JPH0885814A - 脱炭滓を用いた効率的な含クロム溶鋼の精錬方法 - Google Patents

脱炭滓を用いた効率的な含クロム溶鋼の精錬方法

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JPH0885814A
JPH0885814A JP22222994A JP22222994A JPH0885814A JP H0885814 A JPH0885814 A JP H0885814A JP 22222994 A JP22222994 A JP 22222994A JP 22222994 A JP22222994 A JP 22222994A JP H0885814 A JPH0885814 A JP H0885814A
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Ryuji Nakao
隆二 中尾
Mayumi Okimori
麻佑巳 沖森
Hiroshi Iwasaki
央 岩崎
Hiroaki Morishige
博明 森重
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 含クロム溶鋼の脱炭精錬において生成したク
ロム酸化物を安価な方法で還元・回収するとともに、効
率的に還元および脱炭を行う。 【構成】 含クロム溶鋼の脱炭精錬において、脱炭精錬
された溶鋼を出鋼するに際し、脱炭精錬によって生成し
たクロム酸化物を15〜50mass%含むスラグを炉
内に残留させた状態で、温度が1400℃以上、〔C〕
濃度が1.2mass%以上の粗溶鋼を受鋼し、粗溶鋼
中の〔Si〕による還元終了時にクロム酸化物濃度が2
0mass%以下となるようにして還元を行う。 【効果】 還元用Si原単位、希釈ガス原単位の大幅な
低減がはかれ、精錬時間の短縮もはかれることから精錬
コストの大幅な低減が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は含クロム溶鋼の脱炭精錬
において、脱炭精錬によって生成したクロム酸化物を安
価な方法で還元してクロムを回収するとともに、効率的
に還元および脱炭を行う含クロム溶鋼の精錬方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレス鋼のような11mas
s%以上のクロムを含む含クロム溶鋼の脱炭精錬法とし
ては、脱炭中期以降(例えば〔C〕0.5mass%以
下)を減圧下で行う真空脱炭法および希釈ガスを吹込ん
で雰囲気中のCO分圧を下げる希釈脱炭法が広く用いら
れている。前者は一般にVOD法、後者はAOD法およ
び上底吹き転炉法と呼ばれている。これらの方法はいず
れも脱炭中期以降において溶鋼中〔Cr〕の酸化損失を
抑えながら、効率的に脱炭を進行させようとするもので
ある。しかしながら、〔C〕濃度が低下するにつれて
〔Cr〕の酸化が避けられないため、〔Cr〕酸化量が
増大する。
【0003】従来、溶鋼中〔Cr〕の酸化損失を抑える
ために、例えばVOD法では、特開昭55−89417
号公報や特開昭55−152118号公報に示されてい
るように、脱炭の進行に伴う酸素供給量の調整や、ある
いは100Torr以下の真空下での調整を行ってい
る。また、AOD法では、〔C〕濃度の低下に伴って希
釈ガスの比率を上げるような方法がとられている。
【0004】これらの方法ではスラグの役割の大半はス
プラッシュの抑制であり、脱炭の酸素源はガスとして供
給される酸素あるいは溶鋼中の酸素である。このため、
供給された酸素ガスによる溶鋼中〔Cr〕の酸化は避け
られず、この〔Cr〕の酸化により、スラグ中のクロム
酸化物(一般には(Cr2 3 )と書く)濃度が増大し
てスラグの融点が急激に上昇してくる。クロム酸化物濃
度は脱炭終了時には15〜50mass%にもなり、そ
の融点は1700℃以上の高温となってスラグは完全に
固相を形成してくる。
【0005】従来、このスラグを脱炭反応の酸素源とし
て使用し、クロム酸化物を還元して〔Cr〕を回収する
ため、および脱炭末期(例えば〔C〕0.1mass%
以下)での脱炭反応速度の上昇をはかるために、VOD
法では高真空化およびガス吹込み量の増大をはかってい
る。また、AOD法では特開平3−68713号公報お
よび特開平4−254509号公報に示されているよう
に、真空精錬の付与を行っている場合もある。しかし、
これらの方法ではスラグが固相を形成していること、お
よび脱炭初期(例えば〔C〕0.5mass%以上)に
比べ脱炭速度が非常に遅く、かつ脱炭量も小さいため
に、大きな効果は得られていない。このため、脱炭精錬
終了後、スラグ中のクロム等の有価金属を還元回収する
ためにSiやAl等の還元材を大量に投入して還元精錬
を行った後に出鋼している。
【0006】一方、これらの問題点を解決する方法とし
て、特開昭62−243711号公報および特開平6−
73424号公報が開示されている。これらの方法は、
クロム酸化物を多量に含むスラグを炉内に残留させ、新
たに受鋼した粗溶鋼中の〔C〕のみによって還元する方
法である。しかしながら、〔C〕のみによる還元では還
元速度が遅いために、クロム酸化物中の〔Cr〕を回収
するための十分な効果は得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、AO
Dのような転炉型の精錬容器を用いた含クロム溶鋼の脱
炭精錬において、脱炭精錬処理された溶鋼を出鋼するに
際し、クロム酸化物を多量に含むスラグを炉内に残留さ
せ、新たに受鋼した粗溶鋼によって還元する方法におい
て還元速度を高位に維持し、かつ効率よく行うことであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
有利に解決したものであり、その要旨とするところは下
記のとおりである。 (1)AODのような転炉型の精錬容器を用いた含クロ
ム溶鋼の脱炭精錬において、脱炭精錬された溶鋼を出鋼
するに際し、前記脱炭精錬処理によって生成したクロム
酸化物を15mass%以上かつ50mass%以下含
むスラグを出鋼時に炉内に残留させ、新たに受鋼した粗
溶鋼中の〔Si〕および〔C〕により前記クロム酸化物
を還元する方法において、前記クロム酸化物の量に応じ
て受鋼する粗溶鋼中の〔Si〕濃度を調整することを特
徴とする脱炭滓を用いた効率的な含クロム溶鋼の精錬方
法。
【0009】(2)粗溶鋼中の〔Si〕によるクロム酸
化物の還元終了時のスラグ中クロム酸化物濃度が20m
ass%以下となるように粗溶鋼中の〔Si〕濃度を調
整することを特徴とする前項(1)記載の脱炭滓を用い
た効率的な含クロム溶鋼の精錬方法。 (3)粗溶鋼の温度が1400℃以上であり、かつ
〔C〕濃度が1.2mass%以上であることを特徴と
する前項(1)記載の脱炭滓を用いた効率的な含クロム
溶鋼の精錬方法。
【0010】(4)粗溶鋼中の〔Si〕によるクロム酸
化物の還元終了時のスラグ塩基度が1.2〜1.8の範
囲になるように、脱炭精錬後のスラグ塩基度を調整する
ことを特徴とする前項(1)記載の脱炭滓を用いた効率
的な含クロム溶鋼の精錬方法。 (5)前記クロム酸化物の還元終了後、スラグのみを精
錬容器から排出し、続いて含クロム溶鋼の脱炭精錬を行
うことを特徴とする前項(1)記載の脱炭滓を用いた効
率的な含クロム溶鋼の精錬方法。
【0011】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の含クロム溶鋼の精錬方法は、AODのような転炉
型の精錬容器を用いた、図1に例示するような精錬工程
である。図1において、で目標〔C〕濃度までの脱炭
精錬を行い、で脱炭精錬で生成したクロム酸化物を含
むスラグを炉内残留させて、脱炭精錬処理された溶鋼の
みを出鋼する。次いで、で新たに粗溶鋼を受鋼し、
で炉内残留させたスラグの粗溶鋼による還元処理を行
い、で還元処理されたスラグのみを排出する。では
の脱炭精錬と同じ工程に戻る。従って、からを繰
り返すことにより、効率的な精錬方法となる。
【0012】なお、図中のaは炉体、bはスラグ、cは
溶鋼、dは羽口、eは取鍋、fはスラグ鍋を示す。本発
明は、クロム酸化物を含むスラグを新たに受鋼する粗溶
鋼で還元するに際し、粗溶鋼中に〔C〕以外に〔Si〕
を共存させ、かつクロム酸化物量に応じて〔Si〕濃度
を調整することによって、効率的な精錬を行うものであ
る。
【0013】図2にクロム酸化物を30mass%含む
スラグを約1500℃の温度を有する粗溶鋼で還元処理
した場合のスラグ中クロム酸化物濃度の時間変化を粗溶
鋼中の〔C〕濃度2.0mass%,〔Si〕濃度0.
01mass%の場合と〔C〕濃度2.0mass%、
〔Si〕濃度0.30mass%の場合を比較して示
す。粗溶鋼中に〔Si〕を含有させることによって、ク
ロム酸化物濃度の低減速度、すなわち還元速度が大きく
なることがわかる。従って、クロム酸化物を含むスラグ
の還元は、〔C〕単独で行うよりも、〔Si〕および
〔C〕により行う方が効率的である。
【0014】図3にクロム酸化物を30mass%含む
スラグを約1500℃の温度を有し、〔C〕濃度1.8
0mass%、〔Si〕濃度0.40mass%の粗溶
鋼で還元処理した場合の粗溶鋼中の〔Si〕および
〔C〕濃度の推移を示す。〔Si〕は初期に大きく減少
するが、〔C〕は徐々に減少していく。つまり、還元処
理は初期に〔Si〕の還元が進行することから、見かけ
上、〔Si〕還元終了後〔C〕による還元が進行すると
言える。本発明では〔Si〕による還元終了時の〔S
i〕濃度は0.1mass%を目安とした。
【0015】〔Si〕による還元ではスラグ組成が変化
するが、〔C〕による還元ではスラグ組成は変化しな
い。また、〔Si〕による還元ではスラグ組成の影響は
受けないが、〔C〕による還元ではスラグ組成、特にス
ラグ状態に影響を受ける。つまり、スラグが液相状態で
あれば還元速度は早いが、固相状態では遅くなる。この
ため、〔Si〕による還元が終了した時点でのスラグ組
成の調整が必要となる。
【0016】図4にクロム酸化物を含むスラグを約15
00℃の温度を有する粗溶鋼で還元処理を行った場合の
〔Si〕還元終了時のスラグ中クロム酸化物濃度と還元
指数の関係を示す。なお、還元指数はクロム酸化物濃度
が20mass%の場合の還元量の平均値を100とし
て指数化した値であり、また、還元前の粗溶鋼中の
〔C〕濃度は1.8〜2.0mass%で、〔Si〕還
元終了後5分間の還元処理を行ったものである。図4よ
りスラグ中クロム酸化物濃度が20mass%を超える
と急激に還元指数が低下することがわかる。つまり、ク
ロム酸化物の量に応じて粗溶鋼中の〔Si〕濃度の調整
を行えば、還元指数を高位に保つことが可能であり、特
に〔Si〕還元終了時のクロム酸化物濃度が20mas
s%以下になるように粗溶鋼中の〔Si〕濃度を調整す
れば効果的である。
【0017】図5にクロム酸化物を含むスラグを約15
00℃の温度を有する粗溶鋼で10分間の還元処理を行
った場合の還元前のクロム酸化物濃度と還元指数の関係
を示す。なお、還元指数はクロム酸化物濃度が50ma
ss%の場合の還元量の平均値を100として指数化し
た値であり、また、還元前の粗溶鋼中の〔C〕濃度は
2.0mass%、〔Si〕濃度は0.3mass%で
あった。図5よりスラグ中クロム酸化物濃度が50ma
ss%を超えると還元指数が急激に低下することがわか
る。また、クロム酸化物濃度が15mass%未満では
脱炭末期の脱炭速度が小さく、かつ脱炭終了後にスラグ
を残留させ、新たに受鋼した粗溶鋼で還元処理する場合
のクロム酸化物の還元量が小さくなるため、コスト低減
効果も小さくなる。従って、脱炭終了後に炉内に残留さ
せるスラグ中のクロム酸化物濃度としては、15mas
s%以上50mass%以下が必要である。
【0018】図6に約30mass%のクロム酸化物を
含むスラグを新たに受鋼した粗溶鋼で10分間の還元処
理を行った場合の粗溶鋼の温度と還元指数の関係を示
す。なお、還元指数は粗溶鋼の温度が1400℃の場合
のクロム酸化物の還元量の平均値を100として指数化
した値である。また、還元前の粗溶鋼中の〔C〕濃度は
2.0mass%、〔Si〕濃度は0.3mass%で
あった。図6からわかるように、粗溶鋼の温度が140
0℃未満では急激に還元指数が低下することから、温度
としては1400℃以上が好適である。
【0019】図7に約30mass%のクロム酸化物を
含むスラグを炉内に残留させ、新たに受鋼した約150
0℃の温度を有する粗溶鋼で10分間の還元処理を行っ
た場合の粗溶鋼中の〔C〕濃度と還元指数の関係を示
す。なお、還元指数は〔C〕濃度1.2mass%の場
合のクロム酸化物の還元量の平均値を100として指数
化した値である。図7からわかるように、〔C〕濃度
1.2mass%未満では急激に還元指数が低下するこ
とから、粗溶鋼中の〔C〕濃度は1.2mass%以上
が好適である。
【0020】図8にクロム酸化物を含むスラグを約15
00℃の温度を有する粗溶鋼で還元処理を行った場合の
〔Si〕還元終了時(〔Si〕≦0.10mass%に
なった時)のスラグ塩基度(=(CaO)/(Si
2 ))と還元指数の関係を示す。なお、還元指数はス
ラグ塩基度1.2の場合のクロム酸化物の還元量の平均
値を100として指数化した値であり、粗溶鋼中の
〔C〕濃度は約2.0mass%であった。図8からわ
かるように、スラグ塩基度が1.2未満では急激に還元
指数が低下することから、スラグ塩基度は1.2以上が
必要である。また、スラグ塩基度を1.2を超えて高く
しても還元指数は増加せず、1.8を超えると逆に徐々
に低下する傾向にある。スラグ塩基度は高すぎるとCa
Oの添加量の増大を招くことから、スラグ塩基度として
は1.2以上1.8以下が好ましい。
【0021】スラグ中のクロム酸化物の還元終了後、そ
のまま脱炭精錬を行うことは可能である。しかし、その
まま脱炭精錬を行った場合には、スラグ量が大幅に増大
し、かつ溶鋼中の〔Cr〕酸化量も増大することから、
クロム酸化物の還元終了後、スラグのみを精錬容器より
排出し、続いて脱炭精錬を行うことが効率的である。以
上より、含クロム溶鋼の脱炭精錬において、脱炭精錬処
理によって生成したクロム酸化物を15mass%以上
かつ50mass%以下含むスラグを炉内に残留させ、
新たに受鋼した粗溶鋼でクロム酸化物を還元するには、
クロム酸化物の量に応じて粗溶鋼中の〔Si〕濃度を調
整することが効果的であり、さらに効率的に進める条件
として、スラグ塩基度および粗溶鋼中〔C〕濃度、温度
等の好適条件が導出された。
【0022】実際の操業では脱炭精錬時の脱炭効率より
クロム酸化物の生成量を把握することが可能であり、添
加したCaOやCaF2 の量からスラグ量も推定でき
る。この情報をもとに、粗溶鋼の調整すべき〔Si〕濃
度、〔C〕濃度等の条件がわかり、この条件に合う粗溶
鋼で還元処理することで効率的な精錬が可能である。
【0023】
【作用】一般にステンレス鋼のような11mass%以
上のクロムを含む含クロム溶鋼では、脱炭精錬により
[C]濃度0.1mass%以下まで脱炭される。この
場合の脱炭反応は(1)式で表わされ、平衡定数Kco
(2)式で表わされる。 =CO(g) …(1) Kco=Pco/(ac ・ao …(2) ここで、ac ,ao は溶鋼中の〔C〕および〔O〕の活
量、Pcoは雰囲気中のCO分圧(atm)で示す。
【0024】含クロム溶鋼では溶鋼中の〔Cr〕がac
およびao を低下させるため、〔C〕濃度の低下に伴っ
て(3)式で示される溶鋼中の〔Cr〕の酸化が避けら
れず、AOD法やVOD法のようにPcoを下げても、こ
の反応は進行する。 2Cr+3=(Cr2 3 ) …(3) 脱炭精錬終了時にはスラグ中(Cr2 3 )濃度は15
mass%以上の高濃度になり、スラグは固化する。
〔Cr〕は有価な金属であり、回収する必要がある。こ
のため、これまでは脱炭終了後、SiやAl等の還元材
を大量に投入して還元精錬を行ってきた。そのために精
錬コストの増大を招いていた。
【0025】これらの問題点を解決する方法として、特
開昭62−243711号公報や特開平6−73424
号公報記載の方法が示されている。これらの方法は、ク
ロム酸化物を多量に含むスラグを炉内に残留させ、新た
に受鋼した粗溶鋼中の〔C〕のみによって還元する方法
である。この場合の反応は(4)式で表わされる。 (Cr2 3 )+3=2Cr+3CO(g) …(4) (4)式の反応はスラグが液相状態ではある程度の速度
が得られるが、固相状態では非常に遅く、還元処理に長
時間を要するため、非効率的である。そこで、この問題
点を解消する方法として、スラグ中のクロム酸化物の一
部を(5)式で示される粗溶鋼中の〔Si〕で還元する
方法を見出した。
【0026】 2(Cr2 3 )+3Si=4Cr+3(SiO2 ) …(5) (5)式の反応は(4)式の反応に比べて非常に速く、
粗溶鋼中に〔Si〕および〔C〕が含まれる場合には、
みかけ上、(5)式の反応終了後、(4)式の反応が進
行する。(5)式の反応の進行でスラグ組成が変化し、
(5)式の反応の終了時にスラグ中のクロム酸化物濃度
が20mass%以下であれば、スラグは液相あるいは
半液相状態になり、(4)式の反応も効率的に進行する
ことを見出した。さらに、(5)式および(4)式の反
応を効率的に進めさせる条件として、粗溶鋼の温度およ
び組成の好適な条件を見出した。
【0027】
【実施例】SUS304ステンレス鋼(8mass%N
i−18mass%Cr)60ton処理において、図
1に示す実施態様で実施した。脱炭精錬終了時の目標の
〔C〕濃度は全て0.05mass%であり、目標の
〔C〕濃度まで脱炭する間に溶鋼中〔Cr〕の酸化が進
行し、スラグ中のクロム酸化物濃度が増大した。このス
ラグを出鋼時に炉内に残留させ、新たに受鋼した粗溶鋼
により還元処理を行った。還元処理はArあるいはN2
の不活性ガスを2000Nm3 /Hrの流量で吹込み、
10分間処理した。還元処理後、スラグのみを排出し、
引き続き粗溶鋼の脱炭精錬を実施した。
【0028】表1に実施例の条件を示す。本発明の実施
例は脱炭精錬時の情報より、粗溶鋼の組成等の条件が先
に示した条件を満足するように実施した。比較例のN
o.7は従来法として行われている特開昭62−243
711号公報記載の方法に準じて行った例であり、比較
例のNo.8は脱炭精錬終了後、スラグ中クロム酸化物
を還元するためにSiを添加して還元処理を行った後に
溶鋼およびスラグを同時に出鋼した例であり、比較例の
No.9〜No.11は処理の条件が本発明の条件外の
例である。
【0029】実施結果を表2に示す。表中の値は比較例
のNo.7の結果を100として、全て比例換算した値
である。本発明例では、スラグ中のクロム酸化物の還元
を促進する条件で行っているので精錬時間および精錬コ
ストに大きな差は表われていないが、比較例では、特に
No.8の例では精錬コストが非常に高くなっている。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明法によると、含クロム溶鋼の精錬
において、還元用Si原単位、希釈ガス原単位の大幅な
低下がはかれ、またクロム酸化物の還元が促進されるた
めに精錬時間の短縮がはかれることから、精錬コストの
大幅な低減が可能になる。さらに、脱炭精錬終了後、ス
ラグは炉内に残留させることから、溶鋼中へのスラグ捲
き込み量が低減し、製品の品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を説明する図であり、は脱
炭精錬工程、はスラグを炉内に残留させ溶鋼のみを出
鋼する工程、は粗溶鋼の受鋼工程、はスラグの還元
処理工程、はスラグの排出工程、は脱炭精錬工程を
示す。
【図2】本発明法におけるクロム酸化物の〔Si〕およ
び〔C〕による還元法の効果を示す図である。
【図3】本発明法における粗溶鋼中の〔Si〕による還
元終了時の定義を示す図である。
【図4】本発明法における粗溶鋼中の〔Si〕による還
元終了時のスラグ中クロム酸化物濃度の限定理由を示す
図である。
【図5】本発明法における炉内に残留させるスラグ中の
クロム酸化物の上限の限定理由を示す図である。
【図6】本発明法における新たに受鋼する粗溶鋼の温度
の限定理由を示す図である。
【図7】本発明法における新たに受鋼する粗溶鋼の
〔C〕濃度の限定理由を示す図である。
【図8】本発明法における粗溶鋼中の〔Si〕による還
元終了時のスラグの塩基度の限定理由を示す図である。
【符号の説明】
a 炉体 b スラグ c 溶鋼 d 羽口 e 取鍋 f スラグ鍋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森重 博明 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AODのような転炉型の精錬容器を用い
    た含クロム溶鋼の脱炭精錬において、脱炭精錬された溶
    鋼を出鋼するに際し、前記脱炭精錬処理によって生成し
    たクロム酸化物を15mass%以上かつ50mass
    %以下含むスラグを出鋼時に炉内に残留させ、新たに受
    鋼した粗溶鋼中の〔Si〕および〔C〕により前記クロ
    ム酸化物を還元する方法において、前記クロム酸化物の
    量に応じて受鋼する粗溶鋼中の〔Si〕濃度を調整する
    ことを特徴とする脱炭滓を用いた効率的な含クロム溶鋼
    の精錬方法。
  2. 【請求項2】 粗溶鋼中の〔Si〕によるクロム酸化物
    の還元終了時のスラグ中クロム酸化物濃度が20mas
    s%以下となるように粗溶鋼中の〔Si〕濃度を調整す
    ることを特徴とする請求項1記載の脱炭滓を用いた効率
    的な含クロム溶鋼の精錬方法。
  3. 【請求項3】 粗溶鋼の温度が1400℃以上であり、
    かつ〔C〕濃度が1.2mass%以上であることを特
    徴とする請求項1記載の脱炭滓を用いた効率的な含クロ
    ム溶鋼の精錬方法。
  4. 【請求項4】 粗溶鋼中の〔Si〕によるクロム酸化物
    の還元終了時のスラグ塩基度が1.2〜1.8の範囲に
    なるように、脱炭精錬後のスラグ塩基度を調整すること
    を特徴とする請求項1記載の脱炭滓を用いた効率的な含
    クロム溶鋼の精錬方法。
  5. 【請求項5】 前記クロム酸化物の還元終了後、スラグ
    のみを精錬容器から排出し、続いて含クロム溶鋼の脱炭
    精錬を行うことを特徴とする請求項1記載の脱炭滓を用
    いた効率的な含クロム溶鋼の精錬方法。
JP22222994A 1994-09-16 1994-09-16 脱炭滓を用いた効率的な含クロム溶鋼の精錬方法 Withdrawn JPH0885814A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101301439B1 (ko) * 2011-12-01 2013-08-28 주식회사 포스코 스테인리스강 에이오디 정련로의 고속 탈탄 방법
EP4212636A4 (en) * 2020-09-10 2024-03-06 Jfe Steel Corp METHOD FOR PRODUCING CHROME-CONTAINED MELTED IRON

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