JPH084883A - 樹脂製プーリ並びにその製造方法及び製造装置 - Google Patents

樹脂製プーリ並びにその製造方法及び製造装置

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JPH084883A
JPH084883A JP14278594A JP14278594A JPH084883A JP H084883 A JPH084883 A JP H084883A JP 14278594 A JP14278594 A JP 14278594A JP 14278594 A JP14278594 A JP 14278594A JP H084883 A JPH084883 A JP H084883A
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cavity
ribs
molding
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Tsunekichi Tanaka
常吉 田中
Yoshinobu Itou
誉展 伊藤
Motoharu Niki
基晴 仁木
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Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基部の外周部に設ける円筒状の外径部の真円
度を高くする。 【構成】 樹脂射出用の複数のピンゲート41を基部1
1の内周部の内輪13の周方向に沿って等間隔で配置す
ると共に、複数のピンゲート41の各々を隣接するリブ
17間の内輪13上端面に配置し、各ピンゲート41か
ら溶融樹脂を射出して基部11、外輪15及びリブ17
を一体成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂製プーリ並びにその
製造方法及び製造装置に関するものであり、特に、中心
部に軸受等のインサートを配置し、内周及び外周間に補
強用のリブを一体成形した樹脂製オートテンショナ用プ
ーリ等の樹脂製プーリ並びにその製造方法及び製造装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、平面円形で外周に真円度を確保す
る必要のある樹脂製プーリを製造する手段として、樹脂
製プーリの中心に対応する位置に射出成形機のダイレク
トゲートを配置し、ダイレクトゲートから所定の樹脂材
料を金型のキャビティ内に射出して所定形状に形成す
る、いわゆる、中心部ダイレクトゲートを使用したもの
がある。しかし、この場合、樹脂製プーリの中心部に軸
受等のインサートが配置される場合は成形が困難であ
る。また、円板状部分の一般形状部分他に補強リブ等の
異形状部分を有する樹脂製プーリの場合、中心部から樹
脂材料を充填しても、樹脂材料が異形状部分を均一には
流動しないため、樹脂製プーリの外周面に所望の真円度
を確保することが困難となる可能性がある。
【0003】このため、従来は、ゲート点数を多くし
て、樹脂材料が金型のキャビティ内をできるだけ均一に
流動するようにすることが提案されている。
【0004】従来のこの種の樹脂製プーリとして、特開
平4−34260号公報に掲載の技術を挙げることがで
きる。
【0005】この技術は、転がり軸受と、転がり軸受の
周囲に配置された樹脂部本体からなる樹脂製プーリを製
造するものであって、かかる樹脂部本体を、内径円筒部
及び外径円筒部と、両円筒部間を接続する円板部と、円
板部に設けた多数の放射状リブより構成している。そし
て、かかる樹脂製プーリを製造するため、円板部上のリ
ブを挟んだ円周方向における対称位置に、樹脂充填用の
ゲートを配置している。即ち、かかるゲートを内径円筒
部と外径円筒部との間に配置することにより、結果的
に、ゲート位置を外径円筒部に近接させ、外径円筒部用
キャビティに流入する溶融樹脂の温度をできるだけ高く
維持することで、外径円筒部の外周面での凸部の発生を
最小限に抑え、真円度を向上するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の樹脂製プーリの
製造方法及び製造装置は、上記のように、ゲートを複数
設けるという構成を採用しているから、外径円筒部の外
周面の真円度をある程度までは向上できるものの、その
向上にはやはり限界があり、非常に高い真円度が要求さ
れるオートテンショナ用プーリ等の樹脂製プーリについ
ては、一層の真円度の向上が求められている。また、上
記従来の技術は、ゲートを全ての隣接するリブ間に設け
ているため、射出成形後に除去すべきゲート部分のスプ
ルーランナの量が多大なものとなり、製造における樹脂
材料の歩留まりが相対的に低くなることが考えられる。
【0007】そこで、本発明は、基部の外周部に設ける
円筒状の外径部の真円度を高くした樹脂製プーリ並びに
その製造方法及び製造装置の提供を課題とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にかかる
樹脂製プーリは、軸受と、軸受の外周に一体形成された
樹脂部本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基
部と、基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方
向に張り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、
基部の内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部
の略厚さ方向に突出する多数のリブとを具備するもので
あって、型開きに伴うゲート固化物の切除を可能とする
範囲にゲート径を設定した樹脂射出用の複数のピンゲー
トを、前記内径部の一方の端面の周方向に沿って略等間
隔で配置すると共に、前記複数のピンゲートの各々を隣
接するリブ間に配置し、前記各ピンゲートから溶融樹脂
を射出して前記軸受、前記基部、前記内径部、前記外径
部及び前記多数のリブを一体成形したものである。
【0009】請求項2の発明にかかる樹脂製プーリの製
造方法は、軸受と、軸受の外周に一体形成された樹脂部
本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基部と、
基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方向に張
り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、基部の
内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部の略厚
さ方向に突出する多数のリブとを具備する樹脂製プーリ
の製造方法であって、型開きに伴うゲート固化物の切除
を可能とする範囲にゲート径を設定した樹脂射出用の複
数のピンゲートを、前記内径部成形用のキャビティの周
方向に沿って略等間隔で配置すると共に、前記複数のピ
ンゲートの各々を隣接するリブ間の前記内径部成形用の
キャビティに配置して型締めする型締工程と、前記各ピ
ンゲートから溶融樹脂をキャビティ内に射出する射出工
程とを具備するものである。
【0010】請求項3の発明にかかる樹脂製プーリの製
造装置は、軸受と、軸受の外周に一体形成された樹脂部
本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基部と、
基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方向に張
り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、基部の
内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部の略厚
さ方向に突出する多数のリブとを具備する樹脂製プーリ
の製造装置であって、前記軸受をインサートとして配置
固定するインサート部と、前記インサート部の周囲に設
けられた前記基部、内径部、外径部及びリブ成形用のキ
ャビティと、前記内径部成形用のキャビティの周方向に
沿って略等間隔で複数配置されると共に、各々は隣接す
るリブ間の前記内径部成形用のキャビティに配置され、
かつ、型開きに伴うゲート固化物の切除を可能とする範
囲にゲート径を設定したピンゲートとを具備するもので
ある。
【0011】
【作用】請求項1の発明においては、基部、内径部、外
径部及びリブは、溶融樹脂をピンゲートから射出して形
成されたものであるが、このうち、特に、外径部は、内
径部から多数のリブを介して外径部に流動してきた溶融
樹脂、及び、基部自体を流動してきた溶融樹脂の両者が
同時に合流して成形されるため、これらの溶融樹脂が外
径部で合流した直後は、多数設けたリブの数に応じた平
面多角形の成形体が形成され、その後に平面円形の外径
部が成形される。よって、外径部の外形は、多数のリブ
の数に応じた平面多角形から円形へと移行するため、そ
の真円度がリブの数に応じて高くなる。
【0012】請求項2の発明においては、型締工程後に
射出工程において、前記各ピンゲートから溶融樹脂をキ
ャビティ内に射出すると、内径部成形用のキャビティか
ら多数のリブ成形用のキャビティを介して外径部成形用
のキャビティに流動してきた溶融樹脂、及び、基部成形
用のキャビティ自体を流動してきた溶融樹脂の両者が、
外径部成形用のキャビティで同時に合流して成形され
る。このため、これらの溶融樹脂が外径部成形用のキャ
ビティで合流した直後は、多数設けたリブの数に応じた
平面多角形の成形体が形成され、その後に平面円形の外
径部が成形される。よって、外径部の外形は、多数のリ
ブの数に応じた平面多角形から円形へと移行するため、
その真円度がリブの数に応じて高くなる。
【0013】請求項3の発明においては、前記各ピンゲ
ートから溶融樹脂をキャビティ内に射出すると、内径部
成形用のキャビティから多数のリブ成形用のキャビティ
を介して外径部成形用のキャビティに流動してきた溶融
樹脂、及び、基部成形用のキャビティ自体を流動してき
た溶融樹脂の両者が、外径部成形用のキャビティで同時
に合流して成形される。このため、これらの溶融樹脂が
外径部成形用のキャビティで合流した直後は、多数設け
たリブの数に応じた平面多角形の成形体が形成され、そ
の後に平面円形の外径部が成形される。よって、外径部
の外形は、多数のリブの数に応じた平面多角形から円形
へと移行するため、その真円度がリブの数に応じて高く
なる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0015】図1は本発明の一実施例の樹脂製プーリを
ゲート位置と共に示す平面図である。図2は本発明の一
実施例の樹脂製プーリをゲート位置と共に示す図1のA
−A線断面図である。図3は本発明の一実施例の樹脂製
プーリのリブを示す斜視図である。
【0016】図1において、本実施例は、オートテンシ
ョナ用プーリ等に使用される樹脂製プーリに具体化さ
れ、ガラス繊維等の強化繊維を混合した繊維強化樹脂等
の樹脂材料により成形されるものであり、中心に孔を有
する円板状(ドーナツ板状)の基部11を備えている。
また、基部11の内周部の全長に沿って、小径の円筒フ
ランジ状の内径部としての内輪13が、基部11の略厚
さ方向両側に等しい突出幅で張り出し形成されると共
に、基部11の外周部の全長に沿って、前記内輪13よ
り大径の円筒フランジ状の外径部としての外輪15が、
基部11の略厚さ方向両側に等しい突出幅で張り出し形
成されている。前記外輪15の基部11からの突出幅は
内輪13の基部11からの突出幅より大きい幅とされて
いる。更に、基部11の内周部から外周部にかけて、基
部11の略厚さ方向両側に突出する多数のリブ17が放
射状に延び、前記内輪13及び外輪15間を一体に接続
している。本実施例では、前記リブ17の数は計18個
とされ、基部11の周方向に等角度(20度の角度)で
配置され、基部11を18等分している。また、各リブ
17は、図2に示すように、平面略台形状とされ、その
幅方向(図2中上下方向)中央を前記基部11により2
等分されると共に、上底(図2中左端)を内輪13側
に、下底(図2中右端)を外輪15側に配置している。
そして、各リブ17の基部11により2分割される一方
の半部は、図3に示す形状とされ、基部11側に位置す
る基端面(図3中下端面)から先端面(図3中上端面)
へ向かって縮径する断面略3角形状とされている。
【0017】前記内輪13の内周面にはインサートとし
ての転がり軸受等の軸受19が配設され、射出成形時に
一体的に固着されるようになっている。軸受19の中央
には駆動軸(図示略)等への駆動連結用の連結孔21が
設けられている。また、内輪13は、その周方向全長に
わたって幅方向両端を内方に突出し、前記軸受19の外
周縁部を支持している。
【0018】ここで、本発明の樹脂製プーリを適用可能
な一例としてのオルタネータ、コンプレッサ、ポンプ
類、ファン類等の自動車用の補助機械(以下、補機とい
う)は、エンジンを駆動源として連結装置を介して駆動
されるため、エンジン回転数に合わせて低回転から高回
転へと回転数の変動幅を有する。特に、高回転で補機を
回転駆動する場合は、エンジンからの熱により補機も高
温となるなど、補機に使用される樹脂製プーリの使用条
件も非常に過酷なものとなる。よって、樹脂製プーリの
軸受19としては、滑り軸受よりも、広い使用条件に適
用できる転がり軸受を使用することが好ましい。即ち、
転がり軸受を使用した場合、一層安定した性能を発揮で
きる。
【0019】次に、上記のように構成された樹脂製プー
リの製造装置について説明する。
【0020】図4は本発明の一実施例の樹脂製プーリの
製造装置の金型を示す断面図である。
【0021】図において、金型は、上型21及び下型2
3を有し、上型21及び下型23の各々に、前記樹脂製
プーリの軸受19を除く部分、即ち、内輪13、基部1
1、外輪15及びリブ17の厚さ方向の半部に対応する
形状のキャビティを型彫り形成し、合せ面(パーティン
グライン)25が樹脂製プーリの外輪15の幅方向中央
にくるようにしている。そして、上型21及び下型23
を型締めすると、図4に示すように、それらのキャビテ
ィが一体とされ、前記樹脂製プーリの軸受19を除く形
状に対応する成形空間を形成するようになっている。即
ち、前記成形空間は、前記内径部としての内輪13成形
用のキャビティ31、基部11成形用のキャビティ3
3、外径部としての外輪15成形用のキャビティ35及
びリブ17成形用のキャビティ37より構成される。
【0022】前記内輪13成形用のキャビティ31の内
周側には、軸受19に対応する形状の空間であるインサ
ート部39が設けられ、固定部材(図示略)によりイン
サート部39に軸受19をインサートとして配置固定す
るようになっている。なお、軸受を金型のインサート部
39に固定する固定部材としては、コアピンまたはコレ
ット等がある。コアピンを使用した場合は、金型の構造
をコレットの場合より比較的簡単にできる。一方、コレ
ットを使用した場合は、金型の構造が若干複雑になるこ
とはあるものの、生産性はより優れており、生産効率が
大変良い。特に、コレットを使用した場合は、転がり軸
受を金型にセットする作業が簡単で、また、固定後の転
がり軸受の固定部分の位置精度も高くなる。
【0023】更に、本実施例では、キャビティ31,3
3,35,37内への溶融樹脂射出用のゲートとしてピ
ンゲート41を使用し、複数のピンゲート41の先端
を、前記内輪13成形用のキャビティ31の周方向に沿
って等間隔で配置すると共に、各々のピンゲート41を
隣接するリブ17間の内輪13成形用のキャビティ31
に配置している。即ち、本実施例では、図1及び図2に
示すように、18個のリブ17に対応して、その約数た
る計6個のピンゲート41が、内輪13成形用のキャビ
ティ31の幅方向一端面(図2中上面)に対向して、リ
ブ17を3個置きに等間隔で(各々60度の角度をおい
て)配置され、また、各ピンゲート41は、隣接するリ
ブ17間の中間位置で内輪13成形用のキャビティ31
の上面に配置されている。なお、各ピンゲート41はラ
ンナ43に接続され、射出装置からスプルー(いずれも
図示略)に注入された溶融樹脂を、ランナ43を介して
ピンゲート41からキャビティ31,33,35,37
内に射出すると、溶融樹脂が、内輪13成形用のキャビ
ティ31から、基部11成形用のキャビティ33並びに
リブ17成形用のキャビティ37に分流して流入し、外
輪15成形用のキャビティ35へと流動して、全てのキ
ャビティ31,33,35,37を充填するようになっ
ている。
【0024】ここで、前記ピンゲート41は、円形樹脂
成形品の形状、特に内輪13等のゲート位置となる基部
11の内周部の形状及び厚み等の寸法等を考慮して、型
開きに伴うゲート固化物の自動切除を可能とする範囲
で、可能な限り大きい径のものが選択される。即ち、ピ
ンゲート41は、ゲートシール時間をできるだけ長くし
て、外輪15成形用のキャビティ35内の溶融樹脂の保
圧時間を長くするよう、かつ、ガラス繊維等の強化繊維
の配向をできるだけ少なくして不揃いの状態とするよ
う、可能な限り大きい径とされ、本実施例では、かかる
見地から最良の結果をもたらすべく、ゲート径2mmのも
のを使用している。
【0025】次に、上記のように構成された本実施例の
樹脂製プーリの製造装置を使用した樹脂製プーリの製造
方法を説明する。
【0026】まず、軸受19をインサートとして所定位
置のインサート部39に配置して固定部材により固定す
ると共に、上型21及び下型23を型締めして軸受19
の周囲に内輪13、基部11、リブ17及び外輪15の
形状に対応する形状のキャビティ31,33,35,3
7(成形空間)を形成し、射出装置からの溶融樹脂を、
スプルー及びランナ43を介してピンゲート41からキ
ャビティ31,33,35,37内に射出する。する
と、溶融樹脂は、最初に、内輪13成形用のキャビティ
31の幅方向一端面から流入し、その幅方向に流動して
キャビティ31内を充填すると共に、内輪13成形用の
キャビティ31に連続する基部11成形用のキャビティ
33に流入してその周方向に展開すると共に外輪15成
形用のキャビティ35へと向かって放射方向に流動す
る。同時に、ピンゲート41から射出された溶融樹脂
は、図1の矢印で示すように、内輪13成形用のキャビ
ティ31外周面に沿ってその周方向に流動し、対応する
ピンゲート41近傍のリブ17成形用のキャビティ37
内に流入する。このとき、各ピンゲート41からの溶融
樹脂が、そのピンゲート41直近(両側)のリブ17成
形用のキャビティ37に単独で流入すると共に、隣接す
るピンゲート41からの溶融樹脂が、それらのピンゲー
ト41間の3個のリブ17のうちの中央のリブ17成形
用のキャビティ37に合流して流入する。このときの溶
融樹脂の流入量は、各ピンゲート41からその直近のリ
ブ17成形用のキャビティ37に流入する溶融樹脂の流
入量の約半分となり、結果的に、隣接する2個のピンゲ
ート41から中央のリブ17成形用のキャビティ37に
合流して流入する溶融樹脂の流入量は、各ピンゲート4
1からその直近のリブ17成形用のキャビティ37に流
入する溶融樹脂の流入量と略同一となる。
【0027】このようにして、6個のピンゲート41の
各々が、18個のリブ17成形用のキャビティ37の各
3個及びこれら3個のリブ17成形用のキャビティ37
に連続する基部11成形用のキャビティ33の部分を受
け持つ形で、各リブ17成形用のキャビティ37及び基
部11成形用のキャビティ33内に溶融樹脂が流入し
て、外輪15成形用のキャビティ35へと向かってその
長手方向(基部11成形用のキャビティ33の放射方
向)に流動する。
【0028】このときの溶融樹脂の流動状態(フローパ
ターン)を以下に説明する。
【0029】図5は本発明の一実施例の樹脂製プーリの
製造方法における樹脂のフローパターンを示す説明図で
ある。
【0030】図において、まず、キャビティ31,3
3,35,37内を内輪13側から外輪15側へ流動す
る溶融樹脂は、6個のピンゲート41から射出注入され
た直後の位置から暫くの間は、図5中二点鎖線で示すよ
うに、ピンゲート41の数に対応して平面略六角形状で
略放射方向に展開し、内輪13部分及びリブ17の途中
まで充填される。そして、溶融樹脂は、キャビティ3
1,33,35,37内を外輪15側へ流動する間に、
18個のリブ17成形用のキャビティ37内を基部11
成形用のキャビティ33内よりも早く進み、18個のリ
ブ17の数に対応した平面略18角形へと形状を移行さ
せて展開し、リブ17成形用のキャビティ37の終端に
達したときに、図5中実線で示す外形となる。そして、
最後に、基部11成形用のキャビティ33内を流動する
溶融樹脂の外周が外輪15成形用のキャビティ35内に
流入して前記リブ17成形用のキャビティ37からの溶
融樹脂と合流すると、それらの溶融樹脂がリブ17成形
用のキャビティ37の終端間のキャビティ33及び35
に残る空間を充填し、溶融樹脂が平面略18角形から円
形へと形状を移行する。これにより、円筒状の外輪15
部分が成形されて、樹脂プーリの全体形状が完成する。
【0031】上記樹脂のフローパターンは、コンピュー
タ援用エンジニアリング(CAE)による流動解析の結
果得られたものであり、このシュミレーションによれ
ば、流動過程を通じて、非常に均一な温度分布及び充填
状態が得られた。
【0032】なお、各ピンゲート41からの溶融樹脂の
注入は、通常の樹脂製プーリの場合、同時に行うことが
樹脂流動の均一化の点から好ましいが、樹脂製プーリの
種類または形状等によっては、最も均一な流動条件を得
るようその注入タイミングを各々制御してもよい。
【0033】このように、上記実施例の樹脂製プーリ
は、軸受19と、軸受19の外周に一体形成された樹脂
部本体とからなり、前記樹脂部本体は、中央に孔を有す
る円板状の基部11と、基部11の内周部に沿って基部
11の厚さ方向両側に張り出し形成された小径円筒状の
内径部としての内輪13と、基部11の外周部に沿って
基部11の厚さ方向両側に張り出し形成された大径円筒
状の外径部としての外輪15と、基部11の内周部の内
輪13から外周部の外輪15へと放射状に延びると共に
基部11の厚さ方向両側に突出する所定断面形状、か
つ、所定平面形状をなし、基部11の周方向に等角度で
配置された計18個のリブ17とを具備するものであっ
て、型開きに伴うゲート固化物の切除を可能とする範囲
にゲート径を設定した樹脂射出用の計6個のピンゲート
41を、前記基部11の内周部の内輪13の周方向に沿
って等間隔(等角度)で配置すると共に、前記ピンゲー
ト41の各々を隣接するリブ17間中央位置の内輪13
一端面に配置し、各ピンゲート41から溶融樹脂を射出
して軸受19、基部11、内輪13、外輪15及びリブ
17を一体成形したものである。
【0034】したがって、上記実施例の樹脂製プーリ
は、基部11、内径部としての内輪13、外径部として
の外輪15及びリブ17は、溶融樹脂をピンゲート41
から射出して形成されたものであるが、このうち、特
に、外径部としての外輪15は、基部11の内周部の内
輪13から18個のリブ17を介して基部11の外周部
に流動してきた溶融樹脂、及び、基部11自体を流動し
てきた溶融樹脂の両者が同時に合流して成形されるた
め、これらの溶融樹脂が外輪15で合流した直後は、1
8個設けたリブ17の数に応じた平面18角形の成形体
が形成され、その後に平面円形の外輪15が成形され
る。よって、外輪15の外形は、18個のリブ17の数
に応じた平面18角形から円形へと移行するため、その
真円度がリブ17の数に応じて高くなる。その結果、外
輪15の真円度を向上して、高い真円度が要求される製
品として適用することができる。そして、その真円度を
高くできるため、回転時のベルトのばたつきが少なくな
り、動作時の騒音を低減できると共に、回転むらをより
少なくすることができる。また、外輪15のベルト案内
面とベルトとの接触摩擦抵抗を少なくすることができ、
樹脂製プーリ及びベルトの製品寿命を延ばすことができ
る。
【0035】更に、本実施例の樹脂製プーリは、上記の
ように回転部を受け持つ軸受19として転がり軸受を採
用して一層の耐久性を確保し、ベルト接触部である外輪
15の真円度を高精度としたため、プーリとして理想的
なものとなる。特に、振動防止、耐熱性、耐回転性等自
動車の補機用のオートテンショナ用樹脂プーリとして好
適である。
【0036】また、上記実施例の樹脂製プーリの製造方
法は、軸受19と、軸受19の外周に一体形成された樹
脂部本体とからなり、前記樹脂部本体は、中央に孔を有
する円板状の基部11と、基部11の内周部に沿って基
部11の厚さ方向両側に張り出し形成された小径円筒状
の内径部としての内輪13と、基部11の外周部に沿っ
て基部11の厚さ方向両側に張り出し形成された大径円
筒状の外径部としての外輪15と、基部11の内周部の
内輪13から外周部の外輪15へと放射状に延びると共
に基部11の厚さ方向両側に突出する所定断面形状、か
つ、所定平面形状をなし、基部11の周方向に等角度で
配置された計18個のリブ17とを具備する樹脂製プー
リの製造方法であって、型開きに伴うゲート固化物の切
除を可能とする範囲にゲート径を設定した樹脂射出用の
計6個のピンゲート41を基部11の内周部の内輪13
成形用のキャビティ31の周方向に沿って等間隔で配置
すると共に、前記6個のピンゲート41の各々を隣接す
るリブ17間中央位置の内輪13成形用のキャビティ3
1の幅方向一端面に配置して型締めする型締工程と、前
記各ピンゲート41から溶融樹脂を内輪13成形用のキ
ャビティ31、基部11成形用のキャビティ33、リブ
17成形用のキャビティ37及び外輪15成形用のキャ
ビティ35内に射出する射出工程とを具備する。
【0037】したがって、上記実施例の樹脂製プーリの
製造方法は、型締工程後に射出工程において、前記各ピ
ンゲート41から溶融樹脂をキャビティ31,33,3
5,37内に射出すると、基部11の内周部の内輪13
成形用のキャビティ31から計18個のリブ17成形用
のキャビティ37を介して基部11の外周部の外輪15
成形用のキャビティ35に流動してきた溶融樹脂、及
び、基部11成形用のキャビティ33自体を流動してき
た溶融樹脂の両者が、外径部としての外輪15成形用の
キャビティ35で同時に合流して成形される。このた
め、これらの溶融樹脂が外輪15成形用のキャビティ3
5で合流した直後は、計18個設けたリブ17の数に応
じた平面18角形の成形体が形成され、その後に平面円
形の外輪15が成形される。よって、外輪15の外形
は、18個のリブ17の数に応じた平面18角形から円
形へと移行するため、その真円度がリブ17の数に応じ
て高くなる。その結果、外輪15の真円度を向上して、
高い真円度が要求される製品として適用することができ
る。そして、その真円度を高くできるため、回転時のベ
ルトのばたつきが少なくなり、動作時の騒音を低減でき
ると共に、回転むらをより少なくすることができる。ま
た、外輪15のベルト案内面とベルトとの接触摩擦抵抗
を少なくすることができ、樹脂製プーリ及びベルトの製
品寿命を延ばすことができる。
【0038】更に、上記実施例の樹脂製プーリの製造装
置は、軸受19と、軸受19の外周に一体形成された樹
脂部本体とからなり、前記樹脂部本体は、中央に孔を有
する円板状の基部11と、基部11の内周部に沿って基
部11の厚さ方向両側に張り出し形成された小径円筒状
の内径部としての内輪13と、基部11の外周部に沿っ
て基部11の厚さ方向両側に張り出し形成された大径円
筒状の外径部としての外輪15と、基部11の内周部の
内輪13から外周部の外輪15へと放射状に延びると共
に基部11の厚さ方向両側に突出する所定断面形状、か
つ、所定平面形状をなし、基部11の周方向に等角度で
配置された計18個のリブ17とを具備する樹脂製プー
リの製造装置であって、前記軸受19をインサートとし
て配置固定するインサート部39と、前記インサート部
39の周囲に設けられた前記内輪13、基部11、外輪
15及びリブ17成形用の各々のキャビティ31,3
3,35,37と、前記基部11の内周部の内輪13成
形用のキャビティ31の周方向に沿って等間隔で計6個
配置されると共に、各々は隣接するリブ17間の内輪1
3成形用のキャビティ31の幅方向一端面に配置され、
かつ、型開きに伴うゲート固化物の切除を可能とする範
囲にゲート径を設定したピンゲート41とを具備する。
【0039】したがって、上記実施例の樹脂製プーリの
製造装置は、前記各ピンゲート41から溶融樹脂をキャ
ビティ31,33,35,37内に射出すると、基部1
1の内周部の内輪13成形用のキャビティ31から多数
のリブ17成形用のキャビティ37を介して基部11の
外周部の外輪15成形用のキャビティ35に流動してき
た溶融樹脂、及び、基部11成形用のキャビティ33自
体を流動してきた溶融樹脂の両者が、外輪15成形用の
キャビティ35で同時に合流して成形される。このた
め、これらの溶融樹脂が外輪15成形用のキャビティ3
5で合流した直後は、計18個設けたリブ17の数に応
じた平面18角形の成形体が形成され、その後に平面円
形の外輪15が成形される。よって、外輪15の外形
は、18個のリブ17の数に応じた平面18角形から円
形へと移行するため、その真円度がリブ17の数に応じ
て高くなる。その結果、外輪15の真円度を向上して、
高い真円度が要求される製品として適用することができ
る。そして、その真円度を高くできるため、回転時のベ
ルトのばたつきが少なくなり、動作時の騒音を低減でき
ると共に、回転むらをより少なくすることができる。ま
た、外輪15のベルト案内面とベルトとの接触摩擦抵抗
を少なくすることができ、樹脂製プーリ及びベルトの製
品寿命を延ばすことができる。
【0040】特に、上記実施例は、ピンゲート41のゲ
ート径を、ゲート固化物の切除を損なわない範囲で、最
大の約2mmとしているため、ゲートシール時間が延
び、外輪15の溶融樹脂に十分な保圧がかかることにな
り、外輪15の真円度を一層向上することができる。ま
た、ゲート径を大きくすると、溶融樹脂に含有される強
化繊維としてのガラス繊維の配向が少なくなって不揃い
状態となるため、冷却時の樹脂の収縮率が均一となり、
やはり、外輪15の真円度を一層向上することができ
る。更に、通常は補強用に用いられるリブ17を、成形
時の樹脂流動用の経路として使用し、かつ、そのリブ1
7の形状を図3に示す所定形状としたため、6点のピン
ゲート41から注入した溶融樹脂の外形を、平面略6角
形から略18角形へと円滑に形状変化させて外輪15部
分で円形とすることができ、かつ、その流動条件をも均
一なものとすることができる。そして、上記のようにし
て成形された樹脂製プーリは、特に、基部11成形用の
キャビティ33の外周部へ流動してきた樹脂とリブ17
成形用のキャビティ37の終端へ流動してきた樹脂とが
外輪15成形用のキャビティ35の幅方向中央部分で合
流して、その圧力分布が一層高まるため、ベルト等を案
内する部分であり、オートテンショナプーリ等の樹脂プ
ーリとして最も重要性の高い部分である外輪15の幅方
向中央部の真円度をより高くすることができ、製品品質
を一層向上することができる。
【0041】次に、上記のようにして製造された樹脂製
プーリの真円度の測定結果を、従来例の製造方法により
製造された樹脂製プーリの真円度の測定結果と比較して
説明する。
【0042】図6は本発明の一実施例の製造方法により
製造された樹脂製プーリの真円度を従来の製造方法によ
り製造された樹脂製プーリの真円度と比較した表であ
る。
【0043】図6において、樹脂製プーリは、オートテ
ンショナ用樹脂プーリであり、成形材料として、強化繊
維としてガラス繊維を43%含有した6ナイロン、66
ナイロン、11ナイロン、12ナイロン等のポリアミド
樹脂(PA6・12GF43、例えば、デュポン社製7
7G43L黒色)を使用している。また、従来の樹脂製
プーリの製造方法は、例えば、特開平4−34260号
公報に掲載の技術のように、多点ゲートを使用したもの
である。なお、“真円度”は、樹脂製プーリの外輪15
の外周面における真円度を測定したものであり、“ゲー
ト側端面”とは、ゲート側に位置する外輪15外周面の
一端面(図2中上端面)X1の真円度を、“中央”と
は、外輪15外周面の幅方向中心位置X2の真円度を、
“反ゲート側端面”とは、ゲート側と反対側に位置する
外輪15外周面の他端面(図2中下端面)X3の真円度
を指し、かかる測定結果によればいずれの真円度におい
ても、本実施例の樹脂製プーリの方が高い真円度を有し
ている。特に、外輪15外周面の幅方向中心位置の真円
度が、従来例と比較して、飛躍的に向上しており、オー
トテンショナ用樹脂プーリ等の、外輪15外周面の幅方
向中央部分、即ちベルトを支持するために高い真円度を
必要とする部分の真円度を一層高く確保しているため、
かかる樹脂製プーリに好適であることがわかる。
【0044】ところで、上記実施例では、ピンゲート4
1を、計18個のリブ17に対応して、その約数である
計6個設け、1個のピンゲート41で3個のリブ17を
受け持つと共に、それらを内輪13の周方向に等間隔で
配置しているが、本発明を実施する場合には、これに限
定されるものではなく、樹脂をキャビティ内に放射状に
展開して均一充填すべく機能するものであればよい。例
えば、ピンゲート41を、計18個のリブ17に対して
計9個設けて各隣接するリブ17間の中央位置に配置
し、1個のピンゲート41で2個のリブ17を受け持
ち、樹脂の流れを平面略9角形状から18角形状とする
ようにしてもよい。或いは、樹脂をキャビティ内に放射
状に展開して均一充填できる限りにおいて、ピンゲート
41の数をリブ17の数の約数とすることなく、例え
ば、3乃至5個または7個以上とし、これらのピンゲー
ト41を内輪13の周方向に等間隔で配置して樹脂の流
れを平面略正多角形状から18角形状とするようにして
もよい。
【0045】また、ピンゲート41は、内輪13の周方
向に等間隔で配置する以外にも、樹脂の均一重点を損な
わない限りにおいて、若干間隔をずらして配置する等の
変更が可能であり、内輪13の周方向に略等間隔で配置
すればよい。更に、各ピンゲート41は、隣接するリブ
17間中央位置の内輪13に配置する以外にも、樹脂の
均一重点を損なわない限りにおいて、リブ17間の任意
の位置に配置でき、その位置を適宜変更することができ
る。また、ピンゲート41のゲート径は、約2mmとする
以外に、ゲートシール時間をできるだけ長く取り、か
つ、ゲート固化物の切除を可能にする限りにおいて、樹
脂製プーリの形状及び寸法等の諸条件に応じて、適宜変
更してもよい。ただし、通常の樹脂製プーリでは、ゲー
ト径を約2mmとすれば、上記のように非常に高い真円度
を確保することができる。
【0046】そして、リブ17の数も、18個以外に、
樹脂製プーリの使用目的、補強の必要の程度等の条件に
応じて、適宜変更してもよいが、リブ17の数が多けれ
ば、外輪15成形時における溶融樹脂の外形を円に近い
平面多角形状とすることができ、真円度の向上に有効で
ある。また、リブ17の数を変更した場合、これに対応
して、ピンゲート41の数を変更し、各ピンゲート41
を隣接するリブ17間に配置するようにする。即ち、リ
ブ17の数とピンゲート41の数及びそれらの数の割合
は、樹脂の均一充填を損なわない限りにおいて、上記以
外の任意の組み合わせとすることができる。また、リブ
の形状も図1乃至3に示す形状とすることなく、樹脂の
均一重点を損なわない限りにおいて、補強目的等に応じ
て適宜変更可能である。しかし、図1乃至3に示す形状
とした場合、上記のように非常に高い真円度を確保する
ことができる。
【0047】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明にかかる
樹脂製プーリは、軸受と、軸受の外周に一体形成された
樹脂部本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基
部と、基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方
向に張り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、
基部の内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部
の略厚さ方向に突出する多数のリブとを具備するもので
あって、型開きに伴うゲート固化物の切除を可能とする
範囲にゲート径を設定した樹脂射出用の複数のピンゲー
トを、前記内径部の一方の端面の周方向に沿って略等間
隔で配置すると共に、前記複数のピンゲートの各々を隣
接するリブ間に配置し、前記各ピンゲートから溶融樹脂
を射出して前記軸受、前記基部、前記内径部、前記外径
部及び前記多数のリブを一体成形したものである。
【0048】したがって、基部、内径部、外径部及びリ
ブは、溶融樹脂をピンゲートから射出して形成されたも
のであるが、このうち、特に、外径部は、内径部から多
数のリブを介して外径部に流動してきた溶融樹脂、及
び、基部自体を流動してきた溶融樹脂の両者が同時に合
流して成形されるため、これらの溶融樹脂が外径部で合
流した直後は、多数設けたリブの数に応じた平面多角形
の成形体が形成され、その後に平面円形の外径部が成形
される。よって、外径部の外形は、多数のリブの数に応
じた平面多角形から円形へと移行するため、その真円度
がリブの数に応じて高くなる。その結果、外径部の真円
度を向上して、高い真円度が要求される製品として適用
することができる。そして、その真円度を高くできるた
め、回転時のベルトのばたつきが少なくなり、動作時の
騒音を低減できると共に、回転むらをより少なくするこ
とができる。また、外径部のベルト案内面とベルトとの
接触摩擦抵抗を少なくすることができ、樹脂製プーリ及
びベルトの製品寿命を延ばすことができる。
【0049】請求項2の発明にかかる樹脂製プーリの製
造方法は、軸受と、軸受の外周に一体形成された樹脂部
本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基部と、
基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方向に張
り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、基部の
内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部の略厚
さ方向に突出する多数のリブとを具備する樹脂製プーリ
の製造方法であって、型開きに伴うゲート固化物の切除
を可能とする範囲にゲート径を設定した樹脂射出用の複
数のピンゲートを、前記内径部成形用のキャビティの周
方向に沿って略等間隔で配置すると共に、前記複数のピ
ンゲートの各々を隣接するリブ間の前記内径部成形用の
キャビティに配置して型締めする型締工程と、前記各ピ
ンゲートから溶融樹脂をキャビティ内に射出する射出工
程とを具備するものである。
【0050】したがって、型締工程後に射出工程におい
て、前記各ピンゲートから溶融樹脂をキャビティ内に射
出すると、内径部成形用のキャビティから多数のリブ成
形用のキャビティを介して外径部成形用のキャビティに
流動してきた溶融樹脂、及び、基部成形用のキャビティ
自体を流動してきた溶融樹脂の両者が、外径部成形用の
キャビティで同時に合流して成形される。このため、こ
れらの溶融樹脂が外径部成形用のキャビティで合流した
直後は、多数設けたリブの数に応じた平面多角形の成形
体が形成され、その後に平面円形の外径部が成形され
る。よって、外径部の外形は、多数のリブの数に応じた
平面多角形から円形へと移行するため、その真円度がリ
ブの数に応じて高くなる。その結果、外径部の真円度を
向上して、高い真円度が要求される製品として適用する
ことができる。そして、その真円度を高くできるため、
回転時のベルトのばたつきが少なくなり、動作時の騒音
を低減できると共に、回転むらをより少なくすることが
できる。また、外径部のベルト案内面とベルトとの接触
摩擦抵抗を少なくすることができ、樹脂製プーリ及びベ
ルトの製品寿命を延ばすことができる。
【0051】請求項3の発明にかかる樹脂製プーリの製
造装置は、軸受と、軸受の外周に一体形成された樹脂部
本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基部と、
基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方向に張
り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、基部の
内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部の略厚
さ方向に突出する多数のリブとを具備する樹脂製プーリ
の製造装置であって、前記軸受をインサートとして配置
固定するインサート部と、前記インサート部の周囲に設
けられた前記基部、内径部、外径部及びリブ成形用のキ
ャビティと、前記内径部成形用のキャビティの周方向に
沿って略等間隔で複数配置されると共に、各々は隣接す
るリブ間の前記内径部成形用のキャビティに配置され、
かつ、型開きに伴うゲート固化物の切除を可能とする範
囲にゲート径を設定したピンゲートとを具備するもので
ある。
【0052】したがって、前記各ピンゲートから溶融樹
脂をキャビティ内に射出すると、内径部成形用のキャビ
ティから多数のリブ成形用のキャビティを介して外径部
成形用のキャビティに流動してきた溶融樹脂、及び、基
部成形用のキャビティ自体を流動してきた溶融樹脂の両
者が、外径部成形用のキャビティで同時に合流して成形
される。このため、これらの溶融樹脂が外径部成形用の
キャビティで合流した直後は、多数設けたリブの数に応
じた平面多角形の成形体が形成され、その後に平面円形
の外径部が成形される。よって、外径部の外形は、多数
のリブの数に応じた平面多角形から円形へと移行するた
め、その真円度がリブの数に応じて高くなる。その結
果、外径部の真円度を向上して、高い真円度が要求され
る製品として適用することができる。そして、その真円
度を高くできるため、回転時のベルトのばたつきが少な
くなり、動作時の騒音を低減できると共に、回転むらを
より少なくすることができる。また、外径部のベルト案
内面とベルトとの接触摩擦抵抗を少なくすることがで
き、樹脂製プーリ及びベルトの製品寿命を延ばすことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例の樹脂製プーリをゲー
ト位置と共に示す平面図である。
【図2】図2は本発明の一実施例の樹脂製プーリをゲー
ト位置と共に示す図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は本発明の一実施例の樹脂製プーリのリブ
を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の一実施例の樹脂製プーリの製造
装置の金型を示す断面図である。
【図5】図5は本発明の一実施例の樹脂製プーリの製造
方法における樹脂のフローパターンを示す説明図であ
る。
【図6】図6は本発明の一実施例の製造方法により製造
された樹脂製プーリの真円度を従来の製造方法により製
造された樹脂製プーリの真円度と比較した表である。
【符号の説明】
11 基部 13 内輪(内径部) 15 外輪(外径部) 17 リブ 19 軸受 31 内輪成形用のキャビティ 33 基部成形用のキャビティ 35 外輪成形用のキャビティ 37 リブ成形用のキャビティ 39 インサート部 41 ピンゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 誉展 愛知県西加茂郡藤岡町大字飯野字大川ケ原 1141番地1 アイシン化工株式会社内 (72)発明者 仁木 基晴 大阪府大阪市西区京町堀1丁目3番17号 エヌティエヌ株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受と、軸受の外周に一体形成された樹
    脂部本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基部
    と、基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方向
    に張り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、基
    部の内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部の
    略厚さ方向に突出する多数のリブとを具備する樹脂製プ
    ーリであって、 型開きに伴うゲート固化物の切除を可能とする範囲にゲ
    ート径を設定した樹脂射出用の複数のピンゲートを、前
    記内径部の一方の端面の周方向に沿って略等間隔で配置
    すると共に、前記複数のピンゲートの各々を隣接するリ
    ブ間に配置し、前記各ピンゲートから溶融樹脂を射出し
    て前記軸受、前記基部、前記内径部、前記外径部及び前
    記多数のリブを一体成形したことを特徴とする樹脂製プ
    ーリ。
  2. 【請求項2】 軸受と、軸受の外周に一体形成された樹
    脂部本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基部
    と、基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方向
    に張り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、基
    部の内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部の
    略厚さ方向に突出する多数のリブとを具備する樹脂製プ
    ーリの製造方法であって、 型開きに伴うゲート固化物の切除を可能とする範囲にゲ
    ート径を設定した樹脂射出用の複数のピンゲートを、前
    記内径部成形用のキャビティの周方向に沿って略等間隔
    で配置すると共に、前記複数のピンゲートの各々を隣接
    するリブ間の前記内径部成形用のキャビティに配置して
    型締めする型締工程と、 前記各ピンゲートから溶融樹脂をキャビティ内に射出す
    る射出工程とを具備することを特徴とする樹脂製プーリ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 軸受と、軸受の外周に一体形成された樹
    脂部本体とからなり、前記樹脂部本体は、円板状の基部
    と、基部の内周部及び外周部に沿って基部の略厚さ方向
    に張り出し形成された円筒状の内径部及び外径部と、基
    部の内周部から外周部へと放射状に延びると共に基部の
    略厚さ方向に突出する多数のリブとを具備する樹脂製プ
    ーリの製造装置であって、 前記軸受をインサートとして配置固定するインサート部
    と、 前記インサート部の周囲に設けられた前記基部、内径
    部、外径部及びリブ成形用のキャビティと、 前記内径部成形用のキャビティの周方向に沿って略等間
    隔で複数配置されると共に、各々は隣接するリブ間の前
    記内径部成形用のキャビティに配置され、かつ、型開き
    に伴うゲート固化物の切除を可能とする範囲にゲート径
    を設定したピンゲートとを具備することを特徴とする円
    形樹脂成形品の製造装置。
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