JPH089582A - スピンドルモータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造の単純化と組み立て性の向上を図り、高
い回転精度で低コスト，低騒音で寿命の向上が図れるス
ピンドルモータを提供する。 【構成】 スピンドルモータ１はロータハブ側とシャフ
ト側に大別される。ロータハブ側はロータハブ２とその
内部に嵌着されるスリーブ３，上方軸受４，下方軸受５
およびラビリンスシール用リング６およびロータマグネ
ット７等からなる。一方、シャフト側はステータ１０を
固持するブラケット８とその中心に突出形成されるシャ
フト９からなる。シャフト９は上方軸受４および下方軸
受５内に嵌入される。組み立て完了時において、シャフ
ト９とラビリンスシール用リング６間には微小間隙１８
が形成され、下方軸受５とブラケット８間およびスリー
ブ３とステータ１０間には微小間隙２０，２１が形成さ
れ不浄の空気の外部漏出を防止する。また、ロータハブ
２の外周にはスペーサ１２を介して複数枚積重されるデ
ィスク１１が装着される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光・磁気ディスク駆動
装置に搭載され、記録ディスクを回転駆動するためのス
ピンドルモータに関する。

【０００２】

【従来の技術】光・磁気ディスク駆動装置としては各種
のものがあるが、近年では小型化，薄型化および高密度
化，高記憶容量化に対応し得る装置が要求されている。
特に、高容量化の要請に対応するディスク駆動装置にお
けるスピンドルモータとしては図３に示すスピンドルモ
ータ１ａが採用される。

【０００３】ロータハブ２ａの外周には多数枚のディス
ク１１がスペーサ１２を介して軸線方向に沿って積重さ
れて装着される。ロータハブ２ａの内面の図の上方側に
は上方軸受４ａが嵌着され、その上方側には磁性流体シ
ール２５がロータハブ２ａ側に嵌着して保持される。ま
た、ロータハブ２ａの内面にはロータマグネット７ａが
固着される。ロータハブ２ａの図の下方側にはブッシュ
２６が嵌着され、ブッシュ２６の内面には上方軸受４ａ
と同一形状の下方軸受５ａが嵌着される。また、ブッシ
ュ２６には磁性流体シール２７が嵌着される。

【０００４】一方、上方軸受４ａと下方軸受５ａにはス
ピンドルモータ１ａの中心軸であるシャフト９ａが嵌着
される。シャフト９ａの外周にはステータ１０ａが固定
され、ステータ１０ａは微小間隙を介してロータマグネ
ット７ａと相対向して配置される。シャフト９ａの上方
側はディスク駆動装置の上方板２８にビス２９により連
結し、その下方側はディスク駆動装置の下方板３０にナ
ット部材３１により連結さる。

【０００５】ステータ１０ａのコイルリード線１４ａ
は、シャフト９ａの内孔３２を通過し電源（図略）側に
連結される。なお、図示のように上方の磁性流体シール
２５はシャフト９ａの外周に接触し、下方の磁性流体シ
ール２７はシャフト９ａに嵌着されたリング状部材３３
の外周に接触する。

【０００６】以上の構造によりステータ１０ａに通電す
るとステータ１０ａとロータマグネット７間の磁性反応
によりロータハブ２ａが回転しロータハブ２ａに装着さ
れるディスク１１を回転させる。なお、この場合、磁性
流体シール２５，２７の回転によりシャフト９ａとの間
に磁力層が形成され軸受のグリースやその他のコンタミ
ネーションを含んだ不浄な空気の外部への漏出が防止さ
れる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】図３に示したスピンド
ルモータ１ａの組み立ては次の手順により行われる。す
なわち、まず、ロータハブ２ａの上方側に上方軸受４ａ
と磁性流体シール２５が嵌着される。次に、予めステー
タ１０ａを嵌着したシャフト９ａがロータハブ２ａの下
方の開口部から挿入され、シャフト９ａを上方軸受４ａ
に嵌着し、ステータ１０ａとロータマグネット７ａとを
相対向する位置にセットする。次に、予め下方軸受５ａ
と下方の磁性流体シール２７とを嵌着したブッシュ２６
をロータハブ２ａの下方の開口部に嵌着し、下方軸受５
ａにシャフト９ａを嵌入させる。次に、リング状部材３
３をシャフト９ａに嵌着し、シャフト９ａの上下を装置
の上方板２８および下方板３０に連結する。最後にロー
タハブ２ａの外周に多数枚のディスク１１を積重して固
定する。

【０００８】以上のように、従来のスピンドルモータ１
ａの組み立て作業は極めて面倒であり時間もかかる。ま
た、各構成部品の部品精度が悪いと組み立てが円滑に行
われず、高精度のスピンドルモータ１ａが組み立てられ
ない問題点がある。そのため、各部品の加工精度を向上
する必要がありコスト高になる。更に磁性流体シール２
５が嵌着されるロータハブ２ａおよびブッシュ２６は非
磁性材料を使用する必要がある。

【０００９】一方、シャフト９ａとロータハブ２ａ等は
磁性材料からなる。そのため、両者の熱膨脹の差による
歪が生じスピンドルモータ１ａの精度低下の原因とな
る。一方、多数枚のディスク１１を回転駆動するため、
スピンドルモータ１ａの剛性を高める必要があるが、上
方軸受４ａと下方軸受５ａとの軸受間の間隔が大きくな
り、変形が生じ易くなる。従って、円滑な組み立てをす
るには各構成部品の加工精度を向上することが特に必要
であり、コスト高になる問題点があった。

【００１０】本発明は、以上の問題点を解決するもの
で、製造コストが低減出来ると共に、組み立て性がよ
く、高い回転精度や低騒音が得られるスピンドルモータ
を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するために、外周にステータを嵌着し装置の不動側
に固持されるブラケットと、該ブラケットの中心線上に
突出形成されその突出端を装置の不動側に固持される中
心軸のシャフトと、軸受を介して前記シャフトに枢支さ
れその外周に多数枚のディスクを装着し内部にロータマ
グネットを固着するロータハブを備えたスピンドルモー
タであって、前記ロータハブの内面側には前記軸受およ
び軸受を保持するスリーブが予め嵌着され、スピンドル
モータの組立完了時において前記シャフトは前記軸受に
嵌合し、前記ステータは前記スリーブの外周と前記ロー
タマグネットの内周間の空隙内に微小間隙を介して挿着
されてなるスピンドルモータを構成するものである。ま
た、前記ロータハブ，スリーブ，シャフトおよびブラケ
ットが同一材料から形成されることを特徴とするもので
ある。

【００１２】

【作用】本発明はロータハブに別体のスリーブおよび軸
受を嵌着したものにステータを固着したシャフトおよび
ブッシュを挿入してスピンドルモータを組み立て形成す
る構造を採用するため組み立て作業が極めて容易に、か
つ短時間に行われる。また、各部の構成部品が別体のも
のからなり、個々の形状が単純化される。このため、そ
れ等の加工精度を特別に良くしなくても高精度の組み上
り精度を有するスピンドルモータを形成することが可能
である。

【００１３】従って、高い回転精度と低ノイズ，低ＮＲ
ＲＯが確保出来る。一方、ロータハブ、スリーブ、シャ
フト及びブラケットの各構成部品の材料を同一のものか
ら形成することが出来る。そのため、スピンドルモータ
の昇温時における各部の熱膨脹が一定となり、ロータハ
ブの外周のディスク装着部に歪が生じない。そのためデ
ィスクとヘッドとの接触エラや読み書きエラが生じな
い。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。図１は本実施例の軸断面図、図２は本実施例の組
み立て作業を説明するための分割軸断面図である。

【００１５】まず、図１により本実施例のスピンドルモ
ータ１の全体構造を説明する。スピンドルモータ１は大
別して、ロータハブ側とシャフト側とに分かれる。ロー
タハブ側はロータハブ２，スリーブ３，上方軸受４，下
方軸受５，ラビリンスシール用リング６，ロータマグネ
ット７等からなり、シャフト側はブラケット８とその中
心軸のシャフト９，ステータ１０等からなる。

【００１６】ロータハブ２の外周には多数枚のディスク
１１がスペーサ１２を介して積重されて装着される。な
お、クランプ板１３はロータハブ２に嵌着されディスク
１１をロータハブ２に固定するものである。

【００１７】図示のようにロータハブ２の上方側には上
方軸受４とラビリンスシール用リング６が嵌着され、ロ
ータハブ２の中間部にはスリーブ３が嵌着され、さらに
その下方側にはロータマグネット７が固着される。ま
た、下方軸受５はスリーブ３の下方側に嵌着される。な
お、上方軸受４と下方軸受５は同一内径で、かつ同一軸
線上に配置される。

【００１８】一方、シャフト側のブラケット８にはステ
ータ１０が固着される。ブラケット８の中心にはシャフ
ト９が突出して形成される。図示ではブラケット８とシ
ャフト９とは一体構造のものから形成されているが別体
のものでもよい。

【００１９】ブラケット８にはステータ１０に連結する
コイルリード線１４の通るリード線用孔１５と、ディス
ク装置の図略の下方板等にブラケット８を固定するため
のボス部１６やその固定用のねじ孔１７が形成される。
シャフト９は上方軸受４および下方軸受５に嵌着する外
径を有するものからなり、シャフト９の外周とラビリン
スシール用リング６の内周間には微小間隙１８が形成さ
れる。また、シャフト９の図の上方の突出端にはディス
ク装置の図略の上方板にシャフト９を固定するためのね
じ孔１９が形成される。

【００２０】また、図示のように、下方軸受５とブラケ
ット８との係合部やスリーブ３の外周とステータ１０の
内周間には微小間隙２０，２１が形成される。また、ロ
ータマグネット７の内周とステータ１０の外周間には磁
力作用を生じさせるに必要な微小間隙２２が形成され
る。更に、図示のようにディスク１１のクランプ用のク
ランプ板１３には同一円周上に等間隔でバランス調整用
孔２３が形成され、一番下側のスペーサ１２の外周にも
等間隔でバランス調整用小孔２４が穿孔される。

【００２１】すなわち、スピンドルモータ１は上方側の
バランス調整用孔２３および下方側のバランス調整用小
孔２４の形成又はその中に重量物を装着して組み立て完
了後の動的バランスをとるように形成される。また、前
記したように、上方軸受４および下方軸受５の外方側に
形成されるラビリンスシール用の微小間隙１８，２０，
２１等により、軸受のグリースやその他のコンタミネー
ションを含んだ不浄な空気が外部に漏出されることが防
止される。

【００２２】本実施例では従来技術の磁性流体シールの
替りにラビリンスシール用リング６を使用しているた
め、ロータハブ２を非磁性材から形成する必要がない。
そこで、本実施例では少なくともロータハブ２，スリー
ブ３，ブラケット８，シャフト９をアルミ合金やステン
レス鋼等からなる同一材料で形成される。これにより熱
膨脹による歪の発生が防止される。

【００２３】以上の構造により、コイルリード線１４に
通電することによりステータ１０とロータマグネット７
間に磁力作用が生じロータハブ２およびそれに装着され
るディスク１１が回転駆動され必要な読み書き等が行わ
れる。また、前記したように、動的バランスをとること
により円滑な高速回転を得ることが出来る。

【００２４】次に、本実施例のスピンドルモータ１の組
み立て作業を図２により説明する。まず、別体部品とし
て加工されたロータハブ２およびスリーブ３を嵌着す
る。次に、ロータハブ２の上方側に上方軸受４を嵌着
し、その上方にラビリンスシール用リング６を嵌着す
る。ロータハブ２の内面にロータマグネット７を固着す
る。スリーブ３の下方側に下方軸受５を嵌着する。上方
軸受４と下方軸受５の芯合わせをすることによりロータ
ハブ側が組み立て完了する。

【００２５】一方、ブラケット８にステータ１０を固着
することによりシャフト側が完成する。次に、図示のよ
うにロータハブ側の下方の開口部側からシャフト側のシ
ャフト９を挿入し、上方軸受４と下方軸受５にシャフト
９を嵌入する。シャフト９のラビリンスシール用リング
６からの突出長を予め定めた値にすることによりロータ
ハブ側とシャフト側は図１に示した関係位置にセットさ
れる。次に、ロータハブ２の外周にディスク１１を積重
し、クランプ板１３で固定した後、バランス調整用孔２
３，バランス調整用小孔２４の穿孔又はその中に重量物
を挿着して動的バランスをとることにより組み立て作業
は完了する。以上のように、本実施例は極めて容易にス
ピンドルモータ１の組み立てが出来、円滑性，シール
性，高回転性，低ノイズ等の優れた機能が得られる。

【００２６】以上の説明において、各部の材料をアルミ
合金，ステンレス鋼としたが勿論これ等以外の材料でも
よい。また、ブラケット８とシャフト９は一体構造でも
別体のものでもよい。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、次のような顕著な効果
を奏する。 １）ロータハブとスリーブがそれぞれ別体のものであ
り、これ等を一体構造に形成した場合に較べて高精度
に、かつ容易に加工することが出来る。また、ロータハ
ブ側の構造を単純化することが出来る。 ２）ロータハブ側とシャフト側を別々にセットし、それ
等を組み合わすことにより完成体を形成することが出来
るため、モータ組み立て作業が容易に、かつ短時間に行
われる。 ３）ロータハブ側およびシャフト側はそれぞれ高精度に
組み立てることが出来るため、これ等の組み合わせ後に
おける各部の関係精度を所望の値にすることが可能にな
り高い回転精度を有するスピンドルモータを形成するこ
とが出来る。 ４）また、振動も少なく低騒音化が図れる。 ５）各部の材料を同一のものから形成することが出来る
ため、モータの昇温時における熱膨脹に対してロータハ
ブに歪が発生せず、ディスクとヘッドとの接触によるエ
ラーや読み書きエラーが生じない。 ６）上記歪みにより軸受に無理な力が作用しないため、
寿命の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の全体構造を示す軸断面図。

【図２】本実施例の組み立て作業方法を説明するための
分割軸断面図。

【図３】従来のスピンドルモータの構造を示す一部軸断
面図。

【符号の説明】

１ スピンドルモータ ２ ロータハブ ３ スリーブ ４ 上方軸受 ５ 下方軸受 ６ ラビリンスシール用リング ７ ロータマグネット ８ ブラケット ９ シャフト １０ ステータ １１ ディスク １２ スペーサ １３ クランプ板 １４ コイルリード線 １５ リード線用孔 １６ ボス部 １７ ねじ孔 １８ 微小間隙 １９ ねじ孔 ２０ 微小間隙 ２１ 微小間隙 ２２ 微小間隙 ２３ バランス調整用孔 ２４ バランス調整用小孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 撤二 長野県上伊那郡飯島町田切1145−４ 長野 日本電産株式会社内 (72)発明者 森田 剛志 長野県上伊那郡飯島町田切1145−４ 長野 日本電産株式会社内 (72)発明者 堀越 一義 長野県上伊那郡飯島町田切1145−４ 長野 日本電産株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周にステータを嵌着し装置の不動側に
   固持されるブラケットと、該ブラケットの中心線上に突
   出形成されその突出端を装置の不動側に固持される中心
   軸のシャフトと、軸受を介して前記シャフトに枢支され
   その外周に多数枚のディスクを装着し内部にロータマグ
   ネットを固着するロータハブを備えたスピンドルモータ
   であって、前記ロータハブの内面側には前記軸受および
   軸受を保持するスリーブが予め嵌着され、スピンドルモ
   ータの組立完了時において前記シャフトは前記軸受に嵌
   合し、前記ステータは前記スリーブの外周と前記ロータ
   マグネットの内周間の空隙内に微小間隙を介して挿着さ
   れることを特徴とするスピンドルモータ。
2. 【請求項２】 前記ロータハブ，スリーブ，シャフトお
   よびブラケットが同一材料から形成されてなる請求項１
   のスピンドルモータ。