JPH11158595A - 外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき方法 - Google Patents

外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき方法

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JPH11158595A
JPH11158595A JP32884197A JP32884197A JPH11158595A JP H11158595 A JPH11158595 A JP H11158595A JP 32884197 A JP32884197 A JP 32884197A JP 32884197 A JP32884197 A JP 32884197A JP H11158595 A JPH11158595 A JP H11158595A
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plating
steel sheet
hot
dip
adhesion
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JP32884197A
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Jun Maki
純 真木
Teruaki Isaki
輝明 伊崎
Nobuyoshi Okada
伸義 岡田
Seiji Sugiyama
誠司 杉山
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 従来の製造法では困難であった、酸素との親
和性の強いSi,Cr,Alを含有する鋼板への溶融め
っき方法を提供する。 【解決手段】 Si:0.5〜6%,Cr:1%未満を
含有する鋼板を、めっき浴に侵入するまでの鋼板最高温
度を400℃以下とし、めっき浴中への浸漬時間を20
秒以下として溶融めっきを行う。また、Si:0.5〜
6%,Cr:2〜30%,Al:0.3〜10%を含有
する鋼板の場合は、めっき浴に侵入するまでの鋼板最高
温度を150℃未満とし、浴中への浸漬時間を20秒以
下とする。更に、浸漬部位の雰囲気が大気であるような
条件下でめっきを行う。めっき原板としては、酸洗板,
冷延板,焼鈍板が使用でき、また鋼板に予めフラックス
を塗布することやプレめっきをすること、更にはめっき
浴にフラックスを浮かべることも可能である。めっき種
としては、Zn,Al,Zn−Al,Sn−Znが好ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来は溶融めっき
が困難とされてきた、Si,Cr,Alといった酸素と
の親和性の強い元素を含有する鋼板の溶融めっき方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】表面処理鋼板は自動車,建材,家電,容
器分野を主用途として、近年その使用量が増大しつつあ
る。表面処理鋼板の製造法としては、代表的なものとし
て、電気めっき法と、溶融めっき法に大別される。溶融
めっき方法の利点は、高付着量のめっきが得やすいこ
と、再結晶焼鈍を溶融めっきライン内で行えることであ
り、特に自動車,建材用鋼板の製造法としてこの方法が
使用されている。
【0003】鉄鋼製品の溶融めっきには、連続めっきと
バッチ式のめっきの二種類がある。これは言い換える
と、加工前にめっきを施す方法と、加工後にめっきを施
す方法とも言える。前者は、連続的にめっきを施した鋼
板、鋼線等をめっき後加工するものであり、一方後者は
複雑な形状を要する製品などで、加工した後にバッチ式
の溶融めっき槽でめっきを施すものである。両者ではめ
っきに対する要求が異なり、加工前にめっきする連続め
っきでは、当然めっきには加工性が要求され、加工後の
めっき、つまりバッチ式のめっきではめっきに加工性は
要求されず、主として耐食性のための高付着量が要求さ
れる。従って、例えば同じ亜鉛めっきであっても、連続
式とバッチ式とでは、浴の組成等製造条件が若干異な
る。本発明は鋼板の連続溶融めっき法であって、前者の
製造法を提供するものである。
【0004】この連続溶融めっき鋼板の製造法として、
現在世界的に使用されている方法はゼンジマー法と呼ば
れ、水素を含有するガス雰囲気中で鋼板を加熱し、再結
晶焼鈍した後にめっき浴とほぼ同じ温度まで冷却し、め
っき浴に浸漬する方法である。この製造法は、生産性、
外観に優れるものであるが、一方この製造法の難点とし
て、Si,Cr,Alを含有する鋼板のめっきが困難で
あるという点があげられる。これは、前述したように窒
素−水素混合雰囲気中で再結晶焼鈍が行われるが、この
雰囲気はFeにとっては還元雰囲気であるが、Cr,S
i,Al等の元素は酸化雰囲気であり、この工程で鋼板
表面にこれらの酸化物が厚く生成して、めっき浴との反
応を阻害するためである。
【0005】そこでこれを克服するために、例えば、特
公平5−72465号公報のように、加熱炉の操業条件
を工夫する方法、あるいは特公平5−18903号公報
のように、溶融めっき前にFe等でプレめっきするとい
う方法、あるいは特開平5−311373号公報のよう
に、浴中に酸素との親和性の高い元素(Mg)を添加す
る方法が提案されている。しかし、これらの方法は、コ
イルの幅、長さの安定性に欠ける傾向があり、プレめっ
き等を行うと設備投資等の費用がかかり、コストを増大
させる傾向にあった。またそもそもこのような長大な炉
を使用するめっき設備は初期の設備費用が膨大となる問
題点もあった。また、特開平5−239607号公報で
は、ステンレス鋼にフラックスを塗布し特定温度で乾燥
させた後、溶融亜鉛めっきを行う方法が開示されてい
る。しかしフラックス塗布後、乾燥のためある温度以上
まで昇温する必要があり、生産性を阻害するものであっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、これ
ら酸素との親和性の強い元素を含む鋼板へ安定してめっ
き可能であり、生産性、外観も良好で、簡便な設備を使
用する溶融めっき方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を進め、めっき前の加熱温度を抑制することにより、浴
面の雰囲気が大気であっても、Cr,Si,Alを含有
する鋼板に良好なめっきが可能であるとの知見を得、本
発明を完成させたものである。このとき、浴面に浸漬す
る前の温度を400℃以下、望ましくは150℃未満と
するため、溶融めっき工程内で再結晶焼鈍を行うことは
困難である。そこで本発明において、めっきする鋼板と
しては、酸洗板や冷延板をめっきする、あるいは軟質材
を要求される場合には、他ラインで焼鈍した鋼板をめっ
き原板として使用するものとする。従って、めっき工程
入り側での被めっき鋼板の温度は常温から最高でも90
℃程度である。
【0008】ここでいうめっき工程とは、コイル状に捲
取った酸洗板、冷延板、あるいは焼鈍板等をほどき、脱
脂、酸洗、フラックス塗布等を経て、めっきを行い、後
処理をして、捲取りに至る一連のラインを意味する。本
発明において、溶融めっきを容易にするために、水溶液
型のフラックスを塗布することや、浴面に溶融塩型のフ
ラックスを浮遊させることも可能であるし、また鋼板表
面に予めプレめっきを施すことも可能である。また、め
っき種は溶融めっきが可能な低融点の金属であれば、他
に特に制約はない。
【0009】すなわち、本発明の要旨とするところは、
次のようなものである。 (1)Si:0.5〜6%,Cr:1%未満を含有する
鋼板を、めっき工程内でめっき浴に侵入するまでの鋼板
最高温度を400℃以下とし、めっき浴中への浸漬時間
を20秒以下として溶融めっきを行うことを特徴とする
外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき
方法。 (2)Cr:2〜30%,Si:0.5〜6%,Al:
0.3〜10%の1種または2種以上を含有する鋼板
を、めっき工程内でめっき浴に侵入するまでの鋼板最高
温度を150℃未満とし、めっき浴中への浸漬時間を2
0秒以下として溶融めっきを行うことを特徴とする外観
性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき方
法。
【0010】(3)めっき浴上の雰囲気が実質的に大気
であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記
載の外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融め
っき方法。 (4)被めっき材として、冷延、再結晶焼鈍を終了した
鋼板を使用することを特徴とする、前記(1)〜(3)
に記載の外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶
融めっき方法。 (5)溶融めっき浴に浸漬する前に、鋼板に塩素系フラ
ックスを塗布することを特徴とする、前記(1)〜
(4)に記載の外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の
連続溶融めっき方法。
【0011】(6)溶融めっき浴上に、弗素−塩素系溶
融塩フラックスを浮かべることを特徴とする、前記
(1)〜(4)に記載の外観性と密着性に優れた難めっ
き鋼板の連続溶融めっき方法。 (7)溶融めっき前、または、フラックスを塗布する前
に、Cr,Fe,Co,Niを主体とするプレめっきを
施すことを特徴とする、前記(1)〜(6)に記載の外
観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき方
法。 (8)めっき浴組成が、Zn系、Zn−Al系、Zn−
Al−Si系、Al−Si系、Sn−Zn系の中の1種
であることを特徴とする前記(1)〜(7)に記載の外
観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき方
法。
【0012】(9)めっき組成が、Al:0.1〜90
%を含有し残部がZnおよび不可避的不純物、Al:
0.1〜90%とSi:0.3〜13%を含有し残部が
Znおよび不可避的不純物、Si:2〜15%を含有し
残部がAlおよび不可避的不純物、Zn:0.5〜40
%を含有し残部がSn不可避的不純物、の中の1種であ
ることを特徴とする前記(1)〜(7)に記載の外観性
と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき方法に
ある。
【0013】次に本発明を詳細に説明する。まず鋼成分
の限定理由を説明する。前述したように、Cr,Si,
Al等の元素を含有する鋼は溶融めっきが困難であると
されている。その理由も前述したが、一般にCrが2%
以上、あるいはSi0.5%以上、またはAl0.3%
以上を含有する鋼は溶融めっき性に劣る傾向がある。そ
こで本発明においては、鋼中にこれらの成分を単独また
は複合で含有するものとする。特に、Si:0.5%以
上に加え、Crを1%以上含有する場合には、SiとC
rの相乗作用により、一層めっき性が劣化する。またこ
れらの元素はいずれも鋼板を硬化させる元素であり、必
要以上の添加は加工性を阻害する。この意味から、各元
素の上限をSi:6%,Cr:30%,Al:10%に
限定する。
【0014】鋼板の加熱温度の上限は400℃とする。
これを越える温度では、鋼中のCr,Si,Alが酸化
されて安定な酸化皮膜を厚く生成するためである。特
に、Siが0.5%以上、ないしCrが2%以上含有す
る場合には加熱温度の上限を厳しく限定する必要があ
り、このときは鋼板の加熱温度を150℃未満とする必
要がある。こうして表面に安定な酸化皮膜が生成した鋼
板は、めっき浴中での反応が阻害されて不めっき等のめ
っき欠陥を惹起することになる。下限は特に規定する必
要はないが、通常常温である20℃程度である。
【0015】一般にフラックスめっき法では、常温に近
い温度で鋼板が浴に浸漬するため、鋼板の加熱も兼ねた
長大なめっき釜とする必要があるが、これを避けるた
め、予め簡単な加熱装置で鋼板を加熱すると、めっき釜
をより小さなものとすることが出来る。まためっき浴へ
の浸漬部位の雰囲気は大気雰囲気とすることが望まし
い。本発明においては、格別の加熱装置や雰囲気を使用
しないために、簡便な装置とすることが可能である。
【0016】一般に大気雰囲気下で溶融めっきを行うと
きには、鋼板表面を活性化させるためにフラックスを使
用することが多い。フラックスには一般に、水溶液とし
て鋼板に塗布して使用する水溶液型のフラックスと、浴
の上に溶かして浮かべる溶融塩型のフラックスとがあ
る。亜鉛,スズ系のめっきは水溶液型が、またAlを多
量に含有するようなめっき種では溶融塩型のフラックス
を使用することが多い。
【0017】フラックスとしては、塩化亜鉛,塩化アン
モニウム,塩化スズ,塩化ナトリウム,塩化リチウム等
の塩化物,弗化アルミ,氷晶石,弗化カリウム等の弗化
物が使用され、弗化物は水溶液への溶解度が低いことか
ら水溶液型フラックスには塩化物が、また塩化物は高温
での安定性にやや劣ることから溶融塩型フラックスには
弗化物と塩化物の混合物が使用されている。本発明にお
いては、めっき種として、亜鉛系,スズ系,アルミ系,
亜鉛−アルミ系を想定していることから、水溶液型フラ
ックス、溶融塩型フラックスのいずれも使用可能であ
る。フラックス組成は浴の組成等により適宜調整するも
ので、本発明においては、特に限定するものではない。
【0018】鋼板表面のめっき浴に対する活性度を向上
させる手段としては、他にプレめっき法がある。これは
溶融めっきに先立って、薄くめっきを施しておく方法で
ある。めっき方法としては、電気めっき,化学めっき,
気相めっき等が用いられるが、鋼板上の工業的なめっき
法としては通常は電気めっき法によるものが多い。めっ
き種としては、電気めっき法で工業的に製造可能なめっ
き種として、Cr,Ni,Co,Fe等がある。本発明
においては、このプレめっき法を使用することもでき
る。この場合、プレめっきにより鋼板表面の酸化が抑制
され、フラックスの使用量を減らすこと、あるいは条件
によりフラックスを使用せずにめっきが可能となるとい
う利点がある。
【0019】めっき浴の限定理由について述べる。本発
明は原則的にめっき種を問わず、難めっき材に対する溶
融めっき法を開示するものであるが、溶融めっきは融点
の低い金属にめっき種が限られる。工業的に利用されて
いるめっき種としては、Zn系,Al系,Zn−Al
系,Sn系,Pb系である。冒頭述べたように、連続式
の溶融めっき法ではめっきに加工性が要求される。この
加工性は主として溶融金属と地鉄の反応物である。合金
層に支配される。この層は金属間化合物からなる層であ
るため脆性で、厚すぎると内部で破壊されて剥離の起点
となり、また全く生成しないと、やはり加工時に容易に
めっき剥離する。従って薄く均一な合金層生成と他の特
性を満足するめっき組成が必要となる。
【0020】本発明においては、めっき層をAl:0.
1〜90%を含有するZn,Al:0.1〜90%とS
i:0.3〜13%を含有するZn,Si:2〜15%
を含有するAl,Zn:0.5〜40%を含有するSn
(それぞれ不可避的不純物を含みうる)の中の1つとす
るのが望ましい。なお不可避的不純物とは、主としてF
eを意味し、鋼板あるいは浴中機器より溶出してくるも
のである。
【0021】純Znめっきでは、Zn−Fe合金層が厚
く成長するため、加工性に劣る。Znめっき中に0.1
%以上のAlを添加することで、合金層の成長が抑制さ
れ、加工性が向上する。一方、Alの濃度が増大する
と、めっき浴の融点が上昇する。これはやはり合金層の
成長に繋がり、90%超のAlを含有する浴ではやはり
合金層が成長しすぎる。このとき合金層の成長を抑制す
るのがSiであり、0.3%以上の添加で効果を発揮す
る。一方、Siを13%超加えると、Siによる耐食性
劣化につながり、好ましくない。
【0022】AlめっきにおいてもSiは合金層抑制の
効果を有し、この効果は2%以上で顕著である。また、
15%超の添加はやはり耐食性の点から好ましくない。
また、Sn系めっきにおいては、純Snめっきではその
電位がFeよりも貴であり、端面、疵部の耐食性という
点から望ましくなく、0.5%以上のZnを含有するも
のとする。一方、Znを過剰に添加すると耐食性が劣化
し、40%をその上限とする。
【0023】溶融めっきの工程としては、上記した工程
以外に脱脂、酸洗、めっき後の付着量調整のためにワイ
ピング、めっき外観の調整処理であるゼロスパングル処
理、ZnめっきをZn−Fe合金めっきにする合金化処
理、一次防錆のためのクロメート処理、塗装前処理のリ
ン酸塩処理、塗装、めっき、材質の改質処理である焼鈍
処理、調質圧延等がありうるが、本発明においてはこれ
らの工程条件に特に限定されるものではない。また溶融
塩系のフラックスを使用する際には、鋼板表面にフラッ
クスが付着するため、これを洗浄することが望ましい。
その方法は、硝酸浸漬、あるいは高圧水の吹き付け、あ
るいはその両方の併用等によるものとする。
【0024】使用するめっき原板の組成も特に限定する
ものではない。しかし特に厳しい形状に加工するような
場合には、IF鋼の適用が望ましい。鋼板の製造法は通
常の方法によるものとする。鋼成分は例えば転炉−真空
脱ガス処理により調節されて溶製され、鋼片は連続鋳造
法等で製造され、熱間圧延される。その後酸洗され、め
っきに供される、あるいは冷間圧延された後、あるいは
更に再結晶焼鈍された後に溶融めっきされる。
【0025】次に実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【実施例】(実施例1)表1に示す成分の鋼を通常の転
炉−真空脱ガス処理により溶製し、鋼片とした後、通常
の条件で熱間圧延、酸洗し、板厚4mmの酸洗板を得
た。また、一部の試料は更に冷間圧延を行い、板厚0.
8mmの冷延鋼板とした。更に一部の試料は連続焼鈍炉
で焼鈍し、板厚0.8mmの焼鈍板とした。更に、一部
の鋼板は定法に従い二次再結晶焼鈍を行ったのち、表面
の皮膜を酸で溶解除去した。これらをめっき原板とし
て、溶融めっきを行った。この際の溶融めっきは下に示
す工程の一部または全部で行った。各工程とその条件を
下に列記する。めっき工程内の最高到達板温は、水溶性
フラックスの場合100℃、溶融塩フラックスの場合5
0℃であった。更に、溶融塩系のフラックスを使用した
ものは、20%硝酸浸漬、高圧水吹き付けにより、フラ
ックスを除去した。
【0026】
【表1】
【0027】工程条件 ・脱脂:50g/ 苛性ソーダ 80℃ ・酸洗:100g/ 硫酸 50℃ ・プレめっき Niプレめっき NiSO4 ・6H2 O,300g/ Na2 SO4
100g/60℃ Feプレめっき FeSO4 ・7H2 O,200g/ Na2 SO4
100g/60℃
【0028】・フラックス 水溶性フラックス ZnCl2 ,300g/ NH4 Cl,100g/常
温 溶融塩フラックス 20%AlF3 +15%Na3 AlF6 +30%NaC
l+35%KCl ・乾燥(水溶性フラックスでのみ実施) 100℃ ・溶融めっき こうして製造した各種溶融めっき鋼板の性能を評価し
た。評価項目は外観とめっき密着性であり、評価方法を
下に示す。
【0029】
【表2】
【0030】(1)外観 不めっきの発生状況を目視で評価した。不めっきはピン
ホール状のものを点状不めっき、より面積の大きな不め
っきを箔状不めっきとして評価した。 (評価基準) ◎ :不めっき発生無し 〇 :点状不めっき2個/dm2 以下 △ :点状不めっき10個/dm2 以下 × :箔状不めっき発生 ××:全面不めっき
【0031】(2)めっき密着性 ボールインパクト試験により評価した。この試験は鋼板
に20mm径の鋼球をハンマーで打ち込み、凸面のめっ
き剥離状況を目視評価するものである。 (評価基準) ◎ :めっきに異常無し 〇 :めっきにひび割れ発生 △ :点状めっき剥離有り × :箔状めっき剥離有り ××:全面めっき剥離
【0032】表3および表4に、製造条件とそのときの
不めっき、めっき密着性を示す。表3および表4に示す
ように、Si,Cr,Alを含有する鋼板であっても、
外観、密着性ともに良好なめっきが可能である。但し、
SUS系材料にZnめっきを施した場合に、僅かながら
不めっきが生じた。この場合にはNi等のプレめっきを
することが好ましい。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】(実施例2)表1のB,Hの鋼種(焼鈍
材)及びDの鋼種(二次再結晶材)を原板として、脱
脂、酸洗後、大気雰囲気のもと、各温度で10秒間加熱
した。その後実施例1の水溶液型フラックスを塗布し、
Zn−0.2%Al浴へ10秒浸漬した。温度とめっき
外観の関係を表5に示す。いずれの条件でも良好なめっ
きが可能であった。
【0036】
【表5】
【0037】(比較例1)表1B,Hの鋼種(冷延材)
及びDの鋼種(二次再結晶材)を原板として、ゼンジマ
ー法(無酸化炉−還元炉−冷却炉−浴浸漬)で、Znめ
っき、Zn−Alめっき、Alめっき、Sn−Znめっ
きを行った。このときの鋼板の最高温度は810℃、浴
への浸漬部の雰囲気はN2 +20%H2 、浴への浸漬時
間は3秒である。その結果、全ての鋼種で実施例で述べ
た△〜××に相当する不めっきが生じた。まためっき密
着性も不良であった。
【0038】(比較例2)表1B,Hの鋼種(焼鈍材)
及びDの鋼種(二次再結晶材)を原板として、脱脂、酸
洗後、大気雰囲気下で450℃×10秒加熱した。その
後実施例1の水溶液型フラックスを塗布し、Zn−0.
2%Al浴へ10秒浸漬したが、いずれの材料も実施例
での×相当の不めっきが生じ、密着性も×相当であっ
た。
【0039】(比較例3)表1B,Hの鋼種(焼鈍材)
及びDの鋼種(二次再結晶材)を原板として、脱脂、酸
洗後、実施例1の溶融塩フラックスを浮かべたAl−1
0%Si浴へ浸漬した。このときの鋼板の最高温度は6
0℃である。浴への浸漬時間を30秒とし、引き上げた
後、20%硝酸と高圧水により表面を洗浄した。いずれ
の材料もめっき外観は実施例での◎相当であったが、め
っき密着性は×〜××相当であった。断面組織を観察す
ると、合金層が約10μmに成長していた。
【0040】
【発明の効果】本発明は、従来の方法では困難であっ
た、Si,Cr,Alを含有するめっき方法を提供する
ものであり、かつその設備は比較的簡便で、建設費等の
初期コストもかからないものである。これにより、より
優れためっき鋼板を安価に提供することが可能となり、
産業上の寄与は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 誠司 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:0.5〜6%,Cr:1%未満を
    含有する鋼板を、めっき工程内でめっき浴に侵入するま
    での鋼板最高温度を400℃以下とし、めっき浴中への
    浸漬時間を20秒以下として溶融めっきを行うことを特
    徴とする外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶
    融めっき方法。
  2. 【請求項2】 Cr:2〜30%,Si:0.5〜6
    %,Al:0.3〜10%の1種または2種以上を含有
    する鋼板を、めっき工程内でめっき浴に侵入するまでの
    鋼板最高温度を150℃未満とし、めっき浴中への浸漬
    時間を20秒以下として溶融めっきを行うことを特徴と
    する外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融め
    っき方法。
  3. 【請求項3】 めっき浴上の雰囲気が実質的に大気であ
    ることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の
    外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき
    方法。
  4. 【請求項4】 被めっき材として、冷延、再結晶焼鈍を
    終了した鋼板を使用することを特徴とする、請求項1〜
    請求項3に記載の外観性と密着性に優れた難めっき鋼板
    の連続溶融めっき方法。
  5. 【請求項5】 溶融めっき浴に浸漬する前に、鋼板に塩
    素系フラックスを塗布することを特徴とする、請求項1
    〜請求項4に記載の外観性と密着性に優れた難めっき鋼
    板の連続溶融めっき方法。
  6. 【請求項6】 溶融めっき浴上に、弗素−塩素系溶融塩
    フラックスを浮かべることを特徴とする、請求項1〜請
    求項4に記載の外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の
    連続溶融めっき方法。
  7. 【請求項7】 溶融めっき前、または、フラックスを塗
    布する前に、Cr,Fe,Co,Niを主体とするプレ
    めっきを施すことを特徴とする、請求項1〜請求項6に
    記載の外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶融
    めっき方法。
  8. 【請求項8】 めっき浴組成が、Zn系、Zn−Al
    系、Zn−Al−Si系、Al−Si系、Sn−Zn系
    の中の1種であることを特徴とする請求項1〜請求項7
    に記載の外観性と密着性に優れた難めっき鋼板の連続溶
    融めっき方法。
  9. 【請求項9】 めっき組成が、Al:0.1〜90%を
    含有し残部がZnおよび不可避的不純物、Al:0.1
    〜90%とSi:0.3〜13%を含有し残部がZnお
    よび不可避的不純物、Si:2〜15%を含有し残部が
    Alおよび不可避的不純物、Zn:0.5〜40%を含
    有し残部がSn不可避的不純物、の中の1種であること
    を特徴とする請求項1〜請求項7に記載の外観性と密着
    性に優れた難めっき鋼板の連続溶融めっき方法。
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