JPH0773445A - 磁気記録媒体及び記録方法 - Google Patents

磁気記録媒体及び記録方法

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JPH0773445A
JPH0773445A JP21832693A JP21832693A JPH0773445A JP H0773445 A JPH0773445 A JP H0773445A JP 21832693 A JP21832693 A JP 21832693A JP 21832693 A JP21832693 A JP 21832693A JP H0773445 A JPH0773445 A JP H0773445A
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JP21832693A
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Masaki Hirosachi
正樹 廣幸
Hirobumi Ito
博文 伊藤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 斜め配向の配向性を向上させ、高記録密度特
性に優れた媒体を得る。また、その様な斜め配向媒体の
特性を十分発揮させる事のできるヘッドとの組合せを提
供する。 【構成】 膜面内長手方向から膜面垂直方向へ45度と
135度で測定した磁気特性の角形比の比を0.8以下
にし、かつ媒体の幅方向の角形比を0.4以下にする。
また、2層構造の媒体で上層の膜厚が1μm以下であっ
て、かつ前記の特徴をもたせる。さらにこれらの媒体に
対しては媒体に用いた磁性粉の保磁力の3倍以上10倍
以下の飽和磁束密度のヘッドで記録を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオーディオ、ビデオやデ
ータストレージ等の記録に用いられる長尺状の塗布型磁
気記録媒体に関するものであり、またその磁気記録媒体
と特定の磁気ヘッドの組合せによる記録方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、オーディオ、ビデオを含む情報機
器の高速化にともない、磁気記録への高密度記録化が益
々求められている。高密度化には記録媒体の高性能化が
不可欠であり、さまざまな方法が試みられている。特に
近年、塗布型磁気記録媒体で試みられている高密度化の
ための方法として、第一に磁性層中の磁性粉を斜めに配
向させる事が挙げられる。この方法の効果は次の様に説
明される。磁性粉を媒体の長手方向から膜面垂直方向へ
向く斜めの方向に配向させた媒体に対して、磁気ヘッド
を膜面垂直方向から磁性粉が傾斜している方向に走行さ
せ、媒体中に信号を記録して行く際、ヘッドのリーディ
ングエッジ側のヘッド発生磁界は、磁性粒子の容易軸方
向(針状磁性粉の場合はその長軸方向)から印加され、
粒子を磁化する。次にヘッドギャップ通過後、ヘッドの
トレーリングエッジ側の発生磁界はリーディングエッジ
の磁界で磁化された磁性粒子の困難軸方向(針状磁性粉
の場合はその短軸方向)から印加されるので、すでに磁
化されている状態を変化させることはない。従って、通
過していったヘッドの記録磁界が、すでに記録されてい
る信号を減少させる、いわゆる記録減磁に対しては、斜
め配向はその作用を受けにくく、記録された信号は劣化
しにくい。さらに記録後、通常の長手配向媒体では記録
された隣接する信号の同極どうしが向かい合うため、反
発しあって信号が減少する、いわゆる自己減磁作用に対
しても、磁化が斜めに配されているため同極どうしが向
かい合わず、信号劣化が起こりにくい。この時、斜めの
角度は膜面内長手方向から見て、20から70度、望ま
しくは30度前後がよいとされている(たとえば特開平
3ー35420号公報)。
【0003】塗布型磁気記録媒体の高密度化のための方
法として第二に挙げられるのは、記録を司る磁性層の薄
層化である。この技術は磁性層を2層構造とし、上層と
下層の保磁力を変えることで、周波数の異なる映像信号
(Y信号)と色信号(C信号)が重畳されているビデオ
信号を効果的に記録しようとする多層構造化技術に端を
発する。すなわち、2層構造を実現するための塗布技術
の向上により、従来塗布型媒体では不可能であったサブ
ミクロンの磁性層の塗布が可能になった。そして、下層
として非磁性層を塗布することで、蒸着媒体に匹敵する
磁性層の薄層化が可能になった。この様に薄い磁性層で
は、減磁作用の一つである厚み損失を低減でき、記録密
度特性の向上に効果がある。特に飽和記録を基本とする
デジタル記録では、磁性層の薄層化は高密度化を達成す
るためには不可欠の技術といえる(例えば特開平5−7
3883号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の技術は、
原理的には塗布型媒体の高密度化を達成しうる方法であ
るが、塗布型媒体に適応し、またその効果を十分発揮さ
せるにはいくつかの問題点がある。
【0005】第一に磁性粉の斜め配向は、斜め方向への
配向性が十分でないと前記の様な効果は発揮されないと
いう点である。斜め配向媒体としては、蒸着テープが知
られているが、真空中の蒸着現象は蒸着原子が比較的直
線運動するため、蒸着源とベースフィルムの角度を調節
することで、全ての粒子が同じ方向に配向されるという
理想に近い斜め配向状態が実現できる。しかし、塗布型
媒体の場合は、磁性粒子がランダムな状態にある磁性塗
料を一度塗布し、それが乾燥する前に配向磁界によって
磁性粒子を斜めに配列させるため、その配向性が十分で
ない場合が多い。斜め配向の有効な点は、リーディング
側のエッジで決められた記録磁化は、トレーリングエッ
ジ通過時にヘッド発生磁界に対して困難軸が向いている
ために記録減磁されないことであるのだから、斜め方向
の配向性が十分でないと、トレーリングエッジ通過時に
記録減が生じ、高密度化への効果が発揮されない。従っ
てその配向性を高密度化の効果が発揮される程、良好に
しなければならない。
【0006】第二に磁性層の薄層化技術は厚み損失を軽
減することはできるが、該記の記録損失および、同極ど
うしが向かい合うことによる自己減磁作用を回避するこ
とはできないという問題点である。
【0007】第三に斜め配向媒体に飽和記録(デジタル
記録)を行う場合、斜め配向の効果が低減されるという
問題がある。すなはち、リーディングエッジ通過後のト
レーリングエッジの発生する磁界が磁性粉の異方性磁界
に対して大きすぎると、それが磁性粉の困難軸方向から
印加された場合、磁性粉の磁化を消磁してしまう。従っ
て、記録減磁が生じ、斜め配向の効果が減少される。
【0008】
【課題を解決するための手段】該記の問題点を解決する
ために、第一には斜めの配向性を高める事が必要であ
る。この様な問題に鑑み営々努力した結果、その配向性
を次のように規定し、高めればよい事を見いだした。す
はなち、非磁性支持体上に構成された磁性層が膜面内長
手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向している
磁気記録媒体の、膜面内長手方向から膜面垂直方向に4
5度と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られ
る角形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、S
q135とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比
が0.8以下、望ましくは0.75以下であり、かつ媒
体の幅方向の角形比が0.4以下、望ましくは0.35
以下であるようにする。
【0009】さらに第二には、薄層媒体の記録磁性層に
斜め配向を行い、厚み損失、記録損失、自己減磁作用を
同時に軽減する。すなはち、非磁性支持体上に少なくと
も1層以上の磁性層を含む、2層以上の構造であり、最
上層の磁性層の厚みが1μm以下であり、膜面内長手方
向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向している磁気
記録媒体であって、最上層の磁性層は、膜面内長手方向
から膜面垂直方向に測定した45度と135度の方向で
磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれSq
45、Sq135とした時、Sq135とSq45の小
さい方の値と大きい方の値の比が0.8以下、望ましく
は0.75以下であり、かつ最上層の磁性層は媒体の幅
方向の角形比が0.4以下、望ましくは0.35以下で
あるようにする。
【0010】そして第三には、第一または第二に示した
媒体に対して、媒体の保磁力の3倍以上、10倍以下の
飽和磁化を持つヘッドを用いて記録を行う。
【0011】本発明でいうところの媒体の幅方向とは、
面内長手方向から見て、媒体面内の直角方向をさす。
【0012】本発明で規定する磁気特性の角形比は一般
に知られている通り、VSM(振動型試料磁気測定装
置)等で、測定された残留磁化と最大磁化の比をいう。
この角形比は印加する磁界強度により、最大磁化の大き
さが若干異なり、角形比も異なるわけであるが、少なく
とも媒体作成に用いられた磁性粉の保磁力の4倍以上の
磁界を印加して測定するのが好ましい。
【0013】本発明に用いる事のできる磁性粉、非磁性
支持体、バインダー、また、カーボン、研磨剤等の添加
剤は、一般に公知とされているものを使うことができ、
例えば、特開平5−73883号公報に開示してある。
【0014】
【作用】磁性粉を膜面内方向から膜面垂直方向に斜めに
配向すると、配向している方向にVSM(試料振動型磁
力計)等で磁気特性を測定すれば、磁性粉の磁化容易軸
方向に磁気特性を測定する事になるので、角形比は大き
くなる。また、そこから90度試料を回転し同様に磁気
特性を測定すれば、それは磁性粉の困難軸方向の磁気特
性を測定する事になるので、角形比は小さくなる。従っ
て、その角形比の小さい方の値と大きい方の値の比が、
小さければ小さいほど全ての磁性粉が同じ方向に配向さ
れている事になる。45度と135度はちょうど90
度、角度が異なり、しかも膜面内からの角度が同じ45
度であるので、磁気特性を測定する時の反磁界の影響を
それぞれ同じと見なし、測定値を補正する事なく、比を
とることができる。また、膜面内から斜めに傾いた方向
に配向していても、媒体の長手方向に対して配向方向が
ばらついていれば、やはり高密度化の効果は発揮されな
い。従って、媒体幅方向の磁気特性を測定し、その角形
比が小さければ長手方向にも十分向いている事を確認で
きる。本発明では45度と135度の角形比の比を0.
8以下(望ましくは0.75以下)幅方向の角形比を
0.4以下(望ましくは0.35以下)にすることによ
って、斜め配向媒体として高密度記録に効果がある事を
見いだした。また、本発明による角度の設定の方法で
は、正確には膜面内長手方向から45度方向に配向して
いる媒体でないと、その磁化容易軸と困難軸の測定には
ならないが、配向方向と測定方向が若干ずれていても、
本発明の主眼とする斜め方向の配向性が十分高ければ、
そのSq45とSq135の比は十分小さくなる。ま
た、配向方向が45度から著しく異なっている場合は、
すでに斜め配向媒体とは呼べない。すなわち、このよう
に角度を変えて磁気特性を測定し、その角形比の比を規
定するのは、配向角度を規定するのではなく、その配向
性(磁性粉が一方向へ、揃っている程度。配向軸の分散
とも言える)を規定することであって従来の考え方とは
大きく異なる。その様な意味で、目安とする測定角度は
60度と120度や30度と150度等でも可能であ
る。しかし、30度と120度または60度と150度
などのように、膜面からの鋭角でみた仰角が異なる角度
の組合せでは、反磁界の影響の程度が違い、補正した上
でないと直接の比をとる意味はなく、煩雑な補正作業が
必要となる。膜面から見た仰角が同じである事、また、
間の角度が90度であること等より、45度と135度
で測定するのが最も望ましい。
【0015】また、本発明ではこのように規定した特性
を有する斜め配向媒体を、1μm以下の膜厚で上層の磁
性層とした2層媒体においては、膜厚損失、記録損失、
および自己減磁作用の低減を図る事ができる事を見いだ
した。
【0016】さらに、本発明では、これらの媒体に記録
するためのヘッドは媒体の保磁力の3倍以上の飽和磁化
を有するヘッドを用いなければ、十分な飽和記録が可能
とならないし、また、ヘッドの飽和磁化が媒体の保磁力
の10倍以上になると、磁性粉の困難軸方向からヘッド
磁界が印加された時、磁性粉の磁化は消磁されてしまい
斜め配向媒体の高密度化の効果が有効に発揮されない事
を見いだした。
【0017】
【実施例】次に本発明を実施例を用いて具体的に説明す
る。
【0018】(実施例1)実験に用いた磁性塗料の組成
を次に示す。 磁性粉 100重量部 樹脂系バインダー 20重量部 研磨剤 5重量部 脂肪族系潤滑剤 4重量部 硬化剤 6重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 100重量部 但し、各材料の詳細は次の通りである。 強磁性粉末:Fe合金粉末 組成;Fe 93重量%、Ni 3重量%、Co 3重
量%、その他 アルミナ、Zn、Cr等 保磁力 1650Oe、 飽和磁化 130emu/g 長軸長 0.15μm 針状比 10 研磨剤:αアルミナ また樹脂系バインダ及び脂肪族系潤滑剤には以下の材料
を混合して用いた。 樹脂系バインダー:塩化ビニル系 10重量部 ポリウレタン系 10重量部 脂肪族系潤滑剤:ミリスチン酸 2重量部 ステアリン酸 1重量部 ステアリン酸nブチル 1重量部 硬化剤:ポリイソシアネート(コロネートL) これらの材料のうち、磁性粉および樹脂系バインダー全
量とメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン
の混合溶液(混合比率は1:1:1)30重量部を連続
ニーダーで混練した。
【0019】その後、この混練物と研磨剤、潤滑剤、及
び残りの混合溶剤をサンドミル中で5時間分散し、最後
にディスパーで撹拌しながら硬化剤を混合させ、最終塗
料を得た。
【0020】この塗料を厚さ10μmのPET上に乾燥
時の膜厚が3μmになるように塗布した。この時、塗膜
が乾燥する前に、まず十分長手方向に配向させ、その後
膜厚方向に対して斜めに配向させた。配向装置を含む、
塗布装置の概略図を図1に示す。2、3、4の長手配向
磁界発生装置はソレノイドで、中心での最大発生磁界は
6200ガウスである。3つのソレノイドは、非磁性支
持体であるPETの進入方向から見て、N極S極になる
ように電流を流しており、従って発生磁束は、それぞれ
隣接するソレノイド間で連続する。5の斜め配向磁界発
生装置を図2に示す。これは長手配向用のソレノイド2
1と、垂直配向用の電磁石22、23を組み合わせた構
造をもっており、垂直方向の発生磁界の効率を高めるた
めに、上下の電磁石にはヨーク25、26を取り付けて
ある。この斜め配向磁界発生装置中を通過する非磁性支
持体1は長手方向の配向磁界と垂直方向の配向磁界のベ
クトル和による斜め配向磁界を受ける。本実施例では、
長手方向には3000ガウス、垂直方向には1730ガ
ウスの磁界を発生させた。これによって約30度の方向
に約3460ガウスの実効磁界を発生させていることに
なる。
【0021】(比較例1)実施例1と同様の磁性塗料を
用い、長手配向を行った後、斜め配向を行った。但し、
斜め方向の実効磁界を実施例1の半分にした。すなは
ち、図1の5に示す、斜め配向磁界発生装置の長手方向
に1500ガウス、垂直方向に865ガウスの磁界を発
生させた。より具体的に述べると、実効磁界は実施例1
の半分である1730ガウス、配向角度は実施例1と同
じ約30度である。
【0022】(比較例2)実施例1と同様の磁性塗料を
用い、長手配向は行わず、斜め配向のみをを行った。す
なわち図1に示す2、3、4のソレノイドは停止させ、
5の斜め配向磁界発生装置のみを用いた。斜め配向磁界
強度は実施例1と同じ、長手方向に3000ガウス、垂
直方向に1730ガウスとした。
【0023】(比較例3)実施例1と同様の磁性塗料を
用い、長手配向のみを行った。すなはち、図1に示す
2、3、4のソレノイドと5の斜め配向磁界発生装置の
長手配向用ソレノイドを3000ガウスの磁界強度で稼
動させた。
【0024】なお実施例1、比較例1、2、3とも同じ
塗工速度でサンプルを作成した。各サンプルはカレンダ
ー処理及び60度C、24時間の条件で硬化処理を施し
た後、非磁性支持体の磁性層と反対の面に、カーボンブ
ラックを主体とするバックコート層を0.7μmの厚さ
で設け、1/2インチ幅にスリットした。
【0025】実施例1、比較例1、2、3の磁気特性を
(表1)に示す。
【0026】
【表1】
【0027】ここで、膜面内から膜面垂直方向に45度
と135度の方向で磁化曲線を測定したとき得られる角
形比をそれぞれSq45、Sq135とした時、Sq1
35とSq45の小さい方の値と大きい方の値の比をR
SQと定義した。また、SQtdはサンプルの幅方向の
角形比を示している。SQtdが小さいほど磁性粉は長
手方向に配向しており、RSQが小さいほど斜めによく
配向している事を示している。
【0028】従って、(表1)の結果より、各サンプル
に関して次の様な特徴を有している事がわかる。すなわ
ち、実施例1は最もよく斜めに配向しており、かつ長手
方向にも十分よく配向している。比較例1は長手にはよ
く配向しているが、斜め方向への配向性は高くない。比
較例2は、比較例1より斜めに配向しているが、実施例
1ほどではない。しかも長手方向の配向性は最も悪い。
比較例3は長手配向サンプルであるので、斜め方向には
ほとんど配向しておらず、長手方向のみに配向してい
る。これらのサンプルの記録密度特性の相対比較を図3
に示す。0dBのレファレンスレベルを比較例3(3
0)の長手配向サンプルとした。この記録密度特性は直
径70mmのドラムにサンプルを巻き付け、回転させな
がらドラムの外側からヘッドを押し当てる、いわゆるド
ラムテスターを用いて測定した。相対速度は3.8m/
sec、ヘッドはギャップ近傍にセンダストを配したM
IGヘッドを用い正弦波信号の記録再生を行った。再生
信号はスペクトルアナライザを用い、記録した信号成分
の強度を読み取った。各記録密度での出力は、最適記録
電流で記録した時の値である。図3より比較例2(3
2)はRSQの値が0.8以下であるが、最も出力が低
いのがわかる。これはたとえ斜めに配向していても、長
手方向に磁性粉がそろっていなければ高密度特性には効
果的でない事を示している。また、比較例1(31)に
示す通り、RSQが0.85程度では比較例3(30)
の長手配向と同等の特性であり、斜めに配向していると
はいえ、全く効果的でない。実施例1(33)に示す本
発明の様な配向性を示す媒体が、斜め配向による高密度
化の効果を発揮する事ができる。
【0029】本発明による配向性の指標は、媒体の磁気
的な特性の規定が高密度特性に有効であることを示して
いる。従って、本実施例では同じ材料で配向性が異なる
場合を示したが、分散や混練方法が異なったり、使用す
る材料の比率や種類が異なる場合でも本発明の指標は有
効である。
【0030】(実施例2)次に示す組成によって下層の
非磁性層用の塗料を作成した。 非磁性材料 100重量部 樹脂系バインダー 12重量部 硬化剤 4重量部 メチルエチルケトン 24重量部 トルエン 24重量部 シクロヘキサノン 24重量部 ただし、各材料の詳細は次の通りである。 非磁性材料:ベンガラ(αFe3O4) 平均粒径0.
06nm 樹脂系バインダーは以下の材料を混合して用いた。 樹脂径バインダー: 塩化ビニル系 6重量
部 ポリウレタン系 6重量部 硬化剤:ポリイソシアネート(コロネートL) これらの材料のうち、非磁性材料と樹脂系バインダーお
よびメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン
の混合溶液20重量部を連続ニーダーで混練した。この
混合物と残りの溶剤をサンドミルで3時間分散した後、
硬化剤を加え、ディスパーで分散し、下層用非磁性塗料
とした。非磁性支持体としては実施例1の場合と同様に
厚さ10μmのPETフィルムを用い、その上に、下層
用非磁性塗料と実施例1で用いた磁性塗料を湿潤状態で
塗布した。この時、下層及び上層の乾燥膜厚は、それぞ
れ、2.5μmと0.3μmである。配向は実施例1と
同様に長手方向に十分配向させた後、斜め方向に配向さ
せている。従って、配向条件及び作成に用いた装置は実
施例1と同じである。さらに、カレンダー、硬化処理、
バックコートの塗布、スリットも実施例1と同様に行っ
た。
【0031】図4に実施例1(42)と実施例2(4
1)のデジタル信号の記録密度特性の比較を示す。信号
の再生は低記録密度の領域ではオシロスコープを用い、
再生波形のPEAK TO PEAKを読み取り、高調
波成分が十分小さくなり、再生波形が正弦波状になって
しまう、高記録密度の領域では基本波成分の強度をスペ
クトルアナライザで読み取った。実施例2は実施例1と
比較して、低密度領域では再生出力は低いが、高密度領
域で優れた特性を示しているのがわかる。これは、磁性
層の膜厚の薄い実施例2のサンプルは、膜厚損失が実施
例1のサンプルより軽減されている分、高密度特性に優
れている事を示している。
【0032】(実施例3)実施例1で用いた塗料で、磁
性粉を合金磁性粉の代わりに、コバルト被着型酸化鉄磁
性粉を用いた磁性塗料を、実施例1の場合と同様に作成
した。磁性層の厚みは同じく3.0μmである。この磁
性粉は保磁力780Oe、飽和磁化78emu/g、超
軸長0.17μm、軸比10である。この塗料を実施例
1と同様の作成過程で斜め配向サンプルを作成した。
【0033】このサンプルに対して、飽和磁化5000
ガウスのフェライトヘッド、飽和磁化8000ガウスの
コバルト系アモルファスヘッド及び飽和磁化12000
ガウスのセンダストヘッドを用いて信号を記録し、他の
フェライトヘッドで再生するいわゆる録再分離を行っ
た。記録に用いたヘッドは共にギャップ長0.35μ
m、トラック幅50μmで、再生に用いたフェライトヘ
ッドはギャップ長0.2μm、トラック幅20μmであ
る。4つのヘッドともアジマス角は0度である。コバル
ト系アモルファスヘッドだけはアモルファス磁性材層と
SiO2の非磁性層を積層し、セラミック系基板で挟み
込んだラミネート形状をしている。実施例1で説明した
ドラムテスターで、記録ヘッドと回転ドラムを挟んだ反
対側から再生ヘッドをサンプルに押し当て、信号が記録
されるトラックに再生ヘッドをオントラック状態にした
うえで、記録した信号を再生する。相対速度も実施例1
と同様に3.8m/secである。
【0034】記録信号として50kHzの方形波を十分
大きな記録電流で記録し、その再生波形をオシロスコー
プで観察した結果を図5(a)、(b)、(c)に示
す。フェライトヘッドで記録した場合は、斜め配向され
た媒体特有の波形歪が生じており、記録された磁化が斜
めに残っているのがわかる。しかし、飽和磁化が媒体の
保磁力のおよそ10倍であるアモルファスヘッドでは、
わずかに歪が認められるだけで、ほとんど単峰波形に近
い。また、より飽和磁化の大きなセンダストヘッドを用
いた場合は、波形歪は、ほとんどなく単峰状の波形に近
くなっていた。これは記録された磁化の残留状態が、斜
め方向ではなくむしろ面内長手方向に近いことを示して
いる。つまり、斜め配向された保磁力780Oeの磁性
粉に対して、アモルファスやセンダストの記録ヘッドの
発生磁界は大きすぎ、磁性粉の困難軸方向から印加され
ると記録された磁化はヘッド磁界の印加方向に残留して
しまうためでり、斜め配向媒体を有効に用いる上におい
ては、媒体の保磁力と使用するヘッドの発生磁界を規定
する必要がある事を示している。この事をさらに確認す
るために、実施例1のサンプルにセンダストヘッドで記
録を行った場合の波形を図5(d)に示す。この場合は
斜め配向特有の波形歪が生じており、記録された磁化は
斜めに残っているのがわかる。
【0035】実施例3のサンプルに、フェライトヘッド
(61)及びセンダストヘッド(60)でデジタル記録
した場合の記録密度特性を図6に示す。記録密度の低い
領域では、フェライトヘッドよりセンダストヘッドの方
がより十分な記録ができるため、若干センダストヘッド
の方が出力は高い(60)。しかし、高密度領域ではセ
ンダストヘッドは記録磁化を斜めに残しにくいため、斜
め配向の高密度記録に対する効果が十分発揮されない。
【0036】この様に斜め配向はむやみやたらに行って
も、特性の向上を達成できるのではなく、媒体の保磁力
と使用するヘッドの特性に間に、適正な関係を保つ必要
がある。磁気記録媒体では、保磁力及び飽和磁化が大き
い方が高記録密度化に有利である事が知られており、ま
た、現在実用化されているヘッド材料で最も高い飽和磁
束密度は、12000ガウスから14000ガウス程度
であるので、斜め配向を行うには、合金磁性粉等のよう
な保磁力の高い材料(1500Oe以上)を用いるの
が、高密度記録に対してもヘッドとの組合せからも、有
用である。
【0037】(実施例4)実施例3の磁性塗料と、実施
例2で用いた下層用非磁性塗料を用いて、実施例2と同
様な2層構造のサンプルを作成した。このサンプルに実
施例3で行ったと同様な、録再分離での記録密度特性を
調べた。図6に結果を示す。実施例3の場合と同様に飽
和磁化がサンプルの保磁力に対して大きすぎる場合は、
記録磁化が斜めに残らず、高密度記録への効果が発揮さ
れない。また、実施例4のサンプルの上層磁性層は実施
例3と同様であるが、上層膜厚が実施例3のサンプルに
対して非常に薄い。従って、低記録密度領域では実施例
3(60、61)より低い特性となるが、膜厚損失が軽
減される分、高記録密度領域では実施例3より高い特性
を示している。
【0038】
【発明の効果】以上の様に塗布型磁気記録媒体で斜め配
向を行う場合は、その配向角度よりも、配向の程度を向
上させることが、高密度化に必要で、しかも重要であ
る。そして、本発明のごとく面内から45度と135度
の角度から測定した角形比の比、及び媒体幅方向の角形
比を規定することで、高密度記録でしかも高出力の媒体
を得ることができる。また、多層構造による薄層磁性層
に適応する事で、膜厚損失を低減させ、さらに斜め配向
による高記録密度特性をもった高性能デジタル磁気記録
媒体を得る事ができる。さらに、媒体の保磁力とのマッ
チングのとれた飽和磁化を有するヘッドを使用すること
で、斜め配向された媒体を最も効果的に利用できる磁気
記録系を提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた塗布装置の概略を示す
【図2】図1中に示す斜め配向装置の概略を示す図
【図3】本発明のサンプルと比較例の記録密度特性を示
す図
【図4】本発明の実施例1と実施例2の記録密度特性を
示す図
【図5】(a)は本発明の実施例3にフェライトヘッド
で方形波を記録した時の再生波形を示す図 (b)は本発明の実施例3にアモルファスヘッドで方形
波を記録した時の再生波形を示す図 (c)は本発明の実施例3にセンダストヘッドで方形波
を記録した時の再生波形を示す図 (d)は本発明である実施例1にセンダストヘッドで方
形波を記録した時の再生波形を示す図
【図6】本発明の実施例3と実施例4のサンプルにセン
ダストヘッドとフェライトヘッドを用いて測定した記録
密度特性を示す図
【符号の説明】
1 磁性塗料を塗布した非磁性支持体 2、3、4 長手配向磁界発生装置 5 斜め配向磁界発生装置 6、7 乾燥風吹き付けノズル 8 乾燥炉 9 非磁性支持体の源反 10 非磁性支持体 11 磁性塗料 12 グラビアロール 21 長手方向磁界発生装置 22 磁芯 23 同上 24 コイル 25、26 ヨーク 27、28 直流電源 30 比較例3の記録密度特性 31 比較例1の記録密度特性 32 比較例2の記録密度特性 33 実施例1の記録密度特性 41 実施例2の記録密度特性 42 実施例1の記録密度特性 60 実施例3をセンダストヘッドで記録したときの記
録密度特性 61 実施例3をフェライトヘッドで記録したときの記
録密度特性 62 実施例4をセンダストヘッドで記録したときの記
録密度特性 63 実施例4をフェライトヘッドで記録したときの記
録密度特性

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に構成された磁性層が膜面
    内長手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向して
    いる磁気記録媒体であって、膜面内長手方向から膜面垂
    直方向に45度と135度の方向で磁化曲線を測定した
    とき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq135と
    した時、Sq135とSq45の小さい方の値と大きい
    方の値の比が0.8以下であり、かつ媒体の幅方向の角
    形比が0.4以下である事を特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】非磁性支持体上に少なくとも1層以上の磁
    性層を含む、2層以上の構造であり、最上層の磁性層の
    厚みが1μm以下であり、膜面内長手方向から膜面垂直
    方向に向かって斜めに配向している磁気記録媒体であっ
    て、最上層の磁性層は、膜面内長手方向から膜面垂直方
    向に測定した45度と135度の方向で磁化曲線を測定
    したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq13
    5とした時、Sq135とSq45の小さい方の値と大
    きい方の値の比が0.8以下であり、かつ最上層の磁性
    層は媒体の幅方向の角形比が0.4以下である事を特徴
    とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】非磁性支持体上に構成された磁性層が膜面
    内長手方向から膜面垂直方向に向かって斜めに配向して
    いる磁気記録媒体において、膜面内長手方向から膜面垂
    直方向に測定した45度と135度の方向で磁化曲線を
    測定したとき得られる角形比をそれぞれSq45、Sq
    135とした時、Sq135とSq45の小さい方の値
    と大きい方の値の比が0.8以下であり、かつ媒体幅方
    向の角形比が0.4以下である事を特徴とする磁気記録
    媒体と、媒体の保磁力の3倍以上、10倍以下の飽和磁
    化を持つ磁気ヘッドを用いて記録を行う事を特徴とする
    記録方法。
  4. 【請求項4】非磁性支持体上に少なくとも1層以上の磁
    性層を含む、2層以上の構造であり、最上層の磁性層の
    厚みが1μm以下である磁気記録媒体において、最上層
    の磁性層が膜面内長手方向から膜面垂直方向に向かって
    斜めに配向しており、最上層の磁性層は、膜面内長手方
    向から膜面垂直方向に測定した45度と135度の方向
    で磁化曲線を測定したとき得られる角形比をそれぞれS
    q45、Sq135とした時、Sq135とSq45の
    小さい方の値と大きい方の値の比が0.8以下であり、
    かつ最上層の磁性層は媒体幅方向の角形比が0.4以下
    である事を特徴とする磁気記録媒体と、媒体の保磁力の
    3倍以上、10倍以下の飽和磁化を持つ磁気ヘッドを用
    いて記録を行う事を特徴とする記録方法。
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