中にエントロピー弾性を有するゴム成分(ソフトセグ
メント)と、塑性変形を防止するための分子拘束成分
(ハードセグメント)とを有していることが多く、成形
可能な範囲においては一部架橋構造を有する場合もある
が、広範囲の三次元網目構造は有していない。
【0012】上記熱可塑性エラストマーの硬度が低いと
表面層の耐磨耗性が低下し、硬度が高くなり過ぎると感
触が悪くなる。従って、上記熱可塑性エラストマーの硬
度は、目的とする感触や用いる弾性微粒子の硬さによっ
ても異なるが、一般的には、JIS K 6301のA
硬度で50〜98の範囲が好ましく、75〜98の範囲
がより好ましい。
【0013】上記熱可塑性エラストマーとしては、例え
ば、ポリウレタン系のものでは、ハードセグメントとし
てポリウレタン、ソフトセグメントとしてポリエーテ
ル、ポリエステル、ポリカーボネートなどをもつブロッ
ク共重合体などがある。
【0014】ポリスチレン系のものでは、ハードセグメ
ントとしてポリスチレンを、ソフトセグメントとしてポ
リブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン−ポリブ
チレンを持つブロック共重合体や、さらに、これに水素
添加したものや、官能基を付与したものなどがある。
【0015】ポリオレフィン系の熱可塑性エラストマー
としては、ハードセグメントがポリプロピレンを有し、
ソフトセグメントがエチレンを有するもの、エチレンと
ともに少量のジエン成分を有するもの(順にEPM(エ
チレン−プロピレン−メチレン結合)、EPDM(エチ
レン−プロピレン−ジエンメチレン結合)、総称してE
PR(エチレン−プロピレンゴム))、これらをブレン
ドして得られたものや、これらに、さらに有機過酸化物
を添加することにより部分架橋したもの、不飽和ヒドロ
キシ単量体、不飽和カルボン酸の誘導体でグラフト変性
されたもの、その他ブチルゴムグラフトポリエチレンな
どが挙げられる。
【0016】ポリエステル系のものでは、ハードセグメ
ントとしてポリエステル、ソフトセグメントとしてポリ
エーテルをもつ共重合体などがある。ポリ塩化ビニル系
のものでは、ポリ塩化ビニルの重合度を極端に高めたも
の、ポリ塩化ビニルの一部に三次元架橋構造を導入した
もの、イオン架橋構造を導入したものなどがある。
【0017】ポリアミド系のものでは、ハードセグメン
トとしてポリアミドを、ソフトセグメントとしてポリエ
ーテルを用いたものなどがある。また、熱可塑性エラス
トマーの種類は、目標とするソフトタッチシートとして
の性能を考慮して選択され、例えば耐スクラッチ性、耐
摩耗性が必要な場合は、熱可塑性ウレタンエラストマー
が好ましく用いられる。さらに、耐光性や耐熱性などの
耐久性が要求される場合には、脂肪族系のイソシアネー
トを用いた無黄変タイプの熱可塑性ウレタンエラストマ
ーを用いることが好ましい。
【0018】本発明では、表面層は、上記熱可塑性樹脂
の他に、充填材を主成分として含み、この充填材として
は、表面層の成形に際しての延伸に耐え得るように柔軟
性を有するものが好ましく用いられ、好ましくは請求項
2に記載のように弾性微粒子が用いられる。
【0019】上記弾性微粒子は、その形状が変形するま
で加圧した後開放する際に、弾性回復する性質を有する
ものであり、例えば、ポリウレタン、アクリル−ウレタ
ン共重合体、ポリスチレン、スチレン−イソプレン共重
合体などからなるものが挙げられる。また、弾性微粒子
を熱可塑性エラストマーとともに混合して押し出し成形
機によりシート状に押し出す際に、弾性微粒子が熱可塑
性エラストマーに溶融一体化してしまうと、得られたシ
ートを伸長しても良好な表面層を形成することが困難と
なる。従って、上記弾性微粒子としては、上記熱可塑性
エラストマーの押し出し条件下で溶融しないものを用い
ることが必要である。
【0020】上記弾性微粒子の粒径としては、その粒径
分布の極大が1〜50μmの範囲のものが好ましい。弾
性微粒子の粒径が1μm未満では、最終的に得られた積
層シートに充分なソフトタッチ感や艶消し感を与えるこ
とができず、積層シートの膜厚にもよるが、粒径が50
μmを上回ると、積層シート表面がザラザラとなり、感
触が劣化することがある。
【0021】なお、上記弾性微粒子は、1種類のみを用
いてもよく、あるいは2種以上を併用して用いてもよ
い。また、柔軟な熱可塑性エラストマーを用いる場合
や、積層シートが少し硬い感触を有するものであっても
よい場合には、例えば、架橋ポリメタクリル酸メチルや
無機材料などからなる硬い微粒子をさらに混合して用い
てもよい。
【0022】基材層 本発明において基材層を構成するのに用いられる上記熱
可塑性樹脂としては、例えば上記熱可塑性エラストマー
や、ポリスチレン、アクリル系ポリマー、ポリカーボネ
ート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体)、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテ
ルエーテルケトン、アイオノマーなどが挙げられるが、
より柔軟なソフトタッチ感を付与するためには、熱可塑
性エラストマーを採用することが好ましい。
【0023】上記基材層を構成する熱可塑性樹脂は特に
限定されるものではないが、基材層に、表面層と反対側
にオレフィン系発泡体を積層する場合には、加熱ラミネ
ートなどにより接着層を介在させることなく積層可能な
オレフィン系材料が好ましい。また、人の接触する部分
に用いられる場合には、請求項2に記載のように、柔軟
性に富む熱可塑性オレフィン系エラストマーを用いるこ
とが好ましい。本発明における積層シートでは、上記基
材層は1層に限定されるものではなく、複数の層を積層
することにより構成されていてもよい。
【0024】基材層の明度及び表面層の明度 本発明では、上記基材層は、JIS Z 8721に規
定されている明度Vが6以下の材料で構成されている。
これは、明度が6を超えるように基材層が構成されてい
る場合には、表面層が白化しても、白化現象が目立たな
いからである。すなわち、本発明は、明度が6以下の基
材層を有する積層シートに適用することにより、後述の
効果を発揮するものである。
【0025】また、本発明では、表面層の明度が、基材
層の明度を中心として±2の範囲になるように、表面層
が構成されている。これは、表面層の明度が、基材層の
明度+2を超える場合には、白化を目立たなくする効果
が少ないからであり、逆に、基材層の明度−2よりも低
くされている場合には、白化は目立たなくなるものの、
基材層に色に対して表面層の色が大きく異なるため、積
層シートとして目的とする色を発現させ難いからであ
る。
【0026】また、本発明において、上記基材層のJI
S Z 8721に規定されている彩度C及び色相Hは
特に限定されるものではない。しかしながら、表面層に
ついては、彩度Cは、好ましくは、基材層の彩度を中心
として±2の範囲とされる。表面層の彩度が基材層の彩
度+2を超える場合には、白化は目立たなくなるもの
の、基材層の色と色が大きく異なることになり、積層シ
ートとして目的とする色を発現させ難くなり、逆に、表
面層の彩度が、基材層の彩度−2を下回る場合には、白
化を目立たなくする効果が少なくなることがあるからで
ある。
【0027】さらに、表面層の色相Hは、基材層の色相
と同系列に分類される色相であることが好ましい。すな
わち、JIS Z 8721に規定されている色相表示
のアルファベット、例えばRやYRなどが基材層と同じ
となるように、表面層の色相が選ばれていることが好ま
しい。これは、表面層の色相が、基材層の色相と同系列
でない場合には、積層シートにおいて、目的とする色を
発現させ難いからである。
【0028】なお、当然のことながら、上記彩度及び色
相は、表面層及び基材層が有彩色で構成されている場合
に適用されるものであり、無彩色の場合には彩度及び色
相は無関係となる。
【0029】表面層及び基材層の着色 本発明では、表面層と基材層との間の明度差が、上記特
定の範囲とされているが、このような特定の範囲の明度
差は、表面層及び/または基材層に、適宜の顔料や染料
を含有させて着色することにより実現し得る。なお、表
面層については、上記弾性微粒子についても顔料や染料
を含有させて上記明度差を実現し得るようにしてもよ
い。
【0030】用い得る着色剤としては、塗料において用
いられている公知の顔料や染料を利用することができ
る。上記顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、
カーボンブラック、シアニン系顔料、キナクリドン系顔
料などを挙げることができる。また、染料としては、例
えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、インジュイ
ド系染料などを挙げることができる。さらにアルミフレ
ーク、ニッケル粉、金粉、銀粉などの金属粉などを、上
記着色剤として用いてもよい。
【0031】上記顔料及び染料は、ソフトタッチ感や艶
消し感を損なわないためには、できるだけ微粒子のもの
であることが好ましい。しかしながら、着色剤が加えら
れると、充填材、特に弾性微粒子によって付与されるソ
フトタッチ感や艶消し感が異なることがあるため、着色
剤を加えた系では、充填材の含有量は、着色剤を加えた
ことによる効果を考慮して選定すればよい。
【0032】発泡体層 本発明においては、上記積層シートの基材層側に、さら
に合成樹脂よりなる発泡体層を積層してもよい。このよ
うな発泡体層を積層することにより、積層シートにクッ
ション性を与えることができる。上記発泡体層を構成す
る材料としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン
などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン
−無水マレイン酸共重合体などのポリスチレン系樹脂、
ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、各種熱可
塑性エラストマー樹脂などの発泡可能な適宜の樹脂材料
が挙げられる。また、これらの発泡体の発泡倍率が低く
なると、得られた積層シートのソフトタッチ感が低下
し、また、高くなると、得られた積層シートの強度が低
下し、真空成形等の延伸成形時に発泡体層が破断した
り、発泡セルが潰れやすくなったりするため、5〜50
倍程度が好ましく、10〜40倍がさらに好ましい。ま
た、発泡体層を構成する材料は、発泡性向上の点から部
分的に架橋したものが好ましい。
【0033】本発明の積層シートを製造する方法 本発明にかかる積層シートを製造する方法は、特に限定
されるものではなく、成形された基材層上にコーティン
グなどの方法により表面層を設けてもよい。もっとも、
表面層を構成する組成物と、基材層を構成する組成物を
共押出し、得られたシート状積層体を伸長する方法が、
工程を少なくし得るため好ましい。さらに、上記シート
状積層体を伸長した後に、基材層側に発泡体層を積層す
ることにより、発泡体層が積層された積層シートを少な
い工程で得ることができ、好ましい。
【0034】なお、共押出成形は、2台以上の押出機を
使用し、押出された複数の樹脂を1つに合流させて多層
構造の製品を作る方法をいう。この共押出による合流方
法には大別してフィードブロック法、マルチマニホール
ド法、マルチスロットルダイ法がある。フィードブロッ
ク法はダイに入る直前に取付けた特殊ブロックで合流さ
せるものでブラックボックス法とも呼ばれる。マルチマ
ニホールド法はダイ内に層数分だけのマニホールドを有
するものである。マルチスロットルダイ法は、ダイ内で
は別々の流れにして、ダイを出た直後に接着させる方法
である。
【0035】また、上記いずれの共押出成形方法を用い
てもよい。上記のようにして共押出法により得られた積
層シートと、合成発泡樹脂からなる発泡体層とを積層す
る方法としては、例えば、共押出・伸長直後に、溶融状
態にある発泡体層構成用混合物を積層シートの基材層側
にラミネートする方法(押出ラミネート)がある。この
場合、表面層側に当接されるラミネート用ロールの表面
にエンボスを設けておき、ラミネートと同時に表面層に
エンボスを施してもよい。
【0036】なお、上記共押出時に、表面層と基材層と
の密着性が十分でない場合には、両層の間に接着剤層を
共押出法(3層以上の押出)により設けたり、基材層を
構成する材料を酸変性したり、グラフト変性したりして
もよい。
【0037】上記接着剤層を構成する材料としては、基
材層及び表面層を構成する樹脂に相溶する接着性のポリ
マーが用いられる。このようなポリマーとしては、主鎖
または側鎖に水性基、アミド基、エポキシ基、カルボン
酸基、カルボン酸エステル基等の官能基を有する化合物
等を含むポリマー、例えば、酸変性されたSBS(スチ
レン−ブタジエン−スチレン共重合体)、同じく酸変性
されたSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチ
レン共重合体)や酸変性されたポリプロピレン、ポリエ
チレン等が挙げられる。これらの酸変性は一般的には無
水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロ無
水フタル酸等により行われる。また、カルボン酸の量と
しては、ポリマーの酸価が1〜30mgKOH/gが好
ましい。
【0038】また、接着材層としては、熱成形時に軟化
しない(熱成形温度より軟化温度が高い)ものが好まし
い。このように熱成形時に軟化しない材料で接着層を構
成することにより、熱成形時の艶の上昇、すなわち艶消
し感の低下が抑えられる。
【0039】同様に、基材層と発泡体層との密着性が悪
い場合にも、発泡体層の表面(基材層側の面)に、プラ
イマー層や、接着剤層を予め設けたり、基材層側に、プ
ライマー層や、接着層を共押出(4層以上の押出)で設
けたりしてもよい。
【0040】上記プライマー層を構成する材料として
は、例えばポリオレフィン系の基材層にポリウレタン系
の熱可塑性エラストマーよりなる発泡体を積層する場合
には、塩素化ポリオレフィンや酸変性されたSEBS
(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)
などが挙げられる。
【0041】上記接着剤層を構成する材料としては、例
えばゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系な
どの感圧型接着剤もしくは溶剤型接着剤や、エチレン−
酢酸ビニル系共重合体(EVA)系、スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体(SIS)系等のホッ
トメルト系接着剤が挙げられる。また、例えばマイクロ
カプセル硬化型の後硬化型接着剤も使用できる。後硬化
型接着剤には、例えば、未架橋型不飽和ポリエステル系
接着剤、未架橋型アクリル系接着剤などが包含される。
【0042】本発明の積層シートでは、さらに、仕様に
応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤(例
えば、ヒンダードアミン)などの材料を添加することが
できる。
【0043】本発明の積層シートに種々の機能を付与す
るために、各種の機能性付与剤を添加してもよい。上記
機能性付与剤としては、導電性材料、結露防止剤、フォ
トクロミック化合物などを挙げることができる。
【0044】さらに上記シートの意匠性を高めるため
に、印刷等の模様付けを行う場合もある。印刷は、表面
層の裏面(基材層上)に形成されるのが好ましい。上記
のようにして得られた本発明の積層シートの厚みは、シ
ート構成によっても異なるが、積層シートのソフトタッ
チ感や成形性等を考慮すると、一般的には、表面層は5
〜100μm、基材層は200〜3000μm、発泡体
層は1000〜4000μm、接着剤層またはプライマ
ー層は5〜150μmが好ましい。
【0045】なお、基材層が2層以上からなる場合、上
記基材層の厚みとは、基材層を構成する各々の層の厚み
を合計した厚みをいう。本発明の積層シートを用いた成
形品の製造方法で得られる成形品では、製品表面にソフ
トタッチ感や艶消し感が付与されているので、人が触れ
やすい場所等に好適に用いることができる。
【0046】すなわち、例えば、ドアパネル、インスツ
ルメントパネル、ハンドル、ギヤーレバーノブ、ドアノ
ブ、各種スイッチ等の自動車として内装部材、携帯用製
品(電話、カセットテープレコーダー、コンパクトディ
スク、テレビ等)、冷蔵庫、テレビ等の家電製品類のハ
ウジング、スイッチなど、パーソナルコンピューター、
プリンタ、キーボード等のオフィスオートメーション製
品類のハウジング、様式便器の腰掛け部、風呂桶、椅
子、マット、棚等のサニタリー製品や浴室製品、バッ
ト、ラケット、クラブなどのグリップ等のスポーツ用
品、ケース、容器等の日用品、文具製品のハウジング、
その他、ベンチ、椅子、台、ソファー等に用いることが
できる。
【0047】作用 本発明の積層シートでは、上記のように、表面層の明度
Vが、基材層の明度±2の範囲とされているため、本発
明の積層シートを延伸成形した場合、後述の実施例から
明らかなように、表面層が延伸されたとしても、該表面
層の白化が目立ち難くなる。すなわち、本発明は、延伸
成形による表面層の部分的な変形を避けることができな
いことに鑑み、上記のように、表面層の明度を基材層の
明度に対して特定の範囲とすることにより、変形に伴う
白化を目立たなくさせたことに特徴を有する。
【0048】
【実施例】以下、実施例及び比較例を説明することによ
り、本発明を明らかにする。なお、以下において「部」
とは、固形分としての重量部を示す。
【0049】実施例1 a)表面層構成用材料 熱可塑性ウレタンエラストマー樹脂(日本ミラクトラン
社製、E990P無黄変、JIS−A硬度90)100
部。弾性ビーズ(積水化成品工業社製、UB−20(ブ
ラック)、ウレタンの弾性ビーズ、平均粒径20μm)
90部。
【0050】上記熱可塑性エラストマー、弾性ビーズ及
びカーボンブラックを2軸混練押出機で押出し、冷却後
軟質用カッターでペレット化した。なお、カーボンブラ
ック含有量は、後述の明度を実現するように決定した。
なお、押出機における各部の設定温度は次の条件で行っ
た。スクリュー後部140℃、中間部160℃、前部1
70℃、ダイ部170℃。
【0051】b)基材層構成用材料 熱可塑性オレフィンエラストマー1(三井石油化学工業
社製、ミラストマー8030)100部、線状低密度ポ
リエチレン(三井石油化学工業社製、ウルトゼックス2
021L)20部、ポリプロピレン(三井石油化学工業
社製、F650)20部及び後述の明度を実現する量の
カーボンブラックをペレットブレンドしたもの。
【0052】c)接着剤層構成用材料 酸変性ポリオレフィン(三井石油化学工業社製、アドマ
ーQF500)。上記a),b),c)3層を、図1に
示すように、それぞれプラスチック工学研究所製の50
φ、40φ、40φの押出機1a,1b,1c及びフィ
ードブロックタイプのダイ2を備えた3層共押出装置3
より下向きに押し出した。それぞれの樹脂温度はa)が
180℃、b)が210℃、c)が200℃、ダイの温
度が190℃であった。
【0053】空冷されつつ伸長されて金型リップ(幅2
mm、長さ1m)の真下約15cmの位置で温度が約1
70℃になったシート状積層体4を、樹脂の吐出速度よ
り高速回転している温度40℃の冷却引取ロール5で伸
長しながら引き取る一方、発泡ポリプロピレンシート
(発泡倍率25倍)7を、冷却引取ロール5及びラミネ
ートロール8間に導入、加圧し、シート状積層体4及び
発泡ポリプロピレンシート7を積層一体化して無彩色の
積層シート9を得た。
【0054】得られた積層シート9の表面層を電子顕微
鏡で確認したところ、表面に微細な凹凸が得られてい
た。得られた積層用シート9の明度をJIS Z 87
22に基づき東京電色社製カラーアナライザーTC−1
800で色度座標x,y及び視感反射率Yの値を測定し
た結果によりJIS Z 8721に基づき求めたとこ
ろ、表面層の明度は3、基材層の明度は2であった。ま
た、表面層、接着剤層、基材層、発泡体層の厚みは、そ
れぞれ表面層が20μm、接着剤層が10μm、基材層
が400μm、発泡体層が3000μmであった。
【0055】実施例2 基材層構成材料中のカーボンブラックの量を基材層の明
度が1となるように変更したこと以外は、実施例1と同
様にして積層シートを得た。
【0056】実施例3 表面層構成材料中のカーボンブラックの量及び基材層構
成材料中のカーボンブラックの量を、表面層の明度が
4、基材層の明度が5.5となるように変更したこと以
外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
【0057】実施例4 顔料としてカーボンブラックに代えて、シアニンブル
ー、酸化チタン及びキナクリドンレッドを用いた。すな
わち、シアニンブルー、酸化チタン及びキナクリドンレ
ッドを表面層構成材料に、シアニンブルー、酸化チタン
及びキナクリドンレッドを基材層構成材料に、表面層の
明度Vが7、彩度Cが6、色相Hが5PB、基材層の明
度Vが5.5、彩度Cが4、色相Hが5PBとなるよう
に含有させたこと以外は、実施例1と同様にして積層シ
ートを得た。
【0058】実施例5 顔料としてカーボンブラックに代えて、シアニンブル
ー、酸化チタン及びキナクリドンレッドを用いて表面層
構成材料を、シアニンブルー、酸化チタン及びキナクリ
ドンレッドを用いて基材層構成材料を、表面層の明度V
が2、彩度Cが2、色相Hが5PB、基材層の明度Vが
5.5彩度Cが4、色相Hが5PBとなるように含有さ
せたこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得
た。
【0059】比較例1 カーボンブラックを添加せずに表面層構成材料を作製し
たこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得
た。この積層シートにおいて、表面層の明度は6、基材
層の明度は2であった。
【0060】比較例2 表面層の明度Vが1、基材層の明度Vが5となるよう
に、表面層構成材料及び基材層構成材料にカーボンブラ
ックを添加し、その他の点については、実施例1と同様
にして積層シートを得た。
【0061】上記実施例1〜5及び比較例1,2の積層
シートにおいて用いた顔料の種類、基材層及び表面層の
明度、彩度及び色相を下記の表1及び表2にまとめて示
す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】上記のようにして得た実施例及び比較例の
積層シートにつき、室温で200%の延伸を行った後、
表面のシボ模様を観察した。その結果、比較例1ではシ
ボの凹部で白化が見られ、比較例2の積層シートでは積
層シートの延びている部分と延びていない部分とで色の
感じが異なっていた。これに対して、実施例1〜5で得
た積層シートでは、白化が見られなく、色ムラも全く認
められなかった。
【0065】
【発明の効果】以上のように、本発明の積層シートで
は、基材層の色が、JIS Z 8721に規定されて
いる明度Vが6以下であり、表面層の明度が、基材層の
明度を中心として±2の範囲となるように構成されてい
るため、延伸成形された場合であっても、表面層の白化
が目立ち難くなる。従って、本発明の積層シートを用い
て、合成樹脂や金属などの骨材の表面にスタンピング成
形や真空成形等の成形方法により、白化が見られない、
良好な外観を呈し得る被覆層を構成することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において積層シートの製造方法を実施
するための装置を示す説明図。
【符号の説明】
1a…表面層構成用材料押出機 1b…基材層構成用材料押出機 1c…接着剤層構成用材料押出機 2…ダイ 3…3層共押出装置 4…シート状積層体 5…冷却引取ロール 9…積層シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/40 B32B 27/40

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂と充填材とを含む表面層
    と、熱可塑性樹脂よりなる基材とを積層してなる積層シ
    ートであって、 前記基材層の色がJIS Z 8721に規定されてい
    る明度Vが6以下であり、かつ前記表面層の明度が前記
    基材層の明度を中心として±2の範囲となるように、表
    面層が構成されていることを特徴とする積層シート。
  2. 【請求項2】 前記表面層を構成している熱可塑性樹脂
    が、熱可塑性エラストマーであり、前記充填材が弾性微
    粒子であり、前記基材層を構成している熱可塑性樹脂が
    熱可塑性オレフィンエラストマーである請求項1に記載
    の積層シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013184435A (ja) * 2012-03-09 2013-09-19 Toppan Printing Co Ltd 加飾フィルム、加飾成形品製造方法および加飾成形品
JP2023094343A (ja) * 2021-12-23 2023-07-05 日本プラスチック工業株式会社 多層シート

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