JPH0852477A - 製紙排水の処理方法 - Google Patents

製紙排水の処理方法

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JPH0852477A
JPH0852477A JP18917094A JP18917094A JPH0852477A JP H0852477 A JPH0852477 A JP H0852477A JP 18917094 A JP18917094 A JP 18917094A JP 18917094 A JP18917094 A JP 18917094A JP H0852477 A JPH0852477 A JP H0852477A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い濃度範囲の排水に適用が可能で、かつ、
凝集後の凝集物を含むスラリーの脱水性が良い排水処理
方法を目的とする。 【構成】 製紙排水に無機凝集剤および高分子凝集剤を
添加し急速撹拌する第一工程、緩速撹拌する第二工程を
この順に含むことによって、排水中の固形分を濃縮して
分離することを特徴とする製紙排水の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パルプ製造または抄紙
工程から排出される排水の処理方法に関し、中でも凝集
剤による固形分の分離に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水を多量に使用する紙パルプ業界では、
排水処理に多大なコストと労力が掛けられており、環境
保護問題が益々重視されつつある今日、その負担はさら
に増大している。とりわけ、古紙利用の促進が推奨さ
れ、古紙処理設備からの排水が増加することにより、排
水処理の負荷は一層増加している。パルプ製造または抄
紙工程から排出される繊維分や填料等の固形分を分離ま
たは除去する方法としては、凝集法、吸着法、活性汚泥
法などの方法があり、これらを単独または適宜組み合わ
せて処理されている。最も代表的なものは凝集法で、凝
集剤により固形分を凝集させ、凝集物を浮上または沈降
させて水から分離する方法である。活性汚泥法による場
合も、その前または後に凝集法を使用することが一般的
である。凝集剤を用いて分離された固形分の高いスラリ
ーは、更に脱水工程で固形分濃度を高めて、焼却または
廃棄されるか、もしくは、他の用途への利用に供され
る。
【0003】従来の代表的な凝集法の特許として、特開
昭58−70883号、特開平1−151990号、特
開平4−341387号などが挙げられる。これらはC
OD成分の除去または凝集剤の回収などを主目的とした
ものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】所で、前述したよう
に、古紙処理の増加に伴って、微細繊維、顔料、填料な
どの固形分成分が多くなった結果、排水の凝集性が悪く
なり、また、凝集後の脱水性が悪化し、従来の単純な凝
集方法では処理しきれなくなっている。従って、脱水性
の良い、大きなフロックを効率良く生成する方法が必要
であるが、フロックの形成という観点に立った技術とし
て、特公昭58−32629号、特公昭62−53
235号、特開平3−38204号の3つが挙げられ
る。
【0005】しかし、前記は有機物固形分を主体と
する排水には有効であるが、填料、顔料を多く含む場合
には有効ではない。また、は填料、顔料を含むものに
も有効である反面、低濃度排水に対するものであるの
で、種々の濃度の排水が混在する近年の製紙工場の排水
には適さず、また、高価な高分子系の凝集剤を多量に使
用するという欠点を有する。本発明は、種々の濃度の排
水が混在しても良く、また、微細繊維などの有機分及び
填料・顔料などの無機分が混在しても、効率良くかつ安
価に大きなフロックを形成することができ、しかも、凝
集後のスラリーの脱水性が良い凝集方法を提案すること
を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、製紙排水に無機凝集剤および高分子凝集
剤を添加し急速撹拌する第一工程、緩速撹拌する第二工
程をこの順に含むことによって、排水中の固形分を濃縮
して分離することを特徴とする製紙排水の処理方法を採
用する。
【0007】本発明で製紙排水とは、パルプ製造および
抄紙を行う製紙工場の排水を指し、パルプ製造の工程と
しては、蒸解、漂白、洗浄、選別の各工程を含む。ま
た、古紙を離解したり脱墨したりして、古紙パルプを製
造する工程も含む。抄紙工程には、抄紙機上で行われる
塗工工程も含む。本発明の方法は、上記の排水を直接処
理することにも使用され、また、上記排水を活性汚泥処
理する前または後の凝集工程としても使用される。
【0008】本発明に使用する無機凝集剤としては、硫
酸、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化
第一鉄、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウムなどが使用
される。無機凝集剤は、対排水重量で0.01〜1重量
%の添加が望ましい。本発明に使用する高分子凝集剤
は、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ポ
リアクリル酸ソーダ、変性ポリアクリル酸ソーダ、など
のアニオン性高分子凝集剤、ポリアミノアルキルメタク
リレート、ポリエチレンイミンなどのカチオン性高分子
凝集剤が使用できる。無機凝集剤と高分子凝集剤を併用
することにより、凝集物の固形分濃度を向上することが
でき、また、凝集物と水の分離が容易となる。高分子凝
集剤として、アニオン性ポリアクリルアミドを添加し、
続いて、カチオン性ポリアクリルアミド(または両性ポ
リアクリルアミド)を添加すると、これらの効果が一層
高まる。高分子凝集剤の添加量としては、対排水重量で
0.05〜1重量部が好ましい。
【0009】本発明の第一の工程では、無機凝集剤およ
び高分子凝集剤によりPH調整を行い、また、急速撹拌
により凝集剤と固形分とを十分に混合し、フロックを形
成させる工程である。無機凝集剤を先に添加し、PHを
調整した所で高分子凝集剤を添加して急速撹拌すること
が好ましい。この際に、高分子凝集剤を添加するまでは
撹拌速度は任意で良い。第二の工程は、第一の工程で生
成したフロックを成長させることを目的としている。こ
の工程では、主として高分子凝集剤によるフロックの巨
大化および高濃度化を行う。従って、第一の工程で生成
したフロックを破壊しないように緩速撹拌する必要があ
るのである。
【0010】本発明の急速撹拌及び緩速撹拌は、略円筒
形の槽内の排水を回転羽により撹拌することにより行わ
れ、急速撹拌とは、回転羽の回転速度が100〜500
回転/分であり、緩速撹拌とは、15〜30回転/分で
ある。500回転/分以上にしても効果の向上は無く、
電力を浪費するばかりか、空気の巻き込みという問題を
発生する。100回転/分未満では、凝集反応が十分に
進まず、処理水(凝集物を除去した排水)の固形分濃度
が高くなってしまう。緩速撹拌の速度が30回転/分よ
り速いと、フロックが破壊される可能性があり、処理水
の固形分濃度がやや高くなる傾向がある。この範囲より
遅いと、フロックの巨大化またはフロック内部の高濃度
化が十分に行われず、凝集物を含むスラリーの脱水性
(濾水性)がやや悪くなる傾向がある。撹拌装置として
は、回転羽および凝集物を取り出す手段を有していれば
どのようなものであっても良いが、例えば、特開平5−
192699号に記載されているような装置が好まし
い。
【0011】本発明が適用される排水の固形分濃度は
0.1〜10重量%である。従って、様々な発生源の排
水に対して有効であり、前工程でトラブルなどがあって
も、凝集性能が衰えず、安定した操業が図れる。本発明
の方法で凝集分離した結果、固形分を含む方のスラリー
の固形分濃度は3〜25重量%であり、処理前の濃度と
比較して2.5〜30倍に濃縮されている。製紙排水中
に紙の填料または塗料に由来する無機粒子が存在する場
合、粒子表面はアニオン性でありかつ液はアルカリ性で
あることが多い。このような場合、本発明による凝集を
効果的に行うためには、高分子凝集剤を添加する前のP
Hが6.5以下、好ましくは6.0以下であることが望
ましい。PHの調整は、無機凝集剤で行えることが多い
が、これで不足の時は、硫酸や塩酸などの一般的な酸を
使用して差し支えない。
【0012】第二の工程における緩速撹拌によるフロッ
クの巨大化に際して、気泡が多量に存在していると、フ
ロックが浮上して凝集反応が十分に進行しないことがあ
るので、高分子凝集剤を添加する前に、気泡を除去する
工程を設けることが好ましい場合もある。気泡を除去す
る方法としては、本発明の急速撹拌と同様に速い速度で
撹拌を行う方法が簡便である。気泡を除去する工程は、
高分子凝集剤の添加前であればいつでも良く、無機凝集
剤を添加する前または後のいずれでも良い。
【0013】
【実施例】
<実施例1>古紙の脱墨工程から排出された固形分濃度
3.5重量%の排水をジヤーテスターにとり、無機凝集
剤として硫酸バン土(本州製紙製:アルミナ濃度8重量
%)を対スラリーで0.2重量%添加しゆるやかに撹拌
した。この時のPHは6.0となった。続いて、高分子
凝集剤としてアニオン性ポリアクリルアミド(三井サイ
アナミッド社アコフロックA235H)を対スラリーで
0.14重量%添加し、300回転/分で1分間の急速
撹拌を行い、カチオン性ポリアクリルアミド(三井サイ
アナミッド社アコフロックC492H)を対スラリーで
0.25重量%添加し、300回転/分で1分間急速撹
拌した。続いて、20回転/分で10分間の緩速撹拌を
行い、その後、1分間静置し、上澄み液(処理水)と沈
殿物を分離した。沈殿物(凝集物を含むスラリー)は下
記の方法で脱水性(濾水性)を評価した。また、処理水
については固形分濃度を測定した。これらの測定値は各
種条件と共に表1に記載した。
【0014】<濾水性の測定>市販のブフナー式漏斗に
ステンレス製の濾網(40メッシュ)をしき、薬品添加
後、フロック生成物を含んだ凝集スラリー500CCを
漏斗に入れ、30秒間濾過を行い、濾過された水の量を
測定し、これを濾水性を示す指標とする。値が大きいほ
ど濾水性が良く、即ち、脱水性が良好であることを示
す。
【0015】<実施例2>高分子凝集剤を添加する前に
300回転/分で1分間撹拌し、気泡を除去した外は全
て実施例1と同様に行ったものを実施例2とする。
【0016】<実施例3>古紙の脱墨工程から排出され
た固形分濃度4.8重量%の排水をジヤーテスターにと
り、無機凝集剤として硫酸を対スラリーで0.1重量%
添加しゆるやかに撹拌した。この時のPHは6.0とな
った。続いて、高分子凝集剤としてアニオン性ポリアク
リルアミド(三井サイアナミッド社アコフロックA23
5H)を対スラリーで0.18重量%添加し、300回
転/分で1分間の急速撹拌を行い、カチオン性ポリアク
リルアミド(三井サイアナミッド社アコフロックC49
2H)を対スラリーで0.22重量%添加し、300回
転/分で1分間急速撹拌した。
【0017】<実施例4>急速撹拌の速度を150回転
/分とした外は実施例1と同様に行ったものを実施例4
とする。
【0018】<実施例5>緩速撹拌の速度を10回転/
分とした外は実施例1と同様に行ったものを実施例5と
する。
【0019】<実施例6>緩速撹拌の速度を45回転/
分とした外は実施例1と同様に行ったものを実施例6と
する。
【0020】<実施例7>緩速撹拌の速度を5分間とし
た外は実施例1と同様に行ったものを実施例4とする。
【0021】<比較例>実施例1において無機凝集剤を
添加しない外は実施例1と同様にして行ったものを比較
例とする。なお、この場合、高分子凝集剤を添加する前
のPHは6.7であった。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明により、広い濃度範囲の排水の処
理が可能になり、本発明で処理された処理水には固形分
が非常に少なく、即ち、分離の効率が良い。また、本発
明により発生した凝集固形分を含むスラリーは脱水性が
良く、その後の燃焼処理等のための濃縮・脱水作業が容
易であるという効果がある。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】製紙排水に無機凝集剤および高分子凝集剤
    を添加し急速撹拌する第一工程、緩速撹拌する第二工程
    をこの順に含むことによって、排水中の固形分を濃縮し
    て分離することを特徴とする製紙排水の処理方法
  2. 【請求項2】排水中の固形分濃度が0.1〜10重量
    %、濃縮して分離された部分の固形分濃度が3〜25重
    量%であることを特徴とする請求項1に記載の排水処理
    方法
  3. 【請求項3】急速撹拌および緩速撹拌が、略円筒型の槽
    内の排水を回転羽により撹拌することにより行われ、急
    速撹拌の回転速度が100〜500回転/分、緩速撹拌
    の回転速度が15〜30回転/分であることを特徴とす
    る、請求項1または請求項2に記載の排水処理方法
  4. 【請求項4】急速撹拌の時間が0.5〜3分であり、緩
    速撹拌の時間が5分以上であることを特徴とする、請求
    項1〜請求項3のいずれかに記載の排水処理方法
  5. 【請求項5】高分子凝集剤を添加する前の排水のPHが
    6.5以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項
    4のいずれかに記載の排水処理方法
  6. 【請求項6】高分子凝集剤の添加前に気泡を除去する工
    程を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいず
    れかに記載の排水処理方法
  7. 【請求項7】気泡を除去する工程が急速撹拌することに
    より行われることを特徴とする請求項1〜請求項6のい
    ずれかに記載の排水処理方法
  8. 【請求項8】製紙排水が古紙処理または脱墨処理の排水
    である請求項1〜請求項7のいずれかに記載の排水処理
    方法
  9. 【請求項9】無機凝集剤が、硫酸、硫酸第一鉄、硫酸第
    二鉄、硫酸アルミニウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、ポ
    リ塩化アルミニウムから選ばれた1種以上であることを
    特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の排水
    処理方法
  10. 【請求項10】急速撹拌を2段階で行い、前段はアニオ
    ン性高分子凝集剤、後段はカチオン性もしくは両性高分
    子凝集剤を添加することを特徴とする請求項1〜請求項
    9のいずれかに記載の排水処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016112515A (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 王子ホールディングス株式会社 大腸菌群含有排水の処理方法及び大腸菌群含有排水の処理装置

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