JPH0882486A - 溶銑鍋用中子装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶銑鍋の胴部の耐火物築造時に、溶銑鍋の出
銑口部の耐火物も同時に築造でき、これにより溶銑鍋の
耐火物を作業性良く短時間で築造できる溶銑鍋用中子装
置を提供する。 【構成】 溶銑鍋１１の上方突出した出銑口１１ａに対
応する突出部１５が上部に形成された型枠１２を有する
溶銑鍋用中子装置１０であって、最上部に不定形耐火物
１３の流し込み口１６ａを残して、溶銑鍋１１と型枠１
２との隙間の上部開口部１６を閉蓋させる多数の分割蓋
手段１７を、型枠１２の突出部１５に並設させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶銑鍋用中子装置に係
り、更に詳しくは、溶銑鍋の胴部の耐火物築造時に、溶
銑鍋の出銑口部の耐火物も同時に築造でき、これにより
溶銑鍋の耐火物を作業性良く短時間で築造できる溶銑鍋
用中子装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、溶銑鍋用の中子装置としては、例
えば特公昭５１−９４４号公報の「円筒体等のライニン
グ築造装置における離脱機構付成形用中子」に記載され
ているような、円筒形の型枠を有する中子装置が使用さ
れていた。この中子装置により溶銑鍋の内周面に耐火物
を築造する際には、まず溶銑鍋内に中子装置を入れて、
溶銑が溢れ出さない胴部までを不定形耐火物により築造
し、その後、この胴部上に積み上げるように、傾斜状態
で突出した出銑口部に手作業で不定形耐火物を塗り付け
て築造していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術の中子装置においては、このように、溶銑鍋の出銑口
部が胴部より上方へ突出しているので、不定形耐火物の
流し込みができず、作業者が不定形耐火物を塗り付けて
築造しており、このために作業性が悪く、築造時間が長
くなるという問題点があった。

【０００４】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、溶銑鍋の胴部の耐火物築造時に、溶銑鍋の出銑口部
の耐火物も同時に築造でき、これにより溶銑鍋の耐火物
を作業性良く短時間で築造できる溶銑鍋用中子装置を提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項１
記載の溶銑鍋用中子装置は、溶銑鍋の上方突出した出銑
口に対応する突出部が上部に形成された型枠を有する溶
銑鍋用中子装置であって、最上部に不定形耐火物の流し
込み口を残して、前記溶銑鍋と前記型枠との隙間の上部
開口部を閉蓋させる多数の分割蓋手段を、前記型枠の突
出部に並設させるように構成されている。

【０００６】また、請求項２記載の溶銑鍋用中子装置
は、請求項１記載の溶銑鍋用中子装置において、前記分
割蓋手段が、垂直方向へ回動する回動アームの先端部
に、ハンドル操作により高さ調整ネジを進退させる高さ
調整部を取り付け、しかも前記高さ調整ネジの先端部
に、前記上部開口部を塞ぐ蓋板を固着し、さらに前記回
動アームの元部に回動ストッパを設けるように構成され
ている。

【０００７】

【作用】請求項１、２記載の溶銑鍋用中子装置において
は、溶銑鍋内に溶銑鍋用中子装置を入れてから、最上部
に不定形耐火物の流し込み口を残して、多数の分割蓋手
段により、溶銑鍋と型枠との隙間の上部開口部を閉蓋さ
せ、その後、流し込み口から溶銑鍋と型枠との間に不定
形耐火物を流し込むので、突出した出銑口の部分であっ
ても、前記上部開口部から、この流し込まれた不定形耐
火物が漏れることはなく、これにより溶銑鍋の胴部の耐
火物築造時に、溶銑鍋の出銑口部の耐火物も同時に築造
できて、溶銑鍋の耐火物を作業性良く短時間で築造でき
る。

【０００８】特に、請求項２記載の溶銑鍋用中子装置に
おいては、溶銑鍋内に溶銑鍋用中子装置を入れてから回
動アームを垂直方向へ回動させ、その後、回動アームを
回動ストッパにより固定させると共に、必要に応じ、ハ
ンドルにより高さ調整部の高さ調整ネジを進退させて蓋
板の高さを調整してから、溶銑鍋と型枠との隙間の上部
開口部を蓋板により塞ぐので、低コストで故障の少ない
簡単な構造でもって、上部開口部の閉蓋ができる。

【０００９】

【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明
を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここに、図１は本発明の一実施例に係る溶銑鍋用中
子装置の要部縦断面図、図２は同要部平面図、図３は分
割蓋手段の拡大正面図、図４は分割蓋手段の使用状態を
示す拡大側面図、図５は回動アームの軸着部の背面図で
ある。

【００１０】図１に示すように、本発明の一実施例に係
る溶銑鍋用中子装置１０は、上方突出した出銑口１１ａ
が設けられた溶銑鍋１１内に、クレーンにより吊り込ま
れる型枠１２を有し、溶銑鍋１１の内周面と、型枠１２
の外周面との隙間１４に不定形耐火物１３を流し込んで
これを養生固化し、その後、固化された不定形耐火物１
３の内周面から型枠１２を剥ぎ取って撤去することによ
り、溶銑鍋１１の内側に不定形耐火物１３からなる耐火
物を築造する装置である。

【００１１】本発明の溶銑鍋用中子装置１０の特徴は、
図１、２に示すように、型枠１２の上部に、溶銑鍋１１
の出銑口１１ａに対応する突出部１５が形成され、最上
部に不定形耐火物１３の流し込み口１６ａを残して、溶
銑鍋１１と型枠１２との隙間１４の上部開口部１６を閉
蓋させる多数の分割蓋手段１７を、型枠１２の突出部１
５に並設させた点にある。次に、図３〜５を参照して分
割蓋手段１７を詳細に説明する。なお、ここでは図１の
実線円Ａで囲われたものを例に説明し、他の部分の分割
蓋手段１７は若干形状が異なるものの同一構造であるの
で、説明を省略する。

【００１２】図４、５に示すように、分割蓋手段１７
は、型枠１２の突出部１５の内周面に固着された水平板
１８上に取り付けられている。分割蓋手段１７は、Ｌ字
形の一対の回動アーム１９を有しており、それぞれの回
動アーム１９は、水平板１８に元部が固着された一対の
取り付け板２０間に挟まれて、回動ピン２１により、図
４二点鎖線位置から同図実線位置まで、垂直方向へ回動
可能に取り付けられている。回動アーム１９の元部１９
ａと、取り付け板２０の上部中央には、ストッパ孔２２
が形成されている。

【００１３】図３、４に示すように、それぞれの回動ア
ーム１９の先端部には、摺動板２３の両端部に形成され
たガイドリング２４が固着されており、それぞれのガイ
ドリング２４に、ガイドロッド２５が遊挿されている。
両ガイドロッド２５の先端には、上部開口部１６を部分
的に塞ぐ横長の蓋板２６が固着されている。なお、ガイ
ドロッド２５の元部には、抜け止め用のナット２５ａが
螺合されている。

【００１４】摺動板２３の中間部にはナット２７が固着
されており、ナット２７に高さ調整ネジ２８が螺合され
ている。高さ調整ネジ２８の先端部は蓋板２６の中央部
の裏面に回転可能に取り付けられており、その元部には
ハンドル２９が固着されている。ハンドル２９を回転さ
せると、高さ調整ネジ２８が回転し、これによりガイド
ロッド２５がガイドリング２４に沿って矢印方向へ移動
して、蓋板２６の高さが変化する。これらの構成部品２
３〜２５、２５ａ、２７、２８により高さ調整部が構成
される。図４において、符号３０はピン状の回動ストッ
パ、符号３１は不定形耐火物１３の流し込みガイド、符
号３２は流し込みガイド３１の元部外面に設けられた蓋
板２６の閉蓋ガイドを示している。

【００１５】続いて、本発明の一実施例に係る中子装置
１０の動作を説明する。図１に示すように、溶銑鍋１１
内に溶銑鍋用中子装置１０を入れ、最上部に不定形耐火
物１３の流し込み口１６ａを残して、分割蓋手段１７に
より、溶銑鍋１１と型枠１２との隙間１４の上部開口部
１６を閉蓋させる。すなわち、回動アーム１９を図４矢
印の垂直方向へ回動させて、回動アーム１９を図４実線
位置に配置し、その後、重なった回動アーム１９および
取り付け板２０の両ストッパ孔２２に、回動ストッパ３
０を一連に挿通させることにより、回動アーム１９を固
定する（図５参照）。

【００１６】それから、必要に応じ、ハンドル２９を回
転させて、高さ調整ネジ２８を進退させることにより蓋
板２６の高さを調整し、溶銑鍋１１と型枠１２との隙間
１４の上部開口部１６を蓋板２６により塞ぐようにした
ので、低コストで故障の少ない簡単な構造でもって、上
部開口部１６の閉蓋ができる。その後、流し込み口１６
ａから溶銑鍋１１と型枠１２との隙間１４に不定形耐火
物１３を流し込めば、傾斜形状の出銑口１１ａの部分で
あっても、斜めになった上部開口部１６から、この流し
込まれた不定形耐火物１３が漏れ出ることはなく、これ
により溶銑鍋１１の胴部の不定形耐火物１３による耐火
物築造と同時に、溶銑鍋１１の出銑口１１ａの部分も同
時に築造でき、溶銑鍋１１の耐火物を作業性良く短時間
で築造できる。

【００１７】以上、本発明を説明したが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しな
い範囲での設計などの変更があっても本発明に含まれ
る。例えば、分割蓋手段は、実施例に示したような、回
動アームと、ハンドルや高さ調整ネジを有する高さ調整
部と、蓋板と、回動ストッパとを備えたものに限定しな
くても、溶銑鍋と型枠との隙間の上部開口部を閉蓋でき
れば、その他どのような構造のものでもよい。

【００１８】

【発明の効果】請求項１、２記載の溶銑鍋用中子装置に
おいては、このように最上部に不定形耐火物の流し込み
口を残して、分割蓋手段により、溶銑鍋と型枠との隙間
の上部開口部を閉蓋させ、その後、流し込み口から溶銑
鍋と型枠との間に不定形耐火物を流し込むようにしたの
で、胴部より上方へ突出した出銑口の部分であっても、
流し込まれた不定形耐火物が外へ漏れず、これにより溶
銑鍋の胴部と出銑口部の耐火物を同時に築造できて、溶
銑鍋の耐火物を、作業性良く短時間で築造できる。

【００１９】特に、請求項２記載の溶銑鍋用中子装置に
おいては、回動アームを垂直方向へ回動させて回動スト
ッパにより固定し、また必要に応じて、ハンドル操作に
より蓋板の高さを調整し、溶銑鍋と型枠との隙間の上部
開口部を塞ぐようにしたので、低コストで故障の少ない
簡単な構造により上部開口部の閉蓋ができ、しかも上部
開口部の高さに合わせて自由に蓋板の高さを調整でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る溶銑鍋用中子装置の要
部縦断面図である。

【図２】同要部平面図である。

【図３】分割蓋手段の拡大正面図である。

【図４】分割蓋手段の使用状態を示す拡大側面図であ
る。

【図５】回動アームの軸着部の背面図である。

【符号の説明】 １０ 溶銑鍋用中子装置 １１ 溶銑鍋 １１ａ 出銑口 １２ 型枠 １３ 不定形耐火物 １４ 隙間 １５ 突出部 １６ 上部開口部 １６ａ 流し込み口 １７ 分割蓋手段 １８ 水平板 １９ 回動アーム １９ａ 元部 ２０ 取り付け板 ２１ 回動ピン ２２ ストッパ孔 ２３ 摺動板 ２４ ガイドリング ２５ ガイドロッド ２５ａ ナット ２６ 蓋板 ２７ ナット ２８ 高さ調整ネジ ２９ ハンドル ３０ 回動ストッパ ３１ 流し込みガイド ３２ 閉蓋ガイド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鐘ヶ江 安則 大分県大分市大字西ノ洲１番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 中脇 幸七 大分県大分市大字西ノ洲１番地 九築工業 株式会社大分支店内 (72)発明者 高柳 芳威 大分県大分市大字西ノ洲１番地 九築工業 株式会社大分支店内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶銑鍋の上方突出した出銑口に対応する
   突出部が上部に形成された型枠を有する溶銑鍋用中子装
   置であって、 最上部に不定形耐火物の流し込み口を残して、前記溶銑
   鍋と前記型枠との隙間の上部開口部を閉蓋させる多数の
   分割蓋手段を、前記型枠の突出部に並設させたことを特
   徴とする溶銑鍋用中子装置。
2. 【請求項２】 前記分割蓋手段が、垂直方向へ回動する
   回動アームの先端部に、ハンドル操作により高さ調整ネ
   ジを進退させる高さ調整部が取り付けられ、しかも前記
   高さ調整ネジの先端部に、前記上部開口部を塞ぐ蓋板が
   固着され、さらに前記回動アームの元部に回動ストッパ
   が設けられたものであることを特徴とする請求項１記載
   の溶銑鍋用中子装置。