JPH08501103A - メタロポルフィリン組成物 - Google Patents

メタロポルフィリン組成物

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JPH08501103A JP6507464A JP50746494A JPH08501103A JP H08501103 A JPH08501103 A JP H08501103A JP 6507464 A JP6507464 A JP 6507464A JP 50746494 A JP50746494 A JP 50746494A JP H08501103 A JPH08501103 A JP H08501103A
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Abstract

(57)【要約】 ウイルスアスパルチルプロテアーゼを選択的に阻害し、AIDS等の感染症の治療及び固体腫瘍の治療における使用に有用な、カルボラン置換ポルフィリン化合物を提供する。本発明の特に好ましい態様は、水溶性であって経口投与に好適な、2,4-ビス−〔α,β−(1,2-ジカルバクロソドデカボランカルボキシ)エチル〕ジュウテロポルフィリンの金属又は遷移金属との錯体の二カリウム塩である。

Description

【発明の詳細な説明】 メタロポルフィリン組成物技術分野 本発明は一般にポルフィリンに関し、更に具体的には、ピロール環の2位及び 4位に疎水性グリコール誘導体置換基を有し、金属と錯体を形成しているポルフ ィリンに関する。 本発明は、ここでともに譲渡する1990年11月21日に出願した米国出願番号07/6 16,679の一部継続出願である。 本発明は合衆国国立衛生研究所により付与された承認番号CA-37961及びGM-395 52の下で政府の援助により成された。合衆国政府は本発明について一定の権利を 有する。背景技術 発明者ミウラ及びゲーブルの1990年9月25日に付与された米国特許第4,959,356 号明細書には、ホウ素中性子捕獲理論(BNCT)にホウ素化ポルフィリン化合物を使 用することが記載されている。同様の化合物について、ミウラらの文献Tetrahed ron Letters,31,(16),2247-2250(1990)に記載がある。ミウラにより記載された ホウ素化ポルフィリンは、水溶性ではないとミウラが報告しているビニルカルボ ラン(vinyl carborane)部分を有する。そこでミウラはボランケージ(borane cag e)を開いたに違いない。しかし、ボランケージを開くことにより、化合物は更に 著しい毒性を示す。更に、得られる開ケージ(open-cage)化合物は、アジュバン ト物質(ポリエチレングリコール等)を用いることなく投与し得るに十分な程に はなお水溶性ではない。また、ミウラらにより記載の化合物は、生理学的に有用 な形態(K+塩)においては、(最高で)その19重量%がホウ素である。このこ とは、許容され得るポルフィリン単位の量により、ヒトへの投与限界が決定され ることから、短所である。 一般には中性子捕獲治療(NCT)、更に具体的にはホウ素中性子捕獲治療(BNCT) に加えて、更に癌治療におけるポルフィリンの使用が、一般に光力学的治療(PDT ) と呼ばれる治療方法である。Comprehensive Therapy,43-55(1988年5月)中のデラ ニーとグラットシュタイン(Glatstein)の報文には、光活性化された光合成物が 基底状態の分子酸素と相互作用することにより(一重項酸素を通じて)反応性酸 素種を得る、前記治療方法が記載されている。多くの構造型のポルフィリンが広 範な悪性腫瘍を限局化することから、この限局化が過去数年間で米国内のみで30 00人以上の患者(全世界ではその倍)のPDTによる治療の基礎を形成している。 光力学的治療を通じて、比較的進行した段階の皮膚、膀胱、及び肺癌、及び生殖 系の癌の患者について、高比率で完全応答(腫瘍の消滅又は生検証明)が得られ てきた。 後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質であると考えられているヒト免疫不全 ウイルス(HIV)が、世界中に急速に拡散したことにより、抗レトロウイルス治療 の熱心な研究が促された。デスヤーレイス(Des Jarlais)らは、『ヒト免疫不全 Iプロテアーゼについての非ペプチド阻害剤の構造を基礎とするデザイン』(Pro c.Natl.Acad.Sci.USA,87,6644-6648(1990))において、HIV阻害剤に関するいくつ かの方策について述べている。 発明者ディクソンらの1992年4月28日に付与された米国特許第5,109,016号明細 書には、ポルフィリン及び特定のポルフィリン類似化合物によりヒト免疫不全ウ イルスの複製を阻害するとされる組成物について記載されている。これらの化合 物については、スクリーニング法として逆転写酵素の阻害に関して試験してHIV の阻害を決定している。しかし、HIV-1は所謂「非ヌクレオシド逆転写酵素阻害 剤」に対して急速に抵抗性となるため、HIV-1に対して初期成功を収めた多くの 医薬が重大な短所を有することが、1992年7月下旬にアムステルダムで開催され た第8回AIDS国際会議の間のいくつかの発表において示唆された(C&EN,70:34,26- 31 (1992年8月24日)参照)。活性部位以外の部位と結合する非ヌクレオシド誘導 体(非競合阻害)の例としては、ポーウェルズ(Pauwels)らのネイチャー,343,4 70-474(1990)参照。しかし、この誘導体に対する抵抗性は急速に発達する。 HIVの治療又は予防については、1992年7月7日に付与された米国特許第5,128,3 19号があり、HIVに対し免疫するのに有用とされる組成物について開示 している。該組成物は、HIVタンパク質の保存領域部分に対応する配列を有する 。また、1992年7月21日に付与された米国特許第5,132,291号明細書には、AZTの 抗ウイルス効果を強化する方法が記載されている。 現在AIDS治療に使用されているAZTは、レトロウイルス酵素逆転写酵素を阻害 し、「ヌクレオシド」逆転写酵素阻害剤である。しかし、ラーダーとケンプのサ イエンス,246,1155-1158(1989)に記載のように、医薬が逆転写酵素の活性部位 に到達したとしても、慢性治療におけるAZTに対する抵抗性は増加する。これは 、HIV-1感染に対抗し得ると完全に認定された2種類の医薬のうちの1つである 。3'-アジド-3'-デオキシチミジン(AZT)であるジドブジン(zidovudine)、及び2' ,3'-ジデオキシイノシン(DDI)は、ともにHIV-1のRNAゲノムのDNA複写の合成を触 媒する酵素であるHIV-1逆転写酵素に干渉する、ヌクレオシド類似体である。他 のヌクレオシド類似体である2',3'-ジデオキシシトシン(DDC)が、一部の患者に おいてHIV-1に対して有効であることが示され、限定された使用について認めら れている。 最近の他のアプローチは、レトロウイルスプロテアーゼを対象としてなされて いる。かくして、アショーン(Ashorn)らのPNAS,87,7472-7476(1990)には、実験 的医薬(「U-75875」と呼ばれる)について記載されている。しかし、この実験的 医薬は、吸収されにくく、急速に体内から排除されること等の理由から、さほど 生物学的利用性がないことが見出された。発明の開示 本発明のポルフィリン化合物は、好ましくは次の一般式で表される構造を有す る。 (式中、R及びR1の各々は−H、−OH、又は−O−COR3から選ばれ、R及 びR1のうち少なくとも1つは−O−COR3であり、R3は好ましくはカルボラ ンであり、R2は−H、1〜約7個の炭素原子を有するアルキル又はアリール、 又は生理学的に許容されうる塩であり、R4はHであるが、更に好ましくは金属 又は遷移金属である。) 特に好ましいポルフィリン化合物は、マンガン、銅、又はコバルトと錯体を形 成している2,4-(α,β−ジヒドロキシルエチル)ジュウテロ−ポルフィリンIX のテトラキスカルボランカルボキシレートエステルである。図面の簡単な説明 図1は阻害定数(Ki)が140±25nMである実施例の1つによる阻害のディクソン プロットであって、阻害の競合モードと一致しており、HIV-1プロテアーゼに対 する結合強度を示す。発明を実施するための最良の形態 概ね、本発明は、基本構造が次の一般式Pで表されるポルフィン先駆物質を含 むか又はそれからなると考えられる医薬の組成物又は治療方法に関する。 ポルフィンは、言うまでもなく、ポルフィンのピロール環のいくつかの水素を 置換する側鎖及びメチル基を有するポルフィリンの親(又は核)物質である。本 発明の化合物は、好ましくは、ポルフィンのピロール環の2個以上においてピロ ール環の2位又は4位に置換基を有する。これらのピロール環の2位又は4位の 置換基の少なくともいくつかは、好ましくはグリコールの疎水性の誘導体である 。 本発明の好ましい態様は、次の一般式1で表される構造を有する。 (式中、R及びR1の各々は−H、−OH、又は−O−COR3から選ばれ、R及 びR1のうち少なくとも1つは−O−COR3であり、R3はカルボラン又は置換 又は未置換フェニル(置換基はニトロ、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、又はニト リル等である)、置換又は未置換ナフチル(置換基はフェニルについて記載した もの等である)、又は嵩高な(bulky)アルキル又はアリール基等の他の疎水基で あり、R2は−H、1〜約7個の炭素原子を有するアルキル又はアリール、又は 生理学的に許容されうる塩であり、R4はH、金属又は遷移金属である。) 特に好ましい本発明の態様は、R3がカルボラン、最も好ましくはクロソカル ボラン(closo-carborane)であり、R4が金属イオン(Zn(II)等)、又はMn(III)、C u(II)、又はCo(II)等の遷移金属の場合である。金属の存在は、例えば光に対す る感度について分子を安定化することに寄与する。 1個以上の炭素原子が電子非局在化ホウ素のフレーム構造の要部として存在す るホウ素ケージ系を有する化合物は、その一般名を「カルボラン」とされ、この 用語は閉多面体及び開ケージの両方の構造を含む。炭素がリガンドとして存在す るというよりもケージそのものの一部であることから、カルボランはアルキルボ ラン等の他の有機ホウ素種と区別される。これらの電子欠陥ホウ素ケージ化合物 についての初期の専攻文献はグリムスによる『カルボラン』(Academic Press(19 70))であり、本発明が関連するものを含むカルボランの命名法、構造、合成、及 び特性について記載している。3種以上の異性体形態において単離された、一連 の安定な12原子多面体ホウ素ケージ系が存在する。本発明の2種の特に好まし いケージ系異性体は1,2-C2B10H12異性体及び1,7-C2B10H12異性体(後者は「HCB1 0 H10CH」と表される場合もある)である。 本発明の態様について特に好ましいのは、Rがクロソカルボランの場合であ り、最も好ましくは1,2-二十面体異性体又は1,7-二十面体異性体であって置換さ れているか又は未置換のものである。置換基の例としては、例えばカルボキシル 基があり、これはポルフィリン化合物の溶解性向上に望ましい。1,2-二十面体異 性体及び1,7-二十面体異性体の物性は同様のものである。 開ケージカルボランは、他の場合には実質上無毒な化合物の毒性を著しく増加 させることとなるので、クロソカルボランが特に好ましい。閉ケージ及び開ケー ジ系は、一般に各々接頭辞「クロソ」及び「ニド」により示される。 ビスグリコール置換基をテトラエステルに転換することは、そのサイズ及び好 ましい部分についての立体障害を考慮すると意外である。ジエステルカルボラン (ポルフィリン環の各々2位及び4位のRがヒドロキシル又は水素である場合等 )を得ることのみを望む場合には、ピリジン又はトリメチルアミン等の一般的な アシル化剤を使用することができる。しかし、「BOPP」と名付けた特に好ましい 態様を製造する際のように、テトラエステルが望ましい場合においては、ビスグ リコールの転換は超アシル化(hyper-acylation)試薬としてp-ジメチルアミノ ピリジン(DMAP)を使用することに極めて依存する。 特に好ましい態様は、安定で、かなり水溶性であり、多数のホウ素原子(40) を有する実質上無毒な化合物が望ましい場合に、特に有用である。ホウ素原子が 多数であることは、例えば固体(solid)腫瘍を中性子捕獲治療(NCT)との組合 わせで治療する場合に有用であると考えられる。カリウム塩形態の場合には、BO PP態様は非常に水溶性が高く、約100〜200mg/ml以上の濃厚物に容易に調製でき 、化合物は尚高い親油性を維持している。このBOPP態様はまた「2,4-ジ(α,β −ジヒドロキシルエチル)ジュウテロポルフィリン(IX)のテトラキスカルボラ ンカルボキシレートエステル」又は「態様1」とも呼ばれる。 4分子の1,2-ジカルボクロソドデカボランカルボン酸でエステル化したBOPPを 使用する場合のように、態様をインビトロでのレトロウイルスアスパルチルプロ テアーゼの阻害に使用することが可能である。4個のカルボラン部分を全て除去 すると、アスパルチルプロテアーゼの阻害は大巾に低減される。しかし、4個の カルボランケージのうち2個のみを除去しても、HIV-1及びHIV-2プロテアーゼと の結合に殆ど影響しないことを見出した。このことは、4個のクロソカルボラン ケージのうち2個のみが、結合相互作用の大部分に関与していることを示唆する ものである。メタカルボラン異性体が約60分の1の強さで結合することから、カ ルボラン基の存在ばかりでなくその異性体配座が重要であることが示される。未 置換カルボランケージのCHにメチル基を加えることによっても、結合親和性は 大巾に減少する。 カルボランケージはHIVプロテアーゼと特異的な相互作用を有すると考えられ 、これにより分子と酵素との親和性は高くなる。ベンゾイル、アダマントイル、 あるいはβ−ナフトイルであっても、そのようなサイズは同様であるが更に疎水 性である基でカルボランケージを置換すると、IC50値が低ミクロモル範囲の阻害 剤となる。 本発明のポルフィリン分子は光感受性を有する傾向にあるが、遷移金属と錯体 を形成して安定化することが可能である。Co(II)又はCu(II)と錯化すると結 合は約10分の1に弱まるが、Mn(III)の添加の阻害への影響は2倍のみであるこ とから、8配位(hexacoordinate)のMn(III)が酵素と好ましいイオン相互作用 を形成し得ることが示される。 本発明の化合物については経口投与が好ましいが、i.v.又はi.p.投与も可能で ある。好ましいBOPPジカリウム塩エステル態様は実質上水溶性であり、従って経 口投与に好適である。100mg/kgのように1回分を投与することも、あるいは担 当医の指示の下に一定期間連続投与することも可能である。り病率又は死亡率に 有意差を示すことなくネズミに投与量200mg/kgで特に好ましい態様を与えるこ とができた。100mg/kgのi.v.食塊により本態様を受けたネズミは約1mMの濃度 のピークプラズマに曝された。これはインビトロ抗プロテオイル活性又はエック スビボ抗ウイルス活性に有効な濃度を遥かに超えるものである。従って、本発明 の実施の障害となる毒性は現れなかった。更に、特異性を決定する実験を行った 際に、特に好ましい態様が、レニン及びペプシン等の細胞アスパルチルプロテア ーゼに比べて、HIV-1、HIV-2及びサルのレトロウイルス、SIVアスパルチルプ ロテアーゼについて遥かに特異的であることが見出された。 本願明細書の記載に従って使用するポルフィリン化合物は、生物学的利用性が 大きい。以下に例示するように、デカペプチド基質の開裂(cleavage)をモニタ ーすることにより、HIV-1及びHIV-2プロテアーゼ活性に対する様々なポルフィ リン誘導体のインビトロ効果を調べた。試験を行った誘導体の多くはIC50測定に 必要な濃度まで緩衝液単独には溶解しないので、5%のDMSOを用いて溶解性を増 し、様々な化合物の結合親和性の公平な比較を可能とした。しかし、本発明によ る好ましい態様は阻害剤として使用する場合には水溶液に可溶であり、この好ま しい 態様はDMSOなしで検定した場合には実際に更に有効であった。 以下の実施例により本発明の側面を例示するが、説明のためのものであって限 定するものではない。 実施例6は金属錯体化合物である態様3、5及び6を用いた本発明の態様の調製の 詳細を与えるものである。実施例7はHIV-1及びHIV-2プロテアーゼをともに阻害 するための更に詳細な実験、及び細胞アスパルチルプロテアーゼとの比較実験に ついてのまとめを与えるものである。実施例1 ビスグリコールポルフィリンジメチルエステルの合成 乾燥プロトポルフィリンジメチルエステル(4.4g)を、1.6lのジオキサン及 び3.0mlのピリジンに暗所で溶解した。溶液をアルゴンで完全にバブリングして 酸素を除去した。四酸化オスミウム(4.0g)を200mlのアルゴン脱泡ジエチルエ ーテルに溶解し、ジオキサン−ポルフィリン溶液に添加した。溶液をArの下で 暗所で24時間十分に攪拌した。亜硫酸ナトリウム(8.8g)を160mlの蒸留し脱泡 した水に溶解し、溶液に添加した。スチームバス中で75℃に加熱して6時間反応 させた。反応溶液を53〜55℃に冷却し、1.5lの中ガラス漏斗を通して迅速に濾 過し、少量のジオキサンで洗浄した。濾液を真空中で蒸発させ、200ml及び750ml の水を攪拌しながら添加して、生成物を結晶化させた。結晶を1.5lの中ガラス 漏斗を通して濾過し、100mlの水で洗浄した。濾過された固体を200mlの15%メタ ノール/塩化メチレンに懸濁し、450mlのヘキサンを攪拌しながら添加して結晶 化を完結させた。必要に応じて、手順を繰り返して不純物を除去した。実施例2 2,4-ビス−〔α,β−(1,2-ジカルバクロソドデカボランカルボキシ)エチル〕 ジュウテロポルフィリン(IX)ジメチルの合成 ザカーキン(Zakharkin)らのAkad.Nauk SSSR,Ser.Khim.,1376(1967)、及び ザカーキンらのTet.Lett.,1147(1964)(本明細書に含まれるものとする)の方 法により、カルボランカルボン酸を合成した。簡単には、この方法はo-カル ボランをベンゼン中で1当量のn-ブチルリチウムで処理して、モノリチオ化合物 を生成することを含む。この種をCOと反応させてカルボキシレートのリチウ ム塩を得、これは酸性化の際に遊離カルボン酸を与える。酸塩化物への転化もザ カーキンらの方法により、PCl5のトルエン溶液を用いる。反応混合物の真空蒸留 により、塩化カルボランカルボニルが得られる。 実施例1で記載のように調製したビスグリコールポルフィリン(500mg、0.75 ミリモル)をドライ塩化メチレン(200ml)に溶解し、溶液をアルゴンでバブリ ングした。該溶液にo-カルボラニル酸クロリド(690mg、3.341ミリモル)を添加 した。溶液を攪拌し、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(371mg、3ミリモル) を溶液に添加した。溶液を室温で1時間攪拌し、水に注いだ。有機層を分離し、 希塩酸で3回、飽和炭酸水素ナトリウムで3回、水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム 上で乾燥した。酸性化及びヘキサン又はジエチルエーテルを用いた抽出により、 未反応カルボランカルボン酸をビカーボネート洗浄物から除去した。溶液を濾過 し、真空中で蒸発させて粗生成物を得た。100%塩化メチレンで展開することに より、分析TLCプレート上に3点のスポットを得た。最先のスポットはテトラカル ボラニルポルフィリンジメチルエステルであり、2つの遅いスポットは、各々ト リ−及びジ−カルボランエステルであった。粗生成物の塩化メチレン溶液をシリ カゲルパッドを通して濾過することにより、テトラカルボラニルポルフィリンジ メチルエステルを分離した。100%塩化メチレン(110ml)で洗浄し、蒸発乾燥さ せて、第1移動相を得た。塩化メチレン−ヘキサンからの結晶化の結果849mgを 得た。単離収率は80〜85%であった。上記調製法による本発明の態様(ジメチル エステル形態)を、略称として「BOPP」と名付けた。 ビスグリコールのテトラエステルへの転換は、超アシル化試薬としてp-ジメチ ルアミノピリジン(DMAP)を使用すること、及びビスグリコールと酸塩化物との 化学量的関係に極めて依存する。窒素塩基が存在しない場合のテトラエステル生 成物の形成速度は、少しでも形成されたとしても非常に遅い。DMAP試薬の代わり にピリジン又はトリメチルアミン(よく用いられる他の2種のアシル化試薬)を 使用した場合には、DMAP試薬を使用した場合に比べてテトラエステル形成は非常 に遅かった。しかし、テトラエステルよりもジエステル形態の調製が望ましい場 合 には、DMAPよりはむしろ他のアシル化試薬(TEA等)を用いるべきである。実施例3 2,4-ビス−〔α,β−(1,2-ジカルバクロソドデカボランカルボキシ)エチル〕 ジュウテロポルフィリン(IX)の合成 実施例2で記載のように調製したテトラカルボラニルポルフィリンジメチルエ ステル(300mg、0.224ミリモル)の100mlエーテル溶液に、25%の塩酸(100ml) を添加した。溶液を室温で一晩攪拌した。溶液を大量の水で洗浄した(酸を希釈 するため)。エーテル層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で蒸発さ せて、略称として「BOPP遊離酸」と名付けた本発明の態様であるテトラカルボラ ニルポルフィリン二酸を得た。収率は定量的。実施例4A 2,4-ビス−〔α,β−(1,2-ジカルバクロソドデカボランカルボキシ)エチル〕 ジュウテロポルフィリン(X)の合成 テトラカルボラニルポルフィリン二酸、即ち実施例3で記載のように調製した 「BOPP遊離酸」(150mg)を、20mlのTHFに溶解し、15mlの水を添加した。溶液を 200 〜400 ドライメッシュの1×10cmのカチオン交換樹脂に通した。溶出液を蒸 発させて水の比率を(水/THFが60/40となるまで)増加させ、再度イオン交換 樹脂に通した。最終溶出液を真空中で蒸発させて乾燥した。得られた二カリウム 塩は十分水溶性であった。この本発明の態様を、「BOPP」と名付けた。実施例4B 1,7異性体の合成 1,7-カルボランカルボニルクロリドに用いた方法とは以下の点において異なる が同様の方法により、BOPPの1,7 −クロソカルボラン異性体を調製した。1,2-カ ルボランの1,7-カルボランへの熱異性化を450 〜500℃で行った。グラフシュタ インとドボラクの無機化学,2,1128(1963)参照。熱分解システムを不活性キャ リアガスとともに使用した場合のこの方法の収率は95%近くであった。この方 法は10Bの豊富な1,2異性体を1,7異性体に転換する場合に好ましい。 実施例1〜4Aと同様の方法により、他の立体障害有機酸塩化物を用いて望ま しいR部分を組み込んだ。質量分析法、プロトン核磁気共鳴法、及びUV-可視 分光法により、全ての場合の特性決定を行った。実施例5 実施例2〜4Aで調製した構造を支持する証拠を、質量分析及び分光分析データ から得た。テトラエチレングリコールマトリクス中のBOPPジメチルエステルのLS IMSスペクトルは、表示質量134lに分子イオンクラスター(MH+)を示し、これは 組成式C48H83B40N4O12に対応する。この組成式の理論的分子イオンクラスターの 形は、1341に観察された15ピークイオンクラスターとほぼ一致した。同様に、BO PP遊離酸のLSIMSは、表示質量132lに組成式C46H79B40N4O12に対応する分子イオ ンクラスターを示し、その形は理論的分子イオンクラスターとほぼ一致した。ど ちらの質量スペクトルにおいても、カルボランカルボキシレートの損失に対応す るB10H11C3O2フラグメントの4個の連続な損失が観察された。CH2Cl2(10μM) 中のBOPPジメチルエステルの可視光スペクトルは、404(ソレー)、502、536、5 72、及び624nmのピークからなっていた。 BOPPジメチルエステルの300 MHzのプロトンNMRのデータのまとめを表1に示し た。 メソ−H及びβ−CH3基の4個の特徴的な共鳴の存在から、分子C2軸の欠落が 明らかに示されている。このことにより、スペクトル、特に側鎖を有するカルボ ラニルエステルの配座の詳細な分析が困難となっている。にもかかわらず、いく つかの特徴は明らかである。2個以上の特徴的で等価なカルボランCH環境が存在 し、これはおそらく第一及び第二アルコールエステル官能基の影響であろう。2 炭素側鎖プロトン、即ち、キラルメチン(Hα)及びプロキラルメチレン(Hβ )に対し、3個の共鳴が帰属された。7.68ppmに帰属されたHαは、2個の強く反 遮蔽する基、即ち、ポルフィリン(環電流)及びカルボラニルアシル(σ効果) を有する炭素に結合していることにより、強く反遮蔽されている。2個のHβ共 鳴は著しい(0.7ppm)ケミカルシフトの相違を有し、これは、最も安定な配座に よりHβのうちの一方がポルフィリン環上に位置することによって、もう一方に 比べて環電流による反遮蔽に曝される場合に起こり得る。 エチル側鎖に結合する基には、3種のとり得る配座がある。即ち、2種のゴー シュと1種のアンチである。メソポルフィリンIXジメチルエステルの結晶構造に 基づくコンピュータモデリングから、アンチ配座が全ての官能基について最も立 体障害の量が少ないはずであることが示唆された。α−カルボランエステルがポ ルフィリンから離れ約45゜の角度で下向きであるのに対し、β−エステルは上向 きであってポルフィリン上にある。この配座により、更にプロキラルHβプロト ンの一方が、ポルフィリン平面、メソ−H及びOαから成るポケット中に位置す ることとなり、もう一方のHβに比べて反遮蔽される可能性を高めている。しか し、1種のゴーシュ配座によっても、側鎖のいくらかの柔軟性、及び、同様のポ ケットからの一方のHβの反遮蔽がもたらされる。残りのゴーシュ配座において は、全てのJ-Jカップリング定数は大きいはずであり、モデリングはOβについ ての著しい立体障害を示している。実施例6 直前に記載した実施例と同様の方法により、多くの本発明の態様及び比較化合 物を調製した。表2にそのR、R、及びR部分を示す。 化合物2は実施例2に記載したジメチルエステル形態で調整し、実施例3のよ うに遊離酸に転換した。 化合物3、5、及び6は、以下に概説する一般的手法により調製したBOPPのメタ ロポルフィリン誘導体である。BOPPジメチルエステル(130mg/0.099ミリモル) を氷酢酸(9ml)に溶解し、微粉砕した無水マンガン(II)アセテート(50mg;0 .289ミリモル)を添加した。反応容器に緩やかに栓をし、溶液を暗所で20℃にお いて攪拌した。遊離塩基ポルフィリンの赤色蛍光特性の消失を観察することによ り、反応経過を分光光度的に追跡した。この赤色蛍光の全ての痕跡が消失した時 に(20時間)、エーテル(125ml)を溶液に添加した。他の溶液を同体積の水で 洗浄し(3回)、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で蒸発させた。固体生成物 をエーテル(30ml)に再溶解し、25%のHCl水溶液(30ml)を添加した。20℃で 一晩攪拌した後、混合物をエーテル(200ml)に注ぎ、水(500ml)で4回洗浄し た。エーテル層を再度乾燥し、濾過し、真空中で蒸発させて、純粋生成物を得た (166mg、収率75.1%)。 水溶性Mn(III)ポルフィリン二カリウム塩は5重量%の水を含むと概算される 。この化合物の吸収スペクトルからは、遊離塩基ポルフィリンの根拠は示されず 、368nm(logε=4.82)、418nm(sh)(4.36)、460nm(4.60)、546nm(3.98 )、及び579nm(sh)(3.82)のピークからなっていた。Cu(II)(化合物5)及 びCo(II)(化合物6)誘導体を、適切な金属塩を用いて、3と同様の方法により 調製した。それらのUV-可視スペクトルは化合物3と同様のものであり、ヘマトポ ルフィリン類のメタロポルフィリンの特徴を有していた。3と同様に、UV-可視ス ペクトル中にメタル化されていない遊離塩基ポルフィリンの根拠は認められなか った。 表2にまとめた12種の化合物について、次に以下のようにHIV-1の特異的阻害 に関して試験した。実施例7 組換えタンパク質の調製 組換えHIV-1プロテアーゼ(HIV-1 PR)を発現させ、E.coli菌株Dl210からpS OD/PR179ベクターを用いて単離した。組換えHIV-2プロテアーゼ(HIV-2 PR)及 びSIVプロテアーゼ(SIV PR)を発現させ、菌株X90からpTacTacベクターを用い て精製した。酵素検定 HIV-1、HIV-2、及びSIV PRを、不連続HPLC測定により、HIV-1 PRのC末端自 己プロセシング部位に対応するデカペプチドに対して検定した。組換えヒトレニ ン及びブタペプシンを得、標準条件を用いて検定した。ウシカテプシンD及びそ の色素原基質をシグマから購入した。酵素を標準方法により検定した。 100%DMSO中のポルフィリン誘導体の保存溶液(1μM−10mM)を、IC50測定 に用いた。カルボラン化合物の遊離酸形態を含む誘導体の多くは緩衝液単独には 不溶であるため、溶解性を向上し、結合親和性の比較を可能とするため、DMSOを 使用した。最終濃度が5%となるよう追加のDMSOを含有させた緩衝液に、化合物 を添加した。対照反応物は5%のDMSOのみを含むものとした。酵素を阻害剤とと もに25℃で1分間予め温置し、次に基質を添加して反応を開始させた。前記のよ うに、可能な場合にはDMSOなしで検定を行った。いくつかの阻害剤の二カリウム 塩は水溶液に可溶であり、DMSOなしでK及びIC50測定を行った。これらのIC50 データ(μM)は次の通りであった。 [NaCl]を1Mから0.3Mまで変化させることにより、本発明の態様3によるHI V-1 PRのの阻害の塩依存性についても試験たところ、阻害が塩濃度にはさほど 依存しないことが示された。HIV-1ポリプロテインプロセシングのエックスビボ検定 COS-7細胞のトランスフェクションによるベクターHIV-gptの安定組換えの結果 物はCOS A6細胞であった。このSV40ベースのベクターはHIV-1 HXB2菌株プロウ イルスゲノムからなるが、gp160配列はグアニジルホスフェートリボシルトラン スフェラーゼ(gpt)遺伝子で置き換えた。トランスフェクションに続き、ミコ フェノール酸を培地に添加することにより、gpt発現に関して細胞を選択した。 生き残った細胞を後にクローニングし、ELISA及び培養液の上澄みと全細胞抽出 物のウエスタンブロットにより、gag p24タンパク質の発現に関する検定を行っ た。クローニングしたCOS A6細胞系統を、10%の透析し再濾過したウシ胎児血清 (FCS)、抗生物質(100U/mlのペニシリンG、100μg/mlのストレプトマイシ ンスルフェート)、ヒポキサンチン(14μg/ml)、キサンチン(250μg/ml )、及びミコフェノール酸(25μg/ml)を補ったDME H21中に37℃及び5%CO で維持した。MTT細胞生存度検定 比色定量検定により細胞生存率を測定した。生細胞の活性ミトコンドリア中の デヒドロゲナーゼにより、テトラゾリウム塩3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イ ル)2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を開裂させ、黄色から紫へ の色変化を得た。各化合物についてLD50値を得るため、550 〜570 nmにおける吸 収が未処理細胞の半分となる濃度を決定した。0 〜0.1%DMSOの存在下で、一般 に10〜250μMの濃度範囲で連続希釈しながら化合物を繰返し試験した。10%FCS の存在下及び不在下で、MTT検定を行った。ホウ素化ポルフィリンの効力に対するアルブミンの効果 ポルフィリン化合物がアルブミンと結合することは公知であるため、本発明の 態様1がインビトロでHIV-1 PRを阻害する能力に対するウシ胎児血清の影響を 試験した。0.1%のFCSとともに温置することによる50nMの本発明の態様1の存在 下で通常観察される阻害の減少は50%以上であることが見出された。1時間以上 の温置において、培養培地中でのCOS A6細胞の増殖及び生存度は2%FCS以上であ ることを要するため、以下に記載のように、ダルベッコのホスフェート緩衝食塩 水(PBS)中の予備吸着を用いて、ポルフィリン化合物のポリプロテインプロセ シングに対する効果を試験することとした。COS A6細胞のホウ素化ポルフィリンによる処理 細胞を、10cmの皿中で75%全面成長させ、温PBSでリンスした。適切なDMSO中 で調製した2.5μlの保存溶液に2.5mlの温PBSを添加して、化合物の適切な希釈物 を調製した。この物質を慎重に細胞に添加し、15分間温置した。次に10%FCS及 び適切な化合物を含む2.5mlのDME培地を3.75時間添加し、その後にウイルスカプ シドの単離のために培養液の上澄みを除去した。超遠心分離によるウイルスカプシド単離 培養液の上澄みを3,000rpmで10分間回転させ、全ての沈殿及び細胞砕片を除去 した。20%のスクロースのPBS溶液4mlで上塗りされた60%のスクロースのPBS溶 液75mlからなるクッション上に、得られた上澄みを展開した。サンプルを、SW51 ベックマンローター中、35Krpmで4℃において1.5時間回転させた。ウイルスカプ シドはスクロースの20%溶液と60%溶液との界面に集まるため、底の500μlの溶 液を分取した。p24コア抗原ELISA活性 NEN/デュポンから購入したELISAキット(カタログ#NEK-060)を用いて、ウイ ルスカプシドサンプル中に存在するp24の量を測定した。この検定はp24を特異的 に検出し、その先駆物質は検出されない。検定は製造者の指示に従って行った。 得られた値はエックスビボIC50、即ち、検出可能なp24抗体の量を50%に減ずる 化合物の濃度を計算するのに用いた。 これらの実験結果を表3にまとめた。 表3のデータにより例示され説明されるように、2,4-(α、2−ジヒドロキシ ルエチル)ジュウテロポルフィリンIXのテトラキスカルボランカルボキシレート エステル(即ち、本発明の態様1)は、HIV-1及びHIV-2プロテアーゼを、各々IC50 値50及び230nMで阻害することが示された。この特に好ましい態様は、表4 により示されるように(データはDMSOの不在下で収集したものである)、細胞ア スパルチルプロテアーゼに対する場合に比べて60倍以上のHIV-1 PRに対する親 和性を有する。 図1は、HIV-1プロテアーゼの阻害における本発明の態様5(他の態様の典型 例である)のディクソンプロットである。この場合、1mMのジチオトレイット、 1mMのEDTA、及び1MのNaClを含む、pH5.5の50mMの酢酸ナトリウム緩衝液中で 、精製HIV-1プロテアーゼ(6×10-1mg/ml)を本発明の阻害剤とともに温置し た。1分後に基質ペプチドを添加して、示されている最終基質濃度とした。検定 溶液を37℃で30〜45分間温置し、HPLCで加水分解生成物を定量することにより、 酵素活性を測定した。 図1の結果の重要な点は、態様による酵素に対する結合のモードが示されてい ることにある。従って、本発明の態様はプロテアーゼの活性部位に結合する。 化合物の細胞傷害性(LD50)、及び、その4時間の温置の間のカプシドプロテ インプロセシングエックスビボの阻害能力(IC50)について実験した。HIV-1プ ロウイルスゲノムをコードするプラスミドは、gp150外被タンパク質の場合を除 き、サルの細胞系統COS 7に安定に導入された。クローニングした後代、即ち COS A6細胞は、構造的にウイルスカプシドを培地に放出する。ELISA検定により ウイルスカプシドサンプル中に存在するp24の量を測定して、ポリプロテインプ ロセシングの阻害を測定した。ウエスタンブロット中のp24成熟タンパク質バン ドの消失との関連で判断したHIV PR活性の特異的阻害を、検出可能なp24抗原の 量の減少と関連づけた。試験した全ての化合物についてLD50値を得るため、MTT 菌株検定を用いた。アルブミンの存在により、短期間(0.25〜4時間)の温置の 間の化合物のHIV-1 PR阻害能力が妨げられることが観察された。従って、IC50 値の測定は、濃度を低下したウシ胎児血清(FCS)の存在下で行った。しかし、C OS A6細胞の最適な増殖及び生存度には10%のFCSが必要とされ、FCSの不在下で 培養した場合には、<100μMの濃度において特定のポルフィリン誘導体がCOS A 6細胞に対して細胞傷害性を示した。細胞傷害性は、10%のFCS中でCOS A6細胞を 培養することにより減少した。かかる条件の下で、態様1〜11についてのLD50は >250μMであった。標準コロニー生存法による測定によれば、FCSの存在下にお いて、C6グリオーム及びV79 CHO細胞(各々100 〜125μM及び≧150μM)中で 、化合物1は同様のLD50値を有していた。更には、り病率又は死亡率に有意差を 示すことなくネズミに投与量200mg/kg程度で態様1を投与することが可能であ った。100mg/kgのi.v.食塊により本態様を受けたネズミは約900μMの濃度のピ ークプラズマに曝された。細胞培養中のアルブミンの拮抗作用は、血清タンパク 質がポルフィリンと結合し、これをとどめておくことなく各種の組織に送り込む ことができる場合には、全ての動物において状況に影響を及ぼすものではないと 考えられる。 本発明の態様1は、近親のHIV-2及びSIV PRよりもHIV-1 PRに対して約5倍有 効であり、(表4に示したように)細胞アスパルチルプロテアーゼに比べて60倍 以上HIV-1 PRを阻害する。 まとめると、特定の置換ポルフィリンがHIV-1 PR及びHIV-2 PR等のレトロウ イルスアスパルチルプロテアーゼの阻害剤であり、細胞培養中でポリプロテイン プロセシングを阻害する一方で、細胞アスパルチルプロテアーゼに対しては阻害 は選択的であることを見出した。 本発明を好ましい具体的な態様との関係において上に記載したが、当該記載は 説明を目的とする例であって、請求の範囲で定義される本発明の範囲を制限する ものではないものと理解されなければならない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA, CZ,FI,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,M G,MN,MW,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SK,UA,VN (72)発明者 クレイク チャールズ エス アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94122 サンフランシスコ ロックスリー アベニュー 102 アパートメント 204

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.プロテアーゼを使用して、複製するウイルスに感染した患者を治療する方法 であって、プロテアーゼを阻害するのに有効な治療量のポルフィリン化合物を患 者に投与することを含む方法。 2.投与するポルフィリン化合物が各ポルフィリンの2位及び4位に疎水性置換 基を含む、請求項1記載の方法。 3.疎水性成分がカルボランケージを含む、請求項2記載の方法。 4.カルボランケージがクロソ−カルボランケージである、請求項3記載の方法 。 5.ポルフィリン化合物を薬理学的に許容されうるキャリアとともに投与する、 請求項1記載の方法。 6.ポルフィリン化合物がキャリア中で可溶化している、請求項5記載の方法。 7.キャリアが水性基材である、請求項5記載の方法。 8.経口又は注射により投与する、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。 9.約200mg/kg以下の投与量で投与する、請求項8記載の方法。 10.薬化学的に有効な量のポルフィリン化合物を投与することを含む方法であっ て、ポルフィリンの化合物が次の一般式で表される構造を有する方法。 (式中、R及びR1の各々は−H、−OH、又は−O−COR3から選ばれ、R及 びR1のうち少なくとも1つは−O−COR3であり、R3はカルボラン又は疎水 性基であり、R2は−H、1〜約7個の炭素原子を有するアルキル又はアリール 、又は生理学的に許容されうる塩であり、R4は金属又は遷移金属である。) 11.ポルフィリン化合物が、各ポルフィリン環の2位及び4位が置換されたクロ ソーカルボランケージを有する、請求項10記載の方法。 12.R4の金属又は遷移金属がマンガン、コバルト又は銅である、請求項10記載の 方法。 13.ポルフィリン化合物が実質上水溶性である、請求項10記載の方法。 14.次の一般式で表される構造を有する、ポルフィリン化合物。 (式中、R及びR1の各々は−H、−OH、又は−O−COR3から選ばれ、R及 びR1のうち少なくとも1つは−O−COR3であり、R3はカルボラン又は疎水 性基であり、R2は−H、1〜約7個の炭素原子を有するアルキル又はアリール 、又は生理学的に許容されうる塩であり、R4はH、金属又は遷移金属である。 ) 15.R4がマンガン、コバルト又は銅である、請求項14記載のポルフィリン化合 物。
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