JPH08505681A - 内燃機関用の分配型燃料噴射ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ラジアル・プランジャ構造形式の分配型燃料噴射ポンプであって、ロータ部分内に２つの交差するシリンダ孔が設けられていて、各シリンダ孔内にそれぞれ２つのポンププランジャが案内されていて、該ポンププランジャが互いに向い合って配置されていてかつ共通のポンプ作業室を制限している。第１のシリンダ孔（２５）内で案内されたポンププランジャ（２７）が、該ポンププランジャの送出ストローク中にポンププランジャが第２のシリンダ孔（２９）内に突入するような軸方向長さで設計されているのに対して、第２のシリンダ孔（２９）のプランジャ（３１）が、最大送出ストロークの場合でも第１のシリンダ孔（２５）に達しないような軸方向長さで設計されている。本発明によれば、短いポンププランジャ（３１）がストッパを有していて、該ストッパがシリンダ孔（２９）から突出する端部に設けられたつば（４３）によって形成されており、前記ストッパによってポンプが停止した場合に、短いポンププランジャが長いポンププランジャ（２７）の間に不都合に滑り込むことが阻止されていて、これによって、ポンププランジャの送出ストロークが、吸込みストローク中に長いポンププランジャが短いポンププランジャを案内するシリンダ孔から離脱するような大きさに拡大される。

Description

【発明の詳細な説明】 内燃機関用の分配型燃料噴射ポンプ 【技術分野】 本発明は、請求の範囲第１項の上位概念に記載の形式の、内燃機関用の分配型 燃料噴射ポンプに関する。 【背景技術】 ヨーロッパ特許第０３８２３８８号明細書から公知の上記形式の分配型燃料噴 射ポンプでは、駆動軸はケーシング内に案内されたロータを駆動し、このロータ 内には、駆動軸に対して半径方向の平面において、それぞれシリンダ孔内で案内 された２対のポンププランジャが配置されている。この場合、ロータの共通の半 径方向平面内に配置されたシリンダ孔は互いに直交しているので、個々のポンプ プランジャの半径方向で内向きの端面によって、シリンダ孔のオーバーラップ範 囲で共通のポンプ作業室が制限される。シリンダ孔から突出するポンププランジ ャの端部はローラタペットを介して、ケーシング内に案内されたカムリングの定 置のカム軌道に沿って走行する。これによって、ロータの回転運動中にポンププ ランジャに往復運動が伝達される。この際、半径方向で外向きの吸込みストロー ク運動中に低圧室から出発する充填導管とシリンダ孔との接続部が開放制御され 、この接続ラインは次いで 行われる送出ストローク中にポンププランジャによって閉鎖される。この場合、 送出ストローク中に共通のボンプ作業室内で圧縮された燃料は、ロータ内の高圧 通路を介して、高圧通路から半径方向に延びる分配通路に達し、この分配通路は ロータの回転運動中に、噴射個所に導かれた個々の高圧送出導管とオーバーラッ プする。 この場合、両シリンダ孔内の対のポンププランジャは次ぎのように設計されて いる、即ち、第１のシリンダ孔内で案内された対の長いポンププランジャがポン プ作業室側の端部で第２のシリンダ孔内に突入するように、かつ、第２のシリン ダ孔内で案内された対の短いポンププランジャが最大の送出ストローク位置にお いても第１のシリンダ孔に達しないように、設計されている。 しかし公知の分配型燃料噴射ポンプの欠点は、全てのポンププランジャのため に同じであるカム行程がそれぞれ同じ大きさで形成されるシリンダ孔の直径の半 分以下でなければならなということにある。このことは、内燃機関停止状態及び ポンプ作業室無圧状態で短いポンププランジャが自動的に長いポンププランジャ の間に滑り込むことを確実に阻止するために、長いポンププランジャが最大の吸 込みストローク位置においても第２のシリンダ孔内に突入することを保証するの に、必要である。それというのも、このように設計さ れていないと、分配型燃料噴射ポンプの運転中に機械的な破壊が生ぜしめられる からである。 しかし、ポンププランジャの送出ストロークに課せられたこのような構造的な 制限によって、ポンプ全体の動作パラメータが制限される。 【発明の開示】 本発明の課題は、上記公知の欠点を回避することにある。 本発明の構成は、請求の範囲第１項の特徴部分に記載されている。 請求の範囲第１項に記載の特徴を有する本発明による分配型燃料噴射ポンプの 利点は、長いポンププランジャの間のシリンダ孔内に短いポンププランジャが不 都合に滑り込むことが、シリンダ孔から突出する短いポンププランジャの端部に 設けられたストッパによって確実に阻止される、ということにある。 これによって、長いポンププランジャを短いポンププランジャを案内するシリ ンダ孔内に不変に突入させる必要がなくなり、従って、より大きな送出ストロー ク運動を与えるためにカム行程をシリンダ孔直径の半分以上に設計することがで きる。送出ストロークのこのような拡大によって有利には噴射圧力を増大又は送 出量を増大させることができる。 短いポンププランジャに設けられたストッパは有利には次ぎのように配置され る、即ち、短いポンププラ ンジャのポンプ作業室側の端面が第１のシリンダ孔から最小間隔を置いた範囲に 達するまでひいては長い送出ストロークを得ることができるまで、短いポンププ ランジャがこのポンププランジャを案内するシリンダ孔内に突入できるように、 配置されている。短いポンププランジャに設けられたストッパは簡単には、短い ポンププランジャの本体内に設けられた環状溝内で案内される保持リング又はつ ばによって構成され、この場合ストッパは簡単にはシリンダ孔の端壁と協働する 。 本発明の有利な構成はその他の請求項に記載されている。 【図面の簡単な説明】 次ぎに図示の実施例につき本発明を説明する。 第１図は、本発明の主要部分を成す、分配型燃料噴射ポンプの構成部材の縦断 面図、第２図は、ポンププランジャをつばを用いて保持する第１実施例の、第１ 図II−II線に沿った断面図、第３図は、ポンププランジャを保持リングを用いて 保持する第２実施例の、第２図に相応する図である。 【発明を実施するための最良の形態】 第１図で概略的に図示された分配型燃料噴射ポンプにおいては、ピストン状の ロータ部分１は、軸線を中心として回転可能に、ポンプケーシング３に不動に結 合された円筒状のガイド部分５のシリンダ孔２内に支 承されている。ロータ部分１は一端で大径部分７を有していて、この大径部分７ は内燃機関回転数と同期的に駆動される駆動軸９に回動不能に連結されている。 更に大径部分７内には、ロータ部分１の軸線に対して半径方向に延びる共通の平 面内で、互いに直交する２つの貫通孔１１が配置されている。 ロータ部分１の軸線内では前記貫通孔１１から送出通路１３が案内されていて 、この送出通路１３は逆止弁１５を備えかつ送出通路１３の端部は半径方向に延 びる分配孔１７に移行している。分配孔１７が配置される半径方向平面内では、 ガイド部分５は噴射導管１９を有していて、この噴射導管１９はシリンダ孔２か ら内燃機関の個々の噴射個所に案内されている。噴射導管１９の数は供給すべき 噴射個所の数に相応していてかつ互いに適当な間隔を置いてガイド部分５の周方 向に亘って分配されて配置されている。 更に、逆止弁１５と貫通孔１１との間でロータ部分１内には、送出通路１３か ら半径方向に案内された供給孔２１が設けられていて、この供給孔２１はガイド 部分５内の燃料供給導管２３に接続可能であり、この燃料供給導管２３自体は、 低圧室を成す燃料貯蔵タンクからの、有利には電磁弁によって制御されかつ送出 ボンプを備えた燃料搬送導管（図示せず）に接続されている。 ロータ部分１の大径部分７内の半径方向の貫通孔１ １はシリンダ孔として形成されていて、各シリンダ孔内には、第２図及び第３図 で図示されているように、互いに向い合って位置して逆向きに作業するそれぞれ ２つのポンププランジャが配置されている。この場合、第１のシリンダ孔２５は 軸線方向長さの長い第１の対のポンププランジャ２７を受容していて、この対の ポンププランジャ２７は、半径方向で内向きの送出ストローク運動中にポンププ ランジャ２７が第１のシリンダ孔と交差する第２のシリンダ孔２９の範囲内にま で突入するような長さで、設計されている。第２のシリンダ孔２９内には第２の 対の短いポンププランジャ３１が案内されていて、この対のポンププランジャ３ １は、最大の送出ストローク位置においてもポンププランジャ３１が第１のシリ ンダ孔２５の範囲内にまで突入しないように、設計されている。半径方向で内向 きの端部ではポンププランジャ２７，３１はシリンダ孔２５，２９内で共通のポ ンプ作業室３３を制限していて、このポンプ作業室３３は送出通路１３を介して 噴射導管１９及び燃料供給導管２３に接続可能である。 半径方向で外向きの端部ではポンププランジャ２７，３１はそれぞれローラタ ペット３５に接触している。このローラタペットのローラ３７はカムリング４１ のカム軌道３９に沿って走行し、このカムリング４１は半径方向平面内に位置し かつポンプケーシング３内で案内されている。分配型燃料噴射ポンプの運転中に は ポンププランジャ２７，３１は、外向きに遠心力によってローラタペット３５と 接触状態で維持される。ポンプが停止した場合には、ポンププランジャ２７，３ １はロータ部分１の位置に関連して自動的にシリンダ孔２５，２９内で摺動する 。この場合短いポンププランジャ３１が長いポンププランジャ２７の間で第１の シリンダ孔２５の範囲内に滑り込むことを確実に阻止するために、短いポンププ ランジャ３１は半径方向で第２のシリンダ孔２９から突出する端部に、シリンダ 孔２９の軸方向の各端壁４９と協働するストッパを有している。第２図で図示の 第１実施例では、前記ストッパは横断面拡大部により構成されたつば４３として 形成されている。 第３図で図示の第２実施例では、短いポンププランジャ３１の軸方向の終端ス トッパは保持リング４５によって形成されていて、この保持リング４５は短いポ ンププランジャ３１のシリンダ孔２９から突出する当該端部に設けられた環状溝 ４７内で案内されていて、かつ、前記保持リング４５は同様にシリンダ孔２９の 軸方向の端壁４９と協働する。 少なくとも最大のカム行程又は送出ストロークに等しい最大突入深さのこのよ うな行程制限によって、送出ストロークは次ぎのような大きさで設計できる、即 ち、短いポンププランジャ３１が長いポンププランジャの間に不都合に滑り込む という危険を生ぜしめるこ となしに、長いポンププランジャ２７の作業室側の端部が第２のシリンダ孔２９ から離脱できるような大きさで、送出ストロークは設計される。 本発明による分配型燃料噴射ポンプは次ぎのように作業する。 ポンプが停止している場合、ポンププランジャ２７，３１は、ポンプ作業室３ ３を圧縮せずに、ロータ部分の位置に応じてそれぞれ最大のストローク位置であ る不定の位置を占める。分配型燃料噴射ポンプの運転が開始されると、駆動軸９ によってロータ部分１が回転運動し、これによって、ポンププランジャ２７，３ １は遠心力によってローラタペット３５に接触する。ローラタペット３５自体は カム軌道３９に沿って走行しひいてはシリンダ孔２５，２９内でポンププランジ ャ２７，３１を往復運動せしめる。 ポンププランジャ２７，３１の送出ストローク中にポンプ作業室３３内で圧縮 された燃料は、送出通路１３及び逆止弁１５を介して分配孔１７に案内され、こ の分配孔１７から燃料は個々の燃料導管１９を通過してそれぞれの噴射個所に供 給される。この場合、低圧室からの燃料供給導管２３は高圧送出時点に閉鎖され 、この場合このような閉鎖は、燃料供給導管２３内に配置された逆止弁を介して 又は供給孔２１と燃料供給導管２３とのオーバーラップを中断することによって 、行うことができる。高圧送出の最後は供給孔２１と燃 料供給導管２３との間の接続部を新たに開放制御することによって制御される。 この場合、高圧下の残余燃料はまず低圧室に戻され、次いで、ポンププランジャ ２７，３１の吸込みストローク中にポンプ作業室３３の再充填が行われ、この場 合逆止弁１５によって、分配孔１７及び噴射導管１９内でコンスタントな静圧が 保証される。 従って、著しい構成費用をかけることなしに本発明による分配型燃料噴射ポン プによって、その都度の要求に応じて、軸方向の長いポンププランジャ対が短い ポンププランジャ対をガイドするシリンダ孔から離脱するような大きさに、ポン ププランジャの送出ストロークの大きさを拡大することができる。

───────────────────────────────────────────────────── 【要約の続き】 出ストロークが、吸込みストローク中に長いポンププラ ンジャが短いポンププランジャを案内するシリンダ孔か ら離脱するような大きさに拡大される。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．内燃機関用の分配型燃料噴射ポンプにおいて、駆動軸（９）によって回転駆 動されるカム駆動装置の回転運動中に、ポンププランジャが、カム軌道（３９） に沿って走行するローラタペット（３５）を介して、駆動軸に対して半径方向で ロータ部分（１）に配置されたシリンダ孔内で往復運動するようになっていて、 この場合、駆動軸に対して半径方向の平面内でロータ部分内に互いに交差する少 なくとも２つのシリンダ孔が設けられていて、各シリンダ孔内に互いに向い合っ て位置する２つのポンププランジャが配置されていて、これらポンププランジャ が低圧室（２３）及び噴射導管（１９）に交互に接続可能な共通のポンプ作業室 （３３）を制限していてかつ送出ストローク中に半径方向で内向きに移動するよ うになっており、更に、送出ストローク運動中に第１のシリンダ孔（２５）内で 案内された第１の対の長いポンププランジャ（２７）がそれぞれ第２の対のポン ププランジャを案内する第２のシリンダ孔（２９）内に突入するのに対して、第 ２のシリンダ孔（２９）内で案内された短いポンププランジャ（３１）が最大の 送出ストローク位置において第１のシリンダ孔（２５）と交差しないように、ポ ンププランジャの軸方向長さが設計されている形式のも のにおいて、第２の対の短いポンププランジャ（３１）がそれぞれ第２のシリン ダ孔（２９）から突出する端部にストッパを有していて、このストッパがポンプ 作業室（３３）の方向でのシリンダ孔（２９）内へのポンププランジャの最大突 入深さを制限していることを特徴とする、内燃機関用の分配型燃料噴射ポンプ。 ２．短いポンププランジャ（３１）がそれぞれストッパによって、該ポンププラ ンジャのポンプ作業室側の端面が別のシリンダ孔（２５）の範囲内に突入する前 に、該ポンププランジャを案内するシリンダ孔（２９）の軸方向の端壁（４９） に当接するようになっている、請求項１記載の分配型燃料噴射ポンプ。 ３．第２のシリンダ孔（２９）から突出する短いポンププランジャ（３１）の端 部に設けられたストッパがつば（４３）として構成されていて、このつばが横断 面拡大部によって形成されていてかつ第２のシリンダ孔（２９）の軸方向の端壁 （４９）と協働するようになっている、請求項１記載の分配型燃料噴射ポンプ。 ４．第２のシリンダ孔（２９）から突出する短いポンププランジャ（３１）の端 部に設けられたストッパが保持リング（４５）によって構成されていて、この保 持リングが短いポンププランジャ（３１）の環状溝（４７）内で案内されていて かつ第２のシリン ダ孔（２９）の軸方向の端壁（４９）と協働するようになっている、請求項１記 載の分配型燃料噴射ポンプ。