JPH0872178A - 可とう性多層チューブ - Google Patents

可とう性多層チューブ

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JPH0872178A
JPH0872178A JP6232124A JP23212494A JPH0872178A JP H0872178 A JPH0872178 A JP H0872178A JP 6232124 A JP6232124 A JP 6232124A JP 23212494 A JP23212494 A JP 23212494A JP H0872178 A JPH0872178 A JP H0872178A
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JP
Japan
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layer
tube
film
ptfe
polymer material
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Application number
JP6232124A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Shinmen
裕志 新免
Junji Ishii
順次 石井
Keiichi Arai
敬一 荒井
Toshiyuki Nakajima
俊之 中島
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Japan Gore Tex Inc
Olympus Corp
Original Assignee
Japan Gore Tex Inc
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 耐薬品性及び耐熱性にすぐれるとともに、気
密性にすぐれ、しかも屈曲性及び内部表面の耐汚染性に
すぐれた可とう性チューブを提供する。 【構成】 充実構造のポリテトラフルオロエチレンより
なる第1層と、その外周面に積層された多孔質構造のポ
リテトラフルオロエチレンよりなる第2層と、更にその
外周面に積層され、通気性を有しかつ該第2層材料より
弾力性が高い高分子材料よりなる第3層とからなり、該
第1層と第2層とは熱融着により一体化され、かつ、該
第3層の通気度がガーレー数で100,000秒以下で
あることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可とう性チューブ、特
に、小さな曲げ半径において使用される屈曲性にすぐれ
た可とう性チューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、耐屈曲性にすぐれた可とう性チュ
ーブとしては、多孔質構造のポリテトラフルオロエチレ
ン(以下「PTFE」と略記する)からなる内層の外周
面に、気密性の可とう性プラスチックからなる中間層を
介して、多孔質構造のPTFEからなる外層を設けた多
層構造の可とう性チューブは知られている(特公昭59
−49464号公報)。この可とう性チューブにおいて
は、内層が多孔質構造のPTFEから構成されているた
めに、小さな曲げ半径の屈曲性にすぐれたものである
が、中間層に用いたプラスチックが耐薬品性や耐熱性の
点でPTFEよりも劣るため、このプラスチック層にピ
ンホール等の亀裂が生じやすく、その気密性が損なわれ
るという問題を生じた。そして、この中間層の気密性が
損なわれると、前記した従来のチューブにおいては、内
層と外層が多孔質構造を有することから、チューブの内
側と外側とが通気性のものとなり、気密性チューブとし
ての用途には供することができなかった。
【0003】一方、特公昭55−36492号公報に
は、内層が充実構造のテトラフルオロエチレン/ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂
からなり、外層が多孔質構造のPTFEからなる多層チ
ューブが提案されている。しかしながら、この多層チュ
ーブの場合には、屈曲させたときに、曲げ半径が最も小
さくなる内層を構成する充実構造のFEPが屈曲性に劣
るため、小さな曲げ半径で屈曲させると、キンク(折
れ)を生じるという問題がある。
【0004】さらに、特開平2−126827号公報に
は、延伸発泡体のPTFEから形成した管路チューブに
おいて、その内表面部をPTFEの融点以上に加熱し、
溶融することにより、その内表面の滑り性を向上させた
ものが開示されている。しかしながら、この管路チュー
ブの場合、延伸発泡体チューブの内表面部のみを溶融し
た構造のものであるため、その溶融層を連続した均一層
に形成することは困難で、チューブ自体の気密性は向上
するものの、完全な気密構造のものにすることはむずか
しく、また、内部表面の耐汚染性も未だ不十分なもので
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐薬
品性及び耐熱性にすぐれるとともに、気密性にすぐれ、
しかも屈曲性及び内部表面の耐汚染性にすぐれた可とう
性チューブを提供することにある。本発明の他の目的
は、耐ねじれ性、耐折れ性が向上され、気密性の破壊の
有無が容易に確認できる可とう性チューブを提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明によれば、充実構造のPT
FEよりなる第1層と、その外周面に積層された多孔質
構造のPTFEよりなる第2層と、更にその外周面に積
層され、通気性を有しかつ該第2層材料より弾力性が高
い高分子材料よりなる第3層とからなり、該第1層と該
第2層とは熱融着により一体化され、かつ該第3層は通
気度がガーレー数(G.NO.)で100,000秒以
下であることを特徴とする可とう性多層チューブが提供
される。また、本発明によれば、充実構造のPTFEよ
りなる第1層と、その外周面に積層された多孔質構造の
PTFEよりなる第2層と、更にその外周面に積層さ
れ、通気性を有しかつ第2層材料より弾力性が高い高分
子材料よりなる第3層とからなり、該第1層と該第2層
とは熱可塑性フッ素樹脂からなる接着剤層を介して一体
化され、かつ該第3層は通気度がガーレー数で100,
000秒以下であることを特徴とする可とう性多層チュ
ーブが提供される。また、本発明によれば、該第3層の
外周面に多孔質構造のPTFEからなる第4層を設けて
四層構造よりなることを特徴とする可とう性多層チュー
ブが提供される。
【0007】本発明の可とう性多層チューブ(以下、単
に「チューブ」とも言うことがある)において用いる第
1層材料及び第2層材料は、いずれも、耐薬品性及び耐
熱性の点ですぐれているPTFEである。そして、本発
明のチューブの第1層は、充実構造のPTFEから構成
され、第2層は多孔質構造のPTFEから構成され、第
3層は通気性を有しかつ第2層材料より弾力性が高い高
分子材料から構成される。また、第3層の外周面に第4
層が積層された可とう性多層チューブにおいては、その
第4層は多孔質構造のPTFEで構成される。
【0008】以下に本発明をさらに詳細に説明するが、
先ず第1層及び第2層から説明を進めることにする。充
実構造のPTFEフィルム(膜)は、次のようにして形
成することができる。 (1)約95%以上の結晶化度を有するPTFE樹脂と
液状潤滑剤(ソルベントナフサやホワイトオイル等)と
の混合物を押出機からフィルム状に押出した後、乾燥し
て多孔質構造のPTFEフィルムを作る。押出フィルム
を乾燥すると、フィルム中の液状潤滑剤が揮発し、フィ
ルム中に微小孔(細孔)が形成され、空孔率約30%程
度の多孔質構造のフィルムが得られる。このようにして
形成された多孔質構造のフィルムは、これを焼成する
と、フィルムは熱収縮し、フィルム中の細孔はそのフィ
ルムの熱収縮により容易に閉じ、完全充実構造のフィル
ムとなる。 (2)液状潤滑剤を含む押出しフィルムをそのまま又は
乾燥させた後、327℃以下の未焼結状態において毎秒
10%以上の高速度で一軸方向又は二軸方向に延伸して
多孔質構造のPTFEフィルムを作る。このようにして
形成された多孔質構造の延伸フィルムは、これを加圧す
ると、充実構造のPTFEフィルムとなる。加圧処理に
供する延伸フィルムは、PTFEの融点以上の温度で熱
処理して形成した焼成フィルムであってもよいし、未焼
成フィルムであってもよい。
【0009】なお、多孔質PTFEフィルムの製造につ
いては、特公昭51−18991号公報や、特公昭56
−17216号公報に詳述されている。
【0010】多孔質PTFEフィルムの加圧による充実
化方法としては、例えば、ポリエステルフィルム等の合
成樹脂シートの間に多孔質PTFEフィルムを挾み、こ
れを加圧ロール間に通す方法や、アルミ箔等の金属箔の
間にその多孔質PTFEフィルムを挾み、これをPTF
Eの融点以上に加熱した加圧ロール間を通す方法等があ
る。前者の方法においては、温度は、常温〜その合成樹
脂の溶融温度より低い温度を任意に採用することができ
る。また、圧力としては、使用するロールの弾性等によ
っても異なるが、通常50kg/cm2以上、好ましく
は100〜250kg/cm2の圧力が採用される。一
方、後者の方法においては、前者の方法と比較して、よ
り低い圧力で充実化することができる。これらの方法に
おいては、多孔質PTFEフィルムは、その圧縮前の厚
さの80%以下、好ましくは20〜60%の厚さに圧縮
され、充実化される。また、多孔質PTFEフィルムの
他の加圧充実化方法として、多孔質フィルムをパイプの
外周面に1周以上巻成し、この巻成体を、その巻成体の
外径より小さいが、そのパイプの外径よりはやや大きい
口径の透孔を持ったパイプ、リングあるいはダイスのそ
の穴の一方の側から挿入し、他方の側から強く引出す方
法を示すことができる。この方法においては、巻成体が
その透孔を通るときに、外周面から内側方向へ強く圧縮
されるため、巻成体を構成する多孔質フィルムは、その
圧縮力によって充実構造のフィルムとなる。透孔の直径
は、パイプ外周面に形成したフィルムの厚さが、圧縮す
る前の厚さの80%以下、好ましくは20〜60%の厚
さになるような直径であることが好ましい。前記のよう
にして、多孔質構造のPTFEフィルムを加圧して得ら
れる充実構造のフィルムは、ガーレー数(100cm3
の空気が1平方インチ(6.45cm2)当りの面積を
水柱4.88インチ(12.4cm)の圧力で流れるの
に要する時間)が50万秒以上であり、実質上完全気密
性のものである。
【0011】前記充実構造PTFEのフィルムの厚さは
できるだけ薄い方が好ましく、一般的には、50μm以
下、好ましくは5〜30μmの範囲である。この充実構
造のフィルムは、そのフィルム全体が実質上完全気密構
造に形成されるため、薄膜であっても非常にすぐれた気
密性を有する。
【0012】一方、前記多孔質構造のPTFEフィルム
は、一軸延伸又は二軸延伸したもの、好ましくは一軸延
伸したものが用いられ、その一般的細孔構造特性を示す
と、細孔直径:0.05〜30μm、好ましくは0.2
〜10μm、空孔率:30〜70%、好ましくは40〜
60%を有する。そのフィルムの厚さは20〜200μ
m、好ましくは40〜100μmである。
【0013】本発明の多層チューブにおける第1層及び
第2層を形成するには、先ず、第1層材料のPTFEフ
ィルムを、芯材上にチューブ状に巻成固定化する。第1
層材料としては、充実構造を有するか又は焼成により充
実構造となるPTFEフィルムが用いられる。芯材とし
ては、後で行う焼成工程の焼成温度以上の融点をもつ材
質のものが好ましく、焼成後この芯材を除去しやすいよ
うに、剥離性の良い、表面がなめらかで凹凸の少ないも
のがよい。また、熱膨張係数がPTFEよりも大きい材
質の芯材を用いることにより、焼成後での芯材の引抜き
を容易に行うことができる。芯材に対するフィルムの巻
き方は、すし巻きやスパイラル巻き等の任意の巻き方で
あることができる。未焼成のPTFEフィルムは、自己
粘着性があるので、接着剤を用いなくても、その巻成フ
ィルムを押圧するだけで固定化することができる。この
第1層材料のPTFEフィルムのチューブ状巻成体の内
径とその厚さは、所望するチューブの用途によって異な
るが、一般的には、その内径は1〜20mm程度であ
り、その厚さは300μm以下、好ましくは50〜20
0μmである。肉厚が300μmを超えるとその巻成フ
ィルムを焼成により溶融一体化して形成したチューブの
屈曲性が悪化し、折れを生じやすくなる。巻成体におけ
るフィルム層の数は、巻成するフィルムの厚さによって
異なるが、一般的には、1〜10層程度である。フィル
ムをスパイラル巻きする場合、その芯材に対する巻角度
は30度以下にするのが好ましく、また、巻きピッチは
大きくするのが好ましい。フィルムを2以上の層数でス
パイラル巻きする場合、フィルムの巻き方向や巻角度を
変えて押出し工程や延伸工程で生じるフィルム強度の配
向性を相殺することができ、これによって、強度の配向
性が小さく、かつ繰返しねじり耐性にすぐれたチューブ
を得ることができる。芯材としては、金属やセラミッ
ク、プラスチック等で形成したパイプ、線材、棒等であ
ることができる。
【0014】次に、前記のようして形成した第1層材料
のPTFEフィルムの巻成体の上に、第2層材料である
多孔質構造のPTFEフィルムを同様にしてチューブ状
に巻成固定化する。この場合、多孔質構造のPTFEフ
ィルムは、二軸延伸フィルムよりも、一軸延伸フィルム
であることが好ましい。一軸延伸フィルムは腰が強く、
かつ折れを生じにくいものであるため、巻成が容易であ
る上、得られるチューブも腰が強く、折れにくいものと
なる。また、ここでの多孔質構造のPTFEフィルム
は、第1層と第2層とを一体化した後の物性で示して、
その細孔直径が0.05〜30μm、好ましくは0.2
〜10μmで、空孔率が30〜70%、好ましくは40
〜60%であるものの使用が好ましい。空孔率が30%
より小さくなると、得られるチューブの屈曲性が悪くな
り、一方、70%を超えると、得られるチューブがやわ
らかくなりすぎて、チューブ形状の保持性が悪くなる。
フィルムの巻き方は、すし巻きやスパイラル巻き等の任
意の巻き方であることができる。この多孔質構造のPT
FEフィルムのチューブ状巻成体の厚さは、一般的に
は、100μm〜2mm、好ましくは200μm〜0.
8mmである。フィルムの厚さが薄すぎると、得られる
多層チューブが折れやすくなり、一方、厚すぎると、そ
の屈曲性が悪くなる。巻成体におけるフィルム層の数
は、フィルムの厚さによって異なるが、通常、2〜20
層である。
【0015】多孔質PTFEフィルムを前記のようにし
て巻成する場合、その巻成用フィルムとしては、性状の
異なった2つ又はそれ以上のものを用いることができ
る。例えば、一軸延伸フィルムと二軸延伸フィルムを用
い、それらを交互に巻成することができ、これにより、
引張強度及び耐圧性のすぐれた多層チューブを得ること
ができる。この第2層に関しても、第1層の場合と同様
に、フィルムを2以上の層数でスパイラル巻きする場
合、フィルムの巻き方向や巻角度を変えることができ
る。
【0016】前記のようにして形成された巻成体におけ
る第1層材料のフィルム巻成体の厚さは、第1層材料の
フィルム巻成体と第2層材料のフィルム巻成体の合計厚
さに対し、1/1000〜1/2、好ましくは1/10
0〜1/3の厚さ比にすることが好ましい。この厚さ比
が1/2より大きくなると、得られる多層チューブが折
れを生じやすくなり、一方、1/1000より小さくな
ると、得られるチューブの第1層の厚さが第2層の厚さ
に対して薄くなりすぎるため、多層チューブの使用に際
し、その第1層に破損を生じやすくなる。前記のように
して形成されたPTFEフィルムの巻成体は、これをP
TFEの融点以上の温度、好ましくは345℃以上、よ
り好ましくは350〜370℃の温度で焼成する。焼成
時間は、焼成温度やチューブの肉厚等を考えて適当に定
めるが、一般には5秒〜60分程度である。この焼成に
より、巻成したPTFEフィルムは溶融し、それらのフ
ィルムの重なり面において接合し、一体化された二層構
造のチューブが形成される。焼成後、芯材を除去するこ
とにより、目的の多層チューブを得ることができる。こ
のような多層チューブの製造法においては、第2層材料
として巻成した多孔質構造のフィルムがその焼成に際し
て収縮し、第2層から第1層方向に向う収縮応力が作用
し、この収縮応力によってフィルム面の重なり部の接合
が促進される。また、焼成に際してのフィルムの溶融と
収縮応力により、焼成後の多孔質構造のPTFEフィル
ムは、焼成前のものに比べ、その細孔構造特性は幾分変
化するが、依然として十分な細孔構造特性を有する第2
層を得ることができる。
【0017】以上、PTFEフィルムを巻成してチュー
ブを成形する方法について説明したが、本発明において
は、PTFE樹脂と液状潤滑剤との混合物を押出し機に
より直接チューブ状に押出して得られるチューブを素材
として用い、第1層材料及び/又は第2層材料を得るこ
とができる。押出しチューブを用いて二層構造のチュー
ブを製造するには、例えば、前記平たいフィルムの場合
と同様にして、内層を形成する第1層材料からなるチュ
ーブを、外層を形成する第2層材料からなるチューブ内
に挿入した後、前記したと同様の条件で焼成し、内層と
外層を一体化する。また、多孔質構造の押出しチューブ
内に、平たい第1層材料フィルムの巻成体からなるチュ
ーブを挿入し、焼成することによっても二層構造のチュ
ーブを得ることができる。
【0018】充実構造のチューブを形成するための方法
としては、多孔質構造の押出しチューブを用い、これを
前記(1)の焼成法及び(2)の加圧法により充実化す
る方法の他、以下に示す方法を用いることができる。多
孔質構造チューブの内部空間内に、熱可塑性フッ素樹脂
の微細パウダーを分散媒に分散して形成した分散液を流
通させながら、チューブ外側の圧力をチューブ内の圧力
より低く保持する。これによって、チューブ内を流通す
る分散液は、チューブ壁を外周面方向に吸引され、分散
液の分散媒がチューブ外周面から滲出するが、この際、
分散液中の樹脂パウダーは、吸引濾過の原理で、チュー
ブの内表面上に、チューブ壁の細孔を目づまりさせる形
で堆積する。このようにして、チューブ壁を介して分散
液の濾過操作を一定時間続けることにより、チューブ壁
の内表面から浅い深さまでの細孔はその樹脂パウダーに
より充満され、チューブ外周面からの分散媒の滲出が止
まる。この時点において、チューブを乾燥し、焼成す
る。これによって、チューブの内表面部が充実構造に形
成され、チューブの外表面部が多孔質構造に形成された
チューブが形成される。このチューブ壁において、充実
構造部の厚さは、チューブ壁厚さの5〜50%、好まし
くは10〜30%である。
【0019】前記した充実構造のチューブの形成法にお
いて用いられる熱可塑性フッ素樹脂の微細パウダーとし
ては、例えば、PTFE、テトラフルオロエチレン/パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
A)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘ
キサフルオロプロピレン/パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレン
/エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフル
オロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチ
レン/エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデ
ンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド
(PVF)等のフッ素樹脂の微細パウダーを挙げること
ができる。これらのうちで、融点、伸び(弾性的な変形
量)、摩擦係数等の物性が基材であるPTFEに最も近
いことから、PFAの使用が好ましい。この樹脂パウダ
ーのサイズは、チューブ壁の細孔を目づまりさせるサイ
ズであればよく、その平均粒径は、チューブ壁細孔の直
径の0.1〜2倍、好ましくは0.5〜1倍程度であ
る。
【0020】前記樹脂パウダーの分散媒としては、エタ
ノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセト
ン等が挙げられる。分散液中の樹脂パウダーの濃度は、
5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
チューブ内の分散液をチューブ壁を介して濾過する際の
圧力は、0.05〜1気圧、好ましくは0.1〜0.5
気圧である。内表面部に樹脂パウダーが堆積したチュー
ブの焼成温度は、その樹脂パウダーが溶融する温度、通
常、300〜330℃の温度である。また、チューブ壁
の厚さは、50〜700μm、好ましくは100〜50
0μmである。
【0021】前記のようにして得られる内表面部が充実
構造で、外表面部が多孔質構造のチューブは、本発明の
多層構造のチューブにおける第1層材料として使用され
る他、第1層と第2層とが一体化されたチューブとして
用いることができる。
【0022】また、本発明においては、第1層と第2層
との間に接着剤層として熱可塑性フッ素樹脂層を介在さ
せることにより、第1層と第2層とのより強固な一体化
を達成することができる。接着層を介在させない第1層
と第2層からなるチューブは、多数回にわたる過酷な屈
曲を行うと、その第1層と第2層との間の界面が剥離す
るという問題が生じたが、その層間に熱可塑性フッ素樹
脂からなる接着剤層を介在させることにより、この問題
を解決することができる。
【0023】第1層と第2層との間に接着剤層を介在さ
せたチューブを製造するには、例えば、(1)焼成によ
り充実構造となる乾燥PTFEフィルム又は(2)未焼
成多孔質PTFEフィルムを加圧により充実構造化した
PTFEフィルムを第1層材料として用い、これを芯材
に巻成固定化した後、その巻成体の外周面に熱可塑性フ
ッ素樹脂フィルムを巻成し、さらにその巻成体の外周面
に第2層材料としての多孔質構造のPTFEフィルムを
巻成する。巻成方法としては、すし巻きやスパイラル巻
きを採用することができる。次いで、このようにして形
成されたフィルム巻成体を焼成する。これによって、第
1層と第2層とが接着剤層を介して強固に一体化された
二層チューブを得ることができる。
【0024】前記接着剤層材料として用いられる熱可塑
性フッ素樹脂としては、PTFEよりも融点の低いも
の、例えば、PFA、EPE、FEP、PCTFE、E
TFE、ECTFE、PVDF等を挙げることができ
る。これらのうちでは、基材であるPTFEに物性的に
最も近いPFAの使用が好ましい。熱可塑性フッ素樹脂
フィルムの厚さは、できるだけ薄い方が好ましく、25
μm以下、好ましくは10〜15μmである。フィルム
巻成体におけるフィルム層の数は、1〜3層である。こ
の熱可塑性フッ素樹脂フィルムは、PTFEの焼成温度
(溶融温度)より低い温度で溶融し、第1層材料及び/
又は第2層材料の細孔内に入り込み、アンカー効果を発
現し、第1層材料と第2層材料との焼成による一体化を
強固なものとする。第1層と第2層との間の接着剤層の
厚さは、通常、5〜75μm、好ましくは10〜20μ
mである。
【0025】本発明の可とう性チューブにおいて、その
第1層を複数のPTFEフィルム層のみで構成したもの
は、これを多数回にわたって過酷な屈曲を行わせたとき
に、その第1層を構成する複数のPTFEフィルム層間
の界面が剥離し、これによって第1層の非通気性が破壊
され、チューブ壁とに通気性が生じるという問題を生じ
た。この問題は、第1層材料を芯材に巻成する際に、第
1層材料を、接着剤層を与える熱可塑性フッ素樹脂フィ
ルムとの重ね合わせ物又はラミネート物の形態で巻成す
ることにより解決し得ることが見出された。
【0026】第1層が複数のPTFEフィルム層からな
り、かつそのフィルム層間が接着剤層を介して一体化さ
れたチューブを製造するには、例えば、第1層材料とし
てののPTFEフィルムと熱可塑性フッ素樹脂フィルム
との重ね合せ物又は両者を熱融着させたラミネート化物
からなる二層フィルムを、芯材に対し、そのPTFEフ
ィルムが芯材側に向くようにして巻成した後、必要に応
じ、第1層と第2層との間の接着剤層を与える熱可塑性
フッ素樹脂フィルムを巻成し、さらに、その上に第2層
材料を巻成する。次いで、このようにして得られた巻成
体を焼成する。これによって、第1層を構成する複数の
PTFEフィルムの各フィルム間が熱可塑性フッ素樹脂
からなる接着剤層を介して強固に一体に結合し、多数回
にわたる過酷な屈曲でもその非通気性が破壊されること
のない第1層を有するチューブが得られる。また、第1
層と第2層との間に熱可塑性フッ素樹脂からなる接着剤
層を介在させるときには、第1層と第2層とが強固に一
体に結合される。
【0027】第1層を構成する複数のPTFEフィルム
の各フィルム間に介在させる熱可塑性フッ素樹脂フィル
ムの種類及びそのフィルム厚は、前記第1層と第2層と
の間に介在させる熱可塑性フッ素樹脂フィルムに関して
示したものと同じである。第2層を構成する複数のPT
FEフィルムの各フィルム間にも、前記第1層の場合と
同様にして、熱可塑性フッ素樹脂フィルムを介在させる
ことができる。
【0028】第1層材料であるPTFEフィルムを、芯
材に対し、スパイラル巻き又はすし巻きにより巻成し
て、チューブ状の巻成体を形成する場合、そのチューブ
の内表面には、図1及び図2に示すように、その長手方
向にスパイラル状又は一直線状で延びる溝部が生じる。
図1は、PTFEフィルムをスパイラル巻で巻成した場
合のその巻成体の内表面の状態を示す説明断面図であ
る。図2は、PTFEフィルムをすし巻きで巻成した場
合のその巻成体の内表面の状態を示す説明断面図であ
る。これらの図において、1は芯材を示し、2、3、
4、5及び6はPTFEフィルムを示す。aは長手方向
に連続して延びるクサビ形状の溝部を示す。
【0029】図1及び図2からわかるように、溝部a
は、1つのフィルム3又は5の端部の上面に他のフィル
ム2又は6の端部を重ねたときに、下層のフィルム3又
は5の端面bと上層のフィルム2又は6の下面cとの間
に形成されるものである。フィルムをスパイラル状で巻
成したときには、チューブ内表面には、その長手方向に
スパイラル状で延びる溝部aが生じ、フィルムをすし巻
状で巻成したときには、チューブ内表面には、その長手
方向に一直線状で延びる溝部aが生じる。溝部aの深さ
は、フィルム厚により異なるが、通常、5μm以上であ
る。
【0030】図1及び図2に示したような内表面(第1
層の内表面)に溝部aを有する製品チューブにおいて
は、その使用に際し、汚染物が付着、堆積しやすいとい
う問題があり、また、その溝部に汚染物が付着した場
合、その汚染物を洗浄除去するのが困難で、その除去に
長時間を要するという問題もある。前記した問題は、そ
のフィルムとして、PTFEフィルムと熱可塑性フッ素
樹脂フィルムの重ね合せ物又はラミネート物からなり、
その一方又は両方の端部に、熱可塑性フッ素樹脂フィル
ムの耳部を有する二層フィルムを用いることによって解
決することができる。
【0031】図3は、芯材に二層フィルムをスパイラル
巻きで巻成する場合の説明図を示す。図3において、1
は芯材、Lは二層フィルムを示す。二層フィルムLは、
図4に示すように、PTFEフィルム10と熱可塑性フ
ッ素樹脂フィルム11とから構成され、両側端部に耳部
dを有する。
【0032】図5は、二層フィルムを芯材1にスパイラ
ル巻きで巻成した場合のその巻成体の内表面の状態を示
す説明断面図である。図5において、1は芯材、Lは二
層フィルム、10はPTFEフィルム、11は熱可塑性
フッ素樹脂フィルムを示す。aは溝部を示す。熱可塑性
フッ素樹脂フィルム11の厚さは、PTFEフィルム1
0の厚さの1/8〜1倍、好ましくは1/2〜1倍の厚
さである。また、耳部dの幅は、0.5mm以下、通常
0.01〜0.4mmである。図5からわかるように、
二層フィルムLの一方の耳部dは、溝部a内に存在す
る。
【0033】図6は、図5に示した巻成体を、その熱可
塑性フッ素樹脂フィルム11の融点以上の温度、通常、
320〜370℃で焼成して得られる焼成体の内表面の
状態を示す説明断面図である。図6からわかるように、
焼成に際しては、熱可塑性フッ素樹脂フィルムは溶融
し、溝部aはその溶融物eによって充填され、PTFE
及び熱可塑性フッ素樹脂が露出した実質上平滑な内表面
が得られる。
【0034】図7は、芯材に二層フィルムをすし巻きで
巻成した状態図を示す。図7において、1は芯材、Lは
二層フィルムを示す。二層フィルムLは、図8に示すよ
うに、PTFEフィルム10と熱可塑性フッ素樹脂フィ
ルム11とから構成され両端に耳部dを有する。
【0035】図9は、二層フィルムを芯材1にすし巻き
で巻成した場合のその巻成体の内表面の状態を示す説明
断面図である。図9において、1は芯材、Lは二層フィ
ルム、10はPTFEフィルム、11は熱可塑性フッ素
樹脂フィルムを示す。aは溝部を示す。熱可塑性フッ素
樹脂フィルム11の厚さは、PTFEフィルム10の厚
さの1/8〜1倍、好ましくは1/2〜1倍の厚さであ
る。また耳部16の幅は、0.5mm以下、通常0.0
1〜0.4mmである。図9からわかるように、2層フ
ィルムLの一方の耳部dは、溝部a内に存在する。
【0036】図10は、図9に示した巻成体を、その熱
可塑性フッ素樹脂フィルム11の融点以上の温度、通常
320〜370℃で焼成して得られる焼成体の内表面の
状態を示す説明断面図である。図10からわかるよう
に、焼成に際しては、熱可塑性フッ素樹脂フィルムは溶
融し、溝部aはその溶融物eによって充填され、PTF
E及び熱可塑性フッ素樹脂が露出した実質上平滑な内表
面が得られる。
【0037】前記においては、第1層と第2層との間及
び第1層を構成する複数のフィルム間に介在させる接着
剤層材料としては、熱可塑性フッ素樹脂フィルムを示し
たが、接着剤層材料は、熱可塑性フッ素樹脂微細パウダ
ーであってもよい。微細パウダーを用いて接着剤層を形
成するには、例えば微細パウダーを水又は有機溶剤に分
散させて形成した分散液をPTFEフィルムの表面に塗
布乾燥することによって、PTFEフィルムの表面に接
着剤層を形成することができる。分散液中の微細パウダ
ーの平均粒径は0.2〜0.4μm程度であり、分散液
中の微細パウダーの濃度は、50重量%以下、好ましく
は10〜30重量%である。このようにして形成された
接着剤層は、熱可塑性フッ素樹脂フィルムを用いた場合
と同様に焼成される。
【0038】次に、本発明の第3層について説明する。
本発明の第3層は、前記第2層の外周面に積層され、通
気性を有しかつ第2層材料より弾力性が高い高分子材料
から形成される。この通気性高分子材料の通気度はガー
レー数で100,000秒以下が必要である。前記のよ
うに、本発明のチューブの第1層は充実構造のPTFE
から形成されているため気密性が保たれているが、これ
を例えば内視鏡等に用いた場合に、何らかの原因で充実
構造が破壊され気密性が損なわれることがある。この場
合これを検知する必要があるが、本発明では、第3層と
して、第2層材料より弾力性が高くかつ通気性を有する
材料層を設けることにより、チューブの耐ねじれ性、耐
折れ性が向上するだけでなく、この気密性の損傷を検知
することができることが判明した。これは、例えばチュ
ーブ内に一定の圧力で空気を送り、この空気の漏れの有
無を調べることにより達成できる。ここで第3層の高分
子材料としては、合成ゴムや天然ゴム等のエラストマー
や第2層材料である多孔質PTFEより弾力性が高い合
成樹脂が使用可能である。具体的には、フッ素ゴム、シ
リコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムや天然ゴム等
のエラストマー、また、ポリウレタン、ナイロン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン等のPTFEより破断伸びが
大きい合成樹脂等が挙げられる。なかでも、フッ素ゴム
は、弾力性に優れているだけでなく、耐熱性、耐薬品性
にも優れており好ましい材料といえる。
【0039】通気性を有する高分子材料よりなる第3層
を形成する手段としては、例えば下記のような方法が挙
げられる。第3層材料として合成ゴムや天然ゴム等のエ
ラストマーを用いる場合は、エラストマーの溶液を前記
した二層構造のチューブの外面に塗布する。このとき、
カーボンが添加されたエラストマー溶液を用いる。カー
ボンの含有量は、これが多いほど通気度が大きくなるが
反面エラストマーとしての伸びが小さくなり硬くなるの
で、80重量%以下、好ましくは40〜60重量%程度
にするのが良い。また、このとき、カーボンの粒径を調
整することによっても通気度を変化させることができ
る。粒径が大きいと通気量も大きくなる。例えば、粒子
径0.27μmの一次粒子をゴムに混入するより、粒子
径60μmの二次粒子の状態で使用した方が通気量は大
きい。以上はカーボンを例として説明したが、カーボン
以外でも、ガラスその他のセラミック類、鉄粉等の金属
類などのエラストマー溶液と密着しない物質の微小粒子
が使用可能である。これらは、エラストマー溶液に溶解
することがなく、また後記するように第3層材料の外周
面に第4層材料の多孔質PTFEを巻成して焼成する場
合にも、その焼成温度に耐える点で好ましい。以上の方
法とは別に、200℃以上の加熱により気化し発泡する
発泡剤粉末をエラストマー溶液に混入し、前記二層構造
のチューブに塗布した後加熱することもできる。エラス
トマー溶液に対し2〜20重量%の混入により、著しい
通気度の向上がみられる。さらに、エラストマー溶液を
塗布する前の二層構造のチューブの外表面をサンドペー
パー等で粗し、毛羽立たせるような前処理を行うことに
よっても、通気性をもたせることができる。これは、塗
布されたエラストマー層を毛羽立ったPTFEの細毛が
貫通することで通気化される。あるいは、常法によりエ
ラストマー溶液を塗布、乾燥した後、針状のもので突き
刺す等物理的、機械的方法により、通気性を有する第3
層を得ることができる。また、エラストマー溶液を塗布
する前の二層構造のチューブの外表面に、直径0.1〜
1.0mm程度の大きさの多数の撥油剤のスポットを付
着させ、塗布されたエラストマー溶液をこれにより部分
的にはじかせることによっても通気性をもたせることが
できる。第3層材料が合成樹脂のフィルムやチューブで
ある場合は、このフィルムやチューブを予め針状のもの
で突き刺す等物理的、機械的方法により通気化してお
き、これを用いて二層構造のチューブの外周面に第3層
を形成する。第3層の形成はフィルムを巻成したり、チ
ューブを被覆することにより行うが、第2層材料と第3
層材料の一体化は、例えば、接着剤塗布、熱融着、熱収
縮等公知の方法により行うことができる。また、合成樹
脂の溶液を準備し、これを二層構造のチューブの外周面
に塗布、乾燥することによっても本発明の三層構造のチ
ューブを得ることができる。この場合、合成樹脂の溶液
に密着しない微小粒子を合成樹脂溶液に混合する方法、
第2層材料をサンドペパー等により粗面化する方法、針
状のもので突き刺す等の物理的、機械的方法あるいは第
2層材料に撥油処理を行う方法等により、エラストマー
溶液の場合と同様にして、通気化を行うことができる。
第3層の厚さは、10〜200μm、好ましくは20〜
100μmである。また、通気化の度合いは、ガーレー
数で示して、100,000秒以下、好ましくは10,
000秒以下である。100,000秒を越えると前記
した気密性の損傷の検知を行いにくくなる。
【0040】本発明においては、必要に応じて、更に第
3層の外周面に多孔質PTFEからなる第4層を形成す
ることにより、四層構造のチューブを得ることができ
る。このような多層チューブの製造法においては、第4
層の材料として巻成した多孔質構造のフィルムがその焼
成に際して収縮し、第4層から第3層方向に向う収縮応
力が作用し、この収縮応力によってフィルム面の重なり
部の接合が促進される。また、焼成に際してのフィルム
の溶融と収縮応力により、焼成後の多孔質構造のPTF
Eフィルムは、焼成前のものに比べ、その細孔構造特性
は幾分変化するが、依然として十分な細孔構造特性を有
する第4層を得ることができる。なお、この場合の多孔
質構造のPTFEフィルムとしては、前記した第2層材
料と同様のものを用いることができ、そのフィルムの巻
き方も前記と同様にすし巻きやスパイラル巻きとするこ
とができる。この第4層の厚さは、50〜500μm、
好ましくは100〜200μmである。第3層上に第4
層を形成したチューブは、これを第3層の通気性樹脂が
溶融する温度、一般には200〜400℃、好ましくは
330〜390℃の温度に加熱する。この加熱により、
全体が一体に結合した多層チューブを得ることができ
る。また、三層構造のチューブ上に第4層を形成する場
合、それらの各層は接着剤により相互に接着させること
もできる。
【0041】このようにして、第1層、第2層に続いて
第3層及び第4層を形成した製品チューブにおいて、そ
の第3層を多孔質構造のPTFEよりも弾性的にすぐれ
た材料、例えばフッ素ゴムを用いるとともに、第4層に
多孔質構造のPTFEを用いた四層構造の製品チューブ
は、基体チューブ(第1層+第2層)に比べて、耐ねじ
れ性が著しく向上するとともに、耐折れ性の向上したも
のである。
【0042】本発明の可とう性多層チューブは、全体が
実質上PTFEから構成されていることから、耐熱性及
び耐薬品性において非常にすぐれたものである。また、
本発明の多層チューブにおいては、その第1層が充実構
造のPTFEよりなることから、薄層であってもピンホ
ールのような破損が生じにくく、第1層と第2層との間
の気体的及び液体的連絡は完全に遮断される。本発明の
多層チューブは、これを腐蝕性の強い液体や蒸気中に置
いても、そのチューブはそれらの液体や蒸気によって侵
食されることがなく、また第2層や第3層の表面に接触
する液体や蒸気が内部に浸入するようなこともない。本
発明の多層チューブは、小さな曲げ半径の屈曲、例え
ば、曲げ半径が10mm程度の屈曲においても、すぐれ
た屈曲性と耐屈曲性を有し、多数回にわたって屈曲させ
ても折れを生じるようなことはない。そして、本発明の
多層チューブは、その第1層が充実構造のPTFEで形
成されていることから、その内表面の滑り性、耐汚染
性、耐微生物性、有機物の付着防止性等において著しく
すぐれたものである。また、本発明の多層チューブは、
第2層の外表面に通気性を有し、第2層材料より弾力性
が高い高分子材料からなる第3層が設けられ、耐ねじれ
性、耐折れ性の向上に寄与し、更に、一定の通気度を有
することから充実層(第1層)の破壊の有無を確認する
のに役立つ。加えて、第3層表面に第4層(多孔質構造
のPTFE)を設けることによって、多層チューブは耐
ねじれ性、耐折れ性が向上し、第3層の剥離を防止し、
チューブの製造時や使用時において第3層材料が外的衝
撃により損傷を受けるのが防止される。また、充実構造
の第1層の厚みを、第1層と第2層の総厚みに対して、
1/1000〜1/2に規定すれば、小さな曲げ半径の
屈曲を一層容易に行なうことができる上、その耐屈曲性
においてもすぐれている。
【0043】本発明の可とう性多層チューブは、特に、
医療用チューブとして有利に用いられる。この場合の医
療用チューブとしては、体液流通用チューブ、鉗子チャ
ンネル用チューブ等が挙げられる。このような医療用チ
ューブは、気密性、水密性、高い可とう性、屈曲性、耐
屈曲性にすぐれているとともに、内壁面の平滑性、耐汚
染性、耐微生物性、有機物付着防止性等においてすぐれ
ていることが必要とされるが、本発明のチューブは、こ
れらの必要要件を満たし、医療用チューブとして好適の
ものである。本発明のチューブを医療用チューブとして
用いる場合、その内径は1〜10mm、好ましくは2〜
6mmである。また、第1層の厚さは300μm以下、
好ましくは50〜200μmに規定するのがよく、第2
層の厚さは2mm以下、好ましくは0.2〜0.8mm
の厚さに規定するのがよく、さらに、第3層の厚さは、
10〜200μm、好ましくは20〜100μmに規定
するのがよい。
【0044】本発明の可とう性多層チューブは、特に、
電子内視鏡装置における吸引チューブあるいは管路形成
用チューブとして好ましく用いられる。図11に電子内
視鏡装置の概略構成説明図、図12にその電子内視鏡装
置内部の吸引及び処置具挿通用の管路構成説明図、図1
3及び図14に管路の接続構造を示す説明図を各示す。
図11に示すように、電子内視鏡装置21は、操作部2
2・挿入部23・湾曲部24・先端構成部25・ユニバ
ーサルコード26・コネクター27から構成される。そ
して、図示しない内視鏡像制御装置・モニター・光源・
吸引装置などとともに使用される。操作部22には、処
置具挿通口28・吸引切替制御機構29が設けてあり、
コネクター27には、外部装置である吸引装置と接続す
るための吸引チューブ取付口金30が設けてある。
【0045】図12は電子内視鏡装置内部の吸引及び処
置具挿通用の管路構成を示す説明図であるが、この図か
らわかるように、挿入部23、湾曲部24に内蔵された
第1の吸引チューブ31の一端は先端構成部25にパイ
プを介して固定されており、その詳細は図13に示され
ている。第1の吸引チューブ31の他端は操作部22の
内部に設けた各々連通している3個の開口を持つ分岐部
32の第1の開口に接続しており、その詳細は図14に
示されている。分岐部32の第2の開口は処置具挿通口
28に接続している。分岐部32の第3の開口は吸引切
替制御機構29の第1の開口に第2の吸引チューブ33
を介して接続している。吸引切替制御機構29の第2の
開口は第3の吸引チューブ34を介して吸引チューブ取
付口金30に接続している。本発明の多層チューブは最
も過酷な曲げ耐性を要求される第1の吸引チューブ31
に用いることができ、必要に応じ、さらに、第2の吸引
チューブ33、第3の吸引チューブ34に本発明の多層
チューブを用いることもできる。
【0046】図13は、第1の吸引チューブ31と先端
構成部25の固定部を示すが、この場合、先端構成部2
5には貫通孔35が設けてあり、その一端にはパイプ3
6を接着あるいは半田付けで固定している。そして、パ
イプ36には第1の吸引チューブ31を接着固定してい
る。チューブの脱落防止とチューブ内に挿通する処置具
の引っかかりを防止するため、パイプ36の一端はテー
パ状にひろげている。ところで、軟らかいチューブと硬
いパイプを接続すると内視鏡の湾曲部を曲げた時に接続
部が急激に屈曲してしまう。これを防止するために第1
の吸引チューブ31の端部には硬質化処理をしており、
中程度の硬さの部分を設けることにより滑らかな曲げ形
状が得られるようになっている。硬質化処理としては例
えば端部を加熱して第2層の多孔質構造を充実化した
り、第2層の端部に樹脂等を含浸させて多孔質構造を充
実化すればよい。更に、チューブの第1層に対し、金属
ナトリウムをナフタリンに分散させた表面処理液を用い
て表面のフッ素を化学反応で遊離させて極性化したり、
プラズマ照射により粗面化したりすることにより、パイ
プ36と第1の吸引チューブ31との接着強度を高めて
ある。パイプ36と第1の吸引チューブ31との接着強
度を高める別の工夫として、パイプ36と第1の吸引チ
ューブ31との嵌合部にはチューブの上からテグス糸を
巻き付け、テグス糸を接着剤で覆っている。
【0047】図14は、第1の吸引チューブ31の他端
と分岐部32の第1の開口の接続部を示すが、この場
合、分岐部32の先端に嵌着した接続部材37の先端の
外周面はテーパ状に形成したテーパ面38を有してお
り、このテーパ面に、あらかじめテーパ環39と止めネ
ジ40を通した状態の第1の吸引チューブ31を被覆
し、テーパ環39とテーパ面38との間で第1の吸引チ
ューブ31が狭圧されるように止めネジ40を接続部材
37のねじ部41にねじ込んで、第1の吸引チューブ3
1の他端と分岐部32の第1の開口を接続している。
【0048】本発明の多層チューブは、前記したよう
に、電子内視鏡装置における吸引チューブとして用いる
ことができる他、電子内視鏡装置のかわりに画像伝達に
光ファイバーを用いた内視鏡や、挿入部が硬性であった
り半硬性である内視鏡など全ての内視鏡における吸引チ
ューブとして適用することができる。また、本発明の多
層チューブは、内視鏡以外に例えばドレナージチューブ
のような留置チューブに適用できる。この場合のチュー
ブとしては、上述した第1層と第2層からなるチューブ
の外側にさらに第1層と同じ材質にて第3層を被覆した
構造のものを用いるのがよい。また、第3層としては、
生体適合性の高い材料であれば、他の材料を用いること
ができる。さらに、チューブの端面に上述した硬質化処
理などを施すことにより多孔質構造を充実化すれば、全
表面に対し有機物等の付着防止効果を有する多層チュー
ブとすることができる。
【0049】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明する。
【0050】実施例1 細孔直径0.2μm、空孔率70%、厚さ25μmの二
軸延伸された未焼成多孔質PTFEフィルムを、圧延ロ
ーラーにより、常温において厚さ7μmの充実フィルム
に圧延した。この圧延による充実フィルムは、王研式透
気度平滑度試験機により測定したガーレー数で、50万
秒以上を示し、実質的に完全気密性のものであることが
確認された。次に、この充実フィルム(幅20mm)を
直径3.7mmのステンレスパイプの外周にスパイラル
巻き状に2周巻付けた。次いで、この上に、細孔直径5
μm、空孔率30%、厚さ100μmの一軸延伸された
未焼成多孔質PTFEフィルム(幅84mm、長さ方向
と延伸方向とが一致)をすし巻き状に6周巻付けた。
【0051】このようにして得られたPTFEフィルム
巻成体を、360℃で10分間焼成した後、冷却して、
第1層が充実構造のPTFEフィルムからなり、第2層
が多孔質構造のPTFEフィルムからなるものを得た。
【0052】次に、第2層の外周を180番のサンドペ
ーパーでこすり、表面がけば立つ程度に粗した(図15
(a))。この後、第3層としてフッ素ゴムを30μm
の厚さになるように塗布乾燥して形成し(図15
(b))、さらに第4層の細孔直径10μm、空孔率6
0%、厚さ80μmの一軸延伸された未燃成多孔質PT
FEフィルムのテープを外周にスパイラル巻き状に2周
巻き付け、350℃で10分焼成一体化させた後、ステ
ンレスパイプを巻成体から引抜き、本発明の多層チュー
ブをつくった。
【0053】これとは別に、上記多層チューブから充実
層(第1層)を省いたものを同時に作りG.No.を測
定すると8,000〜10,000秒の通気量がえられ
た。本発明の多層チューブは、半径10mmの曲率で曲
げてもキンク(折れ)を生じることがなく、また、その
内面はなめらかでかつ耐汚染性のもので、油性のマジッ
クインクをその内面に塗布した後、これを布でふきとる
と、跡かたもなくきれいにふきとることができた。ま
た、このチューブは、曲率半径10mmで1万回屈曲さ
せても、外観には変化を生じず、また破損を生じるよう
なこともなく、耐屈曲性において非常にすぐれたもので
あった。なお、1万回屈曲試験は、片端を固定したまま
半径10mmRの曲率で前後に曲げることを1回として、
これを1万回繰り返した後、チューブの変形、破壊、外
観上の変化、エアーのリークが無いことを確認するとい
う方法で行った。以下の実施例においても同様である。
【0054】実施例2 細孔直径1μm、空孔率65%、厚さ50μmの一軸延
伸された未焼成多孔質PTFEフィルムを、アルミ箔に
挾み、圧延ローラーにより、350℃で厚さ33μmの
充実構造のフィルムに圧延した後、アルミ箔を除去し
た。この充実化フィルムは、王研式透気度平滑度試験機
により測定したところ、ガーレー数で50万秒以上を示
し、実質的に完全気密性のものであることが確認され
た。次に、この充実化フィルム(幅20mm)を、直径
4.2mmのステンレスパイプの外周にすし巻き状に
1.25周巻付けた。次いで、この上に細孔直径10μ
m、空孔率60%、厚さ50μmの一軸延伸された未焼
成多孔質PTFEフィルム(幅405mm、長さ方向と
延伸方向とが一致)をすし巻き状に12周巻付けた。
【0055】このようにして得られたPTFEフィルム
巻成体を、350℃で20分間焼成した後、冷却して第
1層が充実構造のPTFEフィルムからなり、第2層が
多孔質構造のPTFEフィルムからなるものを得た。
【0056】次に、このチューブの外周面に撥油処理を
行った。即ち、直径0.5mmの注射針を用いて2mm
間隔で撥油剤(旭硝子社製サイトップ)をポイント塗布
した。この撥油剤が乾燥した後にシリコーンゴム溶液を
20μm厚になるように塗布した。撥油処理した部分の
みがシリコンゴム溶液をはじき、多数の非コーティング
部を形成した。この後150℃で1時間加熱してシリコ
ーンゴムを硬化させて第3層を形成し、本発明の多層チ
ューブをつくった。これとは別に、この多層チューブか
ら充実層(第1層)を省いたものを作りG.No.を測
定したところG.No.4,000〜6,000秒を得
た。
【0057】本発明の多層チューブは、半径10mmの
曲率で曲げてもキンク(折れ)を生じることがなく、ま
た、その内面はなめらかでかつ耐汚染性のもので、油性
のマジックインクをその内面に塗布した後、これを布で
ふきとると、跡かたもなくきれいにふきとることができ
た。また、このチューブは、1万回屈曲試験においても
外観には変化を生じず、また破損を生じるようなことも
なく、耐屈曲性において非常にすぐれたものであった。
【0058】実施例3 細孔直径0.2μm、空孔率70%、厚さ60μmの二
軸延伸された未焼成多孔質PTFEフィルムを直径3m
mのステンレスパイプの外周にすし巻き状に1.25周
巻付けた。次いで、この巻成体を、内径3.05mmの
透孔を有するステンレス製ダイスのその透孔の一方の側
から通し、他方の側から引抜いた。これにより、巻成体
は強く圧縮され、厚さ60μmの多孔質PTFEフィル
ムは、厚さ40μmの充実構造のフィルムに変換され
た。次いで、このようにして得られた巻成体の上に、さ
らに、細孔直径10μm、空孔率60%、厚さ100μ
mの一軸延伸された未焼成多孔質PTFEフィルム(幅
70mm、長さ方向と延伸方向とが一致)をすし巻き状
に4周巻付けた。次に、このようにして得られたPTF
Eフィルム巻成体を、360℃で15分間焼成した後、
冷却し、続いて実施例1と同様にして第3層を形成して
からてステンレスパイプを引抜き、PTFEフィルムを
主体とした多層チューブを得た。
【0059】また、前記のようにして得られた多層チュ
ーブは、実施例1の多層チューブと同様に、半径10m
mの曲率で曲げてもキンク(折れ)を生じることがな
く、また、その内面はなめらかでかつ耐汚染性のもの
で、油性のマジックインクをその内面に塗布した後、こ
れを布でふきとると、跡かたもなくきれいにふきとるこ
とができた。また、このチューブは、1万回屈曲試験に
おいても外観には変化を生じず、また破損を生じるよう
なこともなく、耐屈曲性において非常にすぐれたもので
あった。
【0060】実施例4 実施例3で得たステンレスパイプの芯材を有する焼成後
の多層チューブ(二層構造)の外周面に、発泡剤(ビニ
ホールAC#L9(永和化成工業社製))を10重量%
添加したフッ素ゴム溶液を塗布乾燥して、第3層として
厚さ50μmのフッ素ゴム層を形成した後、第4層とし
て、細孔直径10μm、空孔率60%、厚さ80μmの
一軸延伸された未焼成多孔質PTFEフィルムのテープ
(幅21mm)を、テープピッチ27mmでスパイラル
状に2周巻付け、380℃で3分間焼成して、第4層
(厚さ160μm)を形成した後、冷却し、ステンレス
パイプを巻成体から引抜き、内径3mm、全体肉厚0.
6mmの多層チューブを得た。このようにして得た多層
チューブは、曲率半径10mmに屈曲させてもキンクを
生じない柔軟性に富むものであった。またこの多層チュ
ーブの内面はなめらかでかつ耐汚染性のもので、油性の
マジックインクをその内面に塗布した後、これを布でふ
きとると、跡かたもなくきれいにふきとることができ
た。また、このチューブは、1万回屈曲試験においても
外観には変化を生じず、また破損を生じるようなことも
なく、耐屈曲性において非常にすぐれたものであった。
【0061】実施例5 厚さ50μmの押出しフィルムを乾燥して得たPTFE
フィルムを、直径3.2mmのステンレスパイプにすし
巻き状に1.25周巻き、この上に細孔直径5μm、空
孔率30%、厚さ100μmの一軸延伸された未焼成多
孔質PTFEフィルム(幅9.5mm)をスパイラル巻
き状に巻きピッチ20mmで6周巻付けた。このように
して形成されたPTFEフィルム巻成体を360℃で1
0分間焼成し、冷却後、実施例4と同様な第3層、第4
層を形成し、続いて、ステンレスパイプを引抜いて多層
チューブを得た。このチューブは、曲率半径10mmで
屈曲させてもキンクを生じることがなく、また、その内
面はなめらかで耐汚染性のもので、油性のマジックイン
クをその内面に塗布した後、これを布でふきとると、跡
かたもなく、きれいにふきとることができた。また、こ
のチューブは、1万回屈曲試験においても外観には変化
を生じず、また破損を生じるようなこともなく、耐屈曲
性において非常にすぐれたものであった。
【0062】実施例6 厚さ30μmの押出しフィルムを乾燥して得た多孔質P
TFEフィルムのテープ(幅:28mm)を、厚さ1
2.5μmのPFAテープ(幅:29mm)に重ね合
せ、PFAテープが両端から0.5mmはみ出した二層
テープを得た。この二層のテープを、PTFE面が内側
になるように、直径2.95mmのステンレスパイプの
外周にスパイラル状に3周巻きつけた。この巻成体の外
周面はPFAテープのみが完全に露出し、かつ内表面に
はPFAテープが0.5mm幅でスパイラル状でPTF
Eテープの端部重なり部に露出している。次いで、この
ようにして得た巻成体の外周に、細孔直径10μm、空
孔率55%、厚さ90μmの一軸延伸された未焼成多孔
質PTFEフィルムをスパイラル状に6周巻きつけた。
このようにして得られた巻成体を、360℃で10分間
焼成することにより、第1層を構成するPTFEフィル
ム間及び第1層と第2層との間にPFAからなる接着剤
層を有する多層チューブが形成された。この芯材を有し
たままの多層チューブの外周面に、図16に示したよう
に、乾燥時40重量%の量を占める粒径40〜60μm
のカーボン粒子9を分散させたフッ素ゴム溶液19を塗
布乾燥して、第3層として厚さ30μmのフッ素ゴム層
を形成した後、その上に、細孔直径10μm、空孔率6
0%、厚さ50μmの一軸延伸された未焼成多孔質PT
FEフィルムのテープ(幅:25mm)をスパイラル状
に2周巻付け、360℃で8分間焼成して、第4層とし
て厚さ100μmの多孔質PTFE層を形成した。冷却
後、ステンレスパイプを巻成体から引き抜き、内径2.
8mm,肉厚0.6mmの四層構造の本発明の多層チュ
ーブを得た。このチューブとは別に、その多層チューブ
から充実層(第1層)を省いたものを同時につくり、ガ
ーレー数を測定すると5,000〜7,000秒の通気
量が得られた。本発明の多層チューブは、曲率半径10
mmで屈曲させてもキンクを生じることがなく、またそ
の内面はなめらかでかつ耐汚染性のもので、油性マジッ
クインキをその内面に塗布した後、これを布でふきとる
と、跡かたもなくふきとることができた。さらにPTF
Eテープの端部重なり部に形成される溝内にはPFA溶
融物が充満されて、内表面が平滑面に形成されているこ
とから、汚物洗浄時間が大幅に短縮された。またこのチ
ューブは1万回屈曲試験に加えて±90°のねじり試験
1000回、内視鏡用の処置具による充実PTFE層の
削れ試験においても破損を生じることなく、試験後水中
で1.5kg/cm2の空気による内圧をかけてもエア
ーがチューブ壁からリークすることなく完全な気密性を
示した。
【0063】実施例7 FEPのファインパウダー(粒径0.2〜0.4μm)
を水に分散したディスパージョン(濃度20重量%)
を、厚さ30μmの押出フィルムを乾燥して得たPTF
Eフィルムのテープ(幅:21.5mm)の片面に塗
布、乾燥させる。このテープを、その非塗布面を内側に
して、直径3.45mmのステンレスパイプの外周にス
パイラル状に2周巻きつけた。さらに同様の処理を施し
た同寸法のテープをその外周にスパイラル状に2周巻き
つけ、合計4周巻成した。このとき、第2のテープは、
第1のテープに対して負の巻き角とし、巻き目がクロス
するように巻いた。このようにして得られた巻成体の外
周に細孔直径10μm、空孔率60%、厚さ90μmの
一軸延伸された未焼成多孔質PTFEフィルムを、スパ
イラル状に4周、逆目に4周、合計8周巻成した。この
ようにして得られた巻成体を355℃で10分間焼成
し、冷却後、このものの表面に実施例6と同じ第3層及
び第4層を形成した。ステンレスパイプを引き抜き内径
3.2mm、肉厚0.7mmの四層構造の多層チューブ
を得た。
【0064】このようにして得られた製品チューブにお
いては、その第1層を構成する複数のフィルムの巻き方
向がクロスしたものであり、また、その第2層を構成す
るフルムの巻き方向もクロスしたものとなっている。従
って、この製品チューブは、フィルム製造における押出
しや延伸により生じるフィルム強度の配向性が相殺され
たもので、チューブ全体として強度配向の小さなもので
ある。このチューブは、±90度のねじり試験におい
て、すぐれた耐久性を示し、2000回のねじり試験後
においてもキンクすることがなかった。また、このチュ
ーブは、その内表面がなめらかで、かつ耐汚染性にすぐ
れたもので、油性のマジックインクをその内面に塗布し
た後、これを布でふきとると、跡かたもなくきれいにふ
きとることができた。さらに、このチューブは、1万回
の屈曲試験においても、その外観には変化を生じず、か
つ破壊を生じるようなこともなく、その屈曲試験後に、
水中で、そのチューブ内に、空気により1.5kg/c
2の内圧を加えても、空気がチューブ壁からリークす
ることはなく、完全な非通気性(気密性)を示すことが
確認された。
【0065】実施例8 実施例6で得たステンレスパイプの芯材を有する第1層
および第2層からなる多層チューブの焼成品の外周面
に、乾燥時20重量%の量を占める粒径0.5〜5.0
μmのカーボン粒子を分散させたフッ素ゴム溶液を塗
布、乾燥し、第3層として厚さ50μmのフッ素ゴム層
を形成した。このフッ素ゴム層は、カーボンの使用量が
少なく通気化はされていなかった。この3層構造のチュ
ーブの外周面に、3000rpmの高速で回転している
直径0.5mmのエンドミル刃を深さ50〜60μmの
深さで押し当て、フッ素ゴム層を直径0.5〜0.6m
mの円形に削り取った。この作業をチューブ長手方向に
10mm間隔で1列行った。この上に最高直径10μ
m、空孔率60%、厚さ50μmの1磁区延伸された未
焼成PTFEフィルムのテープ(幅25mm)をスパイ
ラル状に2周巻き付け、360度で8分間焼成して、第
4層として厚さ100見の多孔質PTFE層を形成し
た。冷却後、ステンレスパイプを巻成体から引き抜き、
内径2.8mm、肉厚0.6mmの4層構造の本発明の
多層チューブを得た。これとは別に、上記多少チューブ
から充実層(第1層)を省いたものを同時に作りG.N
o.を測定すると4000〜6000秒の通気量が得ら
れた。本発明の多層チューブは、半径10mmの曲率で
曲げてもキンク(折れ)を生じることがなく、また、そ
の内面はなめらかでかつ耐汚染性のもので、油性のマジ
ックインクをその内面に塗布した後、これを布でふきと
ると、跡かたもなくきれいにふきとることができた。ま
た、このチューブは、1万回屈曲試験においても外観に
は変化を生じず、また破損を生じるようなこともなく、
耐屈曲性において非常にすぐれたものであった。
【0066】
【発明の効果】本発明の可とう性チューブによれば、耐
薬品性、耐熱性及び内部表面の耐汚染性にすぐれるとと
もに気密性にすぐれ、更に特に耐ねじれ性、耐折れ性が
向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】芯材に対してPTFEフィルムをスパイラル巻
で巻成して形成した巻成体のその内表面の状態を示す説
明断面図である。
【図2】芯材に対してPTFEフィルムをすし巻きで巻
成して形成した巻成体のその内表面の状態を示す説明断
面図である。
【図3】芯材に対して二層フィルムをスパイラル巻きで
巻成する場合の説明図である。
【図4】スパイラル巻きで巻成する場合に用いられる二
層フィルムの説明断面図である。
【図5】芯材に対して二層フィルムをスパイラル巻きで
巻成して形成したその巻成体の内表面の状態を示す説明
断面図である。
【図6】芯材に対して二層フィルムをスパイラル巻きで
巻成して形成した巻成体を焼成した後の焼成体の内表面
の状態を示す説明断面図である。
【図7】芯材に対して二層フィルムをすし巻きで巻成し
た場合の斜視図である。
【図8】すし巻きで巻成する場合に用いられる二層フィ
ルムの説明断面図である。
【図9】芯材に対して二層フィルムをすし巻きで巻成し
て形成した巻成体のその内表面の状態を示す説明断面図
である。
【図10】芯材に対して二層フィルムをすし巻きで巻成
して形成した巻成体を焼成した後の焼成体の内表面の状
態を示す説明断面図である。
【図11】電子内視鏡装置の概略構成説明図を示す。
【図12】電子内視鏡装置内部の吸引及び処置具挿通用
の管路構成説明図を示す。
【図13】管路の接続構造の一例を示す説明図である。
【図14】管路の接続構造の他の例を示す説明図であ
る。
【図15】第3層を形成する一例を示す説明図である。
【図16】第3層を形成する一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 芯材 2,3,4,5,6,10 PTFEフィルム 8 通気性樹脂 9 カーボン粒子 11 熱可塑性フッ素樹脂フィルム(11′ 第2層) 19 フッ素ゴム溶液(19′フッ素ゴム) 21 電子内視鏡装置 22 操作部 23 挿入部 24 湾曲部 25 先端構成部 26 ユニバーサルコード 27 コネクター 28 処置具挿入口 29 吸引切替制御機構 30 吸引チューブ取付口金 31,33,34 吸引チューブ 32 分岐部 35 貫通孔 36 パイプ 37 接続部材 38 テーパー面 39 テーパー環 40 止めネジ a 溝部 b フィルムの端面 c フィルム端部におけるフィルム下面 d 二層フィルムの耳部 L 二層フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒井 敬一 東京都渋谷区幡ヶ谷二丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 中島 俊之 東京都渋谷区幡ヶ谷二丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 充実構造のポリテトラフルオロエチレン
    よりなる第1層と、その外周面に積層された多孔質構造
    のポリテトラフルオロエチレンよりなる第2層と、更に
    その外周面に積層され、通気性を有しかつ該第2層材料
    より弾力性が高い高分子材料よりなる第3層とからな
    り、該第1層と該第2層とは熱融着により一体化され、
    かつ該第3層の通気度がガーレー数で100,000秒
    以下であることを特徴とする可とう性多層チューブ。
  2. 【請求項2】 充実構造のポリテトラフルオロエチレン
    よりなる第1層と、その外周面に積層された多孔質構造
    のポリテトラフルオロエチレンよりなる第2層と、更に
    その外周面に積層され、通気性を有しかつ該第2層材料
    より弾力性が高い高分子材料よりなる第3層とからな
    り、該第1層と該第2層とは熱可塑性フッ素樹脂からな
    る接着剤層を介して一体化され、かつ該第3層の通気度
    がガーレー数で100,000秒以下であることを特徴
    とする可とう性多層チューブ。
  3. 【請求項3】 該第3層の外周面に、多孔質構造のポリ
    テトラフルオロエチレンからなる第4層を積層させたこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の可とう性多層チュ
    ーブ。
  4. 【請求項4】 該第1層と該第2層との厚さの関係は、
    該第1層の厚さが、それら第1層と第2層の合計厚さの
    1/1000〜1/2の範囲にあることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の可とう性多層チューブ。
  5. 【請求項5】 該第1層が、充実構造のポリテトラフル
    オロエチレンからなる複数層から構成されるとともに、
    該複数層は熱可塑性フッ素樹脂からなる接着剤層を介し
    て一体化されていることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の可とう性多層チューブ。
  6. 【請求項6】 該第1層が、熱可塑性フッ素樹脂フィル
    ムと充実構造を有するか又は焼成により充実構造になる
    ポリテトラフルオロエチレンフィルムとからなる二層フ
    ィルムの巻成体の焼成物よりなることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の可とう性多層チューブ。
  7. 【請求項7】 該焼成物からなる第1層の内表面にポリ
    テトラフルオロエチレン及び熱可塑性フッ素樹脂が露出
    し、該内表面は実質的に平滑面に形成されていることを
    特徴とする請求項6の可とう性多層チューブ。
  8. 【請求項8】 該熱可塑性フッ素樹脂が、テトラフルオ
    ロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
    合体であることを特徴とする請求項2記載のの可とう性
    多層チューブ。
  9. 【請求項9】 該第3層を構成する高分子材料が合成ゴ
    ムまたは天然ゴム等のエラストマーである請求項1から
    8のいずれかに記載の可とう性多層チューブ。
  10. 【請求項10】 該エラストマーがフッ素ゴムである請
    求項9に記載の可とう性多層チューブ。
  11. 【請求項11】 該第3層を構成する高分子材料が合成
    樹脂である請求項1から8のいずれかに記載の可とう性
    多層チューブ。
  12. 【請求項12】 該第3層を構成する高分子材料が、高
    分子材料と該高分子材料とは密着しない微小粒子との混
    合体である請求項1から11のいずれかに記載の可とう
    性多層チューブ。
  13. 【請求項13】 該第3層を構成する高分子材料が、粗
    面化された第2層材料の多孔質PTFEの一部が高分子
    材料を貫通して高分子材料の外表面に露出しているもの
    である請求項1から11のいずれかに記載の可とう性多
    層チューブ。
  14. 【請求項14】 該第3層を構成する高分子材料が、高
    分子材料に複数の小孔が機械的に設けられたものである
    請求項1から11のいずれに記載の可とう性多層チュー
    ブ。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかの可とう性
    多層チューブからなる医療用チューブ。
  16. 【請求項16】 請求項1〜14のいずれかの可とう性
    多層チューブからなる内視鏡装置における吸引チューブ
    又は管路形成用チューブ。
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