JPH087096Y2 - デイーゼルエンジン用燃料噴射装置のユニツトインジエクター - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は，デイーゼルエンジン用燃料噴射装置のユニ
ツトインジエクターに関するものである。

（従来の技術） 従来のデイーゼルエンジン用燃料噴射装置のユニツト
インジエクターを第5,6図により説明すると，（01）が
タペツト，（02）がボデイで，同タペツト（01）が同ボ
デイ（02）の内孔に軸方向移動を可能に嵌挿されてい
る。また（03）がプランジヤ，（04）がバレルで，同プ
ランジヤ（03）が同バレク（04）の内孔に軸方向移動を
可能に嵌挿されている。また（06）が上記プランジヤ
（03）に設けたピニオン，（07）がシリンダヘツド，
（017）がカム軸，（011）が上記タペツト（01）の上鍔
部と上記ボデイ（02）との間に介装したフランジヤばね
で，同フランジヤばね（011）が上記タペツト（01）を
上記カム軸（017）に押付けており，カム軸（017）を回
転して，この回転をタペツト（01）に伝え，同タペツト
（01）とフランジヤ（03）とを軸方向に往復移動させ
て，燃料の吸引と噴射とを交互に行うようになってい
る。

（考案が解決しようとする課題） 前記第5,6図に示す従来のデイーゼルエンジン用燃料
噴射装置のユニツトインジエクターには，次の問題があ
った。即ち，ロツカーアームにより駆動される場合，タ
ペツト（01）の移動方向と駆動力作用方向とを完全に一
致させることが困難なため，特にタペツト（01）とボデ
イ（02）円筒部との摺動部の潤滑が必要になるが，前記
第5,6図に示す従来のデイーゼルエンジン用燃焼噴射装
置のユニツトインジエクターでは，（Ｉ）ボデイ（02）
の円筒部に油路を設けて，上記摺動部の潤滑を行おうと
すると，ボデイ（02）上方のタペツト（01）のガイド部
の外径がプランジヤばね（011）の内径により制限され
て，細くなるので，細孔（油路）の加工が必要で，コス
ト高になる上に，油路周りの肉厚を確保し難い。（II）
外部からの飛沫による潤滑油の給油では，タペツト（0
1）の周りにプランジヤばね（011）にあって，潤滑油が
タペツト（01）とボディ（02）との摺動面に届き難く，
摺動面の摺動負荷能力の余裕が減少して，摺動面の信頼
性が低下するという問題があった。

本考案は前記の問題点に鑑み提案するものであり，そ
の目的とする処は，製作コストを低減できる上に，油路
周りの肉厚を確保できる。また摺動面の信頼性を向上で
きるデイーゼルエンジン用燃焼噴射装置のユニツトイン
ジエクターを提供しようとする点にある。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために，本考案は，バレルの内
孔にプランジヤを軸方向移動を可能に嵌挿し，上記バレ
ルにボデイを取付け，同ボデイの内孔にタペツトを軸方
向移動を可能に嵌挿して，上記プランジヤを同タペツト
を介してカム軸に接触させたデイーゼルエンジン用燃料
噴射装置のユニツトインジエクターにおいて，前記プラ
ンジヤ及び前記タペツトの軸方向移動により潤滑油を前
記ボデイと前記タペツトとの摺動面及び前記バレルと前
記プランジヤとの摺動面へ供給する油路を前記ボデイの
鍔状肉圧部に設けている。

また本考案のデイーゼルエンジン用燃料噴射装置のユ
ニツトインジエクターは，前記プランジヤの軸方向移動
により潤滑油を前記ボデイと前記タペツトとの摺動面及
び前記バレルと前記プランジヤとの摺動面へ供給する油
路を前記ボデイの鍔状肉厚部と前記バレルと前記フラン
ジヤとに最大リフト時連通可能に設けている。

また本考案は，前記プランジヤの軸方向移動により潤
滑油を前記ボデイと前記タペツトとの摺動面及び前記バ
レルと前記プランジヤとの摺動面へ供給する油路を前記
ボデイと前記バレルと前記フランジヤとに設けている。

（作用） 本考案のデイーゼルエンジン用燃料噴射装置のユニツ
トインジエクターは前記のように構成されており，タペ
ツトとプランジヤとが昇降する燃料噴射運転時，これら
タペツトとプランジヤとの動きを利用して，潤滑油をボ
デイの鍔状肉圧部に設けた油路からボデイとタペツトと
の摺動面及びバレルとプランジヤとの摺動面へ供給す
る。

（実施例） 次に本考案のデイーゼルエンジン用燃料噴射装置のユ
ニツトインジエクターを第1,2図に示す。一実施例によ
り説明すると，（１）がタペツト，（２）がボデイで，
同タペツト（１）が同ボデイ（２）の内孔に軸方向移動
を可能に嵌挿されている。また（３）がプランジヤ，
（４）がバレルで，同プランジヤ（３）が同バレル
（４）の内孔に軸方向移動を可能に嵌挿されている。ま
た（６）が上記プランジヤ（３）に設けたピニオン，
（７）がシリンダヘツド，（17）がカム軸，（11）が上
記タペツト（１）の上端鍔部と上記ボデイ（２）との間
に介装したプランジヤばねで，同プランジヤばね（11）
が上記タペツト（１）を上記カム軸（17）に押付けてい
る。また（５）が本考案で最も特徴とする油路で，同油
路（５）が上記ボデイ（２）の鍔状肉厚部に設けられて
いる。そして同油路（５）の外端部側は，ボデイ（２）
外の低圧油路へ連通し，同油路（５）の内端部は，ピニ
オン（６）の周りの空間部を経て空間部（８）（タペツ
ト（１）とプランジヤ（３）とボデイ（２）との間の空
間部（８））と空間部（16）（プランジヤ（３）とバレ
ル（４）との間の空間部（16）へ連通している。

次に前記第1,2図に示すデイーゼルエンジン用燃料噴
射装置のユニツトインジエクターの作用を具体的に説明
する。カム軸（17）を回転して，この回転をタペツト
（１）に伝え，同タペツト（１）とプランジヤ（３）と
を軸方向に往復移動させて，燃料の吸引と噴射とを交互
に行う。そしてタペツト（１）及びプランジヤ（３）が
零リフト位置（第１図参照）→最大リフト位置（第２図
参照）に下降するときには，空間部（８）（16）の容積
が小さくなり，空間部（８）（26）に吸引されていた潤
滑油のうち，一部の潤滑油は，低圧油路へ戻されるが，
残りの潤滑油は，空間部（８）からタペツト（１）とボ
デイ（２）との摺動面（９）間へ圧送されて，この衝動
面（９）が潤滑され，その後，この潤滑油が摺動面
（９）の上端部（10）からボデイ（２）外へ排油され
る。

次に本考案のデイーゼルエンジン用燃料噴射装置のユ
ニツトインジエクターを第3,4図に示す一実施例により
説明すると，この実施例では，油路（12）がボデイ
（２）の鍔状肉厚部に設けられ，同油路（12）に連通し
た油路（13）（14）がバレル（４）に設けられ，同油路
（13）（14）に最大リフト時（第４図参照）連通する環
状溝（15）がプランジヤ（３）の外周面に設けられてい
る。そして上記油路（12）の外端部側は，ボデイ（２）
外の低圧油路へ連通している。それ以外の構成は，前記
第1,第２図に示すユニツトインジエクターと同じであ
る。

次に前記第3,4図に示すデイーゼルエンジン用燃料噴
射装置のユニツトインジエクターの作用を具体的に説明
する。カム軸（17）を回転して，この回転をタペツト
（１）に伝え，同タペツト（１）とプランジヤ（３）と
を軸方向に往復移動させて，燃料の吸引と噴射とを交互
に行う。そしてタペツト（１）及びプランジヤ（３）が
最大リフト位置（第４図参照）にあるときには，潤滑油
が低圧油路→油路（12）→油路（13）（14）を経てプラ
ンジヤ（３）の環状溝（15）内へ供給され，タペツト
（１）及びプランジヤ（３）が最大リフト位置（第４図
参照）→零リフト位置（第３図参照）に上昇するときに
は，プランジヤ（３）の環状溝（15）内に保持されてい
る潤滑油がプランジヤ（３）とバレル（４）との摺動面
を潤滑しながらプランジヤ（３）とともに上昇し，零リ
フト位置（第３図参照）に達すると，プランジヤ（３）
の環状溝（15）がバレル（４）の摺動部よりも上方に位
置することになり，環状溝（15）内の潤滑油が空間部
（16）へ供給される。この空間部（16）と上方の空間部
（８）とは，ピニオン（６）周りの空間部を介して連通
しているので，潤滑油が上方の空間部（８）にも供給さ
れる。この後の作用は，前記第1,2図に示すユニツトイ
ンジエクターと同じである。

（考案の効果） 本考案のデイーゼルエンジン用燃料噴射装置のニユツ
トインジエクターは前記のようにタペツトとプランジヤ
とが昇降する燃料噴射運転時，これらタペツトとプラン
ジヤとの動きを利用して，潤滑油をボデイの鍔状肉圧部
に設けた油路からボデイとタペツトとの摺動面及びバレ
ルとプランジヤとの摺動面へ供給するので，ボデイの円
筒部に細孔（油孔）を穿設する必要がなくて，製作コス
トを低減できる上に，油路周りの肉厚を確保できる。

また潤滑油をボデイの鍔状肉厚部に穿設した油路を介
してボデイ円筒部とタペツトとの摺動部へ供給するの
で，潤滑油を摺動部へ充分に供給できて，摺動面の信頼
性を向上できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係わるデイーゼルエンジン用燃料噴
射装置のユニツトインジエクターの一実施例の零リフト
時を示す縦断側面図，第２図はその最大リフト時を示す
縦断側面図，第３図は他の実施例の零リフト時を示す縦
断側面図，第４図はその最大リフト時を示す縦断側面
図，第５図は従来のデイーゼルエンジン用燃料噴射装置
のユニツトインジエクターの零リフト時を示す縦断側面
図，第６図はその最大リフト時を示す縦断側面図であ
る。 （１）……タペツト，（２）……ボデイ，（３）……プ
ランジヤ，（４）……バレル，（５）……油路，（６）
……ピニオン，（７）……シリンダヘツド，（８）……
空間部，（９）……摺動面，（10）……排油部，（11）
……プランジヤばね，（12）（13）（14）（15）……油
路，（16）……空間部，（17）……カム軸。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】バレルの内孔にプランジヤを軸方向移動を
   可能に嵌挿し，上記バレルにボデイを取付け，同ボデイ
   の内孔にタペツトを軸方向移動を可能に嵌挿して，上記
   プランジヤを同タペツトを介してカム軸に接触させたデ
   イーゼルエンジン用燃料噴射装置のユニツトインジエク
   ターにおいて，前記プランジヤ及び前記タペツトの軸方
   向移動により潤滑油を前記ボデイと前記タペツトとの摺
   動面及び前記バレルと前記プランジヤとの摺動面へ供給
   する油路を前記ボデイの鍔状肉圧部に設けたことを特徴
   とするデイーゼルエンジン用燃料噴射装置のユニツトイ
   ンジエクター。
2. 【請求項２】バレルの内孔にプランジヤを軸方向移動を
   可能に嵌挿し，上記バレルにボデイを取付け，同ボデイ
   の内孔にタペツトを軸方向移動を可能に嵌挿して，上記
   プランジヤを同タペツトを介してカム軸に接触させたデ
   イーゼルエンジン用燃料噴射装置のユニツトインジエク
   ターにおいて，前記プランジヤの軸方向移動により潤滑
   油を前記ボデイと前記タペツトとの摺動面及び前記バレ
   ルと前記プランジヤとの摺動面へ供給する油路を前記ボ
   デイの鍔状肉厚部と前記バレルと前記プランジヤとに最
   大リフト時連通可能に設けたことを特徴とするデイーゼ
   ルエンジン用燃料噴射装置のユニツトインジエクター。