JPH09103263A - 無臭にんにくを用いた健康食品 - Google Patents

無臭にんにくを用いた健康食品

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JPH09103263A
JPH09103263A JP7286366A JP28636695A JPH09103263A JP H09103263 A JPH09103263 A JP H09103263A JP 7286366 A JP7286366 A JP 7286366A JP 28636695 A JP28636695 A JP 28636695A JP H09103263 A JPH09103263 A JP H09103263A
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garlic
peptide
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一治 筬島
Katsuhiro Osajima
克裕 筬島
Eiji Seki
英治 関
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 にんにくの硫化成分をペプチド及び/又
は糖類と結合させてにんにくを無臭化する。 【効果】 本無臭化にんにくは、脱臭が充分に行なわれ
しかも安全性についても問題がないので、それ自体で、
あるいは他の飲食品に添加したりして広範に利用するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、にんにくの硫化成
分をペプチド又は糖質、又は、この両者の混合物に結合
させることによって得る無臭にんにくと、無臭にんにく
を含有してなる食品に関する。
【0002】
【従来の技術】にんにくが長寿の秘薬として、又、精力
増強剤或いは、結核を始め、あらゆる病気の特効薬とし
て、古来から、その薬効が重宝がられて来た事は周知の
通りである。しかし、その優れた薬効の反面、にんにく
の不快臭の消去が難しく、必ずしも有効に利用されてい
ないのが現状である。
【0003】「にんにく臭」は、にんにくの成分である
アリインがにんにく中の酵素(アリイナーゼ)によっ
て、酵素分解されて生ずる薬効成分(アリシン)を始
め、ジアリルジサルファイド、ジアリルトリサルファイ
ドなどの硫化アリル化合物によるものと考えられてい
る。その代表的なにんにく臭の成分としては、ジアリル
ジサルファイド、ジアリルトリサルファイド、プロピル
アリルジサルファイド、ジアリルモノサルファイド、S
−アリル−2−プロペンチオサルファイド、その他の硫
化アリル化合物などがあげられる。これらの臭気は強烈
で、極微量に存在しても不快臭として感知される。
【0004】前述の如く、にんにく成分のアリインから
酵素アリイナーゼによってアリシンが生成する。此のア
リシンなどがにんにくの様々な薬効の源泉をなしている
事が知られている。現在、にんにくを無臭化する主な方
法としては、にんにくを活性ケイ酸とフィチン酸水溶液
に浸すなど、酵素アリイナーゼを不活性化して除去する
方法がある。又、にんにくを加熱して酵素アリイナーゼ
を失活させたり、タンパク質、野菜などと一緒に摂取し
て臭気を和らげたりする方法などが用いられている。し
かしながら、上記方法ではいずれも、にんにく中の酵素
アリイナーゼを失活させたり、又は充分な酵素分解活動
をさせないため、にんにく成分のアリインが、薬効のあ
るアリシンに分解されないままの状態で摂取されるの
で、体内での薬効性は少なくなる。
【0005】従って、無臭で薬効性を発現させる方法は
未だ知られていないのが現状である。又、上記方法で
は、にんにく中の酵素が完全に失活されたか否かの判定
が困難のため、一時的に消臭出来ても貯蔵中、又は温度
や湿度の変化、或いは物理的、化学的変化によって、生
成する硫化化合物により再び発生する「戻り臭」の除去
方法については現在全く知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、にんにくを
脱臭する新しい方法を開発するとともに、得られた無臭
にんにくの有効な用途を開発する目的でなされたもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に各方面から検討を行った結果、にんにくの脱臭にはに
んにく由来の悪臭成分(フレーバー成分)の生成を防ぐ
事が望ましいが、臭気成分それ自身が薬効成分(アリシ
ンなど)の場合、一般的な除臭方法では、その効力も失
われるため、これらを不揮発性化合物に変換させる事が
出来れば、その効力を失わせずに無臭化させることが可
能となる点にはじめて着目し、この観点から鋭意研究を
行い、その結果本発明の完成に至った。
【0008】すなわち、本発明は、にんにくの脱臭方法
として、にんにくの硫化化合物(にんにく臭)をペプチ
ド及び/又は糖質と結合させる事により、簡便かつ完全
に脱臭を行い、永続的、長期にわたり戻り臭の発生もな
く安定したにんにくの脱臭を行う事が出来る事を発見
し、本発明を完成した。
【0009】本発明は、にんにくの主たる臭気成分であ
る硫化化合物をペプチド及び/又は糖質と結合させ、不
揮発性化させること、及び、結合したペプチド又は糖質
が体内の消化作用により分離して、にんにく本来の薬効
性を発揮すると共に、共存するペプチド又は糖質が人体
内での生理活性作用(ペプチドの高血圧抑制作用、高コ
レステロール抑制作用、ミネラル吸収促進作用及び糖質
の整腸作用など)、栄養効果をも併せ持つ事が出来ると
いう新しい知見に基づいている。
【0010】本発明は上述の他、種々の硫化物、アリル
化合物、メチル化合物、プロペニル化合物類に共通する
異臭を有する食物の脱臭、除臭に広範囲に適用出来る特
徴を併せ有する。
【0011】本発明によるにんにくの脱臭メカニズム及
び体内における薬効成分(アリシンなど)の行動メカニ
ズムの詳細は今後の研究にまたねばならないが、現時点
においては、ペプチド及び/又は糖質と硫化化合物との
水素結合、イオン結合、脱水結合又はジサルファイド結
合を利用することによって脱臭を行い、しかる後に体内
に摂取された後はこの結合体ないし複合体は、体内で分
離してにんにくの薬効成分を可逆的に切り離して本来の
にんにくの薬効成分(intactな形)に戻り、にんにくの
薬効を発揮させるものと考えられる。
【0012】したがって、本発明に於いては、にんにく
成分(アリイン)が酵素アリイナーゼによる酵素分解に
よって急激に薬効成分(アリシン)に転換すると同時
に、此の薬効成分(アリシン)が更に分解して悪臭(ジ
アリルジサルファイド類)を生ずる事を明確に把握した
上で、これらの臭気成分(アリシン及びジアリルジサル
ファイド類)である硫化物とペプチド及び/又は糖質と
の結合体を形成させるものである。その結合体(複合
体)の結合様式は次のとおりである。
【0013】(1)水素結合 イ)アリシンとペプチドの水素結合 その結合様式は下記化1に示される。
【0014】
【化1】
【0015】ロ)ジアリルジサルファイドと糖(果糖)
の水素結合 その結合様式は下記化2に示される。
【0016】
【化2】
【0017】(2)イオン結合 イ)ジアリルジサルファイドとペプチドのイオン結合 その結合様式は下記化3に示される。
【0018】
【化3】
【0019】(3)ジサルファイド結合 イ)アリシンとペプチドのジサルファイド結合 その結合様式は下記化4に示される。
【0020】
【化4】
【0021】(4)脱水結合 イ)ジアリルジサルファイドとペプチドの脱水結合 その結合様式は下記化5に示される。
【0022】
【化5】
【0023】ロ)アリシンと糖(果糖)の脱水結合 その結合様式は下記化6に示される。
【0024】
【化6】
【0025】
【発明の実施態様】本発明を実施するには、にんにく球
を剥皮した後、 1)水浸又は適度の加温、加熱によって、にんにく球内
の酵素アリイナーゼの活動を活性化させる。 2)にんにく球を切断又は粉砕して、にんにく球内の酵
素アリイナーゼを急激に活性化させる。
【0026】3)前記1)及び/又は2)によってアリ
イナーゼを活性化させ、このアリイナーゼの酵素活動に
より、にんにくの成分のアリインが分解されてアリシン
に転換すると共に硫化物としてのにんにく臭を発生し、
更に分解の進展に伴い、ジアリルジサルファイド類も発
生し、特有のにんにく臭を発生するに至る。
【0027】4)本発明では此のアリイナーゼによる酵
素分解によって分解生成した直後のアリシン及びジアリ
ルジサルファイドなどが構造的に強固に安定せず、未だ
不安定で活性を有している時期を逃さず、此の時期にペ
プチド又は糖質と急激にホモジナイズして両者の均一な
接触を行い水素結合、ジサルファイド結合などの化学結
合を行わせ硫化物を不活性な複合体として安定化させ、
無臭化させる事を特徴とする。
【0028】5)即ち前記1)又は2)の過程で酵素ア
リイナーゼの活動が進んだ時点を見極め、温湯、水蒸気
又は火気による加熱で酵素分解を急激に進めた直後、酵
素を失活させて分解を止める。此の時、アリイナーゼに
よるアリインからアリシンへの酵素分解は加熱によっ
て、その分解適正域では短時間に極めて過激な分解を起
こすため、加熱開始から酵素失活までの加熱温度と時間
が最も重要となる。又、此の温度と時間決定を誤るとア
リシンの2次分解によるジアリルジサルファイド類の生
成が多くなる。
【0029】6)即ち前記5)の過程に於いて、加熱に
よるアリイナーゼの極めて急激な酵素分解が終了に近い
点を見極めつつ更に高温化してアリイナーゼを完全に失
活させると同時に、あるいはその可及的直前又は直後
に、ペプチド又は糖質、あるいはこれらの混合物ととも
に両者を均一に混合、接触せしめ(例えば急速ホモジナ
イズ処理)、温度、水分、pH、攪拌速度などを調整
し、好適条件下で化学反応をひき起して、これらの複合
体をつくらせる事によって、にんにくが酵素分解によっ
て生じた硫化物(アリシンを始め、その2次分解によっ
て生ずるジアリルジサルファイド、ジアリルトリサルフ
ァイドなど)のいわゆる「にんにく臭」を消去すること
が出来る。
【0030】にんにくとペプチド及び/又は糖質を急速
にホモジナイズして複合体を形成させる時の反応条件と
して本発明では全ての反応条件に適合する範囲として、
反応温度は30℃〜98℃、加水量は0%〜200%、
pHは3.0〜9.0(好ましくは7.0を標準)、酵
素アリイナーゼ反応時間は前処理段階(にんにく球の剥
皮前)で5時間〜24時間、主反応は1分間〜20分
間、尚、前処理段階を行わない場合は、主反応は1分間
〜30分間、ホモジナイズ回転速度は1000rpm〜
15000rpm(好ましくは3000rpm〜100
00rpm)、複合体を形成させる反応時間は1分間〜
30分間である。
【0031】本発明に於いて使用されるペプチドは、魚
肉由来、畜肉由来、乳由来動物性タンパク質が酵素分解
されて生成したものが広く用いられるが、本発明研究に
使用したイワシ由来ペプチド(例えば、特公平3−54
958、特開平2−154693、特開平5−2712
97)が上記の硫化物との化学反応及びその複合体形成
には極めて良好であった。
【0032】魚肉由来ペプチドの例としては、イワシの
ほかサバ、サンマその他各種魚介類を蛋白分解酵素で処
理することにより、ペプチドを生成させ、ついでこれを
アルコール分画、イオン交換樹脂処理することによって
分離、精製することによって得られるペプチドが挙げら
れる。
【0033】その1例であるペプチド DAN−100
は、下記表1、表2に示される理化学的性質を有する新
規物質であって、その詳細は特公平3−54958号に
開示されている。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】また魚肉由来ペプチドの他の例としては、
イワシのほかサバ、サンマその他各種魚介類を自己消化
処理と蛋白分解酵素処理を同時に行って得られる分子量
500〜6,000の機能性ペプチドが挙げられる。
【0037】その1例である機能性ペプチド ESP−
2は、下記表3、表4に示される理化学的性質を有する
新規物質であって、その詳細は特開平2−154693
号に開示されている。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】また更に魚肉由来ペプチドの他の例として
は、イワシのほかサバ、サンマその他各種魚介類を加熱
変性せしめて自己消化酵素を失活せしめた後プロテアー
ゼ処理して得られるペプチドが挙げられる。
【0041】その1例であるペプチドα−1000は、
下記表5、表6、表7に示される理化学的性質を有する
新規物質であって、その詳細は特開平5−271297
号に開示されている。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】又、本発明に於いて使用される糖質は各種
単糖類、多糖類を始め、ピリドキサールリン酸を含む抽
出糖などがあげられる。中でも、果糖、ブドウ糖などの
単糖が極めて良好な複合体を形成した。更にまた、蜂
蜜、水あめ、液糖なども好適に使用できる。
【0046】又、用いられるペプチドの配合量は、にん
にくの種類(産地の差)、保存期間などによって異なる
が、本発明研究に於いては、にんにくの重量当たり0.
5%〜30.0%程度が適当と判断された。
【0047】又、糖質の配合量は単糖の場合、にんにく
との化学反応に必要な適正量の他、出来上がり製品の味
覚、食感なども考慮した場合20%〜200%程度が良
好と判断された。又、ペプチドと糖質の混合物を用いる
場合も上記の各配合量とほぼ同一の配合範囲であった。
【0048】このようにして製造した無臭にんにくは、
それ自体飲食品として使用できることはもちろんのこ
と、他の飲食品に混合して使用することもでき、いずれ
のタイプの飲食品も本発明に包含される。
【0049】本発明に係る無臭にんにくは、臭気成分の
みが選択的に除去されているだけで、薬効成分はいささ
かも変化してはいないので、適宜の形態に調製して、通
常の飲食品として用いることができるほか、特定保健用
飲食品、機能性飲食品、健康飲食品、栄養飲食品として
広く利用することができる。
【0050】例えば、特に糖を使用して得た無臭にんに
くについては、ジャム状のペースト食品とすることがで
き、無臭にんにくを懸濁させたり、加水混合処理した後
これを濾過ないし遠心分離して得た上清部を用いたりし
て液状ないし懸濁状の健康ドリンクとすることができ
る。また、パウダー状、タブレット状、カプセル状の健
康食品とすることもできる。
【0051】更にまた、無臭にんにくは、それ自体及び
/又は他の常用される成分を配合して、液状、ペースト
状、または粉末状の調味料とすることができ、焼肉等の
肉料理用その他各種の料理用の調味料として、レストラ
ンや工場のほか、家庭でも自由に使用することができ
る。
【0052】以下、本発明の製造例及び実施例について
述べる。
【0053】
【製造例1】新鮮イワシをデボーナーで処理して採肉し
た。採肉した魚肉質を10kgのすり身に分割した。こ
れを粉砕機で粉砕した後等量の水を加え、45〜48℃
に加熱し、これを攪拌タンクに移して同温に2〜3時間
保持して自己消化分解せしめた。次いでpHを4.1に
調節した。
【0054】これをデナチーム(市販プロテアーゼ製剤
商品名)の0.1%液を加え、45℃に17時間保持し
て酵素分解を行った。中和し、次いで15分間煮沸して
酵素を失活せしめた。
【0055】これをバイブスクリーン(150メッシ
ュ)で濾過し、濾液を5000rpmでジェクター処理
した後、シャープレス遠心分離機で処理し(15000
rpm)、20 Bxとなるまで常温加熱濃縮し、そし
て再度シャープレス遠沈処理(15000rpm)して
ペプチド原液(DAN−No.2)を得た。
【0056】上記で得たペプチド原液(pH6.22)
は1840mlとなり、これに活性炭100gを加え6
0分間攪拌した後濾過して濾液(pH6.12)150
0mlを得た。濾液を100mlとり、これに冷メタノ
ールを2000ml加え、冷室に60分間放置して沈殿
を生ぜしめた。生じた沈殿物に水を加えて溶液(E)を
得た。
【0057】上記溶液(E)を100mlとり、これを
ダウェックス50W〔H+〕を充填したカラム(径5c
m×長さ15cm)に注入した。そして、水2000m
lを用いて樹脂を水洗し、2N−NH4OH 250m
lを用いて溶出し、得られた溶出液を常法によりアンモ
ニア除去後凍結乾燥してペプチドDAN−100の白色
粉末を得た。
【0058】
【製造例2】新鮮イワシをデボーナーで処理して採肉
し、得られたイワシ肉身10kgを粉砕機で粉砕した
後、等量の水及びデナチーム(市販プロテアーゼ製剤商
品名)10gを加え、よく混合し、45℃に4時間保持
して自己消化及び酵素分解を行った。反応液をpH7に
中和し、次いで15分間煮沸して酵素を失活せしめた。
【0059】これをバイブスクリーン(150メッシ
ュ)で濾過し、濾液を5000rpmでジェクター処理
した後、シャープレス遠心分離機で処理し(15000
rpm)、20 Bxとなるまで常温加熱濃縮し、そし
て再度シャープレス遠沈処理(15000rpm)し
た。
【0060】得られた清澄液を減圧濃縮機にて4倍に濃
縮し、濃縮液を活性炭濾過し、次いで珪藻土濾過し、わ
ずかに黄色を帯び透明な機能性ペプチドESP−2の溶
液を得た。また、上記で得た機能性ペプチドESP−2
をそのまま凍結乾燥し、黄白色の機能性ペプチドESP
−2を得た。
【0061】
【製造例3】新鮮イワシをデボーナーで処理して採肉し
た。採肉した魚肉質を10kgのすり身に分割し、これ
を−30℃以下で急速凍結した後、粉砕機で粉砕した後
等量の水を加え、これをタンクに送り、100℃に10
分間加熱して自己消化酵素を失活させ、熱変性させた。
次いでアンモニア水を加えてpHを10に調整した。
【0062】これに市販のアルカリプロテアーゼ製品の
0.1%液を加え、45℃に17時間保持して酵素分解
を行った。次いで15分間煮沸して酵素を失活せしめ
た。
【0063】これをバイブスクリーン(150メッシ
ュ)に通し5000rpmでジェクター処理した後、シ
ャープレス遠心分離機で処理し(15000rpm)、
珪藻土を濾過助剤として用い、濾過処理したものをペプ
チド原液とした。
【0064】上記で得たペプチド原液に活性炭を1%W
/V加え、30℃で60分間攪拌した後濾過して濾液を
得た。これを常法にしたがって減圧濃縮(20℃)した
後、常法にしたがってUHTST殺菌を行って、α−1
000(液体)製品を得、これを更に常法にしたがって
噴霧乾燥して粒径60メッシュのα−1000(粉末)
製品を得、それぞれこれらの製品は冷凍保管した。
【0065】このようにして調製したペプチドα−10
00(粉末)について、セファデックスG−25カラム
を用い、下記の条件でゲル濾過した結果、分子量は20
0〜10,000であることが判明した。カラムサイ
ズ:径16×950mm、溶出剤:0.1Mホスフェー
トバッファー(pH7.0)、分画:2ml/チュー
ブ、流速:10ml/h、分子量マーカー:バシトラシ
ン(分子量1450)。
【0066】上記によって得たα−1000(液体)
は、水分含量が73.6%(減圧加熱乾燥法)であっ
て、淡黄色を呈し、その10%溶液のpHは7.5を示
し、魚臭もなく苦味も認められなかった。そのアミノ酸
組成についての測定を行った結果、下記する表8に示す
結果が得られた。
【0067】
【表8】
【0068】
【実施例1】生にんにく2.0kgを30℃の温水に1
0時間浸漬する。流水中で剥皮した後、沸騰水上で蒸
す。最初5分間、にんにく球の品温を50℃〜55℃に
コントロールし、その後、温度を上げ、品温が85℃以
上になるのを確認した後、直ちに取り出して、高速ホモ
ジナイザー(8000rpm)内に投入すると同時に魚
肉ペプチド200gと混合し、両者の混合温度70℃で
5分間ホモジナイズして均一な、にんにくペーストをつ
くる。製品には「にんにく臭」は全くなく、これを密封
後、常温及び冷蔵庫内で12ケ月間保存後も、「にんに
く臭」は認められなかった。
【0069】
【比較実験】脱臭効果の判定は訓練されたパネラー15
名による官能評価と、にんにくの悪臭の代表的な成分の
一つであるジアリルジサルファイドの量をガスクロマト
グラフにより分析する事により行った。
【0070】(官能評価)官能評価は本発明による製法
で製造したものと、単に、にんにくのみを処理した場合
(対照品)との、にんにく臭の強度を、以下に示す基準
に従って6段階評価し、15名のパネラーを用いて両者
間の比較を行なった。 0・・・にんにく臭を全く感じない。 1・・・にんにく臭をほとんど感じない。 2・・・にんにく臭を少し感じる。 3・・・にんにく臭をやや感じる。 4・・・にんにく臭を強く感じる。 5・・・にんにく臭を非常に強く感じる。
【0071】得られた結果を下記表9に示す。その結果
から明らかなように、本発明品は、にんにく臭が脱臭さ
れていることが示された。
【0072】
【表9】
【0073】(ガスクロマトグラフィー分析)次の条件
でジアリルジサルファイドを分析した。 機種 :ガスクロ島津製作所GC−9A 液相 :FAL−M 担体 :Shimalite TPA 分析温度:70℃ キャリアガス:N2 検出器 :FPD
【0074】本発明品と対照品10gを50ml容のバ
イアルビンに採取し、80℃で15分間放置した。その
後、ヘッドスペースガス5mlを採取し、以上の条件
下、ガスクロマトグラフィーを行なった。
【0075】ガスクロマトグラフィーによるジアリルジ
サルファイドの分析結果、図4、図5によれば、ガスク
ロチャート上のジアリルジサルファイドのピークが、対
照品の場合(図5)は認められるのに対して、本発明品
の場合(図4)は、ほとんど検出されていない。
【0076】ジアリルジサルファイドは、にんにく臭の
中で強烈な臭いを放つ代表的な成分として、又、にんに
く臭に占める比率が高いことが知られており、本試験に
おいて、モニターによる官能評価とガスクロマトグラフ
ィーの定量結果が一致し、良好な結果が示されたことか
ら、本発明による製法で製造したものは、明らかに、に
んにく臭の脱臭が行なわれていることを裏付けた。
【0077】本実施例において、魚肉ペプチド(製造例
3:α−1000)にかえて製造例1及び2で製造した
ペプチドDAN−100及びESP−2を用いて同様の
処理をくり返した結果、すぐれた無臭にんにくが得られ
た。
【0078】
【実施例2】生にんにく2.0kgを40℃の温水に5
時間浸漬する。流水中で剥皮した後、沸騰水上で蒸す。
最初5分間、にんにく球の品温を50℃〜55℃にコン
トロールして加熱した後、温度を上げ、品温が85℃以
上になるのを確認し、直ちに取り出して、高速ホモジナ
イザー(8000rpm)内に投入すると同時に、予め
加温した蜂蜜1.0kgと混合し、両者の混合温度70
℃で5分間ホモジナイズして均一な、にんにくペースト
をつくる。製品には「にんにく臭」は全くなく、これを
密封後、常温及び冷蔵庫内で12ケ月間保存後も、「に
んにく臭」は認められなかった。
【0079】得られたにんにくペーストはジャム状を呈
し、軽い甘味を有しており、そのまま摂取したり、パン
に塗って摂取したりすることが可能であった。
【0080】
【実施例3】生にんにく2.0kgを40℃の温水に5
時間浸漬する。流水中で剥皮した後、沸騰水上で蒸す。
最初から5分間、にんにく球の品温を50℃〜55℃に
コントロールして加熱した後、温度を上げ、品温が85
℃以上になるのを確認した後、直ちに取り出して、高速
ホモジナイザー(8000rpm)内に投入すると同時
に、魚肉ペプチド200gと予め加温した蜂蜜1.0k
gの混合物と混合し、両者の混合温度70℃で5分間ホ
モジナイズして均一な、にんにくペーストをつくる。製
品には「にんにく臭」は全くなく、これを密封後、常温
及び冷蔵庫内で12ケ月間保存後も、「にんにく臭」は
認められなかった。
【0081】魚肉ペプチド(製造例3:α−1000)
として製造例1及び2で製造したペプチドDAN−10
0及びESP−2を用いて同様の処理をくり返した結
果、すぐれた無臭にんにくが得られた。
【0082】
【実施例4:ドリンク】実施例3によって得られた、に
んにくペーストに2倍量の水を加え、濾過処理後、その
濾過液を用いて次の組成による健康ドリンクを作成し
た。 (組成) 無臭にんにく濾過液 70部 液糖 20部 ビタミンMIX 6部 香料 2部 クエン酸Na 2部 これを150mlの褐色ビンに詰め、殺菌した。また、
上記にんにく濾過液にかえて製造例3で得たペプチドα
−1000(液体)を用い、同様に処理して得た無臭に
んにくを用いて同様に健康ドリンクを作成した。
【0083】
【実施例5:健康食品製剤】まず、下記原料をよく攪拌
混合した。 無臭にんにく濾過液 60部 乳糖 30部 ブドウ糖 8部 CMC 2部 この混合物を凍結乾燥し、粉砕後、100メッシュパス
画分を各2gずつ分包した。
【0084】
【実施例6:健康食品カプセル】実施例5の粉末品9
1.4部にビタミンMIX5部と酸化マグネシウム0.
1部、粉末アルコール2.5部、粉末香料1.0部を加
え、よく混合して、常法により内容量250mg/ケの
カプセル製剤とした。
【0085】
【実施例7:健康食品錠剤】実施例5の粉末品87.7
部にビタミンMIX5部、結晶クエン酸2部、コーンス
ターチ4部、ステアリン酸マグネシウム1部、香料0.
3部を加えて、よく混合後、常法により打錠して、錠剤
を得た。
【0086】
【実施例8:ペースト状調味料】 無臭にんにくペースト(実施例1) 85部 食塩 8部 粉末醤油 4.5部 酵母エキス 2.5部 以上の原料をよく混合し、チューブに詰めて、ペースト
状調味料とした。
【0087】
【発明の効果】本発明によって新しいにんにくの無臭化
システムが開発された。本発明によって得られた無臭に
んにくは、完全に脱臭されているだけでなく、安全性の
面でも全く問題はなく、しかも体内に摂取した後はもと
の薬効成分に戻るため、生理活性の面でも全く問題はな
い。
【0088】したがって、本発明に係る無臭にんにく
は、それ自体を直接摂取できることはもとより、各種の
形態に製剤したり各種タイプの飲食品にして、通常の飲
食品、特定保健用食品、機能性飲食品、健康食品、栄養
剤、健康ドリンク、ペースト食品、調味料等として各種
用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】機能性ペプチドESP−2のゲル濾過による分
子量分布を示す。
【図2】ESP−2のUVスペクトルを示す。
【図3】ESP−2のIRスペクトルを示す。
【図4】本発明品のガスクロマトグラムを示す。
【図5】対照品のガスクロマトグラムを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 2/38 A23L 1/325 D // A23L 1/325 2/00 F

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 にんにくの硫化成分をペプチド及び/又
    は糖質と結合させてなることを特徴とする無臭にんに
    く。
  2. 【請求項2】 にんにく中のアリイナーゼを活性化して
    酵素分解を促進し、酵素分解終了時点又はそれに近い時
    点で高温化して酵素を失活せしめると同時にあるいは可
    及的直前又は直後に、ペプチド及び/又は糖質を添加、
    混合して均一に接触せしめ、両者を結合させる事を特徴
    とする無臭にんにく。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の無臭にん
    にくを含有してなることを特徴とする飲食品。
  4. 【請求項4】 飲食品がジャム状のペースト食品である
    ことを特徴とする請求項3に記載の飲食品。
  5. 【請求項5】 飲食品が溶液状及び/又は懸濁液状の健
    康ドリンクであることを特徴とする請求項3に記載の飲
    食品。
  6. 【請求項6】 飲食品がパウダー状、タブレット状、及
    び/又はカプセル状の健康食品であることを特徴とする
    請求項3に記載の飲食品。
  7. 【請求項7】 飲食品が液状、ペースト状、及び/又は
    粉末状の調味料であることを特徴とする請求項3に記載
    の飲食品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011254755A (ja) * 2010-06-09 2011-12-22 Nippon Seiyaku Kogyo Kk ニンニクエキス含有物質の製造方法
CN102669668A (zh) * 2012-05-28 2012-09-19 南京工业大学 一种富s-烯丙基-l-半胱氨酸大蒜的生物加工方法
JP2021070640A (ja) * 2019-10-29 2021-05-06 興和株式会社 液状又は半固形状の組成物
JP2021070639A (ja) * 2019-10-29 2021-05-06 興和株式会社 組成物

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