JP4574640B2 - 塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法 - Google Patents

塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法 Download PDF

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本発明は、塗装時の余剰塗料が捕集された廃液中の塗料成分を効果的に分離する塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法に関するものである。
従来より、自動車、建築材、電化製品等の複雑な形状をした物品に対する塗装法としては、塗装ブース内で塗料を噴霧して行う吹付塗装法が多く用いられる。この吹付塗装法では、実際の塗装に寄与する塗料の量は噴霧した塗料の約30%程度であり、残りの約70%は余剰塗料となる。これらの余剰塗料は、塗装ブース内に設けられたウォーターカーテン等により捕捉され循環水中に捕集するのが一般的である。そして、この余剰塗料成分を含有する循環水は循環水ピットに集められるなどした後、所定の手法に則って循環水と塗料成分とが分離され、分離した塗料成分は回収され適切な処分方法により廃棄される。また、塗料成分が除去された循環水は余剰塗料の捕集のため再度利用される。尚、塗料成分を含有した循環水は一般的に原水と呼ばれる。
上記の余剰塗料の処理方法においては、塗装に用いる塗料が有機溶剤系の油性塗料の場合には、捕集された塗料成分は循環水には溶け込まず、粘着力のある固形物として存在している。この為、一般にスプレーミスト処理剤と呼ばれる凝集剤を循環水に適量添加するなどすれば、これら塗料成分は粘着力の無い微細な固形物となり、容易に凝集して凝集体を形成する。そして、この凝集体を回収することで循環水と塗料成分とを比較的簡単に分離することができる。しかしながら、近年ではVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)に対する排出規制が強化され、塗装用の塗料においても従来の油性塗料から非有機溶剤系の水溶性塗料へと使用する塗料の切り替えが急速に行われている。これら水溶性塗料は循環水中に溶け込み分散してしまうため、循環水と塗料成分とを分離することが油性塗料に比べて極めて難しい。
上記の問題に対して、下記[特許文献1]に開示されている発明では、水溶性塗料廃液に凝集剤として水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質を添加することで、循環水と塗料成分との分離を行っている。
特開2006−231269号公報
しかしながら、[特許文献1]に開示された発明では、水溶性塗料廃液の分離に極めて多量の凝集剤が必要であることに加え、分離後の廃水を中和する工程及び酸系薬品が必要となる。また、この処理方法は限られた種類の水性塗料に限定した工法であるとともに、分離された廃水は処分することを前提とした工法であるため、廃水の循環水としての再利用は著しく制限される。即ち、[特許文献1]に開示された発明では、凝集剤自体にかかるコストは比較的低いものの、塗料成分分離後の処理に複数の工程や薬剤を要することに加え、処理水の再利用がされない為に、常時循環水の補給に大量の水を要するなどの問題がある。
この点、上記のスプレーミスト処理剤などの凝集剤を用いれば、凝集剤自体のコストは高いものの、循環水中に凝集剤成分はほとんど残留しないため、特別な工程や薬剤を用いずとも、循環水を繰り返し再利用することができる。ただし、水溶性塗料の分離には多量の凝集剤が必要となり、凝集剤にかかるコストが著しく増加するという問題点がある。また、凝集剤の成分も凝集物となるため多量の凝集剤を添加すれば、その分だけ回収する凝集物の量が増大し、凝集物の処分コストが増加するという問題点がある。
尚、水溶性の塗料成分と循環水との分離には、分離が可能な状態になるまで粒子を大きく作ることが有効であるが、この処理についても[特許文献1]に開示された発明同様、多量の凝集剤を必要とする。
更に、凝集物を回収する方法としては、設備構成が容易なことから凝集物を浮上させて回収する手法を用いることが好ましい。凝集物を浮上させる方法としては、水中に微細な気泡を生じさせてこれを凝集物に付着させ、その気泡の浮力によって凝集物を浮上させて行うことが一般的である。しかしながら、生じる凝集物によっては付着した気泡の浮力のみでは十分に浮上しない場合があり、回収効率が悪いという問題点がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、塗料成分の分離効率が高く多量の凝集剤を用いずとも塗料成分を分離することができ、かつ十分な浮力を有する凝集物を生成することが可能な塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法を提供することを目的とする。
本発明は、塗料成分を含有する循環水に粉末状の凝集剤を投入して循環水と塗料成分とを分離する塗料廃液分離装置において、
粉末状の凝集剤を供給する凝集剤供給部52と、
当該凝集剤供給部52から供給される凝集剤と塗料成分を含有する循環水と空気とを同時に高速で撹拌する第1撹拌部54と、
第1撹拌部54の撹拌で生じた混合液を第1撹拌部54よりも遅い速度で撹拌する第2撹拌部56と、
第2撹拌部56の撹拌で生じた混合液を第2撹拌部56よりも遅い緩速で撹拌する第3撹拌部と、
を備えたことを特徴とする塗料廃液分離装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
また、凝集剤を投入して塗料成分を含有する循環水を循環水と塗料成分とに分離する塗料廃液分離方法であって、
粉末状の凝集剤と塗料成分を含有する循環水と空気とを同時に高速で撹拌する第1の撹拌工程と、
第1の撹拌工程の撹拌で生じた混合液を第1の撹拌工程よりも遅い速度で撹拌する第2の撹拌工程と、
第2の撹拌工程の撹拌で生じた混合液を第2の撹拌工程よりも遅い緩速で撹拌する第3の撹拌工程と、
を有することを特徴とする塗料廃液分離方法を提供することにより、上記課題を解決する。
また、上記の塗料廃液分離方法に用いる凝集剤が、
塗料成分を含有する循環水に添加されると塗料成分を取り込みながら膨張凝集する膨潤性を有する凝集剤であることを特徴とする塗料廃液分離方法を提供することにより、上記課題を解決する。
本発明に係る塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法は、上記の構成及び手順により、
(1)凝集剤と原水とを混合する際に高速かつ急激に撹拌することで、凝集剤の分散性が高まり塗料成分の分離効率が向上する。このため、使用する凝集剤の量を少なくすることができ凝集剤に対するコストの削減が可能なことに加え、生成する凝集物の量も減少するため凝集物の処分コストをも削減することができる。
(2)凝集剤と原水と空気とを同時に撹拌し、更に撹拌速度を段階的に遅くすることで、気泡を内在しある程度の浮力を有する比較的大きな凝集物を生成することができる。このため、生成された凝集物は容易に浮上し、凝集物の回収を効率よく行う事ができる。
本発明に係る塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る塗料廃液分離装置を備えた塗料廃液処理システムの概略構成図である。図2は、本発明に係る塗料廃液分離装置の第一の形態の概略構成図である。図3は、本発明に係る塗料廃液分離装置の第二の形態の概略構成図である。尚、ここで述べる実施の形態は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明に係る塗料廃液分離装置50を備えた塗料廃液処理システム100の概略構成図である。尚、図1に示す塗料廃液処理システム100は、本発明に係る塗料廃液分離装置50を備えた塗料廃液処理システムの好適な一例であるから、各槽の配置、凝集物の回収機構、各槽間の配管、加圧水発生部、等の構成その他は、特に下記に限定されるものではない。
まず、図示しない塗装ブースで生じた余剰塗料はウォーターカーテン等により循環水に捕集され、原水として排水溝20を通って循環水ピット22に貯水される。循環水ピット22には取水装置24が設けてあり、この取水装置24により循環水ピット22に貯水された原水は、原水供給槽32に搬送され本発明に係る塗料廃液分離装置50に供給される。このとき、原水供給槽32の過剰な原水は排水枡32aを介して循環水ピット22に放流される。尚、図1においては、取水装置24にフロートポンプを用い、循環水ピット22に貯水された原水の上層部を取水する構成としているが、取水位置は特に上層部に限定されるわけではなく、中層や底層から取水しても良い。また、循環水ピット22には貯水した原水を撹拌するためのピット撹拌装置26を設けても良い。
塗料廃液分離装置50に供給された原水は、塗料廃液分離装置50によって循環水と塗料成分が凝集した図1中の●で示す凝集物とに分離される。分離された凝集物は循環水ともども浮上槽30のエアレーション枡34に排出される。エアレーション枡34には、加圧水排出口48aが設けられており、加圧水排出口48aは後述する加圧水発生部40に圧力調整バルブ48cを介して接続されている。加圧水発生部40からの加圧水は加圧水排出口48aで排出される前に、圧力調整バルブ48cにおいて常圧に開放される。このとき加圧水中に溶け込んだ空気が微細な気泡(マイクロエア)となって出現し、このマイクロエアが加圧水排出口48aを通してエアレーション枡34内に放出される。このマイクロエアはエアレーション枡34中の凝集物に付着して凝集物に対する浮力を更に増加させる。
マイクロエアが付着するなどして浮上槽30の表層に浮上した凝集物は、浮上槽30に取り付けられた掻取装置36によって掻き取られ、カス排出口38を経由して、適宜回収コンテナ39などに排出され、所定の処分方法に則って廃棄される。尚、回収コンテナ39などに排出された凝集物は、自然放置ろ過又は図示しないフィルタ、ろ過装置などにより余分な水分が除去され、この水分は循環水として循環水ピット22に放流される。
また、浮上槽30内の塗料成分が分離された循環水は、浮上槽30の下部に設けられた分離循環水取水口30aを通して循環水槽35に貯水される。循環水槽35に貯水された循環水は取水枡35aを介して循環水ピット22に放流される。
更に、循環水槽35には加圧水発生部40の加圧ポンプ42に循環水を供給するための取水口42aが設けられている。そして、加圧ポンプ42が稼動すると、取水口42aからは循環水が取水されるとともに、取水口42aと加圧ポンプ42との間に設けられた負圧調整バルブ41によって、取水された循環水には負圧が生じる。加圧ポンプ42はこの循環水に生じた負圧によって、加圧ポンプ42に接続された吸気口44からエアを吸気する。吸気口44から吸気されたエアと、取水口42aから供給された循環水とは、加圧ポンプ42にて混合・加圧されつつ気液分離管48に送出される。この加圧ポンプ42による加圧により循環水中には所定量のエアが溶け込み、これにより気液分離管48内に加圧水が蓄積される。そして、この加圧水は前述のように加圧水排出口48aからエアレーション枡34にマイクロエアを生じせしめる。尚、循環水中に溶け込めきれない余剰なエアは、気液分離管48に設けられた調整バルブ48bから排気される。
また、循環水ピット22には循環ポンプ28に接続された循環水取水口28aが設けられ、この循環ポンプ28により循環水ピット22の循環水を塗装ブースに供給する。以上が塗料廃液処理システム100の概要である。尚、取水枡35aから取水した循環水を、循環水ピット22とは別の第2の循環水ピットに貯水するようにして、塗料成分が分離された循環水のみを塗装ブースに供給するようにしても良い。
次に、本発明に係る塗料廃液分離装置50の第一の形態を図2を用いて説明する。図2に示す本発明に係る第一の形態の塗料廃液分離装置50aは、粉末状の凝集剤を供給する凝集剤供給部52と、凝集剤供給部52から供給される凝集剤と原水と空気とを同時に取り入れ高速で急激に撹拌し、原水中の塗料成分を凝集させる第1撹拌部54と、第1撹拌部54によって分離された循環水と凝集物との混合液を第1撹拌部54よりも遅い速度で急速に撹拌することで凝集物同士を凝集させ更に大きな凝集物に成長させる第2撹拌部56と、第2撹拌部56からの循環水と凝集物との混合液を第2撹拌部56よりも遅い緩速で撹拌することで凝集物同士を付着させ更に大きな凝集物へと成長させる第3撹拌部である熟成槽58と、を有している。
凝集剤供給部52は、第1撹拌部54の取水口60に所定量の凝集剤を粉末状のまま断続的もしくは一定の供給速度で供給するものであり、供給量を制御可能なホッパなどを用いることが好ましい。
第1撹拌部54は、取水口60から凝集剤と原水と空気とを同時に取り入れ、これらを高速で急激に撹拌するものであり、第1撹拌部54の取水口60は原水と同時に空気と粉末状の凝集剤を取り入れることが可能なように、その開口部が水面近傍で上方を向くように配置されている。尚、図2に示すように、取水口60を原水供給枡62の底部に設けるようにしても良い。
第1撹拌部54の回転数は、粉末状の凝集剤と原水とを急激に撹拌し原水中の塗料成分を効率よく凝集させるために約1000rpm以上の回転数が必要となる。また、回転数の上限は特に限定は無いため、第1撹拌部54としては3000〜3600rpmの回転数を有する2極型の水中ポンプを取水口を上方に向けて用いることが好ましい。また、1500〜1800rpmの回転数を有する4極型の水中ポンプや、1000rpm以上の回転数を有する周知の撹拌機を用いることもできる。
第2撹拌部56は、第1撹拌部54で撹拌された混合液を第1撹拌部54よりも遅い速度で撹拌するものであり、周知の撹拌機などを用いても良いが、駆動機構を用いない静止型混合器であるスタテックミキサ等を用いることが好ましい。
第3撹拌部である熟成槽58は所定の寸法の水槽であり、第2撹拌部56の排出口がこの熟成槽58の底層部に水平方向を向くように設置されている。
次に、本発明に係る塗料廃液分離装置50の第二の形態である塗料廃液分離装置50bを図3を用いて説明する。尚、図3は、形態塗料廃液分離装置50bを原水供給槽32側から見た図であり、塗料廃液分離装置50bの奥側に浮上槽30が位置するものである。図3に示す塗料廃液分離装置50bは、塗料廃液分離装置50aと同等の構成を有しているが、第1撹拌部54の排出口と第2撹拌部56の取水口がホース64で連結されており、第2撹拌部56が第3撹拌部である熟成槽58の外部に露出して配置される構成である。
第一の形態の塗料廃液分離装置50aでは第2撹拌部56が熟成槽58内に設置されているため、用いる第2撹拌部56の大きさには制限があり、また容易に第2撹拌部56を交換することはできない。しかしながら、塗料廃液分離装置50bでは第2撹拌部56が熟成槽58の外部に露出して配置されているため、第2撹拌部56の大きさには制限が無く、用いる第2撹拌部56の選択の自由度を拡げることができる。また、原水中の塗料成分の種類、濃度などに応じて第2撹拌部56を容易に交換することができる。
特に、第2撹拌部56にスタテックミキサを用いる場合には、条件に応じて連結するスタテックミキサの本数を増減することができるため、後述する凝集物の成長をより適した条件で行うことができる。また、第2撹拌部56に予め複数のスタテックミキサを連結させておき、その連結部に分岐管及び開閉バルブを設けることで、スタテックミキサの増設、取り外しを行わずとも、開閉バルブによって混合液が流れるスタテックミキサの本数を増減することができる。
次に、本発明に係る塗料廃液分離装置50の動作を説明する。尚、ここでは、原水中に投入すると塗料成分と循環水とを吸収しながら膨張凝集するような膨潤性を有する凝集剤を用いた例を説明する。
先ず、凝集剤供給部52に所定の粉末状の凝集剤が充填される。次に、循環水ピット22などから原水が搬送され、第1撹拌部54の取水口60に供給される。このとき、原水によって取水口60が完全に満たされないように取水口60の位置もしくは原水の供給量を調整することで、取水口60から原水とともに空気を第1撹拌部54内に取り込むようにする。またこれと同時に、凝集剤供給部52からは粉末状の凝集剤が断続的もしくは一定の供給速度で取水口60に供給され、この凝集剤と原水と空気とは第1撹拌部54で高速で急激に撹拌される。このときの好適な原水と凝集剤との比率は、原水中に含有される塗料成分の種類及び組成、原水中の塗料成分の濃度、用いる凝集剤の種類などによって異なる。従って、原水と凝集剤との比率がこれらの諸条件に適した範囲となるように、凝集剤供給部52による凝集剤の供給量を調整することが望ましい。
第1撹拌部54内に取り込まれた凝集剤は第1撹拌部54によって原水及び空気と急激に撹拌される。凝集剤は原水と空気と撹拌されることで、空気を細かな気泡として巻き込みつつ、原水中の塗料成分及び循環水、特に塗料成分を取り込んで膨張凝集し、原水中に溶け込んだ塗料成分と循環水とを分離する。以上が第1の撹拌工程に相当する。
次に、第1撹拌部54によって生じた凝集物と循環水との混合液は、第2撹拌部56に送出される。第2撹拌部56では第1撹拌部54よりも遅い速度で撹拌されるため、第1撹拌部54で生じた凝集物は互いに凝集して成長し、比較的大きな凝集物を形成する。尚、この凝集物形成時にも、混合液内に存在する空気を気泡として巻き込むこととなる。以上が第2の撹拌工程に相当する。
次に、第2撹拌部56によって生じた凝集物と循環水との混合液は、第2撹拌部56の排出口から第3撹拌部である熟成槽58内に排出される。このとき、第2撹拌部56の排出口は熟成槽58の底層部に水平方向を向くように設置されているため、第2撹拌部56から排出された混合液は、混合液の排出で生じる流速によって熟成槽58中で緩やかに撹拌される。これにより、凝集物は周囲の凝集物と互いに付着して更に大きな凝集物へと成長する。以上が第3の撹拌工程に相当する。
上記の凝集物は前述のように気泡を内在しているため、排出時の流速と内在する気泡の浮力によって熟成槽58の表層に緩やかに浮上する。そして、熟成槽58から循環水ともども浮上槽30のエアレーション枡34に排出される。その後、凝集物は前述した塗料廃液処理システム100の凝集物回収経路に則って回収され廃棄される。
ここで、膨潤性を有する凝集剤は、原水と接触すると短時間で塗料成分を循環水ともども取り込み膨張凝集するものであるから、通常の撹拌速度では凝集剤の分散が不十分となり、添加された近傍の塗料成分のみを取り込むだけで凝集してしまう。このため、塗料成分と循環水とを十分に分離するためには多量の凝集剤が必要となる。
しかし、本発明に係る塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法によれば、粉末状の凝集剤と原水とを1000rpm以上の高速回転で急激に撹拌するため、凝集剤は原水中に瞬時に分散され、特に膨潤性を有する凝集剤の場合には原水中の塗料成分を極めて効率よく取り込むことができる。尚、膨潤性を有する凝集剤を本発明に係る塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法に用いた場合、原水中の水性塗料成分の種類にもよるが通常の撹拌速度のときと比べて約1/3〜1/6という少ない量の凝集剤でも塗料成分と循環水とを十分に分離することが可能であった。
また、膨潤性でない凝集剤を用いた場合でも、本発明に係る塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法を用いた方が、大容量の水槽に分散剤を投入して撹拌するよりも塗料成分の分離効率が高く、凝集剤の使用量を低減することができる。
以上のことから、本発明に係る塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法によれば、粉末状の凝集剤と原水とを急激に撹拌することで、凝集剤の分散性を上げ、塗料成分と循環水との分離効率を向上することができる。このため、凝集剤の使用量を低減することが可能で、凝集剤にかかるコストを削減することができる他、生じる凝集物の量も減少し凝集物の処分コストをも削減することができる。
更に、本発明に係る塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法では、凝集剤と原水と空気とを同時に撹拌するため、第1撹拌部54における凝集物の生成、及び第2撹拌部56における凝集物の成長は、細かな気泡を巻き込みながら行われる。従って、得られる凝集物は気泡を内在し、それ自体が浮力を有しているため浮上し易く、これら凝集物を容易かつ効率良く回収することができる。尚、凝集物自体の浮力が十分であればマイクロエアの生成機構を用いなくとも良く、この場合は塗料廃液処理システム100の構成を簡素化することも可能である。
また更に、循環水の塩類濃度や電気伝導度が上昇した場合、塗装ブース内の装置及び被塗装物の金属部分に発錆を誘発、促進させるなどの悪影響が生じる。しかし、膨潤性を有する凝集剤は一般的に循環水の塩類濃度や電気伝導度を大きく上昇させることがないため、本発明に係る塗料廃液分離方法に膨潤性を有する凝集剤を用いれば、塗料成分を分離した後の循環水に対し特別な処理を行わずとも塗装ブースの循環水として再利用することができる。
尚、本発明に係る塗料廃液分離装置及び塗料廃液分離方法に用いる凝集剤としては、上記のように膨潤性を有するものが好適であるが、その他の粉末状のまま添加する凝集剤に関しても適用が可能な他、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
本発明に係る塗料廃液分離装置を備えた塗料廃液処理システムの概略構成図である。 本発明に係る塗料廃液分離装置の第一の形態の概略構成図である。 本発明に係る塗料廃液分離装置の第二の形態の概略構成図である。
符号の説明
50、50a、50b 塗料廃液分離装置
52 凝集剤供給部
54 第1撹拌部
56 第2撹拌部
58 熟成槽(第3撹拌部)

Claims (3)

  1. 塗料成分を含有する循環水に粉末状の凝集剤を投入して循環水と塗料成分とを分離する塗料廃液分離装置において、
    粉末状の凝集剤を供給する凝集剤供給部と、
    当該凝集剤供給部から供給される凝集剤と塗料成分を含有する循環水と空気とを同時に高速で撹拌する第1撹拌部と、
    第1撹拌部の撹拌で生じた混合液を第1撹拌部よりも遅い速度で撹拌する第2撹拌部と、
    第2撹拌部の撹拌で生じた混合液を第2撹拌部よりも遅い緩速で撹拌する第3撹拌部と、
    を備えたことを特徴とする塗料廃液分離装置。
  2. 凝集剤を添加して塗料成分を含有する循環水を循環水と塗料成分とに分離する塗料廃液分離方法であって、
    粉末状の凝集剤と塗料成分を含有する循環水と空気とを同時に高速で撹拌する第1の撹拌工程と、
    第1の撹拌工程の撹拌で生じた混合液を第1の撹拌工程よりも遅い速度で撹拌する第2の撹拌工程と、
    第2の撹拌工程の撹拌で生じた混合液を第2の撹拌工程よりも遅い緩速で撹拌する第3の撹拌工程と、
    を有することを特徴とする塗料廃液分離方法。
  3. 請求項2記載の塗料廃液分離方法に用いる凝集剤が、
    塗料成分を含有する循環水に添加されると塗料成分を取り込みながら膨張凝集する膨潤性を有する凝集剤であることを特徴とする塗料廃液分離方法。
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