JPH0870861A - ラッカーゼおよびその生産方法 - Google Patents

ラッカーゼおよびその生産方法

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JPH0870861A
JPH0870861A JP21028894A JP21028894A JPH0870861A JP H0870861 A JPH0870861 A JP H0870861A JP 21028894 A JP21028894 A JP 21028894A JP 21028894 A JP21028894 A JP 21028894A JP H0870861 A JPH0870861 A JP H0870861A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い耐熱性を有するラッカーゼおよびその安
価で大量な生産方法を提供する。 【構成】 ホウロクタケ属に属する新菌株から得られ
る、以下の特性:(1)分子量:約62,000;(2)作用
適温の範囲:至適温度は約70℃である;(3)熱安定
性:pH7.0で30分間保持した場合に、約65℃ま
で安定である;(4)至適pH:約5.0;(5)安定pH範
囲:30℃で3時間処理する場合において、pH7.0
〜10.0;および(6)等電点:約3.0;を、有するラ
ッカーゼ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性の高いラッカー
ゼおよびこのようなラッカーゼを担子菌培養物から生産
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ラッカーゼは、フェノールオキシダーゼ
またはリグニン分解酵素とも呼ばれ、酸素の存在下、フ
ェノール性化合物を酸化する酵素である。ラッカーゼ
は、リグニン分解作用、ウルシオールなどのフェノール
性物質の酸化重合作用を有するため、例えば、コンクリ
ート混和剤の合成、パルプ製造処理等におけるリグニン
除去、人工漆の製造への用途が期待されている。特に、
人工漆製造には、漆の指触乾燥の効果を高めるため、酸
化力が強く、かつ高温での失活がないラッカーゼが、特
に必要である(寺田ら、塗装工学、Vol.26、No.6、
(1991))。また、パルプ製造処理におけるリグニ
ン除去でも、屋外で夏期に実施する場合には高温となる
ため、耐熱性に優れるラッカーゼが必要とされる。
【0003】従来から、種々の菌類に由来するラッカー
ゼが知られている。例えば、担子菌類のコリオラス・ヒ
ルスタス、コリオラス・ベルシカラー(特開昭62−2
20190号公報)、木材腐朽菌であるピクノポラス・
コクネシウス(寺田ら、塗装工学、Vol.26、No.6、
(1991))、接合菌類のムコール・メイヘイ(特開
昭61−115488号公報)に由来するラッカーゼが
知られている。この他、動物、植物にもラッカーゼの存
在が知られている。
【0004】しかしながら、いずれのラッカーゼも熱的
に不安定であること、酵素の大量精製が困難であること
などから、上記用途への実用化がなされていないのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するものであり、その目的とするところは、
耐熱性に優れたラッカーゼ、その生産方法および生産菌
を提供することである。これまで高い耐熱性を有する、
ラッカーゼおよびこれを生産する菌類は知られていな
い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ホウロク
タケ(Trametes)属に属する、新たに単離した担子菌か
ら、新規なラッカーゼを見いだし、本発明を完成するに
至った。
【0007】本発明のラッカーゼは、次の特性を有す
る。 (1)分子量:約62,000である。 (2)作用適温の範囲:至適温度は約70℃である。 (3)熱安定性:pH7.0で30分間保持した場合に、約
65℃まで安定である。 (4)至適pH:約5.0である。 (5)安定pH範囲:30℃で3時間処理する場合におい
て、pH7.0〜10.0である。 (6)等電点:約3.0である。 このことによって上記目的が達成される。
【0008】本発明のラッカーゼは、ホウロクタケ属の
担子菌、特に平成6年8月12日に工業技術院生命工学
工業技術研究所(生命研と略称する)に寄託したTramet
es sp. Ha1株(生命研菌寄第14472号;FERM P-1
4472)により生産される。このことによって上記目
的が達成される。
【0009】上記担子菌より生産される本発明のラッカ
ーゼの種々の特性を表1に示す。
【0010】
【表1】
【0011】上記特性を有する、ホウロクタケ属担子菌
由来のラッカーゼは、これまで知られていない。
【0012】本発明のラッカーゼの生産方法は、上記生
産菌を培養し、培養物より該ラッカーゼを分離精製する
工程を包含する。このことによって上記目的が達成され
る。以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明のラッカーゼは、ホウロクタケ属の
担子菌、特にTrametes sp. Ha1株(生命研菌寄第144
72号;FERM P-14472)により生産される。この
菌株は、発明者らが土壌、海水および淡水、ならびに腐
朽物からラッカーゼを生産する菌類を広くスクリーニン
グした結果、新たに竹の枯葉から単離された新菌株であ
る。
【0014】(1)形態および培養 本発明のラッカーゼ生産菌(以下、本菌という)は、リ
グニン分解能を有する白色腐朽菌であること、培養菌糸
に骨格菌糸およびかすがい連結(clamp connection)を
有するがシスチジアおよび剛毛状菌糸などの異形細胞は
存在しないこと、ならびに培養菌糸に分生胞子が形成さ
れないこと、等の菌学的性質を有することにより、ホウ
ロクタケ(Trametes)属に属する担子菌と同定され、Tr
ametes sp. Ha1と命名した。
【0015】本菌のさらに詳細な菌学的性質は、以下の
通りである。
【0016】(ポテト・グルコース寒天培地)培養開始
後7日目において、コロニーの表面および裏面は共に白
色であり、直径5〜10mmに成長し、気中菌糸は短く
密で綿毛状である。菌糸は、特徴的な結合菌糸を伴い、
少数の骨格菌糸が認められ、かすがい連結を有する。菌
糸の表面は、平坦であり、幅は2〜6μmである。シス
チジアおよび剛毛状菌糸は認められない。分生胞子の形
成は認められない。
【0017】(サブロー寒天培地)培養開始後7日目に
おいて、コロニーの表面は白色、裏面は薄茶色であり、
直径3〜7mmに成長し、気中菌糸は短く疎である。菌
糸は、特徴的な結合菌糸を伴い、少数の骨格菌糸が認め
られ、かすがい連結を有する。菌糸の表面は、平坦であ
り、幅1〜4μmである。分生胞子の形成は認められな
い。
【0018】(フェノールオキシダーゼ反応)0.5%
の没食子酸または0.5%のタンニン酸を含むサブロー
寒天培地に本菌を接種し、30℃で培養条件下、菌体の
周囲が褐変する反応陽性が認められる。従って、本菌は
リグニン分解性木材腐朽菌(白色腐朽菌)の一種であ
る。
【0019】本菌の生育範囲は、ポテトグルコース寒天
培地(ポテトエキス末4g、ブドウ糖20gおよび寒天2
0gを、1リットルの蒸留水中に溶解する。)におい
て、約4〜40℃、pHは約2〜12であり、生育好適
温度は25〜35℃、生育好適pHは4.0〜8.0であ
る。特に好ましい生育条件は、30℃でpHが約5.5
である。
【0020】次に、本菌から本発明のラッカーゼを生産
するための条件について説明する。本菌は、液体培養ま
たは固体培養のいずれでも培養し得る。本菌を生育させ
る培地としては、特に限定されず、通常の液体培地また
は固体培地が用いられる。炭素源としては、本菌が同化
し得るものならなんでもよく、グルコース、ショ糖、糖
蜜等の糖類、澱粉、木粉などが用いられ得る。窒素源と
しては、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキ
ス、大豆分解物、尿素などの有機窒素源の他、硝酸アン
モニウム、硝酸ナトリウム等の無機窒素源も使用し得
る。必要に応じてリン酸塩、硫酸マグネシウム、カリウ
ム、カルシウム、銅、ナトリウム、マンガン、亜鉛等の
無機塩類、ビタミン類等が添加され得る。これら培地成
分は、本菌の生育を阻害しない濃度であればよく、炭素
源は0.1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%、
窒素源は0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量
%である。
【0021】培地のpHを、2.0〜12.0、好ましく
は4.0〜8.0に調製し、滅菌して使用する。培養温度
は、担子菌類が生育し得る温度であればよく、実用上、
10〜40℃、好ましくは25〜35℃である。本菌を
液体培養する場合は、通気培養または振盪培養が好まし
い。培養時間は、種々の培養条件によって異なるが、通
気または振盪培養の場合は、通常2〜10日間が好まし
い。
【0022】(2)培養液からのラッカーゼの分離精製 本菌の培養液から本発明のラッカーゼ(以下、本ラッカ
ーゼという)を分離精製するには、既知の精製法、例え
ば透析、塩析、各種カラムクロマトグラフィー、等電点
沈澱、ゲル濾過が単独もしくは併用して利用され得る。
【0023】本ラッカーゼは、菌体外に分泌生産され、
培養液中に蓄積される。従って、培養後、菌体等の不溶
物を遠心分離、濾紙または濾布などによる濾過等により
除去し、本ラッカーゼを含む培養液(粗酵素液)を回収
する。得られた粗酵素液を、濃縮、硫安分画(塩析)、
透析、各種クロマトグラフィー、ゲル濾過などの一般的
に用いられる酵素の精製方法により、本ラッカーゼが精
製され得る。例えば、上記得られた粗酵素液を硫安分画
後、透析、各種クロマトグラフィー、限外濾過に順次供
試することにより、精製された高活性の本ラッカーゼを
含有する画分が得られる。
【0024】(3)ラッカーゼ活性の測定 本発明において本ラッカーゼ活性は、本ラッカーゼが触
媒する、4-アミノアンチピリンと、水素供与体との酸化
縮合による発色反応で測定する。水素供与体としてはフ
ェノール、N,N-ジエチルアニリン(DEA)が挙げられ
る。酸化縮合による発色反応系において、505nm
(フェノール)あるいは555nm(DEA)における吸
光度を測定し、本願においては、7.5マイクロモルの
フェノールおよび1.25マイクロモルの4-アミノアン
チピリンを含む190mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH
4.5)520μlを30℃にて1分間プレインキュベ
ートした後、酵素液20μlを混合して、505nmの
吸光度の変化を測定し、1分間に吸光度を0.01増加
させる酵素活性を1単位(U;ユニット)とする。
【0025】以下の実施例にて、本発明をさらに詳細に
説明するが、これらはなんら本発明を限定するものでは
ない。
【0026】
【実施例】実施例1 (Trametes sp. Ha1の培養)10mlの培地(5%グル
コース、0.5%ペプトン、0.1%酵母エキス、0.2
%KH2PO4、0.1%K2HPO4、0.02%MgSO4・7H2O、pH
6.0)を含む60ml容試験管にTrametes sp. Ha1の
一白金耳を接種し、28℃で4日間、振盪培養した。次
いでこの培養液20mlを、2.5lの上記培地を含む
5l容ミニジャーファーメンターに植菌し、28℃で7
日間、通気撹拌培養した。
【0027】実施例2 (本ラッカーゼの精製)上記実施例1で得られた培養液
を濾紙で濾過して除菌し、回収した濾液を粗酵素液とし
た。
【0028】この粗酵素液をエバポレーションまたは限
外濾過により濃縮後、50%飽和硫安で塩析し、沈澱し
たタンパク質を遠心分離により除去した。次に75%飽
和硫安で沈澱する部分を遠心分離により回収した。この
回収画分を10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に
対して透析し、透析内液を得た。
【0029】上記透析内液を、上記緩衝液で平衡化した
DEAE-セファセルカラム(5.0×5.1cm;Pharmacia社
製)に供試した。上記カラムを同緩衝液で洗浄後、同緩
衝液に塩化ナトリウム濃度を0Mから1Mへの濃度勾配
をかけた溶出により、上記カラムに吸着された本ラッカ
ーゼを溶出し、分画回収した。本ラッカーゼは、約0.
2Mで溶出した。
【0030】得られた各画分の一部を本ラッカーゼ活性
の測定に供試し、活性を有する画分を合せて10mMリ
ン酸カリウム緩衝液(pH5.7)に対して透析し、透
析内液を得た。
【0031】上記透析内液を、ハイドロキシアパタイト
充填カラム(2.6×18.8cm;生化学工業製)に供試し、
非吸着物質を洗浄溶出後、1M塩化ナトリウムを含む上
記緩衝液により、本ラッカーゼを溶出した。本ラッカー
ゼを含む溶出液は、限外濾過により濃縮し、0.2M塩
化ナトリウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.5)で平衡化したセファクリルS−300HRカラ
ム(2.6×86cm;Pharmacia社製)に供試し、さらに分画
精製された酵素精製液を得た。
【0032】この酵素精製液の一部をポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動に供試し、クマーシーブリリアントブル
ー染色によるタンパク質の検出、およびフェノールおよ
び4-アミノアンチピリンを用いる上記発色反応系でラッ
カーゼの活性染色を行なった。結果を図1に示す。レー
ンAは、染色により検出されたタンパク質バンド、レー
ンBは、上記発色反応系により検出されたラッカーゼ活
性バンドを示す。図中の矢印で示されるように、検出さ
れた均一なタンパク質バンドとラッカーゼ活性バンドと
の位置は一致し、本ラッカーゼが上記工程により、酵素
活性を失うことなく精製され得ることが確認された。ま
た、上記泳動後のゲルをシッフの染色法に供試し、本ラ
ッカーゼが糖タンパク質であることを確認した。
【0033】上記の各精製工程における本ラッカーゼの
精製度およびタンパク質当りの比活性を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】実施例3 (本ラッカーゼの分子量)SDSポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(SDS-PAGE)法(Laemmli,U.K.、Nature、22
7、680(1970))で本ラッカーゼの分子量を測定した。
【0036】上記実施例2で得られた精製ラッカーゼお
よび分子量マーカーとして既知の6種のタンパク質(分
子量約97,400、66,300、42,400、30,000、20,100および
14,400)を同時に泳動した。泳動終了後、クーマシーブ
リリアントブルーで染色し、本ラッカーゼと各分子量マ
ーカーとの相対泳動距離より、本ラッカーゼの分子量を
測定した。結果を図2に示す。右側のレーンは、本ラッ
カーゼ、左側のレーンは、同時に泳動した各分子量マー
カーである。左外側の数値は分子量サイズ(kDa)を表
す。本SDS-PAGEにより、本ラッカーゼは、単一バンドを
示した。本ラッカーゼのSDS-PAGEにおける分子量は、約
62,000である。上記酵素精製液を高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)にかけ分子量を測定した結
果、上記と同様、約62,000である。
【0037】実施例4 (本ラッカーゼの作用適温範囲および熱安定性) (1)作用適温の範囲 上記実施例2で得られた精製された本ラッカーゼの活性
を、上記発色反応系において種々の温度条件(16、30、
40、50、60、70、75、80℃)下で測定した。結果を図3
に示す。図中の横軸は反応温度(℃)を表し、縦軸は最
大活性値を100とした場合の相対活性(%)を表す。本
ラッカーゼの至適温度は、約70℃である。
【0038】(2)熱安定性 上記実施例2で得られた精製された本ラッカーゼを種々
の温度条件(0、30、40、45、50、55、60、65、70、80
℃)下、リン酸緩衝液(pH7.0)中で30分間インキュ
ベートした後、活性を測定した。結果を図4に示す。図
中の横軸は処理温度(℃)を表し、縦軸は最大活性値を
100とした場合の相対残存活性(%)を表す。本ラッカ
ーゼは、処理温度条件が65℃の場合においても酵素活
性の70%以上が保持され、安定である。本ラッカーゼ
は、処理温度条件が60℃では、酵素活性は100%保
持される。
【0039】実施例5 (本ラッカーゼの至適pHおよび安定pH範囲) (1)至適pH pH領域に応じて、50mM酢酸緩衝液、50mMリン酸緩
衝液、50mMトリス塩酸緩衝液または50mMトリス硝酸
緩衝液を用いて、pHを2.5〜9.0(2.5、3.5、4.
4、5.0、5.7、6.3、7.3、8.0、9.0)に調整し、上記実
施例2で得られた精製された本ラッカーゼの活性を測定
した。結果を図5に示す。図中の横軸は反応pHを表
し、縦軸は最大活性値を100とした場合の相対活性
(%)を表す。本ラッカーゼの至適pHは、約5.0で
ある。
【0040】(2)安定pH範囲 実施例2で得られたラッカーゼ溶液のpHを1.0〜1
2.0(1.0、1.9、4.1、5.0、6.1、7.0、7.5、8.0、8.
2、9.2、10.0、10.3、10.9、12.0)に調整し、30℃で
3時間インキュベートした。次いで、各pH処理液中の活
性を測定した。結果を図6に示す。図中の横軸は処理pH
を表し、縦軸は、最大活性値を100とした場合の相対残
存活性(%)を表す。本ラッカーゼの安定pH範囲は、
7.0〜10.0である。
【0041】実施例6 (本ラッカーゼの等電点)常法の等電点電気泳動法によ
り本ラッカーゼの等電点を測定した。測定の結果、本ラ
ッカーゼの等電点は、約3.0である。
【0042】実施例7 (本ラッカーゼの基質特異性)上記実施例2で精製され
た本ラッカーゼの基質特異性を、カテコール、レゾルシ
ノール、ヒドロキノン、カフェイン酸、ヒドロカフェイ
ン酸、ピロガロール、o−クレゾール、m−クレゾー
ル、p−クレゾール、p−ヒドロキシ安息香酸、フェノ
ール、p−フェニレンジアミン、p−トルイジン、N,N-
ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、またはN-エ
チル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチル
アニリンを基質として供試し、これらの基質の酸化に伴
う酸素消費量を酸素電極により電気信号に変換する酸素
電極法を用いて調べた。詳細には、10マイクロモルの
上記基質を含む200mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH
4.5)1980μlを、30℃で、10分間、空気で
平衡化した後、酵素液20μlを添加することで反応を
開始し、クラーク型酸素電極で酸素の消費量を測定し
た。比較のために、ピクノポラス・コクシネウス、およ
びコリオラス・ベルシカラー由来のラッカーゼについて
も同様に調べた。カテコールを基質とした場合の測定値
を100とした、相対値(%)を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】本ラッカーゼは、カフェイン酸に対して特
に高い特異性を示し、ヒドロカフェイン酸に対する特異
性も他のラッカーゼと異なる。
【0045】実施例8 (培養条件の検討)綿栓をした60ml容試験管と50
0ml容フラスコとを用い、培地液量を少しずつ変え
て、酸素供給量の変化によるラッカーゼの生産性の変動
を調べた。培地液量は、60ml容試験管では、5、1
0および15ml、500ml容フラスコでは、25、
50、75および100mlとした。各培地液量につい
て、ラッカーゼ活性を測定し、ラッカーゼの生産量とし
た。それぞれの結果を、図7および図8中に示す。
【0046】いずれの容器を用いた場合も、培地液量を
増加させることで、酸素供給量を減少させるとラッカー
ゼの生産量が低下した。2リットル容のフラスコを用い
た実験でも、同様の結果が得られた。
【0047】これらの培養結果から、本菌の酵素の生産
は、菌体への酸素供給量により変動することが示唆され
た。
【0048】そこで、さらに綿栓をシリコ栓に変えて酸
素供給量を減少させた500ml容フラスコ中に、10
0mlの培地液を入れ、28℃で培養しラッカーゼ活性
の経時変化を調べた。図9中に、菌体乾燥重量、pH、お
よびラッカーゼ活性の変化をそれぞれ、−□−、−●
−、および−○−で示す。
【0049】ラッカーゼ活性は、6日目に最高活性に達
したが、綿栓を用いて培養したものと比較して約10分
の1の活性であった。これにより、本菌は、酸素供給量
を多くすることで、ラッカーゼの生産性が高まることが
明らかになった。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、高い耐熱性を有する新
規ラッカーゼ、およびその生産方法が提供される。本ラ
ッカーゼは従来のラッカーゼに比べ、高い耐熱性を有す
る為、人工漆の生産、パルプ製造処理工程等に有用であ
る。本ラッカーゼは、担子菌の培養によって生産される
ため、安価に大量に本ラッカーゼを提供することがで
き、試薬または工業用途に広く利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本ラッカーゼのポリアクリルアミドゲル電気泳
動による泳動パターンを示す、ゲル電気泳動写真であ
る。
【図2】本ラッカーゼのSDSポリアクリルアミドゲル
電気泳動(SDS-PAGE)による泳動パターンを示す、ゲル
電気泳動写真である。
【図3】16〜80℃の範囲で本ラッカーゼ活性を測定した
場合の相対活性を示す。
【図4】本ラッカーゼを0〜80℃の条件下、30分インキ
ュベーション後に測定した相対残存活性を示す。
【図5】pH2.5〜9.0の範囲で本ラッカーゼ活性を測定し
た場合の相対活性を示す。
【図6】本ラッカーゼをpH1.0〜12.0の条件下、30℃で
3時間インキュベーション後に測定した相対残存活性を
示す。
【図7】60ml容試験管による本菌培養時の本ラッカー
ゼ生産量に対する酸素供給効果を示す。
【図8】500ml容フラスコによる本菌培養時の本ラッ
カーゼ生産量に対する酸素供給効果を示す。
【図9】500ml容フラスコによる本菌培養における菌
増殖量、本ラッカーゼ活性および培養液pHの経時変化
を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の特性: (1)分子量:約62,000; (2)作用適温の範囲:至適温度は約70℃である; (3)熱安定性:pH7.0で30分間保持した場合に、約
    65℃まで安定である; (4)至適pH:約5.0; (5)安定pH範囲:30℃で3時間処理する場合におい
    て、pH7.0〜10.0;および (6)等電点:約3.0;を、有するラッカーゼ。
  2. 【請求項2】 ホウロクタケ(Trametes)属に属する担
    子菌、Trametes sp.Ha1株(生命研菌寄第14472
    号)が生産する、請求項1に記載のラッカーゼ。
  3. 【請求項3】 以下の特性: (1)分子量:約62,000; (2)作用適温の範囲:至適温度は約70℃である; (3)熱安定性:pH7.0で30分間保持した場合に、約
    65℃まで安定である; (4)至適pH:約5.0; (5)安定pH範囲:30℃で3時間処理する場合におい
    て、pH7.0〜10.0;および (6)等電点:約3.0;を有するラッカーゼを生産する方
    法であって、該ラッカーゼを生産するホウロクタケ属に
    属する担子菌を培養する工程、及び、培養物より該ラッ
    カーゼを分離精製する工程を包含する、方法。
JP21028894A 1994-09-02 1994-09-02 ラッカーゼおよびその生産方法 Expired - Fee Related JP2984552B2 (ja)

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