JPH0873541A - 軟質フッ素樹脂の製造方法 - Google Patents

軟質フッ素樹脂の製造方法

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JPH0873541A
JPH0873541A JP21753094A JP21753094A JPH0873541A JP H0873541 A JPH0873541 A JP H0873541A JP 21753094 A JP21753094 A JP 21753094A JP 21753094 A JP21753094 A JP 21753094A JP H0873541 A JPH0873541 A JP H0873541A
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親史 川島
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章 石原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 含フッ素弾性共重合体への含フッ素単量体の
グラフト重合法において、第3ブチルアルコール、水お
よび酢酸エチルを反応媒体とする際に、反応速度が高
く、得られた軟質フッ素樹脂は熱的安定性に優れ、且つ
反応媒体が繰り返し使用可能となる反応媒体系を提供す
る。 【構成】 反応媒体に水酸化バリウムおよび任意にリン
酸二水素カリウムなどを添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟性を有する軟質フ
ッ素樹脂の製造方法に関し、さらに詳しくは幹ポリマー
に結晶性のポリマーをグラフト共重合する場合の反応媒
体に関する。
【0002】
【従来技術】ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素
樹脂は水系の媒体中での懸濁重合あるいは乳化重合で製
造されることが多い。特にフッ素系モノマーの共重合体
であるゴム組成の共重合体では工業的には殆どが水系の
懸濁重合または乳化重合で製造されている。これは水系
の媒体においては、ラジカルの連鎖移動や媒体へのモノ
マーの溶解における選択性に問題が少ないからである。
【0003】特殊なフッ素樹脂として、特開昭58−2
06615号公報に開示されている軟質フッ素樹脂は、
第一段階において製造した分子内にペルオキシ結合を含
有し、且つそのガラス転移温度が室温以下である含フッ
素弾性共重合体に、第二段階において融点が130℃以
上である結晶性重合体を与える少なくとも一種の含フッ
素単量体を含む一種以上の単量体をグラフト共重合させ
て製造されるが、一般には第一段階で得られる含フッ素
弾性共重合体は、第二段階で重合させる前に予め精製・
乾燥等の操作を施しておくことが最終製品の品質の上か
ら好ましい。
【0004】しかし、製造プロセスの点からは、この様
な精製・乾燥等はコスト面で望ましくないので、本発明
者らは、既に係る工程を省略し得る第二段階のグラフト
共重合法として、グラフト共重合に第3ブチルアルコー
ルと水を含む媒体を使用することを提案した。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】軟質フッ素樹脂の製造
におけるグラフト共重合に第3ブチルアルコールと水を
含む媒体を使用して懸濁重合すると、モノマーの種類に
よっては重合速度が若干低下するという現象が見られ
る。
【0006】フッ素系モノマーの重合において、重合速
度を高めるために、各種の添加剤が使用されているが、
それらの働きについては明確ではなく、過酸化物開始剤
やレドックス開始剤の分解促進剤として作用したり、反
応系のpHを調節したりする作用があるものと思われ
る。
【0007】分解促進剤としては、クロロトリフルオロ
エチレンのレドックス重合におけるヨウ化カリウム、硝
酸銀、硫酸銅などが検討されており、その作用は解明さ
れているのに対し、pH濃度については、例えば、クロ
ロトリフルオロエチレンの懸濁重合についてpHと反応
率の関係が調べられているが、それによるとpHが酸性
とアルカリ性の二箇所に極大点があることからもその原
因の複雑さが窺える。
【0008】本発明では、その作用機構についてはとも
かく、製品の品質を維持し且つ工業的に採用可能な方法
であって、充分な重合速度を有するグラフト共重合法を
提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、分子内に
ペルオキシ結合を含有し、且つそのガラス転移温度が室
温以下である含フッ素弾性共重合体に、第3ブチルアル
コール、水およびカルボン酸エステルを含んでなる反応
媒体の水性乳濁液または分散溶媒中で融点が130℃以
上である結晶性重合体を与える少なくとも一種の含フッ
素単量体を含む一種以上の単量体をグラフト共重合させ
る方法について検討したところ、反応媒体が金属の水酸
化物を含むことで、重合速度を向上させることができ、
特に水酸化バリウムを使用した場合には、最終製品であ
る軟質フッ素樹脂の熱安定性の向上も併せ達成できるこ
とが見出され、本発明を完成した。
【0010】さらに検討を進めたところ、少なくとも第
3ブチルアルコールと水を含む反応媒体のうち、好まし
い第3ブチルアルコール/水/カルボン酸エステルを使
用する場合には、さらに特定の添加剤を加えることが有
効であることを見出した。
【0011】すなわち、本発明は分子内にペルオキシ結
合を含有し、且つそのガラス転移温度が室温以下である
含フッ素共重合体に、第3ブチルアルコール、水および
カルボン酸エステルを含んでなる反応媒体の水性乳濁液
または分散溶媒中で融点が130℃以上である結晶性重
合体を与える少なくとも一種の含フッ素単量体を含む一
種以上の単量体を、グラフト共重合させる共重合方法に
おいて、反応媒体が水酸化バリウムを含むことを特徴と
するグラフト共重合方法であり、反応媒体が第3ブチル
アルコール/水/カルボン酸エステルである場合に一般
的にpHを調節する目的で用いられる添加剤を加えるこ
とを特徴とするグラフト共重合方法である。
【0012】本発明のグラフト共重合における反応媒体
は、少なくとも第3ブチルアルコールおよび水を含む
が、それ以外に含フッ素弾性共重合体を一部または完全
に溶解または膨潤させ得る溶媒を併せ含むことが必要で
ある。そのような溶媒は、ケトン系溶媒、カルボン酸エ
ステル、塩素系溶媒などであり、例えば、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、酢酸エ
チル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブ
チル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸
エチル、二塩化エタン、テトラクロロエチレン、トリク
ロロエチレン、トリクロロエタン、クロロホルム、塩化
メチレン、クロロベンゼンなどを挙げることができる。
【0013】第3ブチルアルコールと水と他の溶媒の比
率は、含フッ素共重合体の組成、グラフト共重合させる
モノマーの種類により、また、他の溶媒の種類により適
宜選択されるが、通常は、第3ブチルアルコールと水の
合計重量を全反応媒体の50〜95重量%とすることが
好ましい。これらの範囲では含フッ素弾性共重合体は固
体表面が媒体に若干膨潤し、攪拌により媒体中に微粒化
して分散することができる。しかも、グラフト共重合に
より生成した軟質フッ素樹脂は媒体中に微粒子として存
在し、そのスラリーの取り扱いおよび樹脂のろ別は極め
て容易に行なえる。
【0014】また、第3ブチルアルコールと水の比率
は、含フッ素共重合体の組成、グラフト共重合させるモ
ノマーの種類により、また、他の溶媒の種類により適宜
選択されるが、通常は、第3ブチルアルコール/水の重
量比を95/5〜5/95、好ましくは90/10〜2
0/80、より好ましくは80/20〜40/60であ
る。
【0015】この様な第3ブチルアルコールと水を含む
反応媒体は、均一系として存在するようにその組成を決
定する。例えば、他の溶媒として酢酸エチルを選んだ場
合には、第3ブチルアルコール/水を重量比で30/7
0〜60/40、全反応媒体に占める酢酸エチルは25
〜50重量%程度が好ましい。
【0016】本発明において重合速度の向上を目的とす
る限りでは、金属の水酸化物は、特に限定されず、水に
溶解した時に塩基性を呈するものであればよく、例え
ば、アルカリ金属であるリチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウムなど、アルカリ土類金属であ
るマグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウ
ムなどの水酸化物、酸化物などが使用できる。しかし、
これらのうち水酸化バリウムが特に好ましい。なぜなら
ば、水酸化バリウム以外の上記金属水酸化物を使用する
といずれの場合も得られた軟質フッ素樹脂の熱的安定性
が低下するという欠陥が副次的に現れるからである。
【0017】水酸化バリウムの添加量は、反応媒体10
0重量部に対し、0.001〜10重量部であり、0.
01〜5重量部が好ましい。0.001重量部以下で
は、添加した効果がなく、10重量部以上では反応媒体
の組成によっては溶解できないことがあり好ましくな
い。
【0018】ところで、グラフト共重合に使用した反応
媒体は繰り返して使用することが経済的に必要である
が、第3ブチルアルコール/水/カルボン酸エステルの
混合系に水酸化バリウムを添加して使用すると、繰り返
し使用することができないということが判明した。その
理由は明確ではないが、塩基性の水酸化バリウムを添加
することでエステルの加水分解反応が加速され連鎖移動
剤として作用するアルコールの生成が起こるためと推定
された。
【0019】そこで、係る問題を解決するために各種の
添加剤を検討したところ、理由は明確ではないが、pH
の調節を目的に使用される添加剤が有効であることが判
明した。本発明で使用する係る添加剤は、リン酸二水素
カリウム、リン酸水素二カリウム、フタル酸水素カリウ
ム、クエン酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、クエン
酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水
素二ナトリウムなどを挙げることができ、リン酸二水素
カリウムが特に好ましい。
【0020】これらの添加剤は、水酸化バリウム100
重量部に対して1〜1000重量部程度使用する。1重
量部以下ではカルボン酸エステルの加水分解を抑制する
ことができず、1000重量部以上加えても効果に差が
ないので必要がない。
【0021】本発明に係る含フッ素弾性共重合体の共重
合成分である含フッ素単量体は、分子中に1個以上のフ
ッ素原子を有し、かつ重合性の二重結合を持つ化合物で
あればよいが、特にエチレン、プロピレンまたはブテン
の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換され
た化合物が好ましい。この様な化合物を例示すると、フ
ッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ
ピレン、テトラフルオロエチレンなどを挙げることがで
きる。
【0022】また、上記の含フッ素単量体と共重合する
単量体は特に限定されず、エチレン、プロピレン、ブテ
ンなどの炭化水素系オレフィン、ブタジエンなどの炭化
水素系の共役ジエン、含フッ素ビニルエーテルなどを例
示することができる。
【0023】この様な含フッ素単量体から得られる共重
合体として、本発明において好ましいフッ素ゴムの特性
を有する共重合体を与える組み合わせを例示すれば、フ
ッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロ
エチレン、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレン−プロピレン、テトラフ
ルオロエチレン−含フッ素ビニルエーテル、炭化水素系
の共役ジエン−含フッ素単量体などを挙げることができ
る。これらの組成比は目的とする含フッ素弾性共重合体
の機械的特性、特に柔軟性に基づいて当該分野の知識を
基に適宜選択することができる。例えば、フッ化ビニリ
デン−クロロトリフルオロエチレンの場合、フッ化ビニ
リデンが50〜85モル%をゴム弾性を呈する好ましい
範囲として示すことができる。
【0024】本発明において含フッ素単量体と共重合さ
せる不飽和ペルオキシドは、特に限定されないが、具体
的に例示すれば、不飽和ペルオキシエステルとしては、
t−ブチルペルオキシメタクリレート、ジ(t−ブチル
ペオキシ)フマレート、t−ブチルペルオキシクロトネ
ートなどが挙げられ、不飽和ペルオキシカーボネートと
しては、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t
−ヘキシルペルオキシアリルカーボネート、1,1,
3,3−テトラメチルペルオキシアリルカーボネート、
t−ブチルペルオキシメタリルカーボネート、1,1,
3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタリルカーボ
ネート、p−メンタンペルオキシアリルカーボネート、
p−メンタンペルオキシメタリルカーボネート等が例示
できる。これらのうち、t−ブチルペルオキシアリルカ
ーボネートを最も好ましいものとして挙げることができ
る。また、これらは一種以上を併せて使用することもで
きる。
【0025】本発明に係る含フッ素弾性共重合体は、そ
の分子内にペルオキシ結合を有し、且つそのガラス転移
温度が室温以下であることを特徴する。本発明において
は、含フッ素単量体と共重合させる不飽和ペルオキシド
の量は、当該単量体に対して0.05〜20重量部の範
囲が好ましく、この範囲以下の場合には、第2段階にお
いて効率的に枝ポリマーが生成しないし、多くなると幹
ポリマーが具備している性質を発揮できなくなる等の不
都合を生じる。
【0026】本発明に係る含フッ素弾性共重合体の製造
方法は特に限定されず、高分子重合反応の分野で通常行
なわれているラジカル重合開始剤を使用する乳化重合、
懸濁重合、溶液重合のいずれの形態も採用することがで
きる。
【0027】ラジカル重合開始剤としては、不飽和ペル
オキシドの分解温度よりも低い温度でラジカルを発生す
る必要があるので、不飽和ペルオキシドの選択により異
なるが、例えば、分解の活性化エネルギーが26〜33
kcal/molの過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイ
ル、次亜硝酸t−ブチル、アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロ
ヘキサンカルボニトリル、過硫酸カリウム、過硫酸アン
モニウムなど、また、同15〜26kcal/molの
過酸化水素−鉄(II)塩、過硫酸塩−亜硫酸水素ナト
リウム、クメンヒドロペルオキシド−鉄(II)塩、過
酸化ベンゾイル−ジメチルアニリンなど、ジイソプロピ
ルペルオキシジカーボナート、ジシクロヘキシルペルオ
キシジカーボナートなど、同15kcal/molの過
酸化物(過酸化水素、ヒドロペルオキシドなど)−金属
アルキル(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ
素、ジエチル亜鉛など)、酸素−金属アルキルなどを非
制限的に挙げることができる。
【0028】重合溶媒としては、乳化重合、懸濁重合の
場合、水またはアルコール類などの水溶性溶剤を含む水
を主とする媒体を使用するが、溶液重合では連鎖移動の
起こり難い溶媒が使用される。
【0029】重合温度、重合時間はおもに開始剤の種類
に依存し、0〜90℃の範囲で1〜50時間程度であ
る。一方重合圧力は重合方法、原料の供給方法、単量体
の種類に依存するが、常圧から100Kgf/cm2
度である。
【0030】重合終了後の反応液は、開始剤、溶媒、未
反応単量体などを除くための塩析、水および/または有
機溶媒による洗浄処理に付し、通常の方法に従って含フ
ッ素弾性共重合体を精製する。この時、含フッ素弾性共
重合体は含水率0.1〜50重量%となる様に調整する
ことが好ましく、25〜30重量%程度とすることが最
も好ましい。0.1重量%以下にすることは困難であり
本発明の方法では必要性がなく、50重量%以上では重
量が増加し取り扱い上面倒であるので好ましくない。
【0031】本発明の軟質フッ素樹脂に必須の枝ポリマ
ーである、融点が130℃以上である結晶性重合体を与
える含フッ素単量体またはその組成物は、とくに限定す
る必要はないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−
エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチ
レン共重合体、テトラフルオロエチレン−含フッ素ビニ
ルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオ
ロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフ
ルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフ
ルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフ
ルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体な
どをあげることができる。これらの枝ポリマーの幹ポリ
マーへの重量比は目的に応じて適宜選択するが20/1
00〜100/100であり、40/100〜80/1
00が好ましい。
【0032】幹ポリマーへのグラフト共重合の方法は、
幹ポリマーの有するペルオキシ基を開始基をするため別
に開始剤を添加しない点を除けば通常のグラフト重合法
と同様である。例えば、含フッ素弾性共重合体をホモジ
ナイザーなどの微粒化装置を用いて重合反応器へ反応媒
体とともに導入し、単量体およびその他の副資材を添加
した後、攪拌しながら温度を調節して反応を開始し所定
時間継続する。重合形態としては、第3ブチルアルコー
ルと水と有機溶媒からなる均一溶媒の水性乳濁液または
分散溶媒中での反応であり、またさらにpHの調節機能
を有する添加剤を含む均一溶媒の水性乳濁液または分散
溶媒中での反応である。また、その他の副資材、例え
ば、連鎖移動剤、開始剤の分解促進剤、乳化剤、分散安
定剤などを目的に応じて使用することもできる。
【0033】重合温度、重合時間はおもに不飽和ペルオ
キシドの種類に依存し、50〜120℃の範囲で1〜5
0時間程度となるように調整することが好ましい。一方
重合圧力は重合方法、原料の初期に一括、途中断続、連
続等の供給方法、単量体の種類に依存するが、通常、常
圧から100Kgf/cm2程度である。
【0034】重合終了後の反応液を、溶媒、未反応単量
体、添加剤などを除くための蒸留、塩析、洗浄、乾燥な
どの処理に付し精製された軟質フッ素樹脂を得ることが
できる。
【0035】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではな
い。
【0036】〔含フッ素弾性共重合体の製造例〕100
気圧に耐える2L容量のステンレス製オートクレーブに
純水900g、過硫酸カリウム 2.9g、パーフルオ
ロオクタン酸アンモニウム2.2g、四ホウ酸ナトリウ
ム2.7g,リン酸2水素カリウム1.2gおよび不飽
和ペルオキシドとしてtーブチルペルオキシアリルカー
ボネートの酢酸t−ブチル溶液(t−ブチルペルオキシ
アリルカーボネートの濃度:70重量%)1.8gを加
え、排気後クロロトリフルオロエチレンモノマー83
g、フッ化ビニリデンモノマー182gを仕込み攪拌し
ながら50℃の温度で重合反応を行なった。50℃に昇
温した時点で40Kgf/cm2であったオートクレーブ内圧
が重合反応の進行とともに低下し、30Kgf/cm2になっ
た時点で60℃に昇温し、7Kgf/cm2になった時点で冷
却するとともに単量体をパージして重合反応を停止し
た。重合時間は約9時間であった。重合生成物は白色ラ
テックス状態で得られ、これを塩析後、遠心分離し、水
洗後再度遠心分離して弾性共重合体粒子333gを得
た。遠心分離後の共重合体粒子の含水率は28%と測定
された。この含フッ素弾性共重合体の収率は90.0%
であった。
【0037】得られた共重合体粒子50gを真空乾燥の
後、n−ヘキサンにて洗浄し、未反応のt−ブチルペル
オキシアリルカーボネートを除去して再度真空乾燥し、
白色粉末の共重合体36gを得た。この共重合体のDS
C曲線はペルオキシ基の分解に基づく発熱ピークを16
0〜180℃に有しており、またヨウ素滴定法により共
重合体の活性酸素量は0.039%と測定された。また
低温でのDSCによる共重合体のガラス転移温度は−2
5℃であった。
【0038】実施例1 次の段階で前記弾性共重合体(28%水分含有)150
gとt−ブタノール229g、酢酸エチル187g、純
水84g、水酸化バリウム0.17gおよびリン酸二水
素カリウム0.5gを50気圧に耐える1L容量のステ
ンレス製オートクレーブに仕込み、排気後90℃の温度
に昇温した後、フッ化ビニリデンモノマーを20Kgf/cm
2の圧力で連続的に吹込み、フッ化ビニリデンモノマー
が46g消費された時点で急速冷却するとともにモノマ
ーをパージして重合を停止した。重合に要した時間は1
3.8時間であった。
【0039】重合後、生成したスラリーに水を添加しな
がら、溶媒のt−ブタノールおよび酢酸エチルを蒸留回
収し、軟質フッ素樹脂の水分散液を得た。この水分散液
を遠心分離後乾燥して、154gの白色粉末を得た。一
方、蒸留回収した溶媒を柳本製作所(株)製ガスクロマ
トグラフG−3810を使用して(カラム:ポラパック
QS、キャリアーガス:He、オーブン温度:150
℃、インジェクション温度:180℃、検出器:TCD
200℃)にて組成分析をおこなったところ、t−ブタ
ノール/酢酸エチル/水の重量比は54.7/45.3
/16.0であった。また有機溶剤に対して100pp
mのエタノールが検出された。有機溶剤の回収率は97
%であった。
【0040】このポリマーのDSCによる融点は163
℃と測定された。また得られたポリマーを4インチ二本
ロール(ロール温度:180℃)で混練し、その後プレ
ス成形(プレス温度:200℃)して1mm厚200mm角
のシートを作成したところ、柔軟性を有した半透明のも
のが得られた。このシートの熱安定性を評価し、結果を
表2に示した。
【0041】さらに、上記操作で回収した溶媒にt−ブ
タノールと水を添加して初期組成のt−ブタノール/酢
酸エチル/水の重量比は55/45/20に戻し、同一
の条件で繰返し重合を行なった。この溶媒回収および重
合を10回繰返した時の重合時間ならびに得られた樹脂
の熱安定性の評価結果を表2に示したが、重合時間およ
び得られた樹脂の熱安定性とも1回目と10回目ではほ
とんど変らなかった。なお10回重合を繰返した後の回
収溶媒中のエタノール量は有機溶剤に対して1200p
pmであった。
【0042】〔熱的安定性評価試験〕プレスシートを2
20℃のギヤオーブンにいれ、1時間後の着色度合いを
東京電色(株)製カラーコンピューターにて測定し、ハ
ンター表示系のb値にて評価した。b値は視覚的には表
1の様に表現される。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】実施例2 前記製造例と同一の弾性共重合体(28%水分含有)1
50gとt−ブタノール229g、酢酸エチル187
g、純水84g、水酸化バリウム0.34gおよびリン
酸二水素カリウム0.5gを50気圧に耐える1L容量
のステンレス製オートクレーブに仕込み、排気後90℃
の温度に昇温した後、フッ化ビニリデンモノマーを20
Kgf/cm2の圧力で連続的に吹込み、フッ化ビニリデンモ
ノマーが46g消費された時点で急速冷却するとともに
モノマーをパージして重合を停止した。重合に要した時
間は13.5時間であった。
【0046】重合後、生成したスラリーに水を添加しな
がら、溶媒のt−ブタノールおよび酢酸エチルを蒸留回
収し、軟質フッ素樹脂の水分散液を得た。この水分散液
を遠心分離後乾燥して、159gの白色粉末を得た。一
方、蒸留回収した溶媒を柳本製作所(株)製ガスクロマ
トグラフG−3810を使用して(カラム:ポラパック
QS、キャリアーガス:He、オーブン温度:150
℃、インジェクション温度:180℃、検出器:TCD
200℃)にて組成分析をおこなったところ、t−ブタ
ノール/酢酸エチル/水の重量比は54.3/45.7
/16.7であった。また有機溶剤に対して50ppm
のエタノールが検出された。有機溶剤の回収率は95%
であった。
【0047】このポリマーのDSCによる融点は161
℃と測定された。また得られたポリマーを4インチ二本
ロール(ロール温度:180℃)で混練し、その後プレ
ス成形(プレス温度:200℃)して1mm厚200mm角
のシートを作成したところ、柔軟性を有した半透明のも
のが得られた。このシートの熱安定性を評価し、結果を
表2に示した。
【0048】さらに、上記操作で回収した溶媒にt−ブ
タノールと水を添加して初期組成のt−ブタノール/酢
酸エチル/水の重量比は55/45/20に戻し、同一
の条件で繰返し重合を行なった。この溶媒回収および重
合を10回繰返した時の重合時間ならびに得られた樹脂
の熱安定性の評価結果を表2に示したが、重合時間およ
び得られた樹脂の熱安定性とも1回目と10回目ではほ
とんど変らなかった。なお10回重合を繰返した後の回
収溶媒中のエタノール量は有機溶剤に対して700pp
mであった。
【0049】実施例3 前記製造例と同一の弾性共重合体(28%水分含有)1
50gとt−ブタノール229g、酢酸エチル187
g、純水84gおよび水酸化バリウム0.17gを50
気圧に耐える1L容量のステンレス製オートクレーブに
仕込み、排気後90℃の温度に昇温した後、フッ化ビニ
リデンモノマーを20Kgf/cm2の圧力で連続的に吹込
み、フッ化ビニリデンモノマーが46g消費された時点
で急速冷却するとともにモノマーをパージして重合を停
止した。重合に要した時間は14.2時間であった。
【0050】重合後、生成したスラリーに水を添加しな
がら、溶媒のt−ブタノールおよび酢酸エチルを蒸留回
収し、軟質フッ素樹脂の水分散液を得た。この水分散液
を遠心分離後乾燥して、163gの白色粉末を得た。一
方、蒸留回収した溶媒を柳本製作所(株)製ガスクロマ
トグラフG−3810を使用して(カラム:ポラパック
QS、キャリアーガス:He、オーブン温度:150
℃、インジェクション温度:180℃、検出器:TCD
200℃)にて組成分析をおこなったところ、t−ブタ
ノール/酢酸エチル/水の重量比は55.3/44.7
/15.3であった。また有機溶剤に対して2000p
pmと実施例1、2と比べて著しく高濃度のエタノール
が検出された。有機溶剤の回収率は95%であった。
【0051】このポリマーのDSCによる融点は164
℃と測定された。また得られたポリマーを4インチ二本
ロール(ロール温度:180℃)で混練し、その後プレ
ス成形(プレス温度:200℃)して1mm厚200mm角
のシートを作成したところ、柔軟性を有した半透明のも
のが得られた。このシートの熱安定性を評価し、結果を
表2に示した。
【0052】さらに、上記操作で回収した溶媒にt−ブ
タノールと水を添加して初期組成のt−ブタノール/酢
酸エチル/水の重量比は55/45/20に戻し、同一
の条件で繰返し重合を行なった。この時の重合時間なら
びに得られた樹脂の熱安定性の評価結果を表2に示した
が、重合時間および得られた樹脂の熱安定性とも1回目
とほとんど変らなかった。なお繰返した後の回収溶媒中
のエタノール量は有機溶剤に対して4200ppmであ
った。
【0053】比較例1 添加剤の水酸化バリウムとリン酸二水素カリウムを使用
しないで実施例1と同一のグラフト重合を行なった。重
合に要した時間は18.5時間であり、生成物は実施例
とほぼ同一のものが150g得られた。このポリマーの
熱安定性試験の結果を表2に示す。
【0054】また、回収された溶媒は93%であり、そ
の中にはエタノールが5400ppm含まれていた。 比較例2、3 添加剤の水酸化バリウムとリン酸二水素カリウムの代わ
りに水酸化ナトリウム0.17g(比較例2)、水酸化
カルシウム0.17g(比較例3)を使用して実施例1
と同一のグラフト重合を行なった。重合に要した時間、
回収溶媒中のエタノール濃度、得られたポリマーの熱安
定性試験の結果などを表2に示す。
【0055】エタノールの生成量の著しいことと、加熱
処理前および後のb値が大きく着色の顕著なことが明白
である。
【0056】
【発明の効果】本発明の方法により、含フッ素共重合体
に含フッ素モノマーをグラフト共重合させる際に、反応
媒体中に水酸化バリウムを存在させることで、重合速度
を高め、且つ軟質フッ素樹脂の色調が特に加熱時に淡黄
色を帯びる傾向を防止し、さらに反応媒体中にリン酸二
水素カリウムなどを共存させると上記の効果に加えて、
重合禁止剤として作用するアルコールの生成を低減する
ことができるため、反応媒体を繰り返し使用できるとい
う顕著な効果を奏する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子内にペルオキシ結合を含有し、且つそ
    のガラス転移温度が室温以下である含フッ素共重合体
    に、第3ブチルアルコール、水およびカルボン酸エステ
    ルを含んでなる反応媒体の水性乳濁液または分散溶媒中
    で融点が130℃以上である結晶性重合体を与える少な
    くとも一種の含フッ素単量体を含む一種以上の単量体
    を、グラフト共重合させる方法において、反応媒体が水
    酸化バリウムを含むことを特徴とする軟質フッ素樹脂の
    製造方法。
  2. 【請求項2】反応媒体がさらにリン酸二水素カリウム、
    リン酸水素二カリウム、フタル酸水素カリウム、クエン
    酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、クエン酸二水素カ
    リウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリ
    ウムから選ばれた一種以上の添加剤を含むことを特徴と
    する請求項1記載の軟質フッ素樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】添加剤がリン酸二水素カリウムであること
    を特徴とする請求項2記載の軟質フッ素樹脂の製造方
    法。
  4. 【請求項4】カルボン酸エステルが酢酸エチルであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3記載の軟質フッ素樹脂の製
    造方法。
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