【発明の詳細な説明】
グルコースの存在下で活性的な真菌プロモーター
発明の背景
I.プロモーターの同定のための方法
遺伝子の翻訳開始部位のすぐ上流に位置する遺伝子及びそれらのプロモーター
を同定するためには、多くのシステムがこれまで使用されて来た。それらの技法
は大まかに次の2種のカテゴリーに分けられ得る:(1)この目的は、いわゆる
プロモータープローブベクターシステムによりランダムにプロモーター活性を含
むゲノムDNAフラグメントを単離することであり、そして(2)この目的は、ゲ
ノムバンク(ライブラリー)から遺伝子自体を単離することであり、そしてその
対応するプロモーターの単離がそれらに続く。
プロモータープローブベクターシステムにおいては、ゲノムDNAフラグメント
が、クローン化されたフラグメントがプロモーター活性を含む場合のみ、発現さ
れるレポーター遺伝子のコード配列の前にランダムにクローン化される(Neve,R
.L. et al.,Natune 277:324−325(1979))。プロモータープローブベクターは
、E.コリ(E.coli)(An,G.et al.,J.Bact.140:400−407(1979))及び他の
細菌宿主(Band.L.et al.,Gene 26:313-315(1983);Achen,M.G.,Gene
45:45-49(1986))、酵母(Goodey,A.R. etal.,Mol.Gen.Genet.204:505-5
11(1986))及び哺乳類細胞(Pater,M.M.et al.,J.Mol.App.Gen.2:363-
371(1984))においてのプロモーターのクローニングのために企画されている。
トリコダーマ(Trichoderma)プロモーターはE.コリ及び酵母においては作動し
ないことが当業界において良く知られているので(た
とえば、Penttila,M.E. et al.,Mol.Gen.Genet.194:494-499(1984))、そ
れらの生物はトリコダーマプロモーターを単離するための宿主としては使用され
得ない。トリコダーマの形質転換の間、その形質転換性DNAはランダム位置に種
々のコピーでカビゲノム中に組込む事実のために、トリコダーマ自体をクローニ
ング宿主として使用することによるこの方法の適用は、また成功しそうもなく、
そして所望する性質を有するトリコダーマプロモーターの効果的単離のためには
実際的でない。
既知の遺伝子は、検出法としてハイブリダイゼーションを用いてcDNA又は染色
体遺伝子バンク(ライブラリー)のいづれかから単離され得る。そのようなハイ
ブリダイゼーションは、他の生物からの対応する相同遺伝(たとえば、Vanhanen
et al.,Curr.Genet.15:181-186(1986))、又はアミノ酸配列における予測
される類似性に基づいて企画されたプローブを伴う。アミノ酸配列がその対応す
るタンパク質のために利用され得る場合、遺伝子の単離のためにハイブリダイゼ
ーションに使用され得るオリゴヌクレオチドがまた、企画され得る。遺伝子が発
現バンク中にクローン化されている場合、遺伝子の発現生成物はまた、特異的抗
体又は活性試験を用いることによって、そのような発現バンクから検出され得る
。
特定の遺伝子は、E.コリ又は酵母における突然変異の相補性(たとえば、Ke
esey,J.K. et al.,J.Bact.152:954-958(1982);Kaslow,D.C.,J.Biol.C
hem.265:12337−12341(1990);Krunstad,J.W.,Gene 79:97-106(1989))、
又はたとえばSIB選択を用いることによっての糸状菌の対応する変異体の相補性(
Akins et al.,Mol.Cell.Biol.5:2272-2278(1985))を用いることによって単
離され得る。
しかしながら、主要な関心は、所望するプロモーター性質を有す
る特定の遺伝子、たとえばグルコースが培地に存在する場合、最とも高く発現さ
れる遺伝子をいかに単離するかである。遺伝子が生物に最とも高く発現され、そ
して特に糸状菌からは発現されないことを示す情報は文献からは入手できない。
酵母サッカロマイセス セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)からのホス
ホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーターは、タンパク質生成のために強いプ
ロモーターであると思われる。しかしながら、本発明者により得られた結果は、
その対応するトリコダーマプロモーターがそのようなタンパク質生成のために適
切でないことを示した。従って、一定の所望する条件下でタンパク質生成のため
の最良の可能なプロモーターを得るために、それらの単離のための特定のトリコ
ダーマ遺伝子の同定は知られておらず、そして予測され得ない。従って、トリコ
ダーマにおけるそのような目的のための遺伝子単離においては、いづれかのこれ
までのヌクレオチド又はアミノ酸配列情報に頼ることもできず、又はいづれかの
これまで知られている突然変異を補うこともできない。
示差ハイブリダイゼーションが、一定条件下で発現される遺伝子のクローニン
グのために使用されて来た。その方法は、誘発され、そして誘発されていないcD
NAプローブにより別々にバンクをスクリーニングすることに頼る。この方法によ
れば、セルロース分解酵素の生成の間に強く発現されるトリコダーマ レセイ(T
richodeamareesi)遺伝子が単離された(Teeri,T.et al.,Bio/Technology1:6
96-699(1983))。この使用される示差ハイブリダイゼーシヨン法は、調査される
遺伝子が一定の条件下で発現するが(セルロース上でのセルラーゼのように)、
しかし使用されるcDNAプローブの1つのみとハイブリダイズするクローンをピッ
クアップすることができるある他の条件下では発しない(グルコース上でのセル
ラーゼのよ
うに)考えに基づかれる。しかしながら、グルコース上で強く発現される遺伝子
の単離のためには、このアプローチ(グルコース上で発現し、そして他の培地で
は発現しない)は適切なアプローチではなく、そして最とも高く発現される遺伝
子の発見を実際、もたらさない。これは、染色体バンクを示差的にスクリーニン
グする場合、誘発された遺伝子のみが選択されるためである。そのような誘発さ
れた遺伝子は必ずしも、最とも強く発現された遺伝子ではない。従って、グルコ
ース培地上でのトリコダーマに強く機能するプロモーターの同定を可能にする方
法は当業界において知られていない。
所望する性質を有するプロモーターを得るためのもう1つの意見は、すでに存
在する意見を改良することである。これは、プロモーターの機能が、プロモータ
ーにおける特定の別々のヌクレオチド配列に結合する調節タンパク質の相互作用
に依存する事実に基づかれている。そのような相互作用は一般的な転写機械に影
響を及ぼし、そして転写効率を調節する。それらのタンパク質は正のレギュレー
ター又は負のレギュレーター(リプレッサー)であり、そして1つのタンパク質
は前後関係に依存して二重の役割を有することができる(Johnson,P.F. and Mck
night,S.L. Annu.Rev.Biochem.58:799-839(1989))。しかしながら、プロモ
ーターの調節を担持する領域の基本的な理解は相当量の実験データを必要とし、
そして他の生物のその対応するプロモーターから得られたデータは通常、有用で
はなく(Vanhanen,S.et al.,Gene 106:129-133(1991))、又は他の生物に起
因するプロモーターの機能を説明するのには十分ではない。
II.翻訳延長因子
翻訳延長因子(TEF)は、タンパク質合成においてリボソームA−部位へのアミ
ノアシル−tRNAのGTP-依存性結合を促進する、一般
的に保存されたタンパク質である。GTP結合ドメインを含むタンパク質のN−末
端が特に保存される。TEFは、合計の可溶性タンパク質の約4〜6%を含んで成
る細胞においてひじょうに多くのタンパク質として知られている(Miyajima,I.
et al.,J.Biochem.83:453-462(1978);Thiele,D.et al.,J.Biol.Chem
.260:3084-3089(1985))。
tef遺伝子はいくつかの生物から単離されている。それらのいくつかにおいて
、それらは多重遺伝子族を構成する。また、多くの偽遺伝子がいくつかの生物か
ら単離されている。ヒトtef遺伝子のプロモーターは、アデノウィルスの主な後
期プロモーターよりも少なくとも2倍効果的にインビトロにおいて転写を指図し
、これはtefプロモーターが哺乳類発現システムにおいて強いプロモーターであ
ることを示す(Uetsuki et al.,J.Biol.Chem.264:5791-5798(1989))。ヒ
ト及びA.thaliana tef1プロモーターの両者(翻訳延長因子EF-1αのための)
は、遺伝子発現の高い効率を有する発現システムに使用されて来た(Kim et al.
,Gene 91:217-223(1990);Curie et al.,Nucl.Acid Res.19:1305-1310(19
91))。
両者の場合、プロモーターの十分な発現は、5′非コドン領域におけるイントロ
ンの存在に依存した。
tefはまったく構成的に発現され、その主な概念は老化する及び静止細胞にお
けるその発現である。宿主の増殖基質により調節されることは知られていない。
III.トリコダーマにおける組換えタンパク質の発現
糸状菌トリコダーマ レセイは、特に異なったセルロース分解酵素のヒドロラ
ーゼの効果的プロデューサーである。タンパク質分泌のためのその卓越した能力
及び産業的培養のための開発された方法により、トリコダーマは非相同の組換え
タンパク質の大規模生成の
ために強力な宿主である。カビにおいての相同及び非相同タンパク質の効果的生
成は、真菌プロモーターに頼っている。トリコダーマの主なセルラーゼ遺伝子の
プロモーター、すなわちセロビオヒドロラーゼ1(cbhl)は、セルロース又はその
誘導体を含む培地上で増殖するトリコダーマにおける非相同タンパク質の生成の
ために使用されて来た(Harkk et al.,Bio/Technology 7:596-603(1989);Salo
heimo et al.,Bio/Technology 9:987-990(1991))。そのcbh1プロモーターは
、トリコダーマがcbh1プロモーター活性のグルコース抑制により、グルコース
を含む培地上で増殖される場合、使用され得ない。この調節は転写レベルで生じ
、そして従って、グルコース抑制はプロモーター配列を通して仲介される。セル
ラーゼ遺伝子cbh1,cbh2,egl1及びegl2は種々の増殖条件下で同時発現され
ることが知られており、従って同じ調節因子が類似する機能を仲介するかなり類
似するプロモーター配列上で作用することが予測される。しかしながら、糸状菌
においてプロモーターレベルでのグルコース抑制の機構はまだ知られていない。
酵母サッカロミセス セレビシアエにおけるグルコース抑制は、多くの年月の
間、研究されて来た。しかしながら、それらの研究は、最近まで、グルコース抑
制を仲介するプロモーター又はそれに結合する調節タンパク質において結合配列
を同定することに失敗して来た。真核生物細胞における最初に公開されたグルコ
ースリプレッサータンパク質及び結合配列は、Nehlin and Ronne(Nehlin,J.0.
and Ronne,H.EMBO J.9:2891-2899(1990))。このMIG1タンパク質は、サッ
カロミセス セレビシアエにおけるGAL遺伝子のグルコース抑制の1/5を担当する
と思われ、他の因子が十分なグルコース抑制効果を得るためにまだ必要とされる
(Nehlin,J.0. et al.,EMBO J.10:3373-3377(1991))。
グルコース上で増殖されるトリコダーマにおいてタンパク質を生成することが
所望される。グルコース基質は安価で且つ容易に入手できる他に、またトリコダ
ーマは、グルコース上で増殖される場合、ほとんどプロテアーゼ活性を生成しな
い。さらに、セルラーゼ生成は、トリコダーマがグルコース上で増殖される場合
、抑制され、従ってトリコダーマ培地から所望する生成物のより容易な精製を可
能にする。それにもかかわらず、現在まで、グルコース上で増殖されるトリコダ
ーマにおいて高く機能するいづれかのプロモーターの同定又は特徴化は存在しな
い。さらに、グルコース上で増殖されるトリコダーマにおいて非相同遺伝子の発
現のためにこの強いプロモーターの使用を可能にする、通常グルコース抑制され
たプロモーター、すなわちcbh1プロモーターの変性はまだ同定されていない。
発明の要約
本発明は、トリコダーマcbh1プロモーターに対してグルコース抑制を付与す
るDNA要素の同定にまず向けられる。
本発明は変性されたトリコダーマcbh1プロモーターにさらに向けられ、その
ような変性されたプロモーターはそのようなグルコース抑制要素を欠いており、
そしてそのような変性されたプロモーターは、宿主がグルコース培地上で増殖さ
れる場合、セルラーゼを包含するタンパク質の生成のために有用である。
本発明はさらに、特に糸状菌宿主、たとえばトリコダーマからの、グルコース
上で高く発現される遺伝子の単離のための方法に向けられる。
本発明はさらに、トリコダーマ レセイからの5つのそのような前で記載され
ていない遺伝子及びそれらのプロモーターにも向けられる。
本発明はさらに、上記配列を含むトリコダーマのための特異的クローニングベ
クターにも向けられる。
本発明はさらに、タンパク質、たとえばグルコース上でのセルラーゼを生成で
きる、前記ベクターにより形質転換された糸状菌株にも向けられる。
本発明はさらに、セルラーゼ又はグルコース上での他の有用な酵素を生成する
ための方法にも向けられる。
図面の簡単な説明
第1図は、tef1プロモーター及びそのコード領域の5′部分を担持するプラ
スミドpTHN1を示し、そしてtef1遺伝子及び配列決定された領域の相当する特
徴を示す。第1A図は、tef1プロモーターのヌクレオチド配列及びコード配列
である〔TEF001;配列番号1〕。プロモーター配列は塩基数1234で停止する。翻
訳の開始部位のメチオニンコドンは塩基数1235-1237に位置し、そして下線が引
かれている。示される塩基の合計数は3461である。DNA配列組成物は850A,1044C
,860G,697T及び10個の他のものである。
第2図は、tef1プロモーター及び対応する特徴を有するコード領域を担持す
るプラスミドpEA33を示す。
第3図は、プロモーター及びクローンcDNA1のコード領域を担持するプラスミ
ドpTHN3を示し、そして対応する特徴を示す。第3A図は、cDNA1プロモーター
のヌクレオチド配列及びコード配列である〔配列番号2〕。プロモーター配列は
塩基数1157で停止する。翻訳の開始部位のメチオニンコドンは第3A図に示され
るように塩基数1158-1160で位置し、そして下線が引かれている。
第4図は、プロモーター、及びクローンcDNA10及び対応する領域のコード領域
及び配列決定された領域を担持するプラスミドpEA10
を示す。斜めに線影を付けられたもの=挿入体;実線=配列決定された領域(ゲ
ノムDNA);十文字を付けられた四角=配列決定された領域(cDNA)。すべてのE
coRV及びNdeI部位が示されているわけではない。第4A図は、cDNA10プロモー
ターのヌクレオチド配列及びコード配列である〔CDNA10SEQ;配列番号3〕。プ
ロモーター配列は塩基数1522で停止する。翻訳の開始部位のメチオニンコドンは
塩基数1523-1525に位置し、そして下線が引かれている。示される塩基の合計数
は2868である。DNA配列組成物は760A,765C,675G及び668Tである。
第5図はクローンcDNA12及び対応する特徴及び配列決定された領域を担持する
プラスミドpEA12を示す。斜めに線影を付けられたもの=挿入体;実線=配列決
定された領域(ゲノムDNA);十文字を付けられた四角=配列決定された領域(c
DNA);?=配列決定されていないイントロン領域。注:AvaIはユニーク部位で
はない。第5A図はcDNA12プロモーターのヌクレオチド配列及びコード配列であ
る〔A12DNA;配列番号4〕。プロモーター配列は塩基数1101で停止する。翻訳の
開始部位のメチオニンコドンは塩基数1102-1104に位置し、そして下線が引かれ
ている。塩基の合計数は2175である。DNA配列組成物は569A,602C,480G,51
9T及び5つの他のものである。
第6図は、プロモーター及びクローンcDNA15のコード領域及び対応する特徴及
び配列決定された領域を担持するプラスミドpEA155を示す。斜めに線影を付けら
れたもの=挿入体;実線=配列決定された領域(ゲノムDNA);十文字を付けら
れた四角=配列決定された領域(cDNA)。すべてのPstI及びEcoRI部位が示さ
れているものではない。第6A図はcDNA15のヌクレオチド配列及びコード配列で
ある〔配列番号5〕。塩基の合計数は2737である。DNA組成物は
647A,695C,742G,649T及び4つの他のものである。
第7図は、egl1cDNAを担持するプラスミドpPLE3を示す。すぐ上部のプラスミ
ド地図は、cbh1プロモーター及びegl1シグナル配列〔配列番号18及び16〕の間
に正確な連結部〔配列番号26、配列番号27〕を構成するためにプラスミドからの
SacII及びAsp718小フラグメントを除去するように構成されたアダプター分子〔
配列番号25〕の配列である。第7A図はeglIcDNAの1588bp配列を示す(369A,
527C,418G、及び274T)〔配列番号16〕。第7B図はpPLE131の745bp cbh1
ターミネーターの配列を示す(198A,191C,177G及び179T)(配列番号23〕。
第8図は、プラスミドpEM-3Aの構成及び配列番号28を示す。プラスミド地図上
の“A”は、EGI末端配列を示し、そして“B”はEGIヒンジ配列を示す。
第9図は、tef1プロモーター下でのEGIcoreの発現のためのプラスミドpTHN1
00B及び配列番号28を示す。
第10図は、フロットブロットからのEGI特異的抗体により分析される宿主株QM
9414の培養培地中へのプラスミドpTHN100BからのEGIcoreの生成を示す。レーン
1:pTHN100B-166,200μlのグルコース上清液;レーン2:QM9414,200μlの
グルコース上清液;レーン3:TBS;レーン4:QM9414,200μlのsolka floc
1:500希釈上清液;レーン5:QM9414,200μlのsolka floc 1:5,000希釈
上清液;レーン6:QM9414,200μlのsolka floc1:10,000希釈上清液;レー
ン7:pTHN100B-166,200μlのグルコース1:5希釈上清液;レーン8:QM941
4,200μlのグルコース1:5希釈上清液;レーン9:200ngのEGIタンパク
質;レーン10:100ngのEGIタンパク質;レーン11:50ngのEGIタンパク質
;及びレーン12:25ngのEGIタンパク質。
第11図は、浮清−消耗穀類又はグルコース培地において増殖されたpTHN10OB-1
6c株及びグルコース培地から精製されたEGIcoreの培養培地のEGI特異的抗体に
よるウェスターンブロットを示す。レーン1:pTNH100B-16c,10μlの浮清消耗
穀類上清液;レーン2:pTNH100B-16c,5μlの浮清消耗穀類上清液;レーン3
−5:pTHN100B-16cグルコース発酵から精製されたEGIcore;レーン6:pTHN10
0B-l6c,15μlのグルコース発酵上清液、100×に濃縮される;レーン7:pTHN1
00B-16c,7.5μlのグルコース発酵上清液、100×に濃縮される;及びレーン8
:94KDa,67KDa,43KDa,30KDa及び20.1KDaでの低分子量マーカー(バンド1−
5は、ゲルの上部レーン6から出発する)。
第12図はグルコース培地上で増殖されたpTHN100B-l6c株の培養培地のウェスタ
ーンブロットを示す。レーン1:EGIタンパク質、約540ng;レーン2、EGIタ
ンパク質、約220ng;レーン3、EGIタンパク質、約110ng:レーン4、pTHN100B
-16c、30μlのグルコース発酵体上清液、4.2倍に濃縮された;レーン5、pTHN1
00B-16c、30μlのグルコース発酵体上清液、4.2倍に濃縮された;レーン6、94
KDa,67KDa,43KDa,30KDa及び20.1KDaでの低分子量マーカー(バンド1−5は
レーン6、すなわちゲルの上部から出発する)。
第13図は、プラスミドpML016の要素を示す。第13A図はプラスミドpML016のcb
h1プロモーターの配列である〔配列番号18〕。第13B図はプラスミドpML016及
びそれに由来するプラスミド上のT.レセイcbh1ターミネーターの配列である
〔配列番号24〕。
第14図は、トリコダーマ レセイQM9414(A2-F5)のpML016de15(11)−形質転換
体におけるグルコース培地上のβ−ガラクトシダーゼの発現を示す。A1:QM94
14宿主株;C1及びE1:損なわれていないcbh1プロモーターを有するβ−ガ
ラクトシダー
ゼ発現カセットの1つのコピーがcbh1遺伝子座を置換しているQM9414形質転換
体;B1,D1及びF1:空のウェル。
第15図は、lacZ遺伝子に融合されるcbh1プロモーターの短くされた形及びcbh
1ターミネーターを担持する、プラスミドpML016de15(11)の制限地図を示す。第
15A図は、切断されたcbh1プロモーターの配列である〔(pML016de15(11)〕:
配列番号19〕。ポリリンカーは下線が引かれている。矢印は欠失部位を示す。
第16図は、cbh1染色体遺伝子に融合されるcbh1プロモーターの短くされた形
を担持する、プラスミドpML017の制限地図を示す。肩文字の十字“+”により印
される制限部位は単一の部位ではない。第16A図は、染色体cbh1遺伝子を含むK
spI-XmaIフラグメント(下線部分)の配列を示す〔配列番号17〕。
第17図は、トリコダーマ レセイQM9414のpML017形質転換体におけるグルコー
ス培地上でのCBH1の発現を示す。単一胞子培養物の収集(数及び文字コード)
及び種々の対照サンプルが示される。
第18図は、pMI-24,pMI-25,pMI-26,pMI-27及びpMI-28のcbh1プロモーター
におけるmig様配列(M)の特異的変異誘発を示す。ここに示されるプロモータ
ーは、pML016(第13図を参照のこと)又はpML016de10(2)(第19図を参照のこと)
について記載されるようなlacZ遺伝子及びcbh1ターミネーターに融合された。
*:種々の組合せでcbh1プロモーターに行なわれた配列の変更。位置1505-1500
で、ゲノム配列は5′-CTGGGGであり、そして変更された配列は5′-TCTAAAであ
る。位置1001-996で、ゲノム配列は5′-CTGGGGであり、そして変更された配列
は5′-TCTAAAである。位置720−715で、ゲノム配列は5′-GTGGGGであり、そし
て変更された配列は5′-TCTAGAである。pML016de10(2)はpMI-25,pMI-26,pMI-
27、及びpMI-28のための出発ベクターとして使用された。▽=ポリリン
カー。第18A図は、pMI-24(PMI27PROM)の変更されたcbh1プロモーターの配列で
ある(〔配列番号20〕)。塩基の合計数は1776である。配列組成物は487A,399
C,434G及び456Tである。ポリリンカーは下線が示され、そして配列の変更は
ボックスで示される。第18B図はpMI-27の変更されたcbh1プロモーターの配列
である(〔配列番号21〕)。ポリリンカーは下線が引かれており、矢印は欠失
点を示し、そして配列の変更はボックスで示される。第18C図はpMI-28の変更
されたcbh1プロモーターの配列である(PMI28PROM)(〔配列番号22〕)。ポリリ
ンカーは下線が引かれており、矢印は欠失点を示し、そして配列の変更はボック
スで示される。塩基の合計数は1776である。配列組成物は490A,399C,430G
及び457Tである。
第19図は、lacZ遺伝子及びcbh1ターミネーターに融合されるcbh1プロモータ
ーの短くされた形を担持する、プラスミドpML016de10(2)の制限地図を示す。
第20図は、pML016de10(2),pMI-25,pMI-27,pMI-28,pML016及びpMI-24によ
り形質転換されたトリコダーマ レセイQM9414における、示される培地上でのβ
−ガラクトシダーゼの発現を示す。
好ましい態様の詳細な記載
I.グルコース培地上で発現する真菌遺伝子の同定
次の記載においては、分子遺伝子及び生物学の当業者に知られている種々の方
法が言及される。言及されるそのような既知の方法を示す出版物及び他の材料は
、それらの生体を引用により本明細書に組込まれる。
糸状菌の生化学及び分子生物学の一般的概念はたとえばFinkelstein,D.B. et
al.,eds.,Biotechnology of Filamentous
Fungi:Technology and Products,Butterworth-Heinemann,publishers,Stone
ham,MA(1992)及びBennett,J.W. et al.,More Gene Manipulations in Fungi
,Academic Press-HarcourtBrace Jovanovich,publisher,San Diego CA(1991)
に示されている。
特にトリコダーマがグルコース上で増殖される場合、トリコダーマからタンパ
ク質生成のための多種のシステムを開発できるようにするためには、グルコース
上で高く発現されるこれまで知られていないトリコダーマ遺伝子及びそれらのプ
ロモーターの単離のための方法が開発されて来た。本発明の方法は、プローブの
たった1つのcDNA集団の使用を要する。
本発明の方法は、細胞が暴露されるいづれかの所望される環境条件下で活性的
であるプロモーター配列の同定のために有用であり、そしてグルコース培地にお
いて発現できるプロモーターの例示された同定では必ずしもない。“環境条件”
とは、物理的又は化学的剤の存在を意味し、そのような剤は細胞環境に細胞外的
又は細胞内的に存在する。物理的剤はたとえば、ある増殖温度、特に高い又は低
い温度を包含する。化学的剤は、いづれかの化合物又は炭素増殖基質、薬物、大
気ガス、等を含む混合物を包含する。
本発明の方法によれば、生物はまず、所望する増殖条件下で、たとえば炭素源
としてグルコースを用いて増殖される。次に、生mRNAが生物から抽出され、そし
て好ましくは、全RNA集団から少なくともポリA+mRNAの富化を通して精製され
る。cDNAバンクは、逆転写酵素を用いてこのmRNA集団及び適切なベクター、たと
えば市販のλ-ZAPベクターシステム(Stratagene)中にクローン化されたcDNA集
団から製造される。λ-ZAPベクターシステム又はいづれかのベクターシステムを
用いる場合、cDNAは、λバクテリオファージ感染に敏
感ないづれかのE.コリ株の感染のために適切であるようにパッケージされる。
cDNAバンクは、スクリーニングのためにニトロセルロースフィルター上に標準
のコロニーハイブリダイゼーション抜法によりトランスファーされる。そのバン
クはプレートされ、そしてプラークリフトがニトロセルロース上に取られる。バ
ンクは、緊縮ハイブリダイゼーション条件を用いて、クローン化されたcDNAバン
クが構成される同じRNA集団に対して合成された、ラベルされたcDNAの集団によ
りスクリーンされる。その遺伝子は、この選択工程の間、いづれの手段において
も発現されないことが注目されるべきである。これは、種々の強度でハイブリダ
イズするクローンをもたらし、そして最強のシグナルを示すクローンがピックア
ップされる。元の集団において最とも強く発現される遺伝子は全mRNAプールの大
部分を含み、そして従って、この選択において強いシグナルを付与する。
最強のシグナルを有するクローンにおける挿入体が、当業界において知られて
いるようないづれかのDNA配列決定技法を用いて、挿入体の3′端から配列決定
される。これは個々のクローンの第1の同定を提供し、そして同一のクローンの
排除を可能にする。個々の所望するクローンがcDNAλ−バンクに表わされる頻度
が、クローン−特異的PCRプローブに対するバンクのハイブリダイゼーションに
より決定される。所望するクローンは、上記のような最強のシグナルを有する他
に、またcDNAバンクにおいて最高の頻度で表わされるものである。なぜならば、
これは、その集団における多量性mRNAが比較的高く、そして従って、その遺伝子
のためのプロモーターが増殖条件下でひじょうに活性的であることを意味するか
らである。従って、このアプローチの適切性及びそれから同定されたいづれかの
クローンは二重チェックされ得る:特異的クローンのハイブリダイ
ゼーションシグナルの強度はそのクローンがcDNAバンクに見出される頻度と陽性
的に相互関係すべきである。この態様で選択されるクローンの挿入体、たとえば
cDNA配列に対応する挿入体は、染色体バンク、たとえば上記のようにλ中にクロ
ーン化されたものからその対応する遺伝子及びそれらのプロモーターを単離する
ためのプローブとして使用され得る。本発明の方法はトリコダーマのみには限定
されず、そしていづれかの宿主から、又は特定の組織からの遺伝子をクローニン
グするためにも用いられ、そしてそのような宿主(これから、cDNAバンクが構成
される)は、原核(細菌)宿主及びいづれかの真核宿主植物、哺乳類、昆虫、酵
母及びいづれかの培養された細胞集団を包含する。
たとえば、本発明の方法を用いて、トリコダーマ レセイがグルコース上で増
殖される場合、そのようなトリコダーマにおいて比較的高レベルのmRNAを発現す
る5つの遺伝子が同定された。それらの遺伝子は配列決定され、そしてクローン
cDNA33,cDNA1,cDNA10,cDNA12及びcDNA15として同定された。トリコダーマ染
色体λ−バンクをスクリーンするために使用される場合、その対応する遺伝子及
びそれらのプロモーターが同定された。次に、そのような遺伝子及びプロモータ
ー(又はその一部)がいづれかの所望するベクター、たとえばpSP73ベクター(Pr
omega,Madison,WI,USA)中にサブクローン化され得る。
本発明によれば、グルコース上で増殖されたトリコダーマに高く発現される、
遺伝子及びそれらのプロモーター(又はそれらの一部)を含むクローンは、次の
通りに示される:
トリコダーマがグルコース上で増殖される場合に高く発現されるような、本発
明に従って単離された遺伝子の1つは、1つのコードするトリコダーマ翻訳延長
因子1α(tef1)として同定された。さらに、トリコダーマにおいてグルコース
上で高く発現される4種の他の新規遺伝子が初めて同定された。
それらのデータは、本発明に使用される方法が5種の遺伝子の単離をもたらし
、この遺伝子の1つ(tef1)は他の生物において効果的に発現することが知られ
ていることを示す。しかしながら、tef1遺伝子は本発明の方法によりトリコダ
ーマcDNAバンクから単離された5種の遺伝子のうち最とも高く発現されたもので
はない。
単離された5種の遺伝子のうち、tef1のみがいづれかの既知のタンパク質配
列と適切な程度の相同性を示す。単離された遺伝子のすべてはまた、他の炭素源
上でも発現され、そして示差クローニングの従来の方法により見出されなかった
。これは特定の目的のために、たとえばグルコース含有培地上での発現のために
、強いプロモーターの単離のための最とも適切な遺伝子の単離においての本発明
で使用される方法の重要性を示す。
それらの遺伝子のいづれかのプロモーターは、そのようなプロモーターに相同
の配列に、及び特に、グルコース上で増殖されるトリコダーマ宿主からのそのよ
うな遺伝子の発現のためにその宿主トリ
コダーマに相同の配列に操作可能的に結合され得る。好ましくは、そのコード配
列は、培地中への組換えタンパク質の分泌のために分泌シグナルを提供する。
本発明のプロモーターの使用は、セルラーゼが存在せず、そして比較的少ない
プロテアーゼが存在する条件下でのトリコダーマからの遺伝子の発現を可能にす
る。従って、初めて、組換え遺伝子が、グルコース基材の増殖培地を用いてトリ
コダーマ上に高く発現され得る。
本発明のプロモーターは、グルコース上で強く発現されるが(すなわち、糸状
菌宿主は炭素及びエネルギー源としてグルコースを供給する培地上で増殖される
場合)、グルコースの不在下で抑制されない。さらに、それらは、トリコダーマ
宿主がグルコース以外の炭素源上で増殖される場合、活性的である。
本発明のグルコースプロモーター及び本発明の方法により同定されるプロモー
ターは、特に種々の種類の植物材料を加水分解できるトリコダーマ自体に生来の
酵素を生成するために使用され得る。グルコース上で、真菌はそれらの酵素を天
然においては生成せず、そして従って、1又は複数の特定の加水分解酵素は他の
植物材料加水分解酵素を含まないグルコース培地上で生成される。これは、特定
の用途のための酵素調製物又は酵素混合物をもたらす。
II.セロビオヒドロラーゼIプロモーターの変性
本発明はまた、プロモーターの活性が保持されるが、しかしそのプロモーター
は、細胞がグルコース含有培地上で増殖される場合、もはや抑制されないような
セロビオヒドロラーゼIプロモーター(cbh1)の変性法も記載する。特に、グル
コース抑制を付与するDNAモチーフがこのプロモーターから同定され、そして除
去され、適切な宿主、たとえばトリコダーマにおけるプロモーターにそのコ
ード配列が操作可能的に連結される所望するタンパク質の生成を可能にする。そ
のような変性されたcbh1プロモーターは抑制解除されたcbh1プロモーターと称
される。上記のように、そのような構造体を有する形質転換体から得られた組換
え生物がグルコース含有培地上で培養される場合、セルラーゼを包含するいづれ
かのタンパク質が特に天然のセルラーゼの他の植物材料加水分解酵素の生成を伴
わないで生成され得る。
単離されたグルコースプロモーター又は抑制解除されたcbh1プロモーターが
、他のヒドロラーゼ、たとえば他のセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ
、等のいづれの同時生成も伴わないでグルコース上で増殖される宿主における個
々のセルラーゼを生成するために、又は種々の増殖培地に非相同タンパク質を生
成するために使用され得る。
III.本発明のプロモーター配列に作動可能に連結されるコーディング配列の調 製
コーディング配列を遺伝子工学的に処理して、本発明のプロモーターのもとで
発現させる方法は、注目している酵素をコードする純粋タンパク質を単離して部
分的に配列を決定するかまたはこのようなタンパク質をコードできる遺伝子配列
をポリメラーゼ連鎖反応法によってクローン化し、次いでこのような遺伝子配列
を発現させることによって容易に行える。“遺伝子配列”という用語は、本願で
用いる場合、核酸分子(好ましくはDNA)を意味するものとする。タンパク質をコ
ードできる遺伝子配列は各種の起源に由来している。これらの起源にはゲノムDN
A,cDNA,合成DNAおよびその組合わせがある。ゲノムDNAの好ましい起源は真菌
のゲノムバンクである。cDNAの好ましい起源は、所望の遺伝子の発現を誘発して
mRNAまたはタンパク質を産生することが分かっている条件で増殖させた真菌
mRNAから調製したcDNAバンクである。しかし、遺伝コードは普遍的なものである
から、原核(細菌)宿主、ならびに真核宿主の植物、哺乳類、昆虫類、酵母類お
よび培養細胞集団を含めて、いずれの宿主由来のコーディング配列でも機能する
(所望のタンパク質をコードする)と考えられる。
ゲノムDNAは天然に存在するイントロンを含有していても含有していなくても
よい。さらにこのようなDNAは本発明の遺伝子配列の5′プロモーター領域およ
び/または3′転写終止領域とともに得ることができる。しかし、本発明によれ
ばその固有のプロモーター領域は本発明のプロモーターで置換される。
またこのようなゲノムDNAは、mRNAの5′非翻訳領域をコードする遺伝子配列
および/または3′非翻訳領域をコードする遺伝子配列とともに得ることができ
る。宿主細胞がmRNAとタンパク質の発現に関連する転写および/または翻訳の調
節シグナルを認識できる程度まで、固有遺伝子の5′および/または3′の非転
写領域、および/またはmRNAの5′および/または3′の非翻訳領域が、転写と
翻訳を調節するため保持され採用される。
ゲノムDNAは、いずれの宿主細胞からでも特に真菌の宿主細胞から抽出し精製
することができる。真菌の細胞は当該技術分野で公知の方法によって所望のタン
パク質を天然に発現している。ゲノムDNA配列は当該技術分野で公知の手段によ
って短くして染色体領域から所望の遺伝子を単離することができる。そうしない
とこの染色体領域は、宿主内で本発明の上記の遺伝子を利用するのに必要な情報
以上の多くの情報を有している。例えば所望の位置で全長の配列を切断するのに
制限消化を利用できる。あるいはまたはさらに、DNA分子の3′末端から切断す
るヌクレアーゼを使用して特定の配列を消化し短かくした形にすることができ、
次いでゲル電気泳動とDNAの
配列決定を行うことによって、所望の長さを同定し精製することができる。この
ようなヌクレアーゼとしては例えばエキソヌクレアーゼIIIとBa131がある。他の
ヌクレアーゼは当該技術分野で公知である。
かような適切なDNA標品は(ゲノムのDNAもしくはcDNA)はそれぞれベクター中
にクローン化するため、ランダムに剪断するかまたは酵素で切断し、次いで適切
なベクターに連結して組換え遺伝子(ゲノムまたはcDNAの)バンクを形成させる
。
所望のタンパク質をコードするDNA配列またはその機能誘導体は通常の方法に
したがってDNAベクター中に挿入することができる。その方法には、連結する末
端の平滑末端化または付着末端化;適切な末端を与えるための制限酵素による消
化;適切な場合の付着末端のフィルイン;望ましくない結合を回避するためのア
ルカリホスファターゼによる処理;および適切なリガーゼによる連結が含まれる
。このような操作方法は、Maniatisが開示しており〔Maniatis,Tら、Molecular
Cloning(A Laboratory Manual),Cold Spring HarborLaboratory、第二版、1988
年〕、当該技術分野で公知である。
所望の遺伝子をコードする配列を含有するライブラリーを選別し、次いで、所
望の遺伝子が、このような遺伝子またはタンパク質をコードする配列を特異的に
選択する次のような方法のいずれかによって同定される。例えばa)このタンパ
ク質のDNAに対して特異的な配列を含有する適切な核酸のプローブとハイブリッ
ドを形成させる方法によるか、またはb)当該クローンとハイブリッドを形成す
る固有のmRNAを生体外で翻訳し次いでその翻訳産物をさらに特性決定するハイブ
リッド形成選択翻訳分析法によるか、またはc)クローン化された遺伝子配列が
それ自体mRNAを発現できる場合、クローンを含有する宿主が産生する翻訳タンパ
ク質産物を免疫沈澱すること
によって同定される。
特定のタンパク質のためのクローンを同定するのに使用できるそのタンパク質
に対して特異的なオリゴヌクレオチドは、そのタンパク質のアミノ酸配列の知識
またはかようなタンパク質もしくは類縁タンパク質をコードするDNAの核酸配列
の知識に基づいて設計することができる。あるいは、抗体を精製された形態のタ
ンパク質に対して生成させ、その抗体を用いて所望のクローン化タンパク質を発
現する形質転換体中にユニークタンパク質決定因子の存在を同定する。アミノ酸
配列を横方向に示した場合、特にことわらない限り、アミノ末端は左側に置き、
カルボキシ末端は右端に置くものとする。同様に、特にことわらない限り、また
は前後関係から明らかであるが核酸配列は左側に5′末端を置いて示す。
遺伝コードは縮重しているので、一つ以上のコドンを用いて一つの特定のアミ
ノ酸をコードすることができる。ペプチドフラグメントを分析して、縮重性が最
も低いオリゴヌクレオチドがコードできるアミノ酸配列を同定することができる
。このことは単一のコドンのみによってコードされるアミノ酸を含有する配列を
同定することによって実施することが好ましい。
時には、一つのアミノ酸配列が単一のオリゴヌクレオチド配列だけでコードさ
れることがあるが、アミノ酸配列が1セットの類似のオリゴヌクレオチドでコー
ドされる場合が多い。さらに重要なことには、このセットのメンバーはすべて、
同じペプチドフラグメントをコードすることができるオリゴヌクレオチド配列を
含有し、したがって、そのペプチドフラグメントをコードする遺伝子と同じオリ
ゴヌクレオチド配列を含有している可能性があるのに対し、そのセットの一つの
メンバーだけがその遺伝子のエキソンコーディング配列と同一のヌクレオチド配
列を含有している。このメンバーはその
セットの中に存在し、そしてそのセットの他のメンバーが存在していてもDNAと
ハイブリッドを形成できるので、ペプチドをコードする遺伝子をクローン化する
のに単一のオリゴヌクレオチドを利用する場合と同じ方式でオリゴヌクレオチド
の未分画セット(unfractionate set)を用いることができる。
遺伝コードを用いて、一つ以上の異なるオリゴヌクレオチドをそのアミノ酸配
列から同定することができ、そのアミノ酸配列は各々所望のタンパク質をコード
することができる。特定のオリゴヌクレオチドが実際のタンパク質インコーディ
ング配列を実際に構成している確率は、異常な塩基対の関係および真核細胞内で
特定のコドンが実際に使用される(特定のアミノ酸をコードするため)頻度を検
討することによって推定することができる。“コドン使用律(codonusage rules
)”を用いて、タンパク質配列をコードできる理論的に“最も確率の高い”ヌク
レオチド配列を含有する単一のオリゴヌクレオチド配列またはオリゴヌクレオチ
ド配列のセットが同定される。
特定の遺伝子のフラグメントをコードできる適切なオリゴヌクレオチドまたは
オリゴヌクレオチドのセット(またはかようなオリゴヌクレオチドまたはオリゴ
ヌクレオチドのセットに対して相補的な適切なオリゴヌクレオチドまたはオリゴ
ヌクレオチドのセット)は当該技術分野で公知の方法で合成することが可能であ
り(例えば“Oligonucleotides and Analogues,A Practical Approach",F.Ecks
tein編集、1992年、IRL Press社、米国、ニューヨーク参照)、およびかような
遺伝子のためのクローンを当該技術分野で公知の方法で固定して単離するのに用
いるプローブとして利用できる。核酸のハイブリッド形成法とクローン同定法は
、Maniatis,T.ら、“Molecular Cloning,A Laboratory Manuarl,Cold Spring
HarborLaboratories、米国、ニューヨーク州、コールドスプリング・ハー
バー、1982年およびHames,B.D.ら、“Nucleic Acid Hybridization,A Practical
Approach”,IRL Press社、米国、ワシントンDC,1985年に開示されている。か
ようなハイブリッド形成を行うことができることが分かっている上記の遺伝子バ
ンクのこれらのメンバーは、次いで分析され、これらメンバーが含有しているコ
ーディング配列の大きさと性質が測定される。
所望のDNAコーディング配列の検出を容易にするために、上記のDNAプローブに
は検出可能な基の標識をつける。このような検出可能な基は検出可能な物理特性
もしくは化学特性を有するいずれの物質でもよい。このような物質は、核酸のハ
イブリッド形成の分野で充分開発されており、一般に、かような方法に有用なほ
とんどの標識を本発明に利用することができる。特に有用なのは放射性標識であ
り、例えば39P,3H,14C,35S,125Iなどである。適切なシグナルを提供し
かつ充分な半減期を有するあらゆる放射性標識を利用できる。オリゴヌクレオチ
ドは、一本鎖の場合、キナーゼ反応を用いて放射性標識をつけることができる。
あるいは、ビオチン、酵素または蛍光基のような非放射性マーカーで標識を付け
る場合、ポリヌクレオチドも核酸ハイブリッド形成プローブとして有用である。
したがって要約すると、一部分のタンパク質配列を解明すれば、かようなペプ
チドをコードすることができる理論的に“最も確率が高い” DNA配列またはか
ような配列のセットを同定することができる。この理論的な配列に相補的なオリ
ゴヌクレオチドを構築することによって(または最も“確率が高い”オリゴヌク
レオチドのセットに相補的なオリゴヌクレオチドのセットを構築することによっ
て)、遺伝子を含有するクローンを同定し単離するのに用いるプローブとして機
能することができるDNA分子(またはDNA分子のセット)が
得られる。
遺伝子をクローン化する別の方法では、発現ベクターを用い、タンパク質を発
現することができる細胞から調製したDNAまたはより好ましくはcDNAを発現ベク
ター中にクローン化することによって、バンクを作ることができる。次にこのバ
ンクは、例えばバンクを、タンパク質に対する抗体を用いて選別することによっ
て、所望のタンパク質を発現するメンバーについて選別する。
それ故に、上記の方法は、タンパク質またはこのタンパク質の生物活性フラグ
メントもしくは抗原フラグメントをコードできる遺伝子配列を同定することがで
きる。所望のコーディング配列はさらに、特異的な方式で抗体を捕捉する性能を
有するタンパク質をコードするその性能、固有の非組換えタンパク質に結合でき
る抗体の産生を誘発する性能、そのタンパク質の特性である細胞に酵素活性を与
える性能、およびとりわけ受容細胞に対し非酵素的(しかし特異的な)機能を与
える性能を実証することによって、特性を決定することができる。
本発明のベクター中に組換えタンパク質を産生させるためには、かようなコー
ディング配列を、グルコースによって調節できる本発明のプロモーターに作動可
能に連結することが好ましい。そのコーディング配列と本発明の作動可能に連結
されたプロモーターとを受容体の真核細胞(好ましくは真菌の宿主細胞)内に、
非複製DNA(もしくはRNA)すなわち非組込み分子として導入されると、コードさ
れたタンパク質の発現は導入された配列の一過性(非安定)発現〔transient (
nonstable) expression〕によって起こる。
コーディング配列は、DNA分子に組込むことが好ましく、例えば自律複製がで
きない閉環もしくは直鎖の分子好ましくは宿主の染色体に組込まれている直鎖分
子に導入される。遺伝子が安定な形質転
換体はベクター系または形質転換系で構築することができ、この場合、所望のDN
Aは宿主の染色体に組込まれる。このような組込みは細胞内で新たに起こるかま
たは所望のDNA自体を宿主の染色体中に機能的に挿入するベクターで形質転換を
行うことによって促進される。
本発明のプロモーターに作動可能に連結された、所望のタンパク質をコードす
る遺伝子は、一つのプラスミドを構築中に形質転換マーカー遺伝子によって配置
され、次いで形質転換によって宿主細胞中に導入されるか、またはマーカー遺伝
子は、コーディング配列の構築物とともに宿主細胞を同時形質転換する別の構築
物上にある。ベクターの性質は宿主生物に依存している。本発明を実際に理解す
るため、線維状のトリコダーマの真菌をモデルに使用した。すなわち、トリコダ
ーマの真菌および特にT.レセイに対しては、発現カセット(その転写と翻訳の
調節要素に作動可能に連結されたコーディング配列)を宿主の染色体に組込むDN
Aを有するベクターが好ましい。特定部位に対する染色体挿入をねらう必要はな
い。しかし、特定の遺伝子座への組込みは、特異的なコーディング配列もしくは
フランキング配列を、この遺伝子座に適切な頻度で直接組込むのに充分な量で、
組換え構造体に与えることによって達成することができる。
その染色体に、導入DNAを安定に組込まれた細胞は、染色体中に発現ベクター
を含有する宿主細胞を選択できるようにする一つ以上のマーカーを導入すること
によって選択され、例えばそのマーカーは殺生物剤耐性例えば抗生物質もしくは
銅のような重金属類などに対する耐性を付与する。選択可能なマーカー遺伝子は
、発現すべきDNA遺伝子配列に直接連結するか、または同時形質転換によって同
じ細胞に導入することができる。特に本発明の宿主の形質転換に用
いる遺伝子マーカーはamdsであり、これはアセトアミダーゼをコードするのでト
リコダーマの真菌を唯一の窒素源としてのアセトアミド上で増殖させることがで
きる。線維状真菌を形質転換するのに用いる選択可能なマーカーとしては、例え
ばアセトアミダーゼ(amds遺伝子)、ベノミル(benomyl)耐性、オリゴマイシン
耐性、ハイグロマイシン耐性、アミノグルコシド耐性、ブレオマイシン耐性、お
よび栄養素要求体を有するマーカー、オルニチンカルバモイルトランスフェラー
ゼ(OCTアーゼもしくはargBの遺伝子)がある。このようなマーカーの使用につ
いては、Finkelstein D.B.ら編集“Biotechnology of Filamentous Fungi :Tech
nology andProducts”,(1992年)6章、113〜156頁(米国、マサチュセッツ州
、ストーンハム、Butterworth-Heinemann,publishers)に、Finkelstein D.B.
が概説している。
所望のタンパク質および/またはその活性誘導体を発現させるためには、適切
な宿主が認識できる転写シグナルと翻訳シグナルが必要である。上記の方法によ
って好ましくは二本鎖形で得られたクローン化コーディング配列は、発現ベクタ
ー中の転写発現を制御する配列に作動可能に連結され、次いで原核もしくは真核
の宿主細胞内に導入されて組換えタンパク質またはその機能誘導体を産生するこ
とができる。そのコーディング配列のどちらのストランドを、転写発現を制御す
る配列に作動可能に連結するかによって、アンチセンスRNAまたはその機能誘導
体を発現することができる。
異なる宿主でタンパク質を発現させると、タンパク質の特性を変化させる異な
る翻訳後修飾が起こることがある。本発明では、タンパク質またはその機能誘導
体の発現を真核細胞中、特に真菌中で行うことが好ましい。
核酸分子例えばDNAは、転写調節情報が入っている発現制御配列
をもっている場合ポリペプチドを“発現できる”といわれ、そしてこのような配
列はそのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に“作動可能に連結されて
いる”。
作動可能な結合とは、配列の発現を調節配列の影響下もしくは制御下に置くよ
うな方式で、配列が単一(もしくは複数)の調節配列に接続される結合である。
二つのDNA配列(例えばコーディング配列の5′ー端に連結されたコーディン
グ配列とプロモーター領域配列)は次のような場合に作動可能に連結されている
といわれる。すなわち、プロモーターの機能が誘発されると所望のタンパク質を
コードするmRNAが転写される場合:ならびに二つのDNA配列間の結合の性質が、
(1)クレームシフト突然変異を誘導しない、(2)タンパク質、アンチセンス
RNAの発現を命令する発現調節配列の性能を妨害しない、または(3) DNA鋳型
の転写される性能を妨害しない場合である。したがって、プロモーターがDNAの
配列の転写を行うことができる場合、そのプロモーター領域はそのDNA配列に
作動可能に連結されているのである。
遺伝子発現を行うのに必要な調節領域の正確な性質は、種と細胞のタイプによ
って変わるが、一般に必要な場合、転写と翻訳それぞれの開始に関与する5′非
転写配列と5′非翻訳配列(非コーディング配列)例えばTATAボックス、キャッ
ピング配列、CAAT配列などを有し、これらの要素はプロモーター配列が本発明の
プロモーターによって提供される場合に必要である。またこのような転写制御配
列は、所望により、エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を有して
いる。
真菌のような真核宿主内でタンパク質を発現させるには、かような宿主内で機
能する調節領域および好ましくは真菌の調節系を使う必要がある。宿主の性質に
よって、多種類の転写および翻訳の調節
配列を利用することができる。これらの調節シグナルは、その生来の状態で、宿
主細胞内で高レベルで発現できる特定の遺伝子に関連していることが好ましい。
真核細胞において転写が翻訳に連結されていない場合、このような制御領域は
、クローン化配列がイニシエーターのメチオニンを含有しているか否かによって
、イニシエーターのメチオニン(AUG)コドンを与えても与えなくてもよい。こ
のような領域は一般に、宿主細胞内でのRNAの合成開始を命令するのに充分なプ
ロモーター領域を含有している。翻訳可能なmRNA産物をコードする線維状真菌の
遺伝子由来のプロモーターが好ましく、そして特に、宿主細胞内でプロモーター
として作用する場合、協力なプロモーターを使用することができる。
広く知られているように、真核mRNAの翻訳は最初のメチオニンをコードするコ
ドンで開始される。そのため、真核プロモーターと、所望のタンパク質またはそ
の機能誘導体をコードするDNA配列との結合部が、メチオニンをコードできる介
在コドンを含有しないことを保証することが好ましい。このようなコドンが存在
していると、融合タンパク質を生成する(AUGコドンがタンパク質をコードするD
NA配列と同じ読み取り枠内にある場合)、またはフレームシフト突然変異(AUG
コドンがタンパク質をコードする配列と同じ読み取り枠内にない場合)を起こす
。
タンパク質の(通常アミノ末端における)部分コーディング配列と、第二タン
パク質の第二コーディング配列(部分もしくは完全な配列)とを含有する融合産
物を構築することが望ましいことがある。上記の第一コーディング配列は、宿主
細胞からタンパク質を分泌させるシグナル配列として機能してもしなくてもよい
。例えば所望のタンパク質をコードする配列は、特定の宿主からタンパク質を分
泌
できるかまたは特定の宿主内でタンパク質の区画化を行うことができるシグナル
配列に連結することができる。このような融合タンパク質配列は、所望のペプチ
ド配列をその後に取り出し易いように、特異的なプロテアーゼ部位ありまたはな
しで設計することができる。好ましい実施態様では、真菌タンパク質の固有のシ
グナル配列が用いられるか、またはそれに作動可能に連結されているペプチドの
分泌を命令する性能を保持する上記配列の機能誘導体が使用される。アスペルギ
ルス属(Aspergillus)の真菌のリーダー/分泌シグナル要素はトリコダーマ属
の真菌内でも機能する。
所望の場合、所望のタンパク質をコードする配列の3′側の非転写領域および
/または非翻訳領域は、上記のクローン化法で得ることができる。この3′−非
転写領域は、その転写終止調節配列要素に対してまたは真核細胞内でポリアデニ
ル化反応を命令するそれら要素に対して保持できる。生来の発現制御配列のシグ
ナルが宿主細胞内で充分に機能しない場合は、宿主細胞内で機能する配列で置換
できる。
本発明のベクターはさらに、一つ以上の宿主細胞内でベクターを維持するため
に抗生物質耐性または複製開始点を与えるDNA要素のような他の作動可能に連結
された調節要素を含有していてもよい。
特定のプラスミドまたはウイルスベクターを選択する場合の重要な因子として
は、そのベクターを含有している受容細胞が認識されて、そのベクターを含有し
ていない受容細胞から選択される容易さ;特定の宿主内で要望されるベクターの
コピー数;および異なる種の宿主の細胞間でベクターをシャトルさせることがで
きることが望ましいか否かがある。
上記構築体を含有するベクターまたはDNA配列が発現させるために製造された
ならば、そのDNA構築体は、形質転換法を含む各種の
適切な方法によって、適切な宿主細胞に導入される。ベクターを導入した後、受
容細胞を、ベクター含有細胞を選択増殖させる選択培地で増殖させる。この培地
がグルコースを含有している場合、クローン化された遺伝子配列が発現されると
、所望のタンパク質を産生するか、または所望の場合このタンパク質のフラグメ
ントを産生する。この発現は、形質転換細胞内で連続方式で行うか、または例え
ば発現を誘発させることによって制御された方式で行うことができる。
また真菌の形質転換は当該技術分野で公知の方法にしたがって行われる。例え
ば相同的組換え法を用い、真菌の宿主内に遺伝子を安定に挿入するかおよび/ま
たは宿主細胞の性能を破壊して特定のタンパク質を発現させる。
本発明に用いる組換え宿主として有用な真菌としては、例えばトリコダーマ属
とアスペルギルス属の種の真菌、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpur
ea)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium Chrysogenum)、マグナポル
テ・グリセア(Magnaporthe grisea)、ニユーロスポラ属(Neurospora)とマイ
コスフェレラ属(Mycosphaerella)の真菌、コレクトトリカム・トリフオリ(Co
llectotrichum trifolii)、二形性真菌のヒストプラスミア・カプスラタム(Hi
stoplasmia capsulatum)、ネクチア・ハエマトコカ(Nectia haematococca)(
アナモルフ:フサリウム・ソラニ(Fisarium solani)f.sp.phaseoliおよびf.sp.p
isi)、ウスチラゴ・ビオラセア(Ustilago violacea)、ウスチラゴ・マイジス
(Ustilago maydis)、セファロスポリウム・アクレモニウム(Cephalosporium
acremonium)、スギゾフイラム・コムネ(Schizophyllum commune)、ポドスポ
ラ・アンセリナ(Podosporaanserina)、ソルダリア・マクロスポラ(Sordaria
macrospora)、
ムコル・シルシネロイデス(Mucor circinelloides)およびコレクトトリカム・
カプシシ(Collectotrichum capsici)がある。これらの各真菌の形質転換法と
選択法はすでに報告されている〔Finkelstein D.B.ら編゜“Biotechnology of F
ilamentous Fungi :Technology and Products” (1992年)第6章、113〜156
頁(米国、マサチューセッツ州、ストーンハム所在のButterworthーHeinemann p
ublishers社発行)のFinkelstein D.B.の論文に概説されている〕。特に好まし
い真菌は、トリコダーマ・レセイ、T.ハルジアナム(T.harzianum)、T.ロ
ンギブラキアタム(T.longibrachiatum)、T.ビリデ(T.viride)、T.コニ
ンギー(T.koningii)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillusnidulans
)、A.ニガ(A.niger)、A.テレウス(A.terreus)、A.フィカム(A.ficu
m)、A.オリゼ(A.oryzae)、A.アワモリ(A.awamori)およびニューロスポ
ラ・クラッサ(Neurosporacrassa)である。
本発明の宿主にはトリコダーマ属のすべての真菌が含まれるものとする。トリ
コダーマ属の真菌は相似性の形態学的証拠に基づいて分類される。T.レセイは
以前、T.ビリデPers.またはT.コニンギーオウデム(T.koningii Oudem)と
して知られていたが、あるときT.ロンギブラキアタムのグループの別個の種と
して分類された。すべてのトリコダーマ属の種の真菌は、一般に、迅速に増殖す
るコロニーを生成し、ふさ状または膿庖状の繰り返し分枝した分生子柄を有し、
この分生子柄にはフラスコ形のフィアリドとヒアリンまたは緑色の分生子が粘性
頭部に生成している(Bissett,J.Can.J.Bot.,62巻、924〜931頁、1984年)。
T.レセイと呼ばれている真菌は、菌株QM6aを起源とする遺伝ファミリーすな
わち特定の分離菌株QM6aの単一核を起源とする共通の
遺伝背景を有する菌株のファミリーとして明確に定義されている。これらの菌株
だけがT.レセイと呼ばれている。
形態学の方法による分類には問題があり、T.レセイとT.ロンギブラキアタ
ムのセロビオヒドロラーゼ2(cbh2)遺伝子の最近刊行されたDNAフィンガー分析
による分子データおよびハイブリッド形成のパターンは、これらの菌株の分化を
明確に示している(Meyer,W.ら、Curr.Genet.,21巻、27〜30頁、1992年; M
orawetz R.ら、Curr.Genet.,21巻、31〜36頁、1992年)。
しかし、異なるトリコダーマ属の種の真菌間には分子レベルで相似性がある証
拠があり、この証拠は、各種のトリコダーマ属の種の真菌が共有している巨大分
子の構成要素の核酸およびアミノ酸の配列が保存されていることに見出される。
例えば、Cheng,C.ら、Nucl.Acids.Res.,18巻、5559頁、1990年はT.ビリデのc
bh1のヌクレオチド配列が開示さている。この遺伝子は、T.レセイの配列に基
づいたプローブを用いて単離された。上記文献の著者はT.ビリデとT.レセイ
の遺伝子のアミノ酸配列間の相同性は95%であると報告している。Goldman,G.H
.ら、Nucl.Aids Res.,18巻、6717頁、1990年には、T.ビリデ由来のホスホグ
リセリン酸キナーゼ類のヌクレオチド配列が開示され、その推定アミノ酸配列は
.T.レセイ由来のホスホグリセリン酸キナーゼの遺伝子との相同性が81%であ
ると報告されている。したがって、T.ビリデとT.レセイに分類されている種
は遺伝的に互いに非常に近いにちがいない。
さらに、トリコダーマ属の種の真菌間には形質転換の条件に高度の相似性があ
る。実際に産業上重要なすべてのトリコダーマ属の種は以前に考案されたトリコ
ダーマの区分のロングブラキアタムに見られるが、この区分に帰属されていない
トリコダーマのいくつかの他の種がある。このような種としては例えばトリコダ
ーマ・ハルジ
アナムがあり、この真菌は植物の病原体に対する生物防除剤として作用する。こ
のトリコダーマ属の種の真菌に対する形質転換システムも開発されているが(He
rrera-Estrella,A.ら、Molec.Macrobiol.,4巻、839〜843頁、1990年)、本
願に教示したシステムとほとんど同じである。したがって、たとえトリコダーマ
・ハルジアナムがロンギブラキアタムの区分に帰属されていなくても、形質転換
を行う前にスフェロプラストを製造する際HerreraーEstrellaが用いた方法は同じ
でる。Herrera-Estrellaの教示は、本発明の形質転換システムがすべてのトリコ
ダーマには機能しないは考えられる程、トリコダーマの種に有意な多様性はない
ことを示している。
さらに、真菌の種の間には、真菌転写制御シグナルの共通のファンクショナリ
ティ(functionality)がある。少なくとも三つのA.ニジュランスのプロモー
ターamdS,argBおよびgpdはT.レセイ内で遺伝子を発現させると報告されてい
る。amdSとargBの場合、選択可能な表現型については遺伝子の一つもしくは二つ
のコピーだけで充分である(Penttilaら、Gene,61巻、155〜164頁、1987年)。
Gruber,F.ら、Curr.Genetic,18巻、71〜76頁、1990年にも、真菌の遺伝子は異
なる種で発現することに成功することが多いと報告されている。それ故に、本発
明で同定された、グルコースで調節されるプロモーターは他の真菌内でもグルコ
ースによって調節可能であると考えられる。cbh1を除いて、グルコースで調節さ
れる本発明のプロモーターは、グルコースによって直接には調節されず、むしろ
グルコースの存在に関係なく機能すると解される。
多数の種の真菌、特にトリコダーマ属の真菌は真菌のカルチャーコレクション
をもっている広範囲の供給センターから入手できる。さらにトリコダーマ属の種
の真菌は各種のデータベースのカタログ
に記載されている。これらの資源とデータベースは、D.B.Fingelstein編、“Bio
chemistry of Filamentous Fungi:Thechnology and Products”1992年、3〜39
頁、(米国、マサチューセッツ州ストーンハム所在のButterworth-Heinemann社
刊行)の0'Donnell,Kらの文献に要約されている。
ベクターを導入し次いで形質転換体を選択した後、受容細胞は、ベクター含有
細胞を選択して増殖させる選択培地で増殖させる。クローン化された遺伝子配列
を発現させると、宿主細胞の培地の中に、所望の非相同もしくは相同のタンパク
質を合成もしくは分泌するかまたは相同のタンパク質のフラグメントを産生する
。
好ましい実施態様では、そのコーディング配列はリグノセルロースを加水分解
することができる酵素の配列である。このような配列の例としては次のような酵
素をコードするDNA配列が挙げられる。すなわちセロビオヒドロラーゼI(CBHI
)、セロビオヒドロラーゼII(CBHII)、エンドグルカナーゼI(EGI)、エンド
グルカナーゼII(EGII)、エンドグルカナーゼIII(EGIII)、β−グルコシダー
ゼ類、キシラナーゼ類(エンドキシラナーゼ類とβ−キシロシダーゼを含む)、
側基切断活性体(例えばα−アラビノシダーゼ、α−D−グルクロニダーゼおよ
びアセチルエステラーゼ)、マンナナーゼ類、ペクチナーゼ類(例えばエンドー
ポリガラクツロナーゼ、エキソーポリガラクツロナーゼ、ペクチンエステラーゼ
、またはペクチンとペクチン酸のリアーゼ)、ならびにリグニンポリマーを分解
する酵素〔例えば、フェレビア・ラジアタ(Phlebia radiata)(Saloheimoら、
Gene,85巻、343〜351頁、1989年)もしくは他のリグニナーゼの遺伝子由来のリ
グニンペルオキシダーゼLIII、ラカーゼ(laccase)またはMnペルオキシダーゼ
(Aubertら編、“Biochemistry and Genetics of Cellulose Degradatio,FEMS
Symposium No.43”1988年315〜332頁、ロンドン、AcademicPress,Harcourt Brac
e Jovanovitch Publishersの(17)Kirkの文献)〕をコードするDNA配列である。
セルロース分解酵素の遺伝子のクローン化はすでに報告されており、最近概説が
なされた(FinkelsteinD.B.ら編“Biotechnology of Filamentous Fungi :Techn
ology andProducts”1992年、14章、417〜445頁(米国、マサチューセッツ州
、ストーンハム所在のButterworth-Heinemann publishers刊行)のTeeri,T.T.の
文献)。生来のセロビオヒドロラーゼCBHIの配列の遺伝子は、Shoemakerら(Sho
emaker,S.ら、Bio/Technology,1巻、691〜696頁、1983年)およびTerriら(Te
rriら、Bio/Technology,1巻、696〜699頁、1983年)がクローン化しており、
その遺伝子の全ヌクレオチド配列は公知である(Shoemaker,S.ら、Bio/Technol
ogy,1巻、691〜696頁、1983年)。またT.レセイから、主要なエンドグルカ
ナーゼ(EGI)の遺伝子がクローン化され特性が決定された(Penttila,M.ら、G
ene,45巻、253〜263頁、1986年;ヨーロッパ特許願第137,280号; Van Arstel,J
.N.V.ら、Bio/Technology,5巻、60〜64頁)。その外の単離されたセルラーゼ遺
伝子としては、cbh2(国際特許願WO第85/04672号;Chen,C.M.ら、Bio/Technolo
gy,5巻、274〜278頁、1987年)およびegl3 (Saloheimo,M.ら、Gene,63巻、1
1〜21頁、1988年)がある。T.レセイの二つのエンドーβ−キシラナーゼ類(x
lnlとxln2)の遺伝子はすでにクローン化され、本願出願人の同時係属出願の米
国特許第07/88,983号(1992年5月29日出願)に記載されている。これらキシラナ
ーゼタンパク質は精製され特性が決定されている(Tenkanen,M.ら、Proceeding
of the Xylans andXylanases Symposium,1991年、オランダ、ワーゲニンゲン
)。
発現されたタンパク質は、通常の条件例えば抽出、沈澱、クロマ
トグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動などにしたがって
宿主の培地から単離して精製することができる。例えば細胞を遠心分離によって
または適切な緩衝液で集め、分解し、次いでタンパク質が例えばDEAE−セルロー
ス、ホスホセルロース、ポリリボシチジル酸アガロース、ヒドロキシアパタイト
のカラムクロマトグラフィー、または電気泳動法もしくは免疫沈澱法によって単
離される。
本発明を実施する方式および方法は、以下の実施例を参照することによって当
該技術分野の当業者は一層充分に理解できる。しかしこれらの実施例は、本発明
の適用範囲または本発明の特許請求の範囲の適用範囲を限定するものではない。
実施例1
グルコースで強力に発現されるトリコダーマ レセイの遺伝子の単離
グルコースで誘発されるmRNAを単離するため、トリコダーマ レセイ菌株QM94
14(Mandels,M.ら、Appl.Microbiol.,21巻、152〜154頁、1971年)を、10l
発酵槽内のグルコース培地(グルコース60g/l、Bacto-Pepton 5 g/l、酵
母エキス1g/l、KH2P044g/l、(NH4)2S04 4g/l、MgS04 0.5g/
l、CaCl2 0.5g/lならびに痕跡の成分FeS04・7H20 5mg/l、MnS04・ H201.6m
g/l、ZnS04・7H20 1.4mg/lおよびCoCl2・6H20 3.7mg/l、pH 5.0〜4.0)で
増殖させた。グルコースの供給(465g/20h)は増殖開始30時間後に始めた。菌糸
体を増殖45時間後に収穫し、次いでChirgwin J.M.ら、Biochem.J.,18巻、5294
〜5299頁、1979年の方法にしたがってRNAを単離した。ポリA+RNAを、オリゴ(
dT)−セルロースクロマトグラフィーによって全RNAから単離し(Maniatis,T.
ら、“Molecular Cloning:A Laboratory Manuar”Cold Spring
Harbor Laboratory、米国,ニューヨーク州,コールドスプリングハーバー)、c
DNAの合成とそのcDNAのクローン化は、λ-ZAPベクター中にメーカーの指示にし
たがって実施した(ZAP-cDNA合成キット、Stratagene社)。得られたcDNAバンク
をニトロセルロースフィルター上に移し、そのバンクが構築された同じポリA+
RNAから合成された32P標識化一本鎖cDNA(Teeri,T.T.ら、Anal.Biochem.,164巻
、60〜67頁、1987年)を用いて選別した。この標識をつけたcDNAに、32P−dCTP
(Random Primed DNA Labeling Kit,Boehringer-Mannheim社)で再度標識を付
けた。ハイブリッド形成条件は、Maniatis,T.ら、“Molecular Cloning:A Labo
ratory Manuar,Cold SpringHarbor Laboratory、米国,ニューヨーク州,コー
ルドスプリングハーバー、1982年に記載されているのと同じにした。最も強い陽
性反応を示す50個のクローンを単離し、そのcDNAをメーカーの指示にしたがって
、Bluescript SK(−)プラスミド中に生体内でサブクローン化した(ZAP-cDNA
合成キット、Stratagene社)。
得られたクローンを同定し取出すために、これらクローンはすべて標準の方法
を用いて3′末端から配列を決定した。そのcDNAλバンク中の各特定のクローン
の頻度は、そのバンクを、クローンに特異的なPCRプローブとハイブリッドを形
成させることによって求めた。5種の最高の頻度を示すクローンcDNA33,cDNA1,c
DNA10,cDNA12,cDNA15は、全mRNAのプールの1〜3%であった。
実施例2
単離された、グルコースで発現されるトリコダーマの遺伝子とそのプロモーター
の特性決定
クローンcDNA33,cDNA1,cDNA10,cDNAl2およびcDNAl5のcDNAをプローブとして用
いて、すでに製造されているトリコダーマの染色体のλバンク(Vanhanen,S.ら
、Curr,Genet.,15巻、181〜186
頁、1989年)から対応する遺伝子とプロモーターを単離した。染色体λクローン
について実施した制限酵素消化のサザーン分析に基づいて、そのプロモーターお
よび染色体遺伝子の5′部分または全遺伝子を、適切な制限酵素を用いてpSP73
ベクター(Promega社、米国,マディソン)中にサブクローン化し、クローンのc
DNA33,cDNA1,cDNA10,cDNAl2およびcDNA15それぞれに対応する、プラスミドpTHN
1(図1)、pEA33(図2)、pTHN3(図3)、pEA10(図4)、pEA12(図5)お
よびpEA155(図6)を得た。先に得た配列から設計したプライマーを用いて、遺
伝子の5′末端およびプロモーターから配列を得た。単離したプロモーターおよ
び遺伝子もしくはその一部の配列(cDNAもしくは染色体DNAから得た)を、cDNA3
3についてはSEQ ID1に、cDNA1についてはSEQ ID 2に、cDNA10についてはSEQ ID
3に、cDNA12についてはSEQ ID 4に、およびcDNA15についてはSEQ ID 5に示す。
タンパク質データバンク内の公知の配列に対する配列類似性に基づいて、クロー
ンcDNA33を翻訳延長因子、TEF1αとして定義することができた。
実施例3
トリコダーマ内でtef1−プロモーターのもとでEGI−コアを発現させるのに用い
るベクターの構築
cbh1プロモーターと約700ntの長さのAvaIIターミネーターフ
来のegl1cDNAのEcoRI- BamH Iフラグメントを保有するプラスミドpPLE3(図7)
のegl1cDNA〔CSEQ ID 16および図7A〕配列に対して内側に位置するXhoI+DraI
IIフラグメントを、プラスミドpEG131(Nitisinprasert,S.,Reports from Depar
tment of Microbiology、ヘルシンキ大学、1990年)由来のcDNAのXhol- DraIII
フラグメン
トで置換した。このPPEGl31挿入配列は、停止コドンがegll遺伝子のヒンジ領
域の直前に構築されているegl1cDNAである。cbh1ターミネーター配列は図7B
〔SEQ ID 23〕に示す。SEQ ID 23は短くしたcbh1ターミネーター配列でありSEQ
ID 24に類似している(5′末端において30個のヌクレオチドを欠いている以外
“長い”cbh1ターミネーター)。
pPLE3はpUC18の骨格を有し、かつEcoRI部位に挿入されたcbh1プロモーターを
保有している。このcbh1プロモーターは全長のegl1cDNAコーディング配列とcbh
1転写ターミネーターに作動可能に連結されている。そのori遺伝子とamp遺伝子
は細菌プラスミド由来のものである。
得られたプラスミドpEM-3(図8)は、egllコア領域の後に転写停止コドンを
有するegl1cDNAのコピーをもっている(EGIアミノ酸1〜22はEGIシグナル配列で
ある; EGIアミノ酸23〜393は、Thrで終っているが“コア”配列とみなす)。
次いでpEM-3をEcoRIとSphIで消化し、そのプラスミドの放出されたBluescribe M
l3+部分(Vector Cloning Systems社、米国,サンディエゴ)を、プラスミドp3
SR2(Hynes,M.J.ら、Mol.Cell.Biol., 3巻、1430〜1439頁、1983年;Tilburn,J
.ら、Gene、26巻、205〜221頁、1983年)由来の3.4kbのamdSフラグメントを含有
するEcoRIと SphIで消化したpAMD(図8)で置換した。こうして得られたプラ
スミドpEM-3A(図8)をEcoRIで消化し次いでKspIで部分的に消化してcbh1プ
ロモーターを有する2.3kbのフラグメントを放出させ、このプラスミドの残りの
部分を保有する8.6kbのフラグメントをアガロースゲルで精製した。tef1プロモ
ーター(SEQ ID1の塩基1〜1234)の配列データに基づいて、二つのプライマー
(SEQ ID 6とSEQ ID 7)を設計し、PCR反応に使用して、tef1遺伝子の翻訳開始
部位に隣
接する1.2kbのプロモーターフラグメントを単離した。5′プライマーは、
ACCGGAATTCATATCTAGAGGAGCCCGCGAGTTTGGATACGCC(SEQ ID 6)であり、そして3
′プライマーは
ACCGCCGCGGTTTGACGGTTTGTGTGATGTAGCG(SEQ ID 7)であった。5′プライマー中
に太文字で示し下線を付けたGAATTCはEcoRI部位である。また5′プライマー中
に太文字で示し下線を付けたTCTAGAはXbaI部位である。3′プライマー中に太
文字で示し下線を付けたCCGCGGはSacII部位である。このフラグメントをEcoRIで
消化し次いでKspIで部分的に消化し、アガロースゲルで精製し、8.6kbのpEM-3A
フラグメントに連結してプラスミドpTHN100B(図9)を得た。この発現ベクター
は、tef1プロモーターに作動可能に連結されたEGIコア構造要素をコードするDN
Aを保有している。またこのプラスミドは、トリコダーマ属真菌の形質転換体を
選択するのに用いるamdSマーカー遺伝子も保有している。
実施例4
トリコダーマ属真菌の形質転換、EGIコア産生クローンの精製およびその分析
トリコダーマ レセイ菌株QM9414を、6〜10μgのプラスミドpTHN100Bを用い
、Penttila,M.ら、Gene)61巻、155〜164頁、1987年に記載してあるのとほとん
ど同様にして形質転換した。得られたAmd+形質転換体を、アセトアミドを含有す
るスラント上に2
1987年)。その後、Potato Dextrose agar(Difco社)上で増殖させた形質転換
体で胞子懸濁液を作製した。5%グルコースで補充した
を用いこれにグルコースを追加供給しながら(追加供給したグルコ
ースの合計量は20%グルコース溶液6mlであった)50ml振盪フラスコで培養した
培養物から、EGI特異的抗体を用いてスロットブロッティングを行うことによっ
て、EGIコア産生について試験した。EGIコア産生クローンの胞子懸濁物を、Pota
to Dextrose agarプレート上で単胞子培養物にまで精製した。EGIコアの産生は
、先に述べたのと同様にして、これらの精製されたクローンから再び分析した(
図10)。
実施例5
グルコース上で増殖させたトリコダーマ属真菌が産生したEGIコアの特性決定
EGIコア産生菌株pTHN100B-16Cを、酵母エキスを除外しグルコースの供給量を5
55g/22hにしたことを除いて実施例1で先に記載したのと同様にして、10l発酵
器内のグルコース培地中で増殖した。培養物の上澄み液を、遠心分離によって菌
糸体から分離した。トリコダーマ属真菌がEGIコアを分泌することは、濃縮した
培養上澄み液をSDS-PAGEで泳動させ次いでブロットされたフィルターをEGIコア
に対して特異的なモノクローナル抗体で処理する通常の方法でウエスタンブロッ
ティングを行うことによって確かめた(図11と12)。濃縮培養上澄み液およ
び基質として3mMクロロニトロフェニルラクトシドを用い、次いで405nmの波長光
の吸光度を測定することによる(Clayessens,M.ら、Biochem.J.,261巻、819〜825
頁、1989年)微量滴定プレート検定法で、その酵素活性が半定量的であることが
分かった。
実施例6
cbh1プロモーターの端を切取ったフラグメントによるβ−ガラクトシダーゼ
発現ベクターの構築
ベクターpML016(図13)は、トリコダーマ レセイの染色体遺伝
子バンクから単離された、5′末端でEcoRI部位から始まる2.3kbのcbh1プロモー
ターフラグメント(SEQ ID 18、図13A)(Teeri,T.ら、J.Bio/Technology、
1巻、696〜699頁、1983年);プラスミドpAN924-21由来のlacZ遺伝子の3.lkbの
BamHIフラグメント(van Gorcomら、Gene、40巻、99〜106頁、1985年);および
翻訳停止コドンから84bp上流から始まり3′末端のBamHI部位まで延びる1.6kbの
cbh1ターミネーター(図l3B、SEQ ID 24)(Shoemaker,S.ら、Bio/Technol
ogy、1巻、691〜696頁、1983年; Teeri,T.ら、Bio/Technology、1巻、696〜
699頁、1983年)を含有している。これらの断片を、pBR322の2.3kb長のEcoRI- P
vuII領域に連結して(Sutcliffe,J.G.,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.,4
3巻、77〜90頁、1979年)図13に示す結合部を生成させた。2.3kbのcbh1プロモー
ターと3.1kbのlacZ遺伝子との間の正確なインフレーム結合部(in frame joint
)を図13に示すオリゴを用いて構築した。プロモーターを欠失させるため、図
13に示すポリリンカーをcbh1プロモーター内の単一の内部XbaI部位にクローン化
した。SalIと SphIによる制限消化によって発現カセットをベクターから放出さ
せることができるように、図13に示す短いSalIリンカーを、pBR322のフラグメン
トとcbh1プロモーターのフラグメントとの間の結合部にクローン化した。ベクタ
ーをKpnIおよびXhoIで切断し、Erase-A-Base System(Promega社、米国,マディ
ソン)をメーカーの指示にしたがって用いることによって、進行的一方向性欠失
(progressive unidirectional deletion)をcbh1プロモーターに導入した。異
なる欠失時間の時点で得たプラスミドを用いて、Hanahan,D.,J.Mol.Biol.,166巻
、557〜580頁、1983年に記載の方法によってイー・コリ菌株DH5α(BRL社)を形
質転換し、その欠失末端部を標準の方法を用いることによって配列を決定した。
実施例7
トリコダーマ属真菌の形質転換、β−ガラクトシダーゼ産生クローンの単離およ
びそれらクローンの分析
2.3kbの無傷のcbh 1プロモーターまたはその端を切り取られた変形物を含有す
る、β−ガラクトシダーゼの発現ベクター(実施例6に説明したようにして調製
した)で、トリコダーマ レセイの菌株QM9414を形質転換した。20μgのプラス
ミドをSalIと SphIで消化してベクターから発現カセットを放出させ、これらの
混合物と、アセトアミダーゼ遺伝子を含有する3μgのプラスミドp3SR2(Hynes,
M.J.ら、Mol.Cell.Biol., 3巻、1430〜1439頁、1983年)とを用いて、トリコダ
ーマ属の真菌を同時形質転換した。この形質転換法は
いる方法であった。そしてAmd+形質転換体を、実施例4にすでに述べたのと同じ
ようにして選別した。Amd+形質転換体のβ−ガラクトシダーゼ産生については、
2%グルコース、2%フルクトースおよび0.2%ペプトンを補充しpHを7に調節
した固体最少培地
いる微量滴定プレートのウエル上に胞子懸濁液を接種することによって試験した
。28℃で24hインキュベートした後、色原体の基質X-gal(20mg/ml)を10
μlづつ各ウエルに添加し、ブルー色が生じたときβ−ガラクトシダーゼ活性の
表示とみなした。プロモーターの内部ポリリンカーから始まって翻訳開始部位の
前の385bpの位置で終わるcbh1プロモーター中の1110bpの欠失(図15)があるプ
ラスミドpML016de15(11)(図14)で形質転換した形質転換体には濃いブルー色
が検出できた。この端を切り取られたプロモーターの配列をSEQ ID 19(図15A
)として示す。
実施例8
グルコースによって抑制を解除されたcbh1プロモーターによる、グルコース
上でのCBHIの産生
グルコース上でCBHIを産生させるため、発現プラスミドpML017(図16)を構築
した。プラスミドpML016de15(11)を、酵素のKsp I(認識配列の最初のヌクレオ
チドはATGから−16の位置にある)とXma I (認識配列の最初のヌクレオチドは
cbh1遺伝子の翻訳停止コドンから下流へ76個のヌクレオチドの位置にある)で消
化した。短くしたcbh1プロモーターを含有するベクター部分、cbh1のターミネー
ターおよびpBR322の配列を、トリコダーマ レセイの染色体遺伝子バンク(Teer
i,T.ら、Bio/Technology、1巻、696〜699頁、1983年)からKspI- Xma Iフラグ
メントとして単離した染色体cbh1遺伝子に連結した。このフラグメントの配列は
図16A(〔SEQ ID 17〕)に下線を付けた部分として示す。プラスミドpML017で
トリコダーマ レセイ菌株QM9414を形質転換し、次いでAmd+形質転換体をすでに
実施例7で述べたのと同様にして選別し
61巻、155〜164頁、1987年)を用い追加のグルコースの供給(供給グルコースの
合計量は6mg/200μl培養物であった)を行いながら実施した微量滴定プレート
培養(200μl、3日間)によって、40個の形質転換体からのCBHIの産生につい
て試験した。培養物の上澄み液をニトロセルロースのフィルター上にスロットブ
ロットを行い、次いでCBHIを特異的な抗体で検出した。最高にCBHIを産生する10
個の形質転換体の胞子懸濁液を、アセトアミドとTriton X-100を
Gene)61巻、155〜164頁、1987年)。先に述べたのと同じ培地で実施して振盪フ
ラスコ培養(50ml;6日間)で、30個の単胞子培養
物をCBHI産生について試験した。供給グルコースの合計量は1.8g/50ml培養物で
あった。培養上澄み液を希釈した液のスロットブロットを行い次いでCBHIを特異
的な抗体で検出した(図17)。
実施例9
cbh1プロモーター内に、グルコースの抑制を解除する特異的な突然変更を有する
β−ガラクトシダーゼ発現ベクター
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のグルコースレプ
レッサータンパク質MIG1の結合部位に類似していることが見出されたcbh1プロモ
ーター中の3個の6bp配列(NehlinおよびRonne,EMBO J.,9巻、2891〜2899頁、19
90年; Nehlinら、EMBO J.,10巻、3373〜3377頁、1991年)を、トリコダーマ
レセイの固有のcbh1プロモーターのグルコース抑制作用を仲介するこれらのおは
じき石(mig)様配列の機能を試験するため、他のヌクレオチドに変更した。特
異的な突然変異を保有するcbh1プロモーターを有するβ−ガラクトシダーゼ発現
ベクターを構築するためにプライマー内の配列を変更した。具体的に述べると次
のとおりである。
TCT TCA AGA ATT GCT CGA CCA ATT CTC ACG GTG AAT GTA GG (SEQID 8);ACA CAT
CTA GAG GTG ACC TAG GCA TTC TGG CCA CTA GATATA TAT TTA GAA GGT TCT TGT
AGC TCA AAA GAG C(SEQ ID 9);GGG AAT TCT CTA GAA ACG CGT TGG CAA ATT ACG
GTA CG (SEQ ID10);GGG AAT TCG GTC ACC TCT AAA TGT GTA ATT TGC CTG CTT G
ACC(SEQ ID 11);GGG AAT TCG GTC ACC TCT AAA TGT GTA ATT TGCCTG CTT GAC CG
A TCT AAA CTG TTC GAA GCC CGA ATG TAG G(SEQID 12);GGG AAT TCT TCT AGA TT
G CAG AAG CAC GGC AAA GCC CACTTA CCC(SEQ ID 13);TAG CGA ATT CTA GGT CAC
CTC TAA AGG TACCCT GCA GCT CGA GCT AG(SEQ ID 14);およびGGG AAT TCA TGA T
GCGCA GTC CGC GG(SEQ ID 15)。これらのプライマーはcbh1プロモ
ーターとcbh1プロモーターの内部ポリリンカーとに対して特異的であったので、
クローン化する場合のcbh1プロモーター配列のPCR増幅に利用した。
pML016(図13)を、PCR鋳型として用い適切なプライマーによって、−1500位
のポリリンカーに始まりATGの上流−720で終わる770bp のフラグメントA(プ
ライマー:TAG CGA ATT CTA GGT CACCTC TAA AGG TAC CCT GCA GCT CGA GCT AG
(SEQ ID 14)およびGGGAAT TCT CTA GAA ACG CGT TGG CAA ATT ACG GTA CG(S
EQ ID 10))、ならびに−720位に始まり16位のKspI部位で終わる720bpのフラグ
メントB(プライマー:GGG AAT TCT TCT AGA TTG CAG AAG CACGGC AAA GCC CAC
TTA CCC(SEQ ID 13)およびGGG AAT TCA TGA TGCGCA GTC CGC GG(SEQ ID 15)
)を得た。フラグメントAとフラグメントBをアガロースゲルで精製し、それぞ
れBstEII−Xba IおよびXbaI− Ksp Iで消化し、pML016の7.8kbのフラグメントに
連結してpMI-24を製造した。得られたcbh 1プロモーターは、無傷のcbh 1プロモ
ーターの翻訳開始コドンの上流−720〜−715位に配列変更がある(図18)(ゲノ
ム配列:5′GTGGGG、変更後の配列:5′TCTAGA)。pMI-24の変更後のcbh1プロ
モーターの配列を図18Aと SEQ ID 20に示す。
プロモーターの内部ポリリンカーから始まり翻訳開始部位の前の1025bpで終わ
る460bpの欠失をcbh1プロモーター内に有するpML016del0(2)(図19)を実施例6
に記載されているのと同様にして構築し、次いでこのpML016de10(2)を、PCR鋳型
として用い、プライマー:TCT TCA AGA ATT GCT CGA CCA ATT CTC ACG GTG AAT
GTAGG(SEQ ID 8)およびACA CAT CTA GAG GTG ACC TAG GCA TTC TGGCCA CTA GAT
ATA TAT TTA GAA GGT TCT TGT AGC TCA AAA GAG C(SEQ ID 9)によって、cbh1プ
ロモーターの5′末端から始まりそ
のプロモーターの内部ポリリンカーで終わる800bpのフラグメントCを得た。フ
ラグメントCをアガロースゲルで精製し、SalI−XbaIで消化し次いでpML016de10
(2)の7.6kbのSalI- XbaIフラグメントに連結してpMI-25を製造した。pMI-25のcb
hIプロモーターには、無傷のcbhIプロモーターの翻訳開始コドンの上流−1505−
1500の位置に配列の変更がある(図18)(ゲノム配列:5′ GTGGGG、変更後の
配列:5′ TCTAAA)。
pML016de10(2)をPCR鋳型として用い、プロモーターの内部ポリリンカーか
ら始まり−16位のKsp I部位で終わる750bpのフラグメントDを得た(プライマー
としてはGGG AAT TCG GTC ACC TCT AAATGT GTA ATT TGC CTG CTT GAC CGA TCT A
AA CTG TTC GAA GCC CGAATG TAG G(SEQ ID 12)およびGGG AAT TCA TGA TGC GCA
GTC CGCGG(SEQ ID 15)を使用した〕。フラグメントDをアガロースゲルで精製し
、BstEII− KspIで消化し、次いでpMI-25の7.8kbのBstEIIKspIフラグメントに連
結してpMI-26を製造した。pMI-26のcbh1プロモーターには配列変更がある。すな
わち無傷のcbh1プロモーターの翻訳開始コドンの上流−1505−1500位(ゲノム配
列:5′ GTGGGG、変更後の配列:5′TCTAAA)および同上流の−1001−996位(
ゲノム配列:5′ CTGGGG、変更後の配列:5′ TCTAAA)に配列変更がある(図
18)。
pML016de10(2)をPCR鋳型として用い、プライマー:GGG AAT TCTCTA GAA ACG C
GT TGG CAA ATT ACG GTA CG(SEQ ID 10)およびGGGAAT TCG GTC ACC TCT AAA TGT
GTA ATT TGC CTG CTT GAC C(SEQID 11)によって、プロモーターの内部ポリリン
カーから始まり−720位で終わる280bpのフラグメントEを得、およびプライ
マー:GGGAAT TCT TCT AGA TTG CAG AAG CAC GGC AAA GCC CAC TTA CCC(SEQID 1
3)およびGGG AAT TCA TGA TGC GCA GTC CGC GG(SEQ ID 15)に
よって、−720位に始まり−16位のKsp I部位で終わる720bpのフラグメントFを
得た。フラグメントDとEをアガロースゲルで精製し、それぞれBstEII- Xba I
およびXbaI- KspIで消化し、pMI-25の7.8kbのBstEII− KspIフラグメントに連結
してpMI-27を製造した。pMI-27のcbh1プロモーターには、無傷のcbh1プロモータ
ーの翻訳開始コドンの上流の、−1505−1500位(ゲノム配列:5′GTGGGG、変更
後の配列:5′ TCTAAA)および−720−715位(ゲノム配列:5′ GTGGGG、変更
後の配列:5′ TCTAGA)に配列変更がある(図18)。
pMI-27の変更後のcbh1プロモーターの配列を図18CとSEQ ID 21に示す。
pML016de10(2)をPCR鋳型として用い、プライマー:GGG AAT TCTCTA GAA ACG C
GT TGG CAA ATT ACG GTA CG(SEQ ID 10)およびGGGAAT TCG GTC ACC TCT AAA TGT
GTA ATT TGC CTG CTT GAC CGA TCTAAA CTG TTC GAA GCC CGA ATG TAG G(SEQ ID
12)によって、プロモーターの内部ポリリンカーから始まり−720位で終わる280
bpのフラグメントGを得、およびプライマー:GGG AAT TCT TCT AGA TTGCAG AAG
CAC GGC AAA GCC CAC TTA CCC(SEQ ID 13)およびGGG AATTCA TGA TGC GCA GTC
CGC GG(SEQ ID 15)によって、−720位で始まり−16位のKspI部位に終わる720bp
のフラグメントHを得た。フラグメントGとHをアガロースゲルで精製し、それ
ぞれBstEII−XbaIおよびXbaI− KspIで消化し次いでpMI-25の 7.8kbのBstEIIKs
pIフラグメントに連結してpMI-28を得た。pMI-28のcbh1プロモーターには次のよ
うな配列変更がある。すなわち無傷のcbh 1プロモーターの翻訳開始コドンの上
流の、−1505−1500位(ゲノム配列:5′ GTGGGG、変更後の配列:5′ TCTAAA
)、−1001−996位(ゲノム配列:5′ CTGGGG、変更後の配列:5′ TCTAAA)
、および
−720 −715位(ゲノム配列:5′ GTGGGG、変更後の配列:5′ TCTAGA)に配
列変更がある(図18)。pMI-28の変更後のcbh1プロモーターの配列を図18CとSE
Q ID 22に示す。
PCRで増幅したDNAフラグメントおよび連結部をすべて標準の方法で配列を決定
して、突然変異が存在し、他のヌクレオチドは全く変化してないことを確認した
。トリコダーマ レセイQM9414の上記ベクターによる形質転換、β−ガラクトシ
ダーゼ産生クローンの単離およびそれらクローンの分析を実施例7に記載されて
いるのと同様にして行った。プラスミドpMI-24,pMI-27およびpMI-28で形質転換
した形質転換体をグルコースで増殖させて得たコロニーに、X-galを添加した後
、β−ガラクトシダーゼ活性の指標として濃いブルー色が検出された(図20)。
このことは、上記の突然変異でcbh1プロモーターを変更すると、グルコースの存
在下そのcbh1プロモーターのもとでトリコダーマ属真菌内でタンパク質を充分に
発現させることができることを示している。
配列の列挙
(1)一般情報:
(i)出願者:
(A)名称:ALKO Ltd
(B)通り:Salmisaarenranta 7H
(C)町 :ヘルシンキ
(D)国 :フィンランド
(E)郵便番号:FIN-00180
(ii)発明の名称:グルコースの存在下で活性的な真菌プロモーター
(iii)配列の数:28
(iv)通信住所:
(A)住所:ALKO Ltd
Law Department/Patents
(B)郵便住所:P.O.Box 350
(C)町 :ヘルシンキ
(D)国 :フィンランド
(E)郵便番号:FIN-00101
(v)先出願日:
(A)出願番号:US 07/932,485
(B)出願日 :19-AUG-1992
(vi)電信情報:
(A)電話:358-0-13311
(B)テレファックス:358-0-1333346
(2)配列番号1についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:3461個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数 一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号1:
(2)配列番号2についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1636個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号2:
(2)配列番号3についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:2868個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号3:
(2)配列番号4についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:2175個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号4:
(2)配列番号5についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:2737個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数 一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号5:
(2)配列番号6についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:43個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号6:
(2)配列番号7についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:34個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号7:
(2)配列番号8についての情報:
(i)配列の特徴
(A)長さ:41個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号8:
(2)配列番号9についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:73個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号9:
(2)配列番号10についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:38個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号10:
(2)配列番号11についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:43個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数.一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号11:
(2)配列番号12についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:73個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号12:
(2)配列番号13についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:45個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号13:
(2)配列番号14についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:47個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号14:
(2)配列番号15についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:26個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号15:
(2)配列番号16についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1588個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号16:
(2)配列番号17についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1820個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号17:
(2)配列番号18についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:2211個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号18:
(2)配列番号19についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1137個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号19:
(2)配列番号20についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:2261個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号20:
(2)配列番号21についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1776個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号21:
(2)配列番号22についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1776個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号22:
(2)配列番号23についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:745個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号23:
(2)配列番号24についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1627個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号24:
(2)配列番号25についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:91個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(2)配列番号26についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:97個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ix)特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置:18..95
(xi)配列:配列番号26:
(2)配列番号27についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:26個のアミノ酸
(B)型 :アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号27:
(2)配列番号28についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:15個の塩基対
(B)型 :核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号28:
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1994年10月20日
【補正内容】
請求の範囲
1.所望する環境条件下で活性的であるプロモーターをクローニングするため
の方法であって:
a.前記環境条件、好ましくはグルコース含有培地に糸状菌宿主、好ましくは
トリコダーマ宿主を暴露し;
b.前記宿主からmRNAを抽出し;
c.前記mRNAからcDNAバンクを調製し;
d.前記cDNAのサンプルを検出可能的にラベリングし;
e.前記cDNAバンクに前記ラベルされたcDNAをハイブリダイズし;
f.前記ハイブリダイゼーションの強度に基づいて段階(e)のハイブリダイ
ゼーションからクローンを選択し;
g.前記選択されたクローンの個々のためのクローン特異的プローブを用いて
、段階(f)からの前記選択されたクローンの個々の段階(c)のcDNAバンクに
おける相対量を決定し;
h.段階(f)で決定されたような最とも豊富なcDNA及び段階(g)で決定さ
れたような豊富なcDNAを含むそれらのクローンを同定し;そして
i.前記環境条件下で対応するmRNAの発現を担当する宿主プロモーターを同定
し、そしてクローン化するために段階(h)のクローンのクローン化された挿入
体を用いることを含んで成る方法。
2.前記糸状菌宿主がT.レセイである請求の範囲第1項記載の方法。
3.真菌宿主、好ましくはグルコース上で増殖されたトリコダーマ宿主におい
て操作可能的に連結されるコード配列を発現できる単離されたプロモーター。
4.前記プロモーターが:
a.前記環境条件、好ましくはグルコース含有培地に糸状菌宿主、好ましくは
トリコダーマ宿主を暴露し;
b.前記宿主からmRNAを抽出し;
c.前記mRNAからcDNAバンクを調製し;
d.前記cDNAのサンプルを検出可能的にラベリングし;
e.前記cDNAバンクに前記ラベルされたcDNAをハイブリダイズし;
f.前記ハイブリダイゼーションの強度に基づいて段階(e)のハイブリダイ
ゼーションからクローンを選択し;
g.前記選択されたクローンの個々のためのクローン特異的プローブを用いて
、段階(f)からの前記選択されたクローンの個々の段階(c)のcDNAバンクに
おける相対量を決定し;
h.段階(f)で決定されたような最とも豊富なcDNA及び段階(g)で決定さ
れたような豊富なcDNAを含むそれらのクローンを同定し;そして
i.前記環境条件下で対応するmRNAの発現を担当する宿主プロモーターを同定
し、そしてクローン化するために段階(h)のクローンのクローン化された挿入
体を用いることを含んで成る方法によりクローン化される請求の範囲第3項記載
のプロモーター。
5.前記糸状菌宿主がT.レセイである請求の範囲第4項記載のプロモーター
。
6.前記プロモーターがtef1プロモーターである請求の範囲第5項記載のプロ
モーター。
7.前記tef1プロモーターが、配列番号1の翻訳開始部位に隣接する1.2kbの
配列のプロモーター要素を含む請求の範囲第6項記載のプロモーター。
8.前記プロモーターが配列番号2のプロモーターである請求の範囲第5項記
載のプロモーター。
9.前記プロモーターが配列番号3のプロモーターである請求の範囲第5項記
載のプロモーター。
10.前記プロモーターが配列番号4のプロモーターである請求の範囲第5項記
載のプロモーター。
11.前記プロモーターが配列番号5のプロモーターである請求の範囲第5項記
載のプロモーター。
12.前記プロモーターが配列番号6のプロモーターである請求の範囲第5項記
載のプロモーター。
13.前記プロモーターが変更されたcbh1プロモーターであり、そのような変更
が前記cbh1プロモーターを抑制するグルコースの能力を低める請求の範囲第3項
記載のプロモーター。
14.前記生来のcbh1プロモーターがほぼ位置−720〜−715で変更された mig様
配列を有する請求の範囲第13項記載のプロモータ。
15.前記 mig様配列が5′−GTGGGGである請求の範囲第14項記載のプロモータ
ー。
16.前記変更された mig様配列が5′−TCTAGAである請求の範囲第14項記載の
プロモーター。
17.前記プロモーターがpMI-24のcbh1プロモーターである請求の範囲第16項記
載のプロモーター。
18.前記生来のcbh1プロモーターが、位置−1505〜−1500で配列TCTAAA及び位
置−720〜−715で配列TCTAGAを有する請求の範囲第13項記載のプロモーター。
19.前記生来のcbh1プロモーターが、位置−1505〜−1500で配列TCTAAA及び位
置−1001〜−996で配列TCTAAA及び位置−720〜
−715で配列TCTAGAを有する請求の範囲第14項記載のプロモーター。
20.前記プロモーターが、pML016de15(11),pMI-24,pMI-27,pMI-28,pML016d
e1 (11)、配列番号19、配列番号20、配列番号21及び配列番号22から成る群のcbh
1プロモーターから選択される請求の範囲第3項記載のプロモーター。
21.プロモーターを含んで成るベクターシステムにより形質転換された糸状菌
宿主、好ましくはトリコダーマ宿主の助けによりグルコースを含む培地上でタン
パク質を生成するためへの請求の範囲第3〜20のいづれか1項記載のプロモータ
ーの使用。
22.タンパク質の生成方法であって、請求の範囲第3〜20のいづれか1項のプ
ロモーターを含んで成るベクターシステムによりトリコダーマ宿主を形質転換し
、そして前記形質転換された宿主細胞をグルコースの存在下で増殖し、そして前
記発酵された増殖培地又は上清液から前記宿主細胞を分離することを特徴とする
方法。
23.タンパク質(酵素)組成物であって:
a.請求の範囲第3〜20のいづれか1項記載のプロモーターを含むベクターシ
ステムにより形質転換されたトリコダーマ宿主細胞を増殖し;
b.前記増殖培地から宿主細胞(菌糸体)を分離し;そして
c.グルコース含有増殖培地の発酵された上清液にトリコダーマ起原のタンパ
ク質(酵素)を含んで成る、前記タンパク質(酵素)組成物におけるタンパク質
(酵素)の源として段階(b)からの前記増殖培地を用いることを含んで成る方
法により生成される組成物。
24.請求の範囲第3〜20のいづれか1項記載のプロモーターを含むベクターシ
ステムにより形質転換され、そして増殖培地の上清液におけるグルコース含有培
地において増殖されたトリコダーマ宿主から得られるタンパク質を、グルコース
含有増殖培地の発酵された
上清液に含んで成るタンパク質組成物。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12R 1:885)
(81)指定国 EP(AT,BE,DH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,CA,
CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,HU,J
P,KP,KR,KZ,LK,LU,MG,MN,MW
,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,RU,
SD,SE,SK,UA,VN
(72)発明者 イルメン,マルヤ ハンネレ
フィンランド国,エフアイエヌ―00320
ヘルシンキ,セルヤティエ 1 エー 19
(72)発明者 ネバライネン,カイス ミルジャ ヘレナ
オーストラリア国,ニューサウスウェール
ズ 2121,ノース エッピング,マルトン
ロード 13/269―271
(72)発明者 ペンティレ,メルヤ エリサ
フィンランド国,エフアイエヌ―00390
ヘルシンキ,ベヘントゥバンティエ 9
エー 6