JPH0865U - 油圧伝動装置 - Google Patents

油圧伝動装置

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JPH0865U
JPH0865U JP006672U JP667295U JPH0865U JP H0865 U JPH0865 U JP H0865U JP 006672 U JP006672 U JP 006672U JP 667295 U JP667295 U JP 667295U JP H0865 U JPH0865 U JP H0865U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一対の容積形油圧装置を持つ油圧伝動装置に
おいて、作動油中の気泡排出を効率的に行う。 【構成】 油圧伝動装置は、油溜を持つハウジング10
及び第1流路80と第2流路81とにより連絡された一
対の容積形油圧装置20,22を有する。1対のバイパ
スバルブが、第1流路80と第2流路81とを流体的に
連絡させる。ハウジング10の下部分に形成された凹部
100が、バイパスバルブが開いたとき、第1流路80
及び第2流路81に連通する。貫通孔87が、ハウジン
グ10の凹部100から上向きに延び、通常時シール手
段で閉じられる上部開口を有する。手動操作可能のバイ
パスロッド121が貫通孔87の中を延びて凹部100
の中に至り、バイパスバルブを開ける構造を有する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本考案は、流体的にバイパスを行う手段及び油圧回路中の作動油から空気を排 出する手段を有している油圧伝動装置(hydrostatic transm ission)に関するものである。 モータ作用を生ずることなくポンプ作用のみを果たすバイパス機能のためのバ イパスバルブを備えた油圧伝動装置が知られている。ここで述べる油圧伝動装置 は、気泡がバイパス機能中に通路内に集まるよう互いに関連され組み立てられた 構成要素と、通常は通路を閉じており、バイパスバルブが作動した際に開いて油 圧伝動装置用ハウジングの内部内に気泡を抽出することができるシール手段とを 備えている。
【0002】
【技術背景】
或る種の使用態様においては、油圧伝動装置は1以上のバイパスバルブの作動 により起動されるバイパス機能を有することが望ましい。油圧伝動装置の閉じた 油圧回路には補給油を供給できるようになっているが、かかる油圧回路中の作動 油から気泡を除去することは重要である。高い体積効率を持って油圧回路中の空 気を除去することは困難であり、特に、油圧回路に補給油を供給するための加圧 再補充回路を使用していない場合には困難である。この問題点の一解決手段は、 バイパスバルブの他に、油及びそれに随伴される空気を漏出するためのバルブを 使用するというものであるが、費用がかかってしまう欠点がある。
【0003】
【考案の開示】
本考案の主要な特徴は、バイパス機能の一部として、油圧ポンプと油圧モータ との間の油圧回路から空気を除去する手段を備えた油圧伝動装置を提供すること にある。 より詳細には、油圧ポンプ及び油圧モータを相互連結する流体通路には1対の バイパスバルブが組み入れられ、前記流体通路は、バイパスバルブがバイパス機 能を果たすために開放された際に更に他の通路と連通するように配置されている 。作動油中の気泡は前記他の通路に集積され、また、この他の通路の上端は通常 シール手段により封止されている。しかしながら、バイパスバルブが開放される と、このシール手段も開き、この通路からシール手段を越えて空気が排出される 。
【0004】 本考案の特定の実施態様において、油圧伝動装置は、ハウジングと、該ハウジ ング内に配置された1対の容積形油圧装置とを備え、各容積形油圧装置は回転可 能なシリンダブロックを有している。シリンダブロック間に配置される部材は2 対のポートを有し、それぞれが対応のシリンダブロックと関連されている。第1 及び第2流路がこれらのポートに接続されている。第3及び第4流路が第1及び 第2流路と交差しており、ハウジングの下部部分の凹部で終端している。1対の 垂直方向のバイパスバルブのそれぞれが第3及び第4流路に配置されている。バ イパスロッド及びそれに関連する構造が、バイパス機能を果たすべくハウジング 凹部に第3及び第4流路を接続するために両バイパスバルブを開くよう、手動操 作可能に設けられている。1本の通路がハウジング凹部から上方に延び、バイパ スロッドを可動に受け入れるようになっている。この通路の上端は、バイパスロ ッドに取り付けられたシールワッシャにより通常は閉じられており、バイパスロ ッドがバイパス機能のために持ち上げられると、シールワッシャが上方に移動し て通路の上端から離れ、空気を油圧回路から除去することができる。ハウジング 内の作動油の液位は通路の上端よりも上方にあり、シールワッシャは、通路の上 端に接して閉鎖されると、活動油圧回路に濾過されていない作動油が流入するの を防止する。
【0005】 本考案の目的は、油溜を有するハウジングと、それぞれが回転可能なシリンダ ブロックを有し前記ハウジング内に配置された1対の容積形油圧装置と、前記1 対のシリンダブロック間に配置される手段であって、それぞれが対応のシリンダ ブロックと共働する2対のポートを有する前記手段と、各対の一方の前記ポート 間を接続する第1流路と、各対の他方の前記ポート間を接続する第2流路と、濾 過された補給油を有するハウジング下部の凹部と、前記第1流路及び前記第2流 路とそれぞれ交差し前記凹部にそれぞれ連通するバイパス流路に設けられた1対 のバイパスバルブと、バイパス機能を発揮するために前記第1流路及び前記第2 流路を接続すべく前記バイパスバルブを開くよう作動される手段と、前記凹部か ら上方に延び前記ハウジングの上部内部空間に開放している通路と、前記通路を 封止するために該通路の上端に設けられた可動のシール手段と、前記バイパスバ ルブの開放に応答して前記シール手段を開放する手段と、を備える油圧伝動装置 を提供することにある。
【0006】 本考案の他の目的は、前述の油圧伝動装置において、前記バイパスバルブが、 第1流路及び第2流路にそれぞれ関連され且つ前記ハウジング凹部と連通する垂 直の第3流路及び垂直の第4流路の下端に配置されたチェックバルブであり、前 記シール手段は前記バイパスバルブを開放するように作動可能なバイパスロッド に取り付けられたワッシャであり、該ワッシャがバイパスバルブ開放時に前記通 路の上端から離れて前記通路から空気を上方に排出することができるようになっ ている油圧伝動装置を提供することにある。
【0007】
【実施例】
第1図〜第3図は一体型油圧トランスアクスル(integrated hy drostatic transaxle)を総括的に示している。 一体型油圧トランスアクスルは、その構成要素のための共通のハウジング10 を有している。このハウジング10は2つの部分、即ち上部ハウジング部分12 及び下部ハウジング部分14から成り、これらのハウジング部分12、14は、 一体型油圧トランスアクスルが作動位置に取り付けられたときにほぼ水平に配置 される分割線16に沿って、互いに結合される。ハウジング部分12、14は、 分割線16の位置で接合する各部分12、14の外周フランジを貫いて延びる一 連のボルト18によって、組み合わせられた形で保持されている。 平面図でのこのハウジング部分12、14の形状が第2図に示されており、当 該図面の左下部分に上部ハウジング部分12の一部が示されており、その他の部 分は下部ハウジング部分14を示すために切り欠かれている。
【0008】 共通のハウジング10は、1対の容積形油圧装置20、22を有する油圧伝動 装置を内包し、また特に第2図に示すように、トランスアクスル構成要素を収容 している。トランスアクスル構成要素は相反する方向に延びる1対のアクスル2 3、24を備えており、これらの端部は下部ハウジング部分14から突出して駆 動輪(図示しない)を取り付けるようになっている。また、アクスル23、24 の中心線はハウジング10の分割線16と同一平面上にある。アクスル23、2 4は、その外側端部の位置に軸受25、26を有し、また、内側端部の位置にス ラスト軸受27、27aを有していてアクスル23、24を回転可能に支持する ようになっている。アクスル23、24は、符号28で総括的に図示される差動 装置によって連動されるようになっている。歯車31は歯車38と噛み合ってい る。歯車減速装置は、容積形油圧装置22からの駆動入力連結部を有しており、 容積形油圧装置22の出力軸35(第3図)の歯車36が、歯車37と噛み合っ ている。この歯車37は、歯車38に取り付けられ回転可能となっている。
【0009】 歯車減速装置用のブレーキは、共通のハウジング10の外部に取り付けられて 駆動出力軸35の端部と連結されており、その構造は、ブレーキ40、ブレーキ ドラム41及びブレーキカバー42とを備えている。
【0010】 容積形油圧装置20、22の各々は第3図に詳細に示されており、ほぼ同じ構 成である。容積形油圧装置20は、駆動入力軸47にスプライン結合部46によ って連結された回転可能なシリンダブロック45を有しており、この駆動入力軸 47は、油圧伝動装置の中央部分48に配置されたジャーナル47a内で回転可 能な内側端部を有している。駆動入力軸47の外側端部は、上部ハウジング部分 12で軸受49により回転可能に支持されている。リップシール50が上部ハウ ジング部分12内の軸開口部を封鎖している。
【0011】 回転可能なシリンダブロック45は、一連のピストン受けチェンバを有してお り、各チェンバは、直径が比較的に大きなピストン51を可動に取り付けており 、各ピストン51は関連のばね52によって斜板構造体と従動関係に係合するよ うに押されている。容積形油圧装置20はオーバセンタ可変容積形であり、その 操作は斜板54の角度を調節することによって行われる。斜板54は、周知の如 く、第3図に示す時計回り位置からその反対の最端位置まで、手動操作可能構造 (図示しない)によってその角度を変えることができる。斜板54は、第3図か らわかるように、枢動軸を中心にして反時計回り方向に水平の中央位置を通って 枢動することができる。当技術において周知のように、斜板54は、ピストンが 接するスラストプレート55と、斜板54の本体に対してスラストプレート55 を回転可能に保持する軸受及び軸受案内構造とを備えている。
【0012】 各ピストン受けチェンバは、後述の中央部分48の弓形ポートと共働するよう に、回転可能なシリンダブロック45の一面で開口する流路57を有している。 容積形油圧装置22は固定容積形装置であり、複数のピストン受けチェンバを 備えた回転可能なシリンダブロック58を有しており、各ピストン受けチェンバ は、ばね60により斜板61に向かって押されるピストン59を可動に取り付け ている。斜板61は、ピストン59の端部が接触するスラストプレート62と、 スラストプレート62を回転可能に保持するために当該スラストプレート及び斜 板の間に介設されたスラスト玉軸受63とを有している。
【0013】 この回転可能なシリンダブロック58は、スプライン結合部64と介して駆動 出力軸35を駆動する。 駆動出力軸35の内側端部は、中央部分48の開口部65内で回転する。尚、 この開口部65は、ジャーナル66を選択的に収容しても良いが、ジャーナル6 6が使用されない場合、当該開口部65は第11図に示されるように円筒形であ る。駆動出力軸35の外側端部は、リップシール67によって封鎖され、リップ シール67の内側には、玉軸受68を含む軸受構造体が設けられている。
【0014】 回転可能なシリンダブロック58の各ピストン受けチェンバは、当該シリンダ ブロック58の一面で開口する流路69を有しており、この流路69は、後述の 中央部分48の一平面に関連された弓形ポートと共働する。 容積形油圧装置22は固定容積形装置であるので、斜板61は調節可能に取り 付けられる必要がなく、ゆえにピストン59を通じて及ぼされる油圧力に対して は、共通のハウジング10によって支持され得る。第3図から分かるように、駆 動出力軸35の中心線は、ハウジング部分12、14の分割線16上に位置し、 斜板61の中央開口70を通って延びている。斜板61は分割線16にまたがっ ており、油圧力に対する斜板61の支持は分割線16の両側で共通のハウジング 10によってなされる。 以上の説明は、一体型油圧トランスアクスルを概略的に説明したものである、 その下部ハウジング部分14には、第1図及び第2図で明らかなようなトランス アクスル構成部分と、第1図〜第3図で明らかなような油圧伝動装置とのための 共通の油溜が形成されている。
【0015】 容積形油圧装置20、22の回転可能なシリンダブロック45、58は、それ ぞれの回転軸が互いにほぼ直角となるように配置されている。各シリンダブロッ ク45、58の所定のピストン受けチェンバ間を連通させることが、中央部分4 8の主要な機能である。この単一体の中央部分48はほぼL字形をしており、相 互にほぼ直角になった1対の平坦な面72、73を有している。一方の面72は 、可変容量形装置20の回転可能なシリンダブロック45の面と共働し、他方の 面73は、容積形油圧装置22の回転可能なシリンダブロック58の面と共働す る。中央部分48の本体は、当該中央部分のL字形の脚部を画成するように配向 された2つの一体の部分74、75を有しており、部分74は平坦な面72を有 し、部分75は平坦な面73を有している。 第8図及び第10図にそれぞれ示すように、平坦な面72は1対の弓形ポート 76、77を有しており、平坦な面73も1対の弓形ポート78、79を有して いる。
【0016】 互いにほぼ平行となっている直線上の第1流路80及び第2流路81は、中央 部分48の本体内に形成されており、弓形ポートと交差して当該弓形ポートを流 通可能な対の関係とするように機能する。第1流路80は弓形ポート76、78 と交差し、流通可能な第1の対のポートを形成する。第2流路81は弓形ポート 77、79と交差して、それらを流通可能な対にする。 一体型油圧トランスアクスルの作動中、第1及び第2の流路80、81のいず れか一方は、ポンプとして機能する可変容積形油圧装置20から、モータとして 機能する固定容積形油圧装置22に油を圧送する働きを有し、他方の流路はモー タからポンプへの油の戻り路を形成する。第1流路80及び第2流路81の一端 は、弓形ポート78、79との交差位置で終端しており、他端は鋳造工程で形成 される際に閉じられる。
【0017】 中央部分48は、第1流路80と交差する第3流路84と、第2流路と交差す る第4流路85とを有しており、これらの流路84、85は、平坦な面72と反 対側の中央部分の面86で開口している。 貫通孔87が第1流路80及び第2流路81間に位置してこれらの流路80、 81に垂直に延びており、また、両端部の中間部がジャーナル47aによって閉 塞される第5流路88が、第1流路80と第2流路81との間でこれらとほぼ平 行に貫通孔87まて延びている。中央部分48の面から掘り下げされた凹部91 と第5流路88との間には、この第5流路88及び凹部91に垂直に第6流路9 0が延びている。 貫通孔87及び第3〜第6の流路84、85、88、90の効用は、第3図〜 第7図を参照して以下の説明から容易に理解されるであろう。
【0018】 第3流路84及び第4流路85には、チェックバルブの形態の1対の竪型のバ イパスバルブが取り付けられている。各チェックバルブはそれぞれ、流路84、 85に嵌め込まれた管状の弁座部材93、94を有しており、これらの弁座部材 93、94には弁座が形成され、下方にばね付勢されるチェックバルブボール9 5、96がこの弁座に押し付けられるようになっている。チェックバルブは、閉 鎖時に、第1流路80及び第2流路81のいずれかから、下部ハウジング部分1 4内の空洞部分により形成される凹部ないしくぼみ100(第3図)への油の流 れを遮断するように機能する。この凹部100はほぼ楕円形であり、下部ハウジ ング部分14の直立連続壁体により画成されている。尚、第3図ではこの壁体の 断面が符号101、102で示されている。第3流路84及び第4流路85の下 端は、ほぼ楕円形の凹部100内へ通じている。この楕円形凹部100の上部は 、中央部分48の下側に設けられたほぼ楕円形状の壁体103によって密閉され 、この壁体103は、凹部との間に配置される封止Oリング104を有している 。以下で述べるシールワッシャ135が着座されている場合、これが補給油源と 連通していることを除き、封止された凹部ないしくぼみとなり、チェックバルブ が開くと、この凹部内で濾過された油が、油圧伝動装置への補給油源となるよう になっている。チェックバルブに関連される構造はまた、バイパス機能を提供す る。すなわち、このバイパス機能においては、ポンプが非送油状態の場合には、 アクスルを回転させるとモータを回転させ、或いはまた、ポンプが送油状態に置 かれ作動可能となっている場合には、モータを駆動しない。これは、第1流路8 0と第2流路81とがチェックバルブの開口及びほぼ楕円形の凹部100を介し て交差接続されるからである。
【0019】 補給油は、下部ハウジング部分14内の共通油溜から、中央部分48の下側の 空間(第3図)と、上部及び下部にOリングが設けられている円筒形フィルター 110とを通って流れることにより、ハウジング凹部100へ送られる。フィル ター110の内部は、中央部分48の第6流路90と連通している。前述したよ うに、第6流路90は第5流路88と連通し、第5流路88は貫通孔87と連通 しているので、油は凹部100に達する。 中央部分48は符号115、116及び117の位置に一連の取付用貫通孔を 有しており、これによって組立ての際、第3図から分かるように、例えばセルフ タッピングねじ118によって中央部分48を上部ハウジング部分12に固定で き、下部ハウジング部分14を分割線16に沿って上部ハウジング部分12と結 合させることにより最終的な組立体が完成される。
【0020】 既述のバイパス機能は、チェックバルブボール95、96を持ち上げて弁座か ら離し、チェックバルブを開くことで発揮される。このバイパス機能のための構 造は、バイパスアクチュエータ板120及びバイパスロッド121を備えたバイ パスアクチュエータ構造を含んでいる。第4図及び第7図から分かるように、バ イパスアクチュエータ板120は、下部ハウジング部分14内のほぼ楕円形の凹 部100内に配置され、その中央部にバイパスロッド121の下端部が連結され ている。また、バイパスアクチュエータ板120は、チェックバルブボール95 、96の下側に配置された1対の上向きの端部(第7図)を有している。バイパ スロッド121を持ち上げると、バイパスアクチュエータ板120はチェックバ ルブボール95、96を押し上げ、中央部分48の第1流路80及び第2流路8 1を互いに流通状態とする。特に、第2図、第3図及び第5図から分かるように 、バイパスロッド121は、上部ハウジング部分12上に配置されたハンドル1 25を回転させることによって持ち上げられる。バイパスロッド121は上部ハ ウジング部分12の開口126内で上下に動くことができ、その下部部分は中央 部分48の貫通孔87により画成される通路を通って下方に延び、通常、ばね1 27によって下方に付勢されている。貫通孔87の直径は、バイパスロッド12 1の直径よりも相当に大きく気泡の集積のための空間を提供する。第6図に示す ように、ハンドル125にはカム状部分130が形成されており、この部分13 0は、バイパスロッド121の一端に取り付けられた通しピン131の端部と共 働する。ハンドル125を図面に示される位置から回転させて、カム状部分13 0を通しピン131の下に移動させることにより、通しピン131及びバイパス ロッド121が持ち上げられ、バイパス機能が果たされる。
【0021】 バイパスロッド121及び中央部分48はハウジング構造と独特に結び付いて おり、バイパス機能によって、この系統の油から空気を抽出することができる。 バイパス機能中、気泡はバイパスロッド121の回りの通路内で集積する傾向が ある。バイパスロッド121がその下降位置にあり、チェックバルブが閉鎖され ている時、中央部分48の貫通孔87により画成される通路の上端部は、バイパ スロッド121の外周縁フランジで支持されているシールワッシャ135によっ て密閉され、その結果、貫通孔87と共通のハウジング10の内部との間の流通 性がなくなる。これは、ハウジングの油溜から通路内に濾過されていない油が流 入するのを防止する。バイパスロッド121が持ち上げられてバイパス機能を果 たす場合、シールワッシャ135がその座から上方に移動され、これによって、 貫通孔87の上端部が共通のハウジング10の内部に開放され、空気をハウジン グ内部に排出することができる。液位より上のハウジング内で蓄積した空気は、 通気管140(第1図)を通って大気中に放出される。
【0022】 以上から、一体型油圧トランスアクスル(第1図〜第11図)の作用は明らか であろうが、その作用を簡単に述べるならば、次の通りである。エンジンが可変 容量形油圧装置20(ポンプとして機能)の駆動入力軸47を駆動させると、油 圧装置22(モータとして機能)が作動され、駆動出力軸35が第2図に示すト ランスアクスル構成要素を駆動して、ホイールアクスル23、24を回転させる 。ホイールアクスル23、24の回転方向は、可変容量形油圧装置20の斜板を 第3図に示す位置から中心位置より反対側に動かすことにより、前方向から逆方 向に変換可能であり、その結果、ポンプ20から中央部分48を通ってモータ2 2に流れる加圧油の流通方向も逆転する。ポンプが作動して送油状態となってい るにも拘わらず、ホイールアクスル23、24が回転していない場合、ハンドル 125を回してバイパスロッド121を持ち上げ、チェックバルブボール95、 96を開くことにより、バイパス機能を発揮させる。既に述べたように、中央部 分48の流路内のいかなる空気も、バイパス機能中にシールワッシャ135を越 えて共通のハウジング10の油溜に抽出することができる。楕円形凹部100の 油圧が中央部分48の直線状の第1流路80及び第2流路81のいずれか一方に おける圧力よりも相当に大きく、チェックバルブボールにかかるばねの閉鎖力に 打ち勝った場合、チェックバルブの一方が自動的に開いて、楕円形凹部100か ら油圧伝動装置の回路に補給油が供給される。
【0023】 第1図〜第11図に示した実施例のものとは異なる油圧伝動装置、特にポンプ (容積形油圧装置20)とモータ(容積形油圧装置22)との間に配置された中 央部分の構造、及びバイパス機能を果たすためのバイパスアクチュエータ構造が 異なっている油圧伝動装置の好適な第2の実施例がある。この第2の実施例を第 12図〜第14図に示し、第1図〜第11図の実施例と同一である部分には同一 符号を用い、更にそこにダッシュを付すこととする。
【0024】 中央部分48′は、異なる形状の第1流路150と第2流路151を有してい る点で前記中央部分48と異なっている。これらの流路150、151はその全 長にわたり第12図に示すように弓形であり、モータの回転可能なシリンダブロ ック58と共働する中央部分の面で弓形ポートを形成している。また、これらの 流路150、151は、ポンプの回転可能なシリンダブロック45と共働する中 央部分の面の弓形ポートと連通している。中央部分本体の一体部分75′は、第 3流路84′及び第4流路85′を有し、各流路84′、85′の上端部は、1 対のバルブを任意に受けるように形成されている。尚、このバルブは、本考案の 構成要素ではないので図示しない。或いはまた、バルブを取り付けずに、これら の流路の上端部をねじ付きキャップにより閉じても良い。
【0025】 下部ハウジング部分14′は一部を切り欠いて示されており、上部ハウジング 部分12′は、油圧伝動装置の包囲ハウジングを画成するために下部ハウジング 部分14′に適当に結合される。 第3及び第4流路84′、85′の下端部にはそれぞれ弁座部材93′、94 ′が取り付けられ、これらの弁座部材は関連のチェックバルブボール95′、9 6′を有している。チェックバルブボール95′、96′は関連のばね156、 158により弁座部材93′、94′に押し付けられる。 チェックバルブの形態をとるバイパスバルブは、バイパスアクチュエータ構造 によりバイパス機能を果たすべく開放されるようになっている。このバイパスア クチュエータ構造は、第1図〜第11図に示すものと基本的には同様に作用する が、構造上の細かい点で異なっている。
【0026】 バイパスロッド121′は真っすぐな棒であり、ハウジング凹部100′から 偏向することなく上方に延びることができるように、第1図〜第11図のバイパ スロッド121よりも径が小さい。必要ならば、バイパスロッド121′に隣接 する斜板54の小部分(第3図)が、真っすぐなバイパスロッド121′を垂直 上方に通すことができるように、切り欠かれても良い。バイパスロッド121′ はシールワッシャ135′を有しており、このシールワッシャ135′は、ハイ パスロッド121′の溝に取り付けられた保持リング162とワッシャ160に より適宜保持される。バイパスロッド121′の下端は、バイパスアクチュエー タ板120′の中央開口を通って延びており、バイパスロッド121′の下端部 を貫通し且つバイパスアクチュエータ板120′の中央の逆V字形ノッチ部分に 係合されるピン164によって、バイパスアクチュエータ板120′と組み合わ せた関係に保持されている。貫通孔87′内のワッシャ172とアクチュエータ 板120′の上面との間にはばね170があり、バイパスロッド121′を下方 に付勢すると共に、貫通孔87′により画成された通路の上端の肩部にシールワ ッシャ135′を押し付けている。
【0027】 バイパスアクチュエータ板120′は、バイパスロッド121′の上昇により 持ち上げられ、弁座部材93′、94′からチェックバルブボール95′、96 ′を分離させる。これは、第13図及び第14図に詳細に示すバイパスアクチュ エータハンドル174の直線的な動きにより達成される。バイパスアクチュエー タハンドル174は、バイパスロッド121′の上端部が貫通する細長い中央開 口176を有しており、また、バイパスロッド121′に取り付けられた保持リ ング180及びワッシャ178によりバイパスロッド121′に移動可能に保持 される。バイパスアクチュエータハンドル174′は1対の垂下フランジ182 、184を有している。各フランジ182、184は、面190と面192との 間が傾斜カム面となっている。手動操作力によりバイパスアクチュエータハンド ル174が第12図の位置から右方に移動されると、傾斜カム面は上部ハウジン グ部分12′の上面と接し、バイパスロッド121′を上方に引き上げる。フラ ンジ面192が上部ハウジング部分12′の上面に配置されると、バイパスロッ ド121′は完全に上昇され、チェックバルブ95′、96′は広く開放された バイパス機能を果たすことになる。同時に、シールワッシャ135′が持ち上げ られて貫通孔87′により画成された通路を開き、それにより、バイパスロッド 121′を囲む空間内の通路に集められた気泡が該通路から上昇し、ハウジング 内の作動油を通ってその油面まで上昇する。 以上から、第12図〜第14図に示す実施例は、第1図〜第11図に示す実施 例と同様な機能を果たし、油圧回路の作動油からの空気の抽出が油圧バイパス機 能中に行われることが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2において左側から視た一体型油圧トランス
アクスルの側面図である。
【図2】前記一体型油圧トランスアクスルを部分的に切
り欠いて示す平面図である。
【図3】図2の3−3線に沿っての拡大縦断面図であ
る。
【図4】図3の4−4線に沿う、下部ハウジング部分及
び関連構造を示す部分断面図である。
【図5】図2に示す構造の部分平面図である。
【図6】図5の6−6線に沿って見た場合の中央部分の
部分図である。
【図7】図8の7−7線に沿っての中央部分の断面図で
あり、その部分に関連されるチェックバルブ及びバイパ
ス構造を示す図である。
【図8】前記油圧伝動装置の中央部分の平面図である。
【図9】前記油圧伝動装置の中央部分の底面図である。
【図10】図8の右側から見た場合の中央部分の側面図
である。
【図11】図8の11−11線に沿った中央部分の縦断
面図であり、関連構造を省略して示す図である。
【図12】油圧伝動装置の好適な第2の実施例を示す拡
大縦断面図であり、中央部分の第3及び第4流路と貫通
孔を示す図である。
【図13】バイパスアクチュエータハンドルの正面図で
ある。
【図14】前記バイパスアクチュエータハンドルの底面
図である。
【符号の説明】
10...ハウジング 20、22...容積形油圧装置 48、48′...中央部分 80、150...第1流路 81、151...第2流路 84、84′...第3流路 85、85′...第4流路 87、87′...貫通孔 93、93′、94、94′...弁座部材 95,95′,96,96′...チェックバルブボー
ル 100,100′...凹部 121,121′...バイパスロッド 135,135′...シールワッシャ

Claims (10)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油溜を有するハウジングと、それぞれが
    回転可能なシリンダブロックを有し前記ハウジング内に
    配置された1対の容積形油圧装置と、1対の前記シリン
    ダブロック間に配置される手段であって、それぞれが対
    応のシリンダブロックと共働する対のポートを有する前
    記手段と、各対の一方の前記ポート間を接続する第1流
    路と、各対の他方の前記ポート間を接続する第2流路
    と、濾過された補給油を有するハウジング下部の凹部
    と、前記第1流路および前記第2流路とそれぞれ交差し
    前記凹部にそれぞれ連通するバイパス流路に設けられた
    1対のバイパスバルブと、バイパス機能を発揮するため
    に前記第1流路と前記第2流路を接続すべく前記バイパ
    スバルブを開放するように作動する手段と、前記凹部か
    ら上方に延び前記ハウジングの上部内部空間に開放して
    いる通路と、前記通路を封止するために該通路の上端に
    設けられた可動のシール手段と、前記バイパスバルブの
    開放に応答して前記シール手段を開放する手段と、を備
    えている油圧伝動装置。
  2. 【請求項2】 フィルターを備えており、前記ハウジン
    グの前記凹部が該フィルターの下流側と流体的に連通し
    て補給油の供給源となっている請求項1記載の油圧伝動
    装置。
  3. 【請求項3】 前記バイパスバルブが、前記第1流路及
    び前記第2流路の一方に補給油を供給するように一定圧
    力差に応答して開放されるチェックバルブである請求項
    2記載の油圧伝動装置。
  4. 【請求項4】 油溜と連通すると共に前記第1流路及び
    前記第2流路とそれぞれ連通する第3及び第4流路を備
    えており、前記バイパスバルブが前記第3流路及び前記
    第4流路内に設けられている請求項3記載の油圧伝動装
    置。
  5. 【請求項5】 前記バイパスバルブを開くための可動の
    バイパスロッドが前記通路を通って延びており、前記可
    動のシール手段が前記バイパスロッドに取り付けられた
    ワッシャとなっている請求項1記載の油圧伝動装置。
  6. 【請求項6】 複数の往復動可能なピストンを持つ回転
    可能なシリンダブロック及び前記ピストンと共働する斜
    板をそれぞれが有している1対の容積形油圧装置と、前
    記シリンダブロック間に配置される手段であって、それ
    ぞれが対応のシリンダブロックと共働する対のポートを
    有する前記手段と、各対の一方の前記ポート間を接続す
    る第1流路と、各対の他方の前記ポート間を接続する第
    2流路と、濾過された補給油を保持するために実質的に
    封止されたハウジング凹部を備える手段と、前記第1流
    路及び前記第2流路を前記ハウジング凹部に接続する第
    3流路及び第4流路と、前記第3流路及び前記第4流路
    内に設けられた、通常の作動状態では閉じられている1
    対のバイパスバルブと、バイパス機能を発揮するために
    前記第1流路及び前記第2流路を接続すべく前記バイパ
    スバルブを開放するように作動する手段と、前記ハウジ
    ング凹部を封止するために該ハウジング凹部の上方に配
    置された可動のシール手段と、前記バイパスバルブが開
    放された際に前記シール手段を開放する手段と、を備え
    ている油圧伝動装置。
  7. 【請求項7】 前記バイパスバルブが、前記第1流路及
    び前記第2流路の一方に補給油を供給するように一定圧
    力差に応答して開放されるチェックバルブである請求項
    6記載の油圧伝動装置。
  8. 【請求項8】 通路が前記ハウジング凹部から上方に延
    びており、前記バイパスバルブを開放する手段が、前記
    通路内でその長手方向に沿って延び且つ前記シール手段
    を画成するワッシャが取り付けられているバイパスロッ
    ドである請求項6記載の油圧伝動装置。
  9. 【請求項9】 ハウジングと、それぞれが回転可能なシ
    リンダブロックを有し前記ハウジング内に配置された1
    対の容積形油圧装置と、1対の前記シリンダブロック間
    に配置された部材であって、対応の前記シリンダブロッ
    クと関連される1対の面を有すると共に、該面の各々が
    1対のポートと有している前記部材と、前記各面におけ
    る一方のポート同士を接続する前記部材に設けられた第
    1流路と、前記各面における他方のポート同士を接続す
    る前記部材に設けられた第2流路と、前記ハウジングの
    下部部分に設けられた凹部と、前記第1流路及び前記第
    2流路とそれぞれ交差すると共に前記凹部で終端する第
    3流路及び第4流路と、前記第3流路及び前記第4流路
    にそれぞれ配置された1対のチェックバルブであって、
    前記第1流路及び前記第2流路内の圧力により対応の弁
    座に押し付けられるよう配置されている前記チェックバ
    ルブと、前記チェックバルブを対応の前記弁座に押し付
    けるばね手段と、バイパス機能を果たすべく前記凹部に
    前記第3流路及び前記第4流路を接続するために前記チ
    ェックバルブの両方を対応の前記弁座から同時に移動さ
    せる手段と、バイパス機能中に前記凹部内の作動油から
    空気を排出するための手段であって、前記部材内を前記
    凹部から上方に延び前記ハウジングの上部内部空間に解
    放している通路を有している前記手段と、前記凹部に濾
    過された補給油を供給する手段であって、前記ばね手段
    により及ぼされる力を上回る圧力差によりチェックバル
    ブが開くのに応答して前記第1流路及び前記第2流路に
    前記補給油を流入することができるようになっている前
    記手段と、を備えている油圧伝動装置。
  10. 【請求項10】 前記チェックバルブを移動させる手段
    が、前記通路内をその長手方向に延びる手動操作可能な
    バイパスロッドから成り、前記空気を排出するための手
    段が、通常時は前記通路の上端を封止し、バイパス機能
    時に前記バイパスロッドが移動した場合には該通路を解
    放するバイパスロッドに取り付けられたシールから成る
    請求項9記載の油圧伝動装置。
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