JPH0848873A - 熱可塑性樹脂組成物、成形材料、成形品及び熱可塑性成形材料の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、成形材料、成形品及び熱可塑性成形材料の製造方法

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JPH0848873A
JPH0848873A JP18465294A JP18465294A JPH0848873A JP H0848873 A JPH0848873 A JP H0848873A JP 18465294 A JP18465294 A JP 18465294A JP 18465294 A JP18465294 A JP 18465294A JP H0848873 A JPH0848873 A JP H0848873A
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vinyl monomer
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thermoplastic resin
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JP18465294A
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Ou Shibata
欧 柴田
Masashi Kinoshita
正史 木之下
Toshio Niwa
俊夫 丹羽
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、ポリアミド樹脂(A)、溶融状態
のプロピレン系重合体に芳香族ビニル単量体および極性
官能基含有ビニル単量体(特にエポキシ基含有ビニル単
量体あるいはカルボキシル基含有ビニル単量体)を併用
し溶融混練重合反応して得られる変性プロピレン系重合
体(B)と極性基を有するエラストマー(C)とから成
る熱可塑性樹脂組成物、成形材料、成形品及び熱可塑性
成形材料の製造方法に関する。 【効果】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、塗装性に優
れ、且つ耐衝撃性に於いても優れた熱可塑性成形材料で
あるため、自動車用、家電用品等の成形分野に幅広く適
応できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド樹脂、特定
の変性プロピレン系重合体及び特定のエラストマーとか
らなる塗装性、衝撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物、成
形材料、成形品及び熱可塑性成形材料の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱
性、耐薬品性などが優れているため、エンジニアリング
樹脂として、自動車部品、家電用品等各種分野に幅広く
用いられているが、耐衝撃性、柔軟性が十分でなく,ま
た吸水率が高いことによる物性低下等の問題がある。そ
こでポリアミド樹脂に例えば酸変性のプロピレン系重合
体を溶融混練ブレンドを行なうことにより吸水性を抑
え、吸水による物性低下の少ない熱可塑性樹脂組成物が
得られている。しかしながらポリアミド樹脂に比較して
塗装性に劣るポリオレフィン系重合体の添加により、得
られた組成物の塗装性が低下し塗装性を要求される分野
に於いての使用には問題が生じる。
【0003】一方、ポリアミド樹脂に例えば特定のエラ
ストマー類を溶融混練ブレンドした組成物も見いだされ
ており、この組成物は衝撃性に優れ、また用いるエラス
トマーの種類により塗装性についても満足しうるが、ポ
リアミド樹脂の有する高い剛性がエラストマーの添加に
伴い低下してしまい成形材として使用する場合に用途が
限定され問題がある。
【0004】また、特定の製造法により得られる変性プ
ロピレン系重合体とポリフェニレンエーテル樹脂または
ポリアミド樹脂あるいはポリエステル樹脂とモノアルケ
ニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロックコポリマーま
たはオレフィンコポリマーゴムとを含む樹脂組成物も報
告されているが(特開平6−16899号公報)、この
場合用いる変性ポリプロピレンの製造法が煩雑であるば
かりでなく特殊な製造設備を必要とし、また添加するエ
ラストマー成分が単に衝撃性を改良するといった目的の
為に添加されており、衝撃性と塗装性能をも考慮した場
合、この系に於いては必ずしも良い結果が得られない。
更にグラフトする官能基モノマーがグリシジル基に限定
されている。
【0005】更に特定の官能基を有するビニル単量体を
溶融混練重合反応することによりより簡易に且つ高グラ
フト反応率で得られる変性プロピレン系重合体を用いる
ことにより、高い剛性を保持し尚且つ吸水による物性低
下を抑えた低比重化熱可塑性樹脂組成物が得られており
(特開平5−287163号公報)、この組成物は特定
の官能基を有するために優れた塗装性を有するが、用途
によっては衝撃性が不十分であり、より高い衝撃性を要
する分野においての使用には問題があった。そこで、高
い衝撃性を有し且つ塗装性に於いても優れた熱可塑性樹
脂組成物が得られればその利用価値は極めて大きいと考
えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の組成
物の問題点を解消し、より高い衝撃性を有し且つ塗装性
に於いても優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の従
来品の欠点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリア
ミド樹脂に、溶融状態のプロピレン系重合体の存在下で
芳香族ビニル単量体および極性官能基含有ビニル単量体
を溶融混練重合することにより得られる変性プロピレン
系重合体樹脂及び特定のエラストマーとを配合し溶融混
練ブレンドすることにより得られる熱可塑性樹脂組成物
が、塗装性及び衝撃性に於いても優れ、上記の目的を達
成する事を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。 (構成)
【0009】本発明におけるポリアミド樹脂(A)と
は、酸アミド(−CONH−)を繰り返し単位に持つ高
分子化合物で、重合形式によりラクタムの開環重合によ
るもの、ジアミンと二塩基酸の重縮合によるもの及びア
ミノカルボン酸の重縮合によるもの等があげられる。こ
れらは、ナイロンの一般名をもつもので、例えばナイロ
ン6、ナイロン12、ナイロン9、ナイロン11、ナイ
ロン66、ナイロン610、半芳香族ナイロン等が挙げ
られ、これらのうちではナイロン6、ナイロン66が好
ましい。
【0010】以下、本発明で用いられる変性プロピレン
系重合体を製造する方法を説明をする。
【0011】本発明の変性プロピレン系重合体(B)
は、プロピレン重合体を芳香族ビニル単量体と極性官能
基含有ビニル単量体と溶融混練反応することで製造す
る。この際に用いられるプロピレン系重合体は、プロピ
レン単独重合体およびプロピレンを主体とする他のオレ
フィンまたはエチレン性ビニル単量体との共重合体(好
ましくは何れもプロピレン75重量%以上の共重合体)
であり、具体的にはアイソタクチックポリプロピレン、
プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共
重合体等がある。これらのプロピレン系重合体を混合し
て使用することもできる。また、プロピレン系重合体の
性質を損なわない範囲で他の重合体を使用することもで
きる。
【0012】溶融混練重合反応とは、押出機、ミキサー
等の混練装置内で溶融状態にある前記のポリプロピレン
系重合体に、前記の特定ビニル単量体及びグラフト化剤
あるいは重合反応開始剤としてのラジカル開始剤とを用
い重合反応を行なうことを言う。
【0013】溶融混練重合反応を行なう特定のビニル単
量体の内、芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチ
レン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレ
ン、エチルビニルベンゼン、イソプロピルスチレン、ク
ロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン等が
挙げられ、単独または混合して用いられる。
【0014】更に、芳香族ビニル単量体と併用される極
性官能基含有ビニル単量体としては、共重合可能なエポ
キシ基含有ビニル単量体、カルボキシル基含有ビニル単
量体(酸無水物ビニル単量体も包含する)、水酸基含有
ビニル単量体、、オキサゾリン基含有ビニル単量体等が
挙げられる。好ましくは、エポキシ基含有ビニル単量体
あるいはカルボキシル基含有ビニル単量体である。
【0015】具体的にはエポキシ基含有ビニル単量体と
しては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジ
ルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタクリ
ルグリシジルエーテル等が挙げられ単独または混合して
用いられる。特にグリシジルメタクリレートが好まし
い。
【0016】カルボキシル基含有ビニル単量体とは、例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マ
レイン酸等であって酸無水物をも包含し、これらの単独
または混合物を適用して用いられる。特に無水マレイン
酸が好ましい。
【0017】水酸基含有ビニル単量体としては、例え
ば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられ単独ま
たは混合して用いられる。
【0018】オキサゾリン基含有ビニル単量体としては
2ービニルー2ーオキサゾリン、2ービニルー4ーメチ
ルー2ーオキサゾリン、2ーイソプロペニルー2ーオキ
サゾリン、2ーイソプロペニルー4ーオキサゾリン等が
ある。
【0019】該芳香族ビニル単量体の添加量は、好まし
くはプロピレン系重合体の50重量%以下、より好まし
くは1〜35重量%である。50重量%を越えるとプロ
ピレン系重合体の性能が損なわれ好ましくない。また芳
香族ビニル単量体は、変性プロピレン系重合体の極性を
アップさせ、ポリアミド樹脂と変性プロピレン系重合体
とを溶融ブレンドした熱可塑性樹脂組成物の塗装性を向
上させる効果を有するばかりでなく、変性プロピレン系
重合体の低分子量化を防止及びポリアミド樹脂との相溶
性向上効果のため必要であり、極性官能基含有ビニル単
量体の添加量の少なくとも同量以上、好ましくは1〜5
倍量添加する。同量より少ないとこの反応を行った場
合、プロピレン系重合体の低分子量化等の弊害が起こる
場合があり、好ましくない。
【0020】また、極性官能基含有ビニル単量体の添加
量は、プロピレン系重合体の好ましくは10重量%以
下、0.5重量%以上である。10重量%を越えると、
未反応モノマー量が増え、組成物の粘着性、機械的物性
等悪影響が起こる場合があり好ましくない。また、0.
5重量%より少ないとポリアミド樹脂との相溶性が低下
し好ましくない。
【0021】ラジカル開始剤としては、本発明の特徴か
ら上記のビニル単量体に溶解しやすく、また本反応がプ
ロピレン系重合体の溶融混練温度で重合を行うために1
分間の半減期を得るための分解温度が130〜250℃
であることが望ましい。具体例を挙げれば、t−ブチル
パーオクテート、ビス(t−ブチルパーオキシ)トリメ
チルシクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、t−ブチルパーベンゾエート、ジメチル ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチル ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン等が挙げられる。該有機過酸化
物の使用量は、該ビニル単量体100重量部に対して好
ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重
量部とするのが良い。
【0022】その他の添加剤として、プロピレン系重合
体は、ポリエチレンと異なりラジカル崩壊性のポリマー
であるので安定剤の添加が好ましい。但し、芳香族ビニ
ル単量体の重合を妨げないよう種類及び添加量を考慮す
る必要がある。例えば、ペンタエリスリチル‐テトラキ
ス((ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート)、オクデシル(ジ−t−ブチル−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート、チオビス(メチル t−ブチ
ルフェノール)、トリメチル−トリス(ジt−ブチルヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン等のヒンダードフェノール
系安定剤、テトラキス(ジ−t−ブチルフェニル)ビフ
ェニレンフォスファイト、トリス(ジt−ブチルフェニ
ル)フォスファイト等の燐系安定剤、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、酸化マグネ
シウム、ハイドロタルサイト等の制酸吸着剤がある。該
安定剤の使用量はプロピレン系重合体100重量部に対
して好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.
05〜0.5重量部である。
【0023】プロピレン系重合体と芳香族ビニル単量体
および極性官能基含有ビニル単量体との溶融混練重合反
応は、バンバリーミキサー等の密閉容器、押出機等の連
続的な混練機を用いてでき、押出機の方が、造粒等工業
的な生産を考えた場合好ましい。更に、2軸押出機の方
が、反応物の供給、混練、重合時間等の管理が容易であ
る。
【0024】変性プロピレン系重合体の製造は、粉末ま
たはペレット状のプロピレン系重合体を押出機に給し加
圧しながら好ましくは130〜250℃に加熱して結晶
性プロピレン系重合体を溶融させながら、芳香族ビニル
単量体および極性官能基含有ビニル単量体を溶融混練重
合反応後、ダイから排出されたストランドを冷却し、ペ
レタイザーを用いてペレットとする。
【0025】ビニル単量体は、あらかじめプロピレン系
重合体と混合した後、押出機に供給しても良いし液体用
フィーダーを用いて溶融状態のプロピレン系重合体に供
給しても良いが予めプロピレン系重合体に混合して含浸
させておくことが好ましい。
【0026】ラジカル開始剤は、あらかじめビニル単量
体に溶解して添加しても良いし液体用フィーダーを用い
てプロピレン系重合体とビニル単量体との混合物に添加
しても良い。また安定剤はプロピレン系重合体に予めヘ
ンシェルミキサー等を用いて混合して於く事が好まし
い。以上の手順により本発明内の該変性プロピレン系重
合体が得られる。
【0027】本発明の極性基を有するエラストマー
(C)とは、エラストマーの主鎖中(結合基)に、ある
いはグラフト側鎖中に極性成分を有するものを言う。極
性成分とは、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、オ
キサゾリン基、エステル結合基、ウレタン結合基、アミ
ド基等であり、具体的エラストマーには、ポリアミド系
エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチ
レン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等お
よび一般に固形ゴムと称されるアクリル系ゴム、ニトリ
ル系ゴム、ハロゲン化オレフィン系ゴム、エチレン−酢
ビ系ゴム、天然ゴム等が挙げられる。
【0028】また、ポリオレフィン系エラストマーある
いはイソプレンゴム、ブタジエンゴム等に代表される非
極性ゴムは、特にエポキシ基、カルボキシル基(酸無水
物も包含する)、水酸基、オキサゾリン基を有する単量
体類と共重合、あるいはグラフト重合させることにより
得られる所謂変性エラストマーが挙げられる。
【0029】極性基を有する単量体類と共重合、あるい
はグラフト重合させるポリオレフィン系エラストマーと
しては、エチレンープロピレン系ランダム共重合体であ
るEPM、また第三成分として共役ジエンを共重合した
EPDM等が挙げられる。勿論上述した他の極性エラス
トマーも、エポキシ基、カルボキシル基(酸無水物も包
含する)、水酸基、、オキサゾリン基を有する単量体類
と共重合、あるいはグラフト重合させることにより得ら
れる変性エラストマー類として用いることができ、この
場合一般にポリアミド樹脂に対するエラストマーの分散
性、相溶性が向上する。
【0030】エラストマーとしては、更に具体的に例示
すれば、ポリアミド系エラストマーとして例えば、ラク
タム、ジカルボン酸、ポリエーテルジオールを原料と
し、エステル交換および重縮合反応で合成されるもの;
ポリエステル系エラストマーとしては、例えばテレフタ
ル酸ジメチル、1,4−ブタンジオールおよびポリ(オ
キシテトラメチレン)グリコール(PTMG)あるいは
ε−カプロラクトン等を原料としエステル交換および重
縮合反応あるいは開環反応により合成されるものであ
る。ポリスチレン系エラストマーとしては、ポリスチレ
ン−ポリブタジエンブロックポリマー(SBS)、SB
Sの水素添加物であるSEBS、ポリスチレン−ポリイ
ソプレンブロックポリマー(SIS)等である。ポリウ
レタン系エラストマーとしては、主鎖構造中に長鎖脂肪
族ポリエーテルあるいはポリエステルを有し、ジイソシ
アネートとジオールとの重付加反応により得られるもの
である。
【0031】本発明では前記の特定のエラストマー
(C)を用いることが塗装性、衝撃性を得る上に於いて
重要である。
【0032】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、好ましく
は(A)ポリアミド樹脂成分90〜50重量%と、
(B)変性プロピレン系重合体成分10〜50重量%と
(C)エラストマー成分1〜20重量%の割合で配合
し、後に記述する溶融混練装置で溶融混練ブレンドを行
うことにより熱可塑性成形材料として得られるものであ
る。
【0033】該組成物においてポリアミド樹脂が50重
量%未満ではポリアミド樹脂(A)の有する優れた機械
的物性、耐熱性、耐薬品性等での効果が得られないので
好ましくない。一方、変性プロピレン系重合体(B)が
10重量%未満では、ポリアミド樹脂の吸水性を抑える
効果が少なく問題がある。また本発明中のエラストマー
(C)は、衝撃性向上効果の他、塗装性改良効果も有し
ているため上記の添加量の範囲で添加する必要があり、
1重量%未満では衝撃性改良効果が不十分になり、また
逆に20重量%より多く添加した場合は、衝撃性は向上
するもののポリアミド樹脂(A)の有する剛性の低下が
起こり用途によっては好ましくない。
【0034】本発明の組成物には、これらの必須成分の
他に付加的成分を発明の効果を損なわない範囲で添加す
ることができる。付加的成分としては、例えば、可塑
剤、他の熱可塑樹脂、無機フィラー、顔料、各種安定剤
(酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防
止剤、滑剤、銅化合物)、結晶促進の核剤等である。
【0035】本発明の熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性成
形材料の具体的製造法は、上記樹脂(A)、(B)、
(C)成分をヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボ
ンブレンダー、タンブラーブレンダー等でドライブレン
ドした後、この混合物を一軸、叉は二軸押出機、ロー
ル、バンバリーミキサー等溶融混練装置で必要により付
加的成分と共に溶融混練してペレット化又は粉砕して得
ることができる。また上記の変性プロピレン系重合体製
造の際に押出機のサイドフィーダーを用い、ポリアミド
樹脂(A)、エラストマー(C)を直接供給し一段の押
出工程により該樹脂組成物を得ることもできる。
【0036】かくして得られた熱可塑性樹脂組成物から
なる成形材料は、射出成形、押出成形、ブロー成形等の
成形法により、自動車用外板、内装部品、電装部品等、
家電用部品、電子部品、日用品等の成形品を得ることが
できる。
【0037】
【実施例】次に、本発明を、実施例、比較例により詳細
に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。以下において部および%は特に断わりのないか
ぎりすべて重量基準であるものとする。熱可塑性樹脂組
成物の塗装性および衝撃性評価等については以下の通り
である。
【0038】「塗装性評価」:厚さ2mmの射出平板試
片にアクリル−ウレタン2液塗料(レタンPG60/ハ
ードナー、関西ペイント(株)製)をアプリケーターを
用い約40μmの膜厚にて塗布し、60℃、30分なる
条件にて硬化乾燥させた。ついで塗膜に1mm方形の碁
盤目(10*10個)をつけ、セロテープ剥離試験を行
い塗膜の残数によりその塗装性の評価を行った。塗膜の
残数が95以上を「○」、95未満50以上を「△」、
50未満を「×」とし評価した。
【0039】「衝撃性評価」:質量0.5kgの1/4
インチの重錘を室温にて厚さ2mmの平板試片に落下さ
せ試片が割れる最低の高さを測定し、質量*試片が割れ
る最低の高さを衝撃強度とし、単位をkg・cmとして
表記した。評価基準として25kg・cm以上の衝撃強
度を有する組成物を良好とした。
【0040】「吸水率測定」:厚さ3mm、幅12m
m、長さ100mm大の試片を23℃の純水に24時間
浸析させて、その重量増加率により算出した。評価基準
として、1.0%以下の吸水率を有する組成物を良好と
した。
【0041】「外観」:成形物を破断させ、その面の層
状剥離の有無を肉眼で判断し、相剥離のないものを良好
とし評価した。
【0042】(実施例1) <変性ポリプロピレンの製造>ブラベンダー社(ドイツ
国)製30mm二軸押出機をバレル温度200℃(但し
フィーダー部180℃)、ダイス温度210℃に設定し
た。粉末状のポリプロピレン(ハイポールB200P、
三井石油化学社製)930部にイルガノックス1010
(チバガイキー社製安定剤)0.5部、ホスファイト1
68(チバガイキー社製安定剤)0.5部、ステアリン
酸カルシウム(安定剤)1部を混合した。スチレン45
部、グリシジルメタクリレート25部にパーヘキシン2
5B(日本油脂社製)2.1部を混合した物を先の粉末
ポリプロピレン配合物にドライブレンドした。得られた
ドライブレンド物を押出機に供給し、押出機内で15r
pmにて溶融混練してグラフト反応を行い、ペレタイザ
ーを通して「変性ポリプロピレンA」のペレットを得
た。押出生成物のスチレン含量は生成物の赤外線分光分
析を用いて700cm-1(スチレンに帰属)と1380cm
-1(ポリプロピレンに帰属)との比を用いて検量線から
ポリスチレン含量が4.4%であった。
【0043】<熱可塑性樹脂組成物の製造>上記で得ら
れた「変性ポリプロピレンA」250部とポリアミド樹
脂(鐘紡社製 6ナイロンMC112)700部、ポリ
アミド系エラストマーであるグリラックスA(A−15
0、大日本インキ化学工業(株)社製)50部を配合
し、これを二軸押出機を用いて250℃、20rpmに
て溶融混練ブレンドしてペレタイザーにてペレット化
し、射出成形機(東芝IS50AM)を用い塗装性評価
および物性評価用のサンプルを得た。ひき続き上記の条
件にて、塗装性および衝撃性等について評価した。結果
を第1、2表に示す。
【0044】(実施例2)実施例1において、実施例1
の「変性ポリプロピレンA」250部とグリラックスA
(A−150、大日本インキ化学工業(株)社製)50
部を用いる代わりに「変性ポリプロピレンA」200
部、アクリル系エラストマーであるパラロイド(KCA
−301、呉羽化学工業(株)社製)100部を用いて
熱可塑性樹脂組成物を製造し、実施例1と同様にして成
形を行い各種の物性を評価した。
【0045】(実施例3)実施例1において、実施例1
の「変性ポリプロピレンA」250部とグリラックスA
(A−150、大日本インキ化学工業(株)社製)50
部を用いる代わりに「変性ポリプロピレンA」250
部、スチレン系エラストマーであるスチレン−ブタジエ
ン水素添加物エラストマーSEBS(G1650、シェ
ル化学社製)50部を用いて熱可塑性樹脂組成物を製造
し、実施例1と同様にして成形を行い各種の物性を評価
した。
【0046】(実施例4)実施例1の変性ポリプロピレ
ンの製造において、スチレン45部、グリシジルメタク
リレート25部の代わりにスチレン50部、無水マレイ
ン酸20部とした以外は実施例1と同様にして「変性ポ
リプロピレンB」を製造した。得られた「変性ポリプロ
ピレンB」250部とポリアミド樹脂(鐘紡社製 6ナ
イロンMC112)700部、ポリエステル系エラスト
マーであるグリラックスE(EH−700、大日本イン
キ化学工業(株)社製)50部を配合し、以下実施例1
と同様にして成形を行い評価した。
【0047】(実施例5)実施例4において、実施例4
の「変性ポリプロピレンB」250部とグリラックスE
(EH−700、大日本インキ化学工業(株)社製)5
0部を用いる代わりに「変性ポリプロピレンB」250
部、アクリロニトリルブタジエンゴムであるNBR(N
230S、日本合成ゴム(株)社製)50部を配合し、
熱可塑性樹脂組成物を製造し、実施例1と同様にして成
形を行い各種の物性を評価した。
【0048】(比較例1)実施例1において使用したポ
リアミド樹脂(鐘紡社製 6ナイロンMC112)単独
を成形を行い、評価した。しかし吸水率が高く実際の使
用においては問題がある。
【0049】(比較例2)実施例1において使用したポ
リアミド樹脂(鐘紡社製 6ナイロンMC112)70
0部とポリプロピレン(ハイポールB200、三井石油
化学社製)300部を実施例1と同様なる条件にて溶融
混練を行い、以後同様に成形を行い、評価した。しかし
成形物は、層剥離がおこり不均一なものであった。
【0050】(比較例3)実施例1において使用したポ
リアミド樹脂(鐘紡社製 6ナイロンMC112)70
0部と「変性ポリプロピレンA」300部を実施例1同
様なる条件にて溶融混練を行い、以後同様に成形を行
い、評価した。しかし衝撃性がエラストマー類を添加し
た場合に比較して低く、衝撃性を必要とする使用用途に
は問題が生じる。
【0051】(比較例4)実施例1において使用したポ
リアミド樹脂(鐘紡社製 6ナイロンMC112)70
0部と市販の酸変性ポリプロピレン(表−2中に市販酸
変性PPと記述)(アドマーQF540、三井石油化学社
製)300部を実施例1同様なる条件にて溶融混練を行
い、以後同様に成形を行い評価した。衝撃性は、比較的
高く良好であるが、塗装性が劣っており塗装性を必要と
する用途には問題が生じる。
【0052】(比較例5)実施例1において使用した安
定剤配合ポリプロピレン(ハイポールB200P、三井
石油化学社製)単独を成形を行い、評価した。しかし塗
膜の密着性が極めて悪く問題がある。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明は、ポリアミド樹脂(A)、溶融
状態のプロピレン系重合体に芳香族ビニル単量体および
極性官能基含有ビニル単量体(特にエポキシ基含有ビニ
ル単量体あるいはカルボキシル基含有ビニル単量体)と
を併用し溶融混練重合反応して得られる変性プロピレン
系重合体(B)、極性基を有するエラストマー(C)と
から成る熱可塑性樹脂組成物、塗装性、衝撃性に於いて
優れた熱可塑性成形材料、成形品及び熱可塑性成形材料
の製造方法を提供できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアミド樹脂、(B)芳香族ビ
    ニル単量体、極性官能基含有ビニル単量体を溶融混練重
    合反応して得られる変性プロピレン系重合体、(C)極
    性基を有するエラストマーとからなることを特徴とする
    熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分90〜50重量%と、(B)
    成分10〜50重量%と(C)成分1〜20重量%とか
    らなることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 エラストマー(C)が、スチレン系エラ
    ストマーであることを特徴とする請求項1〜2記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 芳香族ビニル単量体を、極性官能基含有
    ビニル単量体の同量以上添加して溶融混練重合反応して
    得られる変性プロピレン系重合体を用いることを特徴と
    する請求項1〜3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 極性官能基含有ビニル単量体をプロピレ
    ン系重合体に対して0.5重量%以上添加して溶融混練
    重合反応して得られる変性プロピレン系重合体を用いる
    ことを特徴とする請求項1〜4記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 極性官能基含有ビニル単量体が、エポキ
    シ基含有ビニル単量体あるいはカルボキシル基含有ビニ
    ル単量体であることを特徴とする請求項1〜5記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 エポキシ基含有ビニル単量体あるいはカ
    ルボキシル基含有ビニル単量体がそれぞれグリシジルメ
    タクリレートあるいは無水マレイン酸であることを特徴
    とする請求項1〜6記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7記載の熱可塑性樹脂組成物
    からなることを特徴とする成形材料。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7記載の熱可塑性樹脂組成物
    からなることを特徴とする成形品。
  10. 【請求項10】 (A)ポリアミド樹脂成分90〜50
    重量%と、(B)変性プロピレン系重合体成分10〜5
    0重量%と(C)エラストマー成分1〜20重量%の割
    合で配合し、溶融混練装置で溶融混練ブレンドを行うこ
    とを特徴とする熱可塑性成形材料の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002105262A (ja) * 2000-09-29 2002-04-10 Sumitomo Chem Co Ltd 表皮材用熱可塑性樹脂組成物
US6426388B1 (en) 1999-11-18 2002-07-30 Nippon Paper Industries Co., Ltd. Modified polyolefin composition and uses thereof
JP2009541556A (ja) * 2006-06-26 2009-11-26 ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) 接着特性を有するポリマー組成物
WO2023182491A1 (ja) * 2022-03-24 2023-09-28 旭化成株式会社 ポリアミド樹脂組成物
CN117465100A (zh) * 2023-11-27 2024-01-30 广东道科新材料科技有限公司 一种高阻隔聚丙烯可回收包装薄膜及其制备方法

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