JPH089466Y2 - 二輪車用フロントフォーク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、二輪車用フロントフォークに関する。

（従来の技術） 第２、３図に示した従来のフロントフォークは、アウ
ターチューブ１の下部内径にシリンダ２の下端を挿入し
ている。そして、アウターチューブ１及び、シリンダ２
にプラグ３を螺合し、シリンダ２をアウターチューブ１
に固定するとともに、シリンダ２とアウターチューブ１
とをプラグ３で同軸に保持している。

また、上記アウターチューブ１とシリンダ２との間に
炭素繊維強化プラスチック（CFRP）製のインナーチュー
ブ４を挿入し、このインナーチューブ４下部の内径に作
動ピストン５を、又外径に金属製の支持部材６であるピ
ストン又はベアリングを設けている。そして、この支持
部材６は、インナーチューブ４の外周に形成した環状溝
７に装着され、環状溝７の底部7aに当接するとともに、
上記作動ピストン５と相まって、インナーチューブ４を
アウターチューブ１とシリンダ２との間に摺動自在に支
持している。

しかして、当該フロントフォークに外力が作用する
と、アウターチューブ１の内周とインナーチューブ４と
が支持部材６を介して摺動し、アウターチューブ１とイ
ンナーチューブ４とが図面上下方向に相対移動する。こ
のようにアウターチューブ１とインナーチューブ４とが
相対移動すると、支持部材６が環状溝７内の底部7a面上
に沿って多少摺動する。

（本考案が解決しようとする課題） 上記のようにした従来のフロントフォークのインナー
チューブでは、CFRP材である環状溝７の底部7aと金属製
の支持部材６とが接触している。

したがって、支持部材が環状溝内で移動すると、環状
溝の底部が偏摩耗するという問題があった。

また、環状溝の底部が偏摩耗すると、支持部材が環状
溝内でがたついて、アウターチューブの内周と支持部材
との間のすき間が大きくなってしまうという問題もあっ
た。

さらにまた、環状溝内で支持部材が移動すると、環状
溝に傷が付くが、その傷から作動油が含浸してプラスチ
ック製のインナーチューブを劣化させるという問題もあ
った。

この考案の目的は、支持部材が環状溝内で移動して
も、環状溝内に傷がついたり、あるいは環状溝が磨耗し
たりしない二輪車用フロントフォークを提供することで
ある。

（課題を解決しようとする手段） この考案は、アウターチューブにシリンダを内装する
とともに、このシリンダをアウターチューブに同軸に固
定し、これらアウターチューブとシリンダとの間にプラ
スチック製のインナーチューブを挿入するとともに、イ
ンナーチューブの外周に形成した環状溝に金属製の支持
部材を設け、この支持部材を介してアウターチューブと
インナーチューブとが相対移動するようにした二輪車用
フロントフォークを前提にするものである。

上記のフロントフォークを前提にしつつ、この考案
は、上記環状溝内の周囲及び底部を覆う金属層を形成
し、この金属層を形成した環状溝に支持部材を装着した
点に特徴を有する。

（本考案の作用） 上記のように、金属製の支持部材を装着する環状溝の
凹面に金属層を設けたので、支持部材はこれと同等の耐
摩耗性を保持する金属層に接触する。

（本考案の効果） この考案の二輪車用フロントフォークのインナーチュ
ーブによれば、環状溝に装着した支持部材は、環状溝の
凹面に設けた金属層と接触している。

したがって、支持部材が環状溝内で移動したとして
も、支持部材が、これと同等の耐摩耗性を保持する金属
層上を摺動するので、環状溝底部の摩耗を防止すること
ができる。

また、環状溝の底部が摩耗しないので、支持部材が環
状溝内でがたつくこともなく、アウターチューブ内周と
支持部材との間のすき間が大きくなるということもな
い。 さらにまた、環状溝内の周囲及び底部を金属層で
覆ったので、支持部材が移動しても、環状溝内に傷がつ
いたりしない。したがって、従来のように傷の部分から
作動油が含浸してインナーチューブを劣化させるような
ことがなくなる。

（本考案の実施例） 第１図に示したこの考案の実施例は、インナーチュー
ブの要部拡大図を示したものである。そして、第１図に
示した要部以外の構成は、前記従来と同様なので、要部
以外は前記従来と同一符号を付けるとともに、前記従来
の説明をそのまま引用し、詳細な説明は省略する。

上記第１図に示した実施例は、インナーチューブ４の
下部外周に環状溝７を形成し、この環状溝７内の周囲及
び底部に金属めっき又は金属溶射を施して、金属層８を
形成している。

そして、上記のように金属層８を形成した環状溝７に
支持部材６を装着し、支持部材６を金属層８に当接する
ようにしている。

しかして、当該フロントフォークに外力が作用する
と、アウターチューブ１とインナーチューブ４とが図面
上下方向に相対移動する。このとき、環状溝７内で支持
部材６が移動し、支持部材６が環状溝の底部7aに形成し
た金属層８上に沿って多少摺動することがあること、前
記従来と同様である。

上記のようにした本実施例の二輪車用フロントフォー
クによれば、支持部材６は、これと同等の耐摩耗性を保
持する金属層８に接触している。

したがって、支持部材６が環状溝７内で移動したとし
ても、支持部材６が金属層８上を摺動するので、環状溝
底部の摩耗を防止することができる。

また、環状溝の底部が摩耗しないので、支持部材６が
環状溝内でがたつくこともなく、アウターチューブ内周
と支持部材との間のすき間が大きくなるということもな
い。

さらにまた、環状溝７内の周囲及び底部を金属層８で
覆ったので、支持部材６が移動しても、環状溝７内に傷
がついたりしない。したがって、従来のように傷の部分
から作動油が含浸してインナーチューブ４を劣化させる
ようなこともなくなる。

【図面の簡単な説明】

図面第１図は本考案の実施例を示す要部拡大図、第２、
３図は従来装置を示すもので、第２図は断面図、第３図
は要部拡大図である。 １……アウターチューブ、２……シリンダ、４……イン
ナーチューブ、６……支持部材、７……環状溝、８……
金属層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アウターチューブにシリンダを内装すると
   ともに、このシリンダをアウターチューブに同軸に固定
   し、これらアウターチューブとシリンダとの間にプラス
   チック製のインナーチューブを挿入するとともに、イン
   ナーチューブの外周に形成した環状溝に金属製の支持部
   材を設け、この支持部材を介してアウターチューブとイ
   ンナーチューブとが相対移動するようにした二輪車用フ
   ロントフォークにおいて、上記環状溝内にその周囲及び
   底部を覆う金属層を形成し、この金属層を形成した環状
   溝に支持部材を装着してなるフロントフォーク。