JPH0873233A - ガラスセラミックスグリーンシートの製造方法 - Google Patents
ガラスセラミックスグリーンシートの製造方法Info
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- JPH0873233A JPH0873233A JP7154992A JP15499295A JPH0873233A JP H0873233 A JPH0873233 A JP H0873233A JP 7154992 A JP7154992 A JP 7154992A JP 15499295 A JP15499295 A JP 15499295A JP H0873233 A JPH0873233 A JP H0873233A
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Abstract
混合物からなる粗大な原料粉末を、アルコールを含有し
ない有機溶媒中で有機バインダーの存在下または不存在
下に、或いはアルコールを含有する有機溶媒中で有機バ
インダーの存在下に、所定粒径まで湿式粉砕し、次いで
これに必要により添加剤 (例、有機バインダー、可塑
剤、分散剤) を加えてスラリー化し、低温焼成可能なガ
ラスセラミックスグリーンシートを製造する。 【効果】 従来の水中での湿式粉砕時に認められた湿式
粉砕中のガラス粉末の比表面積の増大が避けられ、少な
いバインダー量で伸び率の高いグリーンシートを製造で
きる。このグリーンシートは、ボロの発生や穴間のひび
割れを生ずることなく、小径のビアホールを狭いピッチ
で形成でき、多層配線基板の高集積化と小型化が容易と
なる。また、焼成後の基板の灰色着色や導電性低下が避
けられる。
Description
めのガラスセラミックス配線基板の製造に用いられるガ
ラスセラミックスグリーンシートの製造方法に関する。
配線基板(プリント配線板)は、高密度化、信頼性等の
要求から、従来のプラスチック基板に代わって、セラミ
ックス基板、中でもセラミックス多層基板が急速に普及
している。セラミックス多層基板の製造方法としては、
焼成セラミックス板またはグリーンシート上に導体ペー
ストと絶縁ペーストを交互に印刷した後、焼成する多層
印刷法と、必要により導体ペーストが充填されたビアホ
ール(スルーホールともいう)と導体ペーストの回路パ
ターンとを形成した複数のグリーンシートを積層し、導
体ペーストとグリーンシートを同時焼成するグリーンシ
ート積層法がある。グリーンシート積層法の方がより高
度の多層化が容易で、回路の精密度にも優れているた
め、グリーンシート積層法が主流になっている。
しては、電気絶縁性、高温耐熱性、材料コストを考慮し
て、従来よりアルミナが主に用いられてきた。アルミナ
は焼成温度が約1550℃と高いため、グリーンシート積層
法あるいはグリーンシートを用いる多層印刷法では、導
体ペーストに用いる導電粉(配線材料)として融点が高
いWまたはMoを使用する必要がある。しかし、WやMoは
電気抵抗率が比較的高い金属であるため、配線を微細化
すると電気抵抗値が過大となり、伝送損失が大きくなる
といった問題がある。
結可能で、Ag、Cu等の低抵抗の配線材料と同時焼成を行
うことができる低温焼成セラミックス多層配線基板の開
発が進められてきた。中でも、従来のアルミナ基板と同
等の絶縁性や耐熱性を備え、アルミナより誘電率が低く
伝送損失の低減が可能であって、熱膨張率がシリコンに
近いためフリップチップの実装が可能な、ガラスセラミ
ックス基板が注目されている。一般的なガラスセラミッ
クス基板は、ホウ珪酸系ガラス、MgO-Al2O3-SiO2-B2O3
系ガラス、CaO-Al2O3-SiO2-B2O3 系ガラス等のガラスに
骨材としてアルミナなどのセラミックスを配合した複合
材料が原料となる。
造方法を簡単に説明すると、まずガラスセラミックスの
原料となるガラス粉末と骨材となるセラミックス粉末と
をボールミルに投入し、グリーンシートの形成に適した
所定の粒径(例、平均粒径1〜5μm程度) になるまで
湿式粉砕して、粉末の粉砕と混合を行う。市販のガラス
粉末およびセラミックス粉末はいずれも平均粒径が5〜
100 μm程度であるので、まず原料粉末の粉砕工程が必
要であり、この粉砕にはボールミルによる水中での湿式
粉砕が採用されてきた。この後、粉末を回収し、乾燥し
て水分を除去した後、所定粒径に粉砕された原料粉末を
解砕処理し、次いでバインダー、分散剤、可塑剤、有機
溶媒等を添加して湿式混合して、スリップとも呼ばれる
スラリーを調製する。次に、このスラリーをドクターブ
レード法等によりシート状に成形し、乾燥して大部分の
有機溶媒を除去すると、ガラスセラミックスグリーンシ
ートが製造される。
クスグリーンシートに必要によりビアホール等を形成
し、配線用の導体ペーストを印刷するとともに、ビアホ
ール部分に導体ペーストを充填し、次いでこれらのシー
トを積層して積層体を形成し、通常は脱脂工程 (低温加
熱で有機物を除去する工程) を経た後、1000℃以下 (通
常は 900〜1000℃) で焼成して、導体ペーストとグリー
ンシートの焼結を同時に行うと、ガラスセラミックス多
層配線基板が得られる。
グリーンシートの製造において、粉砕した原料粉末の解
砕工程とその後のバインダー等の添加剤との混合工程
を、有機溶媒中での湿式ボールミル処理により行うこと
は、例えば特開昭59−195573号公報より公知であり、ま
た特に混合工程においては普通に採用されてきた。しか
し、これらは原料粉末の粉砕工程ではない。原料粉末の
粉砕工程は、ガラスセラミックスグリーンシートおよび
通常のセラミックスグリーンシートのいずれの場合も、
従来は水を媒質とする湿式ボールミル処理により行って
きた。
集積化、多層配線基板の更なる小型化のため、セラミッ
クス基板に形成されるビアホールの高密度化が要求さ
れ、そのためグリーンシートに形成するビアホールの微
細化とビアホール間ピッチの縮小とが求められている。
て、ビアホール微細化を図るにはビアホール打ち抜きの
際にボロを発生させないことが重要であり、ビアホール
間ピッチを縮小するにはビアホール間に亀裂を発生させ
ないことが重要であるが、このような特性を有するセラ
ミックスグリーンシートを得るためには、その伸び率を
向上させることが有利である。
上は、グリーンシート中の原料粉末の表面をバインダー
で完全に覆って、原料粉末間の接着性を高めることによ
り確保できる。しかし、上述した従来の方法で製造され
たガラスセラミックスグリーンシートでは、バインダー
の添加量を増大させないと原料粉末の表面をバインダー
で完全に覆うことができず、伸び率の高いガラスセラミ
ックスグリーンシートを得ることができないことがしば
しば経験されてきた。伸び率の向上のためにバインダー
添加量を増加させると、製造コストが上昇する上、焼成
時にバインダーが炭素として残留し易くなり、基板が灰
色に着色するばかりか、基板の絶縁性が低下するという
問題がある。
ホールの微細化と高密度化を達成するために、少量のバ
インダーの添加で高い伸び率を有するガラスセラミック
スグリーンシートを製造することができるガラスセラミ
ックスグリーンシートの製造方法を提供することを目的
とする。
明により達成される。 (1) B2O3含有ガラス粉末を含む原料粉末を所定粒径まで
湿式粉砕した後、少なくとも結合剤を含む有機溶媒中に
スラリー化し、シート成形することからなるガラスセラ
ミックスグリーンシートの製造方法であって、前記湿式
粉砕をアルコールを含有しない有機溶媒中で有機バイン
ダーの存在下または不存在下に行うことを特徴とするガ
ラスセラミックスグリーンシートの製造方法。
所定粒径まで湿式粉砕した後、少なくとも結合剤を含む
有機溶媒中にスラリー化し、シート成形することからな
るガラスセラミックスグリーンシートの製造方法であっ
て、前記湿式粉砕をアルコールを含有する有機溶媒中で
有機バインダーの存在下に行うことを特徴とするガラス
セラミックスグリーンシートの製造方法。
る。ガラスセラミックスグリーンシートでは多量のバイ
ンダーを添加しないと伸び率が向上しない原因について
本発明者らが調査した結果、原料ガラス粉末を水を粉砕
媒体として湿式粉砕する間に、原料粉末の成分が一部溶
出することによって多孔質化し、その比表面積が大きく
なることを究明した。原料ガラス粉末の見掛けの粒度が
同じであっても、粉末が多孔質で比表面積が大きくなる
と、伸び率向上のために表面をバインダーで完全に被覆
するには、バインダー添加量を増加させなければならな
い。そのため、バインダー添加量を増大させないと伸び
率の高いガラスセラミックスグリーンシートが得られな
かったものと考えられる。
のように推測される。ガラスセラミックス基板は、前述
したように、ホウ珪酸系ガラス、MgO-Al2O3-SiO2-B2O3
系ガラス、CaO-Al2O3-SiO2-B2O3 系ガラス等のB2O3を含
有するガラスの粉末を原料とする。このB2O3は、低温焼
成を可能にするための軟化点調整剤として、低温焼成を
目的とするガラスセラミックス基板には必要な成分であ
る。B2O3それ自体は水溶性であるが、他成分と一緒に溶
融させてガラス化したB2O3は、他成分と均一に混合さ
れ、ガラス中に均一に分布していれば、水中には溶解し
ない。しかし、一般にB2O3含有ガラスにおいてB2O3は一
様には分布せず、B2O3濃度の高い分相域を形成してい
る。そして、このB2O3濃度が高い分相域に存在するB2O3
はある程度の水溶性があり、湿式粉砕中に水中に溶解す
る。また、粉砕により新たに表面が生ずると、この表面
がすぐに水と接触し、この表面に現れたB2O3濃度の高い
分相域中のB2O3が溶解する。これらが繰り返されて、粉
砕で得られたガラス粉末は、表面が多孔質化し、その比
表面積が著しく増大する。
を媒質とする湿式粉砕により行うことで、ガラス粉末の
多孔質化と比表面積増大を防止し、それにより少量のバ
インダーで伸び率の高いガラスセラミックスグリーンシ
ートを製造することが可能となる。なお、有機溶媒がア
ルコールを含有しない場合には、湿式粉砕はバインダー
の不存在下で実施することが好ましいが、有機バインダ
ーの存在下でも実施することができる。有機溶媒がアル
コールを含有する場合には、有機バインダーの存在下で
湿式粉砕を行う。
トの製造方法で使用する原料粉末はB2O3含有ガラス粉末
を含む。B2O3含有ガラスとしては、ホウ珪酸系ガラス、
MgO-Al2O3-SiO2-B2O3 系ガラス、CaO-Al2O3-SiO2-B2O3
系ガラス等が挙げられる。これらのガラスはさらにアル
カリ金属酸化物などの追加の酸化物成分を少量含有して
いてもよい。また、B2O3を含有しないガラス粉末も、B2
O3含有ガラス粉末と一緒に使用することができる。原料
ガラス粉末中のB2O3含有量は通常は約5〜30重量%であ
る。
他に、一般に骨材としてセラミックス粉末を含有する。
骨材のセラミックス粉末としては、アルミナが代表的で
あるが、その他コージエライト、窒化アルミニウム、石
英、ムライトなどもアルミナと一緒に、またはアルミナ
に代えて使用することができる。ガラス粉末とセラミッ
クス粉末の割合は特に制限されないが、通常はガラス粉
末:セラミックス粉末の重量比で90:10〜30:70、好ま
しくは80:20〜50:50の範囲である。
ガラス粉末とセラミックス粉末はいずれも粗大で粒径が
大きすぎるため、まずガラス粉末とセラミックス粉末と
一緒に湿式粉砕して、所定の粒径まで粉末を微細化する
と同時に、ガラス粉末とセラミックス粉末を均一に混合
する。本発明では、この湿式粉砕の媒質として、従来の
ように水を使用するのではなく、有機溶媒を使用する。
ス粉末やセラミックス粉末に悪影響を及ぼさない限り任
意の有機溶媒が使用できる。好ましい有機溶媒は、キシ
レン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素
類、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン
類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエ
ステル類、エタノール、プロパノール、イソプロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアル
コール類などが挙げられる。有機溶媒は1種類単独でも
よく、或いは2種以上の混合溶媒であってもよい。
B2O3を含有するガラス粉末中に存在するB2O3濃度が高い
分相域と反応してB2O3の溶媒への溶解を引き起こすこと
がある。溶解したB2O3はアルコールと結合して有機ホウ
素化合物を形成する傾向があり、この有機ホウ素化合物
におけるホウ素の結合力は非常に強いため、有機ホウ素
化合物としてB2O3と結合したアルコールは焼成時におい
て完全に蒸発せず、ガラスセラミックス基板中の残留炭
素が増大する可能性がある。それにより、前述したよう
に基板の灰色着色や絶縁性の低下が起こる。
アルコールを使用する場合には、有機バインダーを添加
して溶媒に溶解させ、このバインダーの存在下で湿式粉
砕を行う。それにより、ガラス粉末が有機バインダーで
被覆され、ガラス粉末中のB2O3濃度が高い分相域がアル
コールと反応して溶媒中に溶解するのが防止される。ま
た、湿式粉砕中も、粉砕されて現れた新たな表面はすぐ
にバインダーにより被覆されて保護され、B2O3の溶解が
防止される。これにより、上述した残留炭素の増大によ
る焼成後の基板の灰色着色や絶縁性の低下が避けられ
る。有機バインダーと一緒に可塑剤や分散剤を添加して
もよい。
合には、溶媒としてアルコールのみを使用することもで
きる。しかし、有機バインダーとして有用な樹脂の多く
はアルコール中での溶解度がそれほど大きくはないの
で、アルコールを非アルコール溶媒と混合した混合溶媒
として使用することが好ましい。その場合、有機溶媒全
体のアルコールの割合は、得られた混合溶媒がスラリー
形成時に用いるバインダーを十分に溶解できるように設
定する。例えば、バインダーがアクリル樹脂である場合
には、混合溶媒中のアルコールの割合を50重量%以下と
することが好ましく、バインダーがブチラール樹脂であ
る場合には、混合溶媒中のアルコールの割合を80重量%
以下とすることが好ましい。
は、湿式粉砕をバインダーの存在下で行う必要はなく、
その方が粉砕効率の点で好ましいが、所望により有機バ
インダーまたは有機バインダーと可塑剤および/または
分散剤を有機溶媒に添加してから湿式粉砕を行うことも
できる。
粉砕を順調に実施するのに十分な量であればよいが、通
常は原料粉末合計100 重量部に対し30〜150 重量部、好
ましくは30〜100 重量部の範囲である。この有機溶媒は
そのままスラリーの生成にも利用できるので、スラリー
の調製に必要な有機溶媒の量よりあまりに多量に使用す
るのは経済的に不利である。
塑剤の存在下で湿式粉砕を行う場合、これらの添加量
は、原料粉末合計100 重量部に対し、有機バインダーは
0.5〜10重量部、好ましくは 0.5〜5.0 重量部であり、
可塑剤は 0.1〜4.0 重量部、好ましくは 0.5〜3.0 重量
部である。
ガラスセラミックスグリーンシートの製造に使用されて
いるものと同様でよい。有機バインダーとしては、アク
リル樹脂、ブチラール樹脂、酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルアルコール、塩化ビニル樹脂などの有機樹脂が使
用できる。好ましいのはアクリル樹脂およびブチラール
樹脂である。可塑剤としてはジオクチルフタレート (DO
P)、ジブチルフタレート (DBP)などのフタル酸エステル
が好ましいが、トリエチレングリコールなどのポリアル
キレングリコール類も使用できる。
とが好都合であるが、他の湿式粉砕機 (例、アトリショ
ンミル、ビーズミル等) も使用できる。ボールミルを使
用する場合の湿式粉砕は、例えば、次のように実施でき
る。所定割合のガラス粉末とセラミックス粉末からなる
未粉砕の粗大な原料粉末をボールミルに投入し、前述し
た量で有機溶媒と必要または所望により有機バインダー
や可塑剤を添加する。さらに、アルミナ製などのセラミ
ックス製ボールを原料粉末合計100 重量部に対して 200
〜500 重量部投入し、グリーンシートの形成に適した所
定の粒径(例、平均粒径で1〜5μm、好ましくは 1.5
〜3.5 μm) になるまで湿式粉砕を行う。粉砕時間は一
般に10〜100 時間程度である。
料粉末を用いて、有機バインダー、可塑剤および分散剤
を含有する有機溶媒中に原料粉末が分散したスラリーを
調製する。ガラスセラミックスグリーンシートの製造に
用いるスラリーは、一般にガラス粉末と骨材のセラミッ
クス粉末からなる原料粉末合計100 重量部に対し、有機
溶媒30〜150 重量部、好ましくは30〜100 重量部、有機
バインダー5〜30重量部、好ましくは10〜25重量部、可
塑剤 0.1〜4.0 重量部、好ましくは 0.5〜3.0重量部、
および分散剤 0.1〜3.0 重量部、好ましくは 0.5〜2.0
重量部を含有する。可塑剤と分散剤は必要に応じて添加
すればよく、必須成分ではない。
混合物をそのまま利用することが好ましい。即ち、湿式
粉砕で得られた混合物は、場合により有機バインダーま
たは有機バインダーと可塑剤を含有している有機溶媒中
に所定粒径まで粉砕された原料粉末(ガラス粉末とセラ
ミックス粉末との混合物)を含有しているので、これら
の有機溶媒および場合により存在する有機バインダーや
可塑剤をスラリーの調製に利用する。具体的には、まず
有機溶媒の量が多すぎる場合には、蒸発などの手段で溶
媒量をスラリーの調製に使用する量まで低減させる。そ
の後、湿式粉砕を有機バインダーの不存在下で実施した
場合には、有機バインダー、可塑剤および分散剤を上記
の範囲内の量で添加し、適当な混合手段 (例、ボールミ
ル、アトリションミル) によりスラリー化する。湿式粉
砕を有機バインダーまたは有機バインダーと可塑剤の存
在下で実施した場合には、有機バインダーの不足量と必
要であれば可塑剤の不足量を分散剤と共に添加し、同様
にスラリー化すればよい。
述したものが使用できる。分散剤としては、アクリル酸
オリゴマー、ソルビタンモノオレエートなどが挙げられ
る。得られたスラリーは常法により (通常はドクターブ
レード法) でシート成形し、得られたシートを室温また
は加熱下に乾燥して溶媒を除去すると、目的とするグリ
ーンシートが得られる。
59−195573号にも記載されているように、スラリーの調
製の前に粉砕後の原料粉末の解砕 (例、約20時間のボー
ルミル処理) が必要であったが、本発明では湿式粉砕の
後、粉砕された原料粉末を乾燥せず、湿式粉砕に用いた
有機溶媒をそのまま用いてスラリーを調製するため、長
時間の解砕工程が不必要となり、製造に要する時間が大
幅に短縮される。
整剤としてB2O3を含有しているにもかかわらず、湿式粉
砕の媒質として、原料粉末中のB2O3を溶解する恐れのあ
る水に代わって有機溶媒を使用するため、湿式粉砕中に
原料粉末が多孔質化することが避けられる。その結果、
平均粒径が1.5 〜3.5 μm程度となるように原料粉末を
微細化した場合で、比表面積が1.5 〜5.0 m2/g程度の原
料粉末が得られる。これに対し、従来法に従って水中で
湿式粉砕を行うと、原料粉末の多孔質化が起こって、同
じ平均粒径まで粉砕した時で比表面積は5〜10倍も増大
する。
粉末では有機バインダーの量を多くしないと伸び率の大
きなガラスセラミックスグリーンシートを製造すること
ができなかったが、本発明の方法に従って湿式粉砕した
原料粉末では、より少ないバインダー量でガラス粉末の
表面が完全に被覆され、伸び率の高いガラスセラミック
スグリーンシートが製造できる。
リーンシートは、高い伸び率を有するため、径の小さい
ビアホールを狭いピッチで形成しても、ボロが発生する
ことがなく、ビアホール間にひび割れを生じることもな
い。それにより、ガラスセラミックス多層配線基板のビ
アホールの径とピッチを縮小でき、LSIの高集積化や
基板の小型化が容易となる。また、有機バインダー量が
少なくてすむため、製造コストが低減する上、焼成後の
残留炭素分が少ないので、焼成された基板の灰色着色が
防止され、絶縁性の低下も低下も避けられる。
ミックスグリーンシートは、グリーンシート積層法によ
るガラスセラミックス多層配線基板の作製に特に適して
いるが、未焼成ガラスセラミックス板を使用する多層印
刷法或いは単層ガラスセラミックス基板の作製にも利用
できることは当然である。
例中、部および%は特に指定のない限り重量部および重
量%である。
O2-B2O3-R2O 系ガラス粉末 (R:アルカリ金属、B2O3含
有量18%、平均粒径12μm) ならびにアルミナ粉末 (平
均粒径10μm)と少量のコージエライト粉末 (平均粒径1
0μm) からなるセラミックス骨材粉末を使用した。こ
れらの粉末はいずれも市販品を粉砕せずに使用した。
ミナ粉末25部およびコージエライト粉末7部と一緒に投
入し、表1に示す有機溶媒 (または混合有機溶媒)50 〜
150重量部を加えた後、アルミナ製ボール (直径15 mm)
400部を投入し、平均粒径が2μmになるまで約48時間
湿式粉砕した。なお、有機溶媒の添加量は、原料粉末の
総重量と同重量の水の体積と同体積となるようにした。
積をBET法により測定するため、一旦加熱して有機溶
媒を蒸発させた。比表面積の測定は、島津製作所製マイ
クロティクスアキュソープ2100を用い、脱気200 ℃、60
分、吸着ガスKrの条件により行った。結果を表1に併記
する。
機溶媒 (兼粘度調製剤) としてキシレン40部、可塑剤と
してDOPを2部、有機バインダーとしてアクリル樹脂
(ポリメチルメタクリレート) 17部、および分散剤とし
てアクリル酸オリゴマー1部を添加し、湿式混合を12時
間行ってスラリー化した。得られたスラリーを用いて、
ドクターブレード法により、厚さが200 μmのグリーン
シートを形成し、80℃で乾燥させた。
ーンシートについて、その破断強度、伸び率、パンチン
グ打ち抜き性を次のようにして調べた。これらの試験結
果も表1に併せて示す。
ル5kg) を用い、引張速度:20 mm/min 、試料形状:10
×20 mm の条件で測定した。伸び率は、破断強度測定の
際の引張初期から破断に到るまでのシートの延伸量から
求めた。
を用い、直径3.5 mmのパンチ孔400個を4mmピッチで縦
横20列づつ形成し、顕微鏡観察によりパンチ孔近傍にボ
ロの発生が認められず、さらにパンチ孔間にひび割れも
認められないものを良好とし、ボロやひび割れの発生が
認められたものを不良と評価した。
末の総重量と同重量の水を使用した以外は上記と同様に
して湿式粉砕、スラリー化およびグリーンシートの作製
を行った。
試験No.1〜10では、原料粉末の湿式粉砕後の比表面積が
いずれも4.0 m2/g付近と小さく、また強度および伸び率
のバランスのとれたガラスセラミックスグリーンシート
が得られており、パンチング打ち抜き性も良好である。
た試験No. 11の比較例では、湿式粉砕後の原料粉末の比
表面積が約35 m2/g と著しく大きくなっており、高強度
ではあるが、伸び率は著しく低く、パンチング打ち抜き
性も不良で、多層配線基板のビアホール形成工程に耐え
られないことがわかる。
めに湿式粉砕後に一旦乾燥を行ったが、湿式粉砕で得ら
れた混合物をそのままスラリー化に使用しても、上と同
様の結果が得られる。
ガラス粉末、アルミナ粉末およびコージエライト粉末を
未粉砕のまま原料粉末に使用した。ボールミルにガラス
粉末100 部をアルミナ粉末25部およびコージエライト粉
末7部と一緒に投入した。次いで、有機溶媒としてアル
コール (ブタノール、プロパノールまたはペンタノー
ル) をキシレンとの混合溶媒として、合計70部加え、こ
れと同時に有機バインダーとしてアクリル樹脂 (ポリメ
チルメタクリレート) またはブチラール樹脂 (ポリビニ
ルブチラール) 1〜10部および可塑剤としてDOPを1
部添加した。さらにアルミナ製ボール (直径15 mm) 400
部を投入し、平均粒径が2μmになるまで約48〜100 時
間湿式粉砕した。
粉砕を行ったため、粉砕された原料粉末の表面が有機バ
インダーで覆われており、比表面積を正確に測定するこ
とができないため、比表面積の測定は行わなかった。
なる混合物に、原料粉末100 部当たり、分散剤としてア
クリル酸オリゴマー1.0 部、有機バインダーとして湿式
粉砕に使用したのと同じ有機バインダー (アクリル樹脂
またはブチラール樹脂) を湿式粉砕時の添加量と合わせ
て15部になる量で添加し、湿式混合を12時間行ってスラ
リー化した。得られたスラリーを用いて、ドクターブレ
ード法により、厚さが200 μmのグリーンシートを形成
し、80℃で乾燥させた。このグリーンシートは、表1に
示したものに匹敵する伸び率およびパンチ打ち抜き性を
示した。
焼成してガラスセラミックス基板を作製した。作製した
ガラスセラミックス基板について、灰色着色の有無を目
視でにより判定した。その結果を、湿式粉砕に使用した
アルコールの種類と有機溶媒中の割合 (重量%) 、湿式
粉砕時に添加した有機バインダーの量 (原料粉末100部
当たりの部) と共に、表2(バインダーがブチラール樹
脂の場合)および表3(バインダーがアクリル樹脂の場
合)にそれぞれ示す。
でアルコールを含有する有機溶媒中で湿式粉砕した以外
は上記と同様にグリーンシートの作製と焼成を行った場
合の結果も併記した。
コールを含有する有機溶媒中で湿式粉砕を行った場合に
は、本発明に従って有機バインダーを添加して湿式粉砕
すると、作製されたグリーンシートの焼成後に得られた
ガラスセラミックス基板は白色であり、灰色着色は認め
られなかった。一方、有機バインダーを添加せずにアル
コールを含有する有機溶媒中で湿式混合した比較例で
は、グリーンシートを焼成して得られたガラスセラミッ
クス基板に灰色着色が認められた。
ラスセラミックスグリーンシートの製造方法にあって
は、1000℃以下での低温焼成を可能にするため原料粉末
がB2O3を含有するガラス粉末を含有しているが、粗大な
原料粉末を有機溶媒中で湿式粉砕することにより、従来
の水中での湿式粉砕の際に認められたガラス粉末中のB2
O3の溶解による比表面積の増大が防止され、少ないバイ
ンダー量で伸び率の高いガラスセラミックスグリーンシ
ートを製造することができる。
工時に小径のビアホールを狭いピッチで形成しても、ボ
ロの発生やビアホール間のひび割れが起こりにくくな
り、ピッチおよび径とも小さいビアホールが形成された
ガラスセラミックス多層配線基板を容易に作製すること
が可能となり、LSIの高集積化、多層配線基板の一層
の小型化が達成される。また、グリーンシート中の有機
バインダー量が少なくてすむため、焼成後に得られるガ
ラスセラミックス基板の残炭量が少なく、灰色着色や導
電性の低下が避けられる。
媒中で行う場合には、この湿式粉砕を有機バインダーの
存在下で実施することにより、アルコールとガラス粉末
中のB2O3との反応が防止され、やはり少ないバインダー
量で伸び率の高いグリーンシートを得ることができる
上、アルコールとB2O3との反応生成物が焼成後も残留す
ることによる焼成後のガラスセラミックス基板に灰色着
色を防ぐことができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 B2O3含有ガラス粉末を含む原料粉末を所
定粒径まで湿式粉砕した後、少なくとも結合剤を含む有
機溶媒中にスラリー化し、シート成形することからなる
ガラスセラミックスグリーンシートの製造方法であっ
て、前記湿式粉砕をアルコールを含有しない有機溶媒中
で有機バインダーの存在下または不存在下に行うことを
特徴とするガラスセラミックスグリーンシートの製造方
法。 - 【請求項2】 B2O3含有ガラス粉末を含む原料粉末を所
定粒径まで湿式粉砕した後、少なくとも結合剤を含む有
機溶媒中にスラリー化し、シート成形することからなる
ガラスセラミックスグリーンシートの製造方法であっ
て、前記湿式粉砕をアルコールを含有する有機溶媒中で
有機バインダーの存在下に行うことを特徴とするガラス
セラミックスグリーンシートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15499295A JP3419151B2 (ja) | 1994-06-28 | 1995-06-21 | ガラスセラミックスグリーンシートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6-146609 | 1994-06-28 | ||
JP14660994 | 1994-06-28 | ||
JP15499295A JP3419151B2 (ja) | 1994-06-28 | 1995-06-21 | ガラスセラミックスグリーンシートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0873233A true JPH0873233A (ja) | 1996-03-19 |
JP3419151B2 JP3419151B2 (ja) | 2003-06-23 |
Family
ID=26477407
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15499295A Expired - Lifetime JP3419151B2 (ja) | 1994-06-28 | 1995-06-21 | ガラスセラミックスグリーンシートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3419151B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10182239A (ja) * | 1996-12-18 | 1998-07-07 | Kyocera Corp | セラミック基板用グリーンシートの製造方法 |
EP1095915A2 (en) | 1999-10-27 | 2001-05-02 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Low-temperature firing ceramic composition, process for producing same and wiring substrate prepared by using same |
JP2001226140A (ja) * | 2000-02-15 | 2001-08-21 | Murata Mfg Co Ltd | ガラスフリットおよびその製造方法、ならびに厚膜ペーストおよびその製造方法 |
-
1995
- 1995-06-21 JP JP15499295A patent/JP3419151B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10182239A (ja) * | 1996-12-18 | 1998-07-07 | Kyocera Corp | セラミック基板用グリーンシートの製造方法 |
EP1095915A2 (en) | 1999-10-27 | 2001-05-02 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Low-temperature firing ceramic composition, process for producing same and wiring substrate prepared by using same |
US6602623B1 (en) | 1999-10-27 | 2003-08-05 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | Low-temperature firing ceramic composition, process for producing same and wiring substrate prepared by using same |
JP2001226140A (ja) * | 2000-02-15 | 2001-08-21 | Murata Mfg Co Ltd | ガラスフリットおよびその製造方法、ならびに厚膜ペーストおよびその製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3419151B2 (ja) | 2003-06-23 |
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