JPH0899783A - エレベータの調速機ロープ張り車装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、調速機ロープと綱車との間への落
下物等の挟み込みを防止し、また連結腕の角度をより正
確に確認して、連結腕の調整を適正な時期に行えるよう
にすることを目的とするものである。 【構成】 綱車２の少なくとも上部を覆うカバー８を設
け、またカバー８には、連結腕５の角度変化を確認する
ための目盛りが設けられた磁石式目盛り板１０を吸着さ
せた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、調速機ロープに張力
を付与するエレベータの調速機ロープ張り車装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】図６は従来のエレベータの調速機ロープ
張り車装置の一例を示す正面図である。図において、１
は調速機ロープで、１ａはかご（図示せず）に固定され
ている側のロープ、１ｂは機械室の調速機に巻き掛けら
れてからかごに固定されている側のロープである。２は
調速機ロープ１が巻かれているとともに、軸部２ａを中
心に回転自在になっており、調速機ロープ１の動きに対
して円滑に回転する綱車である。

【０００３】３はアングル４を介して軸部２ａから吊り
下げられている重り、５は一端部が軸部２ａに設けら
れ、他端部が主レール６に固定板７を介して回動自在に
取り付けられている連結腕である。

【０００４】次に、動作について説明する。エレベータ
を運転すると、調速機ロープ１は、その端末がかごとと
もに移動するため循環動作し、これにより綱車２が回転
する。また、調速機ロープ１が伸縮した場合、綱車２が
上下に動き、連結腕５の角度が変化する。この連結腕５
の角度変化が所定量以上となった場合、調速機ロープ１
が主レール６に近付き、かごや昇降路内の機器に干渉す
る等の支障を来すため、固定板７の位置を上下にずらし
て、連結腕５の角度が常に水平に近い状態となるように
調整する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来の調速機ロープ張り車装置においては、綱車２が
剥き出しの状態であるため、昇降路内に石やコンクリー
トの破片等の落下物があったとき、その落下物が調速機
ロープ１と綱車２との間に挟まり、非常止め装置が動作
して、かごが急停止し、缶詰故障や乗客の怪我につなが
るという問題点があった。また、連結腕５の角度変化は
目視により確認されているが、定量的な測定は行われて
いないため、変化量を正確に把握することができないと
いう問題点もあった。

【０００６】この発明は、上記のような問題点を解決す
ることを課題としてなされたものであり、調速機ロープ
と綱車との間への落下物等の挟み込みを防止することが
でき、また連結腕の角度をより正確に確認することがで
きるエレベータの調速機ロープ張り車装置を得ることを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明に係るエ
レベータの調速機ロープ張り車装置は、調速機ロープが
巻かれているとともに軸部を中心に回転自在になってい
る綱車と、一端部が軸部に設けられ、他端部が主レール
に回動自在に取り付けられている連結腕と、綱車の少な
くとも上部を覆うカバーとを備えたものである。

【０００８】請求項２の発明に係るエレベータの調速機
ロープ張り車装置は、調速機ロープの伸縮による連結腕
のカバーに対する角度の変化を確認するための目盛り
を、カバーに設けたものである。

【０００９】請求項３の発明に係るエレベータの調速機
ロープ張り車装置は、目盛りを有する磁石式目盛り板
を、磁力によりカバーに吸着させたものである。

【００１０】

【作用】請求項１の発明においては、調速機ロープと綱
車との間に落下物が入り込むのをカバーにより防止す
る。

【００１１】請求項２の発明においては、カバーに目盛
りを設けることにより、連結腕の角度変化を定量的に確
認する。

【００１２】請求項３の発明においては、目盛りを磁石
式目盛り板に設けることにより、目盛りの位置を容易に
ずらすことができる。

【００１３】

【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
る。 実施例１．図１はこの発明の実施例１によるエレベータ
の調速機ロープ張り車装置を示す正面図、図２は図１の
背面図であり、図６と同一又は相当部分には同一符号を
付し、その説明を省略する。

【００１４】図において、８は綱車２の上部及び側面部
の一部を覆うカバーであり、このカバー８は、綱車２の
背部から固定金具９によりアングル４に固定されてい
る。また、カバー８には、調速機ロープ１を通す孔が設
けられており、カバー８により綱車２の回転が妨げられ
ることがないのは勿論である。固定金具９は、例えばア
ングル４を左右から挟んでビスで固定するものなどが使
用されるが、カバー８の取付方法はこれに限定されな
い。

【００１５】このような調速機ロープ張り車装置では、
綱車２のほぼ上半分がカバー８により覆われているの
で、綱車２の上方から石やコンクリートの破片などが落
下してきても、その落下物が調速機ロープ１と綱車２と
の間に入り込むのが防止される。従って、非常止め装置
が誤動作することもなく、缶詰故障や利用者災害の発生
も防止される。

【００１６】実施例２．次に、図３はこの発明の実施例
２によるエレベータの調速機ロープ張り車装置を示す正
面図である。図において、１０はカバー８に磁力により
吸着した磁石式目盛り板であり、この磁石式目盛り板１
０には、図４にも拡大して示すように、連結腕５の角度
変化を確認するための目盛りが描かれている。

【００１７】このような調速機ロープ張り車装置では、
磁石が吸着する材料でカバー８を構成し、そのカバー８
に磁石式目盛り板１０を吸着させる。図３は連結腕５が
水平になっている状態を示しているが、この状態から、
例えば調速機ロープ１が伸びて綱車２が下動すると、連
結腕５の角度が図５に示すように変化する。この角度変
化量は、連結腕５が水平状態のときに、例えばその上面
に磁石式目盛り板１０の目盛りの０の位置を合わせてお
くことにより、定量的に確認することができる。従っ
て、連結腕５の調整作業を適正な時期に行うことがで
き、目測ミスにより連結腕５の傾斜角度が許容量以上と
なってしまうようなことはなく、調速機ロープ１がかご
や昇降路内の機器に干渉することもない。

【００１８】また、この実施例２では、着脱容易な磁石
式目盛り板１０に目盛りを設けたので、連結腕５に対す
るカバー８の位置関係によらず、目盛りの基準位置を連
結腕５に合わせることができる。

【００１９】なお、上記各実施例では正面から見て綱車
２の左側に主レール６がある場合について示したが、主
レール６が右側にある場合にもこの発明を同様に適用で
きることは言うまでもない。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明の
エレベータの調速機ロープ張り車装置は、綱車の少なく
とも上部を覆うカバーを設けたので、調速機ロープと綱
車との間への落下物等の挟み込みを防止することがで
き、これにより非常止め装置の誤動作を防止して、缶詰
故障や利用者災害の発生を防止することができるという
効果を奏する。

【００２１】また、請求項２の発明のエレベータの調速
機ロープ張り車装置は、調速機ロープの伸縮による連結
腕のカバーに対する角度の変化を確認するための目盛り
を、カバーに設けたので、上記請求項１の発明と同様の
効果に加えて、連結腕の角度をより正確に確認すること
ができ、適正な時期に連結腕の調整を行うことができる
という効果を奏する。

【００２２】さらに、請求項３の発明のエレベータの調
速機ロープ張り車装置は、目盛りを有する磁石式目盛り
板を、磁力によりカバーに吸着させたので、上記請求項
２の発明と同様の効果に加えて、目盛りの位置を容易に
ずらすことができ、連結腕に対するカバーの位置関係に
よらず、目盛りの基準位置を連結腕に合わせることがで
きるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施例１によるエレベータの調速
機ロープ張り車装置を示す正面図である。

【図２】 図１の装置を示す背面図である。

【図３】 この発明の実施例２によるエレベータの調速
機ロープ張り車装置を示す正面図である。

【図４】 図３の磁石式目盛り板の拡大図である。

【図５】 図３の連結腕の角度が変化した状態を示す正
面図である。

【図６】 従来のエレベータの調速機ロープ張り車装置
の一例を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 調速機ロープ、２ 綱車、２ａ 軸部、５ 連結
腕、６ 主レール、８カバー、１０ 磁石式目盛り板。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 調速機ロープが巻かれているとともに軸
   部を中心に回転自在になっている綱車と、 一端部が上記軸部に設けられ、他端部が主レールに回動
   自在に取り付けられている連結腕と、 上記綱車の少なくとも上部を覆うカバーとを備えている
   ことを特徴とするエレベータの調速機ロープ張り車装
   置。
2. 【請求項２】 カバーには、調速機ロープの伸縮による
   連結腕の上記カバーに対する角度の変化を確認するため
   の目盛りが設けられていることを特徴とする請求項１記
   載のエレベータの調速機ロープ張り車装置。
3. 【請求項３】 目盛りは、磁力によりカバーに吸着され
   た磁石式目盛り板に設けられいることを特徴とする請求
   項２記載のエレベータの調速機ロープ張り車装置。