JPH0892662A - 高純度金属の精製方法およびその精製装置 - Google Patents

高純度金属の精製方法およびその精製装置

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JPH0892662A
JPH0892662A JP6227095A JP22709594A JPH0892662A JP H0892662 A JPH0892662 A JP H0892662A JP 6227095 A JP6227095 A JP 6227095A JP 22709594 A JP22709594 A JP 22709594A JP H0892662 A JPH0892662 A JP H0892662A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置の大型化や操業の煩雑化を招くことな
く、金属不純物のみならず非金属不純物までも容易に除
去できる、経済的な高純度金属の精製・回収技術を提供
すること。 【構成】 プラズマアークを発生させるためのプラズマ
トーチ1、このプラズマトーチ1の下方に位置し被精製
金属試料aを載置するための水平方向駆動装置を具える
水冷銅ハース2およびこの水冷銅ハース2を支持するた
めの帯溶融用容器3を有する帯溶融部と、前記プラズマ
アークの出力制御機構、前記水冷銅ハース2の移動速度
制御機構および前記帯溶融用容器3内の圧力制御機構を
有する制御系と、高純度ガス精製装置と、から主として
構成される高純度金属の精製装置であり、プラズマアー
ク加熱によって、水素含有雰囲気下に解離した活性水素
Hを発生させると同時に帯溶融を行うことにより、金属
に含まれる不純物を単一溶解工程の処理で除去する高純
度金属の精製方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属中に含まれる微量
の非金属不純物(酸素,炭素など)および金属不純物を
除去することによって、高純度の金属を精製する方法お
よびその精製装置に関するものである。とくに本発明
は、帯溶融時の不純物の偏析による分離精製効果とプラ
ズマアーク加熱溶融時の不純物の蒸発除去効果を利用し
て簡便に高純度の金属を精製, 回収する技術について提
案する。
【0002】
【発明の背景】金属および合金などの金属材料あるいは
各種の金属化合物は、電子材料や機能性材料としての用
途にも使われているが、かかる材料の高性能化に当たっ
ては、素材である金属材料に含まれるガス成分や金属不
純物を極力低減化した高純度金属材料が求められてい
る。このような高純度金属を得るための精製方法として
は、化学的精製法や物理的精製法など多くの手段がある
が、対象金属や除去すべき不純物の種類によって適,不
適があった。そのため、一般に、高純度金属は、いくつ
かの精製法を適宜組み合わせて複雑な精製プロセスを経
て製造されているのが実情である。その結果、高純度金
属および高純度金属を使用した最終材料はきわめて高価
なものとなり、先端技術産業の発展を阻害する一因とも
なっている。こうした背景の下で、近年、多くの不純物
を単一工程の処理で低レベルにまで除去できるような精
製技術の確立が求められていた。
【0003】
【従来の技術およびその解決課題】さて、Pfanらにより
提案された帯溶融精製法は、溶融金属が凝固する際に、
固−液平衡に基づき、不純物を溶融相(液相)または凝
固相(固相)に分配濃縮する原理を応用する方法であ
り、シリコンを始め多くの高純度金属を精製するための
方法の1つとして有望である。この方法において、帯溶
融部を形成するための加熱源としては、従来、(1) 抵抗
加熱、(2) 高周波誘導加熱、(3) アーク加熱、(4) 電子
ビーム衝撃加熱などが使用されている。
【0004】上記(1),(2) の技術の場合、その帯溶融加
熱が、真空, 不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気
で可能であり、雰囲気からの汚染がない状態で金属を精
製することができる。また、目的金属よりも蒸気圧が著
しく高い場合には不純物の蒸発除去も期待できる。しか
しながら、上記各従来技術の精製は主に偏析作用を利用
する方法であり、金属不純物のみならず非金属不純物な
どをも極低濃度まで低減化することは難しいという欠点
があった。
【0005】また、上記(3) の従来技術の場合も、その
帯溶融加熱が不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気
下で偏析作用を主に利用する精製であるから、上記(1),
(2)の方法と全く同じ欠点があった。
【0006】これに対し、上記(4) の従来技術の場合、
高真空中で帯溶融加熱が行われるので、その精製効果
は、帯溶融時の偏析作用に加えて、高真空溶解による不
純物の蒸発除去作用も発生し、特に高融点金属などに対
して優れた精製効果が得られる。しかし、この技術は、
排気量の大きな高真空排気装置が必要であり、しかも高
真空を長時間保持することが必要になることから、装置
が大掛かりとなる欠点があり、経済的な高純度精製法で
はない。また、この技術は、高真空中での帯溶融精製方
法であることから、蒸気圧が高いホウ素などの精製は不
可能であり、蒸気圧が低い金属を帯溶融精製する場合に
おいても、目的金属自体の蒸発損失が増加するために、
歩留りが低下するという問題があった。
【0007】本発明の目的は、装置の大型化や操業の煩
雑化を招くことなく、金属不純物のみならず非金属不純
物までも容易に除去できる、経済的な高純度金属の精製
・回収技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記各従来
技術が抱えている解決課題につき鋭意研究した。その結
果、プラズマアークが優れた高温加熱源であり、特にプ
ラズマ作動ガスに水素を使用する水素プラズマアークに
よって金属を溶解処理すると、単一溶解工程の処理で、
酸素などの非金属不純物および目的金属より蒸気圧が高
い金属不純物を容易に分離除去できるという知見を得
た。このように水素プラズマアーク溶解によって非金属
不純物および金属不純物が効果的に除去される理由は、
以下のような機構により生じるものと考えられる。
【0009】一般に、プラズマアークの温度は5000〜20
000 ℃程度であり、一方、水素H2の解離度は5000℃で9
5〜96%に達する。従って、プラズマアークおよびアー
ク高温内に導入された水素H2 の大部分は、(1) 式のよ
うに解離し活性水素Hとして存在する。 H2 →H+H …(1) この活性水素Hは、通常の水素H2 に比べて反応性、還
元性が著しく優れており、それ故に、この活性水素Hを
利用すると優れた精製効果が得られる。すなわち、被溶
解金属に含まれる非金属不純物、例えば、酸素(
は、下記(2) 式に示すように、活性水素Hとの反応によ
り還元除去される。同様にして、窒素や炭素なども除去
される。 + 2H → H2 O …(2) さらに、被溶解金属より蒸気圧が高い金属不純物(蒸
気)は一般に、水素プラズマ相と接する溶融金属表面上
のガス側境界層内において、下記(3)式に示すように、 xM[蒸気]+ yH[活性水素]→Mx Hy [一次的な緩い結合]…(3) (M:被溶解金属中の金属不純物)反応し、高い蒸気圧
を有する金属不純物の蒸気と活性水素Hとが一次的な緩
い結合を生じ、活性水素Hがこれら金属不純物蒸気を捕
捉する形でガス相側に搬出し、その結果、高い蒸気圧を
有する金属不純物の蒸発除去を促進するのである。この
ことによって、高真空を用いない溶解法であるにもかか
わらず、水素プラズマアーク溶解では、被溶解金属中の
非金属不純物および金属不純物を極低濃度にまで除去す
ることができる。
【0010】本発明は、この水素プラズマアーク溶解の
精製作用に着目して案出した、プラズマアークを加熱源
とした帯溶融精製法およびその精製装置である。すなわ
ち、本発明の要旨構成は次のとおりである。 (1) 金属に含まれる不純物を単一溶解工程の処理で除去
するに当たって、プラズマアーク加熱により、水素含有
雰囲気下に解離した活性水素Hを発生させると同時に帯
溶融を行うことを特徴とする高純度金属の精製方法であ
る。 (2) 上記(1) に記載の方法において、プラズマアークの
作動ガスとして、不活性ガス(アルゴン,ヘリウム)と
ともに2〜100 %の水素を含むガスを使用することが望
ましい。 (3) 上記(1) に記載の方法において、プラズマアーク加
熱による帯溶融に当たって、雰囲気中の内圧を3気圧〜
10トルに調整することが望ましい。 (4) プラズマアークを発生させるためのプラズマトー
チ、被精製金属試料を載置するための水平方向駆動装置
を具える水冷銅ハースおよび帯溶融用容器を有する帯溶
融部と、前記プラズマアークの出力制御機構、前記水冷
銅ハースの移動速度制御機構および前記帯溶融用容器内
の圧力制御機構を有する制御系と、高純度ガス精製装置
と、から主として構成されることを特徴とする高純度金
属の精製装置である。
【0011】
【作用】ところで、常圧から3気圧程度の加圧下もしく
は10トル程度の減圧下で、高融点金属などを溶解処理す
る場合、従来技術では、金属不純物の除去,低減化が極
めて困難であった。これに対し、溶解雰囲気内に水素を
導入し、プラズマアークを加熱源にして帯溶融処理を実
施する本発明方法では、常圧から3気圧程度の加圧下も
しくは10トル程度の減圧下であっても、金属不純物を迅
速に除去でき、高融点金属などを容易に高純度化できる
ことが判った。
【0012】すなわち、本発明にかかる精製方法は、帯
域溶融による偏析作用に加えて、プラズマアーク溶解に
よる不純物の蒸発除去作用を兼ね備えたプラズマアーク
帯溶融法であり、被溶解金属に含まれる酸素、炭素、窒
素などの非金属不純物、および金属不純物を効率的に分
離除去し、低減化できる、優れた金属の高純度化法であ
る。また、この方法は、高真空等を用いない精製方法で
あり、しかも、帯溶融時の操作、試料の交換および帯溶
融容器内の清掃等が非常に簡単であることから、装置の
簡略化、操業の簡便化を実現することができる。
【0013】なお、プラズマアークは、出力調整によ
り、融点が数百℃から数千℃以上にわたる種々の金属を
加熱溶解することができる。したがって、プラズマアー
クを加熱源として用いる本発明の精製方法は、アルミニ
ウムや銅などの融点が比較的低い金属からニオブやタン
タルなどの高融点金属までの精製、具体的には、Fe,Cu,
Al,Zn,Pbなどの常用金属、Mg,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,C
r,Mo,W,Mn,Re, Ru,Os,Co,Ni,Cd,In,Tl,Rh,Pd,Pt,Ag,Au,
La,Ce,Pr,Nd,Gd,Tb,Dyなどのレアメタル、Si,B,Ge,Biな
どの半金属、等ほぼ全ての金属および半金属の精製が可
能であり、実用的かつ経済的な高純度化法である。
【0014】また、前述した活性水素Hを発生させるた
めの溶解雰囲気の温度は、5000以上とすることが要求
されるが、この温度は水素分子の解離に必要な温度であ
り、この温度条件であれば、常圧から3気圧程度の加圧
下もしくは10トル程度の減圧下でも、有効な活性水素H
を得ることができる。
【0015】したがって、本発明によれば、蒸気圧が高
いホウ素や希土類金属などの精製では、常圧から3気圧
程度の加圧下での帯溶融精製が可能であり、一方、高融
点金属など蒸気圧が低い金属の精製では、高真空を用い
ることなく、10トル程度の減圧下で帯溶融精製すること
ができる。以上のように、本発明は、目的金属の蒸気圧
に合わせて炉内圧を3気圧〜10トル程度に設定し、帯溶
融することが可能であることから、高真空中で行う帯溶
融などに較べ、目的金属の蒸発損失が極めて少なく、高
い歩留りの下に回収することができる。
【0016】次に、本発明の精製装置を説明する。図1
は本発明の精製装置全体を示す構成図である。即ち、本
発明の精製装置は、プラズマアークを発生させるための
プラズマトーチ1、このプラズマトーチ1の下方に位置
し被精製金属試料aを載置するための水平方向駆動装置
16を具える水冷銅ハース2およびこの水冷銅ハース2を
支持するための帯溶融用容器3を有する帯溶融部と、前
記プラズマアークの出力制御機構、前記水冷銅ハース2
の移動速度制御機構および前記帯溶融用容器3内の圧力
制御機構を有する制御系と、高純度ガス精製装置15と、
から主として構成される。図2は上記帯溶融部を示す部
分断面図であり、図3は上記水冷銅ハース2を示す斜視
図である。
【0017】これらの図において、上記帯溶融部を構成
するプラズマトーチ1は、上記帯溶融用容器3の筒状胴
部に設けられた容器上蓋4に取り付けられており、プラ
ズマ発生用電源14に接続され、この電源14の出力調整に
より、被精製金属試料aの帯溶融形成に最適なプラズマ
アークを発生させることができる。なお、前記容器上蓋
4はプラズマトーチ1の清掃または補修のために分解可
能である。
【0018】上記帯溶融部を構成する水冷銅ハース2
は、端面にフランジ12を設けて、このフランジ12と帯溶
融用容器3の軸方向の延在位置に外設された水平方向駆
動装置16から容器3内に伸びている移動用シャフト7の
遊端部とを固定することによって、容器3内の所定の位
置に空中保持されている。また、この水冷銅ハース2の
上面には、被精製金属試料aを置くための溝10(溝幅約
5〜10mm、溝深さ約3〜6mm、溝長さ約 150〜200
mm)が設けてある。そして、水冷銅ハース2の中央部
には、軸方向に沿って穿孔してあり、その孔は前記シャ
フト7に通じており、外部から供給される冷却水を循環
させることができるようになっている。なお、このシャ
フト7と容器側壁とは、O−リング8などでシールされ
ている。即ち、該帯溶融容器3内を減圧状態にするため
に、水冷銅ハース2の水平方向移動時における外部から
容器3内部への空気の侵入を防ぐために設けたものであ
る。さらに、この水冷銅ハース2は、被精製金属試料a
の大きさや長さに対応した帯溶融を可能にすべく、溝10
の幅や長さが異なるものに交換可能である。
【0019】上記帯溶融部を構成する帯溶融用容器3
は、ステンレス製円筒容器を横置きした密閉構造であ
り、その内部表面は電解研磨等によって鏡面仕上げされ
ている。また、この容器3の筒胴部の適所には、被精製
金属試料aの交換および水冷銅ハース2の脱着を行うた
めの試料取り出し扉6を有し、その扉6を除く胴周部に
は、水冷管5を例えばスパイラル状に巻き付けた態様に
て設ける。さらに、帯溶融時の試料溶融状態を的確に把
握すべく、上記容器3の筒状胴部に設けられた容器上蓋
4には、斜め上から試料溶融状態を直接観察するための
覗窓9を好ましくは2か所、また容器3の水冷銅ハース
2を臨む胴部には、試料溶融状態やプラズマ発生状況を
観察するための覗窓9′を好ましくは1か所、設ける。
そして、このプラズマトーチ1を支持する帯溶融用容器
3は、排気系(図示せず)と制御系が取り付けられた架
台13上に設置されている。
【0020】上記制御系は、架台13の前面パネルに、プ
ラズマアークの出力制御盤、水冷銅ハース2の移動速度
制御盤および容器3内の圧力制御盤を取り付けて構成す
る。そして、これらの装置に付帯させる装置としては、
例えば高純度ガス精製装置15および水平方向駆動装置16
がある。高純度ガス精製装置15は、プラズマアーク発生
用の作動ガスであるアルゴン、水素等を、酸素や水分を
除去して精製し、プラズマトーチ1の側面からプラズマ
トーチ内に供給するための付帯装置である。なお、供給
ガスの流量調整は、高純度ガス精製装置15に設けられた
調整器により行われ、毎分3〜10リットル程度に調整さ
れる。水平方向駆動装置16は、移動用シャフト7を介し
て水冷銅ハース2に連結されており、駆動モーター17の
速度を調節することにより、所望の溶融帯移動速度で帯
溶融を行うための付帯装置である。なお、駆動モーター
17は、一定の溶融帯移動速度を左右両方向に毎分 0.5〜
10mmの範囲内で任意に設定できるものを使用する。
【0021】次に、上述したような本発明の精製装置を
用いて高純度金属を精製する方法について図2にしたが
って説明する。 (1) まず、試料取出扉6を開け、被精製金属試料aを水
冷銅ハース2の溝10に沿って載せる。ここで、被精製金
属試料aは、塊状のものあるいは棒状のものいずれも使
用することができる。特に、棒状金属試料の場合は、長
さが100 〜200mm 程度、直径(または幅)が5〜10mm程
度のものが好適であり、試料直径(または幅)と同程度
の溝幅を持つ水冷銅ハース2を使用することが望まし
い。一方、塊状金属試料の場合は、帯溶融後に得られる
棒状試料の横幅および長さを考慮に入れ、これに適した
溝10を有する水冷銅ハース2を使用することが望まし
い。
【0022】(2) 次に、水冷銅ハース2に載せた金属試
料の先端(図2の向かって左端)が、プラズマトーチ1
の直下にくるように、水平方向駆動装置16と駆動モータ
ー17とを作動させて、水冷銅ハース2を移動させた後、
回転真空ポンプ(図示せず)を作動して帯溶融容器3内
を減圧する。 (3) 減圧排気した後、帯溶融容器3内を1気圧になるま
で精製アルゴンガスで満たし、その後、アルゴンガスが
一定流速でプラズマトーチ1を通して帯溶融容器3内に
供給される状態とした。 (4) そして、水冷銅ハース2には冷却水を流し、この状
態でプラズマアークを点火し、所定のプラズマ出力に上
げ、水冷銅ハース2上に載せた被精製金属試料aの先端
(図2の向かって左端)の溶融を開始する。
【0023】(5) プラズマアークが安定した後、精製水
素をプラズマトーチ1に供給し、水素プラズマアーク加
熱に変換する。ここで、プラズマガス中の水素含有量は
2〜100 %の範囲とする。 (6) その後、所定の移動速度(帯溶融移動速度)で水冷
銅ハース2を図2の向かって左側に動かし、帯溶融を開
始する。 (7) 被精製金属試料aの先端(図2の向かって左端)か
ら開始した溶融帯が後端(図2の向かって右端)に達す
ると精製は終了する。必要に応じて同様な帯溶融を複数
回繰り返す。
【0024】なお、減圧下でプラズマアーク帯溶融を実
施する場合には、排気系に設置されたダイアフラム真空
ポンプまたは油回転真空ポンプ(図示せず)を稼動し、
オリフィスを用いた流量調整器(図示せず)により排気
速度を制御することにより、容器3内部を10〜100 トル
程度の範囲内で一定の減圧状態を保持しながら、上記と
同様な手順で帯溶融を行う。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 (実施例1)レアメタルの1つであり融点の高い Ta の
精製例を以下に示す。公称純度99.9%の比較的高純度の
Ta 約50g(直径約5mm,長さ150mm )を、プラズマガ
ス;40%H2−Ar、圧力;100 トル、溶融帯移動速度;2
mm/min 、パス回数;10回の条件でプラズマ帯溶融処理
した時の、帯溶融処理前後のTa中の金属不純物および非
金属不純物の濃度を、表1に示す。金属不純物分析には
グロー放電質量分析法を使用し、一方、非金属不純物分
析には不活性ガス融解法および酸素ガス融解法等を使用
した。なお、処理後の不純物濃度は、高純度化部(試料
中央部)の分析値である。この表1に示すとおり、原料
Ta中のAl,Fe,Cu, 酸素等の不純物は、水素プラズマ溶解
の精製作用を経ることで除去低減され、さらに、各金属
不純物は、帯溶融時の偏析作用を経ることで1mass ppm
以下の極微量にまで低減化することができた。すなわ
ち、煩雑で厳密な工程管理が必要となる多段階の工程を
経ることなく、単一の溶解工程により金属不純物および
非金属不純物が極低濃度域まで低減させることが可能で
ある。しかも、帯溶融時の Ta の蒸発損失は小さく、 T
a の歩留りは約98%と良好であった。なお、その他の希
土類金属についても、プラズマ帯溶融処理によって同様
の精製効果が認められた。
【0026】
【表1】
【0027】(実施例2)常用金属の1つである Cu の
精製例を以下に示す。公称純度99.9%の比較的高純度の
Cu 約 100g(直径約10mm,長さ150mm )を、プラズマ
ガス;20%H2−Ar、圧力;1気圧、溶融帯移動速度;3
mm/min 、パス回数;10回の条件でプラズマ帯溶融処理
した時の、帯溶融処理前後のCu中の金属不純物および非
金属不純物の濃度を、表2に示す。金属不純物分析には
グロー放電質量分析法を使用し、一方、非金属不純物分
析には不活性ガス融解法および酸素ガス融解法等を使用
した。なお、処理後の不純物濃度は、高純度化部(試料
中央部)の分析値である。この表2に示すとおり、原料
Cu中のPb,Ca,Al,S 等の不純物は、水素プラズマ溶解の
精製作用を経ることで低濃度にまで除去低減され、さら
に、水素プラズマ溶解だけでは低減化の難しいFe,Ni,Si
等の各金属不純物も、帯溶融時の偏析作用を経ることで
1mass ppm以下の極微量にまで低減化することができ、
99.999%以上の高純度Cuが得られた。すなわち、単一の
溶解工程により、Cu中の金属不純物および非金属不純物
は極低濃度まで低減でき、高純度Cuを回収することが可
能であることが確かめられた。しかも、帯溶融時の Cu
の蒸発損失は小さく、 Cu の歩留りは約95%と良好であ
った。なお、その他の常用金属についても、プラズマ帯
溶融処理によって同様の精製効果が認められた。
【0028】
【表2】
【0029】(実施例3)半金属の1つであるシリコン
の精製例を以下に示す。公称純度99.9%の比較的高純度
のシリコン約40g(直径約10mm,長さ200mm )を、プラ
ズマガス;50%H2−Ar、圧力;70トル、溶融帯移動速
度;1mm/min 、パス回数;10回の条件でプラズマ帯溶
融処理した時の、帯溶融処理前後のシリコン中の金属不
純物および非金属不純物の濃度を、表3に示す。金属不
純物分析にはグロー放電質量分析法を使用し、一方、非
金属不純物分析には不活性ガス融解法および酸素ガス融
解法等を使用した。なお、処理後の不純物濃度は、高純
度化部(試料中央部)の分析値である。この表3に示す
とおり、原料シリコン中のCa,Al,Mn, 酸素等の不純物
は、水素プラズマ溶解の精製作用を経ることで10mass p
pm以下の低濃度にまで除去低減され、さらに、水素プラ
ズマ溶解だけでは低減化の難しいFe,Ti,Cu,V 等の各金
属不純物も、帯溶融時の偏析作用を経ることで10mass p
pm以下の低濃度にまで低減化することができ、99.99 %
以上の高純度シリコンが得られた。すなわち、単一の溶
解工程により、シリコン中の金属不純物および非金属不
純物は極低濃度まで低減でき、高純度シリコンを回収す
ることが可能であることが確かめられた。しかも、帯溶
融時の Si の蒸発損失は小さく、 Si の歩留りは約90%
と良好であった。なお、その他の半金属についても、プ
ラズマ帯溶融処理によって同様の精製効果が認められ
た。
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、帯域溶
融による偏析作用に加えて、プラズマアーク溶解による
不純物の蒸発除去作用を兼ね備えた精製技術であり、被
溶解金属に含まれる非金属不純物および金属不純物を、
単一溶解工程の処理で効率的に極低濃度にまで除去する
ことができ、金属の高純度化法として有効である。しか
も、本発明は、高真空等を用いない精製技術であり、帯
溶融時の操作、試料の交換および帯溶融容器内の清掃等
が非常に簡単であることから、装置の簡略化、操業の簡
便化を実現することができる。さらに、本発明は粗金属
からの高純度金属の回収法としても効果的であり、産業
上極めて有用と言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の精製装置全体を示す構成図である。
【図2】本発明の精製装置を構成する帯溶融部を示す部
分断面図である。
【図3】本発明の精製装置を構成する水冷銅ハースを示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 プラズマトーチ 2 水冷銅ハース 3 帯溶融用容器 4 容器上蓋 5 水冷管 6 試料取り出し扉 7 移動用シャフト 8 O−リング 9,9′覗窓 13 架台 14 プラズマ発生用電源 15 高純度ガス精製装置 16 水平方向駆動装置 17 駆動モーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三村 耕司 宮城県仙台市太白区富沢3丁目23−16 (72)発明者 相澤 憲司 宮城県仙台市太白区向山1丁目4−18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属に含まれる不純物を単一溶解工程の
    処理で除去するに当たって、プラズマアーク加熱によ
    り、水素含有雰囲気下に解離した活性水素Hを発生させ
    ると同時に帯溶融を行うことを特徴とする高純度金属の
    精製方法。
  2. 【請求項2】 プラズマアークの作動ガスとして、不活
    性ガス(アルゴン,ヘリウム)とともに2〜100 %の水
    素を含むガスを使用することを特徴とする請求項1に記
    載の精製方法。
  3. 【請求項3】 プラズマアーク加熱による帯溶融に当た
    って、雰囲気中の内圧を3気圧〜10トルに調整すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の精製方法。
  4. 【請求項4】 プラズマアークを発生させるためのプラ
    ズマトーチ、被精製金属試料を載置するための水平方向
    駆動装置を具える水冷銅ハースおよび帯溶融用容器を有
    する帯溶融部と、前記プラズマアークの出力制御機構、
    前記水冷銅ハースの移動速度制御機構および前記帯溶融
    用容器内の圧力制御機構を有する制御系と、高純度ガス
    精製装置と、から主として構成されることを特徴とする
    高純度金属の精製装置。
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