JPH0853073A - 自動車のフロア構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 周側壁の張り剛性を高めることが出来なが
ら、衝撃荷重の入力時には、該周側壁を効率よく座屈変
形させて、車室内における乗員の足元空間を確保出来る
ようにする。 【構成】 フロアパネル１に形成するフロアトンネル２
の前部に、前方に向かって末広がり状の周側壁３により
画成された拡張スペース４を設けている自動車におい
て、前記拡張スペース４の周側壁３に、前方からの衝撃
荷重の入力により座屈可能とした周方向に延びる複数の
ビード５を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主としてキャブオーバ
ー型の自動車のフロア構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばキャブオーバー型の自動車におい
ては、例えば実開昭５７ー７４８８３号公報に示されて
いるように、フロアパネルに形成するフロアトンネルの
前部に、前方に向かって末広がり状の周側壁により画成
された拡張スペースを設けて、該拡張スペース内にラジ
エータ等を格納するようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで以上のフロア
構造からなる自動車においては、例えば車体前部に衝撃
荷重が入力した場合、前記フロアパネルにおけるフロア
トンネル形成部位が座屈して、末広がり状の前記周側壁
が後方に移動し、車室内における乗員の足元空間を充分
確保出来なくなる不具合がある。

【０００４】本発明は以上の実情に鑑みて開発したもの
であって、目的とするところは、該周側壁の張り剛性を
高めることが出来ながら、衝撃荷重の入力時には、該周
側壁を効率よく座屈させて、フロアパネルにおけるフロ
アトンネル形成部位の座屈変形を抑制し、車室内におけ
る乗員の足元空間を充分確保出来る自動車のフロント構
造を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は以上の目的を達
成するために、フロアパネル１に形成するフロアトンネ
ル２の前部に、前方に向かって末広がり状の周側壁３に
より画成された拡張スペース４を設けている自動車にお
いて、前記拡張スペース４の周側壁３に、周方向に延び
る複数のビード５を形成し、前方からの衝撃荷重の入力
により座屈可能としたのである。

【０００６】

【作用】本発明によれば、前記ビードの形成により、前
記周側壁の張り剛性が確保される一方、車体前部への衝
撃荷重の入力に伴い、前記周側壁に形成した前記ビード
が座屈して、衝撃エネルギを吸収するので、前記フロア
パネルにおけるフロアトンネル形成部位の座屈変形が抑
制されるのである。

【０００７】

【実施例】図７は、本発明を適用するキャブオーバー形
の自動車を概略的に示したものであって、車室Ｓ内のフ
ロントフロアを形成するフロントフロアパネル１の幅方
向中央部には、フロア面に対して起立する左右一対の側
壁２１・２２と、これら左右側壁２１・２２の上端を結
ぶ上壁２３とにより画成された前後方向に延びるフロア
トンネル２を設けて、該フロアトンネル２内にハーネス
（図示せず）等を配索するようにしている。

【０００８】またこのフロアトンネル２の前端には、前
方に向かって末広がり状の周側壁３により画成された拡
張スペース４を設けて、この拡張スペース４内に、ラジ
エータ（図示せず）を格納するようにしているのであっ
て、前記周側壁３は、前記左右側壁２１・２２の前端か
ら前方に向かって車幅方向外方に傾斜状に延びる左右一
対の対向壁部３１・３２と、前記上壁２３の前端から前
方に向かって上方に傾斜状に延びて、前記対向壁部３１
・３２の上端を連結する連結壁部３３とから構成してい
る。

【０００９】以上の構成において、本発明は、前記拡張
スペース４を画成している前記周側壁３に、周方向に延
びて、前方からの衝撃荷重の入力により座屈可能とした
複数のビード５を形成したのである。

【００１０】即ち、図に示す実施例では、図２に示すよ
うに、車体後方に向かって車幅方向内方に傾斜する第１
ビード壁５１と、該第１ビード壁５１の後端から屈曲し
て車幅方向に延びる第２ビード壁５２とから成る横断面
略三角形のビード５を前記両対向壁部３１・３２と連結
壁部３３とにわたって複数条連続させて形成している。

【００１１】また図に示す実施例では、前記フロアトン
ネル２を画成している前記側壁２１・２２及び上壁２３
にも車室方向に膨出する横断面長方形のビード２４を複
数条周方向に形成すると共に、図３に示すように、前記
フロアトンネル２内における前記各側壁２１・２２と前
記上壁２３とのコーナー部位に、前後方向に延びるリイ
ンホースメント６を架設している。

【００１２】このリインホースメント６は、図４に示す
ように細幅の金属板から成り、該金属板の幅方向両端部
を屈曲して、前記側壁２１または２２にスポット溶接す
る固定片６１と前記上壁２３にスポット溶接する固定片
６２とを設けると共に、該リインホースメント６の長さ
方向中間部には、配管用孔６３と、配索部材をボルト止
めするのに用いるナット６４とを設けているのであっ
て、このリインホースメント６の前記各固定片６１・６
２を前記側壁２１・２２及び上壁２３に固着すること
で、フロアトンネル２内の上部コーナー部位にボックス
断面とした配索空間７を区画形成して、該配索空間７内
にハーネスや配管類を配索すると共に、前記ハーネスや
配管類を前記リインホースメント６に支持するようにし
ている。

【００１３】従って前記フロアトンネル２内に、前記ハ
ーネス等を支持するためのブラケットを別途設ける必要
がない。

【００１４】以上の構成からなるフロア構造において
は、前記周側壁３の壁面の張り剛性が前記ビード５の形
成により高まるので、フロアの強度がアップするだけで
なく、振動の低減も図れるのである。

【００１５】一方、車体前部に衝撃荷重が入力した場合
には、図５に概略的に示すように各ビード５が前記衝撃
荷重によりＶ字状に座屈して、前記周側壁３の前部側が
後端部側に向かって蛇腹を閉じるように変形しながら、
衝撃エネルギを効率良く吸収するので、前記フロアパネ
ル１におけるフロアトンネル２の形成部位の座屈が抑制
され、従って車室Ｓ内におけるフロア上の足元空間が損
なわれることがないのである。

【００１６】しかも実施例では、前記フロアトンネル２
に前後方向に延びるリインホースメント６を設けている
ので、たとえ前記周側壁３で衝撃エネルギを吸収しきれ
ずに、前記フロアパネル１における前記フロアトンネル
１の形成部位に衝撃荷重が作用した場合でも、フロアパ
ネル１におけるフロアトンネル１の形成部位の座屈を抑
制出来るのである。

【００１７】以上の実施例では、前記フロアトンネル２
内の上部コーナー部位に前後方向に延びるリインホース
メント６を配設したが、図６に示すように、フロアトン
ネル２内における前記各側壁２１・２２の下部に、断面
コ字状としたリインホースメント６０を配設しても良
い。

【００１８】

【発明の効果】以上のごとく本発明は、フロアパネル１
に形成するフロアトンネル２の前部に、前方に向かって
末広がり状の周側壁３により画成された拡張スペース４
を設けている自動車において、前記拡張スペース４の周
側壁３に、周方向に延びる複数のビード５を形成し、前
方からの衝撃荷重の入力により座屈可能としたことによ
り、該周側壁の壁面の張り剛性を高めることが出来て、
フロアの強度アップのみならず振動の低減も図れるなが
ら、しかも車体前部に衝撃荷重が作用した場合には、各
ビード５が前記衝撃荷重により座屈して、前記周側壁３
の前部側が後端部側に向かって蛇腹を閉じるように変形
しながら、衝撃エネルギを効率良く吸収するので、前記
フロアパネル１におけるフロアトンネル２の形成部位の
座屈が抑制され、従って車室Ｓ内におけるフロア上の足
元空間が損なわれることがないのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかるフロア構造の一実施例を示す斜
視図。

【図２】本発明にかかるフロア構造の一実施例を示す一
部切欠平面図。

【図３】フロアパネルにおけるフロアトンネル形成部位
の斜視図。

【図４】リインホースメントの概略斜視図。

【図５】周側壁が座屈した状態を示すフロアパネルの要
部の一部切欠平面図。

【図６】フロアパネルにおけるフロアトンネル形成部位
の別実施例を示す斜視図。

【図７】本発明にかかるフロア構造を適用した自動車の
概略側面図。

【符号の説明】

１ フロアパネル ２ フロアトンネル ３ 周側壁 ４ 拡張スペース ５ ビード

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロアパネル（１）に形成するフロアト
   ンネル（２）の前部に、前方に向かって末広がり状の周
   側壁（３）により画成された拡張スペース（４）を設け
   ている自動車において、前記拡張スペース（４）の周側
   壁（３）に、周方向に延びる複数のビード（５）を形成
   し、前方からの衝撃荷重の入力により座屈可能としてい
   ることを特徴とする自動車のフロア構造。