JPH0891915A - 耐火物用燒結クリンカー及びその製造方法 - Google Patents

耐火物用燒結クリンカー及びその製造方法

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JPH0891915A
JPH0891915A JP6248334A JP24833494A JPH0891915A JP H0891915 A JPH0891915 A JP H0891915A JP 6248334 A JP6248334 A JP 6248334A JP 24833494 A JP24833494 A JP 24833494A JP H0891915 A JPH0891915 A JP H0891915A
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永生 小塚
Hironari Takenouchi
裕也 竹ノ内
Shigetoshi Oota
滋俊 太田
Takao Kusakabe
孝雄 日下部
Tetsuo Kato
哲郎 加藤
Saburo Morii
三郎 森井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、耐食性に悪影響を与えるフラック
ス成分を添加することなく、焼結法を用いて製造される
耐食性に優れた耐火物用焼結クリンカー及びその製造方
法を提供する。 【構成】 本発明に関わる耐火物用燒結クリンカーは、
Cr23 30〜61重量%、Al23 7〜30重量
%、ZrO2 10〜45重量%およびSiO2 10〜3
0重量%を含み、これら成分の合計含有量が96重量%
以上で、SiO2対アルカリ金属酸化物及びアルカリ土
類金属酸化物の合計量との重量比率が20:1以上であ
る化学組成を有し、且つ化合物としてのムライト相を含
まない燒結体である。その製造方法は、上記比率になる
ように混合した原料粉末に、必要に応じて成形用可塑剤
を加えて成形し、該成形体を1,600℃〜1,850
℃の温度条件下、酸化雰囲気中で焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐火物を製造する際の
主原料となるクリンカーに関するもので、耐食性が要求
される耐火物の製造に適した燒結クリンカーを提供す
る。
【0002】
【従来の技術】酸化クロム、酸化ジルコニウム及び酸化
アルミニウムは、それぞれ比較的耐熱性、耐食性に優れ
た材料であるが、次のような問題があることが知られて
いる。酸化クロムは融点が非常に高く揮発し易いため、
組織的に緻密な燒結体を酸化雰囲気下で焼成して製造す
ることは困難である。このため、これを耐火物原料とし
て用いた場合、その耐食性は優れているが、スラグの浸
透により組成が変化し、組成変化が生じたところの境界
で構造スポーリングを引き起こす欠点がある。酸化ジル
コニウムは、相転移によって異常膨張を引き起こす欠点
がある。これについては、燒結体を製造する際にCaO
及び/又はMgOを添加して当該成分を部分安定化し、
その異常膨張を制御している。しかし、このように部分
安定化された燒結体を原料とする耐火物を高温下で長期
間使用すると、添加成分が分離して相転移を起こし易く
なる。例え相転移が起こらなくても、添加成分の影響で
耐食性は低下する。酸化アルミニウムは、耐熱性に優れ
ているものの、これを原料とする耐火物を石灰共存雰囲
気下で使用すると、石灰と当該成分が反応して低融点物
質を生成するため、その耐食性を著しく低下させる。
【0003】上述した如く前記の各成分を個々に使用し
た場合には問題があるため、特開昭49−61211号
(従来技術1)に示される如く、これらの各成分を混合
したものを電気炉において溶融して電融クリンカーを製
造し、これを耐食性の要求される耐火物のクリンカーと
して使用している。しかし、これらの成分はかなり融け
難い材料であるため、その融点を下げるために酸化ナト
リウムなどのフラックス成分を溶融時に添加しており、
結果として製品耐火物の耐食性を低下させる原因となっ
ている。一方焼結法においては、特開昭62−2607
67号(従来技術2)に示される如く、アルミナ−クロ
ミア、ジルコニア−アルミナ−シリカ、ジルコニア−ア
ルミナ、又はアルミナ−クロミア−ジルコニア系の耐火
物が開示されている。しかし、これらの耐火物はそれな
りの耐食性を有しているものの、その耐食性の度合は必
ずしも高いものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術1
に示されるような耐食性に悪影響を与えるフラックス成
分を添加することなく、焼結法を用いて製造される耐食
性に優れた耐火物用焼結クリンカー及びその製造方法を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にかかわる耐火物
用燒結クリンカーは、Cr23 30〜61重量%、A
23 7〜30重量%、ZrO2 10〜45重量%お
よびSiO2 10〜30重量%を含み、これら成分の合
計含有量が96重量%以上で、SiO2 対アルカリ金属
酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の合計量との重量比
率が20:1以上である化学組成を有し、且つ化合物と
してのムライト相を含まない燒結体であることを特徴と
する。
【0006】また本発明に関わる化合物としてのムライ
ト相を含まない耐火物用燒結クリンカーの製造方法は、
平均粒径15μm以下の酸化クロム原料、平均粒径45
μm以下のジルコン原料、平均粒径150μm以下の部
分安定化ジルコニア原料、平均粒径150μm以下の酸
化シリコン原料、平均粒径5μm以下の酸化アルミニウ
ム原料、及び珪酸質粘土よりなる群から選ばれる原料
を、焼成後の化学組成がCr23 30〜61重量%、
Al23 7〜30重量%、ZrO2 10〜45重量%
及びSiO2 10〜30重量%を含み、且つこれら成分
の合計含有量が96重量%以上で、SiO2 対アルカリ
金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の重量比率が2
0:1以上となるように混合した粉末に、必要に応じて
成形用可塑剤を加えて成形し、当該成形体を1,600
℃〜1,850℃の温度条件下、酸化雰囲気中で焼成す
ることを特徴とする。
【0007】即ち本発明による焼結クリンカーは、Cr
23 、Al23 、ZrO2 及びSiO2 から成る4
成分を必要不可欠な成分として含み、かつ化合物として
のムライト相を含まない焼結体であることを特徴とする
もので、更に詳述すれば、その焼結体は、単斜晶系のZ
rO2 、Cr23 −Al23 の固溶体、SiO2
Al23 −Cr23 の非晶質相及びクリストバライ
ト(SiO2 )で構成されている。従って、当該焼結ク
リンカーは、従来技術2に示されるものとは本質的に異
なっていると云うことができる。
【0008】図1[出典:The American Ceramic Socie
ty, Inc.編 "Phase Diagram ForCeramist" Vol.II, Fi
g.2583, 163 (1969)]に示すCr23 、Al23
SiO2 の3成分系における相関係状態図によれば、こ
れらの成分が相互に干渉して反応し、化合物としてのム
ライト(3Al23 ・2SiO2 )の相が形成され、
その他のAl23 とCr23 は完全固溶状態にある
ことが分かる。
【0009】更に、図2[出典:The American Ceramic
Society, Inc.編 "Phase DiagramFor Ceramist" Vol.I
I, Fig.2585(A) 164 (1969)]に示すCr23 、Al2
3 、SiO2 の3成分系における相関係等温断面図
及び図3[出典:The Ameri-can Ceramic Society, In
c. 編 "Phase Diagram For Ceramist" Vol. I, Fig. 77
2, 262 (1964)]に示すZrO2 、Al23 、SiO2
の3成分系における相関係状態図においても、その殆
どの組成域にムライト(3Al23 ・2SiO2 )の
相が形成されていることが認められる。
【0010】しかし、本発明の研究過程で行なったデフ
ラクトメ−タによる解析の結果、本発明の化学組成を持
つ焼結クリンカー中には、単斜晶系のZrO2 、Cr2
3−Al23 の固溶体、更には少量のクリストバラ
イト(SiO2 )が同定されたが、ムライト(3Al2
3 ・2SiO2 )の相は上記の一般的常識に反して存
在しないことが認められた。
【0011】更に、図4の走査型電子顕微鏡写真に示す
如く、本発明による焼結クリンカーの微細組織を調べる
と、その大部分はZrO2 の粒状結晶(白色部分)、C
23 −Al23 の固溶体の柱状結晶(灰色部分)
及びそれらの粒間を埋める物質(黒色部分)から成って
いた。また粒間を埋める物質について特性X線分析を行
なったところSiO2 、Cr23 、Al23 から成
る非晶質物質で構成されていることが判明した。すなわ
ち本発明においては、一部にクリストバライト(SiO
2 )が存在するものの、その他の箇所では溶損抵抗性に
優れた機能を持つZrO2 とCr23 が単独もしくは
他成分と共存して存在しているため、外来浸食成分に対
して優れた抵抗性を持ち得ることを見出した。これにつ
いては、本発明で特定される4成分系の化学組成範囲に
おいては、焼結時に高温下で生じた融液から冷却過程で
生じる固相の中に、上述のSiO2 、Cr23 、Al
23 の3成分から成る非晶質相を析出する独特の現象
を示すことによるものと考えられる。
【0012】以下に、本発明においての各成分について
数値限定した理由を述べる。 (1)Cr23 の含有量:30重量%未満では耐食性
が低下する。61重量%を越えるとクリンカーの焼結性
が低下し、緻密な焼結性が得られないため、スラグ等の
外来成分の浸食が激しい。 (2)Al23 の含有量:7重量%未満ではジルコン
の解離促進効果が少なく、クリンカーの見掛け気孔率が
上昇し、耐食性が低下する。30重量%を越えると耐食
性が低下する。 (3)ZrO2 の含有量:10重量%未満ではジルコン
の分解によるクリンカーの緻密化を生じない。45重量
%を越えると耐食性が低下する。 (4)SiO2 の含有量:10重量%未満ではジルコン
の分解あるいはSiO2 の添加効果によるクリンカーの
緻密化を生じない。30重量%を越えると耐食性が低下
する。 (5)前記成分の合計含有量:96重量%未満では、混
入する不純物あるいは夾雑物により低融点物質が生成
し、耐食性が低下する。 (6)アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物
の合計量:SiO2 対アルカリ金属酸化物及びアルカリ
土類金属酸化物の合計量の重量比率が20:1以下とな
ると、局部的に低融点物質が生成し耐食性が低下する。
【0013】上記の各成分の含有量については、Cr2
3 35〜61重量%、Al2310〜30重量%、
ZrO2 20〜45重量%およびSiO2 14〜30重
量%の範囲より選択することが好ましい。また本発明の
焼結クリンカーにおいては、緻密な焼結性を確保するた
め、焼結体の見掛け気孔率を5容量%以下とすることが
望ましい。
【0014】本発明の焼結クリンカーを製造するための
原材料としては、平均粒径15μm以下の酸化クロム原
料、平均粒径45μm以下のジルコン原料、平均粒径1
50μm以下の部分安定化ジルコニア原料、平均粒径1
50μm以下の酸化シリコン原料、平均粒径5μm以下
の酸化アルミニウム原料、及び珪酸質粘土よりなる群か
ら選ばれる原料が好ましく使用される。これらの原料の
種類と量を適宜選択して、焼成後の化学組成がCr2
3 30〜61重量%、Al23 7〜30重量%、Zr
2 10〜45重量%及びSiO2 10〜30重量%を
含み、且つこれら成分の合計含有量が96重量%以上
で、SiO2 対アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金
属酸化物の合計量との重量比率が20:1以上となるよ
うに混合した粉末に、必要に応じて成形用可塑剤を加え
て成形し、当該成形体を1,600℃〜1,850℃の
温度条件下、酸化雰囲気中で焼成することにより、化合
物としてのムライト相を含まない耐火物用燒結クリンカ
ーが得られる。
【0015】表1に示されるように、酸化クロム原料は
Cr23 含有量99%以上の高純度品、酸化アルミニ
ウム原料は99%以上の高純度品、部分安定化ジルコニ
ア原料はZrO2 含有量90%以上の比較的高純度品、
酸化シリコン原料はSiO2含有量90%以上の比較的
高純度品を入手できるので、これら高純度原料のみを用
いて配合することもできるが、ZrO2 供給源として低
純度のジルコン原料を使用することもできる。市販され
ているジルコン原料中のZrO2 は約3分の2で、3分
の1はSiO2 なので、ジルコン原料を使用した場合に
はZrO2 及びSiO2 の両者が供給される。また粘土
は、産地により比率は異なるが、表1に示されるように
SiO2 及びAl23 を含むので、粘土を原料として
使用した場合はSiO2 及びAl23 の両者が供給さ
れる。従って、ZrO2 供給源として表1に示されるよ
うな組成のジルコン原料を使用した場合は、SiO2
給源として酸化シリコン原料又は粘土を供給することな
しに本発明で規定する成分比の製品を得ることが可能で
ある(後述の実施例3参照)。またSiO2 供給源とし
て粘土を使用した場合には、酸化シリコン原料を供給す
ることなしに本発明で規定する成分比の製品を得ること
が可能である。
【0016】成形用可塑剤には、有機系バインダーと無
機系バインダーがあるが、本発明においては何れでも使
用することができる。有機系バインダーとしてはアクリ
ル系バインダーを使用し、また無機系バインダーとして
は珪酸質の粘土を用いることが望ましい。SiO2 の供
給源として粘土を使用した場合には成形用可塑剤の添加
を必要としない(後述の実施例1,4,5,6参照)。
【0017】本発明の製品を製造するのに用いられる原
料中には通常少量のアルカリ類が存在するが、焼成後の
クリンカーにおけるSiO2 対アルカリ金属酸化物及び
アルカリ土類金属酸化物の合計量との重量比率が20:
1以上、好ましくは25:1以上となるようにする。表
1に示すように粘土中には比較的多量のアルカリ類が存
在するので、粘土のみを供給源として大量のSiO2
配合するのは好ましくない。アルカリ類がこの限度を越
えると、製品耐火物の耐食性を低下させる原因となる。
従って、粘土の供給量は10重量%以下とすることが望
まれる。
【0018】前記成形体は1,600〜1,850℃の
温度条件下で焼成されるが、更に詳しく述べればジルコ
ンを原料として使用した場合には1,620℃〜1,7
20℃の温度条件下で焼成し、また部分安定化ジルコニ
アを原料とした場合には1,650℃〜1,800℃の
温度条件下で焼成することが好ましい。
【0019】耐熱性、耐食性に優れた成分である酸化ク
ロムは、非常に焼結し難い材料である。従って、酸化ク
ロムを多く含む物質は、その焼結体の見掛け気孔率が高
くなる傾向にある。これに対して、本発明の製造方法に
おいては、酸化クロムをかなり多く含有しながら、同じ
く耐食性に優れた成分である酸化ジルコニウムと酸化シ
リコン、酸化アルミニウムの3成分における液相生成を
利用することで、組織的に緻密な焼結クリンカーを得る
ことができる。この結果、フラックス成分を添加するこ
となく、焼結法で見掛け気孔率が5容量%以下のクリン
カーを製造することが可能となった。また、この焼結ク
リンカーは耐食性に優れた各種成分を組み合わせている
ことから、成分比の異なるスラグに対しても一様に優れ
た耐食性を示している。
【0020】本発明による焼結クリンカーは、上記のよ
うな特長を有しているため、スラグ成分の変化し易い廃
棄物溶融炉、更には鉄鋼、ガラス溶融、セメント焼成な
どの高温領域で使用される焼成炉など、特に耐食性の要
求される炉に使用される耐火物用クリンカーとして極め
て有用である。
【0021】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説
明する。本発明による焼結クリンカーを製造する際に使
用される原料成分の典型的な化学組成を表1に示す。こ
れらの原料、即ち酸化クロム材、酸化アルミニウム材、
ジルコン材、ジルコニア材及び粘土材を表2に示す配合
比率で秤量混合した後、真空押し出しにより成形し、ガ
ス炉において1,600℃〜1,850℃の温度範囲で
焼成した。
【0022】
【表1】
【0023】評価試験(スラグによる浸食試験)用供試
体としては、上述した方法で所定の形状(JIS R2
214に準ずる)になるように焼成した焼結体をそのま
ま用いるか、あるいは焼成したクリンカーを所定の粒度
に粉砕整粒し、若干(数パ−セント前後)のセメント成
分を加え、所定の形状に鋳込み成形したものを供試サン
プルとした。当該供試サンプルの特性は表2に示す通り
である。
【0024】浸食試験は坩堝式浸食試験法(JIS R
2214)に準じて行なった。試験温度は1,500
℃、試験期間は1,000時間とした。また、供試スラ
グは、融点が1,000℃〜1,200℃で、CaO/
SiO2 比が0.2〜1.0の範囲にあるものを使用し
た。なお、評価試験結果は浸食深さと浸透深さで表示さ
れているが、ここで浸透深さは浸食深さを越えて、スラ
グによるアタックを受けている部位の層の深さを意味し
ている。従って、評価に際しては、浸食深さと浸透深さ
の合計値をもって行うことが望ましい。
【0025】
【実施例1】表1に示す原料、すなわち酸化クロム(平
均粒径15μm)、酸化アルミニウム(平均粒径5μ
m)、ジルコン(平均粒径45μm)及び粘土を、表2
に示す配合比率で合計20kgになるよう混合し混練し
た。この時、成形用可塑剤は特に用いなかった。更に、
混練物は真空押し出しにより成形し、ガス炉中、1,7
00℃で焼成し、見掛け気孔率が4容量%のクリンカー
を得た。評価試験には、供試サンプルとして焼成した焼
結クリンカーをそのまま用いた。浸食試験用のスラグ
は、下水汚泥から得られた塩基度(CaO/SiO2
が0.2のものを用いた。
【0026】
【表2】
【0027】
【実施例2】表1に示す原料、すなわち酸化クロム(平
均粒径10μm)、酸化アルミニウム(平均粒径5μ
m)、ジルコン(平均粒径30μm)及び粘土を表2に
示す配合比率で合計20kgになるように混合し混練し
た。この時、成形用可塑剤としてアクリル系有機バイン
ダー0.1kgを同時に添加した。混練物は真空押し出
しにより成形し、ガス炉中、1,700℃で焼成した。
評価試験には見掛け気孔率が1容量%の焼結体(クリン
カー)をそのまま用いた。浸食試験用の灰はゴミ焼却場
から得られた塩基度1のものを用いた。
【0028】
【実施例3】表1に示す原料、すなわち酸化クロム(平
均粒径10μm)、酸化アルミニウム(平均粒径5μ
m)及びジルコン(平均粒径30μm)を表2に示す配
合比率で合計20kgになる用に混合し混練した。この
時、成形可塑剤として、アクリル系有機バインダー0.
2kgを同時に添加した。混練物は真空押し出しにより
成形し、ガス炉中、1,650℃で焼成した。評価試験
には焼成したものを所定の粒度に整粒し、3重量%のセ
メント成分を添加し所定の形状に鋳込み成形し、1昼夜
養生し固化させて見掛け気孔率が5容量%の固化体を調
製した。評価試験にはこの固化体を用いた。固化体を得
るために添加する成分としては、CaOを含むセメント
の他に珪酸塩の粘土等を用いることも可能である。灰
は、ゴミ焼却場から得られた塩基度0.5のものを用い
た。
【0029】
【実施例4】ジルコニア源として、表1に示したジルコ
ニア(平均粒径100μm、部分安定化品)を用いた以
外は実施例1と同様な方法で、見掛け気孔率が2容量%
の焼結体(クリンカー)を調製し、浸食試験を実施し
た。
【0030】
【実施例5】ジルコニア源として表1に示したジルコニ
ア(平均粒径50μm、部分安定化品)を用いた以外は
実施例1と同様な方法で、見掛け気孔率が1容量%の焼
結体(クリンカー)を調製し、浸食試験を実施した。
【0031】
【実施例6】ジルコニア源として表1に示したジルコニ
ア(平均粒径10μm、部分安定化品)のみを使用し、
更に酸化シリコン(平均粒径100μm)を用い焼成温
度を1,800℃とした以外は、実施例1と同様な方法
で、見掛け気孔率が2容量%の焼結体(クリンカー)を
調製し、浸食試験を実施した。
【0032】
【比較例1】原料として、酸化クロム10kg及びアク
リル系有機バインダー0.1kgのみを用いた以外は実
施例1と同様な方法で、焼結体(クリンカー)を得よう
としたが、緻密な焼結体に成り得ず、穴あけ加工時に全
て破損し浸食試験を実施することはできなかった。
【0033】
【比較例2及び3】表3に示す配合比率以外は実施例1
と同様な方法で、焼結体(クリンカー)を調製し、浸食
試験を実施した。この焼結体(クリンカー)の見掛け気
孔率は、比較例2では19容量%、比較例3では11容
量%であった。
【0034】
【比較例4及び5】表3に示す配合比率以外は実施例4
と同様な方法で、焼結体(クリンカー)を調製し浸食試
験を実施した。これらの焼結体の見掛け気孔率はそれぞ
れ17容量%と1容量%であった。
【0035】
【比較例6】表3に示す配合比率以外は実施例6と同様
な方法で、焼結体(クリンカー)を調製し、浸食試験を
実施した。このクリンカーの見掛け気孔率は2容量%で
あった。
【0036】
【表3】
【0037】各実施例の評価試験結果を表2に、各比較
例の評価試験結果を表3に示す。実施例の各供試サンプ
ルは、緻密なクリンカーから成り、耐食性試験でも良好
な結果を示した。これに対し、比較例1では組織的に緻
密なクリンカー得られず、浸食試験を実施するに至らな
かった。更に、比較例2、比較例3及び比較例4に示す
ように、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニ
ウムの量が多すぎると焼結が進まず、組織的に緻密な焼
結クリンカーが得られなかった。また、比較例5及び比
較例6では、組織的に緻密な焼結クリンカーは得られて
いるが、酸化クロムの量が少なすぎたり、酸化シリコン
の量が多すぎたりすると、スラグの浸食が大きくなり、
必ずしも実用には適さないことが分かった。
【0038】
【発明の効果】耐食性が要求される耐火物の製造に適し
た燒結クリンカーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cr23 、Al23 、SiO2 の3成分系
における相関係状態図である。
【図2】Cr23 、Al23 、SiO2 の3成分系
における相関係等温断面図である。
【図3】ZrO2 、Al23 、SiO2 の3成分系に
おける相関係状態図である。
【図4】走査型電子顕微鏡写真による本発明の焼結クリ
ンカーの微細組織を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 太田 滋俊 愛知県名古屋市瑞穂区東栄町7丁目13番1 号 (72)発明者 日下部 孝雄 神奈川県横浜市南区別所1−14−1日揮株 式会社横浜事業所内 (72)発明者 加藤 哲郎 神奈川県横浜市南区別所1−14−1日揮株 式会社横浜事業所内 (72)発明者 森井 三郎 神奈川県横浜市南区別所1−14−1日揮株 式会社横浜事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr23 30〜61重量%、Al2
    3 7〜30重量%、ZrO2 10〜45重量%およびS
    iO2 10〜30重量%を含み、これら成分の合計含有
    量が96重量%以上で、SiO2 対アルカリ金属酸化物
    及びアルカリ土類金属酸化物の合計量との重量比率が2
    0:1以上である化学組成を有し、且つ化合物としての
    ムライト相を含まない燒結体であることを特徴とする耐
    火物用燒結クリンカー。
  2. 【請求項2】 燒結体の見掛気孔率が5容量%以下であ
    る請求項1に記載の耐火物用燒結クリンカー。
  3. 【請求項3】 平均粒径15μm以下の酸化クロム原
    料、平均粒径45μm以下のジルコン原料、平均粒径1
    50μm以下の部分安定化ジルコニア原料、平均粒径1
    50μm以下の酸化シリコン原料、平均粒径5μm以下
    の酸化アルミニウム原料、及び珪酸質粘土よりなる群か
    ら選ばれる原料を、焼成後の化学組成がCr23 30
    〜61重量%、Al23 7〜30重量%、ZrO2
    0〜45重量%及びSiO2 10〜30重量%を含み、
    且つこれら成分の合計含有量が96重量%以上で、Si
    2 対アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物
    の合計量との重量比率が20:1以上となるように混合
    した粉末に、必要に応じて成形用可塑剤を加えて成形
    し、当該成形体を1,600℃〜1,850℃の温度条
    件下、酸化雰囲気中で焼成することを特徴とする化合物
    としてのムライト相を含まない耐火物用燒結クリンカー
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 成形用可塑剤としてアクリル系有機質バ
    インダー又は珪酸質粘土の無機質バインダーを用いる請
    求項3記載の燒結クリンカーの製造方法。
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