JPH0867571A - セラミック成形用組成物 - Google Patents

セラミック成形用組成物

Info

Publication number
JPH0867571A
JPH0867571A JP6206523A JP20652394A JPH0867571A JP H0867571 A JPH0867571 A JP H0867571A JP 6206523 A JP6206523 A JP 6206523A JP 20652394 A JP20652394 A JP 20652394A JP H0867571 A JPH0867571 A JP H0867571A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic
group
molding
composition
binder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6206523A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Yoneyama
健一 米山
Kiyohiro Sakasegawa
清浩 逆瀬川
Takayuki Neura
孝之 禰占
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP6206523A priority Critical patent/JPH0867571A/ja
Publication of JPH0867571A publication Critical patent/JPH0867571A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】いずれの成形方法にも適用できるセラミック成
形用組成物であって、常温でも流動性が良く成形性が良
好で、成形型中に充填して反応硬化した後は、収縮によ
るクラックもなく離型性も良好であり、脱バインダーが
極めて容易で、焼結体にもクラックや変形等が発生せず
量産効果に優れること。 【構成】セラミック原料粉末と溶媒及び有機性添加物か
ら成るバインダーの混合物を反応硬化させて成形体を得
るための組成物で、少なくとも一基のビニル基またはア
セチレン基と、親水系官能基から成る有機化合物を必須
成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミック成形用の組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子部品は勿論、各種化学産業用
装置等の構成部品をはじめ、各種エンジンやガスタービ
ン機関等の機構部品、更には時計やアクセサリー等の装
飾部品にも、その特性からセラミック部品が多用される
ようになってきた。
【0003】しかしながら、前記化学産業装置用構成部
材や各種熱機関用機構部品、装飾部品等は、概して複雑
な三次元構造をした形状のものが多く、セラミック材料
は金属材料に比べて耐熱性、耐食性、耐摩耗性に優れ、
高強度でかつ比重が小さく軽量小型化が実現できるとい
う優れた特性を有するにも関わらず、切削や研磨等の加
工性に難点があり、複雑な三次元構造をした形状品を量
産することが困難なことから、製品コストが著しく高価
なものになり、セラミック製各種部品の実用化を阻んで
いた。
【0004】そこで、前述の様な複雑な形状品を精度良
く量産し得る方法としては、従来よりセラミック原料粉
末に水溶性バインダーを添加混合して調製したセラミッ
ク泥漿を成形型中に注入し、成形型の吸水や成形型への
セラミック原料の着肉を利用してセラミック成形体を得
る泥漿鋳込み成形法や、セラミック原料粉末にワックス
等の熱可塑性物質から成るバインダーを加熱しながら混
練して調製した熱可塑化物を、金型中に高圧注入してセ
ラミック成形体を成形する射出成形法が採用されてい
た。
【0005】しかしながら、前記泥漿鋳込み成形法で
は、反復使用による成形型の摩耗や、目詰まりによる吸
水性および着肉能力の低下により、寸法精度の低下や成
形体の乾燥時にクラックを生じる等、量産には不適当で
あるという問題があった。
【0006】一方、前記射出成形法は複雑な形状のセラ
ミック製各種部品を量産できるものの、得られた成形体
は多量の有機系バインダーを含有するため、肉厚が異な
る複雑な三次元構造の形状品では脱バインダーが均一に
できず、成形体にクラックを生じる他、成形体表面にウ
エルドラインによる欠陥が残留したり、また、高圧で射
出成形するため成形体内部の残留応力が大きく、焼成後
のセラミック体の特性を劣化させる原因となり、信頼性
の高いセラミック成形体を歩留まり良く量産し難いとい
う欠点があった。
【0007】そこで、セラミック原料粉末に混合する有
機系バインダーとして熱硬化性樹脂を使用し、成形型に
充填後、加熱硬化させる成形方法が提案されているが、
前記熱硬化性バインダーは不飽和ポリエステル等の高分
子重合体とスチレン等の芳香族モノマーを用いるため、
反応硬化により高分子化した有機成分が脱バインダーし
難く、最終的に残留炭素として残り、これがセラミック
の焼結を阻害し、結果的には焼結体の強度を低下させる
原因になっていた。
【0008】また、前記有機系バインダーとして熱硬化
性樹脂とワックス等の易揮発性の物質とを併用し、反応
硬化後、先ず易揮発性の物質を揮発させ、生じた揮発孔
から熱硬化性樹脂を効率よく分解揮発させる方法も提案
されており、この方法では脱バインダーが極めて容易と
なり、使用する熱硬化性樹脂の量も少ないことから、硬
化時の収縮も小さい等の特長がある反面、脱バインダー
前の成形体の強度が低く、成形体の取扱いが難しく、そ
の上、脱バインダー時に、成形体内部で分解発生したガ
スの圧力により強度が低い成形体は破損し易いという欠
点があった。
【0009】そこで、前記種々の欠点を解消するため
に、有機系バインダーとして多官能基のアクリレートま
たはメタクリレートを有する重合性単量体結合剤を用い
て硬化させる反応射出成形法が、特表平3−50267
0号公報に提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記成
形方法では、有機系バインダーとして重合性単量体を用
いるため、得られた成形体の強度は高いものの、前記単
量体のみにより反応硬化させるので反応硬化に長時間を
要し、かつ硬化時の収縮率が大であり、中子等が必要な
複雑形状品を成形すると離型性が悪くクラックが多発し
易く、生産性が著しく劣るという課題があった。
【0011】更に、成形以前の問題として、前記有機系
バインダーは、組成物が一分子内に反応性官能基を少な
くとも二つ以上含有しているので、極めて三次元構造重
合体を形成し易く、その結果、調製・保管時に容易に半
硬化状態(ゲル化)と成り、特に、酸化物系セラミック
スであるアルミナ(Al2 3 )やジルコニア(ZrO
2 )等の表面付着水により簡単に半硬化状態になるとい
う課題があった。
【0012】
【発明の目的】本発明は上記課題を解決せんとしてなさ
れたもので、その目的は、従来の鋳込み成形や射出成
形、あるいはテープ成形、押し出し成形等のそれぞれの
成形用組成物の長所を併せ持ち、その何れにも適用でき
るセラミック成形用組成物であって、調製・保管時にも
半硬化状態となり難く、かつ常温でも流動性が良好で、
成形型中に充填して反応硬化した後は、収縮によるクラ
ックもなく離型性も良好であり、その上、得られた成形
体の脱バインダーが極めて容易で、焼成後のセラミック
体にクラックや変形等が発生しない量産効果に優れたセ
ラミック成形用組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック成形
用組成物は、セラミック原料粉末と溶媒、有機性添加物
とからなるバインダーの混合物からなり 該組成物が少
なくとも一基のビニル基またはアセチレン基と、親水系
官能基からなる有機化合物を含有し、該有機化合物を反
応硬化させてセラミック成形体を得るのに用いるもので
あり、とりわけ、前記組成物が不飽和重合体である有機
系化合物を含有することが好ましいものである。
【0014】本発明の必須成分である少なくとも一基の
ビニル基またはアセチレン基、及び親水系官能基からな
る有機化合物は、一分子内に一基以上のビニル基または
アセチレン基と、親水系官能基を有するものである。
【0015】また、前記ビニル基またはアセチレン基と
は、ラジカル重合をおこなう官能基であり、具体的に
は、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、
エタクリロイル基およびアセチレン基等が挙げられる。
【0016】同様に本発明で親水性を有する官能基の具
体例としては、水酸基、カルボニル基、モノまたはポリ
−エチレンオキサイド分子団、モノまたはポリ−プロピ
レンオキサイド分子団、あるいはエチレンオキサイドと
プロピレンオキサイドの共重合体などのアルカンジオー
ル、アルキレンジオール、アリール及びアルキル/アリ
ールジオール等の共重合体等が挙げられる。
【0017】またその他に、ポリ−蓚酸・エチレングリ
コールエステル、ポリ−12ヒドロキシステアリン酸エ
ステル等のエステル化合物も有効である。
【0018】更に、エトキシ−シラン基、メトキシ−シ
ラン基、イソプロピル−シラン基、ビスエチレン−チタ
ネート基、メトキシ−チタネート基、エトキシ−チタネ
ート基、イソプロピル−チタネート基等も容易に加水分
解して水酸基が発生することから本発明の親水性官能基
に含まれる。
【0019】一方、本発明の不飽和重合体は、分子中に
不飽和二重結合を有する高分子化合物のことで、例えば
不飽和ポリエステルやポリジエン系の高分子が該当す
る。
【0020】更に、本発明のセラミック成形用組成物に
は、成形後の脱バインダーを容易にするために任意に溶
媒を用いることができ、その溶媒としては本発明のセラ
ミック成形用組成物の有機添加剤と相溶することが可能
ならば特に限定されない。
【0021】
【作用】本発明のセラミック成形用組成物によれば、該
組成物は少なくとも一基のビニル基またはアセチレン基
と親水系官能基からなる有機化合物がセラミック粒子表
面に配向することにより分散剤的な効果を示して流動性
が向上し、前記組成物の粘度を低くすることができ、低
い加圧力で成形型中に熱可塑化物を注入をすることが可
能となる。
【0022】更に、反応硬化時においては粒子表面に配
向した前記有機化合物が相互に重合反応することによ
り、少ない有機成分で強固な成形体を形成することとな
る。
【0023】また、前記組成物は溶媒を含んだ状態で重
合架橋硬化することから、脱バインダー時に架橋した有
機系バインダーが熱分解する前に、沸点または熱分解温
度の低い溶媒が先だって揮散して揮散孔を形成するため
に、硬化した有機系バインダーが熱分解する際には前記
揮散孔を通って分解ガスが揮散し、脱バインダーが容易
となる。
【0024】
【実施例】以下、本発明のセラミック成形用組成物につ
いて実施例に基づき詳細に説明する。
【0025】本発明のセラミック成形用組成物は、セラ
ミック原料粉末に溶媒及び有機性添加物から成るバイン
ダーを混合したもので、該混合物が少なくとも一基のビ
ニル基またはアセチレン基と、親水系官能基からなる有
機化合物を含有し、該有機化合物を充填後の成形型中で
反応硬化させてセラミック成形体を得るのに用いるもの
であり、とりわけ、不飽和重合体である有機系化合物を
含有することが好ましいものである 本発明では、必須成分として前記詳述したような少なく
とも一基のビニル基またはアセチレン基と、親水系官能
基からなる有機化合物を含有するものであるが、前記詳
述した以外に親水性官能基としては、ポリ−蓚酸・エチ
レングリコールエステル、ポリ−12ヒドロキシステア
リン酸エステル等のエステル化合物も有効であり、更
に、エトキシ−シラン基、メトキシ−シラン基、イソプ
ロピル−シラン基、ビスエチレン−チタネート基、メト
キシ−チタネート基、エトキシ−チタネート基、イソプ
ロピル−チタネート基等も容易に加水分解して水酸基が
発生することから本発明の親水性官能基に含まれる。
【0026】また、前記官能基を有する具体的な有機化
合物として、ビニール系化合物には、ポリエチレンオキ
サイド−ビニルエステル、ポリプロピレンオキサイド−
ビニルエステル、(ポリ−蓚酸・エチレングリコールエ
ステル)ビニルエステル、ビニルアルコール−フマル酸
エステル等が挙げられる。
【0027】一方、前記アクリロイル系化合物として
は、アクリロイル−トリエチレングリコール−フェニ
ル、アクリロイル−テトラプロピレングリコール−エチ
ル、メタクリロイル−ジエチレングリコール−メチル等
が挙げられる。
【0028】また、前記アセチレン系化合物には、3−
メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペ
ンチン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシル
−215ジオール等が挙げられる。
【0029】更に、前記シラン系化合物としては、ビニ
ル−トリメトキシシラン、ビニル−トリス(βメトキシ
エトキシ)シラン等が、他方、チタメート系化合物に
は、イソプロピル−ジアクリル−イソステアロイル−チ
タネート、イソプロピル−ジメタクリル−イソステアロ
イル−チタネートが挙げられる。
【0030】とりわけ、熱分解と分子内高極性基から生
じる分散能力の向上の点からは、分子主鎖にエチレンオ
キサイドやプロピレンオキサイド、またはエステル結合
を有する化合物が好ましく、自己重合性の適性からはビ
ニル系官能基が好ましい。
【0031】従って、本発明に用いる最適な添加剤とし
ては、エチレンオキサイドモノビニルエーテルやポリプ
ロピレンオキサイドモノビニルエーテル等が挙げられ
る。
【0032】以上のようにビニル基またはアセチレン基
と、親水系官能基からなる有機化合物の添加量は、セラ
ミック原料粉末100重量部に対して3重量部未満では
セラミック成形体の強度が低くなる傾向があり、逆に2
5重量部を超えると脱バインダーが難しくなり易いこと
から、3〜25重量部が望ましく、5〜15重量部が最
も好適である。
【0033】また、前記不飽和ポリエステルは、多官能
酸と多官能アルコールとのエステル縮合物または一分子
中に少なくとも一つ以上の酸および一つ以上の水酸基を
もつ分子のエステル縮合体であり、かつ分子中に不飽和
二重結合を有するものと定義され、かかる樹脂は一般に
は飽和2塩基酸、飽和多価アルコールおよび不飽和2塩
基酸から公知の方法で得られるものであるが、これらの
原料は特に限定されるものではない。
【0034】前記不飽和ポリエステルの具体例として
は、オルソフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、コ
ハク酸、ジアジピン酸、セバシン酸、無水エントメチレ
ンテトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタ
ル酸、クロレンディック酸またはマレイン酸とピレリレ
ンとの付加物の如き飽和2塩基酸、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、水素
添加ビスフェノールAまたはビスフェノールAのエチレ
ンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、
1.3ブタンジオール、1.4ブタンジオール、1.6
ヘキサンジオールのような多価アルコール、および無水
マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸の如き不飽和2
塩基酸等を160〜240℃程度に加熱することにより
得られるものが挙げられる。
【0035】他に、12ヒドロキシステアリン酸、12
ヒドロキシリノール酸等のモノ塩基酸およびモノ水酸基
を有する分子を単体または上記塩基酸およびアルコール
に共重合させてもよい。
【0036】一方、ポリブタジエンの具体例としては、
ブタジエンを公知の方法で重合したものや、天然ゴム等
の天然系の化合物を用いることもでき、その上、任意に
イソプロパンジエン、プロパン1.2ジエン等のモノマ
ーを共重合させることも可能である。
【0037】これらの高分子重合体の分子量は、セラミ
ック成形用組成物の粘性を低減させ流動性を向上させる
目的から100万以下の分子量が好ましいが、成型時の
固化収縮を大きくさせないためには1万以上の分子量が
好ましいことから、その分子量は1万〜100万が適当
である。
【0038】また、前記不飽和重合体またはポリブタジ
エンの含有量は、成形体の形状を保つという点から、セ
ラミック原料粉末100重量部に対して1重量部以上
で、かつその混合物の粘性を低くして流動性を向上させ
るためには、35重量部以下が望ましく、なかでも成形
体のハンドリングの容易さからは1〜20重量部が好適
である。
【0039】更に、本発明のセラミック成形用組成物に
用いる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ノナン、デカ
ン、オクタデカン等の直鎖アルキル類やトルエン、キシ
レン、ベンゼン、フタル酸エステル等の芳香族溶媒類、
ヘキサノール、オクタノール、デカノール、オキシアル
コール等の高級アルコール類、蟻酸、酢酸、吉草酸等の
カルボン酸類、および酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸プ
ロピル等のエステル類、グリセライト、蓚酸メチル等の
多価エステル類等の各種溶剤を用いることができる。
【0040】また、成形後の脱バインダーを均一に行う
ためにいくつかの沸点または蒸発係数の異なる溶媒を任
意に混合しても良く、とりわけ直鎖アルキル溶媒の混合
物および高級アルコール等は、好適に用いることができ
る。
【0041】前記溶媒の含有量は、成形性の点では前記
セラミック成形用組成物の粘度を低減することが望まし
く、セラミック原料粉末100重量部に対して1重量部
以上含有させるのが良く、かつ成形体の強度向上のため
には35重量部以下が好ましいことから、溶媒の含有量
は、セラミック原料粉末100重量部に対して1〜35
重量部が好ましく、とりわけ5〜25重量部が最適であ
る。
【0042】尚、本発明のセラミック成形用組成物に
は、任意に硬化反応促進剤または重合開始剤といわれる
硬化触媒や、分散剤等のその他の有機添加物を用いるこ
とができる。
【0043】前記硬化触媒としては、有機過酸化物やア
ゾ化合物があり、例えばケトンパーオキサイド、パーオ
キシケタール、パーオキシエステル、ハイドロパーオキ
サイド、パーオキサイドカーボネート、ターシャルブチ
ルパーオキシ2エチルヘキサノエート、ビス(4ターシ
ャルブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネー
ト、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物や、アゾ
ビス、シオブチニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
【0044】また、前記硬化反応促進剤あるいは重合開
始剤である硬化触媒の添加量は、成型法により必要なポ
ットライフ時間や、不飽和化合物およびモノマーの反応
速度が異なることから一概に決定できないが、通常は有
機成分100重量部に対して0.01〜0.5重量部が
好ましい。
【0045】更に、前記分散剤としては、一般にセラミ
ック混錬物の調合に用いることのできる任意の界面活性
剤を用いることができ、とりわけ、ポリアクリル酸アン
モニウム塩や、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮
合体、ソルビタンエステル等が好ましく、その含有量は
セラミック原料粉末100重量部に対し0.1〜5重量
部が好ましい。
【0046】一方、本発明が適用できるセラミック原料
粉末は、アルミナ、ジルコニア、ムライト、ガラス等の
酸化物系セラミックス、及び窒化ケイ素、窒化アルミニ
ウム、炭化ケイ素等の非酸化物系セラミックス等のいず
れも可能であり、更にいずれのセラミックスも任意の混
合率で使用できる。
【0047】また、焼結助剤として、例えばアルミナを
主成分とする原料粉末にはシリカや、カルシア、イット
リア、マグネシア等を、ジルコニアを主成分とする原料
粉末にはイットリア等の安定化剤を、更に窒化珪素を主
成分とする原料粉末には希土類元素酸化物を、炭化ケイ
素を主成分とする原料粉末にはホウ素とカーボンを添加
する等、任意に用いることができる他、電気特性の向上
や改善の目的で、例えばモリブデンやタングステン等の
高融点金属を添加することも可能である。
【0048】尚、前記セラミック原料粉末の粒径は、数
十ミクロンからサブミクロンのものを用いることができ
るが、本発明のセラミック成形用組成物の混合と同時に
セラミック原料粉末の粉砕を行うこともでき、更に、本
発明のセラミック成形用組成物の各成分の一部または全
部と、過剰の任意の溶媒とを混合・粉砕し、その後、過
剰の溶媒を公知の方法で乾燥して本発明のセラミック成
形用組成物を得ることもできる。
【0049】また、分散性向上のために前記セラミック
原料粉末にはシランカップリング剤や、チタネートカッ
プリング剤、アルミネートカップリング剤等のカップリ
ング剤およびアセチルアルコール系の化合物等の表面処
理剤を用いて表面改質を行うことができ、とりわけ反応
速度に優れたチタネート系カップリング剤が好適であ
る。
【0050】次に本発明のセラミック成形用組成物を評
価するために、αーアルミナ(Al2 3 )及びジルコ
ニア(ZrO2 )を主成分とし、前記公知の焼結助剤を
添加混合したものを酸化物系のセラミック原料粉末と
し、窒化珪素(Si3 4 )及び窒化アルミニウム(A
lN)を主成分とし、前記公知の焼結助剤を添加混合し
たものを非酸化物系のセラミック原料粉末とし、表1に
示すようなバインダー組成物を種々の割合で添加混合し
て評価用のセラミック成形用組成物を調製した。尚、表
1中に示す各バインダーの種類は、表2に記載した物質
名の通りである。
【0051】また、熱硬化性樹脂としてビニル基または
アセチレン基、及び親水系官能基等から成る有機化合物
を含まない試料番号2と、溶媒及び不飽和重合体を含ま
ない試料番号1を比較例とした。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】先ず、前記評価用のセラミック成形用組成
物は、前記セラミック原料粉末に焼結助剤を加えて湿式
混合した後、該混合物を乾燥して整粒したセラミック粉
末を、表1に示すバインダーと、例えば、パーオキシエ
ステル等の硬化触媒からなる溶液を添加して12時間撹
拌混合して調製する。
【0055】又、ここでは前記溶液にセラミック原料粉
末を添加してセラミック成形用組成物を調製したが、セ
ラミック原料粉末の添加方法は特に限定するものではな
く、最終的に前記組成物が均一になれば良い。
【0056】次に、セラミック成形体中に気泡が残留す
るのを防止するために、前記セラミック成形用組成物を
真空装置等で十分に脱泡処理するが、必要によっては、
消泡剤、破泡剤等を添加することもでき、十分に撹拌し
た後、同様の脱泡処理を施せば良い。
【0057】その後、前記セラミック成形用組成物を、
高さ50mm、直径35mmの円柱に最大厚さ5mm、
長さ30mmのストレートな羽根を4枚、互いに直交す
るように設けた簡易ロータ状成形用成形型に注入し、充
填後、該成形型を100℃未満の温度に所定時間加熱保
持して反応硬化させた後、セラミック成形体を成形型か
ら取り出した。
【0058】前記成形型は、後述する種々の反応硬化方
法に適するものであれば、材質は特に限定されず、例え
ば、加熱硬化させる場合には、加熱に耐えられるもので
あれば何れの材質でも良く、具体的には金属型、樹脂型
等を用いることができ、更に、離型性向上のためや摩耗
防止のために、表面被覆等の表面処理を施すことも可能
である。
【0059】また、前記加熱硬化させる場合、加熱した
成形型にセラミック成形用組成物を充填することもでき
る。
【0060】尚、反応硬化の方法としては、前記加熱硬
化の他に、紫外線硬化やX線硬化方法等を用いることも
でき、加熱硬化方法は、複雑形状品に好適であり、紫外
線硬化やX線硬化方法は、肉厚が薄い形状品に好適であ
る。
【0061】かくして得られたセラミック成形体各10
個についてその外観を目視検査し、成形体表面のフロー
マーク等の欠陥の有無、及び成形型角部までの充填性を
調査して成形性の評価を行い、10個全数に欠陥も充填
不良も認められないものを○、10個中1個に欠陥また
は充填不良のいずれかが認められるものを△、10個中
1個以上に欠陥および充填不良のいずれも認められる
か、2個以上に欠陥または充填不良のいずれかが認めら
れるものを×とした。
【0062】また、離型時に成形体の強度不足から発生
する成形体角部の欠けや割れ等の欠陥の有無を前記同様
に目視検査し、10個中全数に欠陥がないものを○、1
個のみに欠陥が認められるものを△、2個以上に欠陥が
認められるものを×として、離型性を評価した。
【0063】次いで、前記評価用のセラミック成形体が
酸化物系セラミックスの場合には大気中で、また非酸化
物系セラミックスの場合には、窒素ガス等の非酸化性雰
囲気中で、500℃まで昇温して脱バインダーした後、
脱バインダーのし易さを評価するために燃焼法により前
記脱バインダー体中に残留する炭素をCO2 として赤外
線吸収法にて定量し、炭素残留率を算出した。
【0064】以上の結果に基づき、最も望ましいバイン
ダー組成を○、望ましいバインダー組成を△、望ましく
ないバインダー組成を×として総合評価した。以上の結
果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】以上の結果から明らかなように、比較例で
ある試料番号1、2及び本発明の請求外である試料番号
3では、フローマークや充填不良等の成形性不良を生じ
たり、離型性不良を生じて成形体が割れる場合もあり、
脱バインダー後の炭素残留率も高いものもあり安定せ
ず、あるいは硬化しなかったりして、総合的に望ましく
ないのに対して、本発明のセラミック成形用組成物を用
いた成形体は、成形不良、離型不良がなく、しかも炭素
残留率が小さく極めて脱バインダー性が優れていること
がわかる。
【0067】以上の結果より、酸化物系セラミックスの
場合には、有機化合物としてポリエチレンオキサイド−
ビニルエーテル、不飽和重合体として不飽和ポリエステ
ル、溶媒としてオクタノールを組み合わせたバインダー
組成が、また、非酸化物系セラミックスの場合には、有
機化合物としてアクリロイル−テトラプロピレングリコ
ール−エチル、不飽和重合体として不飽和ポリエステ
ル、溶媒としてはフタル酸ジメチルから成るバインダー
組成が好適であることが分かる。
【0068】また、本発明のセラミック成形用組成物と
して、窒化珪素をセラミック原料粉末の主成分とし、複
雑な三次元構造を有する最大直径約50mm、羽根の最
小肉厚約1mmのラジアル型ターボロータを成形したと
ころ、肉厚の薄い羽根の先端まで充分に充填され、成形
体表面にも欠陥はなく、また、成形体に欠けや割れを生
じることなく複雑な成形型から極めて容易に離型できる
ことも確認できた。
【0069】更に、前記ラジアル型ターボロータの成形
体を、窒素ガス雰囲気中で焼成したところ、得られた焼
結体にはクラックや変形等は全く認められなかった。
【0070】尚、本発明は前記詳述した実施例に何等限
定されるものではない。
【0071】
【発明の効果】叙上の如く、本発明のセラミック成形用
組成物は、反応硬化させてセラミック成形体を得るのに
用いるセラミック原料粉末と溶媒及び有機性添加物から
成るバインダーの混合物が、必須成分として少なくとも
一基のビニル基またはアセチレン基と、親水系官能基か
ら成る有機化合物を含有することから、常温でも流動性
が極めて良好で成形性が良く、充填不良が解消され、成
形型中に充填して反応硬化した後は、収縮によるクラッ
クもなく、離型時に欠けやクラック等を発生せず、脱バ
インダーが極めて容易なセラミック成形体を得ることが
できる。
【0072】しかも、本発明のセラミック成形用組成物
は、従来の鋳込み成形法や、射出成形法、あるいは押し
出し成形法等のいずれにも適用できることから、セラミ
ック部品全般の成形に使用することができ、例えば、電
子部品は勿論、複雑な三次元構造を有するガスタービン
やターボロータ、人工関節等、あるいは大型の半導体製
造装置用部品やその他各種構成部品、または単純形状の
薄物品および時計、アクセサリー等の装飾用部品等にも
好適であり、成形後のセラミック体にクラックや変形等
が発生せず、更に焼結体にもクラックや変形等も生じな
い量産効果に優れたセラミック成形用組成物を提供する
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック粉末と溶媒及び有機性添加物か
    ら成るバインダーの混合物を成形型中に充填した後、反
    応硬化させて成形体を得るのに用いる組成物であって、
    該組成物が少なくとも一基のビニル基またはアセチレン
    基と、親水系官能基から成る有機化合物及び該有機化合
    物と相溶する溶媒を含有することを特徴とするセラミッ
    ク成形用組成物。
  2. 【請求項2】前記組成物が不飽和重合体を含有すること
    を特徴とする請求項1記載のセラミック成形用組成物。
JP6206523A 1994-08-31 1994-08-31 セラミック成形用組成物 Pending JPH0867571A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6206523A JPH0867571A (ja) 1994-08-31 1994-08-31 セラミック成形用組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6206523A JPH0867571A (ja) 1994-08-31 1994-08-31 セラミック成形用組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0867571A true JPH0867571A (ja) 1996-03-12

Family

ID=16524781

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6206523A Pending JPH0867571A (ja) 1994-08-31 1994-08-31 セラミック成形用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0867571A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021123521A (ja) * 2020-02-06 2021-08-30 株式会社トクヤマデンタル セラミック原料コンパウンドの製造方法及び当該方法で得られたセラミック原料コンパウンドを用いたセラミック物品の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021123521A (ja) * 2020-02-06 2021-08-30 株式会社トクヤマデンタル セラミック原料コンパウンドの製造方法及び当該方法で得られたセラミック原料コンパウンドを用いたセラミック物品の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080027163A1 (en) Silicone binders for investment casting
US4906424A (en) Reaction injection molding of ceramic or metallic greenbodies
KR20010052613A (ko) 하니콤 세라믹 바디의 바인더 시스템 및 하니콤 바디의제조방법
JPH05306162A (ja) 無機焼結鋳物を製造するための成形コンパンドおよび無機焼結鋳物の製造方法
WO1988007505A1 (en) Polymerizable binder solution for low viscosity, highly loaded particulate slurries and methods for making green articles therefrom
US4530808A (en) Binder removal from thermoplastically formed SiC article
JPH0867571A (ja) セラミック成形用組成物
JPH0940465A (ja) セラミック成形用組成物
JP3207049B2 (ja) セラミック成形用組成物
JPH08133844A (ja) セラミック成形用組成物
EP0560258B1 (en) Reaction injection molding of silicon nitride ceramics having crystallized grain boundary phases
JP3377872B2 (ja) セラミック成形用組成物
JPH10217212A (ja) セラミックス成形体の製造方法
JP3325440B2 (ja) セラミック成形体の製造方法
US5132072A (en) Molding method of ceramic body
JPH06287055A (ja) セラミックス焼結体の製造方法
JPH07187810A (ja) セラミック成形用組成物
JPH0656501A (ja) グリーン体
JPH02290642A (ja) セラミックス中子の製造方法
JP4186099B2 (ja) 炭化珪素部材およびその製造方法
JP4118546B2 (ja) セラミックス組成物
JPH06191924A (ja) セラミック成形用組成物
JPS60118676A (ja) セラミックス焼結体の製造方法
JPH1059774A (ja) セラミック焼結体の製造方法
JPS6230654A (ja) セラミツクスの製造法