【発明の詳細な説明】
微孔性隔膜の製造方法
本発明は、アルカリハリド溶液用電解ユニットで用いるための隔膜に関するも
のである。
それは又、適宜に微孔性であり得る隔膜の製造方法にも関係する。上述の隔膜
をこの方法によって製造することが出来る。
最後に、それは、アルカリ/ハリド水溶液用電解ユニットにおける隔膜の利用
に関係する。
最も頻繁に電気分解されるアルカリハリド水溶液は、塩化ナトリウムであり、
塩素及び苛性ソーダを生成する。
この型の材料は、一般に、アスベスト繊維を担体上へ付着させ、それらを電気
分解に対して不活性であるポリマーで強化し、そして操作の終了時に分解される
細孔形成剤を適宜加えて所望の多孔度を生成することによって製造される。
その方法によって製造した公知のアスベストベースの隔膜は、電気分解の最適
条件に必要な機械的及び化学的特性のすべてを有してはいない。これらの隔膜は
、電気分解に用いたときに、主としてそれらの隔膜の疎水性の性質のために初め
から不十分な水力学的及び/又は電気的特性を有するか、又はそれらは、主とし
て構造的に弱
くなることにより電気分解におけるそれらの隔膜の使用中に時間と共に劣化して
水力学的及び/又は電気的特性を減じる。
1973年5月18日にRHONE-PROGILにより出願されたフランス国特許第73
18805号は、アスベスト繊維、フッ素化樹脂ラテックス、細孔形成剤及び
アニオン性スルホン酸系界面活性剤の水性懸濁液からの多孔性隔膜の製造方法を
記載している。フッ素化樹脂、細孔形成剤及びアスベストの特定量が好適である
が、それは不十分であることが示された電解特性を有する微孔性隔膜を生成する
。それらの不十分な特性は、システム内の一区画から他への電解質の不十分な流
れ及び/又は苛性ソーダの収率の増加を伴わない電圧の増加のためである。更に
、隔膜中のアニオン性界面活性剤は、電気分解用に隔膜を用いるときに、製造中
に存在するカチオンと反応してそれらの水力学的及び電気的特性を減じる。
従って、本発明の一つの目的は、アルカリハリドの水溶液の電気分解における
使用中に、電解質中に存在する可溶性種を所定外形のセパレーターを横切る苛性
ソーダの減じた流れと共に十分に輸送する微孔性隔膜を提供することである。
本発明の更なる目的は、電気分解における使用中に、一区画から他への均一な
電解質の流れを有する微孔性隔膜を提供することである。
この発明のなお更なる目的は、システムのエネルギー
消費(キロワット時)に関して十分な水力学的及び電気的特性を有する微孔性隔
膜の製造方法を提供することである。
これらの及び他の目的は、多孔性材料上に付着した下記を含む隔膜を提供する
本発明によって達成される:
− 100重量部のアスベスト繊維;
− 30〜70重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60重量部のフッ素化ポリマー;
(ここに、フッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比は0.6〜1
.2、好ましくは0.6〜0.9である。但し、100乾重量部のアスベスト繊
維、30乾重量部のシリカベース誘導体、25乾重量部のフッ素化ポリマー及び
1.5乾重量部の増粘剤を含む懸濁液を付着することによって得た隔膜を除く)
。
この発明は又、多孔性材料上に付着した下記を含む隔膜にも関係する:
− 100重量部のアスベスト繊維;
− 30〜70重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60重量部のフッ素化ポリマー;
(ここに、フッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比は0.6〜1
.2、好ましくは0.6〜0.9であり、下記に規定する性質及び構成の懸濁液
を付着することによって得られ、該懸濁液は適宜増粘剤をアスベスト繊維100
乾重量部当り1.5乾重量部未満の量で含む)。
本発明は又、実質的に下記の工程を含む隔膜の製造方法にも関係する:
a)下記(並びに、必要ならば増粘剤)を含む水性懸濁液の調製:
− 100乾重量部のアスベスト繊維;
− 30〜60乾重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60乾重量部のフッ素化ポリマー;
b)該懸濁液の多孔性材料を通してのプログラムされた真空濾過により被覆を付
着し、
c)液体媒質を除去して、形成された被覆を乾燥し、
d)被覆を焼結する
(調製した懸濁液は、生成した隔膜が、工程c)の後で0.6〜1.2、好まし
くは0.6〜0.9のフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を
有するようにフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を有する。
但し、100乾重量部のアスベスト繊維、30乾重量部のシリカベース誘導体、
25乾重量部のフッ素化ポリマー及び1.5乾重量部の増粘剤を含む懸濁液を付
着させることにより得られる隔膜を除く)。
この発明は更に、実質的に下記の工程を含む隔膜の製造方法に関係する:
a)下記を含む水性懸濁液を調製し、
− 100乾重量部のアスベスト繊維;
− 30〜60乾重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60乾重量部のフッ素化ポリマー;
− 0〜1.5乾重量部未満の増粘剤;
b)該懸濁液の多孔性材料を通してのプログラムされた真空濾過により被覆を付
着し、
c)液体媒質を除去して、形成された被覆を乾燥し、
d)被覆を焼結する
(調製した懸濁液は、生成した隔膜が、工程c)の後で、0.6〜1.2、好ま
しくは0.6〜0.9のフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比
を有するようにフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を有する
)。
この発明の他の利点及び特徴は、下記の説明及び実施例から明らかとなろう。
第1の具体例において、本発明は、下記を含む隔膜を提供する:
− 100重量部のアスベスト繊維;
− 30〜70重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60重量部のフッ素化ポリマー;
(但し、100乾重量部のアスベスト繊維、30乾重量部のシリカベース誘導体
、25乾重量部のフッ素化ポリマー及び1.5乾重量部の増粘剤を含む懸濁液を
付着することによって得られる隔膜を除く)。
第2の具体例において、隔膜は多孔性材料上に付着させた下記を含む:
− 100重量部のアスベスト繊維;
− 30〜70重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60重量部のフッ素化ポリマー;
(ここに、フッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比は0.6〜1
.2、好ましくは0.6〜0.9であり、増粘剤をアスベスト繊維100乾重量
部当り1.5乾重量部より少ない量で適宜含む懸濁液を付着させることにより得
られる)。
好ましくは、上記の2つの具体例による隔膜は下記を含む:
− 100重量部のアスベスト繊維;
− 30〜60重量部のシリカベース誘導体;
− 25〜50重量部のフッ素化ポリマー。
更なる具体例においては、下記の他の成分に加えてアスベスト繊維の100乾
重量部当り0〜1.5乾重量部未満、特に0〜1乾重量部の増粘剤を含む懸濁液
を付着させることによって隔膜を生成する。
この発明に従う隔膜は、好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤を含む。こ
の界面活性剤は、アスベスト繊維100乾重量部当り0.5〜10好ましくは0
.6〜5乾重量部の量で存在する。
好ましくは非イオン性界面活性剤を用いる。非イオン性界面活性剤は、特に、
官能基を含むエトキシル化アルコール又はフルオロカーボン化合物(単独で又は
混合物として使用)であってよい(一般に、これらのアルコール又はフルオロカ
ーボン化合物中の炭素鎖は6〜20炭素を含む)。
好適なエトキシル化アルコールは、エトキシル化アルキルフェノール特にオク
トキシノールである。
本発明に従う隔膜は、有利に、単位表面積当り0.4〜3kg/m2、好まし
くは0.7〜2kg/m2の重量を有する。
本発明は又、隔膜の製造方法をも提供する。
この方法の第1の具体例は、隔膜を生成するが、100乾重量部のアスベスト
繊維、30乾重量部のシリカベース誘導体、25乾重量部のフッ素化ポリマー及
び1.5乾重量部の増粘剤を含む懸濁液から得られるものを除く。
この第1の具体例において、この方法は、実質的に、下記の工程からなる:
a)下記(並びに、必要ならば増粘剤)を含む水性懸濁液を調製し:
− 100乾重量部のアスベスト繊維;
− 30〜60乾重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60乾重量部のフッ素化ポリマー;
b)該懸濁液の多孔性材料を通してのプログラムされた真空濾過によって被覆を
付着させ、
c)液体媒質を除去して、形成された被覆を乾燥し、
d)被覆を焼結する
(工程a)からの懸濁液は、隔膜が、工程c)の後で、0.6〜1.2、好まし
くは0.6〜0.9のフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を
有する
ようにフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を有する)。
第2の具体例において、この発明の方法は、実質的に、下記の工程を含む:
a)下記を含む水性懸濁液を調製し:
− 100乾重量部のアスベスト繊維;
− 30〜60乾重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60乾重量部のフッ素化ポリマー;
− 0〜1.5乾重量部未満の増粘剤;
b)該懸濁液の多孔性材料を通してのプログラムされた真空濾過により被覆を付
着させ、
c)液体媒質を除去して、形成された被覆を乾燥し、
d)被覆を焼結する
(調製した懸濁液は、生成した隔膜が、工程c)の後で、0.6〜1.2、好ま
しくは0.6〜0.9のフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比
を有するようにフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を有する
)。
これら2つの具体例の各々において調製された懸濁液が、生成された隔膜中の
フッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比が、工程c)の後で、0
.6〜1.2、好ましくは0.6〜0.9であるように調整されたフッ素化ポリ
マーのシリカベース誘導体に対する重量比を有することは重要である。
この比は、高度に多孔性の材料上の2つの化合物の各
付着比によって変えることが出来る。熟練者は、簡単な試験によって、懸濁液中
に分散させなくてはならない乾燥材料の量を、プログラムされた真空濾過条件下
で分散を通して濾過する多孔性材料において認められる付着比の関数として容易
に決定することが出来る。
これらの2つの具体例における工程a)の水性懸濁液は、好ましくは及び適当
に、増粘剤(用いるならば)に加えて、下記を含む:
− 100乾重量部のアスベスト繊維;
− 35〜50乾重量部のシリカベース誘導体;
− 30〜40乾重量部のフッ素化ポリマー。
本発明の方法において、好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤を含む懸濁
液を用いる。
界面活性剤は、一般に、アスベスト繊維100重量部当り0.5〜10、好ま
しくは0.6〜5重量部の量で存在する。
界面活性剤は、好ましくは、非イオン性である。
有利には、用いる界面活性剤は、上記のものである。
我々は、この方法を用いて、長期にわたって安定な十分な電気的及び水力学的
特性を有する微孔性隔膜を調製することが出来ることを示した(これは、ブライ
ン電解ユニットにおける40A/dm2以上の高電流密度でのこれらの隔膜の使
用中に役に立つように見える)。生成した隔膜を、陰極液中の高い苛性ソーダ濃
度(140〜200g/l以上のオーダー)で用いて、有効エネルギ
ー消費を最終的苛性ソーダ濃度に制限することが出来る。
上記のように、工程a)中に調製した懸濁液は、増粘剤を含んでよい。
詳細には、増粘剤の量は、アスベスト繊維100乾重量部当り0〜1.5乾重
量部未満であってよい。
好ましくは、増粘剤の量は、上記基準に関して0〜1重量部である。
これらの増粘剤は、一般に、天然又は合成の多糖類から選択する。好ましくは
、これらの増粘剤を天然の多糖類例えば、炭化水素を微生物を用いて発酵させる
ことにより生成されるバイオガム等から選択する。かかる化合物の例は、キサン
タン、ゲラン、ラムサン及びウェランガムである。
我々は、かかる量の増粘剤が(特に好適範囲内で)工業的規模での隔膜の製造
に特に適していることを発見した。これらの増粘剤(懸濁液が含む場合)の濃度
は、懸濁液を安定させて、工業的目的に適合し得る付着時間を維持しつつ均質な
隔膜を付着して生成させる。
市販のアスベスト繊維は、付着させる懸濁液において有利に用いられる。1〜
5mm長の及び1mm未満の長さの温石綿アスベスト繊維が特に好適である。
これらの材料の結合剤は、フッ素化ポリマーにより構成される。
用語「フッ素化ポリマー」は、少なくとも部分的に、
フッ素原子で置換された又はフッ素原子と塩素、臭素又はヨウ素の少なくとも1
つの原子との組合せで置換されたオレフィンモノマーから導かれるホモポリマー
又はコポリマーを意味する。フッ素化ホモポリマー又はコポリマーの例は、テト
ラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン
及びブロモトリフルオロエチレンから導かれるポリマー及びコポリマーである。
これらのポリマーは又、少なくとも炭素原子と同数のフッ素原子を含む他の不
飽和エチレン様モノマー例えばビニリデン(ジ)フルオリド又はビニル若しくは
ペルフルオロアルキルエステル(例えばペプルルオロアルコキシエチレン)から
導かれる単位を75モル%まで含み得る。
フッ素化ポリマーは、有利に、一般に30〜70%の乾燥ポリマー(粒度測定
0.1〜5ミクロメートル、好ましくは0.1〜1ミクロメートル)を含む水性
分散形態である。
ポリテトラフルオロエチレンは、用いた好適なフッ素化ポリマーである。
用語「シリカベース誘導体」は、沈降シリカ及び燃焼若しくは熱分解シリカを
意味する。
これらの用いたシリカは、有利に、100〜300m2/gのBET比表面積
及び/又は1〜50ミクロン(好ましくは1〜15ミクロン)の粒度測定(COUL
TER
(登録商標)メーターにて評価)を有する。
これらの誘導体は、本発明において用いる量で使用するときには微孔性材料を
弱くしない優れたポロジェン(porogen )として作用する。これらの誘導体は又
、結合剤を構成するラテックスに対するネットワーク形成剤としても作用する。
この方法の工程a)において調製した水性懸濁液は、アスベスト繊維100重
量部当り500〜10,000重量部の水を含む。
電気分解用に用いる場合、この隔膜は、好ましくは、微孔性隔膜(即ち、実質
的にシリカベース誘導体を含まない隔膜)の形態である。
本発明の方法は、次いで、シリカベース誘導体を除去するために工程e)を含
む。
これらのシリカベース誘導体は、アルカリ媒質中での反応によって除去するこ
とが出来る。シリカベース誘導体を、電気分解用に用いる前に除去することが出
来る。しかしながら、シリカベース誘導体を電解ユニット中で、電気分解の最初
の数時間に、それらをアルカリ媒質中で溶解することにより「その場で(in sit
u )」除去するのが実際的であり且つ有利である。
従って、この処理は、濃度20〜200g/l、温度20〜95℃の水酸化ナ
トリウム水溶液と接触して有利に行なわれる。
この発明の方法においては、該懸濁液の多孔性材料を
通してのプログラムされた真空濾過により被覆を形成する。この多孔性材料は、
1μm〜5mm、好ましくは20μm〜2mmの穿孔若しくは多孔度のメッシュ
サイズのガーゼ及び/又はスクリーンであってよい。
この発明の隔膜をアルカリハリド用の一層詳細には塩化ナトリウム用の電解ユ
ニットで用いるときは、この多孔性材料は、電解ユニットの素(elementary)陰
極を構成する多孔性金属表面であってよい。これらの素陰極は、一般に「グロー
ブフィンガー」として知られる開いた面を与える1つ以上の平面又は円筒状表面
を有してよい。
一好適具体例においては、隔膜を付着させる前に、陰極をプレカソード被覆で
覆う。
この前の工程は、1μm〜5mm好ましくは20μm〜2mmのメッシュサイ
ズ又は穿孔を有する金属表面により構成された素陰極を通しての繊維(少なくと
も一部は電気伝導性である)、粒子形状のフッ素化ポリマーベース結合剤及び添
加剤(適宜)の水性懸濁液のプログラムされた真空濾過、それに続く液体媒質の
除去、形成された被覆の乾燥(必要ならば)及びその被覆の焼結(適宜)により
行なう。
結合剤がこの発明の方法の工程a)で調製した懸濁液中の結合剤と異なるとき
は、プレカソード被覆を好ましくはこの方法のこの段階で焼結するだけである。
従って、生成したプレカソード被覆は、本発明の方法
の工程a)で調製した懸濁液を通して濾過することの出来る多孔性材料を含む。
上記のプレカソード被覆中の補足的な技術的詳細及び変化は、欧州特許出願E
P−A−O 132 425及びEP−A−O 412 916に詳細に記載さ
れている(前記の素陰極の更なる記載を避けるために、これらの欧州出願の主題
事項を参考として本明細書中に援用する)。従って、これらの添加剤は、上述の
ごとき隔膜用のシリカベース誘導体であってよく、ラニー金属及びラニー合金(
容易に除去し得る金属の主要部分は除去される)及びそれらの混合物により構成
される群から選択する電気触媒(electrocatalytic agent)であってよい。
上述の真空プログラム(プレカソード被覆の付着用及びこの発明の隔膜用の両
方)は、大気圧から最終圧力(0.01〜0.5絶対バール)まで連続的にも又
は段階的にも実施することが出来る。
上述の焼結(又は強化)工程は、一般に、フッ素化ポリマー(上記の被覆用の
結合剤)の融点又は軟化点より高温で行なう。
下記の実施例は、この発明を範囲を限定せずに説明する。
下記の説明中で引用されるパーセンテージは、別の指示がない限り重量パーセ
ンテージである。
実施例
これらの実施例では、下記の方法を用いて隔膜を調製した:
懸濁液を、撹拌しながら、下記より調製した:
A − 脱イオン水(その量は、4リットルの懸濁液及び約4.5%の抽出物を
得るように計算した);
B − Zgの界面活性剤;
C − 100gの1mm長未満のクリソライトアスベスト繊維;
D − 約60重量%の乾燥抽出物のラテックス形態のポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)Xg;
E − YgのTixosil 33 J(登録商標)(RHONE-POULENCより製造販売されて
いるシリカ)。
この懸濁液を少なくとも24時間放置した。この懸濁液を使用前に30分間撹
拌した。
付着させて隔膜を形成することを意図した乾燥物質の量を含んだ容積の溶液を
用いた(1〜2kg/m2のオーダー)。
後述のようにプレカソード被覆を付着させた陰極上でプログラムされた真空濾
過を行なった。
排気を開始して、約800mバールの圧力に達するまで圧力を50mバール/
分で減じた。
真空を800mバールで15分間維持した。
次いで、もし必要ならば約100℃で乾燥した後に、この陰極と隔膜とのアセ
ンブリーを、約1時間半の全期間にわたって約315℃の温度の段階を伴って約
350℃にすることにより、このアセンブリーを焼結した。
次いで、このシリカを苛性ソーダ電解質におけるアルカリ反応によって、電気
分解の初めに除去した(「その場で」の除去)。
プレカソード被覆を次のように調製した:
30gの1mm長未満のアスベスト繊維及び82mlのトリトンX100(登録
商標)(40g/l、ROHM &HAAS)を7リットルの脱イオン水中に撹拌しながら
導入した。
70gのグラファイト繊維(約1.5mmの単分散長のもの)、35gのPT
FEラテックス、100gのTixosil 33 J(登録商標)、2.1gのキサンタン
ガム及び60.5gのラニーニッケルを撹拌後に加えた。
この懸濁液を約48時間放置した。
この懸濁液を2mmのメッシュサイズの金属スクリーン上に付着した。
排気を開始して、約200〜300mバールの圧力に達するまで圧力を10m
バール/分で減じた。
真空を200〜300mバールで15分間維持した。
乾燥を120℃で1時間行なった。
特性を測定するために用いた電解ユニットは、下記の特徴及び運転条件を有し
た:
− RuO2−TiO2で被覆した伸長した金属陽極;
− 陰極(下記の説明参照)
− 電極間距離 7mm;
− 有効表面積 0.5dm2;
− 強度 12.5A;
− 陽極区画中へのブライン供給 305g/l(陽極液中の塩素濃度は一定に
4.8モル/lに維持した);
− セル温度 85℃。
実施例中に与えた表中で:
− 透過性は、陽極及び陰極区画間で認められた単純高度差として計算した一区
画から他への電解質の流れであり、
− ΔU(ボルト)は、12.5Aにおける電解装置末端での電圧である。比較例1〜3
次の懸濁液を調製した:
X = 20gのPTFE;
Y(変化する):20、23及び27gのシリカ;
Z = 1.2gのROHM&HAASのトリトンX100(登録商標)(30mlの4
0g/lのトリトンX100)。
従って、これらの例は、比較的低PTFE含量のために不適当なシリカ濃度を
含んでいる。
この多孔性材料を構成するプレカソード被覆における
付着比は100%であった(単純物質収支:X線蛍光及び/又は重量測定による
元素F、Mg及びSiの測定により計算した付着比)。
これらの結果を下記の表1にまとめる。実施例4及び5
次の懸濁液を調製した:
X = 20gのPTFE;
Y(変化する):30及び50gのシリカ;
Z = 1.2gのROHM&HAASのトリトンX100(登録商標)(30mlの4
0g/lのトリトンX100)。
この多孔性材料を構成するプレカソード被覆における付着比は100%であっ
た(単純物質収支:X線蛍光及び/又は重量測定による元素F、Mg及びSiの
測定により計算した付着比)。
これらの結果を下記の表1にまとめる。
比較例1、2及び3から得た結果は、水力学的及び/又は電気的特性が不十分
であったことを示している。
PTFE/シリカ比が0.4のとき(実施例5)には、ΔU及び透過性は、こ
の比が0.67であったとき(実施例4)よりも、たとえ収率が同等であっても
、一層不十分であったことも又わかる。後者の実施例4から得られた結果は良好
に見えたが、不十分なPTFEのために臨界域であり且つ狭い有効域であった。
実施例6〜11
次の懸濁液を調製した:
X(変化する):15、30及び40gのPTFE;
Y = 30gのシリカ;
Z = 1.2gのROHM&HAASのトリトンX100(登録商標)(30mlの4
0g/lのトリトンX100)。
従って、実施例6及び7は、懸濁液中にアスベスト繊維100g当り15gの
PTFEを含み、実施例10及び11は1.33のPTFE/シリカ比を有した
。それ故、これらの指定した実施例は、比較例であった。
この多孔性材料を構成するプレカソード被覆の付着比は100%であった(単
純物質収支:X線蛍光及び/又は重量測定による元素F、Mg及びSiの測定に
より計算した付着比)。
これらの結果を下記の表2にまとめる。
実施例6及び7における低PTFE含量は、高い、不安定な透過性を生じたが
、すべてのリスクのうち特に、電気分解の数時間後に隔膜を弱くする(観察され
た結果であるが表から明白ではない)ので、工業的開発には不適当であった。
しかしながら、PTFE含量が高く且つPTFE/シリカ比が1.33である
とき(実施例10及び11)には、隔膜は疎水性の性質(高電圧及び低透過性)
を有し苛性ソーダ収率は低く且つエネルギー消費は高かった。
実施例12
長時間電気分解試験:
次の懸濁液を調製した:
X = 25gのPTFE;
Y = 35gのシリカ;
Z = 1.2gのROHM&HAASのトリトンX100(登録商標)(30mlの4
0g/lのトリトンX100)。
この多孔性材料を構成するプレカソード被覆の付着比は100%であった(単
純物質収支:X線蛍光及び/又は重量測定による元素F、Mg及びSiの測定に
より計算した付着比)。
1.59kg/m2が付着した。
長時間試験中における隔膜の水力学的及び電気的特性は十分であった。
苛性ソーダ濃度は、運転の最初の300時間にわたって2モル/lから5モル
/lに前進的に変化した。
この試験を、苛性ソーダ生成を5N±0.2Nの濃度に維持して、2500時
間続けた。
約800時間の転移フェーズ(その間に透過性は僅かに増大し且つ張力は最小
を通り過ぎた)の後に、特性は試験の終了まで安定化し、それは次の通りであっ
た;
NaOH = 5N±0.2N;
電圧 = 3.25V;
透過性:適当;
5N苛性ソーダの収率=89〜90%;
エネルギー消費:塩素1トンの生成当り2700〜2750キロワット時。実施例13〜15
界面活性剤の影響
次の懸濁液を調製した:
X = 20gのPTFE;
Y = 30gのシリカ;
これらの実施例は、界面活性剤の性質及びその懸濁液中の濃度を改変した。
従って、これらの実施例においては、トリトンを全面的に又は部分的にアニオ
ン性界面活性剤スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(sulfimel)で置き換えた
。同じ重量:1.34kg/m2が付着した。
この多孔性材料を構成するプレカソード被覆の付着比は100%であった(単
純物質収支:X線蛍光及び/又は重量測定による元素F、Mg及びSiの測定に
より計算した付着比)。
これらの結果を下記の表3にまとめる。
表中のsulfimel/トリトン比は、重量比である。
従って、sulfimelは、流れ抵抗及び電気抵抗の増大の両方に貢献している。実施例17〜30
2mmメッシュサイズの金属スクリーンを「グローブフィンガー」形状の20
m2の表面積を有するHooker S3B(登録商標)電解ユニットに置き換えて、前述
の実施例の方法に従った。
この工業的運転は、PTFE及びシリカの付着比の減少を生じ、それらはそれ
ぞれ80%及び90%であった(付着比は、懸濁液バス中の単純物質収支:元素
F、Mg及びSiのX線蛍光による測定により計算す
る)。
強度は34kAであった。
懸濁液中の乾燥物質含量は、約4.1%であった。
これらの組成物、条件及び結果を下記の表4にまとめる。
付着した重量は、プレカソードの乾量(約5kg)及び付着した隔膜のそれに
相当した。
「bis」と記した実施例は、同じ番号の実施例で単に付着した重量が異なるも
のである。
実施例31〜33
次の懸濁液を調製した:
X = 50gのPTFE;
Y(変化する):30、50及び70gのシリカ;
Z = 1.2gのROHM&HAASのトリトンX100(登録商標)(30mlの4
0g/lのトリトンX100)。
この多孔性材料を構成するプレカソード被覆の付着比は100%であった(単
純物質収支:X線蛍光及び/又は重量測定による元素F、Mg及びSiの測定に
より計算した付着比)。
従って、50gのPTFE及び30gのシリカに対応する実施例は、PTFE
/シリカ比が1.7であったので、比較例であった。
これらの結果を下記の表5にまとめる。
PTFEに関しての低シリカ含量は、非常に低い透過性及び非常に高い張力を
生じた。苛性ソーダ収率は非常に低く且つ3.3〜4.5Nの濃度の苛性ソーダ
生成は(1.3kg/m2の付着重量につき)不可能であった(陽極及び陰極区
画間の水力学的負荷の許容範囲を採用)。
実施例34及び35
これらの試験は、懸濁液を付着させて隔膜を生成するのに要する時間(ラン−
アウト時間)を測定した。
次の懸濁液を実施例1に従って、撹拌しながら調製した:
B = 1.2gのROHM&HAASのトリトンX100(登録商標)(30mlの4
0g/lのトリトンX100);
C = 100gのアスベスト繊維;
D = 25gのPTFE;
E = 30gのシリカ。
実施例34についての懸濁液は、更に、1.5gのキサンタンガムを含んだ(
実施例35のそれは含まなかった)。
懸濁液を、欧州特許出願EP−A−O 296076の実施例7に従って調製
したバルク陰極を通してのプログラムされた真空瀘過によって下記のように瀘過
した:
− 大気圧に関して−5〜−10mバールの相対圧力に1分間;
− 50mバール/分の速度で減圧。
測定したラン−アウト時間は、実施例34については40分間であり実施例3
5については5分間であった。
これらの結果は、アスベスト繊維100重量部に関して1.5重量部未満のキ
サンタンガムの量は、工業的利
用の可能なこの発明による隔膜の製造方法を得るために好ましいということを示
している。
【手続補正書】
【提出日】1995年1月30日
【補正内容】
請求の範囲
1.多孔性材料上に付着させた下記を含むことにより特徴付けられる隔膜:
− 100重量部のアスベスト繊維;
− 30〜70重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60重量部のフッ素化ポリマー;
(ここに、フッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比は、0.6〜
1.2好ましくは0.6〜0.9であり、但し、100乾重量部のアスベスト繊
維、30乾重量部のシリカベース誘導体、25乾重量部のフッ素化ポリマー及び
1.5乾重量部の増粘剤を含む懸濁液を付着させることにより得られる隔膜を除
く)。
2.多孔性材料上に付着させた下記を含むことにより特徴付けられる隔膜:
− 100重量部のアスベスト繊維;
− 30〜70重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60重量部のフッ素化ポリマー;
(ここに、フッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比は、0.6〜
1.2好ましくは0.6〜0.9であり、この隔膜は、増粘剤を、アスベスト繊
維100乾重量部当り1.5乾重量部未満の量で適宜含む懸濁液を付着させるこ
とにより得られる)。
3.微孔性材料が素陰極を構成する多孔性金属表面であり、該素陰極がプレカソ ード被覆で被覆された、前記の 請求の範囲の何れか1つに記載の隔膜
。
4.実質的に下記の工程を含むことを特徴とする、請求の範囲第1項及び2〜3 項の何れか1つに記載の隔膜の製造方法: a)下記(並びに、必要ならば増粘剤)を含む水性懸濁液の調製:
− 100乾重量部のアスベスト繊維;
− 30〜60乾重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60乾重量部のフッ素化ポリマー; b)該懸濁液の多孔性材料を通してのプログラムされた真空濾過により被覆を付 着させ、 c)液体媒質を除去して、形成された被覆を乾燥し、 d)その被覆を焼結する (調製した懸濁液は、生成した隔膜が、工程c)の後で、0.6〜1.2好まし くは0.6〜0.9のフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を 有するようにフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を有し、但 し、100乾重量部のアスベスト繊維、30乾重量部のシリカベース誘導体、2 5乾重量部のフッ素化ポリマー及び1.5乾重量部の増粘剤を含む懸濁液を付着 させることにより得られた隔膜を除く)
。
5.実質的に下記の工程を含むことを特徴とする、請求の範囲第2〜3項の何れ か1つに記載の隔膜の製造方法: a)下記を含む水性懸濁液を調製し:
− 100乾重量部のアスベスト繊維;
− 30〜60乾重量部のシリカベース誘導体;
− 20〜60乾重量部のフッ素化ポリマー;
− 0〜1.5乾重量部未満の増粘剤; b)該懸濁液の多孔性材料を通してのプログラムされた真空濾過により被覆を付 着させ、 c)液体媒質を除去して、形成された被覆を乾燥し、 d)その被覆を焼結する (調製した懸濁液は、生成した隔膜が、工程c)の後で、0.6〜1.2好まし くは0.6〜0.9のフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を 有するようにフッ素化ポリマーのシリカベース誘導体に対する重量比を有する)
。
6.工程a)における水性懸濁液が0〜1.5乾重量部未満の増粘剤を含む、請 求の範囲第4項に記載の製造方法
。
7.微孔性材料が1μm〜5mmのメッシュサイズ又は穿孔を有する微孔性金属 表面であり、工程b)の付着の前にプレカソード被覆を付着させる{一部が電気 導体である繊維、粒子形態のフッ素化ポリマーベースの結合剤、及び添加剤(適 宜)の水性懸濁液の金属表面を通してのプログラムされた真空濾過と、その後の 液体媒質の除去、形成された被覆の乾燥(適宜)及び被覆の焼結(必要ならば) により行なう}、請求の範囲第4〜6項の何れか1つに記載の方法
。
8.請求の範囲第4〜7項の何れか1つに記載の方法の工程を用いた後で、シリ カベース誘導体を除去するための工程e)を行ない、該シリカベース誘導体の除 去をアルカリ媒質中での反応により行なう、微孔性隔膜の製造方法
。