JPH0887741A - 磁気記録媒体と磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体と磁気記録媒体の製造方法

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JPH0887741A
JPH0887741A JP6221318A JP22131894A JPH0887741A JP H0887741 A JPH0887741 A JP H0887741A JP 6221318 A JP6221318 A JP 6221318A JP 22131894 A JP22131894 A JP 22131894A JP H0887741 A JPH0887741 A JP H0887741A
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magnetic
orientation
recording
longitudinal direction
coating
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JP6221318A
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Masaki Hirosachi
正樹 廣幸
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗布型磁気記録媒体の電磁変換特性の向上を
目的とする。 【構成】 配向した媒体のMD方向とTD方向の保磁力
の比を規定することで、実際に用いられる時は、MD方
向に対して斜めになる記録トラック方向の電磁変換特性
を向上させ、さらに、面内配向で前記のような特徴を持
つ磁性粉を用い、その磁性粉を膜厚方向に対して斜めに
配向させることで、面内媒体と比較して大幅な特性を向
上させる。また、配向性を向上させる製造方法として、
ベースフィルム19上に磁性塗料18を塗布後、配向磁
界を印加させるまで乾燥風をあてないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオーディオ、ビデオやデ
ータストレージ等の記録に用いられる長尺状の塗布型磁
気記録媒体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、オーディオ、ビデオを含む情報機
器の高速化にともない、磁気記録への高密度記録化が益
々求められている。高密度化には記録媒体の高性能化が
不可欠であり、さまざまな方法が試みられている。非磁
性の支持体上に磁性塗料を塗布した後、その磁性塗料が
未乾燥のうちに塗布方向に磁界を印加し、媒体の角形比
を向上させる事は古くから知られていた(米国特許第3
256112号明細書)。
【0003】より特性を向上させるために近年では、磁
性層中の磁性粉を斜めに配向させる事が挙げられ、特開
昭62ー298002号公報、62−16202号公
報、62−195925号公報、62−298018号
公報、62−239426号公報、特開平3−3542
0号公報、4−364219号公報、5−62176号
公報、5−101372号公報、5−89460号公
報、5−218326号公報等にその製造方法や効果ま
た媒体構成などが開示されている。
【0004】この方法の効果は一般に次の様に説明され
る。磁性粉を媒体の長手方向から膜面垂直方向へ向く斜
めの方向に配向させた媒体に対して、磁気ヘッドを膜面
垂直方向から磁性粉が傾斜している方向に走行させ、媒
体中に信号を記録して行く際、ヘッドのリーディングエ
ッジ側のヘッド発生磁界は、磁性粒子の容易軸方向(針
状磁性粉の場合はその長軸方向)から印加され、粒子を
磁化する。次にヘッドギャップ通過後、ヘッドのトレー
リングエッジ側の発生磁界はリーディングエッジの磁界
で磁化された磁性粒子の困難軸方向(針状磁性粉の場合
はその短軸方向)から印加されるので、すでに磁化され
ている状態を変化させることはない。従って、通過して
いったヘッドの記録磁界が、すでに記録されている信号
を減少させる、いわゆる記録減磁に対しては、斜め配向
はその作用を受けにくく、記録された信号は劣化しにく
い。さらに記録後、通常の長手配向媒体では記録された
隣接する信号の同極どうしが向かい合うため、反発しあ
って信号が減少する、いわゆる自己減磁作用に対して
も、磁化が斜めに配されているため同極どうしが向かい
合わず、信号劣化が起こりにくい。この時、斜めの角度
は膜面内長手方向から見て、20から70度、望ましく
は30度前後がよいとされている(たとえば特開平3ー
35420号公報)。
【0005】塗布型磁気記録媒体の高密度化の他の方法
として挙げられるのは、記録を司る磁性層の薄層化であ
る。例えば、特開平5−54381号公報、5−738
83号公報に示されているように、従来塗布媒体では不
可能であったサブミクロンの磁性層の塗布が可能になっ
た。この磁性層の薄層化は減磁作用の一つである厚み損
失を低減でき、記録密度特性の向上、すなはち高密度化
に効果がある。特に飽和記録を基本とするデジタル記録
では、磁性層の薄層化は高密度化を達成するためには不
可欠の技術といえる。
【0006】次にこれらの高密度化塗布型媒体の作成方
法としては、配向方法が非常に重要となる。古くは面内
長手方向の配向から最近では磁性層面内に対して磁性粉
を斜めに傾けて配向する様な技術も紹介されている。と
ころで、塗布媒体の作製においては磁性粉を分散させた
塗料を非磁性支持体上に塗布するので、配向処理には配
向磁界を印加するのと共に塗膜を乾燥する工程が非常に
重要な工程になる。この技術の従来例としては、配向磁
界中で乾燥させ塗膜中の磁性粉が動かないようにする
(特開昭55−163633号公報)といった発明か
ら、磁場長を長くし、その間に乾燥しようとする、特開
昭62−175931号公報、特開平1−144216
号公報、2−132639号公報、4−064923号
公報、あるいは配向処理を行う前に、ある程度乾燥させ
てから配向する予備乾燥を行うという特開昭61−26
7933号公報、62−298927号公報、特開平1
−292626号公報等がある。
【0007】特開昭62−298018号公報等に示さ
れるN−N対向磁石やN−S対向磁石を傾ける事で斜め
方向の磁界を未乾燥の塗膜に作用させたり、特開平3−
35420号公報、5−47707号公報等に示される
ようなソレノイドと電磁石を組み合わせ、斜めの配向磁
界を発生させる装置を用いる事が開示されている。塗布
媒体の場合は磁性層中の磁性粉を配向する時、配向磁界
の印加方法と乾燥方法を切り放しては考えられず、先に
示した斜め配向磁界の印加磁界手法と共に併用されると
考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術に述べた通
り、まず塗膜中の磁性粉を一方向に配向させる事で塗布
媒体は特性の向上が認められる。この場合配向方向は非
磁性支持体の塗布方向(MD方向)となる。ところで、
最近のVTRでは、記録密度向上のためにアジマス記録
が用いられ、そのため実際に媒体上に記録される磁化の
方向はこの配向方向とは異なり、記録磁界は配向方向に
対して斜めに印加される事になる。媒体の配向方向から
見ると記録磁化方向は、ヘリキャルスカン方式による記
録ヘッドの軌跡自体が斜めになっているのと、ヘッドに
アジマス角度がついているのでVHSでは最大約11
度、8ミリVTRでは約14度、傾いている事になる。
しかもテープサイズを小さくして、高密度フォーマット
になればなるほどこの角度は大きくなる。この様になっ
てくると媒体は配向方向だけの特性ではなく、配向方向
から傾いた方向の特性が重要になってくる。すなはち、
配向方向に非常によく配向し、大きな保磁力を有してい
ても斜め方向の磁気特性が悪く、保磁力が小さい様な媒
体は、実際のデッキでの記録再生特性は向上しないとい
う問題があった。
【0009】同様の事が磁性粉を膜厚方向に斜めに配向
させた斜め配向媒体についても言える。従来技術で述べ
た通り、斜め配向媒体ではヘッドのリーディングエッジ
側で決まった記録磁化に対して、ヘッドのトレーリング
エッジが通過するさいに印加される磁界はすでに決まっ
た磁化に対しては斜めまたは直角方向から印加されるこ
とに事になる。従って、磁性粉の斜め方向の磁気特性、
特に保磁力が大きくないと、ヘッドのリーディングエッ
ジ側で決定した磁化はトレーリングエッジ通過の際に磁
化が消失、または減少してしまい、斜めに配向した効果
は失われてしまう。また、磁気記録の場合はヘッドと媒
体の間の隙間は、スペーシングロスと呼ばれる最も大き
な電磁変換特性の劣化原因となる。従って、上記の斜め
方向の磁気特性を改善し、同時に良好な媒体の表面性も
達成しなければ電磁変換特性の向上は成されないという
問題がある。
【0010】さらに、磁性粉を斜めに配向しかつ磁性層
の厚みを1μm以下にし、デジタル信号を飽和記録する
場合は磁性層の裏面と表面に磁荷のチャージが生じ、そ
の間に反磁界が発生し、記録された磁化が小さくなって
しまうという問題もあった。
【0011】作成方法に関しては塗布媒体の場合、乾燥
処理が非常に重要となることは、従来技術で述べた通り
である。理想的には塗膜が塗布された直後から塗膜中の
磁性粉が動かなくなるまで磁界を印加し続けるのがよい
が、生産性を向上させるために塗工速度を高くすると乾
燥までに必要な距離が長くなり、設備的に膨大なものに
なってしまうため、効率的な強制乾燥工程が必要にな
る。しかし、従来技術で示されている方法では熱風もし
くは温風を乾燥風として塗膜に上方からあてる事を基本
としている。この様な方法では乾燥風が塗膜に当たった
後、非磁性支持体にそって乾燥風の流れが生じ、配向磁
界に入る前の塗膜にも乾燥風が当たってしまう。それに
よって、塗膜表面が配向前に乾燥状態に入り、配向磁界
に入った時はすでに動けない、もしくは動きにくい状態
になるため、媒体表面では配向していない媒体になって
しまうという問題が生じる。媒体表面の配向が行われな
いということは媒体表面の磁気特性が向上しないという
ことであり、従って高密度特性に優れた媒体とは言えな
くなる。
【0012】
【課題を解決するための手段】該記のアジマス記録の問
題を解決するためには、斜め方向から印加された磁界に
対して磁化を消滅または減少しない磁性粉を使用する。
すなはち、長手方向に0.8以上の角形比で配向させた
時、その長手方向の保磁力(Hcmd)と長手方向に直
角な方向の保磁力(Hctd)の比が0.5以上になる
磁性粉を用いる。
【0013】また、磁性粉を膜厚方向に対して斜めに配
向する場合には、斜め配向による記録過程の減磁を少な
くする効果を十分発揮させるために、上記の特徴を有す
る磁性粉を膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって
斜めに配向させる。
【0014】上記の膜厚方向に対して斜めに配向する磁
性層は、その下に少なくとも1層以上の磁性層または非
磁性層を設け、多層構造にする。
【0015】また、最上層の磁性層の厚みが1μm以下
の場合は磁性層の表面と裏面に生じるチャージによる反
磁界を軽減するために磁性層の下層に軟磁性粒子を用い
る。これに用いる軟磁性粒子が粒径0.2μm以下で保
磁力が8000A/m(100Oe)以下の微小な軟磁
性粒子であれば、より好ましい。
【0016】作成方法に関しては媒体表面の配向を確実
にするために、配向磁界に塗膜が入るまでは乾燥風が当
たらないようにする。
【0017】もしくは、媒体表面の配向を行いしかも乾
燥効率を上げるためのより積極的な方法として、乾燥風
を配向装置の塗膜の搬送入り側から出側に向かって斜め
に吹き込み、塗膜が配向磁界を受ける前に乾燥風を受け
ないようにする。
【0018】
【作用】通常のVTRに用いられるヘリカルスキャン方
式ではテープ表面を幅方向に斜めに記録ヘッドのギャッ
プが通過する。従って、テープに記録される磁化はテー
プの配向方向に対して斜めに記録される。信号が磁化と
して記録された後、ヘッドトレーリングエッジが通過す
る際に受ける記録減磁界に対して、この記録された方向
に十分大きな保磁力を有する事でこの記録減磁を小さく
できる。長手方向に0.8以上の角形比で配向させた
時、その長手方向の保磁力(Hcmd)と長手方向に直
角な方向の保磁力(Hctd)の比が0.5以上になる
磁性粉を用いるということは、十分よく配向させたテー
プ媒体の場合は長手配向方向に直角な方向の保磁力は配
向方向の半分以上の大きさになる事を示す。配向方向か
らその直角方向へ保磁力の角度依存性を調べると、直角
方向の保磁力が最も小さくなるので、上記の条件を満た
すテープは、配向方向から傾いた斜めの方向で少なくと
も配向方向の保磁力の半分以上の保磁力を有する事とな
り記録時の減磁作用を小さくする事ができる。
【0019】また、磁性粉を膜厚方向に斜めに配向させ
た場合では、既に記述した通りヘッドのリーディングエ
ッジ側で記録する磁化が決定した後、通過するトレーリ
ングエッジの発生磁界は減磁界として作用するが、この
時この減磁界に対して十分大きな保磁力を有していない
と、記録された磁化は消磁される事になる。該記の特徴
を有する磁性粉を斜めに用いる事で、磁化困難方向の保
磁力が大きくなり、記録時の減磁を小さくできる。
【0020】磁性粉を膜厚方向に対して斜めに配向させ
た場合は、表面の磁性粉が斜めに立っている事になるの
で、媒体の表面性が向上しにくい。この時、磁性層の下
に他の層を設け多層構造にすると、カレンダ処理の時に
媒体表面の突起部が下層に吸収されるので、良好な表面
性を得る事ができる。
【0021】また、最上層の磁性層の厚みが1μm以下
の場合に磁性層の下層に微小な軟磁性粒子を用いる事
で、記録方向が逆向きで隣合う磁化が下層の軟磁性層中
で磁束が結合し、磁性層の裏面に生じる磁荷のチャージ
を軽減し磁性層中の反磁界を軽減できる。
【0022】作成方法に関しては配向磁界に塗布後の塗
膜が入るまでは乾燥風が当たらないようにする事で、配
向以前に塗膜表面が乾燥することなく、磁性層表面の配
向性の劣化を押さえることができる。
【0023】乾燥風を配向装置の塗膜搬送入り側から出
側に向かって吹き込むことにより、配向装置に入るまで
は塗膜は乾燥せず、配向装置に入った後乾燥が始まるの
で磁性層表面は十分配向される。しかも、強制的に乾燥
させるので配向ゾーンは短くてよく、また、高速塗工に
も適し量産性に優れる。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例を用いて具体的に説明す
る。
【0025】(実施例1)実験に用いた磁性塗料の組成
を以下に示す。 磁性粉 100重量部 樹脂系バインダー 20重量部 研磨剤 5重量部 脂肪族系潤滑剤 4重量部 硬化剤 6重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 100重量部 但し、各材料の詳細は次の通りである。 研磨剤:αアルミナ 樹脂系バインダ及び脂肪族系潤滑剤には以下の材料を混
合して用いた。 樹脂系バインダー: 塩化ビニル系 10重量部 ポリウレタン系 10重量部 脂肪族系潤滑剤: ミリスチン酸 2重量部 ステアリン酸 1重量部 ステアリン酸nブチル 1重量部 硬化剤:ポリイソシアネート(コロネートL) これらの材料のうち、磁性粉および樹脂系バインダー全
量とメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン
の混合溶液(混合比率は3:3:1)30重量部を連続
ニーダーで混練した。その後、この混練物と研磨剤、潤
滑剤、及び残りの混合溶剤をサンドミル中で5時間分散
し、最後にディスパーで撹拌しながら硬化剤を混合さ
せ、最終塗料を得た。磁性塗料はa,bの2種類を用意
し、磁性粉の種類が異なる他は組成、及び分散方法や手
順は同じである。塗料a及びbに用いたそれぞれの磁性
粉は、粉の保磁力がaで126.4×103A/m(1
580Oe)、bで123.2×103A/m(154
0Oe)であった。飽和磁化はどちらも16.34×1
-3Wb/kg(130emu/g)で非常に特性の似
た磁性粉に見えるが、後述するようにテープ化し、配向
処理を施すと違いがでる。
【0026】これらの塗料を厚さ10μmのPET上に
乾燥時の膜厚が約3μmになるように塗布した。この
時、塗膜が乾燥する前に十分に長手方向に配向させた。
各サンプルはカレンダー処理及び60度C、24時間の
条件で硬化処理を施した後、非磁性支持体の磁性層と反
対の面に、カーボンブラックを主体とするバックコート
層を0.7μmの厚さで設け、1/2インチ幅にスリッ
トした。塗料aで作成したサンプルをサンプルA、塗料
bで作成したサンプルをサンプルBとする。
【0027】なお、以後の実施例も含めて、本発明に用
いる事のできる磁性粉、非磁性支持体、バインダー、ま
た、カーボン、研磨剤等の添加剤は、一般に公知とされ
ているものを使うことができ、例えば、特開平5−73
883号公報に開示してある。
【0028】各サンプルの磁気特性を(表1)に示す。
【0029】
【表1】
【0030】Bmは飽和磁束密度(T)、Hcmd、H
ctdはそれぞれ塗布方向(配向方向と同じ)及び塗布
方向に直角な方向の保磁力(A/m、括弧内はOe)、
Sqは塗布方向の角形比を示す。サンプルA、B共に長
手方向の磁気特性(飽和磁束密度Bm、保磁力Hc、角
形比Sq)は、ほぼ同じ程度であるが、配向方向に直角
な方向(TD方向)の保磁力HctdはサンプルAが配
向方向の保磁力Hcの半分以上であるのに対して、サン
プルBは半分以下となっている。これは磁性粉自身の特
性の違いである。この場合、サンプルAが本発明の特徴
を有するテープである。
【0031】次にサンプルAとBの電磁変換特性を回転
ドラム式テスタを用いて評価した。相対速度は5.8m
/secである。評価に用いたヘッドはギャップ長が
0.22μmの積層型アモルファスヘッドである。トラ
ック幅は20μmでアジマス角度が0度(ヘッド1)と
20度(ヘッド2)の2種類を用意した。正弦波を入力
波形とし、各周波数での最適記録電流での出力で周波数
特性を調べた。図1にその結果を示す。図1に示すよう
に、アジマス角度が0度のヘッド1での測定ではサンプ
ルAとBはほとんど同じ特性を示すが、図2に示すよう
に、アジマス角度が20度のヘッド2での測定では、サ
ンプルAの方が高い特性を示している。すなはち、配向
方向の磁気特性が同じでも媒体面内で配向方向に対して
斜め方向の磁気特性(特に保磁力)が低いためにサンプ
ルBは出力が低下したと結論される。実際に長尺テープ
が用いられるのはVTR等の様にヘリカルスキャン方式
で用いられる場合が多く、その様な場合本発明の特徴を
有するテープは高い特性を示す事になる。
【0032】(実施例2)実施例1のサンプルA及びB
において、塗布後の配向過程で膜厚に対して斜めになる
ように配向を行った。塗布及び配向の方法は例えば特開
平5−47707号公報に示された装置や方法を用いて
行える。そして磁性塗料a,bを膜面内方向から膜面垂
直方向に約30度の方向に斜め配向する事によって作成
したサンプルをそれぞれC、Dとする。サンプルCとD
の磁気特性を図3に示す。この場合本発明によるテープ
はサンプルCである。これらのサンプルの電磁変換特性
を実施例1と同様にドラムテスタを用いて調べた。使用
したヘッドはアジマス角度が0度のヘッド1である。記
録密度特性の結果を図3に示す。記録波長の長い低記録
密度領域ではサンプルCとDはほぼ同じ特性を示してい
るが、記録波長の短い高記録密度領域では本発明の特徴
を有するサンプルCの方が高い特性を示している。次に
この2つのサンプルの孤立再生波形を調べた。その結果
を図4に示す。一般に媒体の厚み方向に斜めに磁化が残
留しており、ヘッドがその残留磁化の傾斜の方向に走行
した場合、その孤立再生波形はピークの前でブロードに
なり、ピークの後ろで急峻になる様に歪む。図4による
とサンプルCの孤立再生波形はサンプルDの孤立再生波
形よりその歪が大きく現れており、より強く斜めに磁化
が残留している事を示している。すなはち膜厚方向に磁
性粉を斜めに配向する磁気記録媒体では本発明が非常に
有効である事を示している。
【0033】(実施例3)次に塗料aを用い、実施例2
と同様に斜め配向を行った単層と2層構造のサンプル、
及び単層で長手配向のみのサンプルを作成し、それぞれ
サンプルE、F、Gとした。これらのサンプルは磁性層
の膜厚を2μmと実施例1や2の場合より薄くしたので
新たなサンプル名を付けた。サンプルFは下層として粒
径0.06μmのベンガラを用い、以下の組成で塗料化
した。 非磁性材料 100重量部 樹脂系バインダー 30重量部 硬化剤 9重量部 メチルエチルケトン 110重量部 トルエン 110重量部 シクロヘキサノン 110重量部 ただし、各材料の詳細は次の通りである。 非磁性材料:ベンガラ(αFe3O4) 平均粒径0.
05μm 樹脂系バインダーは以下の材料を混合して用いた。 樹脂径バインダー: 塩化ビニル系 15重量部 ポリウレタン系 15重量部 硬化剤:ポリイソシアネート(コロネートL) まず、これらの材料のうち、ベンガラおよび樹脂系バイ
ンダー全量とメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘ
キサノンの混合溶液(混合比率は3:3:1)30重量
部を連続ニーダーで混練した。その後、この混練物と残
りの混合溶剤をサンドミル中で2時間分散し、最終塗料
とした。サンプルFはこの非磁性塗料を下層として1μ
m塗布した後、塗料aを1μm塗布し、上下層合わせて2
μm厚の2層構造媒体とした。サンプルE、F及びGの
カレンダ処理後の表面粗さを比較した結果を(表2)に
示す。
【0034】
【表2】
【0035】表面粗さは光学式非接触表面粗さ計による
測定のRrms値。視野は50μm四方で、最小解像範
囲は0.2μm四方である。
【0036】サンプルEとGの比較より、斜め配向を行
うと従来の長手配向に比べて若干表面性が劣化するのが
わかる。しかし、下層をつけたサンプルFの表面性は非
常に良くなっている。これは2層化することで、斜め配
向を行った媒体の表面の小さなでこぼこを下層が吸収し
たために、斜め配向であるにもかかわらず、高い表面性
を実現できたと説明できる。本実施例では下層の非磁性
材料としてベンガラを使用したが、Al2O3やTiO2
等の非磁性無機微細粒子を用いる事もできる。この3つ
のサンプルの記録密度特性を図5に示す。測定に使用し
たヘッドは前述のヘッド1(アジマス角度が0度)であ
る。サンプルFが非常に良好な記録密度特性を示す事が
わかる。このように斜め配向と2層化の組み合わせであ
る本発明の構成は実施例1や2に示す本発明の磁気記録
媒体の特性をさらに高め、より高密度記録特性に有効で
ある。
【0037】(実施例4)次に上層用として塗料a、下
層用として実施例3の非磁性塗料を用いたサンプルHを
作成した。また、同様に上層用として塗料aを用い、下
層に軟磁気特性を持ったサンプルLを作成した。サンプ
ルH及びLともに上層膜厚が0.7μm、下層膜厚1.
3μmで、作成時には実施例2と同様に斜め配向を行っ
た。サンプルLの下層としては、粒径が0.03μmの
フェライト粉を用いた。下層の塗料組成は表3に準じ、
表3の非磁性材料部分をフェライト粉に置き換えた。こ
れらの材料のうち、フェライト粉および樹脂系バインダ
ー全量とメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサ
ノンの混合溶液(混合比率は3:3:1)30重量部を
連続ニーダーで混練した。その後、この混練物と残りの
混合溶剤をサンドミル中で2時間分散し、最終塗料とし
た。サンプルH及びLとも実施例1と同様にカレンダ処
理、硬化処理、バックコート付与した後、1/2インチ
にスリットし、最終サンプルとした。これらのサンプル
の記録密度特性を上記実施例と同様に測定した。その結
果を図6に示す。サンプルH及びLともに、高密度領域
での電磁変換特性はほぼ同じであるが、波長が約3μm
以上の低記録領域ではサンプルLの方が高い特性を示し
ている。次にサンプルHとLの上層を0.5μmとした
サンプルH’とL’を作成し、同様に記録密度特性を測
定した。その結果を図7に示す。高密度領域は図6と同
様であるが、低密度領域でサンプルL’がH’を上回る
点がおよそ波長2.5μm以上と短くなっている。この
様に上層の膜厚が極めて薄く、かつ斜め配向にした2層
構造の媒体では、下層に軟磁気特性をもたせることで、
低密度領域の出力特性を向上させる事ができる。これは
次のように説明できる。すなはち、記録波長の1/4で
表される記録浸透深さが、上層の磁性層厚より深くなっ
た時、上層の下部(下層と接する部分)に磁荷が生じ、
上層表面にできる反対の極性の磁荷との間で磁界が生じ
る。これは記録された磁化のN極とS極が磁性層の表面
と裏面に現れたということであり、記録された磁化を減
少させるいわゆる反磁界として働く。下層に軟磁性特性
が付与されていると、磁性層の下部で隣接する反極性の
磁荷との間に磁束が通りやすくなり、磁性層中での反磁
界が減少される。従って出力特性の向上に有効となる。
また、本実施例からも明かなように、その特性向上の有
効範囲は上層の膜厚によって決定され、膜厚の約4倍の
波長以上の領域で有効となる。
【0038】(実施例5)塗工装置として図8に示す装
置を用いた。配向部にはソレノイド長手配向装置13が
4台設置した構造になっている。それぞれの配向装置の
前後には乾燥風の吹き出しノズル12が取り付けてあ
り、塗布面に熱風をあてる事ができる。塗料aを用い、
乾燥風の総風量を20立米/分とし、塗布膜厚2μmの
条件で塗工速度を変化させて作成したサンプルの角形比
を調べた結果を図9に示す。一方、同様の実験で乾燥風
の風量をゼロとした本発明の特徴を有する作成方法の場
合の結果を同じく図9に示す。乾燥風を当てた結果では
塗工速度が30m/minで最大の角形比、0.87と
なり、60m/minまではほぼ一定の値となってい
る。その後、徐々に角形比は低下してゆくのがわかる。
それに対して、乾燥風を当てない場合の結果を見ると、
塗工速度20m/minで最大の角形比0.90となり
35m/minから角形比は急速に低下してゆく。角形
比の最大値が大きくなったのは、配向ゾーンに入るまで
塗布面は風を受けず、未乾燥の状態で配向磁界を受ける
ため、配向しやすい状態になっているからであり、また
塗工速度を上げるに従って急速に角形比が低下するの
は、一度配向しても乾燥しないまま配向ゾーンを通過す
るため、配向戻りをおこしているからである。この様に
本発明のように乾燥風を当てない作成方法は、基本的に
高い角形比の媒体を作成する事ができる。
【0039】(実施例6)図10に、実施例5の作成方
法で配向装置の入り側から配向装置の中に向かって乾燥
風を吹き込む構造をさらに付け加えた作成方法を示す。
この装置を用いて実施例5と同様の実験を行った結果を
図11に示す。図10に示した1つのノズル20からは
温度80度の熱風を4立米/分の風量で、乾燥風を送っ
た。最大の角形比は0.90と実施例5の場合と同じで
ある。しかし、実施例5では塗工速度を上げるに従っ
て、急速に角形比が低下してゆくのに対して、本実施例
では60m/minの塗工速度まで角形比が低下しな
い。これは乾燥風を配向装置の入り側から中に吹き込ん
でいるため、配向装置に入るまで塗膜が乾燥風を受けず
未乾燥のまま配向ゾーンに入るためである。従って角形
比は塗工速度の広い範囲で大きくできる。しかも配向後
乾燥風を受けるので、塗工速度が上がっても配向戻りは
生じない。さらに各ノズルからの熱風を6立米/分に上
げたところ図12に示すように80m/minの塗工速
度まで角形比の低下は起こらなかった。本実施例では設
置した全てのノズルを使用したが、塗工する塗料の固形
分比率等の違いで塗膜の乾燥状態が本実施例の場合と違
う場合は使用するノズルの数及び位置を調整することで
同様の効果が得られる。
【0040】
【発明の効果】本発明に示すように配向方向に斜めの方
向の磁気特性(保磁力)を大きくすることで、ヘリカル
スキャン方式の下で用いられる長尺状のテープ媒体の電
磁変換特性を向上させる事ができる。また、その様な特
性を有する磁性粉を面内から膜厚垂直方向に斜めに配向
させる事で、斜め配向の効果を十分に発揮する媒体を作
成することができる。また、斜め配向を行った場合は2
層構造と組み合わせることで、より一層高密度特性を向
上させることができる。さらに、下層に軟磁気特性を付
与することで、低密度領域の特性を向上させる事もでき
る。
【0041】媒体製造方法では非磁性支持体上に磁性塗
料を塗布した後、配向装置に到達するまで乾燥風を当て
ないことで、配向性を向上させる事ができる。また、乾
燥風を塗布の走行方向から配向装置内に吹き込む事で、
配向もどりのない塗工速度範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサンプルと比較サンプルの記録密度特
性をアジマアス角度0度のヘッドを用いて測定した結果
を示す図
【図2】本発明のサンプルと比較サンプルの記録密度特
性をアジマアス角度20度のヘッドを用いて測定した結
果を示す図
【図3】本発明の斜め配向サンプルと比較斜め配向サン
プルの記録密度特性を測定した結果を示す図
【図4】本発明の斜め配向サンプルと比較斜め配向サン
プルの孤立再生波形を比較した図
【図5】斜め配向と2層構造の組み合わせが、より記録
密度特性に効果がある事を示す記録密度特性の図
【図6】斜め配向と2層構造の組み合わせで、下層に軟
磁気特性を付与した場合の効果を示す記録密度特性の図
【図7】図6と比べて上層の磁性層が薄い場合の記録密
度特性を示す図
【図8】実施例に用いた塗布装置を示す図
【図9】塗工速度と角形比を示す図
【図10】図8の塗工装置で配向装置部に乾燥風を吹き
込む角度にノズル傾けた場合を示す図
【図11】本発明である配向装置部に乾燥風を吹き込ん
だ場合の塗工速度と角形比を示す図
【図12】図11と比べて乾燥風の風量を多くした場合
の塗工速度と角形比を示す図
【符号の説明】
12 乾燥風ノズル 13 配向ソレノイド 14 乾燥ゾーン 15 巻き取りロール 16 巻きだしロール 17 グラビアロール 18 磁性塗料 19 ベースフィルム 20 配向装置中に乾燥風を吹き込む様にセットしたノ
ズル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に構成された磁性層の長手
    方向(MD方向)の角形比が0.8以上であって、かつ
    長手方向の保磁力(Hcmd)と長手方向に直角な方向
    (TD方向)の保磁力(Hctd)の比(Hctd/H
    cmd)が0.5以上である事を特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】長手方向に0.8以上の配向比で配向させ
    たとき、長手方向の保磁力(Hcmd)と長手方向に直
    角な方向(TD方向)の保磁力(Hctd)の比(Hc
    td/Hcmd)が0.5以上となる磁性粉を、非磁性
    支持体上に膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって
    斜めに配向させた事を特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】非磁性支持体上に少なくとも2層以上の構
    造を持ち、最上層の磁性層が請求項1または2に記載さ
    れた磁性層の特徴を持つ事を特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】非磁性支持体上に少なくとも2層以上の構
    造を持ち、最上層の磁性層が請求項1または2に記載さ
    れた磁性層の特徴を持ち、かつ最上層の磁性層の厚みが
    1μm以下であって、最上層の磁性層の下の層が軟磁性
    材料によって構成される事を特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】軟磁性材料は平均粒径が0.2μm以下で
    あり、かつ粉体として測定した保磁力が8000A/m
    (100Oe)以下の微細粒子である事を特徴とする請
    求項4記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】非磁性支持体上に磁性塗料を塗布した後、
    配向磁界発生装置に非磁性支持体が進入するまで乾燥風
    をあてない事を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】非磁性支持体上に磁性塗料を塗布した後、
    塗膜のある側で、かつ配向磁界発生装置に非磁性支持体
    が進入する方向から乾燥風を吹き込む事を特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
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