JP4340366B2 - 鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造方法に関し、一層詳細には、全体に亘り組織が均質な鋳造品を寸法精度よく製造することができる鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳造品は、例えば、固定盤に設置された固定盤側鋳型と、前記固定盤に対して接近または離間自在な可動盤に設置された可動盤側鋳型とを有する鋳造装置を使用して以下のように製造される。
【0003】
まず、可動盤を固定盤に接近させて固定盤側鋳型と可動盤側鋳型とを密着させることによりキャビテイを形成する。そして、このキャビテイに所定量の溶融金属(以下、溶湯という)を導入する。次に、キャビテイに導入された溶湯を冷却固化する。すなわち、固定盤側鋳型および可動盤側鋳型に冷却水を導入し、この冷却水と溶湯とを両鋳型を介して互いに熱交換させる。
【0004】
キャビテイへの溶湯の導入が終了すると、制御回路により溶湯の冷却固化時間の計測が開始される。そして、該制御回路に予め設定された所定時間が経過すると、溶湯の冷却固化工程が終了する。その後、可動盤を固定盤から離間させることにより型開きを行う。これにより、鋳造品が得られるに至る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来技術に係る鋳造方法においては、鋳造品の寸法精度が確保できず、そのために該鋳造品の生産効率が低いという不具合がある。
【0006】
具体的には、まず、鋳造作業を行う時間帯や季節が異なると、製造された鋳造品同士の寸法がそれぞれ異なるという事態が生じている。すなわち、鋳型から取り出された鋳造品は大気中で放置されることによりさらに冷却されるが、この放置冷却に伴って該鋳造品が収縮する。この際の収縮幅は、夏季の昼間時等、気温が高い時期には大きいが、冬季の夜間時等、気温が低い時期には小さくなる。
【0007】
これは、以下のような理由によると考えられる。すなわち、キャビテイ内の溶湯を冷却固化する冷媒として作用する冷却水は、鋳造装置が設置されている工場等において、冷却塔を介して循環使用されている。この冷却塔は、通常、夏季の昼間時等には最大能力で稼働され、冬季の夜間時等には最小能力で稼働される。しかしながら、夏季の昼間時における冷却水の温度は、冬季の夜間時における冷却水の温度よりも著しく高い。このため、溶湯と冷却水との単位時間当たりの交換熱量は、夏季の昼間時に比して冬季の夜間時の方が大きくなる。換言すれば、冷却水の温度が低くなる冬季の夜間時には、溶湯の降温速度が速くなる。
【0008】
すなわち、同一時間で型開きを行うと、鋳造品は、気温が高く冷却水温度が高い場合には高温で取り出され、一方、気温が低く冷却水温度が低い場合には低温で取り出される。したがって、前者の場合には、放置冷却前後における鋳造品の温度差(以下、降下温度値という)が後者の場合よりも大きくなり、該鋳造品が大きく収縮する。
【0009】
鋳造品の降温速度は、冷却水の供給圧力にも依存して変化する。冷却水の供給圧力が低い場合には、単位時間当たりに鋳型内を流通する冷却水の量が減少するので、溶湯と冷却水との交換熱量が小さくなるからである。このことから諒解されるように、冷却水温度が同一であれば、型開きの際における鋳造品の温度は、冷却水の供給圧力が高くなるにつれて低下する。すなわち、冷却水の供給圧力が異なることによっても鋳造品の寸法精度が低下する。
【0010】
鋳造品の降温速度は、さらに、気温、湿度、キャビテイへの溶湯の導入時における鋳型の温度等にも依存して変化する。すなわち、このような条件が異なることによっても鋳造品の寸法精度が低下する。
【0011】
鋳造品の寸法精度を向上させるためには、同一の条件下で鋳造作業を行うようにすればよいことが想起される。しかしながら、冷却水温度、冷却水の供給圧力、気温、湿度等を季節や時間帯に関わらず一定にすることは極めて困難である。
【0012】
また、従来技術に係る鋳造方法には、取り出された鋳造品の厚肉部の組織と薄肉部の組織とが互いに異なる場合があるという不具合がある。この理由は、薄肉部となる部位の溶湯の降温速度が厚肉部となる部位の溶湯に比して速いためである。しかしながら、このような不具合に対する方策はこれまでのところ提案されていない。
【0013】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、鋳造品を寸法精度よく製造することができ、しかも、厚肉部と薄肉部をともに均質な組織とすることができる鋳造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、キャビテイに導入された溶湯を冷却固化して鋳造品とする間に前記鋳造品の最大肉厚部となる部位の溶湯の温度を、その温度検出部が金型の内壁面に露出して前記溶湯に接触する温度検出手段によって常時検知し、前記温度と制御手段に予め設定された設定温度とが一致したことを判別して前記制御手段により型開きを行わせて鋳造品を取り出すことを特徴とする。
【0015】
このようにして取り出された鋳造品の温度は、鋳造作業が行われる時間帯や季節に関わらず常に一定である。したがって、降下温度値が一定となるので、収縮幅が一定となり、鋳造品を寸法精度よく得ることができる。
【0016】
この場合、設定温度を、溶湯が粘弾性体から弾性体へと遷移する粘弾性−弾性遷移温度とする。溶湯が粘弾性体である温度領域で型開きを行うと、外力が加わって粘弾性体が変形した場合、鋳造品はその変形形状のままに固化されることになる。また、粘弾性−弾性遷移温度よりも著しく低い温度まで溶湯を冷却すると、鋳造作業に長時間を要するようになるので生産効率が低下する。
【0017】
また、前記溶湯の降温速度を一定に制御することが好ましい。これにより、鋳造品の品質を一定にすることができる。すなわち、降温速度を一定とすることにより、同一組織の鋳造品が得られるからである。
【0018】
さらに、鋳造品の最小肉厚部となる部位の溶湯の温度を常時検知し、該最小肉厚部となる部位の溶湯と前記最大肉厚部となる部位の溶湯の間の温度差を一定範囲内に制御することが好ましい。これにより、最小肉厚部となる部位の溶湯の降温速度と最大肉厚部となる部位の溶湯の降温速度とが略等しくなるので、最小肉厚部から最大肉厚部にかけて均質な組織を有する鋳造品が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る鋳造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施の形態に係る鋳造方法のフローチャートを図1に示す。この鋳造方法においては、図2に示す鋳造装置10が具備する制御回路12が、該制御回路12に予め設定された設定温度T1と、鋳造品の最大肉厚部となる部位の溶湯(以下、最大肉厚部の溶湯という)の温度T2とが一致したことを判別した直後に型開きが行われ、鋳造品が取り出される。すなわち、制御回路12には、該制御回路12に設定された設定温度T1と固化中の最大肉厚部の溶湯の温度T2が一致したことを判別して型開きを行うようにプログラムが組み込まれた中央処理装置(CPU)が含まれている。また、この鋳造方法においては、鋳造品の最小肉厚部となる部位の溶湯(以下、最小肉厚部の溶湯という)の温度T3も検知され、後述するように、温度T2と温度T3との差が一定範囲内となるように溶湯の温度が制御される。
【0021】
ここで、鋳造装置10の具体的な構成につき、図2を参照して説明する。
【0022】
この鋳造装置10の架台14上の左方には可動盤駆動機構16、右方には固定盤18が配設されており、また、両者の間に可動盤20が介在されている。この中、可動盤駆動機構16の基盤22と固定盤18は各々の隅角部において4本のタイバー24a〜24dによって互いに連結されており、該タイバー24a〜24dは可動盤20の各隅角部に形成された貫通孔を通っている。
【0023】
可動盤20は、可動盤駆動機構16の作用により固定盤18に対して接近または離間する。すなわち、可動盤駆動機構16は、基盤22と、該基盤22に配設された油圧シリンダ26と、該油圧シリンダ26のシリンダロッド28の先端部に棒固定治具30を介して固定された押圧用棒32と、基盤22と可動盤20とを互いに連結するとともにその屈曲可動部34a、34bが連結板36a、36bを介して棒固定治具30に連結されたリンク状のアーム38a、38bを備え、可動盤20は、油圧シリンダ26のシリンダロッド28の進退動作に伴って固定盤18に対して接近または離間する。
【0024】
より具体的に説明すれば、油圧シリンダ26のシリンダロッド28が前進動作すると、これに伴って押圧用棒32が可動盤20を押圧する。この押圧動作により、可動盤20が固定盤18側に指向してタイバー24a〜24dに沿って前進動作する。また、前記シリンダロッド28が前進動作することに追従して、棒固定治具30を介して該シリンダロッド28に連結された連結板36a、36bが前進動作することによりアーム38a、38bが伸長する。一方、シリンダロッド28が後退動作した場合、これに追従して連結板36a、36bが後退動作する。このため、アーム38a、38bが屈曲可動部34a、34bを中心に屈曲し、その結果、可動盤20が基盤22側に引き寄せられて固定盤18から離間する。
【0025】
上記した固定盤18、可動盤20の各々の一側面には第1鋳型40、第2鋳型42が設置されており、両鋳型40、42は互いに対向している。そして、第1鋳型40と固定盤18には、両鋳型40、42が密着した際に形成されるキャビテイに溶湯を導入するための通路44が設けられている。また、この鋳造装置10においては、鋳造品の最大肉厚部および最小肉厚部はともに、第2鋳型42側で形成される。
【0026】
鋳造装置10は、さらに、該キャビテイにおいて鋳造品の最大肉厚部、最小肉厚部が成形される部位、すなわち、第2鋳型42に設けられた検出子としての熱電対46a、46bと、油加温機構(図示せず)を備えた油貯留槽48と、第2鋳型42内へ冷却水を導入するための可撓性送水管50、流路51および複数本の給水管52とを備える。可撓性送水管50は、後述するように、可動盤20が固定盤18に対して接近または離間した際に伸縮する。なお、図示しないが、第1鋳型40にも図示しない給水管が接続されている。
【0027】
熱電対46a、46bの一部は、第2鋳型42の内壁面に面一に露出されている。そして、一方の熱電対46aは最大肉厚部の溶湯の温度T2を常時検出し、他方の熱電対46bは最小肉厚部の溶湯の温度T3を検出する。これら熱電対46a、46bの出力側は、リード線54a、54bを介して制御回路12に電気的に接続されている。
【0028】
油貯留槽48は、第2鋳型42において鋳造品の最小肉厚部が成形される部位に導入される油を加温し、一定温度で貯留するためのものである。すなわち、油貯留槽48内に設置された図示しない前記油加温機構により加温された油は、油用制御バルブ56が介装された給油管57、可撓性送油管58、および給油管57と可撓性送油管58とを接続するジョイント59を介して第2鋳型42に導入され、該第2鋳型42を加温する。可撓性送油管58は、後述するように、可動盤20が固定盤18に対して接近または離間した際に伸縮する。なお、油用制御バルブ56の開度は、リード線54cを介して該油用制御バルブ56に電気的に接続された制御回路12により制御される。また、図示しないが、油貯留槽48と第1鋳型40とは図示しない給油管により接続されており、該給油管にも油用制御バルブ(図示せず)が介装されている。この油用制御バルブもまた、図示しないリード線を介して制御回路12に電気的に接続されている。
【0029】
第2鋳型42には、例えば、冷却塔等の図示しない冷却水供給源から供給された冷却水が可撓性送水管50および給水管52を介して循環流通される。なお、可撓性送水管50および流路51の間には、リード線54dを介して制御回路12に電気的に接続された冷却水用制御バルブ60が介装されている。同様に、第1鋳型40内にも、冷却水用制御バルブ(図示せず)が介装された給水管(図示せず)を介して、前記冷却水供給源から冷却水が導入される。
【0030】
鋳造装置10は、さらに、図示しないリード線を介して制御回路12に電気的に接続された複数個の図示しない検出手段を有し、これら検出手段によって気温、湿度、前記両鋳型40、42の温度、両鋳型40、42を加熱保持する油の温度、冷却水の温度、冷却水の圧力、油圧シリンダ26の作動油温度等がそれぞれ検知される。そして、後述するように、制御回路12は、これらの検出値に基づいて油用制御バルブ56や冷却水用制御バルブ60等の各制御バルブの開閉を制御して油または冷却水の導入量を調整し、これにより溶湯の降温速度を調整する。
【0031】
なお、図2中、参照符号62は、第1鋳型40および第2鋳型42のキャビテイを形成する面に焼き付き防止剤や離型剤を塗布するためのスプレー機構である。焼き付き防止剤や離型剤は、アーム部64の先端に固定された液噴出部66に形成された噴出口から噴出される。
【0032】
このように構成された鋳造装置10においては、図1にそのフローチャートが示される本実施の形態に係る鋳造方法は以下のようにして遂行される。
【0033】
まず、制御回路12に設定温度T1および溶湯の降温速度を入力設定する(ステップS1)。後述するように、溶湯は入力設定された降温速度で冷却固化し、また、最大肉厚部の溶湯の温度T2が設定温度T1と等しくなったことが判別されると、型開きが行われる。
【0034】
ここで、設定温度T1は、溶湯が粘弾性体から弾性体へと遷移する粘弾性−弾性遷移温度が好ましい。溶湯が粘弾性体である温度領域で型開きを行うと、外力が加わって粘弾性体が変形した場合、鋳造品はその変形形状のままに固化されることになる。また、最大肉厚部の溶湯が粘弾性−弾性遷移温度領域よりも著しく低温となるまで冷却して型開きを行うと、鋳造作業に長時間を要するようになり、鋳造品を効率よく製造することができなくなる。
【0035】
そして、油圧シリンダ26のシリンダロッド28を前進付勢させて押圧用棒32で可動盤20を押圧することにより該可動盤20を固定盤18側へ指向して前進動作させ、最終的に固定盤18に設置された第1鋳型40と可動盤20に設置された第2鋳型42とを互いに密着させてキャビテイを形成する。このようにキャビテイが形成された後、制御回路12がリード線54cを介して発した制御信号により油用制御バルブ56が開かれて、油貯留槽48から第2鋳型42内へ加温された油が導入される。同様に、第1鋳型40に接続された図示しない前記給油管に介装された前記油用制御バルブが開かれ、これにより第1鋳型40内へも加温された油が導入される。その結果、第1鋳型40および第2鋳型42が加温される。
【0036】
なお、可動盤20が前進動作する際には、可撓性送水管50が伸張し、かつ可撓性送油管58が収縮する。したがって、可動盤20の前進動作が妨げられることはない。
【0037】
第1鋳型40および第2鋳型42が所定の温度に到達した後、図示しない溶湯供給機構から通路44を介してキャビテイに溶湯を導入する(ステップS2)。上記したように、第1鋳型40および第2鋳型42は加温されているので、この時点で溶湯が固化することはない。そして、キャビテイに所定量の溶湯が導入されると、制御回路12は油用制御バルブ56および図示しない前記油用制御バルブを閉じ、第1鋳型40および第2鋳型42への油の導入を停止する。
【0038】
次いで、キャビテイに導入された溶湯を冷却水により冷却固化する(ステップS3)。すなわち、制御回路12が冷却水用制御バルブ60および前記図示しない冷却水用制御バルブを開けることにより、両鋳型40、42内に冷却水が導入される。
【0039】
冷却固化過程における溶湯の降温速度は、鋳造作業が行われる時間帯や季節に関わらず常時一定となるように、制御回路12により制御される。すなわち、制御回路12は、熱電対46a、46bにより最大肉厚部および最小肉厚部の溶湯の温度変化を常時検知しており、この温度変化から溶湯の降温速度を算出するとともに該制御回路12に設定された降温速度と比較している。また、該制御回路12は、前記した図示しない複数個の検出手段により気温、湿度、両鋳型40、42の温度、冷却水温度、冷却水の供給圧力、油圧シリンダ26の作動油温度等を常時検知している。そして、実降温速度が設定降温速度から外れてきた際には、上記各条件の検知された値に基づいて溶湯の温度調整を行い、降温速度のずれを修正する。
【0040】
例えば、冷却水温度が最高であるときの溶湯の降温速度を基準にとった場合、冷却水温度が低くなる冬季の夜間時等には、制御回路12は、冷却水用制御バルブ60および図示しない冷却水用制御バルブを絞ることによって第1鋳型40および第2鋳型42に導入される冷却水の量を減少させる。これにより溶湯と冷却水との単位時間当たりの交換熱量が減少し、その結果、溶湯の降温速度が遅くなる。このようにして、夏季の昼間時等における溶湯の降温速度を冬季の夜間時等における降温速度と等しくすることができる。
【0041】
また、冷却水の供給圧力が最低であるときの溶湯の降温速度を基準にとった場合、供給圧力が上昇した際には、制御回路12は、冷却水用制御バルブ60および図示しない冷却水用制御バルブを絞ることによって第1鋳型40および第2鋳型42に導入される冷却水の量を減少させる。これにより溶湯と冷却水との単位時間当たりの交換熱量が減少するので、溶湯の降温速度が速くなることを回避することができる。
【0042】
勿論、気温や湿度、両鋳型40、42の温度、油圧シリンダ26の作動油温度が変化した場合にも同様に、制御回路12によって冷却水用制御バルブ60が開閉され、これにより溶湯の温度調整がなされて該溶湯の降温速度が一定に制御される。
【0043】
さらに、制御回路12は、溶湯が冷却固化される間に該溶湯の最大肉厚部と最小肉厚部との温度差が所定の範囲内となるように制御する。具体的には、温度T2と温度T3との差が所定値を超えた場合、制御回路12は、油用制御バルブ56をわずかに開いて、第2鋳型42に加温された油を供給する。この油は、上記したように最小肉厚部が成形される箇所に導入されるので、溶湯の温度は最小肉厚部から上昇する。その結果、最小肉厚部の溶湯の降温速度が遅くなる。
【0044】
油が導入されることにより温度T2と温度T3との差が所定の範囲内となった後、制御回路12は、油用制御バルブ56を閉じて第2鋳型42への油の導入を停止する。このような油の導入および停止により、最小肉厚部の溶湯の降温速度を最大肉厚部の溶湯の降温速度と略同等に制御することができる。
【0045】
そして、このような冷却固化が行われている間、制御回路12は、設定温度T1と温度T2とを常時比較しており(ステップS4)、温度T2が設定温度T1よりも高い場合には溶湯の冷却固化が続行される。
【0046】
温度T2が低下し、設定温度T1と等しくなったことが判別されると、制御回路12は型開きを行う(ステップS5)。この場合、制御回路12は、図示しないリード線を介して油圧シリンダ26に制御信号を送り、シリンダロッド28を後退付勢する。この後退付勢に伴ってアーム38a、38bが屈曲可動部34a、34bを中心に屈曲することにより、可動盤20が可動盤駆動機構16側に指向して後退動作する。その結果、第1鋳型40と第2鋳型42とが互いに離脱する。すなわち、型開きが行われ、鋳造品が露呈されるに至る。なお、可動盤20が後退動作する際には可撓性送水管50が伸張し、かつ可撓性送油管58が収縮するので、可動盤20の後退動作が妨げられることはない。
【0047】
このように、本実施の形態に係る鋳造方法においては、最大肉厚部の溶湯の温度T2が制御回路12に設定された設定温度T1(粘弾性−弾性遷移温度)に到達したことが判別されると型開きが行われる。したがって、取り出された鋳造品の温度は、鋳造作業を行った時間帯や季節に関わりなく常に一定となる。
【0048】
ここで、冷却固化は最大肉厚部の溶湯が設定温度T1に到達するまで行われているので、型開き直後においては、鋳造品の最大肉厚部の温度は設定温度T1に等しく、また、最小肉厚部は、最大肉厚部よりもやや降温速度が速いために設定温度T1よりもやや低温になっている。したがって、鋳造品は全体に亘って弾性を示す。このため、外力が加えられた場合であっても、鋳造品に変形が残留することはない。
【0049】
この鋳造品は、大気中で放置冷却される(ステップS6)。上記したように、取り出された鋳造品の温度は常に一定であるので、鋳造品の降下温度値も一定となる。したがって、放置冷却前後の鋳造品の収縮幅も常に一定となる。すなわち、溶湯が所定温度まで冷却された際に型開きを行うことにより、鋳造品を寸法精度よく製造することができる。しかも、この場合、溶湯の降温速度が一定となるように制御されているので、鋳造品の品質が常時一定となる。
【0050】
さらに、最大肉厚部の溶湯と最小肉厚部の溶湯の降温速度が互いに略等しいので、鋳造品は全体に亘り組織が均質である。
【0051】
鋳造品の放置冷却中には、鋳造装置10は次回の鋳造作業の準備を行う。すなわち、スプレー機構62のアーム部64が作動して第1鋳型40および第2鋳型42の間に該スプレー機構62の液噴出部66が配置され、次いで、該液噴出部66から第1鋳型40および第2鋳型42のキャビテイを形成する面に焼き付き防止剤や離型剤が塗布される。以後、上記したステップS1〜S6が繰り返され、寸法精度に優れる鋳造品が連続的に製造される。これにより、鋳造品の生産効率が向上するので、該鋳造品の製造コストを低減することができる。
【0052】
しかも、得られた鋳造品が寸法精度に優れるものであるので、後加工が不要となる。すなわち、鋳造品の製造工程数が少なくなるので、該鋳造品の製造コストを一層低減することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る鋳造方法によれば、溶湯の温度が制御回路に設定された設定温度に到達したことが判別されると型開きが行われる。したがって、取り出された鋳造品の温度が常時一定となるので、放置冷却前後における鋳造品の温度差が一定になる。これにより、放置冷却時の鋳造品の収縮幅を常に一定にすることができるので、寸法精度に優れる鋳造品を製造することができる。このため、鋳造品の生産効率が向上するとともに後加工が不要となるので、該鋳造品の製造コストを低減することができるという効果が達成される。
【0054】
この場合、溶湯の降温速度が一定となるように制御することにより、鋳造品を常に一定品質で得ることができる。
【0055】
また、最大肉厚部の溶湯と最小肉厚部の溶湯の温度差が一定範囲内となるように制御することにより両者の降温速度が互いに略等しくなり、その結果、全体に亘り組織が均質な鋳造品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る鋳造方法のフローチャートである。
【図2】本実施の形態において使用される鋳造装置の全体概略構成説明図である。
【符号の説明】
10…鋳造装置 12…制御回路
16…可動盤駆動機構 18…固定盤
20…可動盤 26…油圧シリンダ
28…シリンダロッド 38a、38b…アーム
40…第1鋳型 42…第2鋳型
46a、46b…熱電対 48…油貯留槽
56…油用制御バルブ 60…冷却水用制御バルブ
Claims (3)
- キャビテイに導入された溶湯を冷却固化して鋳造品とする間に前記鋳造品の最大肉厚部となる部位の溶湯の温度を、その温度検出部が金型の内壁面に露出して前記溶湯に接触する温度検出手段によって常時検知し、前記温度と、制御手段に予め設定された前記溶湯が粘弾性体から弾性体へと遷移する粘弾性−弾性遷移温度とが一致したことを判別して前記制御手段により型開きを行わせて鋳造品を取り出すことを特徴とする鋳造方法。
- 請求項1記載の鋳造方法において、前記溶湯の降温速度を一定に制御することを特徴とする鋳造方法。
- 請求項1または2記載の鋳造方法において、さらに、前記鋳造品の最小肉厚部となる部位の溶湯の温度を常時検知し、該最小肉厚部となる部位の溶湯と前記最大肉厚部となる部位の溶湯の間の温度差を一定範囲内に制御することを特徴とする鋳造方法。
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