JPH09104615A - パック料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】角栓や老化した角質を除去する効果に優れ、か
つ使用実感に優れたパック料を提供する。 【解決手段】長径が１〜１０μｍの範囲にある棒状酸化
チタンおよび平均一次粒子径が５〜１００ｎｍの範囲に
ある微粒子金属酸化物を配合したパック料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚の角栓や老化
した角質を除去する効果に優れ、使用実感（さっぱり感
等）に優れたパック料に関する。さらに詳しくは、棒状
酸化チタンや微粒子金属酸化物を配合することで、これ
らの粉体を皮膚表面に吸着させ、角栓や老化した角質を
除去する効果を高めたパック料に関する。

【０００２】

【従来の技術】本発明者らは、公技９４−４４８号、特
願平６−２０４２７０号において、棒状酸化チタンなど
の棒状粉体を化粧料に配合する技術を開示した。中でも
棒状酸化チタンはラスティング性に優れているため、ア
イシャドウ等のメイクアップ製品で利用価値が高い。ま
た、微粒子金属酸化物の皮膚に対する付着性が高いこと
は一般に良く知られている。しかしながら、これらの粉
体はメイクアップ化粧料での使用が一般的であり、基礎
化粧品であるパック料に配合した場合の特性は明確でな
かった。

【０００３】

【発明の解決しようとする課題】皮膚化粧料の一つとし
てのパック料は、皮膚血行の促進、皮膚の洗浄作用を目
的とするものであり、その製剤の形態としては、オイル
タイプ、ワックスタイプ、ピールオフタイプのものが通
常使用されている。しかしながら、従来のパック料は皮
膚表面の汚れの除去作用は充分とは言えず、特に毛包に
皮脂や角質が固化した状態である角栓を除去する能力に
劣っていた。すなわち、本発明は、優れた角栓除去能力
を有するパック料の開発を行うことを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のパック料は次のような構成をとる。すな
わち、本発明は、長径が１〜１０μｍの範囲にある棒状
酸化チタンおよび平均一次粒子径が５〜１００ｎｍの範
囲にある微粒子金属酸化物を配合したパック料である。

【０００５】本発明者らは、これらの粉体のパック料へ
の導入およびパック料としての特徴の把握について鋭意
研究した結果、これらの粉体が角栓や老化した角質に吸
着する傾向を有すること、角栓などの除去能力に非常に
優れていることを見いだした。

【０００６】例えば、微粒子酸化チタンを配合した本発
明のパック料を用い、角栓や老化した角質を吸着した部
位のパック料の割断面を電子線マイクロアナライザーを
用いて評価した場合、角栓や老化した角質の周囲にチタ
ンが高濃度で集まっている様子が観察できる。これに対
して、ガラスプレート上に皮膜形成したパック料では、
このような状態は観察されない特徴がある。

【０００７】そこで、これらの粉体の濃度と、角栓の除
去効果との比較を行うと、粉体濃度と除去効果の間に相
関関係が認められた。

【０００８】すなわち、本発明はこれらの粉体の皮膚へ
の吸着性を利用することで、パック料の性能を向上させ
る技術に関するものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳述する。

【００１０】本発明で用いる棒状酸化チタンおよび微粒
子金属酸化物の粒径の測定方法としては、電子顕微鏡観
察により得られるものを用いる。

【００１１】本発明で用いる棒状酸化チタンは、皮膚へ
の吸着性が高い範囲にある、１〜１０μｍの長径を有す
ることが必要である。また、短径としては、（短径が小
さいほど皮膚への吸着性が高くなるので）０．０１〜１
μｍが好ましく、さらに好ましくは０．０１〜０．５μ
ｍである。

【００１２】本発明で用いる金属酸化物は、皮膚への吸
着性が高い範囲にある、５〜１００ｎｍの平均一次粒子
径を有する必要がある。本発明で用いる金属酸化物の種
類としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化
鉄、無水珪酸、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、
低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタン、酸化セリウ
ム等が挙げられるが、特に酸化チタン、無水珪酸が好ま
しい。なお、本発明の粒子径の範囲内であれば、形状を
問わない。

【００１３】本発明で用いる棒状酸化チタンおよび金属
酸化物は、未処理であっても、また酸化アルミニウム、
二酸化珪素等の無機表面処理やポリアクリル酸等の親水
性化合物を使用した親水性表面処理を行っていても構わ
ない。また、シリコーン、Ｎ−アシル化リジン、金属石
鹸、油剤、フッ素化合物等で表面処理されていても構わ
ないが、製剤の安定性などを考慮した場合、未処理もし
くは親水性の表面処理が好ましい。但し、この場合、粉
体のゼータ電位によっては系の安定性が損なわれること
があるため、凝集沈降の生じない範囲にて表面処理をコ
ントロールすることが好ましい。

【００１４】本発明で用いる棒状酸化チタンおよび金属
酸化物の配合量としては、皮膚への吸着性が高く、角栓
除去効果の高い範囲にある、パック料１００重量部に対
して、それぞれ０．０５〜３重量部、０．５〜２０重量
部が好ましい。

【００１５】本発明のパック料の形態としては、本発明
の目的を達成するため、ピールオフタイプが好ましい。

【００１６】本発明のパック料における、皮膜形成剤と
しては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、アルギン酸塩、およびこれらの素材を一部使用した
ポリビニルアルコール／アクリル酸共重合体などの従来
パック料に使用されたことのあるポリマーを使用するこ
とができる。

【００１７】本発明のパック料では、上記の各成分以外
に化粧品において従来公知である粉体類、油剤、樹脂、
界面活性剤、紫外線吸収剤、香料、防腐剤、殺菌剤、保
湿剤、粘剤、生理活性成分、溶剤、水等を同時に配合す
ることができる。

【００１８】特に粉体類については、シリコーン、アク
リル、ウレタン、ナイロン、ポリスチレン、テフロン、
ポリエチレン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂等の樹
脂粉体を配合することが可能である。

【００１９】

【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
詳細に説明する。

【００２０】実施例および比較例で用いた化粧料の評価
は、女性計４０名のパネラーに対して実施例および比較
例で作製したパック料を鼻の左右にそれぞれ使用しても
らい、乾燥し剥離したパック料の表面に紫外線を当て、
その像をＣＣＤカメラに入力し、画像処理装置を用いて
角栓の数を数えることで評価した。なお、この方法は紫
外線下に角栓が黄色く発光することを利用している。ま
た、評価は表１に示す基準に従って、全パネラーの点数
の合計を人数で割った値を用いて行った。したがって、
値が高いほど角栓の除去効果に優れていることを示して
いる。

【００２１】上記評価と共に、パネラーに対して感触面
でのアンケートを行った。分類した代表的な結果を表４
に示す。なお、表４における数字は、質問項目に対して
「はい」と回答したパネラーの割合（％）を示してい
る。

【００２２】

【表１】

【００２３】実施例１ 表２の処方にてピールオフタイプのパック料を作製し
た。なお、配合量は重量％である。

【００２４】

【表２】

【００２５】ホリビニルアルコールを精製水に８０℃の
加熱下に徐々に溶解させた後、各成分を撹拌下に投入し
た。ついで、湿式粉砕装置マイクロス（奈良機械製作所
製）を用いて９００rpm で５分間粉砕を行い、脱気し、
チューブに充填して製品とした。

【００２６】比較例１ 実施例１の微粒子酸化チタン、棒状酸化チタン、シリコ
ーン架橋粉末の代わりに精製水を用いた他は全て同様に
して製品を得た。

【００２７】比較例２ 実施例１の微粒子酸化チタン、棒状酸化チタンの代わり
に平均一次粒子径０．２４μｍのシリカ処理酸化チタン
を使用した他は全て同様にして製品を得た。

【００２８】比較例３ 実施例１の微粒子酸化チタンの代わりに、実施例１で使
用しているものと同じ棒状酸化チタンを使用した他は全
て同様にして製品を得た。

【００２９】比較例４ 実施例１の棒状酸化チタンの代わりに、精製水を使用し
た他は全て同様にして製品を得た。

【００３０】比較例５ 実施例１の微粒子酸化チタンの代わりに平均一次粒子径
０．２４μｍのシリカ処理酸化チタンを使用した他は全
て同様にして製品を得た。

【００３１】表３に、実施例１および比較例１〜５の、
角栓除去効果の評価結果を示す。また、表４に、前記の
感触面のアンケート結果を示す。

【００３２】

【表３】

【００３３】

【表４】

【００３４】表３の実施例１と比較例との比較から、本
発明の実施例は比較例に比べて優れた角栓除去効果を有
していることが判る。また、表４の結果より、実施例は
苦痛にならない程度の軽度の痛みを感じるが、さっぱり
感も有していることが判る。さらに、皮膚の血行促進効
果も充分にあった。

【００３５】比較例１は粉体成分を除いた場合である
が、角栓除去効果に乏しかった。比較例２は微粒子酸化
チタン、棒状酸化チタンの代わりに顔料級酸化チタンを
使用した場合であるが、角栓除去効果、使用実感ともに
劣っていた。比較例３は微粒子酸化チタンを使用せず、
棒状酸化チタンのみを多く配合した例であるが、角栓除
去効果、使用実感ともに劣っていた。比較例４は微粒子
酸化チタンのみを配合した例であるが、実施例と比べて
角栓除去効果、使用実感（剥がす時に皮膚に苦痛になる
痛みを感じる）ともにやや劣っていた。また、比較例５
は微粒子酸化チタンを除いた場合であるが、角栓除去効
果、使用実感ともに劣っていた。

【００３６】

【発明の効果】以上のことから、本発明は、角栓や老化
した角質を除去する効果に優れ、かつ使用実感（さっぱ
り感等）に優れたパック料を提供することは明かであ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長径が１〜１０μｍの範囲にある棒状酸
   化チタンおよび平均一次粒子径が５〜１００ｎｍの範囲
   にある微粒子金属酸化物を配合したパック料。