JPH0868918A - 光コネクタ用部品 - Google Patents

光コネクタ用部品

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JPH0868918A
JPH0868918A JP7242984A JP24298495A JPH0868918A JP H0868918 A JPH0868918 A JP H0868918A JP 7242984 A JP7242984 A JP 7242984A JP 24298495 A JP24298495 A JP 24298495A JP H0868918 A JPH0868918 A JP H0868918A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械的強度および靭性が大きく、割れや欠けの
発生が少なく光伝送量の低下が少ない光コネクタ用部品
を提供する。 【解決手段】光ファイバ14を接続する光コネクタ用部
品12a,12bにおいて、重量パーセントで酸化セリ
ウムを3.0%以上20%以下含有し、残部が実質的に
酸化ジルコニウムから成ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ファイバを接続す
る光コネクタ用部品に係り、特に高靭性で過酷な使用環
境にも充分耐え、寿命の長い光コネクタ用部品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体製造装置のボンディングキャピラ
リや光ファイバを接続する光コネクタ用部品など、繰り
返して荷重を受ける精密部品には、特に機械的強度が優
れた材料が使用されている。以下半導体製造装置のボン
ディングキャピラリおよび光コネクタ用部品を例にとっ
て説明する。
【0003】電子部品として多用されているICは、通
常、リードフレーム、ICチップ、パッケージから構成
されており、ICチップとリードフレームとは直径が
0.015mm〜0.1mm程度の細い金(Au)ワイヤに
よってボンディングされている。このワイヤボンディン
グ工程は、Auワイヤをキャピラリ(細管)の先端から
送出しながら、キャピラリをリードフレームとICの所
定位置に交互に圧着させ、ワイヤをリードフレームやI
Cチップ上に融着させることにより行なわれる。このキ
ャピラリの圧着は機械的かつ高速に行なわれるため、キ
ャピラリはリードフレーム等に強く打ちつけられる。ま
たキャピラリは、リードフレームに打ちつけられて瞬間
的に約1000℃の高温度に達することがある。したが
って、キャピラリの所要特性として耐衝撃性および耐熱
性が要求される。
【0004】このキャピラリの材質としては、当初ガラ
スや超硬質材を用いていたが、耐摩耗性等の点から、最
近はアルミナ(Al2 3 )多結晶セラミック製のもの
や、アルミナを原料にし、単結晶としたルビー、サファ
イアなどで形成したものが広く用いられてきた。
【0005】特に低コストで経済的なアルミナ多結晶セ
ラミック製キャピラリが最も多く使用されていた。その
キャピラリ1の先端部付近の外形は、図2に示す如く、
先端1aに向って漸次先細りするような形状をなし、A
u線2を先端に送出する直径0.025mm〜0.1mm程
度の細孔3を備えている。
【0006】一方、光コネクタ部品を有する製品例とし
ては、図3および図4に示す光コネクタ10a,10b
がある。図3に示す光コネクタ10aは、軸方向に内径
0.1〜0.15mm程度の細孔11aを穿設した光コネ
クタ用部品(フェルール)12aを、例えばステンレス
鋼から成る筒状の支持体13a内に嵌挿し、さらに上記
細孔11aに直径0.1〜0.15mm程度の光ファイバ
14を挿通せしめて構成されている。また図4に示す光
コネクタ10bは、軸方向に細孔11bを穿設した光コ
ネクタ用部品(フェルール)12bの一端部のみを支持
体13b内に嵌挿し、さらに上記細孔11bに光ファイ
バ14を挿通せしめて構成される。上記光コネクタ用部
品(フェルール)12a,12bの構成材料としては、
超硬材料やアルミナセラミックス等が使用されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ワ
イヤボンディング工程においては、近年、ICチップの
高集積化および小型化に伴い、ワイヤ自体も細くして高
密度でワイヤボンディングすることが求められている。
したがって、キャピラリそのものも先端部付近の外径お
よび孔径の小さなものが必要とされている。従来、キャ
ピラリの先端外径は200μm位であったが、現在では
50μm程度の微細なキャピラリが求められている。
【0008】この要求に応えるため、従来キャピラリ材
として用いられていたAl2 3 系やセラミックスを用
いて、形状は従来と同様の形状にし、キャピラリ先端外
径を50μmとしたキャピラリを製造した場合、次のよ
うな問題点が生ずる。つまり、たしかに従来より外径の
小さなキャピラリが得られるものの、Al2 3 の強度
不足に基づきキャピラリにクラックが発生したりして短
期間内に使用に耐え得なくなり、寿命が短いという問題
点がある。
【0009】一方、ルビーやサファイアはアルミナ多結
晶セラミックに比べて製造コストが高くなるという欠点
がある。
【0010】さらにより高い精度でのワイヤボンディン
グを行なうためにキャピラリの先端部の形状について
は、図2に示す円錐台形状のものから図1に示すような
ボトルネック形状のものが採用されつつある。すなわ
ち、図1に示すキャピラリ4の先端部は加工歪を低減
し、クラックの発生を防止するために外表面を内側に湾
曲させて形成される。そのため先端部の外径は従来より
大幅に小さくなり、従来と同一の強度を確保するために
は、より靭性の高い材料で構成する必要がある。その要
請に対応するものとして、部分安定化ジルコニア(Zr
2 )で形成したキャピラリも試用されている。しかし
ながら部分安定化ジルコニアでボトルネック状に形成し
たものは成形加工時または使用時にその先端部に欠けを
生じ易く、寿命が短いという欠点がある。
【0011】一方、超硬材料やアルミナセラミックスで
形成した光コネクタ用部品を使用した従来の光コネクタ
においては、耐摩耗性や靭性が低いため、光コネクタを
着脱する際に作用する衝撃力や摺動作用によって摩耗が
急激に進行したり、割れやかけが発生し易い難点があっ
た。上記のような摩耗や割れの発生により、光コネクタ
部品の接続端面15a,15bにおいて、光ファイバ1
4の中心軸が所定位置からずれていまうため、接続部に
おいて光伝送量が低下する等の問題も生じていた。
【0012】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、機械的強度および靭性が大きく、割
れや欠けの発生が少なく光伝送量の低下が少ない光コネ
クタ用部品を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は上記目的
を達成するため、種々のセラミックス材に関し、調査研
究を重ねた結果、重量%で酸化セリウム(CeO2 )を
3.0〜20%含有し、残部が実質的に酸化ジルコニウ
ムから成る部品を形成したときに、高い靭性有し、細径
形状に形成した場合においても優れた強度を有するボン
ディングキャピラリや光コネクタ用部品などの精密部品
が得られた知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち本発明に係る光コネクタ用部品
は、光ファイバを接続する光コネクタ用部品において、
重量パーセントで酸化セリウムを3.0%以上20%以
下含有し、残部が実質的に酸化ジルコニウムから成るこ
とを特徴とする。
【0015】本発明の対象となる光コネクタ用部品など
の高靭性精密部品の原材料として使用する酸化セリウム
および酸化ジルコニウムは粉末として一般に市販されて
いるものを利用することができる。また酸化セリウムは
3.0〜20重量%含有される。この酸化セリウムは、
酸化ジルコニウムを部分的に安定化させる安定化剤とし
て機能し、精密部品の靭性および強度を高める作用を有
する。しかし酸化セリウムの含有量が3.0%未満では
靭性および強度が不充分となる一方、含有量が20%を
超えると焼結が困難となるため、含有量は3.0〜20
%の範囲内に設定される。
【0016】次に本発明の目的とする特性を有するボン
ディングキャピラリや光コネクタ用部品などの精密部品
の製造工程について、前記のボンディングキャピラリを
例にとり説明する。なお、光コネクタ用部品の製造工程
もボンディングキャピラリの製造工程とほぼ同様であ
る。
【0017】すなわち、まず酸化セリウムおよび酸化ジ
ルコニウムの各原料粉を上記組成となるように秤量しボ
ールミル等で混合する。原料粉は、いずれもその平均粒
径が20〜200オングストロームのものを用いると焼
結後に得られるセラミックスは緻密で高硬度となるので
好ましい。
【0018】得られた混合粉は室温下でプレス成形して
グリーン成形体に加工する。このグリーン成形体にとっ
て加工上重要なことは、この成形体には図1に示すよう
にストレートな細孔5およびテーパ孔6や、図3および
図4に示すような細孔11a,11bを形成する粗加工
を施すので、この穿孔加工時にキャピラリ成形体や光コ
ネクタ部品成形体を研削盤等にチャッキングできる程度
の強度を備えていることである。通常、この強度を確保
するためには成形体の嵩密度を2.8〜4g/cm3 に設
定すればよい。このためには加圧成形時のプレス圧を7
00〜1000kg/cm2 の範囲に設定することが好まし
い。
【0019】穿孔加工を終了した後、この成形体を所定
条件下で焼結する。このときの焼結条件によって、得ら
れた焼結体の機械的強度、硬度などの特性は大きく左右
される。前述した特性範囲を発現せしめるためには、例
えば焼結温度1400〜1600℃、焼結時間0.5〜
4時間であればよい。
【0020】また焼結して形成されたキャピラリは、図
2に示す如き従来のキャピラリ1のように先端に向って
外径が漸次縮径するような形状ではなく、図1に示すよ
うにキャピラリ4の外径が所定位置から急激に小さくな
るような形状、いわゆるボトルネック形状を有してい
る。そのため、先端部の加工歪の発生が少なく、Au線
などのボンディングワイヤの高精度な圧着が可能とな
る。
【0021】また酸化セリウムの添加により、高靭性を
有するセラミックス材が形成されるため、先端部をボト
ルネック形状に微細に形成した場合においても、キャピ
ラリにクラックが発生することは少なく、長期間にわた
って安定した性能を保持することができる。
【0022】また、このキャピラリ4が高強度のセラミ
ックスで構成されるため、同一強度を得る場合には相対
的に先端4aの孔径および外径をさらに小さくすること
が可能であり、最終製品のより高密度化、小型化に充分
対応することができる。
【0023】また上記CeO2 およびZrO2 から成る
二元系セラミックス材で形成した光コネクタ部品を備え
る光コネクタによれば、特に高靭性のZrO2 にCeO
2 を添加して靭性および強度をさらに改善し耐摩耗性を
向上せしめているため、光コネクタの着脱時に作用する
衝撃力や摺動作用によって、摩耗が急速に進行したり、
割れや欠けが発生することが少ない。特に加工時の変形
が少なく、加工精度を大幅に高めることができる。した
がって、光ファイバの中心軸が接続部においてずれるお
それも少なく、接続部における光伝送量の損失が効果的
に低減できる。
【0024】本発明は、上記のようにワイヤボンディン
グキャピラリや光コネクタ用部品の他に各種ワイヤガイ
ドなど高靭性を必要とする部品材料に適用される。しか
しながらその適用範囲は上記の部品に限らず、複雑な形
状を有し肉薄で欠けやクラックが発生し易い全ての精密
部品に対して同様に応用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について添付
図面を参照して、より具体的に説明する。実施例1〜5 図4に示すような形状を有し、部品の外径が2.499
mm、細孔の孔径が0.1〜0.15mmのサイズを有する
光コネクタ用部品を、表1左欄に示すセラミックス組成
のように酸化セリウムの含有量を3.5〜20.0%の
範囲で変化させ、残部が酸化ジルコニウム(ZrO2
から成る焼結体で形成し実施例1〜5とした。
【0026】得られた各光コネクタ用部品の機械的強度
を評価するため、曲げ強さと破壊靭性を測定した。測定
結果を表1に示した。
【0027】比較例1〜2 一方、比較例1,2として、酸化セリウム含有量をそれ
ぞれ2.0%、23.0%とし、残部を酸化ジルコニウ
ムで調製した粉末混合体を実施例1〜5と同一形状でか
つ同一条件で光コネクタ用部品焼結体を形成し、同様に
機械的特性を測定した。
【0028】比較例3 また比較例3として、酸化イットリウム(Y2 3 )3
重量%、残部が酸化ジルコニウム(ZrO3 )から成る
焼結体で実施例1〜5と同一形状および大きさを有する
光コネクタ用部品を製作し、同様に機械的特性を測定し
た。
【0029】比較例4 さらに比較例4として酸化マグネシウム(MgO)0.
2重量%、酸化珪素(SiO2 )0.2重量%、残部が
酸化アルミニウム(Al2 3 )から成るAl2 3
セラミックスを使用し、実施例1〜5と同一形状および
大きさを有する光コネクタ用部品を製作し、同様に特性
値を測定した。
【0030】以上実施例1〜5および比較例1〜4の測
定結果を下記表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示す結果から明らかなように、本実
施例1〜5に示す酸化セリウム(CeO2 )含有量の範
囲においては、比較例3,4に示すY2 3 を添加した
セラミックスあるいは酸化アルミニウム系のセラミック
スで形成したキャピラリと比べていずれも高い破壊靭性
値が得られた。
【0033】一方比較例1で示すように酸化セリウムが
過少のものは曲げ強さおよび破壊靭性値が比較的低い一
方、また比較例2で示すように、過多のものは焼結性が
悪いため強度も小さく、加工時および接続時に割れが多
発した。
【0034】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る光コネク
タ用部品等の高靭性精密部品によれば、破壊靭性値が従
来品より大幅に向上するため、微細形状に加工した場合
においても、欠けやクラックを発生せず、高精度な加工
が可能となる。
【0035】さらに本発明に係る光コネクタ用部品によ
れば、特に高靭性のZrO2 にCeO2 を添加して強度
および靭性を高めた焼結体で形成しているため、摩耗や
割れや欠けなどが発生することが少ない。特に加工時の
変形が少なく、加工精度を大幅に高めることができる。
したがって、光ファイバの中心軸が接続部においてずれ
るおそれも少なく、接続部における光伝送量の損失も効
果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高靭性精密部品としてのキャピラリの形状例を
示す部分断面図。
【図2】従来のキャピラリの形状例を示す部分断面図。
【図3】従来汎用の光コネクタの構造例を示す断面図。
【図4】従来の光コネクタの他の構造例を示す断面図。
【符号の説明】
1 キャピラリ 1a 先端 2 Au線 3 細孔 4 キャピラリ 4a 先端 5 細孔 6 テーパ孔 10a,10b 光コネクタ 11a,11b 細孔 12a,12b 光コネクタ部品(フェルール) 13a,13b 支持体 14 光ファイバ 15a,15b 接続端面 θc テーパ孔の開度

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバを接続する光コネクタ用部品
    において、重量パーセントで酸化セリウムを3.0%以
    上20%以下含有し、残部が実質的に酸化ジルコニウム
    から成ることを特徴とする光コネクタ用部品。
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