JPH0868441A - ダイナミックダンパとその成形材料および製造方法 - Google Patents

ダイナミックダンパとその成形材料および製造方法

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JPH0868441A
JPH0868441A JP6203627A JP20362794A JPH0868441A JP H0868441 A JPH0868441 A JP H0868441A JP 6203627 A JP6203627 A JP 6203627A JP 20362794 A JP20362794 A JP 20362794A JP H0868441 A JPH0868441 A JP H0868441A
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Japan
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rubber
specific gravity
dynamic damper
mass
mass portion
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JP6203627A
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Masaaki Hamada
真彰 濱田
Takahiro Aoi
孝弘 青井
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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    • F16F7/10Vibration-dampers; Shock-absorbers using inertia effect
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    • F16F7/108Vibration-dampers; Shock-absorbers using inertia effect the inertia member being resiliently mounted on plastics springs
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
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    • F16F15/02Suppression of vibrations of non-rotating, e.g. reciprocating systems; Suppression of vibrations of rotating systems by use of members not moving with the rotating systems
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マス部に対する支持ゴム部の特別な接着処理
等が不要であり、構造簡単で製作容易な新規な構造のダ
イナミックダンパを提供すること。 【構成】 ゴム弾性体の内部に該ゴム弾性体よりも比重
が大きい高比重材からなる粒子が散在せしめられた複合
体によって、少なくともマス部14を構成すると共に、
該マス部を構成する複合体のゴム弾性体と一体的に支持
ゴム部16,16を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、防振対象たる振動体に取り付け
られることにより、該振動体の振動を低減するダイナミ
ックダンパの関連技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】自動車のエンジンユニットやエキゾースト
パイプなど、各種機械装置等における振動体の振動を低
減する防振装置の一種として、従来から、特公平2−9
214号公報や実公平2−31626号公報,特公平3
−33895号公報等に開示されているように、所定質
量のマス部を、防振対象たる振動体に対して、支持ゴム
部によって弾性的に連結支持せしめるようにした構造の
動的吸振器(ダイナミックダンパ)が知られている。
【0003】ところで、このようなダイナミックダンパ
においては、有効な振動低減効果を得るために、マス部
の質量と支持ゴム部のばね定数および減衰係数を調節す
ることにより、その固有振動周波数を振動体における防
振を目的とする振動周波数に応じてチューニングする必
要があり、最適チューニングのためには、マス部に対し
て或る程度の大きさの質量が要求される。
【0004】そこで、従来のダイナミックダンパにおい
ては、前記公報にも記載されているように、一般に、マ
ス部が鉄等の金属材料にて構成されており、該マス部に
対して支持ゴム部が接着されてなる構造とされていた。
【0005】ところが、かくの如き従来構造のダイナミ
ックダンパにあっては、金属製のマス部に対して支持ゴ
ム部を接着するための接着処理が必要であることに加え
て、金属製のマス部の防錆のために、マス部表面を塗装
したり、支持ゴム部を構成するゴム弾性体で被覆したり
することが必要であり、製造が極めて面倒で時間がかか
るといった問題があったのである。
【0006】また、このようなダイナミックダンパは、
一般に、支持ゴム部を成形するための金型内に、別途形
成した金属製のマス部をセットし、その後、かかる金型
内にゴム材料を充填し、加硫および加硫接着を行うこと
によって製造されることとなるが、金型内へのマス部の
セット作業が面倒であると共に、かかるセット作業のた
めに製造サイクルの向上が充分に達成され難いという問
題もあった。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、マス部に対する支持ゴム部の特別な接着処
理等が不要であると共に、マス部表面の防錆処理も不要
であり、容易に製造することのできる新規な構造のダイ
ナミックダンパとその成形材料および製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、マス部を、所定の防振対象
に対し、支持ゴム部を介して、弾性的に支持せしめるよ
うにしたダイナミックダンパにおいて、少なくとも前記
マス部を、ゴム弾性体の内部に該ゴム弾性体よりも比重
が大きい高比重材からなる粒子が散在せしめられた複合
体によって構成すると共に、前記支持ゴム部を、該マス
部を構成する複合体のゴム弾性体と一体的に形成したダ
イナミックダンパにある。
【0009】また、このような本発明に係るダイナミッ
クダンパの好ましい態様においては、前記高比重材から
なる粒子として、比重が、3.0以上、好ましくは4.
0以上の粒子が用いられ、特に好適には、金属粒子が採
用される。
【0010】更にまた、前記高比重材からなる粒子とし
ては、球形やそれ以外の各種外形形状のものが採用され
得るが、本発明に係るダイナミックダンパの好ましい態
様においては、かかる粒子として、最大外形寸法が10
0μm以下の粒子が用いられ、特に好適には、最大外形
寸法が10〜30μmの粒子が採用される。
【0011】また、本発明に係るダイナミックダンパの
具体的態様においては、前記支持ゴム部に対して、防振
対象に取り付けるための金属板等からなるブラケットを
固着することも可能である。
【0012】さらに、本発明は、所定のゴム材料に、該
ゴム材料にて形成されるゴム弾性体よりも比重が大きい
高比重材からなる粒子を混合することにより、かかるゴ
ム材料中に該高比重材粒子を散在せしめてなるダイナミ
ックダンパ用成形材料をも、特徴とする。
【0013】また、前記高比重材粒子のゴム材料に対す
る混合割合は、限定されるものでなく、目的とするダイ
ナミックダンパの要求特性等に応じて、必要なマス部の
密度や強度等を満足するように、適宜に決定されること
となるが、特に、本発明に係るダイナミックダンパ用成
形材料の好ましい態様においては、前記高比重材からな
る粒子が、前記ゴム材料と高比重材粒子とを加えた全材
料に対して、50%以下の体積割合で混合される。
【0014】さらに、本発明は、マス部を、所定の防振
対象に対し、支持ゴム部を介して、弾性的に支持せしめ
てなるダイナミックダンパを製造するに際して、ゴム材
料に、該ゴム材料にて形成されるゴム弾性体よりも比重
が大きい高比重材からなる粒子を混合することにより、
該ゴム材料中に該高比重材粒子を散在せしめた複合材料
を用い、該複合材料を所定の成形型内に充填することに
よって、少なくとも前記マス部を、前記支持ゴム部と一
体成形するダイナミックダンパの製造方法をも、特徴と
する。
【0015】また、本発明に係るダイナミックダンパの
製造方法においては、支持ゴム部も、マス部と同じ前記
複合材料によって形成することも可能であるが、かかる
支持ゴム部を、高比重材粒子が散在されていないゴム材
料によって形成することも可能である。
【0016】なお、支持ゴム部を、高比重材粒子が散在
されていないゴム材料によって形成する場合には、ダイ
ナミックスダンパの成形型に対して、マス部を形成する
複合材料の充填操作と前後して、或いは同時に、かかる
マス部とは異なる充填孔を通じて、支持ゴム部を形成す
るゴム材料を充填する、所謂2色成形と類似の方法によ
って有利に実現され得る。また、支持ゴム部を、高比重
材粒子が散在されていないゴム材料によって形成する場
合にも、かかる支持ゴム部を形成するゴム材料として
は、マス部を形成する高比重材粒子を構成するゴム材料
と同質のゴム材料を用いることが望ましい。
【0017】
【作用・効果】すなわち、本発明に従う構造とされたダ
イナミックダンパにおいては、高比重材からなる粒子が
内部に散在されることによって全体密度が高められたゴ
ム弾性体の複合体によってマス部を構成したことによ
り、支持ゴム部をマス部と一体的に形成せしめ得たので
あり、それ故、マス部と支持ゴム部を接着するための面
倒な処理が不要とされて製作性が向上されると共に、マ
ス部と支持ゴム部との境界部分への応力の集中的な作用
による亀裂や剥離が防止されて、耐久性も有利に向上さ
れ得るのである。
【0018】しかも、かかるダイナミックダンパにおい
ては、従来の金属マスを用いたダイナミックダンパで必
要とされていた金属マスの防錆処理等も不要となって、
一層の製作性の向上が図られ得るのである。
【0019】さらに、かかるダイナミックダンパにおい
ては、マス部を構成する複合体における粒子の種類(比
重)や混合量等を調節することにより、成形型を変更し
なくてもダンパの固有振動数等のチューニングを容易に
行うことができるといった利点もある。
【0020】また、マス部を構成する複合体における粒
子として、比重が、3.0以上、特に4.0以上のもの
を用いれば、マス部の著しい大型化を避けつつ、有効な
吸振効果を得ることが可能となり、更に、金属粒子を採
用すれば、大きな比重の粒子を容易に且つ安価に得るこ
とができることから、コスト的および製造的にも有利と
なる。
【0021】更にまた、そのような高比重材からなる粒
子の混合に起因するゴム弾性体が有するばね特性や伸
び,強度等の物性の著しい低下を抑えるためには、かか
る粒子として、最大外形寸法が100μm以下のもの、
特に10〜30μmのものを採用することが望ましい。
また、そのような最大外形寸法の粒子を採用すれば、成
形装置等の加工機への悪影響も効果的に防止され得るこ
ととなる。
【0022】さらに、本発明に係るダイナミックダンパ
用成形材料を用いれば、上述の如き、本発明に従う構造
とされたダイナミックダンパを有利に製造することがで
きるのであり、特に、かかるダイナミックダンパ用成形
材料を、所定の成形型内に直接充填してマス部を形成す
ることができることから、成形型内に別途マス部材を配
設する必要がなくなり、ダイナミックダンパの製造作業
が極めて容易となるのである。
【0023】また、かかるダイナミックダンパ用成形材
料において、高比重材粒子の混合割合を、ゴム材料と高
比重材粒子とを加えた全材料に対して体積割合で50%
以下とすれば、高比重材粒子の混合に起因するゴム弾性
体が有するばね特性や伸び,強度等の物性の低下を、一
層有利に抑えることができる。
【0024】さらに、本発明に係るダイナミックダンパ
の製造方法に従えば、前述の如き、本発明に従う構造と
されたダイナミックダンパを有利に製造することができ
るのである。
【0025】また、かかるダイナミックダンパの製造方
法において、支持ゴム部を、高比重材粒子が散在されて
いないゴム材料によって形成すれば、マス部の質量を充
分に確保しつつ、支持ゴム部におけるばね特性等のチュ
ーニングが容易となって、ダンパの設計自由度が有利に
確保され得ると共に、支持ゴム部の耐久性を一層有利に
得ることが可能となる。
【0026】更にまた、支持ゴム部を形成するゴム材料
として、マス部を形成するゴム材料と同質のものを採用
すれば、マス部と支持ゴム部の完全な一体化が有利に実
現され得て、一層優れた耐久性が発揮され得ることとな
る。
【0027】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明する。
【0028】先ず、図1及び図2には、本発明の一実施
例としてのダイナミックダンパ10が示されている。こ
のダイナミックダンパ10は、全体として略円筒形状を
有しており、自動車のドライブシャフト12に外挿装着
されることにより、該ドライブシャフト12における曲
げ振動を低減するようになっている。
【0029】より詳細には、本実施例のダイナミックダ
ンパ10は、軸方向中央部分において、ドライブシャフ
ト12の外径よりも所定寸法大きな内径をもって、軸方
向に所定長さで延びる厚肉円筒形状のマス部14を有し
ている。また、このマス部14の軸方向両端部には、軸
方向外方に向かって延び出し、軸方向外方に行くに従っ
て次第に小径化する一対のテーパ筒形状の支持ゴム部1
6,16が、それぞれ一体的に形成されている。更にま
た、これら両支持ゴム部16,16における小径化され
た軸方向先端部には、ドライブシャフト12の外径と略
同一の内径をもって、軸方向に所定長さで延びる一対の
薄肉円筒形状の取付筒部18,18が、それぞれ一体的
に形成されている。
【0030】そして、かかるダイナミックダンパ10
は、ドライブシャフト12に外挿され、取付筒部18,
18の外周面に巻き掛けられた取付バンド20,20に
よって、それら両取付筒部18,18がドライブシャフ
ト12に対して固着されることにより、ドライブシャフ
ト12に装着されるようになっている。また、かかる装
着状態下では、マス部14が、ドライブシャフト12の
径方向外方に所定距離を隔てて略同一軸心上に位置せし
められると共に、該マス部14が、一対の支持ゴム部1
6,16によって、ドライブシャフト12に対して、弾
性的に連結支持せしめられるようになっているのであ
る。
【0031】ここにおいて、本実施例では、マス部14
を含むダイナミックダンパ10の全体が、ゴム弾性体の
内部に高比重材粒子が散在せしめられた複合体によっ
て、一体的に形成されている。そして、このようなダイ
ナミックダンパ10は、例えば、以下の如き手法によっ
て、有利に製造され得る。
【0032】先ず、ダイナミックダンパ10に要求され
る耐熱性や耐油性等の基本的な要求特性を考慮して、採
用するゴム材料を決定する。なお、かかるゴム材料とし
ては、NR系やSBR等の合成ゴム等、従来から公知の
各種のゴム材料が採用され得る。そして、かかるゴム材
料に対して、比重が大きい高比重材からなる粒子を加え
て混合することにより、ダンパ成形材料(複合材料)を
得る。
【0033】この高比重材粒子の材質としては、金属や
セラミックス等、採用されるゴム材料と反応しないもの
であって、且つ採用されるゴム材料によって形成される
ゴム弾性体よりも比重が大きい各種の材質が採用され得
るが、特に、少ない高比重材粒子の混合量とコンパクト
なマス部14をもって、マス部14の質量を有利に確保
するためには、ゴム弾性体の比重が一般に0.9〜1.
0であることから、好ましくは3.0以上、より好まし
くは4.0以上の比重を有する材質が採用され得る。な
かでも、金属は、一般に比重が大きく、しかも安価で加
工が容易であることから、好適に採用され得、特に、従
来のダイナミックダンパにおいて一般にマス部として採
用されていた鉄よりも比重が大きい酸化鉛やタングステ
ンカーバイト,酸化亜鉛等が好適に採用され得る。ま
た、かかる高比重材粒子の外形形状は特に限定されるも
のではないが、外形寸法が余り大きいと、ゴム弾性体が
有する弾性や伸び、引張強さ等の物性が低下するおそれ
があると共に、成形時における噛込みや詰まり等によっ
て成形加工装置が破損するおそれがあることから、最大
外形寸法を100μm以下、好ましくは10〜30μm
とすることが望ましい。
【0034】すなわち、このような高比重材粒子をゴム
材料に混合することによって得られたダンパ成形材料
は、ゴム材料のみに比べて高い密度を有することとな
る。因みに、NR系ゴム材料に対して、酸化鉛およびタ
ングステンカーバイトからなる高比重材粒子を混合する
ことによって得られる成形材料の密度を、図3に示す。
なお、図3中、高比重材混合比は、生ゴムと各種配合剤
等を含むゴム材料に高比重材粒子を加えた全材料に対す
る高比重材粒子の重量割合(%)を表す。
【0035】なお、ゴム材料に対する高比重材粒子の混
合量を余り多くすると、弾性や伸び、引張強さ等のゴム
弾性体本来の物性が低下するおそれがあり、特に、本実
施例では、マス部14と支持ゴム部16,16が同一材
質とされていることから、高比重材粒子の混合量を余り
多くすると、支持ゴム部16,16におけるばね定数お
よび減衰係数の設定に悪影響が及ぼされるおそれもある
ために、高比重材粒子の混合割合を、ゴム材料と高比重
材粒子とを加えた全材料に対して、体積割合で50%以
下とすることが望ましい。
【0036】そして、かくの如き、ゴム材料に高比重材
粒子を加えて混合したダンパ成形材料を、目的とするダ
イナミックダンパ10の外形形状に対応した成形キャビ
ティを有する金型内に充填し、加熱等の処理を加えてゴ
ム材料を架橋してゴム弾性体とすることによって、前述
の如き、目的とするダイナミックダンパ10を得ること
ができるのである。
【0037】すなわち、このようにして得られたダイナ
ミックダンパ10にあっては、マス部14,支持ゴム部
16,16および取付筒部18,18が、完全に一体形
成されており、しかも、それらマス部14,支持ゴム部
16,16および取付筒部18,18が、ゴム弾性体の
内部にそれよりも高比重な粒子が散在せしめられた複合
体によって構成されているのである。
【0038】従って、かかるダイナミックダンパ10に
おいては、従来構造のダイナミックダンパのように金属
製の別体マス部を用いることなく、質量の大きいマス部
14を支持ゴム部16,16と一体的に形成することが
できるのであり、それ故、マス部14と支持ゴム部1
6,16を接着するための面倒な処理や、従来必要とさ
れていた金属製マス部の防錆処理、或いは成形時におけ
る金属製マス部の成形型内へのセット作業等が不要とな
って、その製作性および製造サイクルが飛躍的に向上さ
れ得るのである。
【0039】しかも、本実施例のダイナミックダンパ1
0においては、マス部14が支持ゴム部16,16と完
全に一体化されることから、マス部14と支持ゴム部1
6,16との境界部分への応力の集中的な作用が軽減乃
至は防止され得るのであり、かかる境界部分における亀
裂や剥離が防止されて、優れた耐久性が発揮され得るの
である。
【0040】また、かかるダイナミックダンパ10にお
いては、従来と同様、マス部14の大きさを調節して質
量を変更したり、支持ゴム部16の厚さや長さ等の形状
や硬さを調節してばね定数を変更することによって、ダ
ンパの固有振動数等のチューニングを行うことも可能で
あると共に、それらマス部14や支持ゴム部16を形成
するダンパ成形材料における高比重材粒子の種類(比
重)や混合量等を調節することにより、マス部14の質
量や支持ゴム部16のばね定数等を変更できることか
ら、成形型を変更しなくてもダンパの固有振動数等のチ
ューニングを容易に行うことができるといった利点もあ
る。
【0041】因みに、NR系のゴム材料に対して、外径
寸法が略20μmの球状を有する高比重材粒子としての
酸化鉛を、全成形材料に対して84重量%の割合で混合
した複合材を用い、上述の如き構造とされたダイナミッ
クダンパ10を製造したところ、図4に示されている如
き、良好なる吸振特性が得られることが確認された。
【0042】また、上述の如きダイナミックダンパ10
にあっては、従来構造の金属製マス部を有するダイナミ
ックダンパにおいてマス部の防錆のために必要とされて
いたマス部の被覆ゴム層が不要となることから、マス部
14の質量を有利に得ることが可能であり、例えば、高
比重粒子としての酸化鉛を全成形材料に対して90重量
%程度の割合で混合した複合材を用いた場合には、従来
構造の金属製マスに比して、マス部14の外径寸法を僅
かに2mm程度大きくするだけで、金属製マスと同等の質
量を設定することができるのである。
【0043】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かか
る具体例に限定して解釈されるものではない。
【0044】例えば、本発明が適用されるダイナミック
ダンパの具体的構造は、前記実施例に限定されるものは
決してなく、装着されるべき振動体の種類や配設スペー
ス、或いは要求される防振特性等に応じて、適宜に決定
されるものであり、従来から知られている各種のダイナ
ミックダンパに対して、何れも、本発明が適用可能であ
って、それにより、前記第一の実施例と同様な効果が有
効に発揮され得ることは、言うまでもないところであ
る。
【0045】因みに、図5〜9において、前記第一の実
施例とは異なる構造のダイナミックダンパへの本発明の
適用例を示す。
【0046】先ず、図5に示されたダイナミックダンパ
22は、それぞれ厚肉円筒形状を有する第一のマス部2
4と第二のマス部26が、軸方向に所定距離を隔てて設
けられている一方、それら両マス部24,26が、それ
らの間に位置せしめられた円筒形状の中間支持ゴム部2
8によって連結されていると共に、各マス部24,26
の軸方向外方に延び出して、それぞれ、テーパ筒形状の
支持ゴム部30と円筒形状の取付筒部32が、設けられ
ている。なお、第一のマス部24は、第二のマス部26
よりも軸方向に短く、質量が小さく設定されている。そ
して、これら第一のマス部24,第二のマス部26,中
間支持ゴム部28,支持ゴム部30,30および取付筒
部32,32が、前記第一の実施例と同様、ゴム材料に
所定の高比重材粒子を混合せしめてなる複合材料によっ
て、一体的に形成されているのである。
【0047】このようなダイナミックダンパ22は、ド
ライブシャフト等のロッド状振動体34に外挿されて、
軸方向両端部の取付筒部32,32の外周面に取付バン
ド36が巻き掛けられることにより、装着されることと
なるが、かかるロッド状振動体34には、各マス部2
4,26に対応する部分に小径部35,37が設けられ
ており、それによって、第一のマス部24および第二の
マス部26が、それぞれ、軸方向両端部において、支持
ゴム部30と中間支持ゴム部28とによって、ロッド状
振動体32に対して弾性的に連結支持せしめられるよう
になっている。
【0048】すなわち、かかるダイナミックダンパ22
においては、第一のマス部24および第二のマス部26
によって、それぞれ、吸振機構が構成されているのであ
り、しかも、第一のマス部24と第二のマス部26は、
互いに質量が異なっていることから、それら二つの吸振
機構における固有振動周波数が相違せしめられており、
以て、互いに異なる周波数域の振動に対して吸振効果が
発揮され得ることとなるのである。
【0049】また、図6に示されたダイナミックダンパ
38にあっては、ロッド状振動体40に外挿されて取付
バンド42により固着される円筒形状を有する取付筒部
44に対して、その径方向外方に所定距離を隔てて厚肉
の円筒形状を有するマス部46が位置せしめられている
と共に、それら取付筒部44とマス部46との径方向対
向面間に円環形状の支持ゴム部48が介在されており、
この支持ゴム部48によって取付筒部44とマス部46
が一体的に連結されている。そして、これら取付筒部4
4,マス部46および支持ゴム部48が、前記第一の実
施例と同様、ゴム材料に所定の高比重材粒子を混合せし
めてなる複合材料によって、一体的に形成されているの
である。
【0050】このようなダイナミックダンパ38は、マ
ス部46の軸方向および周方向の変位時に支持ゴム部4
8に対して剪断変形が生ぜしめられることとなり、支持
ゴム部48における軸方向および周方向のばね定数を小
さく設定できることから、ロッド状振動体40における
軸方向振動や周方向の捩り振動等に対する吸振効果を有
効に発揮し得るようなチューニングが容易となる。
【0051】更にまた、図7及び図8に示されたダイナ
ミックダンパ50にあっては、厚肉円板形状を有するマ
ス部52に対して、その軸方向一方の面から軸方向に突
出する支持ゴム部56が、一体的に設けられており、そ
して、かかるマス部52が、L字型断面を有する金属板
製の取付ブラケット54に対して所定距離を隔てて対向
位置せしめられていると共に、それらマス部52と取付
ブラケット54の対向面間に支持ゴム部56が介在され
ており、以て、該支持ゴム部56によって、マス部52
が取付ブラケット54に対して弾性的に連結支持せしめ
られてなる構造とされている。そして、マス部52と支
持ゴム部56が、前記第一の実施例と同様、ゴム材料に
所定の高比重材粒子を混合せしめてなる複合材料によっ
て、一体的に形成されているのであり、また、支持ゴム
部56は、取付ブラケット54に対して一体的に加硫接
着されているのである。
【0052】このようなダイナミックダンパ50は、取
付孔58に挿通されるボルト等によって振動体に取り付
けられる取付ブラケット54を備えていることから、ロ
ッド状以外の各種形状の振動体に対して、何れも容易に
取り付けることができるのである。
【0053】さらに、図9に示されたダイナミックダン
パ60にあっては、前記第一の実施例と同様、マス部1
4と支持ゴム部16,16および取付筒部18,18を
有しているが、そのマス部14だけが、ゴム材料に所定
の高比重材粒子を混合せしめてなる複合材料によって形
成されており、支持ゴム部16,16および取付筒部1
8,18は、高比重材粒子が混合されていないゴム材料
によって形成されている。なお、このようなダイナミッ
クダンパ60は、例えば、ダイナミックダンパ60の全
体形状に対応した成形キャビティを備えた成形型に対し
て、該成形キャビティの軸方向中央部分からゴム材料に
所定の高比重材粒子を混合した複合材料を注入充填する
と共に、該成形キャビティの軸方向両端部分から高比重
材粒子が混合されていないゴム材料を注入充填し、それ
ら両材料の合流面がマス部14と支持ゴム部16,16
との境界付近に位置するように、各材料の注入速度を調
節すること等によって、有利に製造され得る。なお、そ
の際、支持ゴム部16,16および取付筒部18,18
を形成するゴム材料は、マス部14を形成する複合材料
のゴム材料と同質のものを採用して、一体的に架橋する
ことが望ましく、それによって、マス部14と支持ゴム
部16,16が完全に一体化され得て、優れた耐久性が
発揮され得ることとなる。
【0054】このようなダイナミックダンパ60は、支
持ゴム部16において、ゴム弾性体が有する弾性や伸
び、引張強さ等の物性を有利に得ることができるのであ
る。
【0055】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのダイナミックダンパ
を示す縦断面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1に示されたダイナミックダンパに用いられ
得る成形材料における高比重材粒子の混合比と成形材料
密度との関係の具体例を示すグラフである。
【図4】図1に示された構造のダイナミックダンパにお
ける特性を実測した結果を示すグラフである。
【図5】本発明の別の実施例としてのダイナミックダン
パを示す縦断面図である。
【図6】本発明の更に別の実施例としてのダイナミック
ダンパを示す縦断面図である。
【図7】本発明の更に別の実施例としてのダイナミック
ダンパを示す斜視図である。
【図8】図7に示されたダイナミックダンパの縦断面図
である。
【図9】本発明の更に別の実施例としてのダイナミック
ダンパを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10,22,38,50,60 ダイナミックダンパ 14,46,52 マス部 16,30,48,56 支持ゴム部 24 第一のマス部 26 第二のマス部 28 中間支持ゴム部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 21/00 KDW F01N 7/08 D // B29K 21:00 105:16 B29L 31:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マス部を、所定の防振対象に対し、支持
    ゴム部を介して、弾性的に支持せしめるようにしたダイ
    ナミックダンパにおいて、 少なくとも前記マス部を、ゴム弾性体の内部に該ゴム弾
    性体よりも比重が大きい高比重材からなる粒子が散在せ
    しめられた複合体によって構成すると共に、前記支持ゴ
    ム部を、該マス部を構成する複合体のゴム弾性体と一体
    的に形成したことを特徴とするダイナミックダンパ。
  2. 【請求項2】 所定のゴム材料に、該ゴム材料にて形成
    されるゴム弾性体よりも比重が大きい高比重材からなる
    粒子を混合することにより、かかるゴム材料中に該高比
    重材粒子を散在せしめたことを特徴とするダイナミック
    ダンパ用成形材料。
  3. 【請求項3】 マス部を、所定の防振対象に対し、支持
    ゴム部を介して、弾性的に支持せしめてなるダイナミッ
    クダンパを製造するに際して、 ゴム材料に、該ゴム材料にて形成されるゴム弾性体より
    も比重が大きい高比重材からなる粒子を混合することに
    より、該ゴム材料中に該高比重材粒子を散在せしめた複
    合材料を用い、該複合材料を所定の成形型内に充填する
    ことによって、少なくとも前記マス部を、前記支持ゴム
    部と一体成形することを特徴とするダイナミックダンパ
    の製造方法。
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