JPH087166Y2 - 歯車変速機のシフト反転機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は，歯車変速機内のギヤ配列のうち一対のギ
ヤのみが不整となっている場合に，これを正規のシフト
パターンに適合させるためのシフト反転機構に関する。
本考案は，特にシフトレバーの真下にシフトレバーに連
結されるシフトレバーインナが配され，このシフトレバ
ーインナが変速段形成用シフトヘッド部材に選択的に係
合して変速切替を行う歯車変速機に関する。

［従来の技術］ 一般に，歯車変速機において，ギヤ配列が，例えば５
速−後進−４速−３速−２速−１速となっている場合に
おいて，シフトパターンの上から５速と後進を反転させ
る機構を設定する必要がある。この場合，従来は,5速−
後進用フォークシャフトと平行に他のフォークシャフト
を１本追加し，シフトレバーハウジング内においてこの
２本のフォークシャフト間に反転レバーを取り付けるこ
とにより，シフトの方向を反転させるものがあった。

このようなシフトレバーハウンジグ内に設けられたシ
フト反転機構の例としては，第３図に示すようなものが
あり，このシフト反転機構は，シフトレバーハウジング
１内にシフトアンドセレクトレバーシャフト２と平行に
別のシャフト３を配置し，このシャフト３の軸上にシフ
ト反転レバー４を該シャフト３と共にあるいはシャフト
３に対して相対的に回転するように支持するとともに，
この反転レバー４の一端4aはシフトレバーインナ５に対
して連動し得るように係合もしくは係合可能に位置さ
せ，かつ他端4bはフォークシャフト６のシフトヘッド７
に対して係合もしくは係合可能に位置されていた。

また，従来の他の例としては,5速−後進用フォークシ
ャフトの中央に支点を設け，その支点をケース側面につ
け，反転させるものもあった。

［考案が解決しようとする課題］ しかし，前者の場合は，重量が大幅に増加してしまう
という問題が生じ，また後者の場合には，ギヤ類組付後
にその支点を固定する必要があり，組付性が非常に悪
く，また設計上スペース的に無理が生じていた。

この考案は，上記従来の歯車変速機のシフト反転機構
における問題点を解決するために成されたものである。
すなわち，本考案は，変速機の重量増加を極力抑えるこ
とができ，しかも組付性の良い歯車変速機のシフト反転
機構を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この考案は、下記の特徴により上記目的を達成する、
即ち、 （ａ）シフトレバーの真下に、シフトレバーに連結さ
れるシフトレバーインナがシフトアンドセレクトレバー
シャフトを回動中心として配され、このシフトレバーイ
ンナの回動により変速段形成用シフトヘッド部材に選択
的に係合して変速切替を行う歯車変速機において、 （ｂ）反転用レバーが歯車変速装置に一端に配される
トランスファアダプタ内に収容されており、 （ｃ）この反転用レバーはその中央部がピボットによ
って歯車変速装置の出力軸のベアリングリテーナに回動
自在に支持されており、 （ｄ）前記反転用レバーの前記一端及び他端が夫々曲
折端として形成され、夫々前記シフトレバーインナの爪
部ないし該反転用レバーにより切替えられる変速段とは
異る他の変速段形成用シフトヘッドに対する係合爪部を
成しており、更に、該反転用レバーの一端が反転操作を
行うフォークシャフトに係合すると共に該他端が該シフ
トレバーインナの爪部に選択的に係合され、 （ｅ）前記シフトレバーインナの爪部は、該反転用レ
バーの前記他端と、前記他の変速段形成用のシフトヘッ
ド部材との間で選択的に切替係合可能に配設されること
を特徴としている歯車変速機のシフト反転機構である。

［作用］ 上記歯車変速機のシフト反転機構は，シフトレバーの
操作によってシフトレバーインナの爪部が反転用レバー
の他端部に選択的に係合され，この反転レバーによって
シフトレバー操作によるシフトレバーインナの回動運動
が反転された後，反転用レバーの一端に係合するフォー
クシャフトに伝達される。

ここで反転用シフトレバーがピボットによってベアリ
ングリテーナに回動自在に支持されているため，本考案
によるシフト反転機構は他に反転用レバーを支持するた
めのフォークシャフトを必要としていない。また反転用
シフトレバーが内部スペースに余裕のあったトランスフ
ァアダプタ内においてベアリングリテーナに支持されて
いるので，設計上無理がなく，かつ反転用シフトレバー
の取り付けをトランスファアダプタのシフトレバーハウ
ジングへの組付け前に行うことが可能である。

［実施例］ 以下この考案を，図面に示す実施例に基づいてさらに
詳細に説明を行う。

第１および２図において，シフトレバーハウジング11
の端面に接合されたトランスファアダプタ12内にこのア
ダプタ12の軸線方向と直角方向にシフトアンドセレクト
レバーシャフト13が架け渡され，その両端部をアダプタ
12に固定されている。そしてこのシフトアンドセレクト
レバーシャフト13にはシフトレバーインナ14が嵌合さ
れ，シャフト13に対して回動自在かつ軸方向にスライド
自在に支持されている。

このシフトレバーインナ14の上端部は，トランスファ
アダプタ12の上部に取り付けられたシフトレバー15の下
端部に連結されており，このシフトレバー15の操作によ
ってシフトレバーインナ14がシフトアンドセレクトレバ
ーシャフト13に対して回動しまた軸方向に沿ってスライ
ドするようになっている。またこのシフトレバーインナ
14の下端部には爪部14Aが形成されており，シフトレバ
ーインナ14がシフトアンドセレクトレバーシャフト13の
軸方向にスライドすることによってトランスファアダプ
タ12内に位置される１−２シフトヘッド16または後述す
る反転用レバー17の爪部17Aと係合するようになってい
る。

反転用レバー17は，歯車変速機の出力軸18のベアリン
グリテーナ19に対し，このリテーナ19の延在部に一体的
に形成されたボス部19aに出力軸18と直角方向となるよ
う固定された反転用ピボット20によって中央部を枢支さ
れることにより，回動自在に支持されている。この反転
用レバー17の上端部には前述した爪部17Aが曲折端とし
て形成され，また下端部には爪部17Bが形成されていて
この爪部17Bが曲折端として５速−後進用フォークシャ
フト21に係合している。この５速−後進用フォークシャ
フト21は，第２図において左方向にスライドすると後進
となり，右方向にスライドすると,5速になる。この反転
用レバーの配置、構成は図示の通り、出力軸回りの、し
かも出力軸のベアリングリテーナ19のボス部構成と相ま
ってトランスファアダプタの内部にコンパクトな配置を
実現している。

なお、図中22は１−２速フォークシャフト,23は３−
４速フォークシャフトである。

上記歯車変速機のシフト反転機構は第１図において、
シフトレバーを右方向に傾倒しシフトレバーインナ14を
シフトアンドセレクトレバー13に対して左方向にスライ
ドさせ爪部14Aを反転用レバー17の爪部17Aに係合させた
状態で，第２図においてシフトレバー15を左方向に傾倒
すると，シフトレバーインナ14が時計回りに回動され，
このシフトレバーインナ14の回動が反転用レバー17によ
って反転されて,5速−後進用フォークシャフト21を右方
向にスライドし,5速へのシフトを行う。また上記と反対
にシフトレバー15を右方向に傾倒すると、シフトレバー
インナ14が反時計回りに回動され，このシフトレバーイ
ンナ14の回動が反転用レバー17によって反転されて５速
−後進用フォークシャフト21を左方向にスライドし，後
進へのシフトを行う。

なお，上記実施例においては,5速−後進用フォークシ
ャフトに対して反転用レバーが取り付けられた例を示し
たが、反転すべきフォークシャフトが他のフォークシャ
フトであっても，同様に構成できることは言うまでもな
い。

［考案の効果］ 以上のように，この考案の基本構成（請求項１）によ
る歯車変速機のシフト反転機構は、反転用シフトレバー
がピボットによってベアリングリテーナに回動自在に支
持されているため，他に反転用レバーを支持するための
フォークシャフトを必要とせず，このためシフト反転機
構の装備に伴う変速機の重量増加を最小限に抑えること
ができる。

また，反転用シフトレバーが内部スペースに余裕のあ
ったトランスファアダプタ内においてベアリングリテー
ナに支持されているので，設計上無理がなく，かつ反転
用シフトレバーの取り付けをトランスファアダプタのシ
フトレバーハウジングへの組付け前に行うことが可能と
なり，従来のシフト反転機構と比較してその組付性が非
常に良い。その上、反転用レバーの曲折端構成によって
シフト反転機構がトランスファアダプタ内の狭い空間内
によりコンパクトに収容可能になる。また請求項２によ
り、ベアリングリテーナの近傍に反転用レバーを枢支す
るための簡単な機構が成立つ。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例をトランスファアダプタ方向
から示す正面図，第２図は同実施例の側断面図，第３図
は従来例を示す断面図である。 11…シフトレバーハウジング 12…トランスファアダプタ 13…シフトアンドセレクトレバーシャフト 14…シフトレバーインナ 14A…爪部、15…シフトレバー 17…反転用レバー、17A,17B…爪部 18…出力軸 19…ベアリングリテーナ 19a…ボス部、20…反転用ピボット 21…５速−後進用フォークシャフト

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ）シフトレバーの真下に、シフトレバ
   ーに連結されるシフトレバーインナがシフトアンドセレ
   クトレバーシャフトを回動中心として配され、このシフ
   トレバーインナの回動により変速段形成用シフトヘッド
   部材に選択的に係合して変速切替を行う歯車変速機にお
   いて、 （ｂ）反転用レバーが歯車変速装置の一端に配されるト
   ランスファアダプタ内に収容されており、 （ｃ）この反転用レバーはその中央部がピボットによっ
   て歯車変速装置の出力軸のベアリングリテーナに回動自
   在に支持されており、 （ｄ）前記反転用レバーの前記一端及び他端が夫々曲折
   端として形成され、夫々前記シフトレバーインナの爪部
   ないし該反転用レバーにより切替えられる変速段とは異
   る他の変速段形成用シフトヘッドに対する係合爪部を成
   しており、更に、該反転用レバーの一端が反転操作を行
   うフォークシャフトに係合すると共に該他端が該シフト
   レバーインナの爪部に選択的に係合され、 （ｅ）前記シフトレバーインナの爪部は、該反転用レバ
   ーの前記他端と、前記他の変速段形成用のシフトヘッド
   部材との間で選択的に切替係合可能に配設されることを
   特徴とする歯車変速機のシフト反転機構。
2. 【請求項２】前記ビポットは、前記ベアリングリテーナ
   の本体から出力軸軸方向に延びる延在部に一体に設けた
   ボス部に、出力軸軸方向と直角方向に取付けられること
   を特徴とする請求項１に記載の歯車変速機のシフト反転
   機構。