JPH084906B2 - 鋳造用金型の温度制御方法 - Google Patents

鋳造用金型の温度制御方法

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JPH084906B2
JPH084906B2 JP63065052A JP6505288A JPH084906B2 JP H084906 B2 JPH084906 B2 JP H084906B2 JP 63065052 A JP63065052 A JP 63065052A JP 6505288 A JP6505288 A JP 6505288A JP H084906 B2 JPH084906 B2 JP H084906B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は鋳造用金型の温度制御方法に関し、一層詳細
には、鋳造用の金型内に温度検出素子と冷却媒体用通路
およびヒータを配設し、金型の温度変化に対応して前記
冷却媒体用通路に冷却媒体、好ましくは冷却水を通流さ
せ、あるいはヒータを加熱させるようにして金型の温度
を制御することにより鋳造品の品質を安定化させ且つ鋳
造サイクルを短縮することを可能とする鋳造用金型の温
度制御方法に関する。
[発明の背景] 金型を用いる鋳造工程においては、溶湯を金型内のキ
ャビテイに充填した後、その金型に冷却水を通流させる
ことによって溶湯を冷却させ、溶湯の凝固を促進させる
と共に金型温度を所定の範囲内に制御している。この場
合、金型からの鋳物の取り出しは金型内の鋳物の温度が
使用した溶湯の凝固特性で決定されるある所定の温度
(以下最適温度という)まで降下した時点で行うように
配慮しなければならない。
すなわち、最適温度よりも高い温度の時に取り出すと
鋳物の型離れが悪く金型を損傷して寿命を縮める原因に
なると共に、取り出した後の鋳物の歪率、収縮率が大き
くなり寸法精度が安定せず不良率並びに品質のばらつき
幅を増大を生ずる虞がある。一方、金型内の鋳物の温度
が上記最適温度まで降下した後、必要以上に長時間にわ
たって鋳物を金型内に留めておくことは鋳造サイクル時
間を増加させることになり、単位時間あたりの鋳造個数
の減少、すなわち、生産効率を低下させる結果となる。
また、金型を過冷却することにより、引巣等の鋳造欠陥
が生ずることもあり、これは不良製品の発生に直結する
原因となる。
しかも、鋳造工程を連続して行おうとする時、前の鋳
造工程において金型を冷却して後、鋳造品を取り出し、
次の鋳造工程の開始のために再び金型を所定の温度に上
昇させなければならないが、従来技術では精度よく短時
間にこの種の金型の温度制御を遂行することが可能なま
でには至っていない。
ところで、金型内の鋳物の温度が最適温度に降下した
か否かは金型内の鋳物の温度を直接に計測することが最
も確実な方法であるが、現在のところその直接計測手段
に適当なものがない。そこで、従来は金型内に測温素子
を配設し、溶湯が射出された後の金型の温度変化推移を
当該測温素子によって測定した値を指示させ、その指示
温度の推移を作業者が監視して、間接的に金型中の鋳物
温度の冷却状態を推定している。
然しながら、このような型開きタイミングの管理方法
は、その作業に熟練を要し、しかも型開き温度にある程
度の誤差を是認せざるを得ず、また、熟練者にたよって
いるために生産効率を上げることが困難であるという欠
点が露呈している。
[発明の目的] 本発明は前記の技術的課題を解決するためになされた
ものであって、鋳造用金型に温度検出素子と冷却媒体用
通路およびヒータを配設し、金型の温度変化に対応して
ヒータの加熱状態および冷却水の供給状態を相関的に制
御することにより、常に一定の金型温度において溶湯が
開始出来、且つ所定の金型温度で型開きを行うことを可
能とし鋳造品の製造品質を安定させる共に、生産効率を
向上させることを可能とする鋳造用金型の温度制御方法
に関する。
[目的を達成するための手段] 前記の目的を達成するために、本発明は、例えば、第
1図および第2図に示すように、鋳造用金型12に、この
金型を冷却する冷却媒体通路60と、この金型の金型温度
を測定する測温素子32と、この金型を加熱するヒータH
とを配し、冷却媒体通路にON/OFF型バルブ56を介して冷
却媒体を通流あるいは停止すると共にヒータに電流を供
給あるいは遮断することにより金型の温度を制御する鋳
造用金型の温度制御方法であって、 金型に対する注湯開始/型開き最適温度範囲TMと、こ
の最適温度範囲の上限値TMMAXよりも高い第1設定温度T
1と、この第1設定温度T1よりも高い第2の設定温度T2
とを設定し、 まず、金型温度が最適温度範囲の下限値よりも低い温
度である時(時刻t1〜t2間等)には、バルブをOFF状態
にして冷却媒体の通流を停止させ、かつヒータにPDI制
御により連続的に電流を供給して金型温度を上昇させ
る、 次に、金型温度が最適温度範囲の下限値に至った時
(時刻t2点等)には、ヒータをON/OFF制御するPI制御に
よる電流を供給して金型温度を最適温度範囲内に保持す
る、 この状態において、金型に溶湯の注湯(時刻t3点等)
を行う、 次いで、金型温度が最適温度範囲の上限値を超えた時
(時刻t4点等)に、前記ヒータへの電流の供給を遮断す
る、 次いで、金型温度が第1設定温度を超えた時(時刻t5
点等)には、バルブをON状態にして冷却媒体を通流させ
る、 次いで、金型温度が第2設定温度を超えた後に下降し
て再び第2設定温度を横切る時(時刻t6点等)にバルブ
をOFF状態にして冷却媒体の通流を停止させる、 次いで、金型温度が最適温度範囲の上限値に至った時
(時刻t7点等)にヒータをON/OFF制御するPI制御による
電流を供給して金型温度を最適温度範囲内に保持して次
の注湯を行うように制御することを特徴とする。
また、本発明は、例えば、第3図に示すように、前記
注湯を開始した(時刻t20点)後、金型温度の温度勾配
を監視して、金型温度が第1設定温度を超えた後、第2
設定温度に至ることなく下降して再び第1設定温度に戻
る場合には、温度勾配が零になった時(時刻t23点)
に、前記バルブをOFF状態にして冷却媒体の通流を停止
させるように制御することを特徴とする。
さらに、本発明は、例えば、第4図に示すように前記
注湯を開始した(時刻t30点)後、金型温度が第2の設
定温度に至った時に、バルブをOFF状態にして冷却媒体
の通流を停止させると共に、そのOFF状態に保持する時
間を設定し、この設定時間(tA)経過時に金型温度が第
1設定温度より高い温度であった場合にのみバルブをON
状態(時刻t35〜t36点)にして冷却媒体を通流させるよ
うに制御することを特徴とする。
[実施態様] 次に、本発明に係る鋳造用金型の温度制御方法につい
てこれを実施するための装置との関係において好適な実
施態様を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説
明する。
第1図において、参照符号10は本実施態様に係る金型
温度制御システムを示す。当該金型温度制御システム10
は金型12内に通流する冷却水Wを制御する冷却水制御系
14と金型12を加熱するヒータHを制御するヒータ制御系
16および制御処理部18とから構成される。
前記金型12は可動型20と固定型22とから基本的に構成
され、前記可動型20と固定型22の対向面には製品形状に
適合したキャビテイ24が画成される。この場合、固定型
22には前記キャビテイ24と連通するランナ26および湯溜
部28が画成される。
前記湯溜部28には溶湯射出機構30が配設され、湯溜部
28に貯留する溶湯をランナ26を介してキャビテイ24に押
し出す作用を営む。
前記キャビテイ24の側部には感熱素子である第1の熱
電対32が配設され、金型温度TXに対応する当該第1熱電
対32の出力信号St1はA/D変換器34を介してマイクロコン
ピュータ36に導入される。さらに、可動型20にはヒータ
Hが配設され、当該ヒータHには断線モニタ38、サイリ
スタ40を介して電源42から電流が供給される。この場
合、電源42からの供給電流はコントロール信号SC1によ
って制御される。すなわち、当該コントロール信号SC1
はマイクロコンピュータ36からD/A変換器44を介して前
記サイリスタ40に導入される。前記断線モニタ38の出力
信号はインタフェース回路46を介してマイクロコンピュ
ータ36に導入され、常時、断線状態に至ったか否かが監
視される。
前記冷却水制御系14は、先ず、冷却水給水系48から冷
却水W1が第2の熱電対50を介して冷却水W1の流量を調整
することの可能な流量調節電磁バルブ52に供給される。
この場合、第2熱電対50の出力信号St2はA/D変換器34を
介してマイクロコンピュータ36に導入されると共に、流
量調節電磁バルブ52の制御端子にはマイクロコンピュー
タ36からD/A変換器44を介して流量調節コントロール信
号SC2が導入されている。従って、供給される冷却水W1
の水温に応じて流量を調整された冷却水W2が電磁流量計
54を介してON/OFF制御される電磁バルブ56に導入され
る。この場合、流量調節電磁バルブ52で調節された流量
が通流しているか否かが電磁流量計54の出力信号SF1をA
/D変換器34を介してマイクロコンピュータ36で計測する
ことによって確認される。前記電磁バルブ56はON/OFF切
換型の電磁バルブであってマイクロコンピュータ36から
のコントロール信号がインタフェース回路46を通じて電
磁バルブ56の制御端子にコントロール信号SC3として導
入されることによりそのON/OFF制御すなわち開閉制御が
なされる。このように開閉制御された冷却水W3は当該冷
却水W3が通流しているか否かの判定がなされるフロース
イッチ58を介して金型12を構成する固定型22の通路60に
導入される。なお、この場合、フロースイッチ58が開閉
したか否かの出力信号SF2は前記インタフェース回路46
を介してマイクロコンピュータ36に導入される。
前記固定型22に画成された通路60を通過した冷却水W4
は第3の熱電対62によってその温度が測定された後、冷
却水排水系64に導出される。前記第3熱電対62の出力信
号St3はA/D変換器34を介してマイクロコンピュータ36に
導入される。この場合、マイクロコンピュータ36はシー
ケンサ66に予め定められた手順に基づきその制御下に動
作する。
本実施態様に係る鋳造用金型の温度制御方法を実施す
る金型温度制御システムは基本的には以上のように構成
されるものであり、次にその作用並びに効果について説
明する。
ここで、本実施態様に係る金型温度制御システムは標
準制御モードと、ピーク制御モードおよびタイマ制御モ
ードの3種類の制御モードによって動作する。
そこで、先ず、第1番目に標準制御モードについて第
2図a乃至cに示す動作説明図を用いて説明する。この
場合、第2図aは第1熱電対32によって導出される金型
温度TXの特性曲線を示す。第2図bはヒータHの制御
{PDI(比例+微分+積分)制御またはPI(比例+積
分)制御}方法とヒータHのON/OFF状態を示す。第2図
cは電磁バルブ56の目標設定温度値(第1設定温度T1
たは第2設定温度T2のいずれか1つ)とON/OFF状態を示
す。なお、第2図aにおいて横軸は時間tを表し、縦軸
は温度Tを表す。この場合、温度Tの目盛上には、夫
々、最適温度T0、下限最適温度TMMIN(以下、下限温度
という)、上限最適温度TMMAX(以下、上限温度とい
う)、第1設定温度T1、第2設定温度T2に対応する位置
に当該符号を付している。
先ず、時刻t1において第1熱電対32の出力信号St1がA
/D変換器34を介してマイクロコンピュータ36に導入され
ると、当該温度は、図中、ハッチング部で示す注湯開始
/型開き最適温度範囲TM(以下、最適温度範囲という)
の中、前記下限温度TMMINに比べて小さい値であるので
マイクロコンピュータ36は予め定められたプログラムに
基づきヒータHをPDI制御、すなわち、比例微分積分制
御を行うように動作させる(時刻t1乃至t2)。この場
合、マイクロコンピュータ36からの出力信号がD/A変換
器44を介してサイリスタ40を閉成させる。従って、電源
42からサイリスタ40、断線モニタ38を介してヒータHに
電流が供給されることとなり金型温度TXは急激に上昇を
開始する。なお、この際、断線モニタ38は電流が通電し
ているか否かを常にインタフェース回路46を介してマイ
クロコンピュータ36に導入し監視可能としている。
一方、時刻t1乃至t2間において、金型12は加熱途中で
あるので、冷却水W2のON/OFF制御用の電磁バルブ56はマ
イクロコンピュータ36の出力信号がインタフェース回路
46を介しコントロール信号SC3として当該電磁バルブ56
の制御端子に供給されることによってOFF状態とされて
いる。従って、冷却水通路62には冷却水W3は導入されな
い。なお、本実施態様において第2熱電対50の出力信号
St2に対応する冷却水W1の温度は一定の温度であるもの
とし、従って、流量調節電磁バルブ52は、常に、ある一
定の値に調節されON状態とされているものとする。
このようにして時刻t2に至ると金型温度TXが下限温度
TMMINを超える値となるので、マイクロコンピュータ36
はヒータHの制御をPDI制御からPI制御すなわち、比例
積分動作制御とし金型温度TXがスローランディング動作
によって最適温度T0に到達するように制御する。この場
合、金型温度TXを第1熱電対32の出力信号St1によりフ
ィードバック制御してヒータHのON/OFF時間を適当に制
御することにより、金型温度TXを最適温度T0に保持する
ことが可能である。
そこで、時刻t3において溶湯の注湯を開始する。すな
わち、図示しない給湯口から溶湯を下型22の湯溜部28に
注湯した後、溶湯射出機構30の制御下にキャビテイ24内
に溶湯を充填する。従って、金型温度TXは第2図時刻t3
以降に示すように急激な上昇を開始する。そこで、金型
温度TXが時刻t4において上限温度TMMAXを超えた時にマ
イクロコンピュータ36は前記第1熱電対32の出力信号St
1から当該事態を判断してヒータHをサイリスタ40を介
してOFFにする。
一方、時刻t5において金型温度TXが目標設定温度(第
2図c参照)である第1設定温度T1に達した時に、マイ
クロコンピュータ36はインタフェース回路46を介して電
磁バルブ56をONとする。従って、冷却水W2がフロースイ
ッチ58を介して金型12内の通路60に通流を開始する。こ
れによって金型12の冷却が開始される。然しながら、こ
の状態においても金型温度TXは上昇し、ピーク値TPEAK
を超えた後、時刻t6において第2設定温度T2に至ると、
当該第2設定温度T2に対応する温度が第1熱電対32の出
力信号St1を通じてマイクロコンピュータ36で読み取ら
れ、電磁バルブ56はOFFとされて冷却水W3の金型12への
通流が停止される。従って、金型12は自然冷却状態に至
る。
次いで、時刻t7において上限温度TMMAXに達した時に
マイクロコンピュータ36は図示しないブザーを奏鳴させ
て金型12を開くタイミングをオペレータに知得させるこ
とにより当該オペレータは金型12を開いて成形品として
の鋳物を取り出す。なお、この場合、第2図bに示すよ
うに、時刻t7において、再び、ヒータHをON/OFF制御し
ているので金型温度TXは一定温度、すなわち、注湯開始
/型開き最適温度T0に保たれる。通常、時刻t7以降にお
いて鋳物が取り出された後に再び注湯を開始すれば安定
して鋳造作業を繰り返すことが出来る。なお、型開き作
業はロボットを利用することにより自動化可能である。
次に、今、例えば、時刻t8において金型等を交換した
場合について考えてみると、この場合には金型温度TX
下限温度TMMINよりも低い値となるのでマイクロコンピ
ュータ36の制御下にヒータHを再びON制御、すなわち、
PDI制御して金型温度TXを再び急激に上昇させる。な
お、この際、電磁バルブ56は、第2図cに示すように、
時刻t6以降OFF状態とされているので、冷却動作が遂行
されることがなく極めて短時間に金型温度TXの上昇を開
始させることが出来る。そこで、時刻t9において下限温
度TMMINに再び達すると、ヒータHはPI制御されON/OFF
制御される。このようにして時刻t10以降において溶湯
が注湯されると時刻t10乃至t14に示す一連の鋳造サイク
ルが遂行される。なお、この鋳造サイクルは前記時刻t3
乃至T7と同一のサイクルであるのでその説明は省略す
る。
このように、標準制御モードにおいては常に最適温度
T0によって注湯を開始し、且つ最適温度T0において型開
きを行えることが出来ると共に、金型の温度が低い時に
はPDI制御によってヒータHをコントロールして極めて
短時間に溶湯可能な状態に金型温度TXを上昇させること
が出来る。以上が標準制御モードの説明である。
次に、第3図を参照して第2番目のピーク制御モード
について説明する。なお、第3図a乃至cの夫々の特性
図の配列は前記第2図a乃至cに示す特性図と同一の配
列である。このピーク制御モードは、第3図aに示すよ
うに、金型温度TXが第2設定温度T2に至ることなくピー
ク温度TPを通過した後に下降を始めた場合についてのヒ
ータH並びに電磁パルブ56をON/OFF制御を実行するモー
ドである。この場合、マイクロコンピュータ36は、第1
熱電対32からの出力信号St1を監視すると共に、温度勾
配、すなわち、温度の微分係数を監視し、当該温度微分
係数が零の値になった時、すなわち、時刻t23において
電磁バルブ56をOFF制御するものである。従って、ヒー
タHは前記第2図bと同様に制御されるが、バルブ56は
第1設定温度T1に達する時刻t22においてON制御される
ことは前記標準制御モードと同一であるが、微分係数が
零になる時刻t23においてはOFF制御され自然空冷がなさ
れるように制御される。この場合においても、上限温度
TMMAX以下になった時にはヒータHはPI制御、すなわ
ち、ON/OFF制御されるので金型温度TXを一定温度に保持
することが出来る。従って、このように金型温度TXが第
2設定温度T2を超えない状態であっても最適温度T0にお
いて金型12の注湯開始と型開きを行う制御を正確に実施
することが出来る。
以上の説明が金型温度TXが第2設定温度T2に達するこ
となく下降する場合についてのピーク制御モードについ
ての説明である。
次に、タイマー制御モードについて第4図a乃至cを
参照して説明する。タイマー制御モードは第4図a乃至
cに示すように、金型温度TXが第2設定温度T2に至った
後、所定の設定時間tA後に電磁バルブ56を再びON状態と
して冷却水W3を通水するモードである。このモードは金
型温度TXが所定時間tAを経過しても最適温度T0に至らな
かった場合に利用することにより、鋳造サイクルのスル
ープットを短くすることが出来る。すなわち、本タイマ
ー制御モードを用いることにより鋳造サイクルを短時間
化することが可能である。なお、本タイマ制御モードに
おいて、ヒータHの制御は前記したピーク制御モードと
同一に制御可能であるのでその説明は省略する。以上に
より、本実施態様に係る金型温度制御システムの3つの
動作制御モード、すなわち、標準制御モードと、ピーク
制御モードおよびタイマ制御モードについての説明がな
された。
なお、本実施態様においては、金型内に配設される1
本のヒータと1個の熱電対と1本の冷却水通路により金
型温度の制御を行っているが、本実地態様における接続
方法を並列に組み合せることにより、複数個の金型制御
システムを構成することが可能であり、さらにきめ細か
な温度制御が出来ることは勿論である。
以上のように、上述の実施態様によれば、金型内にヒ
ータおよび冷却水通路並びに測温素子を配設し当該測温
素子の温度信号により、前記ヒータに供給すべき電流の
通電時間ならびに冷却水通路に通流する冷却水の通水時
間を制御している。このため、金型の注湯開始温度およ
び型開き温度を常に同一の温度に保持することが出来
る。また、ヒータに対してはPDI制御とPI制御を使い分
けることにより、金型温度が最適温度よりも著しく低い
場合にはPDI制御によって金型を急速に加熱して注湯開
始までの時間を短縮し、注湯開始直前にはPI制御を行っ
て安定して注湯開始温度を保持出来るようにしている。
その上、第1設定温度と第2設定温度を利用する標準制
御モードによる制御と共に、ピーク制御モードおよびタ
イマー制御モードを導入していることから、きめ細かな
鋳造の制御が可能となる効果を奏する。さらにまた、こ
のように注湯開始温度と型開き温度を正確に管理してい
ることから鋳造品質は極めて安定なものとされ、しかも
PDI制御によっても型温を制御しているために、例え
ば、型を交換した場合において次の注湯に至るまでの時
間を可及的に短くすることが出来る。従って、本金型温
度制御方法を採用した鋳造システムの生産効率は極めて
高いレベルのものとなることが諒解されよう。
以上、本発明について好適な実施態様を挙げて説明し
たが、本発明はこの実施態様に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良
並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
[発明の効果] 以上のように、本発明によれば、常に、金型に対する
注湯開始/型開き最適温度範囲内で注湯と型開きを行う
ことができるという効果が達成される。
また、本発明によれば、注湯開始/型開き最適温度範
囲以上の範囲で温度勾配を監視して温度のピークが第2
設定温度に至らなかった場合には、そのピーク点におい
て、冷却媒体による強制冷却を停止して、自然空冷によ
り金型温度が前記注湯開始/型開き最適温度範囲内に下
降するように制御しているので、結果として金型を過冷
却等するおそれがない。
さらに、本発明によれば、金型温度が第2設定温度を
超えてから下降して第1の設定温度に至るまでの許容時
間が設定される。この設定許容時間経過時点において第
1の設定温度まで下降していなかった場合には、バルブ
を開けて冷却媒体を第1設定温度になるまで通流させ
て、金型を強制冷却することにより、鋳造サイクルを短
くすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る鋳造用金型の温度制御方法を実施
する金型温度制御システムの概略構成図、 第2図は本発明に係る温度制御方法の中、標準制御モー
ドの作用説明図、 第3図および第4図は本発明に係る温度制御方法の中、
夫々、ピーク制御モードとタイマー制御モードの作用説
明図である。 10……金型温度制御システム、12……金型 14……冷却水制御系、16……ヒータ制御系 18……制御処理部、20……可動型 22……固定型、24……キャビテイ 26……ランナ、28……湯溜部 30……溶湯射出機構、32……第1熱電対 34……A/D変換器 36……マイクロコンピュータ、44……D/A変換器 46……インタフェース回路、50……第2熱電対 52……流量調節電磁バルブ、54……電磁流量計 56……電磁バルブ、62……第3熱電対 W……冷却水、H……ヒータ TX……金型温度
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−50768(JP,A) 特開 昭59−61565(JP,A) 特開 昭63−95919(JP,A) 実開 昭63−130216(JP,U)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳造用金型に、この金型を冷却する冷却媒
    体通路と、この金型の金型温度を測定する測温素子と、
    この金型を加熱するヒータとを配し、前記冷却媒体通路
    にON/OFF型バルブを介して冷却媒体を通流あるいは停止
    すると共に前記ヒータに電流を供給あるいは遮断するこ
    とにより前記金型の温度を制御する鋳造用金型の温度制
    御方法であって、 前記金型に対する注湯開始/型開き最適温度範囲と、こ
    の最適温度範囲の上限値よりも高い第1設定温度と、こ
    の第1設定温度よりも高い第2の設定温度とを設定し、 まず、金型温度が前記最適温度範囲の下限値よりも低い
    温度である時には、前記バルブをOFF状態にして冷却媒
    体の通流を停止させ、かつ前記ヒータにPDI制御により
    連続的に電流を供給して金型温度を上昇させる、 次に、金型温度が前記最適温度範囲の下限値に至った時
    には、前記ヒータをON/OFF制御するPI制御による電流を
    供給して金型温度を前記最適温度範囲内に保持する、 この状態において、金型に溶湯の注湯を行う、 次いで、金型温度が前記最適温度範囲の上限値を超えた
    時に、前記ヒータへの電流の供給を遮断する、 次いで、金型温度が前記第1設定温度を超えた時には、
    前記バルブをON状態にして冷却媒体を通流させる、 次いで、金型温度が前記第2設定温度を超えた後に下降
    して再び第2設定温度を横切る時に前記バルブをOFF状
    態にして冷却媒体の通流を停止させる、 次いで、金型温度が前記最適温度範囲の上限値に至った
    時に前記ヒータをON/OFF制御するPI制御による電流を供
    給して金型温度を前記最適温度範囲内に保持して次の注
    湯を行うように制御することを特徴とする鋳造用金型の
    温度制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法において、 注湯を開始した後、金型温度の温度勾配を監視して、金
    型温度が前記第1設定温度を超えた後、前記第2設定温
    度に至ることなく下降して再び第1設定温度に戻る場合
    には、前記温度勾配が零になった時に、前記バルブをOF
    F状態にして冷却媒体の通流を停止させるように制御す
    ることを特徴とする鋳造用金型の温度制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の方法において、 注湯を開始した後、金型温度が第2の設定温度に至った
    ときに、前記バルブをOFF状態にして冷却媒体の通流を
    停止させると共に、そのOFF状態に保持する時間を設定
    し、この設定時間経過時に金型温度が前記第1設定温度
    より高い温度であった場合にのみ前記バルブをON状態に
    して冷却媒体を通流させるように制御することを特徴と
    する鋳造用金型の温度制御方法。
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