JPH0860324A - 耐食性に優れたZn−Mg−Al系溶融めっき鋼材およびその製造方法 - Google Patents
耐食性に優れたZn−Mg−Al系溶融めっき鋼材およびその製造方法Info
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Abstract
ること、および浴成分の酸化を防止し、めっき作業性を
向上させること。 【構成】 Mg:0.2 〜3 wt%、Al:0.06〜0.25wt%、C
a, BeおよびLiのうちから選ばれる1種または2種以上
を 0.001〜0.01wt%含有し、組織がZn−η相及びMg 2 Zn
11からなる溶融めっき層を、鋼材表面に有するZn−Mg−
Al系溶融めっき鋼材と、めっき後の凝固までの冷却速度
を10℃/sec 以下にするその鋼材製造方法。
Description
−Al系溶融めっき鋼材とその製造方法に関するものであ
る。
では、耐食性を有する亜鉛めっき鋼材, 鋼線その他の溶
融亜鉛めっき鋼材等が多く使用されている。その背景と
しては、亜鉛はもともと安価であるとともに、鋼に対し
犠牲防食効果を有し鋼材等の防食に適しているからであ
る。
関し最近、赤錆発生防止、塗装後耐ブリスター性の向上
等への要求が高まってきた。こうした要求に応えられる
ものとして従来、溶融亜鉛めっきの耐食性を向上させる
手段の1つとして、Mgを添加する方法、例えば、特開昭
56−41359 号公報などの提案がなされている。
41358 号公報に開示されている、溶融亜鉛めっき浴中に
Mgを添加し、Zn−Mg系化合物を生成させて耐食性を向上
させる上記従来技術の場合、このMgのためにめっき浴表
面における融液の酸化が激しくなることから、多量のMg
を添加することができず、このことが耐食性のさらなる
向上を目指す上で障害となっていた。
融亜鉛めっき鋼材を提供することにある。本発明の他の
目的は、Al及びCa, Li, Beのいずれか1種以上を添加す
ることによって浴成分の酸化を防止し、めっき作業性を
向上させることにある。
ものとして本発明は、以下に掲げる課題解決手段を採用
する。 (1) Mg:0.2 〜3 wt%、Al:0.06〜0.25wt%を含み、そ
してCa, BeおよびLiのうちから選ばれる1種または2種
以上を 0.001〜0.01wt%含有し、残部がZnからなる組成
を有し、かつ組織がZn−η相及びMg2 Zn11からなる溶融
めっき層を、鋼材表面に有することを特徴とする耐食性
に優れたZn−Mg−Al系溶融めっき鋼材。
4 〜2wt%、Al:0.1 〜0.25wt%、Ca, BeおよびLiは
0.005〜0.01wt%の範囲内で含有することがより好まし
い。
鋼材を、Mg:0.2 〜3 wt%、Al:0.06〜0.25wt%を含
み、かつCa, BeおよびLiのうちから選ばれる1種または
2種以上を 0.001〜0.01wt%含有し、残部が実質的にZn
からなる溶融めっき浴に浸漬して溶融めっきし、その後
めっき相が凝固するまで10℃/sec.以下の冷却速度で徐
冷することを特徴とする耐食性に優れたZn−Mg−Al系溶
融めっき鋼材の製造方法。
ついて説明する。発明者らの研究によると、鋼材表面に
Mg添加溶融亜鉛めっきした場合、そのめっき層は一般
に、MgZn2 及びZn−η層によって構成されている。しか
し、そのめっき処理の後に、めっき層が凝固するまでの
冷却速度を10℃/秒以下という緩冷却にした場合には、
このとき得られためっき層はMg2 Zn11とZn−η層とによ
って構成されることがわかった。ところで、このMg2 Zn
11は、MgZn2 よりもZn含有率が相対的に高く、そのため
にめっき層中Zn−η層に対するZn−Mg系化合物の割合が
約3倍と多くなり、このMg2 Zn11が存在すると耐食性が
向上するという事実を発見した。即ち、本発明は、Mg添
加溶融亜鉛めっき後、めっき層が凝固するまでの冷却速
度を10℃/sec 以下、より好ましくは5℃/sec以下に制
御することにより、めっき層中のZn−Mg系化合物をMg2
Zn11にすることによって、めっき層中のZn−Mg系化合物
量を従来法よりも相対的に増加させ、このことによって
従来法よりも優れた耐食性を示すようにしたものであ
る。
き浴中に、所定量のMgを添加する。一般に、亜鉛中にMg
を添加すると、耐食性が向上することは知られている。
しかし、同時に、めっき浴の酸化も激しくなり、めっき
作業を困難にすることも上述したように既知である。こ
のことに対して、本発明では、少量のAlとCa, Beおよび
Liのうちから選ばれる1種以上の成分を複合添加するこ
とにより、めっき浴の酸化を防止するようにした。
たものであって、まず、めっき浴成分組成, 即ち、溶融
亜鉛めっき皮膜の成分が上述のように限定される理由を
以下に説明する。 (1) めっき層, 浴中のMg:0.2 〜3wt% めっき層, 浴中にMgを添加する理由は、耐食性を向上さ
せるためであり、その効果は0.2 wt%以上の添加によっ
てZn−Mg系化合物を晶出させることで生ずる。一方、こ
のMg添加量の増加に従って耐食性は向上するものの、Zn
−Mg系共晶点である3wt%を超えると耐食性向上の効果
が飽和することに加え、AlとCa, Be及びLiを添加しても
めっき浴の酸化を抑制することができなくなり、めっき
作業性の劣化を招くので、 0.2〜3wt%の範囲に限定し
た。好ましい範囲は 0.4〜2wt%である。
防止のためである。そのAl濃度を0.06〜0.25wt%とした
理由は、Ca, BeまたはLiのみの添加では、めっき浴の酸
化防止作用が十分でない。また、被めっき鋼材とめっき
層とのZn−Fe反応を防止するためには少なくとも0.06wt
%以上のAl添加が必要であり、一方、0.25wt%を超えて
このAlを添加しても、耐食性向上効果は飽和し、また、
めっき浴中でのFe−Al系ドロスの生成が問題となるの
で、0.06〜0.25wt%に限定した。好ましい範囲は 0.1〜
0.25wt%である。
01wt% めっき層中にCa, BeおよびLiのうち少なくとも1種以上
を単独もしくは合計でそれぞれ0.001 wt%以上含有させ
ることとしたのは、Mgを添加しためっき浴中にCa, Be,
Liのうち少なくとも1種を0.001 wt%以上添加すること
によって、Alの添加と協働してめっき浴表面の酸化を防
止することができるからである。なお、この時製造され
る溶融めっき中には、めっき浴中濃度とほぼ同等のCa,
BeおよびLiを含有する。一方、これらの元素を0.01wt%
を超えて添加した場合には、Ca,Be, Liの偏析によって
耐食性が劣化するので、0.001 〜0.01wt%に限定した。
好ましい範囲は 0.005〜0.01wt%である。
方法において、とくに溶融亜鉛めっきき処理後の冷却に
当たって、その速度を10℃/sec 以下に限定する理由
は、めっき層中にできるZn−Mg化合物をMg2 Zn11とする
には、10℃/sec 以下とする必要があり、10℃/sec を
超えるような速い冷却速度の下では、めっき層中にでき
るZn−Mg化合物は、MgZn2 となり、Mg2 Zn11に比べると
耐食性が劣化するためである。
融亜鉛めっき浴中で、上記(4) に記載した条件にて鋼材
を溶融めっきした場合、めっき層中の組成は、溶融亜鉛
めっき浴とほぼ同じになる。
01wt%、Mn:0.15wt%、P:0.013 wt%およびS:0.00
7 wt%を含有する冷延鋼板(100mm×200 mm×0.75mm) を
用い、溶融めっきシミュレートラインでめっき前処理と
して有機溶媒、アルカリ電解脱脂の後、15%H2 +N2
雰囲気中で 820℃, 10sec (昇温, 降温速度は10℃/se
c)の焼鈍を行った後、60g/m2 の溶融亜鉛めっきを行
い、その後引き続き保温炉によって冷却速度を制御し
た。
いて、それの耐食性をSST(塩水噴霧試験) 5%赤錆発生
までの日数及び板重量の減少にて評価した。また、エポ
キシ系カチオン電着塗装後(20μm) 、クロスカットを
施し、SST 30日後のクロスカット部の膨れ幅を評価し、
耐ブリスター性を評価した。さらに、めっき層の密着性
評価として、 180°曲げ試験によるZn剥離量をZnの蛍光
X線カウント数で評価し3段階に評価した。これらのめ
っき条件およびその評価結果を表1, 表2にまとめて示
す。
従来例のように、溶融Znめっき中にMgを添加することに
よって、めっき層中にZn−η相および/またはMgZn2 を
生成させたもの(No.3〜6)では、Mg無添加のもの(N
o.1) に比較すると耐食性は向上するが、Mg添加によっ
てめっき浴の酸化が激しくなることがわかる。なお、N
o.2に示すように、Mg<0.2 wt%では、Zn−Mg系化合物
は晶出しないので耐食性の改善は期待できない。また、
従来例はいずれも、冷却速度が10℃/sec を超えるので
Mg2Zn11の晶出がなく、Mg>0.2 wt%のもの(No.3〜
6)は/浴の酸化が激しいことがわかった。これに対
し、本発明法(No.7〜25) に従って、溶融Znめっき浴中
に所定量のMgを添加し、さらにAlならびにCa, Beおよび
Liのうちの少なくとも1種を添加し、めっき後めっき層
が凝固完了するまでの冷却速度を10℃/秒以下に制御し
て溶融めっきを行った例では、めっき層はいずれもZn−
η相およびMg2 Zn11によって構成され、めっき層の密着
性が良好である。しかも、従来のMg添加溶融Znめっきよ
りもさらに、裸耐食性, 塗装後耐ブリスター性の良好な
Mg添加溶融Znめっき鋼材が得られることがわかる。ま
た、めっき浴の酸化防止にも有効であった。なお、この
実施例においては、めっき付着量60g/m2 の供試材を
用いたが、発明者らの研究によれば、めっき付着量10g
/m2 以上のものでも良好な耐食性を得られることが確
かめられており、自動車等の製造に供する防錆鋼板とし
ては、めっき付着量が20〜70g/m2 が好ましい。
耐食性, 高耐摩耗性の溶融亜鉛めっきを容易に製造する
ことができ、それ故に溶融亜鉛めっき鋼材の使用環境や
用途を一層拡大することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg:0.2 〜3 wt%、Al:0.06〜0.25wt%
を含み、そしてCa,BeおよびLiのうちから選ばれる1種
または2種以上を 0.001〜0.01wt%含有し、残部がZnか
らなる組成を有し、かつ組織がZn−η相及びMg2 Zn11か
らなる溶融めっき層を、鋼材表面に有することを特徴と
する耐食性に優れたZn−Mg−Al系溶融めっき鋼材。 - 【請求項2】 溶融亜鉛めっきを行う際に、被めっき鋼
材を、Mg:0.2 〜3wt%、Al:0.06〜0.25wt%を含み、
かつCa, BeおよびLiのうちから選ばれる1種または2種
以上を 0.001〜0.01wt%含有し、残部が実質的にZnから
なる溶融めっき浴に浸漬して溶融めっきし、その後めっ
き相が凝固するまで10℃/sec.以下の冷却速度で徐冷す
ることを特徴とする耐食性に優れたZn−Mg−Al系溶融め
っき鋼材の製造方法。
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