JPH0888100A - 加速器及びその運転方法 - Google Patents

加速器及びその運転方法

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JPH0888100A
JPH0888100A JP22473594A JP22473594A JPH0888100A JP H0888100 A JPH0888100 A JP H0888100A JP 22473594 A JP22473594 A JP 22473594A JP 22473594 A JP22473594 A JP 22473594A JP H0888100 A JPH0888100 A JP H0888100A
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JP
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acceleration
accelerating
frequency
voltage
accelerator
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JP22473594A
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Junichi Hirota
淳一 廣田
Kazuo Hiramoto
和夫 平本
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の第1の目的は、構成が簡単で信頼性の
高い加速系を有する加速器を提供することにある。本発
明の第2の目的は、ビーム損失が少なく出射効率の高い
加速器の運転方法を提供することにある。 【構成】本高周波加速系は、周回周波数のフィードバッ
ク制御系を構成するビームの位置モニター31と変換装
置41と誤差増幅器82,空胴電圧のフィードバック制
御系を構成する加速空胴の電圧モニター90と変換装置
80と誤差増幅器81,加速空胴20,高周波電源5
0,周波数発生装置61,基準信号発生用の制御装置4
6,バイアス電流発生装置45などから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加速器に係わり、特にイ
オンを用いた低エネルギー物理実験用又は医療用に好適
な加速器及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】始めに、イオンの加速に使用される加速
空胴について説明する。イオンを加速するには、加速空
胴内に磁性体を設け磁性体の透磁率による共振周波数の
低下を利用する磁性体装荷型加速空胴が用いられる。こ
の磁性体装荷型加速空胴には、磁性損失の少ない磁性体
を用いバイアス電流によるバイアス磁場を印加すること
により磁性体の透磁率を周回周波数に同調するように制
御する同調型と、磁性損失を積極的に利用し空胴電圧は
低いが共振周波数を広帯域化できバイアス装置の要らな
い非同調型の2種類がある。どちらの加速空胴において
も、イオンを加速する際には周回周波数の制御系と加速
位相の制御系の2つの制御系が必要となる。
【0003】また、イオンは加速空胴で加速されるとシ
ンクロトロン振動と呼ばれる位相振動を開始し、この振
動の振幅が大きいとイオンは失われてしまう。更に、物
理実験に用いるような高エネルギーのイオン加速器で
は、最終エネルギーが高いために相対論効果が大きくな
り、加速途中でシンクロトロン振動の安定位相が180°
変化する位相ジャンプ(または遷移位相)が発生する。
【0004】一般に、イオンを加速するために必要な加
速電圧Vrfは、
【0005】
【数1】 Vrf=Vc sin(φ)=eLρ(dB/dt) L=hcβ/f …(数1) で与えられる。ここで、Vc は加速空胴の空胴電圧,φ
は加速位相,eは電気素量,Lはビーム周回軌道の周
長,ρは偏向磁石の偏向半径,dB/dtは偏向磁石に
よる偏向磁場の時間変化率,hはハーモニック数,cは
光速度,βはイオン速度の光速度に対する比,fはイオ
ンの周回周波数である。
【0006】従って、イオンを安定に加速するには、 (1)加速に伴い周長Lを一定に保ち(即ち、周回周波数
fをエネルギーに応じて変化させ)、加速電圧Vrfを所
望の値に制御すること (2)加速空胴の制御系が、位相振動の増大を抑制し位相
ジャンプに追従できることが要求される。
【0007】従来の加速空胴の制御系では、位相ジャン
プを考慮して所望の加速電圧Vrfを与えるために、数1
の周回周波数fと加速位相φを連係制御することが行わ
れていた。 また、加速系の電磁石においても、偏向磁
石の励磁量に合わせて4極磁石の励磁量を連係制御す
る、BQトラッキングと呼ばれる制御が必要であった。
従来のイオンを加速する加速空胴、加速空胴の制御装置
及び運転方法については、「陽子シンクロトロンの高周
波加速装置」:OHO'89 高エネルギー加速器セミナ
ー pp.V−1〜V−32(1989年9月)高エネル
ギー物理学研究所発行に記載されている。
【0008】また、従来のイオンの加速方法における代
表的な偏向磁石の励磁パターンは、図5(a) のようにな
っており、この場合、空胴電圧Vc と加速位相φは同図
(b)に示すように変化し、加速開始時(t=T0)及び加
速終了時(t=t1)に加速位相、空胴電圧ともに不連
続となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の周回周波数と加
速位相の連係制御では位相ジャンプには対応できるが、
周回周波数のフィードバックループ(ΔRループ)と加
速位相のフィードバックループ(Δφループ)が相互干
渉して連動するために、制御系が非常に複雑になり信頼
性が低下するという問題点がある。
【0010】また、図3に示した従来の加速方法では、
加速開始時の不連続性により、ビームは急激な位相変化
に追従できずに失われてしまう。更に、加速終了時に加
速位相及び空胴電圧が0でないことは周回ビームが依然
としてバンチ構造を有していることを意味し、このため
に出射時に周回ビームを全て出射することはできず、出
射効率が低下するという問題点がある。
【0011】本発明の第1の目的は、構成が簡単で信頼
性の高い加速系を有する加速器を提供することにある。
【0012】本発明の第2の目的は、ビーム損失が少な
く出射効率の高い加速器の運転方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、周回
するイオンを加速する加速手段を備える加速器におい
て、前記イオンの周回周波数及び前記加速手段の電圧が
所望値となるように制御して前記イオンの加速を行うこ
とにより達成できる。
【0014】また、第2の目的は、周回するイオンを加
速する加速手段と、前記イオンを偏向させる偏向磁場を
発生する偏向磁石とを備える加速器の運転方法におい
て、前記イオンの加速開始時に前記偏向磁場の強度及び
前記加速手段の電圧を時間的に緩やかに変化させ、加速
終了時に前記加速手段の電圧をほぼ0にすることにより
達成できる。
【0015】
【作用】イオンの加速に必要な加速電圧Vrfは数1を満
足すればよい。従って、必要な加速電圧Vrfを設定すれ
ば、加速位相φは、数1より周回周波数f及び空胴電圧
Vc を用いて決定することができる。よって、イオンの
周回周波数及び加速手段である加速空胴の電圧(空胴電
圧)が所望値となるように制御することにより、加速位
相をフィードバック制御する従来の制御と同等の性能を
得ることができる。しかも、周回周波数の制御と空胴電
圧の制御は連係制御の必要がなく独立に制御量を設定で
きるので、制御系が簡単な構成になり信頼性を向上する
ことができる。
【0016】また、加速開始時に偏向磁場の強度及び加
速手段である加速空胴の電圧(空胴電圧)を時間的に緩
やかに変化させることにより、偏向磁場の時間変化率及
び空胴電圧を時間的に連続に変化させることができるの
で、数1から加速開始時の加速位相も時間的に連続に変
化させることができる。従って、従来の不連続性に基づ
くビーム損失を低減することができる。
【0017】更に、加速終了時に加速手段である加速空
胴の電圧(空胴電圧)をほぼ0にすることによりビーム
の運動量の分散は小さくなる。この作用により、周回ビ
ームのビーム径が小さくなるので、出射器の位置におけ
る周回ビームの軌道と出射ビームの軌道を明確に分離す
ることができる。従って、出射器への衝突によるビーム
損失を低減し、ほぼ全ての周回ビームを出射して、ビー
ムの出射効率を向上することができる。
【0018】
【実施例】
(実施例1)図1及び図2を用いて本発明を医療用シン
クロトロンに適用した第1の実施例を説明する。図2は
医療用シンクロトロンの基本構成を、図1は第1の実施
例の高周波加速系の構成を示す。
【0019】本医療用シンクロトロンは、イオンビーム
を発生する前段加速器801,前段加速器801からイ
オンビームを取り込んでこれを加速するシンクロトロン
804,シンクロトロン804から取り出したイオンビー
ムを用いて照射治療を行う治療室910などで構成され
る。シンクロトロン804は、ビームを入射する入射器
904,周回ビームの偏向・軌道補正を行う偏向磁石9
01,4極磁石902,ステアリング磁石903,ビー
ムを加速する加速空胴20,ビームを出射する出射器9
05などで構成される。
【0020】前段加速器801から出射された低エネル
ギーのイオンビームは、入射輸送系802でエネルギー
の選択及びビーム形状の整形を受け、入射器904によ
りシンクロトロン804に入射される。シンクロトロン
804に入射されたビーム10は、偏向磁石901,4
極磁石902、及びステアリング磁石903により周回
軌道に保持される。その後、各磁石の励磁量を増加しな
がら、加速空胴20でビームに加速電界を印加すること
によりビームを高エネルギーに加速する。所望のエネル
ギーまで加速されたビームは、出射器905により出射
輸送系803に徐々に取り出され、治療室910におい
て患者の照射治療に使われる。
【0021】本実施例の高周波加速系は、図1に示すよ
うに、周回周波数のフィードバック制御系を構成するビ
ームの位置モニター31と変換装置41と誤差増幅器8
2,空胴電圧のフィードバック制御系を構成する加速空
胴の電圧モニター90と変換装置80と誤差増幅器8
1,加速空胴20,高周波電源50,周波数発生装置6
1,基準信号発生用の制御装置46,バイアス電流発生
装置45などから構成される。
【0022】以下、本高周波加速系の動作を説明する。
まず、制御装置46により基準の加速パターンを演算
し、周波数発生装置61及び空胴電圧フィードバック用
の誤差増幅器81に制御信号463及び466を出力す
る。周波数発生装置61は、この制御信号463に従っ
て周波数に対応する信号を高周波電源50に出力する。
高周波電源50は、周波数発生装置61から得られる周
波数に対応する信号、及び誤差増幅器81から得られる
出力電力に対応する信号に従う高周波電力を加速空胴2
0に供給する。この高周波電力によりイオンビーム10
は加速される。
【0023】その後、周回するイオンビーム10のビー
ム位置を位置モニター31で検出する。加速空胴20の
空胴電圧が所望値であれば、位置モニター31で検出さ
れるビーム位置は0となる。ビーム位置が0以外の場
合、周回周波数、空胴電圧又は加速位相の何れかがずれ
ていることになる。イオンビームの加速に必要な空胴電
圧は、数1により決定できるため、このずれは従来のよ
うに周回周波数と加速位相を制御するか、本実施例のよ
うに周回周波数と空胴電圧を制御することにより小さく
することができる。
【0024】しかし、周回周波数は軌道上を周回するイ
オンが加速空胴に到着する時間の変動に依存するので、
加速位相のずれと等価になる。従って、周回周波数と加
速位相は各々独立に制御できなくなる。これが制御系を
複雑で、信頼性の低いものにしている原因である。この
ため、本実施例では加速位相の代わりに空胴電圧を制御
してこのずれの抑制を行う。
【0025】次に、本実施例のシンクロトロンでイオン
ビームを加速して出射する場合の加速器の運転方法につ
いて説明する。イオンの入射,加速,出射は以下の手順
で行われる。
【0026】(1) シンクロトロン804を構成する電磁
石群を、前段加速器801から入射されるビームのエネ
ルギーに応じて励磁し、この状態で保持する。
【0027】(2) 加速空胴20を、捕獲する入射ビーム
のエネルギー偏差に応じた空胴電圧で保持する。
【0028】(3) 入射器904によりビームをシンクロ
トロン804に入射する。
【0029】(4) ビーム入射完了後、電磁石群の励磁量
を増加させると共に、この励磁量増加に伴って、捕獲し
たビームのシンクロトロン振動の安定領域をほぼ一定に
保つように、加速空胴20の空胴電圧及び周回周波数を
制御する。
【0030】(5) ビーム加速終了後、出射器905によ
りビームをシンクロトロン804から徐々に出射する。
【0031】以上のような加速運転を行う場合、加速空
胴20の空胴電圧Vc を決定するのは数1に示す偏向磁
石による偏向磁場の時間変化率dB/dtである。本運
転方法では、前述の安定領域をほぼ一定とした加速条件
に加えて、加速開始時にVc及びdB/dtが連続、加速終
了時にVc =0の条件を付加する。この運転条件を図3
(a),(b)に示す。
【0032】本方法により、空胴電圧は加速開始時(t
=t0 )の入射電圧から滑らかに増加し、加速途中(t
0<t<t1)で最大となり、加速終了時(t=t1 )に
0となる。加速位相も同様に、加速開始時に0から滑ら
かに増加し、加速途中で最大となり、加速終了時に0と
なる。このような運転方法を用いることにより、加速開
始時の空胴電圧及び加速位相の不連続性を解消できるの
で、この不連続性に伴うビーム損失を低減することがで
きる。
【0033】また、加速終了時に空胴電圧をほぼ0とす
ることにより、ビームの運動量の分散は小さくなる。こ
の作用により、周回ビームのビーム径が小さくなるの
で、出射器905の位置における周回ビームの軌道と出
射ビームの軌道を明確に分離することができる。従っ
て、出射器905への衝突によるビーム損失を低減し、
シンクロトロンを周回する全ての電流を出射することが
できる。更に、空胴電圧がほぼ0になると、ビームの位
相振動に基づいて形成されていたバンチ構造が解け、ビ
ームは周回軌道上に一様に分散するので、出射ビームの
強度を時間的にほぼ一定にして出射できる利点もある。
尚、以上の運転方法は、2極磁石に4極磁石の機能を付
加した機能結合型シンクロトロンに対しても適用するこ
とができる。更に、具体的な加速空胴の制御としては、
まず、イオンビーム10の周回周波数は位置モニター3
1で検出したビーム位置のずれに基づいて所望値に制御
される。また、加速空胴20の空胴電圧は、電圧モニタ
ー90でモニターされながら所望値に制御される。この
ような制御を行うことにより、数1から加速位相が決定
される。従って、周回周波数と空胴電圧を制御すること
により、周回周波数と加速位相を制御することと等価に
なる。
【0034】以上のようにこの加速方法では、周回周波
数のフィードバック量と空胴電圧のフィードバック量を
ほぼ独立に決定することができるので、フィードバック
制御の簡略化、高信頼性化が実現できる。更に、加速空
胴にバイアス磁場を発生させるためのバイアス電流発生
装置45の制御量も、周回周波数のフィードバック量を
誤差増幅器82で増幅した出力を用いて決定できる。従
って、位相ジャンプのない医療用イオン加速器の高周波
加速系の簡単化,信頼性の向上,低コスト化を可能とす
る。
【0035】次に、第1の実施例のシンクロトロンの運
転方法を図4の制御系を用いて説明する。まず、イオン
の照射エネルギー、照射間隔(例えば、入射,加速,出
射を1秒間に何回行うか)、照射電流量などの運転条件
をオペレータが入力コンソール160から入力する。こ
の運転条件に応じて、中央制御装置110が、電磁石の
パターンデータ120,加速空胴20のパターンデータ
121,各種トリガのパターンデータ122を作成す
る。更に、中央制御装置110は、オペレータの入力に
よらない各種設定値130(入射器904,出射器90
5,輸送系802及び803,前段加速器801の運転
に関する設定値)を設定する。
【0036】この際、偏向磁石901と加速空胴20の
パターンデータは、前段加速器801で決まる運動量の分
散を有するビームを周回軌道上に十分に捕獲できるよう
な安定領域の広さを持ち、加速開始時に加速空胴20の
空胴電圧及び偏向磁石901の磁場の時間変化率を連続
とするように、加速終了時に空胴電圧をほぼ0とするよ
うに、中央制御装置110で作成される。更に、4極磁
石902のパターンデータは、上記のように決定された
偏向磁石901のパターンデータに応じて、BQトラッ
キングの条件を満足するように決定される。このように
して作成されたパターンデータは、パターン送出装置4
6及び111に設定される。
【0037】次に、中央制御装置110は、オペレータ
により入力された照射間隔に従って、各パターンデータ
の送出トリガ、前段加速器801,入射器904,出射
器905の軌道トリガなどのトリガパターンを作成し、
これをトリガパターン送出装置112に設定する。これ
により、運転の準備は完了する。運転準備完了後、中央
制御装置110がシンクロトロンの運転起動トリガをト
リガパターン送出装置112に送出し、トリガパターン
送出装置112が決められたトリガパターン140,1
50などに従って自動的にシンクロトロンの運転を行
う。
【0038】以下、各装置の動作を詳細に説明する。電
磁石制御装置153は、パターン送出装置111から出
力される各トリガ毎に設定されたパターンデータと電流
モニター154で測定した電磁石の励磁電流とを比較
し、電磁石の励磁電流が設定されたパターンデータに一
致するように電磁石電源152を制御する。
【0039】加速空胴20には、パターン送出装置46
から空胴電圧及び印加周波数に関するパターンデータが
送出される。空胴電圧に対しては、加速空胴20内に設
置された電圧モニターでモニターした空胴電圧がパター
ンデータと一致するまでフィードバック制御が行われ
る。また、空胴電圧のフィードバック制御は、方向性結
合器83でモニターした加速空胴20に供給される高周
波電力と空胴インピーダンスとから得られる空胴電圧と
パターンデータとを比較して行うことも可能である。更
に、印加周波数に対しては、位置モニター31で測定し
たビームの重心位置のずれ量から求まる周回周波数がパ
ターンデータと一致するまでフィードバック制御が行わ
れる。
【0040】入射系,出射系,前段加速器及び輸送系
は、オペレータが入力した運転条件に応じてトリガパタ
ーン送出装置112により設定されたトリガ信号に従っ
て動作する。
【0041】以上のような運転方法により、オペレータ
が入力した運転条件に忠実でしかも安定したシンクロト
ロンの運転制御が可能となる。従って、加速器の非専門
家である医者や看護婦などが安心して運転できる信頼性
の高い、低コストな医療用イオン加速器を実現すること
ができる。
【0042】(実施例2)次に、図6を用いて本発明に
よる高周波加速系の第2の実施例を説明する。本実施例
は、加速空胴20として磁性体の磁性損失を積極的に利
用した非同調型加速空胴を用いた点が第1の実施例と異
なっており、周回周波数及び空胴電圧のフィードバック
制御系は第1の実施例と同じであるので、ここでは説明
を省略する。非同調型加速空胴では、磁性体の磁性損失
により共振周波数の広帯域化が図れるので、同調型で必
要なバイアス装置が不要となる。即ち、図1に示したバ
イアス電流発生装置45の制御系が不要となる。従っ
て、高周波加速系は図4に示すように周回周波数のフィ
ードバック系及び空胴電圧のフィードバック系のみとな
り、第1の実施例に比べて構成を更に簡単化できる。
【0043】本実施例の加速空胴の加速方法を図7を用
いて説明する。同図(a) に典型的な非同調型加速空胴の
インピーダンスの周波数特性を示す。本インピーダンス
は使用周波数帯域f0〜f1の間で最大値を有する。加速
空胴に発生する空胴電圧Vcは、加速空胴のインピーダ
ンスRと加速空胴に印加される電力Pを用いて、Vc=
(2PR)05 と表すことができる。
【0044】従って、同図(b) に示すように加速空胴の
インピーダンスが最大となる周波数に対応する時に空胴
電圧が最大となるように空胴電圧を決定することによ
り、高周波電源から加速空胴に印加される印加電力をほ
ぼ一定にできるので、空胴電圧のフィードバック制御を
簡単にできる。また、本運転方法は、従来の加速位相を
制御に用いる制御装置にも適用できる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、イオンの加速制御系に
おいて、周回周波数の制御系と空胴電圧の制御系を独立
に構成できるので、加速系の構成を簡単にして信頼性を
向上することができる。
【0046】また、加速開始時に偏向磁場の強度及び空
胴電圧を時間的に緩やかに変化させることにより、加速
位相の不連続性に基づくビーム損失を低減することがで
きる。
【0047】更に、加速終了時に空胴電圧をほぼ0にす
ることにより、周回ビームのビーム径を小さくして出射
器の位置における周回ビームの軌道と出射ビームの軌道
を明確に分離できるので、出射器への衝突によるビーム
損失を低減し、ほぼ全ての周回ビームを出射して、ビー
ムの出射効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における高周波加速系の構成図。
【図2】本発明を医療用シンクロトロンに適用した第1
の実施例の基本構成図。
【図3】第1の実施例における加速方法の説明図で、
(a) は偏向磁場の時間変化率の時間変化を、(b) は空胴
電圧と加速位相の時間変化を示す図。
【図4】第1の実施例におけるシンクロトロンの運転方
法の説明図。
【図5】従来のイオンの加速方法の説明図で、(a) は偏
向磁場の時間変化率の時間変化を、(b) は空胴電圧と加
速位相の時間変化を示す図。
【図6】本発明による高周波加速系の第2の実施例の構
成図。
【図7】第2の実施例における加速方法の説明図で、
(a) は空胴インピーダンスの特性図、(b) は空胴電圧と
印加電力の時間変化を示す図。
【符号の説明】
10…イオンビーム、20…加速空胴、31…位置モニ
ター、32…電流モニター、41…変換装置、45…バ
イアス電流発生装置、46…制御装置、50…高周波電
源、61…周波数発生装置、80…変換装置、81…誤
差増幅器、82…誤差増幅器。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周回するイオンを加速する加速手段を備え
    る加速器において、 前記イオンの周回周波数及び前記加速手段の電圧が所望
    値となるように制御することにより前記イオンの加速を
    行うことを特徴とする加速器。
  2. 【請求項2】周回するイオンを加速する加速手段と、該
    加速手段に高周波電力を供給する電源とを備える加速器
    において、 前記イオンの周回周波数及び前記加速手段の電圧が所望
    値となるように、前記高周波電力の周波数及び強度を制
    御する制御手段を備えたことを特徴とする加速器。
  3. 【請求項3】周回するイオンを加速する加速手段と、該
    加速手段に高周波電力を供給する電源とを備える加速器
    において、 前記高周波電力の周波数を制御することにより前記イオ
    ンの周回周波数を所望値に設定する第1の制御系と、 前記高周波電力の強度を制御することにより前記加速手
    段の電圧を所望値に設定する第2の制御系とを備えたこ
    とを特徴とする加速器。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3の何れかに記載の加速器に
    おいて、前記周回周波数の制御と前記加速手段の電圧の
    制御を独立に行うことを特徴とする加速器。
  5. 【請求項5】請求項1乃至3の何れかに記載の加速器に
    おいて、前記加速手段として共振周波数を広帯域化した
    非同調型の磁性体装荷型加速空胴を用いたことを特徴と
    する加速器。
  6. 【請求項6】周回するイオンを加速する加速手段と、前
    記イオンを偏向させる偏向磁場を発生する偏向磁石とを
    備える加速器の運転方法において、 前記イオンの加速開始時に前記偏向磁場の強度及び前記
    加速手段の電圧を時間的に緩やかに変化させ、 加速終了時に前記加速手段の電圧をほぼ0にすることを
    特徴とする加速器の運転方法。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の加速器の運転方法におい
    て、前記イオンの加速開始時に前記偏向磁場の強度の時
    間変化率を時間的に緩やかに変化させることを特徴とす
    る加速器の運転方法。
  8. 【請求項8】請求項6又は7に記載の加速器の運転方法
    において、前記イオンの加速中にそのシンクロトロン振
    動の安定領域をほぼ一定にすることを特徴とする加速器
    の加速方法。
  9. 【請求項9】イオンの周回軌道上に設けられ該イオンを
    加速する加速手段と、該加速手段に高周波電力を供給す
    る電源とを備える加速装置において、 前記イオンの周回周波数及び前記加速手段の電圧が所望
    値となるように、前記高周波電力の周波数及び強度を制
    御する制御手段を備えたことを特徴とする加速装置。
  10. 【請求項10】請求項1乃至3の何れかに記載の加速器
    と、該加速器から出射されたイオンビームを治療室に輸
    送する輸送系と、該輸送系により輸送されたイオンビー
    ムを用いて照射治療を行う治療室とを備えたことを特徴
    とする医療装置。
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