JPH0888174A - 半導体装置,半導体装置の製造方法,薄膜トランジスタ,薄膜トランジスタの製造方法,表示装置 - Google Patents

半導体装置,半導体装置の製造方法,薄膜トランジスタ,薄膜トランジスタの製造方法,表示装置

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JPH0888174A
JPH0888174A JP12531695A JP12531695A JPH0888174A JP H0888174 A JPH0888174 A JP H0888174A JP 12531695 A JP12531695 A JP 12531695A JP 12531695 A JP12531695 A JP 12531695A JP H0888174 A JPH0888174 A JP H0888174A
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silicon film
amorphous silicon
polycrystalline silicon
forming
film
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JP12531695A
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Shiro Nakanishi
史朗 中西
Hisashi Abe
寿 阿部
Toshifumi Yamaji
敏文 山路
Yoshihiro Morimoto
佳宏 森本
Isao Hasegawa
勲 長谷川
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】結晶粒径が均一な多結晶シリコン膜を備えた半
導体装置を短時間に形成する。 【構成】透明絶縁基板1(石英ガラス,高耐熱ガラス)
上に微結晶を含む非晶質シリコン膜2を形成する。次
に、微結晶を含む非晶質シリコン膜2上に通常の非晶質
シリコン膜3を形成する。続いて、600 ℃程度でアニー
ルすることにより、各非晶質シリコン膜2,3を固相成
長させて多結晶シリコン膜4,5を形成する。このと
き、非晶質シリコン膜2中の微結晶を種として結晶が成
長する。そのため、非晶質シリコン膜2中に微結晶が均
一に存在していれば、多結晶シリコン膜4,5の結晶粒
径は基板1の全体にわたって均一になる。また、結晶成
長の種が生じるまでに要する潜伏期間がなくなるため、
固相成長の処理時間が短くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置,半導体装置
の製造方法,薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Tr
ansistor),薄膜トランジスタの製造方法,表示装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、アクティブマトリクス方式の液晶
ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)が高
画質な表示装置として注目されている。そのアクティブ
マトリクス方式LCDの画素駆動素子(画素駆動用トラ
ンジスタ)として、透明絶縁基板上に形成された多結晶
シリコン膜を能動層に用いた薄膜トランジスタ(以下、
多結晶シリコンTFTという)の開発が進められてい
る。
【0003】多結晶シリコンTFTは、非晶質シリコン
膜を能動層に用いた薄膜トランジスタ(以下、非晶質シ
リコンTFTという)に比べ、移動度が大きく駆動能力
が高いという利点がある。そのため、多結晶シリコンT
FTを用いれば、高性能なLCDを実現できる上に、画
素部(表示部)だけでなく周辺駆動回路(ドライバ)ま
でを同一基板上に一体にして形成することができる。
【0004】従来の多結晶シリコンTFTは、1000℃程
度の高温の工程(高温プロセスと呼ばれる)を使って形
成されていた。高温プロセスは長年に渡る十分な技術的
蓄積のあるLSI技術を踏襲したものである。そのた
め、高温プロセスで形成された多結晶シリコンTFT
(高温多結晶シリコンTFTと呼ばれる)は、素子特
性,信頼性,再現性に優れている。しかし、高温プロセ
スはプロセス温度が高いため、基板には石英ガラスを使
わざるを得ない。石英ガラスは大型化に伴って著しく高
価になる上に現在のところ大型化には限りがあるため、
基板の寸法が制限を受ける。そのため、コスト的に見合
うLCDのパネルサイズは2型以下となり、ビデオカメ
ラのビューファインダ用や液晶プロジェクタ用としては
十分に使用できるものの、直視用としてはパネルサイズ
が小さすぎて使用できない。
【0005】一方、非晶質シリコンTFTは、400 ℃以
下の低温の工程を使って形成可能なため、基板に通常の
ガラスを使うことができる。通常のガラスは石英ガラス
の約1/10の価格で寸法にも制限がないが、LCD用に市
販されている高耐熱ガラス(例えば、米国Corning Inc.
製の「7059」)でも600 ℃程度の耐熱温度しかない。
【0006】そこで、基板に通常のガラス(高耐熱ガラ
ス)を使えるように、多結晶シリコンTFTを600 ℃程
度以下の低温の工程(低温プロセスと呼ばれる)を使っ
て形成することが求められている。低温プロセスで形成
された多結晶シリコンTFTは低温多結晶シリコンTF
Tと呼ばれる。低温プロセスで問題となるのは、能動層
となる多結晶シリコン膜およびゲート絶縁膜の形成方法
である。
【0007】シリコン薄膜の形成方法には種々の方法
(CVD法,蒸着法,スパッタ法など)があるが、いず
れの方法でもシリコン薄膜を低温でガラス基板上に形成
すると、膜は非晶質になる。その非晶質シリコン膜を多
結晶化する方法としては、固相成長法や溶融再結晶化法
がある。
【0008】固相成長法は、非晶質シリコン膜に600 ℃
前後で長時間の熱処理を行うことにより、固体のままで
多結晶化させて多結晶シリコン膜を得る方法である。溶
融再結晶化法は、非晶質シリコン膜の表面だけを溶融さ
せて再結晶化を図りながら基板温度を600 ℃以下に保つ
方法であり、レーザアニール法やRTA(Rapid Therma
l Annealing )法がある。レーザアニール法は、非晶質
シリコン膜の表面にレーザを照射して加熱溶融させる方
法である。RTA法は、非晶質シリコン膜の表面にラン
プ光を照射して加熱溶融させる方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】溶融再結晶化法では、
LSI技術において使用されることの稀なレーザ装置や
RTA装置が必要になるため、生産設備を新設しなけれ
ばならない。また、それらの装置の制御性は未だ十分な
レベルには達していないため、量産化にあたっては歩留
りやスループットが問題となる。
【0010】それに対して、固相成長法では、LSI技
術で既に一般的な熱処理装置を用いればよく、生産設備
を新設する必要がない上に、熱処理装置の制御性が高い
ことから量産化にあたっての問題が少ないという利点が
ある。しかし、固相成長法には以下の問題がある。
【0011】1)多結晶シリコンの結晶粒径に対する制
御方法がないため、基板全体にわたって均一な結晶粒径
の多結晶シリコン膜を形成するのが難しい。非晶質シリ
コン膜における結晶成長は、主に非晶質シリコン膜と基
板との界面から起こるが、非晶質シリコン膜中で起こる
ことも多い。つまり、非晶質シリコン膜中のどの場所か
ら結晶成長が起こるかは不確定である。従って、結晶成
長が密に起こった場所では結晶粒径が小さくなり、結晶
成長が疎らに起こった場所では結晶粒径が大きくなるた
め、結晶粒径の均一性が低下する。
【0012】多結晶シリコン膜は結晶粒径が大きいほど
電界効果移動度が高くなり、多結晶シリコンTFTの素
子特性が向上する。そのため、多結晶シリコン膜中で結
晶粒径が大きい場所に形成された多結晶シリコンTFT
の素子特性は高くなる一方、結晶粒径が小さい場所に形
成された多結晶シリコンTFTの素子特性は低くなる。
つまり、多結晶シリコン膜における結晶粒径の均一性が
低下すると、多結晶シリコンTFTの素子特性にバラツ
キが生じる。その結果、LCDのパネル全面にわたって
均質な画像を表示できなくなる。
【0013】低温プロセスを採用する目的は、通常のガ
ラス基板を用いてパネルサイズの大きなLCDを安価に
提供することにある。多結晶シリコン膜における結晶粒
径の均一性の低下は基板の大型化に伴って顕著になるた
め、パネルサイズの大きなLCDでは特に問題となる。
【0014】2)非晶質シリコン膜が完全に多結晶化す
るには(すなわち、100 %の結晶化率を得るには)、20
時間といった長時間の熱処理が必要となる。つまり、L
CD用の高耐熱ガラスを用いた場合でも、その耐熱温度
限界近くで長時間の熱処理を行うことになるため、基板
に歪みなどのダメージが生じやすい。熱処理に要する時
間を短くするには、基板の耐熱温度の範囲内においてで
きるだけ高温で熱処理を行えばよい。しかし、処理温度
を高くすると結晶化速度を速くできる反面、結晶粒径が
小さくなってしまう。その結果、LCDのパネル全面に
わたって多結晶シリコンTFTの素子特性が悪化し、画
質が低下してしまう。
【0015】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、以下の目的を有するものである。 1〕結晶粒径が均一な多結晶シリコン膜を備えた半導体
装置を提供する。
【0016】2〕結晶粒径を制御することが可能な多結
晶シリコン膜を備えた半導体装置の製造方法を提供する
ことに係り、特に、高スループットな製造方法を提供す
る。 3〕優れた多結晶シリコン膜を能動層として用いる優れ
た薄膜トランジスタを提供する。
【0017】4〕優れた多結晶シリコン膜を能動層とし
て用いる優れた薄膜トランジスタの製造方法を提供する
ことに係り、特に、高スループットな製造方法を提供す
る。 5〕優れた薄膜トランジスタを画素駆動素子として用い
る安価で大面積で優れた表示装置を提供する。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、固相成長法によって形成された多結晶シリコン膜を
備えたことをその要旨とする。
【0019】請求項2に記載の発明は、結晶粒径が連続
的に変化する多結晶シリコン膜を備えたことをその要旨
とする。請求項3に記載の発明は、請求項1または請求
項2に記載の半導体装置において、多結晶シリコン膜は
絶縁基板上に形成された半導体装置。
【0020】請求項4に記載の発明は、非晶質シリコン
膜を固相成長させて多結晶シリコン膜を形成する工程を
備えたことをその要旨とする。請求項5に記載の発明
は、少なくとも部分的に微結晶を含む非晶質シリコン膜
を固相成長させて多結晶シリコン膜を形成する工程を備
えたことをその要旨とする。
【0021】請求項6に記載の発明は、微結晶を含む第
1の非晶質シリコン膜を形成する工程と、第1の非晶質
シリコン膜上に、第1の非晶質シリコン膜に比べて微結
晶を含む割合が少ないか又は微結晶を含まない第2の非
晶質シリコン膜を形成する工程と、第1および第2の非
晶質シリコン膜を固相成長させて多結晶シリコン膜を形
成する工程とを備えたことをその要旨とする。
【0022】請求項7に記載の発明は、第2の非晶質シ
リコン膜を形成する工程と、第2の非晶質シリコン膜上
に、第2の非晶質シリコン膜に比べて微結晶を含む割合
が多い第1の非晶質シリコン膜を形成する工程と、第1
および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させて多結晶
シリコン膜を形成する工程と、少なくとも第1の非晶質
シリコン膜が固相成長して形成された多結晶シリコン膜
を除去する工程とを備えたことをその要旨とする。
【0023】請求項8に記載の発明は、第2の非晶質シ
リコン膜を形成する工程と、第2の非晶質シリコン膜上
に、第2の非晶質シリコン膜に比べて微結晶を含む割合
が多い第1の非晶質シリコン膜を形成する工程と、第1
および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させて多結晶
シリコン膜を形成する工程と、少なくとも第1の非晶質
シリコン膜が固相成長して形成された多結晶シリコン膜
を酸化させてシリコン酸化膜を形成する工程とを備えた
ことをその要旨とする。
【0024】請求項9に記載の発明は、請求項6〜8の
いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
第1の非晶質シリコン膜を少なくとも一部分に形成した
ことをその要旨とする。
【0025】請求項10に記載の発明は、結晶粒径が連
続的に変化する多結晶シリコン膜を能動層として用いる
ことをその要旨とする。請求項11に記載の発明は、少
なくとも部分的に微結晶を含む非晶質シリコン膜を固相
成長させて形成した多結晶シリコン膜を能動層として用
いることをその要旨とする。
【0026】請求項12に記載の発明は、請求項4〜9
のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法によって
形成された多結晶シリコン膜を能動層として用いたこと
をその要旨とする。
【0027】請求項13に記載の発明は、請求項4〜9
のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法によって
形成された多結晶シリコン膜を絶縁基板上に形成する工
程と、多結晶シリコン膜上にゲート絶縁膜を形成する工
程と、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
ゲート電極を用いた自己整合技術により多結晶シリコン
膜にソース領域およびドレイン領域を形成する工程とを
備えたことをその要旨とする。
【0028】請求項14に記載の発明は、絶縁基板上に
微結晶を含む第1の非晶質シリコン膜を形成する工程
と、第1の非晶質シリコン膜におけるチャネル領域に対
応する部分だけを残して他の部分を除去する工程と、絶
縁基板および第1の非晶質シリコン膜の上に、第1の非
晶質シリコン膜に比べて微結晶を含む割合が少ないか又
は微結晶を含まない第2の非晶質シリコン膜を形成する
工程と、第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長
させて多結晶シリコン膜を形成する工程と、多結晶シリ
コン膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、ゲート絶縁
膜上にゲート電極を形成する工程と、ゲート電極を用い
た自己整合技術により多結晶シリコン膜にソース領域お
よびドレイン領域を形成する工程とを備えたことをその
要旨とする。
【0029】請求項15に記載の発明は、絶縁基板上に
第2の非晶質シリコン膜を形成する工程と、第2の非晶
質シリコン膜上に、第2の非晶質シリコン膜に比べて微
結晶を含む割合が多い第1の非晶質シリコン膜を形成す
る工程と、第1の非晶質シリコン膜におけるチャネル領
域に対応する部分だけを残して他の部分を除去する工程
と、第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させ
て多結晶シリコン膜を形成する工程と、少なくとも第1
の非晶質シリコン膜が固相成長して形成された多結晶シ
リコン膜を除去する工程と、多結晶シリコン膜上にゲー
ト絶縁膜を形成する工程と、ゲート絶縁膜上にゲート電
極を形成する工程と、ゲート電極を用いた自己整合技術
により多結晶シリコン膜にソース領域およびドレイン領
域を形成する工程とを備えたことをその要旨とする。
【0030】請求項16に記載の発明は、絶縁基板上に
第2の非晶質シリコン膜を形成する工程と、第2の非晶
質シリコン膜上に、第2の非晶質シリコン膜に比べて微
結晶を含む割合が多い第1の非晶質シリコン膜を形成す
る工程と、第1の非晶質シリコン膜におけるチャネル領
域に対応する部分だけを残して他の部分を除去する工程
と、第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させ
て多結晶シリコン膜を形成する工程と、少なくとも第1
の非晶質シリコン膜が固相成長して形成された多結晶シ
リコン膜を酸化させてゲート絶縁膜を形成する工程と、
ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、ゲート
電極を用いた自己整合技術により多結晶シリコン膜にソ
ース領域およびドレイン領域を形成する工程とを備えた
ことをその要旨とする。
【0031】請求項17に記載の発明は、請求項13〜
16のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方
法において、デバイスの全面に層間絶縁膜を形成する工
程と、その層間絶縁膜にソース領域およびドレイン領域
とコンタクトするコンタクトホールを形成する工程と、
ソース電極およびドレイン電極を形成する工程とを備え
たことをその要旨とする。
【0032】請求項18に記載の発明は、請求項10〜
12のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタを画素駆
動素子として用いることをその要旨とする。請求項19
に記載の発明は、請求項13〜17のいずれか1項に記
載の薄膜トランジスタの製造方法によって製造された薄
膜トランジスタを画素駆動素子として用いることをその
要旨とする。
【0033】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、固相成長法に
よって形成された多結晶シリコン膜を備えることができ
る。
【0034】請求項2に記載の発明によれば、結晶粒径
が連続的に変化する多結晶シリコン膜を備えることがで
きる。請求項3に記載の発明によれば、多結晶シリコン
膜を絶縁基板上に形成することにより、その多結晶シリ
コン膜を利用して液晶ディスプレイ,密着型イメージセ
ンサ,スタティックRAM(SRAM)のメモリセル内
の負荷素子,三次元ICなどを形成することができる。
【0035】請求項4に記載の発明によれば、非晶質シ
リコン膜を固相成長させることで低温プロセスによって
多結晶シリコン膜を形成することができる。請求項5に
記載の発明によれば、固相成長時には、微結晶を含む非
晶質シリコン膜中の微結晶が種として結晶が成長し多結
晶化が行われる。そのため、非晶質シリコン膜中に微結
晶が均一に存在していれば、多結晶シリコン膜の結晶粒
径は全体にわたってほぼ均一なものになる。また、非晶
質シリコン膜中の微結晶の量を調整すれば、多結晶シリ
コン膜の結晶粒径を所望の大きさにすることができる。
すなわち、非晶質シリコン膜中に微結晶が多くなるほ
ど、結晶成長が密に起こるため多結晶シリコン膜の結晶
粒径は小さくなる。そして、固相成長を開始した時点で
結晶成長の種が存在しているため潜伏期間がほぼ零にな
り、固相成長の処理時間を短くすることができる。従っ
て、結晶粒径がほぼ均一な多結晶シリコン膜を低温プロ
セスによって短時間に得ることができる。加えて、多結
晶シリコン膜の結晶粒径を制御することができる。
【0036】請求項6に記載の発明によれば、請求項5
に記載の発明と同じ作用により、第1の非晶質シリコン
膜から第2の非晶質シリコン膜へと多結晶化が進行す
る。請求項7に記載の発明によれば、請求項5に記載の
発明と同じ作用により、第1の非晶質シリコン膜から第
2の非晶質シリコン膜へと多結晶化が進行する。そのた
め、第1の非晶質シリコン膜が多結晶化した多結晶化シ
リコン膜の結晶粒径は第2の非晶質シリコン膜が多結晶
化した多結晶化シリコン膜に比べて小さくなる。その結
晶粒径が小さな多結晶化シリコン膜を除去することで、
結晶粒径が大きな多結晶化シリコン膜を得ることができ
る。
【0037】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
に記載の発明と同じ作用により、第1の非晶質シリコン
膜が多結晶化した多結晶化シリコン膜の結晶粒径は第2
の非晶質シリコン膜が多結晶化した多結晶化シリコン膜
に比べて小さくなる。その結晶粒径が小さな多結晶化シ
リコン膜を酸化させることで、結晶粒径が大きな多結晶
化シリコン膜を得ることができる。
【0038】請求項9に記載の発明によれば、第2の非
晶質シリコン膜に対して第1の非晶質シリコン膜の結晶
粒径が小さくとも上記の作用が起こる。請求項10に記
載の発明によれば、結晶粒径が連続的に変化する多結晶
シリコン膜を能動層として用いることで、多結晶シリコ
ンTFTのソース領域およびドレイン領域の結晶粒径を
大きく、チャネル領域の結晶粒径を小さくして、高性能
化を図ることができる。
【0039】請求項11に記載の発明によれば、請求項
5に記載の発明と同様の作用により、能動層の結晶粒径
を制御することができ、多結晶シリコンTFTの高性能
化を図ることができる。
【0040】請求項12に記載の発明によれば、請求項
4〜9のいずれか1項に記載の発明と同様の作用によっ
て優れた能動層を得ることができ、多結晶シリコンTF
Tの高性能化を図ることができる。
【0041】請求項13に記載の発明によれば、請求項
4〜9のいずれか1項に記載の発明と同様の作用により
優れた能動層を短時間に得ることができる。また、自己
整合技術によりソース領域およびドレイン領域を形成す
ることができる。従って、プレーナ型またはスタガ型の
多結晶シリコンTFTを短時間に得ることができ、その
高性能化を図ることができる。そして、低温プロセスに
よって能動層を形成できることから、ゲート絶縁膜の形
成工程およびソース領域およびドレイン領域の形成工程
にも低温プロセスを導入すれば、全工程を低温プロセス
化することが可能になり、絶縁基板として耐熱温度の低
い材料を用いることができる。
【0042】請求項14〜16に記載の発明によれば、
請求項13に記載の発明と同様に多結晶シリコンTFT
の高性能化を図ることができ、全工程を低温プロセス化
すれば絶縁基板として耐熱温度の低い材料を用いること
ができる。また、ソース領域およびドレイン領域の結晶
粒径を大きく、チャネル領域の結晶粒径を小さくするこ
とができるため、多結晶シリコンTFTのさらなる高性
能化を図ることができる。
【0043】請求項17に記載の発明によれば、層間絶
縁膜,ソース電極,ドレイン電極を形成して多結晶シリ
コンTFTを完成することができる。請求項18または
請求項19に記載の発明によれば、優れた薄膜トランジ
スタを画素駆動素子として用いることにより、優れた表
示装置を得ることができる。また、薄膜トランジスタの
製造に係る全工程を低温プロセス化すれば、絶縁基板と
して耐熱温度の低い材料を用いることができ、安価で大
面積な表示装置を得ることができる。
【0044】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明を具体化した第1実施例の
製造方法を図1および図2に従って説明する。
【0045】工程1(図1(a)参照);透明絶縁基板
1(石英ガラス,高耐熱ガラス)上に微結晶(マイクロ
クリスタル)を含む非晶質シリコン膜2(膜厚;100
Å)を形成する。
【0046】工程2(図1(b)参照);微結晶を含む
非晶質シリコン膜2上に通常の非晶質シリコン膜3(膜
厚;400 Å)を形成する。各非晶質シリコン膜2,3の
形成方法には以下のものがある。
【0047】減圧CVD法を用いる方法;減圧CVD
法でシリコン膜を形成するには、モノシラン(Si
4 )またはジシラン(Si2 6 )の熱分解を用い
る。この場合、処理温度が550 ℃以下では非晶質、620
℃以上では多結晶となる。そして、550 〜620 ℃では微
結晶を含む非晶質となり、この温度範囲内で、温度が高
くなるほど多結晶に近づいて微結晶が多くなり、温度が
低くなるほど非晶質に近づいて微結晶が少なくなる。従
って、減圧CVD法では、温度条件を変えるだけで、各
非晶質シリコン膜2,3を同一チャンバ内で連続的に形
成することができる。また、温度条件を変えるだけで、
非晶質シリコン膜2中の微結晶の量を調整することもで
きる。
【0048】プラズマCVD法を用いる方法;プラズ
マCVD法で非晶質シリコン膜を形成するには、プラズ
マ中でのモノシランまたはジシランの熱分解を用いる。
この場合、処理温度は300 ℃程度で水素を添加すると反
応が促進される。そして、不活性ガス(ヘリウム,ネオ
ン,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドン)を添加
するとプラズマが励起され、同一の処理温度でも多結晶
シリコン膜が形成される。従って、プラズマCVD法で
は、不活性ガスを添加するだけで、各非晶質シリコン膜
2,3を同一チャンバ内で連続的に形成することができ
る。また、不活性ガスの添加量を変えるだけで、非晶質
シリコン膜2中の微結晶の量を調整することもできる。
【0049】工程3(図1(c)参照);600 ℃程度で
約20時間の熱処理を行うことにより、各非晶質シリコン
膜2,3を固相成長させて多結晶シリコン膜4,5を形
成する。
【0050】このとき、非晶質シリコン膜2中の微結晶
を種(シード)として結晶が成長する。そのため、非晶
質シリコン膜2中に微結晶が均一に存在していれば、多
結晶シリコン膜4,5の結晶粒径は基板1の全体にわた
ってほぼ均一なものになる。
【0051】また、非晶質シリコン膜2中の微結晶の量
を調整すれば、多結晶シリコン膜4,5の結晶粒径を所
望の大きさにすることができる。すなわち、非晶質シリ
コン膜2中に微結晶が多くなるほど、結晶成長が密に起
こるため多結晶シリコン膜4,5の結晶粒径は小さくな
る。
【0052】そして、図3に示すように、従来の固相成
長法に比べて本実施例では、固相成長の処理時間が短く
なる。従来の固相成長法では微結晶を含まない非晶質シ
リコン膜を用いるため、結晶成長の種が生じるまでに潜
伏期間Aが必要となる。処理温度が600 ℃前後の場合、
その潜伏期間Aは3〜4時間である。本実施例では熱処
理を開始した時点で結晶成長の種が存在しているため潜
伏期間がほぼ零であり、潜伏期間Aの分だけ固相成長の
処理時間を短くすることができる。固相成長の処理時間
が短くなれば、基板1に高耐熱ガラスを用いた場合でも
歪みなどのダメージが生じ難くなる。
【0053】このように、本実施例によれば、結晶粒径
がほぼ均一な多結晶シリコン膜4,5を低温プロセスに
よって短時間に得ることができる。そして、多結晶シリ
コン膜4,5の結晶粒径を制御することができる。
【0054】また、本実施例において、固相成長の処理
温度を下げると図3に示すグラフの傾きが小さくなり、
100 %の結晶化率を得るのに要する時間が長くなる。逆
に言うと、固相成長の処理時間を長くすれば、処理温度
を下げることができる。しかし、本実施例では結晶成長
の種が存在しているため、処理温度を下げても従来の固
相成長法よりは処理時間を短くすることができる。だか
ら、固相成長の処理時間を長くすれば、基板1に高耐熱
ガラスを用いた場合、その耐熱温度を下げることができ
る。
【0055】従って、固相成長の処理温度は580 〜700
℃が適当であり、好ましくは600 〜700 ℃、特に好まし
くは600 〜650 ℃である。この範囲より低くなると固相
成長の処理時間が大幅に長くなる傾向があり、高くなる
と多結晶シリコン膜4,5の結晶粒径が小さくなる傾向
がある。
【0056】工程4(図2参照);多結晶シリコン膜
4,5を能動層として用いるプレーナ型の多結晶シリコ
ンTFT106を形成する。まず、多結晶シリコン膜
4,5上にゲート絶縁膜11を形成する。ゲート絶縁膜
11の形成方法にも高温プロセスおよび低温プロセスが
ある。高温プロセスでは、900 〜1050℃程度の高温の熱
酸化法でゲート絶縁膜11としてのシリコン酸化膜を形
成する。低温プロセスでは、プラズマ酸化法,常圧CV
D法,減圧CVD法,プラズマCVD法,ECRプラズ
マCVD法,光励起CVD法,蒸着法,スパッタ法など
により、600 ℃程度の低温でゲート絶縁膜11としての
シリコン酸化膜,シリコン窒化膜などを形成する。
【0057】次に、ゲート絶縁膜11上にゲート電極1
2を形成して所望の形状にパターニングする。ゲート電
極12としては、多結晶シリコン,金属シリサイド,ポ
リサイド,高融点金属担体,その他の金属(アルミ,
金,銀,銅など)などが用いられる。
【0058】続いて、自己整合技術により、ゲート電極
12をマスクとして多結晶シリコン膜5にソース・ドレ
イン領域13を形成する。ソース・ドレイン領域13の
形成方法にも高温プロセスおよび低温プロセスがある。
高温プロセスでは、不純物をイオン注入後に高温の熱処
理を行って不純物を活性化させる。低温プロセスでは、
ホスフィン(PH3 )およびプロトン(H2 )によるイ
オンシャワーを照射することで、特別な熱処理工程を設
けることなく不純物の注入と活性化を同時に行う。尚、
低温プロセスでは、不純物をイオン注入後に600 ℃程度
の低温で数時間〜数十時間の熱処理を行うことで不純物
を活性化させる方法もある。基板1に高耐熱ガラスを用
いた場合には、能動層の多結晶シリコン膜4,5の形成
時だけでなく、ゲート絶縁膜11およびソース・ドレイ
ン領域13の形成時にも低温プロセスを用いなければな
らない。
【0059】そして、デバイスの全面に層間絶縁膜14
を形成する。層間絶縁膜14としては、CVD法,プラ
ズマCVD法,光励起CVD法,蒸着法,スパッタ法な
どによって形成されたシリコン酸化膜,シリケートガラ
ス,シリコン窒化膜などが用いられる。
【0060】その後、ソース・ドレイン領域13とコン
タクトするコンタクトホール14aを層間絶縁膜14に
形成し、ソース・ドレイン電極15を形成して多結晶シ
リコンTFT106が完成する。
【0061】このように、本実施例によれば、多結晶シ
リコン膜4,5の結晶粒径がほぼ均一なため、基板1の
全体にわたって素子特性にバラツキがない多結晶シリコ
ンTFT106を形成することができる。そのような多
結晶シリコンTFT106をアクティブマトリクス方式
LCDの画素駆動素子として用いれば、LCDのパネル
全面にわたって均質な画像を表示することができる。
【0062】また、本実施例において、多結晶シリコン
TFT106の形成に低温プロセスを採用すれば、基板
1に高耐熱ガラスを用いてパネルサイズの大きなLCD
を安価に提供することができる。
【0063】さらに、非晶質シリコン膜2中の微結晶の
量を調整して多結晶シリコン膜4,5の結晶粒径を大き
くすることにより、電界効果移動度を高くすることがで
きる。その結果、基板1の全体にわたって素子特性を向
上させた多結晶シリコンTFT106を形成することが
でき、LCDのパネル全面にわたって画質を向上させる
ことができる。
【0064】ところで、微結晶を含む非晶質シリコン膜
2の膜厚は100 Å以下が望ましい。各非晶質シリコン膜
2,3の固相成長は非晶質シリコン膜2中の微結晶を種
として起こり、まず、非晶質シリコン膜2が多結晶化
し、次に、各非晶質シリコン膜2,3の界面が多結晶化
し、続いて、非晶質シリコン膜3の下層から上層へと多
結晶化が進行していく。そのため、多結晶シリコン膜5
の結晶粒径は多結晶シリコン膜4に比べて大きくなる。
【0065】また、多結晶シリコン膜5中においても、
下層に比べて上層の方が結晶粒径が大きくなる。その多
結晶シリコン膜5中における結晶粒径の変化は一定の割
合で連続的なものとなり、変化の度合いもごくわずかな
ものである。そのため、多結晶シリコン膜5中の結晶粒
径はほぼ均一といってよく、従来の固相成長法のように
異なる結晶粒径が混在しているわけではない。従って、
本実施例によれば、多結晶シリコン膜の結晶粒径が不均
一であることに起因する多結晶シリコンTFT106の
素子特性のバラツキといった問題は生じない。
【0066】結晶粒径の小さな多結晶シリコン膜は電界
効果移動度が低いため、多結晶シリコンTFT106の
能動層として用いるのは好ましくない。従って、非晶質
シリコン膜2の膜厚は薄いほどよいことになる。但し、
非晶質シリコン膜2があまり薄すぎると微結晶を含ませ
ることができないため、最低でも20Å以上は必要であ
り、微結晶を均一に含ませるには50Å以上必要である。
つまり、非晶質シリコン膜2の膜厚は20〜100 Åが適当
であり、特に好ましくは50〜100 Åである。
【0067】また、能動層が厚すぎると多結晶シリコン
TFT106のオフ電流が増大し、薄すぎるとオン電流
が減少するため、能動層の膜厚は500 Å程度が適当であ
る。従って、多結晶シリコン膜4,5の膜厚はトータル
で500 Å程度とする必要があり、これから各非晶質シリ
コン膜2,3に要求される膜厚が求められる。
【0068】尚、各非晶質シリコン膜2,3の形成に減
圧CVD法を用いた場合、多結晶シリコン膜4,5の膜
質が良好になる反面、処理温度が高くなるため基板1に
石英ガラスを用いなければならない。一方、プラズマC
VD法を用いた場合、多結晶シリコン膜4,5の膜質は
減圧CVD法に比べれば劣るものの、処理温度が低くな
るため基板1に高耐熱ガラスを用いることができる。従
って、目的に合わせていずれかの方法を選択すればよ
い。
【0069】次に、上記のように製造された多結晶シリ
コンTFT106を画素駆動素子として用いた透過型構
成をとるLCDの画素部の製造方法を図4に従って説明
する。
【0070】工程一;層間絶縁膜14の形成に先立ち、
スパッタ法により、透明絶縁基板1の画素部領域上にイ
ンジウム錫酸化物(ITO;Indium Tin Oxide)等から
なる補助容量の蓄積電極51を形成する。
【0071】工程二;デバイスの全面に絶縁膜52を形
成する。絶縁膜52の材質としては、シリコン酸化膜,
シリケートガラス,シリコン窒化膜などが用いられ、そ
の形成にはCVD法またはPVD法が用いられる。次
に、絶縁膜52にソース・ドレイン電極15とコンタク
トするためのコンタクトホールを形成し、スパッタ法に
より、そのコンタクトホールを含むデバイスの全面にI
TO膜を形成し、そのITO膜をパターニングして表示
電極53を形成する。
【0072】工程三;多結晶シリコンTFT106が形
成された透明絶縁基板1と、表面に共通電極54が形成
された透明絶縁基板55とを相対向させ、各基板1,5
5の間に液晶を封入して液晶層56を形成する。その結
果、LCDの画素部が完成する。
【0073】図5に、本実施例のアクティブマトリック
ス方式LCDのブロック構成を示す。画素部101には
各走査線(ゲート配線)G1 …Gn,Gn+1 …Gm と各デ
ータ線(ドレイン配線)D1 …Dn,Dn+1 …Dm とが配
置されている。各ゲート配線と各ドレイン配線とはそれ
ぞれ直交し、その直交部分に画素102が設けられてい
る。そして、各ゲート配線はゲートドライバ103に接
続され、ゲート信号(走査信号)が印加されるようにな
っている。また、各ドレイン配線はドレインドライバ
(データドライバ)104に接続され、データ信号(ビ
デオ信号)が印加されるようになっている。これらのド
ライバ103,104によって周辺駆動回路部105が
構成されている。そして、各ドライバ103,104の
うち少なくともいずれか一方を画素部101と同一基板
上に形成したLCDは、一般にドライバ一体型(ドライ
バ内蔵型)LCDと呼ばれる。尚、ゲートドライバ10
3が、画素部101の両側に設けられている場合もあ
る。また、ドレインドライバ104が、画素部101の
両側に設けられている場合もある。
【0074】図6に、ゲート配線Gn とドレイン配線D
n との直交部分に設けられている画素102の等価回路
を示す。画素102は、画素駆動素子としてのTFT1
06、液晶セルLC、補助容量CS から構成される。ゲ
ート配線Gn にはTFT106のゲートが接続され、ド
レイン配線Dn にはTFT106のドレインが接続され
ている。そして、TFT106のソースには、液晶セル
LCの表示電極(画素電極)と補助容量(蓄積容量また
は付加容量)CS とが接続されている。この液晶セルL
Cと補助容量CSとにより、前記信号蓄積素子が構成さ
れる。液晶セルLCの共通電極(表示電極の反対側の電
極)には電圧Vcom が印加されている。一方、補助容量
CS において、TFT106のソースと接続される側の
電極の反対側の電極には定電圧VRが印加されている。
この液晶セルLCの共通電極は、文字どおり全ての画素
102に対して共通した電極となっている。そして、液
晶セルLCの表示電極と共通電極との間には静電容量が
形成されている。尚、補助容量CS において、TFT1
06のソースと接続される側の電極の反対側の電極は、
隣のゲート配線Gn+1と接続されている場合もある。
【0075】このように構成された画素102におい
て、ゲート配線Gn を正電圧にしてTFT106のゲー
トに正電圧を印加すると、TFT106がオンとなる。
すると、ドレイン配線Dn に印加されたデータ信号で、
液晶セルLCの静電容量と補助容量CS とが充電され
る。反対に、ゲート配線Gn を負電圧にしてTFT10
6のゲートに負電圧を印加すると、TFT106がオフ
となり、その時点でドレイン配線Dn に印加されていた
電圧が、液晶セルLCの静電容量と補助容量CS とによ
って保持される。このように、画素102へ書き込みた
いデータ信号をドレイン配線に与えてゲート配線の電圧
を制御することにより、画素102に任意のデータ信号
を保持させておくことができる。その画素102の保持
しているデータ信号に応じて液晶セルLCの透過率が変
化し、画像が表示される。
【0076】ここで、画素102の特性として重要なも
のに、書き込み特性と保持特性とがある。書き込み特性
に対して要求されるのは、画素部101の仕様から定め
られた単位時間内に、信号蓄積素子(液晶セルLCおよ
び補助容量CS )に対して所望のビデオ信号電圧を十分
に書き込むことができるかどうかという点である。ま
た、保持特性に対して要求されるのは、信号蓄積素子に
一旦書き込んだビデオ信号電圧を必要な時間だけ保持す
ることができるかどうかという点である。
【0077】補助容量CS が設けられているのは、信号
蓄積素子の静電容量を増大させて書き込み特性および保
持特性を向上させるためである。すなわち、液晶セルL
Cはその構造上、静電容量の増大には限界がある。そこ
で、補助容量CS によって液晶セルLCの静電容量の不
足分を補うわけである。
【0078】(第2実施例)以下、本発明を具体化した
第2実施例の製造方法を図7および図2に従って説明す
る。
【0079】尚、本実施例において、第1実施例と同じ
構成部材については符号を等しくしてその説明を省略す
る。 工程1(図7(a)参照);透明絶縁基板1(石英ガラ
ス,高耐熱ガラス)上に通常の非晶質シリコン膜3(膜
厚;500 Å)を形成する。
【0080】工程2(図7(b)参照);通常の非晶質
シリコン膜3上に微結晶を含む非晶質シリコン膜2(膜
厚;100 Å)を形成する。 工程3(図7(c)参照);各非晶質シリコン膜2,3
を固相成長させて多結晶シリコン膜4,5を形成する。
固相成長の作用は第1実施例と同じである。このとき、
非晶質シリコン膜3と基板1との界面からも結晶成長が
起こる可能性はある。しかし、非晶質シリコン膜2中に
は微結晶が含まれているため、非晶質シリコン膜2から
非晶質シリコン膜3へ進行する結晶成長の方が支配的と
なり、非晶質シリコン膜3と基板1との界面から結晶成
長が起こることはまずない。
【0081】工程4(図7(d)参照);上部の多結晶
シリコン膜4を除去して、下部の多結晶シリコン膜5だ
けを残す。多結晶シリコン膜4を除去するのは、前記し
たように、非晶質シリコン膜2を固相成長させた多結晶
シリコン膜4の結晶粒径は小さいため、能動層として用
いるには不適当だからである。このとき、多結晶シリコ
ン膜4に加えて多結晶シリコン膜5の表面部分を除去し
てもよい。
【0082】工程5(図2参照);多結晶シリコン膜5
を能動層として用いるプレーナ型の多結晶シリコンTF
Tを形成する。 このように、本実施例によれば、第1実施例と同様に、
結晶粒径がほぼ均一な多結晶シリコン膜5を低温プロセ
スによって短時間に得ることができる。また、固相成長
の処理時間を長くすれば、処理温度を下げることができ
る。そして、第1実施例と同様に、優れた多結晶シリコ
ンTFTおよびLCDを提供することができる。
【0083】尚、本実施例の多結晶シリコンTFTを画
素駆動素子として用いた透過型構成をとるLCDの画素
部の製造方法については、第1実施例のそれと同様であ
るので説明を省略する。
【0084】また、本実施例の多結晶シリコンTFTを
画素駆動素子として用いたアクティブマトリックス方式
LCDのブロック構成および画素の等価回路について
も、第1実施例のそれと同様であるので説明を省略す
る。
【0085】(第3実施例)以下、本発明を具体化した
第3実施例の製造方法を図8および図2に従って説明す
る。
【0086】尚、本実施例において、第2実施例と同じ
構成部材については符号を等しくしてその説明を省略す
る。 工程1(図8(a)参照);透明絶縁基板1(石英ガラ
ス,高耐熱ガラス)上に通常の非晶質シリコン膜3(膜
厚;900 Å)を形成する。
【0087】工程2(図8(b)参照);通常の非晶質
シリコン膜3上に微結晶を含む非晶質シリコン膜2(膜
厚;100 Å)を形成する。 工程3(図8(c)参照);各非晶質シリコン膜2,3
を固相成長させて多結晶シリコン膜4,5を形成する。
固相成長の作用は第1実施例と同じである。
【0088】工程4(図8(d)参照);多結晶シリコ
ン膜4,5を上部(表面)から500Å分だけ酸化させて
シリコン酸化膜6(膜厚;1000Å)を形成する。 工程5(図2参照);多結晶シリコン膜5を能動層とし
て用いるプレーナ型の多結晶シリコンTFTを形成す
る。ここで、シリコン酸化膜6はゲート絶縁膜11とし
て利用する。従って、シリコン酸化膜6は、ゲート絶縁
膜11と同様にして形成すればよい。前記したように、
多結晶シリコン膜4の結晶粒径は小さいため能動層とし
て用いるには不適当である。しかし、一旦酸化させてゲ
ート絶縁膜11として利用する場合には、能動層として
用いる場合に比べて問題が少なくなる。
【0089】従って、本実施例においても第2実施例と
同様の効果を得ることができる。尚、本実施例の多結晶
シリコンTFTを画素駆動素子として用いた透過型構成
をとるLCDの画素部の製造方法については、第1実施
例のそれと同様であるので説明を省略する。
【0090】また、本実施例の多結晶シリコンTFTを
画素駆動素子として用いたアクティブマトリックス方式
LCDのブロック構成および画素の等価回路について
も、第1実施例のそれと同様であるので説明を省略す
る。
【0091】(第4実施例)以下、本発明を具体化した
第4実施例の製造方法を図9および図10に従って説明
する。尚、本実施例において、第1実施例と同じ構成部
材については符号を等しくしてその説明を省略する。
【0092】工程1(図9(a)参照);透明絶縁基板
1(石英ガラス,高耐熱ガラス)上に微結晶を含む非晶
質シリコン膜2(膜厚;100 Å)を形成する。 工程2(図9(b)参照);微結晶を含む非晶質シリコ
ン膜2において、多結晶シリコンTFTのチャネル領域
に対応する部分2aだけを残して、不要な非晶質シリコ
ン膜2をエッチング除去する。非晶質シリコン膜2の膜
厚は薄いためエッチング方法が限定されることはなく、
ウェットエッチング法,ドライエッチング法,ウェット
エッチング法とドライエッチング法を組み合わせた方法
など、どのような方法を用いてもよい。また、エッチン
グマスクとしてはフォトレジストを用いればよく、その
フォトレジストをパターニングするためのフォトマスク
としてはゲート電極12のパターニング用フォトマスク
を流用すればよい。従って、第1実施例に比べてフォト
マスクの数が増加することはない。
【0093】工程3(図9(c)参照);デバイスの全
面に非晶質シリコン膜3(膜厚;400 Å)を形成する。 工程4(図9(d)参照);各非晶質シリコン膜2a,
3を固相成長させて多結晶シリコン膜4,5を形成す
る。固相成長の作用は第1実施例と同じである。
【0094】工程5(図10参照);多結晶シリコン膜
4,5を能動層として用いるプレーナ型の多結晶シリコ
ンTFT107を形成する。 このように、本実施例では、多結晶シリコンTFT10
7のチャネル領域の下部にだけ多結晶シリコン膜4が残
り、ソース・ドレイン領域13の下部には多結晶シリコ
ン膜4が残らない。前記したように、非晶質シリコン膜
2を固相成長させた多結晶シリコン膜4の結晶粒径は小
さいため能動層として用いるには不適当である。しか
し、チャネル領域では主に表層部分(すなわち、多結晶
シリコン膜5の部分)に電流が流れるため、下部に多結
晶シリコン膜4が残っていたとしても多結晶シリコンT
FT107の素子特性は影響を受けない。一方、ソース
・ドレイン領域13では全体に電流が流れるため、下部
に多結晶シリコン膜4が残っていると多結晶シリコンT
FT107の素子特性が劣化してしまう。従って、本実
施例のごとくソース・ドレイン領域13の下部に多結晶
シリコン膜4が残らないようにすれば、高性能な多結晶
シリコンTFT107を得ることができる。
【0095】加えて、各非晶質シリコン膜2a,3の固
相成長は非晶質シリコン膜2a中の微結晶を種として起
こり、まず、非晶質シリコン膜2aが多結晶化し、次
に、各非晶質シリコン膜2a,3の界面が多結晶化し、
続いて、非晶質シリコン膜3中で多結晶化が進行してい
く。そのため、多結晶シリコン膜5中では、非晶質シリ
コン膜2aから離れた場所ほど結晶粒径が大きくなり、
その結晶粒径の変化は一定の割合で連続的なものとな
る。但し、結晶粒径の変化の度合いもごくわずかなもの
であるため、多結晶シリコン膜5中の結晶粒径はほぼ均
一といってよく、従来の固相成長法のように異なる結晶
粒径が混在しているわけではない。従って、多結晶シリ
コンTFT107のチャネル領域に比べてソース・ドレ
イン領域13の方が結晶粒径が大きくなる。ソース・ド
レイン領域13では全体に電流が流れるため、結晶粒径
が大きく電界効果移動度が高い方が好ましい。従って、
本実施例のごとくソース・ドレイン領域13に相当する
多結晶シリコン膜4の結晶粒径を大きくすれば、高性能
な多結晶シリコンTFT107を得ることができる。
【0096】従って、このような多結晶シリコンTFT
107をアクティブマトリクス方式LCDの画素駆動素
子として用いれば、高性能なLCDを得ることができ
る。尚、本実施例の多結晶シリコンTFT107を画素
駆動素子として用いた透過型構成をとるLCDの画素部
の製造方法については、第1実施例のそれと同様である
ので説明を省略する。
【0097】また、本実施例の多結晶シリコンTFT1
07を画素駆動素子として用いたアクティブマトリック
ス方式LCDのブロック構成および画素の等価回路につ
いても、第1実施例のそれと同様であるので説明を省略
する。
【0098】(第5実施例)以下、本発明を具体化した
第5実施例の製造方法を図11および図2に従って説明
する。尚、本実施例において、第1実施例と同じ構成部
材については符号を等しくしてその説明を省略する。
【0099】工程1(図11(a)参照);透明絶縁基
板1(石英ガラス,高耐熱ガラス)上に微結晶を均一に
多く含む(微結晶密度の高い)非晶質シリコン膜2(膜
厚;100 Å)を形成する。
【0100】工程2(図11(b)参照);画素部10
1上の非晶質シリコン膜2だけを残し、周辺駆動回路部
105上の非晶質シリコン膜2を除去する。非晶質シリ
コン膜2の膜厚は薄いためエッチング方法が限定される
ことはなく、ウェットエッチング法,ドライエッチング
法,ウェットエッチング法とドライエッチング法を組み
合わせた方法など、どのような方法を用いてもよい。ま
た、エッチングマスクとしてはフォトレジストを用いれ
ばよく、そのフォトレジストをパターニングするための
フォトマスクとしてはゲート電極12のパターニング用
フォトマスクを流用すればよい。従って、第1実施例に
比べてフォトマスクの数が増加することはない。
【0101】工程3(図11(c)参照);デバイスの
全面に微結晶を均一に僅かしか含まない(微結晶密度の
低い)非晶質シリコン膜3(膜厚;400 Å)を形成す
る。 工程4(図11(d)参照);各非晶質シリコン膜2,
3を固相成長させて多結晶シリコン膜4,5を形成す
る。固相成長の作用は第1実施例と同じである。
【0102】工程5(図2参照);多結晶シリコン膜
4,5を能動層として用いるプレーナ型の多結晶シリコ
ンTFTを形成する。 このように、本実施例において、画素部101を構成す
る多結晶シリコンTFTは多結晶シリコン膜4,5を能
動層として用い、周辺駆動回路部105を構成する多結
晶シリコンTFTは多結晶シリコン膜5だけを能動層と
して用いる。
【0103】その結果、画素部101を構成する多結晶
シリコンTFTの電界効果移動度のバラツキは約100
〜120cm2 /V・Sとなる。また、周辺駆動回路部
105を構成する多結晶シリコンTFTの電界効果移動
度のバラツキは約140〜160cm2 /V・Sとな
る。
【0104】それに対して、本実施例から非晶質シリコ
ン膜2を省き、画素部101を構成する多結晶シリコン
TFTについても多結晶シリコン膜5だけを能動層とし
て用いた場合、その電界効果移動度のバラツキは約10
0〜200cm2 /V・Sと非常に大きくなる。また、
周辺駆動回路部105にも非晶質シリコン膜2を設け、
周辺駆動回路部105を構成する多結晶シリコンTFT
についても多結晶シリコン膜4,5を能動層として用い
た場合、その電界効果移動度のバラツキは約140〜1
60cm2 /V・Sとなる。
【0105】従って、本実施例によれば、周辺駆動回路
部105を構成する多結晶シリコンTFTの素子特性を
損なうことなく、画素部101を構成する多結晶シリコ
ンTFTの素子特性を均一化することができる。
【0106】尚、本実施例の多結晶シリコンTFTを画
素駆動素子として用いた透過型構成をとるLCDの画素
部の製造方法については、第1実施例のそれと同様であ
るので説明を省略する。
【0107】また、本実施例の多結晶シリコンTFTを
画素駆動素子として用いたアクティブマトリックス方式
LCDのブロック構成および画素の等価回路について
も、第1実施例のそれと同様であるので説明を省略す
る。
【0108】ところで、上記各実施例は以下のように変
更してもよく、その場合でも同様の作用および効果を得
ることができる。 (1)各非晶質シリコン膜2,3を減圧CVD法,プラ
ズマCVD法によらず、常圧CVD法,光励起CVD
法,蒸着法,EB(Electron Beam )蒸着法,MBE
(Molecular Beam Epitaxy)法,スパッタ法からなるグ
ループの内のいずれか一つの方法によって形成する。
【0109】(2)多結晶シリコンTFTの製造工程に
おいて、多結晶シリコン膜5の形成後に、水素化処理を
行うことで多結晶シリコンTFTの素子特性を向上させ
る。水素化処理とは、多結晶シリコンの結晶欠陥部分に
水素原子を結合させることにより、欠陥を減らして結晶
構造を安定化させ、電界効果移動度を高める方法であ
る。
【0110】(3)多結晶シリコン膜5のチャネル領域
に相当する部分に不純物をドーピングして多結晶シリコ
ンTFTの閾値電圧(Vth)を制御する。固相成長法で
形成した多結晶シリコンTFTにおいては、Nチャネル
トランジスタではディプレッション方向に閾値電圧がシ
フトし、Pチャネルトランジスタではエンハンスメント
方向に閾値電圧がシフトする傾向にある。また、上記
2)の水素化処理を行った場合には、その傾向がより顕
著となる。この閾値電圧のシフトを抑えるには、チャネ
ル領域に不純物をドーピングすればよい。
【0111】(4)第4実施例と第2実施例とを併用す
る。すなわち、第2実施例の工程2において、非晶質シ
リコン膜3上に非晶質シリコン膜2を形成後、多結晶シ
リコンTFTのチャネル部分に相当する部分(第4実施
例の非晶質シリコン膜2aに対応する部分)だけを残し
て不要な非晶質シリコン膜2をエッチング除去する。次
に、各非晶質シリコン膜2,3を固相成長させて多結晶
シリコン膜4,5を形成後、非晶質シリコン膜2を固相
成長させた上部の多結晶シリコン膜4を除去する。完成
した多結晶シリコンTFTは、図2に示すようになる。
この場合には、第4実施例と第2実施例との相乗効果を
得ることができる。
【0112】(5)第4実施例と第3実施例とを併用す
る。すなわち、第3実施例の工程2において、非晶質シ
リコン膜3上に非晶質シリコン膜2を形成後、多結晶シ
リコンTFTのチャネル部分に相当する部分(第4実施
例の非晶質シリコン膜2aに対応する部分)だけを残し
て不要な非晶質シリコン膜2をエッチング除去する。次
に、各非晶質シリコン膜2,3を固相成長させて多結晶
シリコン膜4,5を形成後、多結晶シリコン膜4,5を
上部から酸化させてシリコン酸化膜を形成し、そのシリ
コン酸化膜をゲート絶縁膜11として利用する。完成し
た多結晶シリコンTFTは、図2に示すようになる。こ
の場合には、第4実施例と第3実施例との相乗効果を得
ることができる。
【0113】(6)プレーナ型だけでなく、逆プレーナ
型,スタガ型,逆スタガ型などあらゆる構造の多結晶シ
リコンTFTに適用する。 (7)多結晶シリコンTFTだけでなく、絶縁ゲート型
半導体素子全般に適用する。また、太陽電池や光センサ
などの光電変換素子,バイポーラトランジスタ,静電誘
導型トランジスタ(SIT;Static Induction Transis
tor )などの多結晶シリコン膜を用いるあらゆる半導体
装置に適用する。
【0114】(8)透明絶縁基板1をセラミックス基板
やシリコン酸化膜などの絶縁層に置き代え、LCDでは
なく密着型イメージセンサや三次元ICなどに適用す
る。 (9)多結晶シリコンTFTを、LCDではなくスタテ
ィックRAM(SRAM)のメモリセル内の負荷素子な
どに用いる。
【0115】(10)第5実施例と第2〜4実施例とを
それぞれ併用する。すなわち、周辺駆動回路部105を
構成する多結晶シリコンTFTについては、第5実施例
と同様に、多結晶シリコン膜5だけを能動層として用い
る。そして、画素部101を構成する多結晶シリコンT
FTについては、第2〜4実施例と同様に能動層を形成
する。この場合には、第5実施例と第2〜4実施例のそ
れぞれとの相乗効果を得ることができる。
【0116】以上、各実施例について説明したが、各実
施例から把握できる請求項以外の技術的思想について、
以下にそれらの効果と共に記載する。 (イ)請求項13〜17のいずれか1項に記載の薄膜ト
ランジスタの製造方法において、多結晶シリコン膜に水
素化処理を施した薄膜トランジスタの製造方法。
【0117】このようにすれば、多結晶シリコン膜の結
晶欠陥部分に水素原子が結合することにより、欠陥が減
って結晶構造が安定化し、電界効果移動度を高めること
ができる。
【0118】(ロ)請求項13〜17のいずれか1項に
記載の薄膜トランジスタの製造方法において、多結晶シ
リコン膜のチャネル領域に相当する部分に不純物をドー
ピングした薄膜トランジスタの製造方法。
【0119】このようにすれば、多結晶シリコンTFT
の閾値電圧を制御することができる。 (ハ)請求項4〜9のいずれか1項に記載の半導体装置
の製造方法によって形成された多結晶シリコン膜を絶縁
基板上に形成する工程と、多結晶シリコン膜下にゲート
絶縁膜を形成する工程と、ゲート絶縁膜下にゲート電極
を形成する工程とを備えた薄膜トランジスタの製造方
法。
【0120】このようにすれば、逆スタガ型または逆プ
レーナ型の多結晶シリコンTFTを得ることができる。
ところで、本明細書において、発明の構成に係る部材は
以下のように定義されるものとする。
【0121】(a)絶縁基板としては、石英ガラス,高
耐熱ガラス,セラミックスなどのあらゆる絶縁材料によ
る基板を含むだけでなく、表面にシリコン酸化膜などの
絶縁層を設けた金属などの導電性基板をも含むものとす
る。
【0122】(b)薄膜トランジスタとしては、プレー
ナ型だけでなく、逆プレーナ型,スタガ型,逆スタガ型
などをも含むものとする。 (c)ゲート絶縁膜としては、高温の熱酸化法などの高
温プロセスで形成されたシリコン酸化膜だけでなく、プ
ラズマ酸化法,常圧CVD法,減圧CVD法,プラズマ
CVD法,ECRプラズマCVD法,光励起CVD法,
蒸着法,スパッタ法などの低温プロセスで形成されたシ
リコン酸化膜,シリコン窒化膜などをも含むものとす
る。
【0123】
【発明の効果】
1〕結晶粒径が均一な多結晶シリコン膜を備えた半導体
装置を提供することができる。
【0124】2〕結晶粒径を制御することが可能な多結
晶シリコン膜を備えた半導体装置の製造方法を提供する
ことができ、特に、高スループットな製造方法を提供す
ることができる。
【0125】3〕優れた多結晶シリコン膜を能動層とし
て用いる優れた薄膜トランジスタを提供することができ
る。 4〕優れた多結晶シリコン膜を能動層として用いる優れ
た薄膜トランジスタの製造方法を提供することができ、
特に、高スループットな製造方法を提供することができ
る。
【0126】5〕優れた薄膜トランジスタを画素駆動素
子として用いる安価で大面積で優れた表示装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の製造工程を説明するための概略断
面図。
【図2】第1〜第3実施例の製造工程を説明するための
概略断面図。
【図3】第1〜第3実施例を説明するための特性図。
【図4】LCDの画素部の製造方法を説明するための概
略断面図。
【図5】アクティブマトリックス方式LCDのブロック
構成図。
【図6】画素の等価回路図。
【図7】第2実施例の製造工程を説明するための概略断
面図。
【図8】第3実施例の製造工程を説明するための概略断
面図。
【図9】第4実施例の製造工程を説明するための概略断
面図。
【図10】第4実施例の製造工程を説明するための概略
断面図。
【図11】第5実施例の製造工程を説明するための概略
断面図。
【符号の説明】
1 絶縁基板 2,2a 第1の非晶質シリコン膜 3 第2の非晶質シリコン膜 4,5 多結晶シリコン膜 6 シリコン酸化膜 11 ゲート絶縁膜 12 ゲート電極 13 ソース領域またはドレイン領域(ソース・ドレイ
ン領域) 14 層間絶縁膜 14a コンタクトホール 15 ソース電極またはドレイン電極(ソース・ドレイ
ン電極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/336 (72)発明者 森本 佳宏 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 長谷川 勲 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固相成長法によって形成された多結晶シ
    リコン膜を備えた半導体装置。
  2. 【請求項2】 結晶粒径が連続的に変化する多結晶シリ
    コン膜を備えた半導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の半導体
    装置において、多結晶シリコン膜は絶縁基板上に形成さ
    れた半導体装置。
  4. 【請求項4】 非晶質シリコン膜を固相成長させて多結
    晶シリコン膜を形成する工程を備えた半導体装置の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも部分的に微結晶を含む非晶質
    シリコン膜を固相成長させて多結晶シリコン膜を形成す
    る工程を備えた半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 微結晶を含む第1の非晶質シリコン膜を
    形成する工程と、 第1の非晶質シリコン膜上に、第1の非晶質シリコン膜
    に比べて微結晶を含む割合が少ないか又は微結晶を含ま
    ない第2の非晶質シリコン膜を形成する工程と、 第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させて多
    結晶シリコン膜を形成する工程とを備えた半導体装置の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 第2の非晶質シリコン膜を形成する工程
    と、 第2の非晶質シリコン膜上に、第2の非晶質シリコン膜
    に比べて微結晶を含む割合が多い第1の非晶質シリコン
    膜を形成する工程と、 第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させて多
    結晶シリコン膜を形成する工程と、 少なくとも第1の非晶質シリコン膜が固相成長して形成
    された多結晶シリコン膜を除去する工程とを備えた半導
    体装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 第2の非晶質シリコン膜を形成する工程
    と、 第2の非晶質シリコン膜上に、第2の非晶質シリコン膜
    に比べて微結晶を含む割合が多い第1の非晶質シリコン
    膜を形成する工程と、 第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させて多
    結晶シリコン膜を形成する工程と、 少なくとも第1の非晶質シリコン膜が固相成長して形成
    された多結晶シリコン膜を酸化させてシリコン酸化膜を
    形成する工程とを備えた半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8のいずれか1項に記載の半
    導体装置の製造方法において、第1の非晶質シリコン膜
    を少なくとも一部分に形成した半導体装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 結晶粒径が連続的に変化する多結晶シ
    リコン膜を能動層として用いる薄膜トランジスタ。
  11. 【請求項11】 少なくとも部分的に微結晶を含む非晶
    質シリコン膜を固相成長させて形成した多結晶シリコン
    膜を能動層として用いる薄膜トランジスタ。
  12. 【請求項12】 請求項4〜9のいずれか1項に記載の
    半導体装置の製造方法によって形成された多結晶シリコ
    ン膜を能動層として用いた薄膜トランジスタ。
  13. 【請求項13】 請求項4〜9のいずれか1項に記載の
    半導体装置の製造方法によって形成された多結晶シリコ
    ン膜を絶縁基板上に形成する工程と、 多結晶シリコン膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、 ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、 ゲート電極を用いた自己整合技術により多結晶シリコン
    膜にソース領域およびドレイン領域を形成する工程とを
    備えた薄膜トランジスタの製造方法。
  14. 【請求項14】 絶縁基板上に微結晶を含む第1の非晶
    質シリコン膜を形成する工程と、 第1の非晶質シリコン膜におけるチャネル領域に対応す
    る部分だけを残して他の部分を除去する工程と、 絶縁基板および第1の非晶質シリコン膜の上に、第1の
    非晶質シリコン膜に比べて微結晶を含む割合が少ないか
    又は微結晶を含まない第2の非晶質シリコン膜を形成す
    る工程と、 第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させて多
    結晶シリコン膜を形成する工程と、 多結晶シリコン膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、 ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、 ゲート電極を用いた自己整合技術により多結晶シリコン
    膜にソース領域およびドレイン領域を形成する工程とを
    備えた薄膜トランジスタの製造方法。
  15. 【請求項15】 絶縁基板上に第2の非晶質シリコン膜
    を形成する工程と、 第2の非晶質シリコン膜上に、第2の非晶質シリコン膜
    に比べて微結晶を含む割合が多い第1の非晶質シリコン
    膜を形成する工程と、 第1の非晶質シリコン膜におけるチャネル領域に対応す
    る部分だけを残して他の部分を除去する工程と、 第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させて多
    結晶シリコン膜を形成する工程と、 少なくとも第1の非晶質シリコン膜が固相成長して形成
    された多結晶シリコン膜を除去する工程と、 多結晶シリコン膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、 ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、 ゲート電極を用いた自己整合技術により多結晶シリコン
    膜にソース領域およびドレイン領域を形成する工程とを
    備えた薄膜トランジスタの製造方法。
  16. 【請求項16】 絶縁基板上に第2の非晶質シリコン膜
    を形成する工程と、 第2の非晶質シリコン膜上に、第2の非晶質シリコン膜
    に比べて微結晶を含む割合が多い第1の非晶質シリコン
    膜を形成する工程と、 第1の非晶質シリコン膜におけるチャネル領域に対応す
    る部分だけを残して他の部分を除去する工程と、 第1および第2の非晶質シリコン膜を固相成長させて多
    結晶シリコン膜を形成する工程と、 少なくとも第1の非晶質シリコン膜が固相成長して形成
    された多結晶シリコン膜を酸化させてゲート絶縁膜を形
    成する工程と、 ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、 ゲート電極を用いた自己整合技術により多結晶シリコン
    膜にソース領域およびドレイン領域を形成する工程とを
    備えた薄膜トランジスタの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項13〜16のいずれか1項に記
    載の薄膜トランジスタの製造方法において、 デバイスの全面に層間絶縁膜を形成する工程と、 その層間絶縁膜にソース領域およびドレイン領域とコン
    タクトするコンタクトホールを形成する工程と、 ソース電極およびドレイン電極を形成する工程とを備え
    た薄膜トランジスタの製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項10〜12のいずれか1項に記
    載の薄膜トランジスタを画素駆動素子として用いる表示
    装置。
  19. 【請求項19】 請求項13〜17のいずれか1項に記
    載の薄膜トランジスタの製造方法によって製造された薄
    膜トランジスタを画素駆動素子として用いる表示装置。
JP12531695A 1994-05-31 1995-05-24 半導体装置,半導体装置の製造方法,薄膜トランジスタ,薄膜トランジスタの製造方法,表示装置 Pending JPH0888174A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009033120A (ja) * 2007-06-22 2009-02-12 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 表示装置の作製方法
US7889110B2 (en) 2007-12-13 2011-02-15 Sony Corporation Analog/digital converter and information recording and reproducing apparatus
JP2012009843A (ja) * 2010-05-21 2012-01-12 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置およびその作製方法

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